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JP6869156B2 - 状態監視装置および状態監視方法 - Google Patents

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Description

本発明は、対象物に設置されたセンサによって計測された波形データを用いて対象物の状態を監視する状態監視装置および状態監視方法に関する。
従来、機械の異常を早期に発見し、メンテナンスするために、機械の異常診断を行なう状態監視装置が知られている。たとえば、特開2009−20090号公報(特許文献1)には、機械設備の回転部から発生する振動信号の周波数成分の中から、回転部の異常に起因する振動の異常周波数の理論値に対応する周波数成分を抽出することにより、異常の有無の診断を行なう技術が開示されている。異常周波数の理論値は、所定の関係式に従って予め算出される。
特開2009−20090号公報
機械設備には様々な現象が生じ得る。これら様々な現象の中には、予め想定される異常現象以外の現象も含まれる。しかしながら、上記のような従来の技術では、予め算出された異常周波数の理論値に対応する周波数成分に基づいて異常の有無が診断される。そのため、ユーザは、予め想定される異常現象の発生の有無を確認できるが、予め想定される異常現象とは別の現象の発生の有無を確認することができない。
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、予め想定された現象とは異なる現象の発生状況についてもユーザが容易に確認できる状態監視装置および状態監視方法を提供することである。
本開示における対象物の状態を監視する状態監視装置は、周波数解析部と、検出部と、推定部と、更新処理部とを備える。周波数解析部は、対象物に設置されたセンサによって計測された波形データを周波数解析することにより周波数スペクトルを生成する。検出部は、周波数スペクトルから、対象物および対象物の周囲の外部装置のいずれかの現象に起因した基本波のピークを検出し、ピークの周波数の値または当該周波数から算出される値である検出値を取得する。推定部は、第1記憶部から、検出値との差が第1範囲内である第1値に対応する現象情報を特定する。第1記憶部は、対象物および外部装置のいずれかの現象ごとに、当該現象を識別する現象情報と、当該現象に起因して生じる基本波の周波数の値または当該周波数から算出される値である第1値とを対応付けて記憶する。推定部は、特定した現象情報で識別される現象が生じていることを示す推定結果を出力する。更新処理部は、第1値とは異なる第2値と、当該第2値のピークの検出数とを対応付けて記憶するための第2記憶部の更新を行なう。更新処理部は、検出値と第1値との差が第1範囲を超える場合に以下の処理を行なう。更新処理部は、検出値と第2値との差が第2範囲内であるときに、第2値に対応する検出数を更新し、検出値と第2値との差が第2範囲を超えるときに、検出値を新たな第2値として第2記憶部に登録する。
好ましくは、第2記憶部は、第2値と対応付けて、単位期間あたりの前記検出数の増加量を示す検出頻度をさらに記憶する。更新処理部は、直近の単位期間あたりの検出数の増加量に応じて検出頻度を更新する。
好ましくは、検出部は、ピークのスペクトル密度に基づいて、ピークの原因となる現象の発生度を示す評価値を算出する。第2記憶部は、第2値と対応付けて、評価値の増減の傾向を示すトレンド情報をさらに記憶する。更新処理部は、ピークに対して算出された評価値に基づいてトレンド情報を更新する。
好ましくは、対象物は回転機構を含む。検出値と第1値と第2値との各々は、周波数と回転機構の回転速度との比である。
好ましくは、更新処理部は、検出数が所定期間更新されない場合に、当該検出数に対応する第2値を第2記憶部から削除する。
好ましくは、更新処理部は、閾値を超えた検出数に対応する第2値および当該第2値のピークの原因を示す原因情報を新たな第1値および現象情報として第1記憶部に登録する登録処理を実行する。
好ましくは、更新処理部は、新たな第1値および現象情報を通知する通知処理を実行する。
好ましくは、更新処理部は、通知処理の後に承認指示を受けた場合に、登録処理を実行する。
本開示の別の局面に係る対象物の状態を監視する状態監視方法は、対象物に設置されたセンサによって計測された波形データを周波数解析することにより周波数スペクトルを生成するステップと、周波数スペクトルから、対象物および対象物の周囲の外部装置のいずれかの現象に起因した基本波のピークを検出し、ピークの周波数の値または当該周波数から算出される値である検出値を取得するステップとを備える。状態監視方法は、さらに、第1記憶部から、検出値との差が第1範囲内である第1値に対応する現象情報を特定し、特定した現象情報で識別される現象が生じていることを示す推定結果を出力するステップを備える。第1記憶部は、対象物および外部装置のいずれかの現象ごとに、当該現象を識別する現象情報と、当該現象に起因して生じる基本波の周波数の値または当該周波数から算出される値である第1値とを対応付けて記憶する。状態監視方法は、さらに、第1値とは異なる第2値と、当該第2値のピークの検出数とを対応付けて記憶するための第2記憶部の更新を行なうステップとを備える。更新を行なうステップにおいて、検出値と第1値との差が第1範囲を超える場合に以下の処理が行なわれる。すなわち、検出値と第2値との差が第2範囲内であるときに、第2値に対応する検出数を更新し、検出値と第2値との差が第2範囲を超えるときに、検出値を新たな第2値として第2記憶部に登録する。
本発明の状態監視装置または状態監視方法によれば、予め想定された現象とは異なる現象の発生状況についてもユーザが容易に確認できる。
本実施の形態に係る状態監視装置が適用された風力発電装置の構成を概略的に示した図である。 本実施の形態に係るデータ処理装置の機能構成を示す概略ブロック図である。 図2に示す周波数解析部によって生成された周波数スペクトルの一例を示す図である。 PSDが極大値となる単位データを示す図である。 第1条件を満たすピークを示す図である。 第1異常マップの一例を示す図である。 第1条件を満たすピークと、第1異常マップと、抽出されたピークとの関係を示す図である。 図2に示す検出部によって算出された評価値の一例を示す図である。 図2に示す第1記憶部が記憶する第1異常情報の一例を示す図である。 図2に示す第2記憶部が記憶する第2異常情報の一例を示す図である。 データ処理装置における処理の流れを示すフローチャートである。 第2記憶部の更新処理の流れを示すフローチャートである。 異常ピーク情報と、異常ピーク情報から生成される第2異常情報との一例を示す図である。 変形例2に係る第2記憶部が記憶する第2異常情報の一例を示す図である。 異常ピーク情報と、異常ピーク情報から生成される第2異常情報との別の例を示す図である。 変形例2〜4を組み合わせたときに生成される第2異常情報の一例を示す図である。 変形例6に係る第2記憶部の更新処理の流れを示すフローチャートである。 図17に示すステップS14の処理の流れの一例を示すフローチャートである。 第1条件を満たすピークと、第2異常マップと、抽出されたピークとの関係を示す図である。 変形例7に係る第1記憶部が記憶する第1異常情報の一例を示す図である。 変形例7に係る第2記憶部が記憶する第2異常情報の一例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。以下で説明する変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
以下では、状態監視装置によって状態が監視される対象物の一例として、風力発電装置の増速機を説明する。ただし、対象物は、風力発電装置の増速機に限定されるものではなく、異常によって振動、音、アコースティックエミッション(AE:Acoustic Emission)などの波形データに変化が生じる物であればよい。たとえば、対象物には、工場および発電所などに設置された各種機器、鉄道車両なども含まれる。
<風力発電装置の構成>
図1は、本実施の形態に係る状態監視装置が適用された風力発電装置の構成を概略的に示した図である。図1を参照して、風力発電装置10は、主軸20と、ハブ25と、ブレード30と、増速機40と、発電機50と、主軸用軸受60と、状態監視センサ70と、データ処理装置80とを備える。増速機40、発電機50、主軸用軸受60、状態監視センサ70およびデータ処理装置80は、ナセル90に格納される。ナセル90は、タワー100によって支持される。
主軸20は、ナセル90内に進入して増速機40の入力軸に接続され、主軸用軸受60によって回転自在に支持される。主軸20は、風力を受けたブレード30により発生する回転トルクを増速機40の入力軸へ伝達する。ブレード30は、ハブ25に設けられ、風力を回転トルクに変換して主軸20に伝達する。主軸用軸受60は、ナセル90内において固設され、主軸20を回転自在に支持する。
増速機40は、主軸20と発電機50との間に設けられ、主軸20の回転速度を増速して発電機50へ出力する。一例として、増速機40は、遊星ギヤ、中間軸および高速軸等を含む歯車増速機構によって構成される。増速機40内には、複数の軸を回転自在に支持する複数の軸受が設けられている。当該複数の軸受は、たとえば転がり軸受によって構成され、外輪(固定輪)と、転動体と、内輪(回転輪)とを有する。
状態監視センサ70は、増速機40に固設され、増速機40の状態を示す波形データを計測する。本実施の形態では、状態監視センサ70は、増速機40の振動波形を計測し、計測した振動波形データをデータ処理装置80へ出力する。状態監視センサ70は、たとえば、圧電素子を用いた加速度センサによって構成される。
発電機50は、増速機40の出力軸に接続され、増速機40から受ける回転トルクによって発電する。発電機50は、たとえば、誘導発電機によって構成される。発電機50内にも、ロータを回転自在に支持する軸受が設けられている。
データ処理装置80は、ナセル90内に設けられ、増速機40の振動波形データを状態監視センサ70から受ける。データ処理装置80は、状態監視センサ70から受けた振動波形データに基づいて増速機40の状態を監視する状態監視装置として機能する。データ処理装置80と状態監視センサ70とは、増速機40の状態を監視する状態監視システムを構成する。
データ処理装置80は、CPU(Central Processing Unit)と、処理プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)およびデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)とを備え、さらに各種信号を入出力するための入出力ポート等を備える(いずれも図示せず)。データ処理装置80は、ROMに記憶されたプログラムに従って、各種のデータ処理を実行する。データ処理装置80により実行される処理については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
<データ処理装置の全体構成>
図2は、本実施の形態に係るデータ処理装置80の機能構成を示す概略ブロック図である。図2を参照して、データ処理装置80は、フィルタ部101と、周波数解析部102と、検出部103と、データベース(DB)104と、推定部107と、更新処理部108と、出力処理部109とを含む。
<フィルタ部>
フィルタ部101は、状態監視センサ70から受けた振動波形データに対して、予め定められた周波数帯域の成分を通過させ、その他の周波数帯域の成分を減衰させるフィルタリング処理を行なう。一例として、フィルタ部101は、予め定められた周波数帯域を通過させるバンドパスフィルタを含んで構成される。さらに、フィルタ部101は、エンベロープ処理などを行なってもよい。
<周波数解析部>
周波数解析部102は、フィルタ部101から出力された振動波形データに対してフーリエ変換を行ない、周波数スペクトルを生成する。周波数スペクトルは、周波数と当該周波数におけるパワースペクトル密度(PSD:Power Spectral Density)(以下、PSDという)とを対応付けた単位データが周波数に従って順に配列されたデータ配列によって示される。
図3は、周波数解析部102によって生成された周波数スペクトルの一例を示す図である。図3を参照して、周波数スペクトルは、横軸を周波数とし、縦軸をPSDとするグラフによって表される。
<検出部>
検出部103は、周波数スペクトルから、増速機40および増速機40の周囲の外部装置のいずれかで生じる現象に起因した基本波の異常ピークを検出する。検出部103は、以下の第1条件および第2条件を満たすピークを異常ピークとして検出する。増速機40の周囲の外部装置としては、上記の発電機50および主軸用軸受60の他に、インバータ、ファン、油圧モータなどが含まれる。
(第1条件)
第1条件は、周波数スペクトルにおいて、極大値を示し、かつ第1閾値を超えるPSDを有するという条件である。
図4は、PSDが極大値となる単位データ(周波数fの単位データ)を示す図である。図4を参照して、連続する3つの単位データ(周波数fi−1,f,fi+1の単位データ)において、真ん中の単位データ(周波数fの単位データ)のPSDは、両隣りの単位データ(周波数fi−1の単位データ,周波数fi+1の単位データ)のPSDよりも大きい。
図5は、第1条件を満たすピークを示す図である。図5に示される例では、検出部103は、周波数fの単位データと周波数fの単位データとを第1条件を満たすピークとして検出する。
検出部103は、周波数スペクトルを構成する全ての単位データのPSDに基づいて、一定値である第1閾値を設定する。たとえば、検出部103は、全ての単位データのPSDの中央値の10倍の値を第1閾値として設定する。
あるいは、検出部103は、周波数スペクトルに基づいて、周波数に応じて変動する第1閾値を設定してもよい。たとえば、検出部103は、ある周波数の単位データのPSDと比較する第1閾値を、当該周波数を含む周波数帯域(たとえば、当該周波数±50Hz内の帯域)内の周波数を有する単位データのPSDの中央値の10倍に設定する。
(第2条件)
第2条件は、以下にようにして算出される評価値が第2閾値を超えるという条件である。
検出部103は、第1条件を満たすピークの周波数およびPSDを示す、以下の式(1)の行列Pを生成する。式(1)において、行列Pは、第1条件を満たすN個のピークのうちのn番目(n=1〜N)のピークの周波数がfであり、PSDの値がpsdであることを示す。
Figure 0006869156
検出部103は、第1条件を満たすピークの各々を対象ピークとし、対象ピークごとに第1異常マップを生成する。第1異常マップは、対応する対象ピークの周波数と当該対象ピークの周波数の整数倍の周波数とを異常成分として含む。
たとえば、増速機40に含まれる軸受の固定輪である外輪に損傷が発生した場合には、当該損傷に応じた基本波と、当該基本波の周波数(基本周波数)の整数倍の周波数を有する高調波とが発生する。以下では、基本波と高調波とが発生する異常モデルを「第1異常モデル」という。上記の第1異常マップは、第1異常モデルに対応するマップであり、対象ピークを基本波のピークとして仮定したときの、当該基本波と高調波との周波数を異常成分として含む。
検出部103は、周波数と0または1の値とを対応付けた情報を第1異常マップとして生成する。第1異常マップにおいて、異常成分である周波数に対応する値が1に設定され、異常成分ではない周波数に対応する値が0に設定される。
図6は、第1異常マップの一例を示す図である。図6を参照して、検出部103は、対象ピークの周波数fと、当該周波数fの整数倍(2倍、3倍、・・・)の周波数2f,3f,・・・とを異常成分として含む第1異常マップを生成する。言い換えると、検出部103は、対象ピークの周波数fを基本周波数として、当該基本周波数と、当該基本周波数を有する基本波の高調波の周波数とを異常成分として含む第1異常マップを生成する。
検出部103は、周波数fの対象ピークに対して、以下の式(2)に示されるような第1異常マップM_n(1)を生成する。
M_n(1)=[・・0010・・・010・・・010・・・] 式(2)
異常マップM_n(1)において、異常成分である周波数に対応する値が1に設定され、異常成分ではない周波数に対応する値が0に設定される。
検出部103は、生成した第1異常マップM_n(1)と上記の式(1)に示される行列PとをAND処理を行なうことにより、第1条件を満たすピークの中から、当該第1異常マップに含まれる異常成分に対応するピークを抽出する。
検出部103は、第1条件を満たすn番目のピーク(周波数fnのピーク)に対して生成された第1異常マップM_n(1)を用いて抽出されたピークの周波数およびPSDの値を示す行列Pex_n(1)を生成する(以下の式(3)参照)。行列Pex_n(k)において、fex_nは、m番目のピークの周波数を示し、psdex_nは、m番目のピークのPSDの値を示す。
Figure 0006869156
図7は、第1条件を満たすピークと、第1異常マップと、抽出されたピークとの関係を示す図である。図7を参照して、検出部103は、周波数fの対象ピークに対して生成された第1異常マップM_n(1)を用いて、周波数fex_n,fex_n,fex_nの3つのピークを抽出する。なお、周波数fex_nは、周波数fと一致する。3つのピークのPSDの値は、それぞれpsdex_n,psdex_n,psdex_nである。
検出部103は、抽出されたピークのPSDの総和を評価値として算出する。具体的には、検出部103は、以下の式(4)に従って評価値Enを算出する。
Figure 0006869156
図8は、検出部103によって算出された評価値の一例を示す図である。図8を参照して、検出部103は、第1条件を満たすピークごと、当該ピークに対して生成された第1異常マップを用いて評価値を算出する。
検出部103は、第1条件を満たすピークのうち、予め設定された第2閾値を超える評価値に対応するピークを、第2条件を満たす異常ピークとして検出する。図8に示す例では、7.5Hz、37.2Hz、50Hz、100Hzのピークが異常ピークとして検出される。
第2閾値は周波数ごとに予め設定される。特定の周波数に対応する第2閾値については、データベース104の第1記憶部105に予め格納される。第1記憶部105に第2閾値が格納されていない周波数については、固定値(たとえば200)が第2閾値として予め設定される。
検出部103は、検出した異常ピークの周波数の値(検出値)を取得する。検出部103は、検出した異常ピークごとに、当該異常ピークの周波数値と当該異常ピークに対して算出した評価値とを推定部107に出力する。
<データベース>
データベース104は、第1記憶部105と第2記憶部106とを含む。
(第1記憶部)
第1記憶部105は、増速機40および増速機40の周囲の外部装置のいずれかの現象ごとに、当該現象を識別する現象情報と、当該現象に起因して発生する基本波の周波数(基本周波数)の値(第1値)と、第2閾値とを対応付けた第1異常情報を記憶する。基本周波数は、対応する現象に起因して発生する波の周波数のうち最も低い周波数である。基本周波数は、単位時間(1秒)当たりの現象の発生回数を示す。
図9は、第1記憶部105が記憶する第1異常情報の一例を示す図である。図9を参照して、第1記憶部105は、たとえば、現象情報「増速機40に含まれる軸受の外輪の損傷」について、当該損傷に起因して発生する基本周波数が37.2Hzであり、第2閾値が100であることを示す第1異常情報を記憶する。
第1記憶部105が記憶する第1異常情報は、対象物である増速機40または増速機40の周囲の外部装置において予め想定される現象に対応しており、増速機40を用いた実験またはシミュレーションによって予め作成される。第2閾値は、実験またはシミュレーションにおいて、対応する現象が生じたときに発生する基本波および高調波のPSDの合計値未満であり、かつ、ノイズよりも十分に大きい値に設定される。
(第2記憶部)
第2記憶部106は、第1記憶部105が記憶する基本周波数の値とは異なる基本周波数の値(第2値)と、平均評価値と、検出数とを対応付けた第2異常情報を記憶する。検出数とは、対応する基本周波数の異常ピークが検出部103によって検出された回数である。平均評価値とは、対応する基本周波数の異常ピークに対して算出された評価値の平均値である。第2記憶部106が記憶する第2異常情報は、更新処理部108によって更新される。
図10は、第2記憶部106が記憶する第2異常情報の一例を示す図である。図10を参照して、第2記憶部106は、たとえば、基本周波数7.5Hzに対して、平均評価値500と、検出数85回とを記憶している。
<推定部>
推定部107は、検出部103によって検出された異常ピークの周波数値と第1記憶部105が記憶する第1異常情報とに基づいて、増速機40または増速機40の周囲の外部装置において発生している現象を推定する。
推定部107は、検出部103によって検出された異常ピークの各々について、当該異常ピークの周波数値と一致または近似する基本周波数の値に対応する現象情報を第1記憶部105の中から特定する。推定部107は、異常ピークの周波数値との差が所定範囲(第1範囲)内(たとえば基本周波数の±1%以内)の基本周波数の値を、当該異常ピークの周波数値と一致または近似する基本周波数の値として判断する。所定範囲は、状態監視センサ70の計測誤差等を考慮して予め定められる。推定部107は、特定した現象情報によって識別される現象が生じていると推定する。
推定部107は、異常ピークの周波数値と一致または近似する基本周波数の値が第1記憶部105に格納されていない場合、当該異常ピークの周波数値と評価値とを更新処理部108に出力する。
推定部107は、発生していると推定した現象を示す推定結果情報を生成し、生成した推定結果情報を出力処理部109に出力する。
<更新処理部>
更新処理部108は、推定部107から受けた異常ピークの周波数値に基づいて、第2記憶部106に格納された第2異常情報を更新する。推定部107から受ける異常ピークの周波数値は、第1記憶部105に格納されている基本周波数の値のいずれとも一致または近似しない。そのため、異常ピークは、第1記憶部105に格納される現象情報によって識別される現象とは異なる不明な現象に起因して生じている。更新処理部108は、このような不明な現象に起因する異常ピークを管理するために第2異常情報を更新する。
更新処理部108は、推定部107から受けた異常ピークの周波数値と一致または近似する基本周波数の値が第2記憶部106に格納されているか否かを判断する。具体的には、更新処理部108は、異常ピークの周波数値との差が所定範囲(第2範囲)内(たとえば基本周波数の±1%以内)の基本周波数の値を、当該異常ピークの周波数値と一致または近似する基本周波数の値として判断する。所定範囲は、状態監視センサ70の計測誤差等を考慮して予め定められる。
更新処理部108は、推定部107から受けた異常ピークの周波数値と一致または近似する基本周波数の値が第2記憶部106に格納されていない場合、当該異常ピークの周波数値を新たな基本周波数の値として第2記憶部106に登録する。このとき、更新処理部108は、新たな基本周波数に対応する検出数を「1」とする。さらに、更新処理部108は、新たな基本周波数に対応する平均評価値を、推定部107から受けた評価値とする。
更新処理部108は、推定部107から受けた異常ピークの周波数値と一致または近似する基本周波数の値が第2記憶部106に格納されている場合、当該基本周波数に対応する平均評価値および検出数を更新する。具体的には、更新処理部108は、検出数を1だけ加算する。更新処理部108は、
((更新前の平均評価値)×(更新前の検出数)+(推定部107から受けた評価値))/(更新後の検出数)
によって得られる値を更新後の平均評価値とする。
<出力処理部>
出力処理部109は、有線または無線通信システムを用いて、遠隔地にいるユーザ(作業者または管理者)の端末装置に、推定結果情報を出力する。これにより、端末装置は、推定結果情報をたとえば表示部に通知させることができる。その結果、ユーザは、増速機40または増速機40の周囲の外部装置において発生している現象を容易に確認することができる。
出力処理部109は、第2記憶部106が記憶する第2異常情報を端末装置に出力する。これにより、ユーザは、第1記憶部105に登録されている現象情報によって示される現象(つまり、予め想定された現象)とは異なる現象の発生状況を容易に確認することができる。
<データ処理装置の処理の流れ>
次に図11を参照して、データ処理装置80における処理の流れについて説明する。図11は、データ処理装置80における処理の流れを示すフローチャートである。
まずステップS1において、データ処理装置80は、状態監視センサ70から受けた振動波形データに対してフィルタリング処理を行なう。フィルタリング処理は、フィルタ部101によって実行される。
次にステップS2において、データ処理装置80は、フィルタリング処理が行なわれた振動波形データに対して、周波数解析処理としてのフーリエ変換を行なうことにより、周波数スペクトルを生成する。周波数解析処理は、周波数解析部102によって実行される。
次にステップS3において、データ処理装置80は、周波数スペクトルから第1条件および第2条件を満たす異常ピークを検出する。ステップS3の処理は、検出部103によって実行される。ここで、データ処理装置80は、N個の異常ピークを検出したとする。
次にステップS4において、データ処理装置80は、検出されたN個の異常ピークの中から1つの異常ピークを選択する。
次にステップS5において、データ処理装置80は、選択した異常ピークの周波数値と一致または近似する基本周波数の値が第1記憶部105に格納されているか否かを判断する。ステップS5の処理は、推定部107によって実行される。異常ピークの周波数値と一致または近似する基本周波数の値が第1記憶部105に格納されている場合(ステップS5でYES)、データ処理装置80は、ステップS6の処理を行なう。データ処理装置80は、ステップS6において、異常ピークの周波数値と一致または近似する基本周波数の値に対応する現象情報を特定し、特定した現象情報によって示される現象が生じていることを示す推定結果情報を出力する。ステップS6の処理は、推定部107および出力処理部109によって実行される。
異常ピークの周波数値と一致または近似する基本周波数の値が第1記憶部105に格納されていない場合(ステップS5でNO)、データ処理装置80は、ステップS7において、第2記憶部106の更新を行なう。ステップS7の処理は、更新処理部108によって実行される。
ステップS6およびステップS7の後、データ処理装置80は、ステップS8において未選択の異常ピークがあるか否かを判断する。未選択の異常ピークがある場合(ステップS8でYES)、データ処理装置80は、ステップS4〜S8の処理を繰り返し行なう。未選択の異常ピークがない場合(ステップS8でNO)、処理は終了する。
<第2記憶部の更新処理>
図12を参照して、上記の第2記憶部106の更新処理(ステップS7)の詳細について説明する。図12は、第2記憶部の更新処理の流れを示すフローチャートである。
まずステップS11において、データ処理装置80は、異常ピークの周波数値と一致または近似する基本周波数の値が第2記憶部106に格納されているか否かを判断する。異常ピークの周波数値と一致または近似する基本周波数の値が第2記憶部106に格納されていない場合(ステップS11でNO)、データ処理装置80は、ステップS12において、異常ピークの周波数値を新たな基本周波数の値として第2記憶部106に登録する。
異常ピークの周波数値と一致または近似する基本周波数の値が第2記憶部106に格納されている場合(ステップS11でYES)、データ処理装置80は、ステップS13において、当該基本周波数に対応する平均評価値および検出数を更新する。
<利点>
以上のように、データ処理装置(状態監視装置)80は、周波数解析部102と、検出部103と、推定部107と、更新処理部108とを備える。周波数解析部102は、増速機(対象物)40に設置された状態監視センサ70によって計測された振動波形データを周波数解析することにより周波数スペクトルを生成する。検出部103は、周波数スペクトルから、増速機40および増速機40の周囲の外部装置のいずれかの現象に起因した基本波の異常ピークを検出する。さらに、検出部103は、異常ピークの周波数の値(検出値)を取得する。第1記憶部105は、増速機40および増速機40の周囲の外部装置のいずれかの現象ごとに、当該現象を識別する現象情報と、当該現象に起因して生じる基本波の周波数(基本周波数)の値(第1値)とを対応付けて記憶する。推定部107は、第1記憶部105から、異常ピークの周波数値との差が所定範囲内である基本周波数の値に対応する現象情報を特定し、特定した現象情報で識別される現象が生じていることを示す推定結果情報を出力する。更新処理部108は、第1記憶部105が記憶する基本周波数の値とは異なる基本周波数の値(第2値)と、当該基本周波数の異常ピークの検出数とを対応付けて記憶するための第2記憶部106の更新を行なう。更新処理部108は、異常ピークの周波数値と第1記憶部105に格納される基本周波数の値との差が所定範囲を超える場合、以下の処理を行なう。すなわち、更新処理部108は、異常ピークの周波数値と第2記憶部106に格納される基本周波数の値との差が所定範囲(第2範囲)内であるときに、当該基本周波数に対応する検出数を更新する。更新処理部108は、異常ピークの周波数値と第2記憶部106に格納される基本周波数の値との差が所定範囲を超えるときに、異常ピークの周波数値を新たな基本周波数の値として第2記憶部106に登録する。
上記の構成によれば、第1記憶部105において現象情報と対応付けられた基本周波数とは異なる基本周波数の異常ピークの検出数を第2記憶部106で管理することができる。第1記憶部105には、予め想定される現象に起因する基本波の周波数の値が登録される。そのため、第2記憶部106には、予め想定される現象とは異なる現象に起因した異常ピークの基本周波数の値と検出数とが格納される。その結果、第2記憶部106を確認することにより、ユーザは、予め想定された現象とは異なる現象の発生状況についても容易に確認できる。
たとえば、ユーザは、検出数が多い基本周波数の値を第2記憶部106から特定することができる。これにより、ユーザは、特定した基本周波数の値に基づいて、異常ピークの発生原因についての調査等を実行することができる。
<変形例1>
更新処理部108は、推定部107から異常ピークの周波数値と評価値とを受けるたびに、当該異常ピークの周波数値と評価値とを対応付けた異常ピーク情報を第2記憶部106に格納してもよい。この場合、更新処理部108は、状態監視センサ70が振動波形データを計測するたびに、第2記憶部106に格納された全ての異常ピーク情報に基づいて第2異常情報を更新する。
図13は、異常ピーク情報と、異常ピーク情報から生成される第2異常情報との一例を示す図である。図13には、周波数が7.5Hzまたはその付近の異常ピークに対応する異常ピーク情報D1のデータ群と、異常ピーク情報D1のデータ群から生成される第2異常情報D2とが示される。さらに図13には、周波数が50Hzまたはその付近の異常ピークに対応する異常ピーク情報D3のデータ群と、異常ピーク情報D3のデータ群から生成される第2異常情報D4とが示される。
更新処理部108は、異常ピーク情報D1のデータ群によって示される周波数の代表値(たとえば平均値、先頭の周波数の値、中央値など)を第2異常情報D2の基本周波数の値とする。更新処理部108は、異常ピーク情報D1のデータ群によって示される評価値の平均値を第2異常情報D2の平均評価値とする。更新処理部108は、異常ピーク情報D1の個数を第2異常情報D2の検出数とする。同様にして、更新処理部108は、異常ピーク情報D3に基づいて第2異常情報D4を生成する。
<変形例2>
上記の説明では、検出部103は、検出した異常ピークの周波数値を取得した。しかしながら、検出部103は、検出した異常ピークの周波数値と増速機40の出力軸の回転速度値との比を取得してもよい。たとえば、検出部103は、検出した異常ピークの周波数値を増速機40の出力軸の回転速度値で割ったオーダー(order)(以下、回転次数という)の値(回転次数値)を取得(算出)してもよい。検出部103は、増速機40に設置された回転センサから、増速機40の出力軸の回転速度を取得すればよい。
増速機40に含まれる回転機構に異常が生じた場合、周波数解析部102によって生成される周波数スペクトルには、当該回転機構の回転速度に応じた周波数のピークが生じる。増速機40の回転機構が一定の回転速度で回転する場合には、当該一定の回転速度に応じた基本周波数の値を第1記憶部105に格納しておくことにより、増速機40の回転機構の異常の発生を容易に検出することができる。しかしながら、回転機構の回転速度が変化する場合には、ピークの周波数も変化する。そのため、異常ピークの周波数値に基づいて増速機40の回転機構の異常を検出することが困難となる。一方、回転機構の異常に起因した基本波の周波数値を当該回転機構の回転速度値で割った回転次数の値は、回転機構の回転速度にかかわらず略一定となる。そのため、検出部103は、上述したように回転次数値を取得する。
変形例2に係るデータ処理装置80では、第1記憶部105は、増速機40または増速機40の周囲の外部装置の回転機構における予め想定される異常に対応する第1異常情報を記憶する。回転機構の異常に対応する第1異常情報は、当該異常を識別する現象情報と、当該異常に起因して発生する基本波の周波数値を当該回転機構の回転速度値で割った回転次数(以下、基本回転次数という)の値(第1値)と、第2閾値とを対応付けた情報である。
推定部107は、異常ピークに対して算出された回転次数値と一致または近似する基本回転次数の値に対応する現象情報を第1記憶部105の中から特定する。推定部107は、異常ピークの回転次数値との差が所定範囲(第1範囲)内(たとえば、基本回転次数の±1%以内)の基本回転次数の値を、異常ピークの回転次数値と一致または近似する基本回転次数の値として判断する。所定範囲は、状態監視センサ70の計測誤差等を考慮して予め定められる。推定部107は、特定した現象情報によって識別される現象が生じていると推定する。
第1記憶部105は、基本周波数の値を含む第1異常情報と、基本回転次数の値を含む第1異常情報とを記憶していてもよい。この場合、異常ピークの周波数値と一致または近似する基本周波数の値を含む第1異常情報と、異常ピークに対して算出された回転次数値と一致または近似する基本回転次数の値を含む第1異常情報とが第1記憶部105に格納されていることがあり得る。このとき、推定部107は、異常ピークに対して算出された回転次数値と一致または近似する基本回転次数の値を含む第1異常情報を優先させ、当該第1異常情報の現象情報によって示される現象が生じていると推定する。もしくは、推定部107は、2つの第1異常情報によってそれぞれ示される現象のいずれかが生じていると推定してもよい。
推定部107は、異常ピークの周波数値と一致または近似する基本周波数の値および異常ピークに対して算出された回転次数値と一致または近似する基本回転次数の値の両方が第1記憶部105に格納されていない場合、異常ピークの周波数値、回転次数値および評価値を更新処理部108に出力する。
第2記憶部106は、第1記憶部105が記憶する基本周波数の値とは異なる基本周波数の値を含む第2異常情報および第1記憶部105が記憶する基本回転次数の値とは異なる基本回転次数の値を含む第2異常情報の少なくとも一方を記憶する。
図14は、変形例2に係る第2記憶部106が記憶する第2異常情報の一例を示す図である。図14を参照して、第2記憶部106は、たとえば、基本周波数の値を含む第2異常情報の他に、基本回転次数2.3と平均評価値300と検出数60回とを対応付けた第2異常情報を記憶する。
更新処理部108は、推定部107から受けた異常ピークの周波数値および回転次数値に基づいて、第2記憶部106に格納された第2異常情報を更新する。
更新処理部108は、推定部107から受けた異常ピークの周波数値と一致または近似する基本周波数の値が第2記憶部106に格納されているか否かを判断する。更新処理部108は、推定部107から受けた異常ピークの周波数値と一致または近似する基本周波数の値が第2記憶部106に格納されている場合、当該基本周波数の値に対応する平均評価値および検出数を更新する。
更新処理部108は、推定部107から受けた異常ピークの回転次数値と一致または近似する基本回転次数の値が第2記憶部106に格納されているか否かを判断する。具体的には、更新処理部108は、異常ピークの回転次数値との差が所定範囲(第2範囲)内(たとえば基本回転次数の±1%以内)の基本回転次数の値を、当該異常ピークの回転次数値と一致または近似する基本回転次数の値として判断する。所定範囲は、状態監視センサ70の計測誤差等を考慮して予め定められる。更新処理部108は、推定部107から受けた異常ピークの回転次数値と一致または近似する基本回転次数の値が第2記憶部106に格納されている場合、当該基本回転次数の値に対応する平均評価値および検出数を更新する。
更新処理部108は、推定部107から受けた異常ピークの周波数値と一致または近似する基本周波数の値および異常ピークの回転次数値と一致または近似する基本回転次数の値の両方が第2記憶部106に格納されていない場合、新たな第2異常情報を第2記憶部106に登録する。更新処理部108は、推定部107から受けた異常ピークの周波数値を基本周波数の値とする新たな第2異常情報と、異常ピークに対して算出された回転次数値を基本回転次数の値とする新たな第2異常情報とを第2記憶部106に登録する。このとき、更新処理部108は、新たな第2異常情報の検出数を「1」とし、新たな第2異常情報の平均評価値を推定部107から受けた評価値とする。
変形例2によれば、増速機40または増速機40の周囲の外部装置に含まれる回転機構の回転速度が変化する場合であっても、当該回転機構の異常に対応する基本回転次数の値を第1記憶部105に登録することにより、当該回転機構の異常が生じていることを推定できる。
さらに、第1記憶部105に格納された基本回転次数の値とは異なる値に対応する異常ピークの検出数が第2記憶部106に格納される。これにより、ユーザは、予め想定された回転機構とは別の回転機構の異常の発生状況を容易に確認できる。さらに、ユーザは、基本周波数の値を含む第2異常情報を回転機構以外の部位の現象に基づく情報であり、基本回転次数の値を含む第2異常情報を回転機構の異常に基づく情報であると推定できる。つまり、ユーザは、異常ピークの原因が回転機構であるか否かを容易に推定できる。
変形例2と上記の変形例1とを組み合わせてもよい。つまり、更新処理部108は、推定部107から異常ピークの周波数値と回転次数値と評価値とを受けるたびに、当該異常ピークの周波数値と回転次数値と評価値とを対応付けた異常ピーク情報を第2記憶部106に格納する。この場合、更新処理部108は、第2記憶部106に新たな異常ピーク情報を格納するたびに、第2記憶部106に格納された全ての異常ピーク情報に基づいて第2異常情報を更新する。
図15は、異常ピーク情報と、異常ピーク情報から生成される第2異常情報との別の例を示す図である。図15には、周波数が7.5Hzまたはその付近の異常ピークに対応する異常ピーク情報D5のデータ群と、異常ピーク情報D5のデータ群から生成される第2異常情報D6とが示される。さらに図15には、回転次数が2.3またはその付近の異常ピークに対応する異常ピーク情報D7のデータ群と、異常ピーク情報D7のデータ群から生成される第2異常情報D8とが示される。
更新処理部108は、第2記憶部106に格納された複数の異常ピーク情報の中から、周波数値が一致または近似する異常ピーク情報D5のデータ群を抽出する。更新処理部108は、異常ピーク情報D5のデータ群によって示される周波数の代表値(たとえば平均値、先頭の周波数の値、中央値など)を第2異常情報D6の基本周波数の値とする。更新処理部108は、異常ピーク情報D5のデータ群によって示される評価値の平均値を第2異常情報D6の平均評価値とする。更新処理部108は、異常ピーク情報D5の個数を第2異常情報D6の検出数とする。
同様にして、更新処理部108は、第2記憶部106に格納された複数の異常ピーク情報の中から、回転次数値が一致または近似する複数の異常ピーク情報D7のデータ群を抽出する。更新処理部108は、異常ピーク情報D7のデータ群によって示される回転次数の代表値(たとえば平均値、先頭の回転次数の値、中央値など)を第2異常情報D8の基本回転次数の値とする。更新処理部108は、異常ピーク情報D7のデータ群によって示される評価値の平均値を第2異常情報D8の平均評価値とする。更新処理部108は、異常ピーク情報D7の個数を第2異常情報D8の検出数とする。
<変形例3>
第2記憶部106は、平均評価値の他に評価値トレンド(トレンド情報)を含む第2異常情報を記憶してもよい。評価値トレンドとは、異常ピークに対応する評価値の増減の傾向を示す情報である。評価値トレンドは、更新処理部108によって更新される。
更新処理部108は、変形例1と同様に、推定部107から異常ピークの周波数値と評価値とを受けるたびに、当該異常ピークの周波数値と評価値とを対応付けた異常ピーク情報を第2記憶部106に格納する。ただし、更新処理部108は、異常ピークに対応する波形データが計測された計測時刻を異常ピーク情報に含める。
更新処理部108は、変形例1と同様に、周波数値が一致または近似する複数の異常ピーク情報に基づいて第2異常情報を生成する。このとき、更新処理部108は、N個の異常ピーク情報の評価値の移動平均がM回以上連続して増加しているとき、当該異常ピーク情報に対応する第2異常情報の評価値トレンドを「増加傾向」とする。更新処理部108は、N個の異常ピーク情報の評価値の移動平均がM回以上連続して減少しているとき、当該異常ピーク情報に対応する第2異常情報の評価値トレンドを「減少傾向」とする。更新処理部108は、N個の異常ピーク情報の評価値の移動平均がM回以上連続して増加または減少していないとき、当該異常ピーク情報に対応する第2異常情報の評価値トレンドを「横ばい」とする。
第2記憶部106を確認することにより、ユーザは、第1記憶部105に格納された現象情報によって示される現象とは異なる不明な現象の発生状況の傾向を把握することができる。
たとえば、ユーザは、評価値トレンドが「増加傾向」である第2異常情報を、摩耗等の経時的に変化する現象に基づく情報であると推定できる。ユーザは、評価値トレンドが「減少傾向」である第2異常情報を、最近メンテナンスした部位の現象に基づく情報であると推定できる。ユーザは、評価値トレンドが「横ばい」である第2異常情報を、増速機40の周囲の外部装置(たとえば油圧機器向けのモータ)の現象(振動)に基づく情報であると推定できる。
<変形例4>
第2記憶部106は、検出数の他に、単位期間あたりの検出数の増加量を示す検出頻度を含む第2異常情報を記憶してもよい。検出頻度は、更新処理部108によって更新される。
更新処理部108は、変形例1と同様に、推定部107から異常ピークの周波数値と評価値とを受けるたびに、当該異常ピークの周波数値と評価値とを対応付けた異常ピーク情報を第2記憶部106に格納する。ただし、更新処理部108は、異常ピークに対応する波形データが計測された計測時刻を異常ピーク情報に含める。
更新処理部108は、変形例1と同様に、周波数が一致または近似する複数の異常ピーク情報に基づいて第2異常情報を生成する。このとき、更新処理部108は、当該複数の異常ピーク情報の中から、直近の単位期間内の計測時刻を含む異常ピーク情報をカウントする。直近の所定期間とは、たとえば、状態監視センサ70が一定時間Tごとに振動波形データを計測する場合においてT×50である(つまり、状態監視センサ70が50回振動波形データを計測する期間)。更新処理部108は、カウント数が予め設定された基準値(たとえば40回)以上である場合に、第2異常情報の検出頻度を「連続的」とする。更新処理部108は、カウント数が基準値未満である場合に、第2異常情報の検出頻度を「断続的」とする。
第2記憶部106を確認することにより、ユーザは、第1記憶部105に格納された現象情報によって示される現象とは異なる不明な現象の発生頻度を把握することができる。たとえば、ユーザは、検出頻度が「断続的」である第2異常情報を、増速機40の周囲の外部装置の間欠運転に基づく情報であると推定できる。
上記の変形例1〜4は適宜組み合わせることができる。図16は、変形例2〜4を組み合わせたときに生成される第2異常情報の一例を示す図である。図16において、評価値トレンド「−」は、評価値の傾向が横ばいであることを示す。検出頻度「−」は、検出数が少ないために検出頻度を決定できないことを示す。
ユーザは、評価値トレンドと検出頻度とを確認することにより、第2異常情報の基本周波数の異常ピークが増速機40の周囲の外部装置の現象に起因しているか否かを推定することができる。たとえば、ユーザは、評価値トレンドが「横ばい」であり、検出頻度が「断続的」である場合、異常ピークが外部装置の正常な間欠運転に起因したものであると推定することができる。
<変形例5>
更新処理部108は、検出数が直近の所定期間更新されない第2異常情報を第2記憶部106から削除してもよい。直近の所定期間は、たとえば、状態監視センサ70が一定時間Tごとに振動波形データを計測する場合においてT×30である(つまり、状態監視センサ70が30回振動波形データを計測する期間)。
検出数が直近の所定期間更新されない第2異常情報は、ノイズ等によって偶発的に検出された異常ピークに対応する可能性が高い。このような第2異常情報が第2記憶部106から削除されることにより、第2記憶部106に格納される第2異常情報の信頼性を向上させることができる。
<変形例6>
更新処理部108は、図11に示すステップS7において、第2記憶部106が記憶する一部の第2異常情報の基本周波数の値または基本回転次数の値を第1記憶部105に新たに登録してもよい。具体的には、更新処理部108は、第3閾値を超える検出数を含む第2異常情報に対応する異常ピークの原因となる現象を示す原因情報を取得する。更新処理部108は、第3閾値を超える検出数に対応する基本周波数の値および取得した原因情報を新たな基本周波数の値および現象情報として第1記憶部105に登録する。更新処理部108は、第3閾値を超える検出数に対応する基本回転次数の値および取得した原因情報を新たな基本回転次数の値および現象情報として第1記憶部105に登録する。
図17は、変形例6に係るデータ処理装置80の第2記憶部106の更新処理(ステップS7)の流れを示すフローチャートである。図17を参照して、変形例6に係る第2記憶部106の更新処理は、図12に示す更新処理と比較して、ステップS14,S15を備える点でのみ相違する。そのため、ここではステップS11〜S13の説明を省略し、ステップS14,S15について説明する。
ステップS14において、データ処理装置80は、ステップS13で検出数が更新された第2異常情報が移動条件を満たすか否かを判断する。ステップS14の詳細について後述する。後述するように、ステップS14において、データ処理装置80は、第2異常情報が移動条件を満たす場合に、当該第2異常情報に対応する原因情報を取得する。
第2異常情報が移動条件を満たす場合(ステップS14でYES)、データ処理装置80は、ステップS15において、第2異常情報の基本周波数の値または基本回転次数の値を第1記憶部105に移動する。具体的には、データ処理装置80は、第2異常情報の基本周波数の値を第1記憶部105に登録する。もしくは、データ処理装置80は、第2異常情報の基本回転次数の値を第1記憶部105に登録する。このとき、データ処理装置80は、ステップS14で取得した原因情報を新たな現象情報として第1記憶部105に登録する。さらに、データ処理装置80は、ステップS13で更新された第2異常情報を第2記憶部106から削除する。上記のステップS14,S15の処理は、更新処理部108によって実行される。
図18は、図17に示すステップS14の処理の流れの一例を示すフローチャートである。図18には、第2記憶部106が図16に示されるような第2異常情報を記憶する場合の例が示される。すなわち、第2記憶部106は、基本周波数および基本回転次数のいずれかの値と、平均評価値と、評価値トレンドと、検出数と、検出頻度とを対応付けた第2異常情報を記憶している。
まずステップS21において、データ処理装置80は、ステップS13(図17参照)で更新された第2異常情報の検出数が第3閾値以上か否かを判断する。第3閾値は予め設定される。検出数が第3閾値未満である場合(ステップS21でNO)、データ処理装置80は、ステップS32において、第2異常情報が移動条件を満たさないと決定し、処理を終了する。
検出数が第3閾値以上である場合(ステップS21でYES)、データ処理装置80は、ステップS22において、ステップS13で更新された第2異常情報が基本回転次数の値を含むか否かを判断する。第2異常情報が基本回転次数の値を含む場合(ステップS22でYES)、データ処理装置80は、ステップS23において、周波数スペクトルに異常ピークの高調波が存在するか否かを判断する。たとえば、データ処理装置80は、ステップS4(図11参照)で選択した異常ピークに対応する評価値を算出する際に用いた上記の式(4)のpsdex_nを確認する。データ処理装置80は、psdex_n/psdex_nが第4閾値以上である場合に、周波数スペクトルに異常ピークの高調波が存在すると判断する。もしくは、データ処理装置80は、上記の式(4)における複数のpsdex_n(m≧2)を確認してもよい。データ処理装置80は、複数のpsdex_n(m≧2)の2つ以上について、psdex_n/psdex_n(k)が第4閾値以上である場合に、周波数スペクトルに異常ピークの高調波が存在すると判断してもよい。
異常ピークの高調波が存在する場合(ステップS23でYES)、データ処理装置80は、ステップS24において、第2異常情報に対応する異常ピークの原因が「軸アライメントの増大、軸クラック、軸曲がり」であることを示す原因情報を取得する。第2異常情報が基本回転次数の値を含む場合、増速機40に含まれる回転機構の異常に起因して異常ピークが生じている可能性が高い。さらに、異常ピークの高調波が存在する場合、軸アライメントの増大、軸クラック、軸曲がりのいずれかに起因して異常ピークが生じる可能性が高いことが予め実験等で確認されている。そのため、データ処理装置80は、第2異常情報が基本回転次数の値を含み、かつ異常ピークの高調波が存在するケースと、原因情報「軸アライメントの増大、軸クラック、軸曲がり」とを対応付けて予め記憶している。そして、データ処理装置80は、ステップS23でYESの場合、当該原因情報を取得する(ステップS24)。
異常ピークの高調波が存在しない場合(ステップS23でNO)、データ処理装置80は、ステップS25において、第2異常情報に対応する異常ピークの原因が「軸アンバランス、ミスカップリング」であることを示す原因情報を取得する。ミスカップリングとは、軸継手の異常である。回転機構の異常に起因して異常ピークが生じているが、異常ピークの高調波が存在しない場合、軸アンバランス、ミスカップリングのいずれかに起因して異常ピークが生じる可能性が高いことが予め実験等で確認されている。そのため、データ処理装置80は、第2異常情報が基本回転次数の値を含み、かつ異常ピークの高調波が存在しないケースと、原因情報「軸アンバランス、ミスカップリング」とを対応付けて予め記憶している。そして、データ処理装置80は、ステップS23でNOの場合、当該原因情報を取得する(ステップS25)。
第2異常情報が基本回転次数の値を含まず、代わりに基本周波数の値を含む場合(ステップS22でNO)、データ処理装置80は、ステップS26において、第2異常情報の評価値トレンドが「横ばい」であるか否かを判断する。評価値トレンドが「横ばい」ではない場合(ステップS26でNO)、データ処理装置80は、ステップS32において、第2異常情報が移動条件を満たさないと決定し、処理を終了する。評価値トレンドが「横ばい」ではない場合、第2異常情報に対応する異常ピークの原因を特定できないため、データ処理装置80は、第2異常情報が移動条件を満たさないと決定する。
評価値トレンドが「横ばい」である場合(ステップS26でYES)、データ処理装置80は、ステップS27において、第2異常情報の検出頻度が「断続的」か否かを判断する。検出頻度が「断続的」である場合(ステップS27でYES)、データ処理装置80は、ステップS28において、第2異常情報に対応する異常ピークの原因が「外部装置の間欠運転」であることを示す原因情報を取得する。第2異常情報が基本回転次数ではなく基本周波数の値を含む場合、回転機構ではない部位の現象に起因して異常ピークが生じている可能性が高い。さらに、評価値トレンドが「横ばい」であり、検出頻度が「断続的」であるため、外部装置の間欠運転に起因して異常ピークが生じている可能性が高い。そのため、データ処理装置80は、第2異常情報が基本周波数の値を含み、かつ評価値トレンドが「横ばい」であり、かつ検出頻度が「断続的」であるケースと、原因情報「外部装置の間欠運転」とを対応付けて予め記憶している。そして、データ処理装置80は、ステップS27でYESの場合、当該原因情報を取得する(ステップS28)。
検出頻度が「断続的」でない場合(ステップS27でNO)、データ処理装置80は、ステップS29において、検出頻度が「連続的」か否かを判断する。検出頻度が「連続的」である場合(ステップS29でYES)、データ処理装置80は、ステップS30において、第2異常情報に対応する異常ピークの原因が「外部装置の連続運転」であることを示す原因情報を取得する。評価値トレンドが「横ばい」であり、検出頻度が「連続的」であるため、外部装置の連続運転に起因して異常ピークが生じている可能性が高い。そのため、データ処理装置80は、第2異常情報が基本周波数の値を含み、かつ評価値トレンドが「横ばい」であり、かつ検出頻度が「連続的」であるケースと、原因情報「外部装置の連続運転」とを対応付けて予め記憶している。そして、データ処理装置80は、ステップS29でYESの場合、当該原因情報を取得する(ステップS30)。
検出頻度が「連続的」でない場合(ステップS29でNO)、データ処理装置80は、ステップS32において、第2異常情報が移動条件を満たさないと決定し、処理を終了する。検出頻度が「連続的」でも「断続的」でもない場合、第2異常情報に対応する異常ピークの原因を特定できないため、データ処理装置80は、第2異常情報が移動条件を満たさないと決定する。
ステップS24、S25,S28,S30の後、データ処理装置80は、ステップS13で更新された第2異常情報が移動条件を満たすと決定し、ステップS15(図17参照)の処理を行なう。
変形例6によれば、第3閾値を超える検出数に対応する基本周波数または基本回転次数の値を第1記憶部105に登録することができる。これにより、推定部107は、増速機40の経年劣化に伴って生じた新たな現象、増速機40の周囲に新たな設置された装置の現象などの発生の有無を推定することができる。
更新処理部108は、第2異常情報の基本周波数または基本回転次数の値を第1記憶部105に移動する際(ステップS15)、第1記憶部105に新たに登録する情報(基本周波数または基本回転次数の値と現象情報)をユーザ(作業者、管理者など)に通知する通知処理を実行してもよい。通知処理の方法としては、たとえば、アラーム等の表示、ログの記録、メール等による通信が挙げられる。これにより、ユーザは、第1記憶部105に新たに登録される情報を予め把握することができる。
さらに、更新処理部108は、上記の通知処理の後にユーザから承認指示を受けた場合に、第2異常情報の基本周波数または基本回転次数の値を第1記憶部105に移動する処理(ステップS15)を実行してもよい。これにより、ユーザは、第1記憶部105に不適切な情報が登録されることを避けることができる。
原因情報の取得方法は、図18に示すアルゴリズムに限定されるものではなく、対象物によって適宜設定される。あるいは、データ処理装置80は、ユーザ入力に従って原因情報を取得してもよい。この場合、ユーザは、第2記憶部106に格納された第2異常情報の基本周波数または基本回転次数の値に基づいた調査または実験等を行なうことにより原因を探索する。ユーザは、探索した原因を示す原因情報をデータ処理装置80に入力する。
<変形例7>
上記の説明では、検出部103は、第1条件を満たすピークごとに、基本波と高調波とが発生する第1異常モデルに従った異常マップを生成し、生成した異常マップを用いて評価値を算出した。そして、検出部103は、算出した評価値が第2閾値以上であるピークを異常ピークとして検出した。
しかしながら、検出部103は、第1条件を満たすピークごとに、複数の異常モデルに従って複数の異常マップを生成してもよい。この場合、検出部103は、複数の異常マップの各々について評価値を算出し、算出した評価値が第2閾値以上であるピークを異常ピークとして検出する。ただし、検出部103は、検出した異常ピークについて、第2閾値以上となる評価値を算出する際に用いた異常マップに対応する異常モデルを識別するモデル情報を特定する。検出部103は、異常ピークの周波数と特定したモデル情報と評価値とを推定部107に出力する。
増速機40および増速機40の周囲の外部装置のいずれかの現象に応じて、周波数スペクトルにピークが現れる。周波数スペクトルにおけるピークの現れ方は、現象の内容によって異なる。
たとえば、増速機40に含まれる軸受の固定輪である外輪に損傷が発生した場合には、上述したように、基本波と高調波とが発生する(第1異常モデル)。これに対し、増速機40に含まれる軸受の回転輪である内輪に損傷が発生した場合、当該損傷に応じた基本波およびその高調波に加えて、基本波および高調波の各々のサイドバンド波が発生する。以下では、基本波と、高調波と、基本波および高調波の各々のサイドバンド波とが発生する異常モデルを「第2異常モデル」という。
変形例7に係る検出部103は、たとえば、第1条件を満たすピークごとに、第1異常モデルに応じた第1異常マップの他に、第2異常モデルに応じた第2異常マップを生成する。検出部103は、対象ピークの周波数fを基本周波数として、当該基本周波数と、当該基本周波数を有する基本波の高調波の周波数と、基本波のサイドバンド波の周波数と、高調波のサイドバンド波の周波数とを異常成分として含む第2異常マップを生成する。基本周波数とサイドバンド波の周波数との差は、予め定められる。検出部103は、周波数がfである対象ピークに対して、以下の式(5)に示されるような第2異常マップM_n(2)を生成する。
M_n(2)=[・・0010010010010010・・・01001・・・] 式(5)
第2異常マップM_n(2)において、異常成分である周波数に対応する値が1に設定され、異常成分ではない周波数に対応する値が0に設定される。
検出部103は、第1異常マップを用いて評価値を算出するとともに、第2異常マップを用いて評価値を算出する。
図19は、第1条件を満たすピークと、第2異常マップと、抽出されたピークとの関係を示す図である。図19を参照して、周波数fのピークに対して生成された第2異常マップM_n(2)を用いて、検出部103は、周波数fex_n,fex_n,・・・の複数のピークを抽出する。なお、周波数fex_nは、周波数fと一致する。抽出された複数のピークのPSDの値は、それぞれpsdex_n,psdex_n,・・・である。検出部103は、上記の式(4)に従って、抽出されたピークのPSDの総和を評価値として算出する。
検出部103は、第1異常マップを用いて算出した評価値が第2閾値以上である場合、異常ピークの周波数値とモデル情報「1」と評価値とを推定部107に出力する。検出部103は、第2異常マップを用いて算出した評価値が第2閾値以上である場合、異常ピークの周波数値とモデル情報「2」と評価値とを推定部107に出力する。
図20は、変形例7に係る第1記憶部105が記憶する第1異常情報の一例を示す図である。図20を参照して、変形例7に係る第1記憶部105は、増速機40または増速機40の周囲の外部装置の現象ごとに、現象情報と、当該現象に起因して生じるピークの現れ方を示すモデル情報と、基本周波数の値と、第2閾値とを対応付けた第1異常情報を記憶する。
推定部107は、検出部103から受けた周波数値と一致または近似する基本周波数の値および検出部103から受けたモデル情報に対応する現象情報を特定する。推定部107は、特定した現象情報によって識別される現象が生じていると推定する。
推定部107は、検出部103から受けた周波数値およびモデル情報に対応する現象情報を特定できない場合、異常ピークの周波数値とモデル情報と評価値とを更新処理部108に出力する。
図21は、変形例7に係る第2記憶部106が記憶する第2異常情報の一例を示す図である。図21を参照して、変形例7に係る第2記憶部106は、基本周波数の値と、モデル情報と、平均評価値と、検出数とを対応付けた第2異常情報を記憶する。
更新処理部108は、推定部107から受けた異常ピークの周波数値と一致または近似する基本周波数の値と推定部107から受けたモデル情報とを有する第2異常情報が第2記憶部106に格納されているか否かを判断する。推定部107から受けた異常ピークの周波数値およびモデル情報に対応する第2異常情報が第2記憶部106に格納されている場合、更新処理部108は、当該第2異常情報の平均評価値および検出数を更新する。推定部107から受けた異常ピークの周波数値およびモデル情報に対応する第2異常情報が第2記憶部106に格納されていない場合、更新処理部108は、異常ピークの周波数値およびモデル情報を含む新たな第2異常情報を第2記憶部106に登録する。
変形例7に係るデータ処理装置80は、モデル情報を用いることにより、増速機40および増速機40の周囲の外部装置に生じている現象の発生状況をより精度良く管理することができる。
<変形例8>
一般に、異常の程度が大きいほど、周波数スペクトルに現れる高調波の数が増える。ただし、次数が高くなるほど、高調波のPSDが小さくなる。そのため、高次の高調波が過小に評価されないように、次数に応じて高調波のPSDに重み付けしてもよい。
たとえば、検出部103は、第1異常マップまたは第2異常マップを生成する際に、各異常成分に対して重み付け係数を設定してもよい。具体的には、検出部103は、高調波の周波数である異常成分に対して、次数が高くなるほど大きい重み付け係数を設定した第1異常マップまたは第2異常マップを生成し、生成した第1異常マップまたは第2異常マップを用いて評価値を算出してもよい。
<変形例9>
上記の説明では、状態監視センサ70は、振動波形データを計測するものとした。しかしながら、状態監視センサ70は、AE(Acoustic Emission)センサであり、超音波領域の波形データを計測してもよい。もしくは、状態監視センサ70は、超音波領域以外の音の波形データを計測してもよい。その他、状態監視センサ70は、軸回転速度、負荷トルク、モータ電力等の波形データを計測するセンサであってもよい。これらの波形データも増速機40または増速機40の周囲の外部装置の現象に応じて変化する。そのため、当該波形データに基づいて、増速機40または増速機40の周囲の外部装置の現象の発生状況を管理することができる。
<変形例10>
上記の説明では、データ処理装置80が風力発電装置10の内部に設置されるものとした。しかしながら、データ処理装置80は、風力発電装置10の外部に設置され、有線または無線通信システムによって、状態監視センサ70が計測した振動波形データを受信し、上記のデータ処理を実行してもよい。
<変形例11>
データベース104は、データ処理装置80の内部ではなく、データ処理装置80の外部に設置され、データ処理装置80と有線または無線通信システムによって通信可能であってもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 風力発電装置、20 主軸、25 ハブ、30 ブレード、40 増速機、50 発電機、60 主軸用軸受、70 状態監視センサ、80 データ処理装置、90 ナセル、100 タワー、101 フィルタ部、102 周波数解析部、103 検出部、104 データベース、105 第1記憶部、106 第2記憶部、107 推定部、108 更新処理部、109 出力処理部。

Claims (9)

  1. 対象物の状態を監視する状態監視装置であって、
    前記対象物に設置されたセンサによって計測された波形データを周波数解析することにより周波数スペクトルを生成する周波数解析部と、
    前記周波数スペクトルから、前記対象物および前記対象物の周囲の外部装置のいずれかの現象に起因した基本波のピークを検出し、前記ピークの周波数の値または当該周波数から算出される値である検出値を取得する検出部と、
    前記対象物および前記外部装置のいずれかの現象ごとに、当該現象を識別する現象情報と、当該現象に起因して生じる基本波の周波数の値または当該周波数から算出される値である第1値とを対応付けて記憶する第1記憶部から、前記検出値との差が第1範囲内である前記第1値に対応する前記現象情報を特定し、特定した前記現象情報で識別される現象が生じていることを示す推定結果を出力する推定部と、
    前記第1値とは異なる第2値と、当該第2値の前記ピークの検出数とを対応付けて記憶するための第2記憶部の更新を行なう更新処理部とを備え、
    前記更新処理部は、前記検出値と前記第1値との差が前記第1範囲を超える場合、前記検出値と前記第2値との差が第2範囲内であるときに、前記第2値に対応する前記検出数を更新し、前記検出値と前記第2値との差が前記第2範囲を超えるときに、前記検出値を新たな第2値として前記第2記憶部に登録する、状態監視装置。
  2. 前記第2記憶部は、前記第2値と対応付けて、単位期間あたりの前記検出数の増加量を示す検出頻度をさらに記憶し、
    前記更新処理部は、直近の前記単位期間あたりの前記検出数の増加量に応じて前記検出頻度を更新する、請求項1に記載の状態監視装置。
  3. 前記検出部は、前記ピークのスペクトル密度に基づいて、前記ピークの原因となる現象の発生度を示す評価値を算出し、
    前記第2記憶部は、前記第2値と対応付けて、前記評価値の増減の傾向を示すトレンド情報をさらに記憶し、
    前記更新処理部は、前記ピークに対して算出された前記評価値に基づいて前記トレンド情報を更新する、請求項1に記載の状態監視装置。
  4. 前記対象物は回転機構を含み、
    前記検出値と前記第1値と前記第2値との各々は、周波数と前記回転機構の回転速度との比の値である、請求項1から3のいずれか1項に記載の状態監視装置。
  5. 前記更新処理部は、前記検出数が所定期間更新されない場合に、当該検出数に対応する前記第2値を前記第2記憶部から削除する、請求項1に記載の状態監視装置。
  6. 前記更新処理部は、閾値を超えた前記検出数に対応する前記第2値および当該第2値の前記ピークの原因を示す原因情報を新たな第1値および現象情報として前記第1記憶部に登録する登録処理を実行する、請求項1に記載の状態監視装置。
  7. 前記更新処理部は、前記新たな第1値および現象情報を通知する通知処理を実行する、請求項6に記載の状態監視装置。
  8. 前記更新処理部は、前記通知処理の後に承認指示を受けた場合に、前記登録処理を実行する、請求項7に記載の状態監視装置。
  9. 対象物の状態を監視する状態監視方法であって、
    前記対象物に設置されたセンサによって計測された波形データを周波数解析することにより周波数スペクトルを生成するステップと、
    前記周波数スペクトルから、前記対象物および前記対象物の周囲の外部装置のいずれかの現象に起因した基本波のピークを検出し、前記ピークの周波数の値または当該周波数から算出される値である検出値を取得するステップと、
    前記対象物および前記外部装置のいずれかの現象ごとに、当該現象を識別する現象情報と、当該現象に起因して生じる基本波の周波数の値または当該周波数から算出される値である第1値とを対応付けて記憶する第1記憶部から、前記検出値との差が第1範囲内である前記第1値に対応する前記現象情報を特定し、特定した前記現象情報で識別される現象が生じていることを示す推定結果を出力するステップと、
    前記第1値とは異なる第2値と、当該第2値の前記ピークの検出数とを対応付けて記憶するための第2記憶部の更新を行なうステップとを備え、
    前記更新を行なうステップにおいて、前記検出値と前記第1値との差が前記第1範囲を超える場合、前記検出値と前記第2値との差が第2範囲内であるときに、前記第2値に対応する前記検出数を更新し、前記検出値と前記第2値との差が前記第2範囲を超えるときに、前記検出値を新たな第2値として前記第2記憶部に登録する、状態監視方法。
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