JP6877263B2 - リニアアクチュエータおよびそれを用いた洗濯機用制振装置 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には可動子を中心に上下に分割できるリニアモータに補極を有する構造が記載されている。
図1は、制振装置が備えるリニアアクチュエータ10の縦断面図である。
なお、図1に示すように、xyz軸を定める。また、図1では、x方向においてリニアアクチュエータ10の半分を図示しているが、リニアアクチュエータ10の構成は、yz平面を基準として対称になっている。
リニアアクチュエータ10は、電機子である固定子11と、z方向に延びる板状の可動子12と、の間の磁気的な吸引力・反発力(つまり、推力)によって、固定子11と可動子12との相対位置をz方向で直線的に変化させるアクチュエータである。図1に示すように、リニアアクチュエータ10は、洗濯機W(図11参照)の外槽37(制振対象物)に接続されている。具体的には、リニアアクチュエータ10の可動子12が、外槽37に接続されている。
図2に示すように、固定子11のコア11aは、環状部S1と、磁極歯T,Tと、を備えている。
環状部S1は、縦断面視で環状(矩形枠状)を呈しており、この環状部S1によって磁気回路が構成されている。一対の磁極歯T,Tは、環状部S1からy方向内側に延びており、互いに対向している。なお、磁極歯T,Tの間の距離は、板状を呈する可動子12の厚さよりも若干長くなっている。磁極歯T,Tには、それぞれ、巻線11bが巻回されている。この巻線11bに通電することによって、固定子11が電磁石として機能するようになっている。
環状部S1内の前記電磁石と前記可動子12の永久磁石(図1参照)から発生する磁束の流れを図中に矢印で示すように、環状となっている。
図3に示すように、固定子11のコア11aは、環状部S2と、補極極歯TCP,TCPと、を備えている。
環状部S2は、縦断面視で環状(矩形枠状)を呈しており、この環状部S2によって磁気回路が構成されている。一対の補極歯TCP,TCPは、環状部S2からy方向内側に延びており、互いに対向している。なお、補極歯TCP,TCPの間の距離は、板状を呈する可動子12の厚さよりも若干長くなっている。補極歯TCP,TCPには、巻線11bが巻回されていない。
環状部S2内の前記可動子12(図示せず)から発生する磁束の流れを図中に一点矢印で示すように、環状となっている。
つまり、リニアアクチュエータ10の特性は、図2の環状部S1内と図3環状部S2内を通過する磁束ベクトルの和によって決定される。つまり、ディテントとトルクリップルを低減したければ、磁束ベクトルの和を目的の仕様に合うように最適化すれば良い。
横軸に補極の割合、縦軸にトルクリップルの割合を示している。補極の割合とは、(補極CPの長さ)/(磁気歯Tの長さ)×100(%)とした。トルクリップルの割合とは、(トルクリップル)/(最大推力)×100(%)とした。上記の場合、補極の割合50%、トルクリップルの割合11%となる。
磁気歯Tを一定に補極CPを変化させたところ、補極の割合が10%であってもトルクリプルを低減できることがわかった。つまり補極CPの幅はわずかでも効果があり、固定子11の全体長さを大型化することなく、リニアアクチュエータ10の推力特性を一定化できる。
またこれらコンター図は図5における変位−10mm、つまり図4における可動子12が左端にある場合を示している。
図7(a)において固定子11の環状部Sの磁束密度が左右で異なっている(図中丸で囲った部位)。つまり、界磁の磁束と磁石に磁束が一致する側(図中右側)の環状部Sは磁気飽和しており、界磁の磁束と磁石の磁束が打消す側(図中左側)の環状部Sは磁気飽和しておらず、機内の磁束密度分布が不均一であることを示している。
一方、図7(b)において固定子11の環状部Sの磁束密度はほぼ同等である。また補極TSの環状部Sにも磁束が通っていることを確認できる。つまり補極CPの作用により機内の磁束密度分布を均一化していることが確認できた。
制振装置100は、前記したリニアアクチュエータ10と、スプリング20と、を備える電磁サスペンションであり、「制振対象物」である外槽37の振動(つまり、洗濯機Wの振動:図11参照)を抑制する機能を有している。
なお、制振装置100は、洗濯機Wの内部に設置されているため(図11参照)、図4では制振装置100を図示していない。
図10に示す洗濯機Wは、ドラム式の洗濯機であり、また、衣類を乾燥する機能も有している。洗濯機Wは、前記した制振装置100(図11参照)と、ベース31と、筐体32と、ドア33と、操作・表示パネル34と、排水ホースHと、を備えている。
筐体32は、左右の側板32a,32aと、前面カバー32bと、背面カバー32c(図11参照)と、上面カバー32dと、を備えている。前面カバー32bの中央付近には、衣類を出し入れするための円形の投入口h1(図11参照)が形成されている。
ドア33は、前記した投入口h1に設けられる開閉可能な蓋である。
排水ホースHは、外槽37(図11参照)の洗濯水を排出するためのホースであり、外槽37に接続されている。
洗濯機Wは、前記した構成の他に、洗濯槽35と、リフタ36と、外槽37と、駆動機構38と、送風ユニット39と、を備えている。
洗濯槽35は、衣類を収容するものであり、有底円筒状を呈している。洗濯槽35は、外槽37に内包され、この外槽37と同軸上で回転自在に軸支されている。洗濯槽35の周壁及び底壁には、通水・通風のための貫通孔(図示せず)が多数設けられている。また、洗濯槽35の開口h2は、外槽37の開口h3とともに、閉状態のドア33に臨んでいる。
リフタ36は、洗濯中・乾燥中に衣類を持ち上げて落下させるものであり、洗濯槽35の内周壁に設置されている。
制振装置100は、前記した構成(リニアアクチュエータ10及びスプリング20:図9参照)の他に、インバータ40と、電流検出器50と、推力調整部60と、を備えている。
なお、インバータ40に直流電圧を印加する「直流電源」は、交流電源Eと、整流回路Fと、を含んで構成される。
なお、図13では、左側のリニアアクチュエータを「リニアアクチュエータ10L」とし、右側のリニアアクチュエータを「リニアアクチュエータ10R」と記している。
図13に示す整流回路Fは、交流電源Eから印加される交流電圧を直流電圧に変換する周知の倍電圧整流回路である。図7に示すように、整流回路Fは、ダイオードD1〜D4がブリッジ接続されてなるダイオードブリッジ回路F1と、直列接続された2つの平滑コンデンサCと、を備えている。
整流回路Fは、正側の配線k1と、負側の配線k2を介してインバータ40に接続されるとともに、洗濯槽35(図10参照)を回転させる駆動機構38のインバータ38aにも接続されている。なお、駆動機構38は、インバータ38aと、モータ38bと、を備えている。
図13に示すように、インバータ40は、スイッチング素子SW1,SW2を備える第1のレグと、スイッチング素子SW3,SW4を備える第2のレグと、スイッチング素子SW5,SW6を備える第3のレグと、が並列接続された構成になっている。これらのスイッチング素子SW1〜SW6として、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができる。スイッチング素子SW1〜SW6には、それぞれ、還流ダイオードDが逆並列に接続されている。
第1実施形態によれば、推力調整部60は、リニアアクチュエータ10に流れる電流iに基づいて、外槽37の振動を打ち消すように推力を発生させる。これによって、制振装置100は、比較的簡素な方法で、外槽37の振動を適切に抑制できる。
第1実施形態では、推力調整部60における電流比例ゲインKpが一定であるものとして説明したが、この電流比例ゲインKpの大きさを変えることによって、リニアアクチュエータ10の粘性係数C[Ns/m]を変化させしてもよい。この粘性係数Cを変化させる方法について説明する。
なお、図14Aの実験では、洗濯槽35内の偏った所定位置に1kgの衣類を置いた状態で、洗濯槽35を回転させた(図14Bも同様)。
図14Bに示す実験では、洗濯槽35の回転速度を大きいほど(つまり、外槽37の振動周波数fが高いほど)、リニアアクチュエータ10の粘性係数Cを小さくするようにした。
図14Bに示すように、洗濯槽35の回転速度が約100[min−1]のときの外槽37の最大振幅は約5mmであり、図12Aに示す比較例の最大振幅(約10mm)の半分程度になっている。また、洗濯槽35の回転速度が500[min−1]以上の領域では、外槽37の振幅が1mm程度になっている。このように、第2実施形態によれば、粘性係数Cを可変制御することによって、第1実施形態よりも外槽37の振動を効果的に抑制できる。
また、各実施形態では、単相交流電力でリニアアクチュエータ10を駆動する構成について説明したが、例えば、3相交流電力でリニアアクチュエータ10を駆動させてもよい。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
10 リニアアクチュエータ
10L リニアアクチュエータ(一方のリニアアクチュエータ)
10R リニアアクチュエータ(他方のリニアアクチュエータ)
11 固定子
12 可動子
121b,122b,123b 永久磁石
20 スプリング
35 洗濯槽
37 外槽(制振対象物)
38 駆動機構
40 インバータ
50 電流検出器
60, 推力調整部
G 制振対象物
W 洗濯機
CP 補極
Claims (7)
- 固定子及び該固定子に対向して移動する可動子を備えるリニアアクチュエータにおいて、
前記固定子は界磁コイルを有し、前記界磁コイルが巻かれた磁気歯の間に補極が備えられ、前記可動子は永久磁石を有し、
前記固定子は、縦断面視で環状を呈し、磁気回路を構成する環状部を有し、前記環状部内を前記可動子が移動する前記可動子の移動範囲において、前記補極に対向する前記永久磁石の磁極が一定であることを特徴とするリニアアクチュエータ。 - 請求項1記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記界磁コイルが巻挿された磁気歯部の長さTLが、前記リニアアクチュエータの可動範囲Xよりも長く、
永久磁石の長さMLが前記磁気歯部のピッチTPよりも大きいことを特徴とするリニアアクチュエータ。 - 請求項1または請求項2記載のリニアアクチュエータを具備し、
前記リニアアクチュエータは制振対象物に接続され、
前記リニアアクチュエータを駆動するインバータと、
前記リニアアクチュエータに通電される電流を検出する電流検出器と、
前記電流検出器によって検出される電流に基づき、
前記インバータを駆動することによって、
前記リニアアクチュエータの推力を調整する推力調整部を備える
ことを特徴とする制振装置。 - 単相交流電力で駆動する一対の前記リニアアクチュエータを備え、
前記インバータは、3相フルブリッジインバータであり、
前記3相フルブリッジインバータの1相分に対応するレグが、一方の前記リニアアクチュエータ接続され、
前記3相フルブリッジインバータの1相分に対応するレグが、一方及び他方の前記リニアアクチュエータに接続される
ことを特徴とする請求項3記載の制振装置。 - 前記リニアアクチュエータの前記永久磁石は、
サマリウム‐鉄‐窒素系の永久磁石であることを特徴とする請求項1に記載の制振装置。 - 前記リニアアクチュエータと弾性体とを有することを特徴とする請求項1に記載の制振装置。
- 衣類を収容する洗濯槽と、
前記洗濯槽を内包する外槽と、
前記洗濯槽を回転させる駆動機構と、
制振対象物である前記外槽に接続されるリニアアクチュエータと、を備え、
前記リニアアクチュエータは、固定子及び該固定子に対向して移動する可動子を備え、
前記固定子は界磁コイルを有し、前記界磁コイルが巻かれた磁気歯の間に補極が備えられ、前記可動子は永久磁石を有し、
前記固定子は、縦断面視で環状を呈し、磁気回路を構成する環状部を有し、前記環状部内を前記可動子が移動する前記可動子の移動範囲において、前記補極に対向する前記永久磁石の磁極が一定であることを特徴とする洗濯機。
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