JP6868181B2 - 粉体塗料 - Google Patents
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Description
(a)メソペンタッド分率[mmmm]が40〜50モル%
(b)ラセミペンタッド分率[rrrr]と[1−mmmm]が次の関係式を満たし、
[rrrr]/[1−mmmm]≦0.05
(c)ラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]が2.5モル%以上
(d)メソトリアッド分率[mm]、ラセミトリアッド分率[rr]及びトリアッド分率[mr]が次の関係式を満たし、
mm×rr/(mr)2≦2.0
(e)ゲルパーミュエイションクロマトグラフ(GPC)法により測定した分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下
(f)GPC法により測定した重量平均分子量(Mw)が50,000〜200,000
(g)テトラリン溶媒中、135℃にて測定した極限粘度[η]が0.5〜1.5デシリットル/g
(h)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気220℃で3分間保持し、25℃に急速に冷却し50分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最高ピークのピークトップ〔融点(Tm)〕が65〜85℃
(1)有機酸:不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体(1−1)、及び下記一般式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種以上の化合物を20質量%以上含む(メタ)アクリル酸化合物(1−2)の混合物で、(1−1)と(1−2)の質量比が1:20〜20:1
CH2=CR1COOR2 ・・・(I)
〔式(I)中、R1はH又はCH3、R2はCnH2n+1、nは8〜18の整数を示す。)
(2)改質処理条件:加熱溶融した上記プロピレン単独重合体にラジカル開始剤と上記有機酸を添加して、100〜250℃でグラフト改質する」が開示されている。
B)少なくとも1個の遊離イソシアネート基を有する少なくとも1種の架橋剤と、
C)少なくとも1種の触媒成分とを含み、前記触媒成分が
C1)前記成分A)の官能基と前記成分B)のイソシアネート基との硬化反応用の少なくとも1種の触媒であって、有機金属化合物である前記触媒と、
C2)DSC(示差走査熱量測定法)により加熱速度10K/分で測定した際のガラス転移温度Tgが20℃以上の、少なくとも1種の低重合体又は高重合体のバインダー化合物とを含む、二成分系塗料組成物であって、前記少なくとも1種のバインダー化合物C2)のガラス転移温度Tgが、前記二成分系塗料組成物の塗工温度よりも高い、二成分系塗料組成物。」が開示されている。
A)少なくとも1種のエポキシ樹脂、
B)成分A)との非触媒反応でDSCにおいて、150℃超の温度で発熱性反応ピークの最大値を有する、少なくとも1種の潜在的な硬化剤、
C)以下のC1)〜C3):
C1)少なくとも1種のNCO含有成分、及び
C2)N、S、及び/又はPを含有する1種又は複数種の複素環、及び
C3)1種又は複数種のポリアミン及び/又はポリオール
から得られる反応生成物を含有する少なくとも1種の促進剤
を含む、反応性組成物。」が開示されている。
熱硬化性樹脂及び熱硬化剤を含む粉体粒子を含有し、
示差走査熱量測定における、10℃/minにて前記熱硬化性樹脂の硬化が開始する温度THよりも10℃低い温度まで昇温した際のガラス転移温度Tg1と、
Tg1の測定後に、10℃/minにて0℃まで冷却後、10℃/minにて前記THよりも10℃高い温度まで昇温し、30分間保持した際のガラス転移温度Tg2と、
Tg2の測定後に、10℃/minにて0℃まで冷却後、10℃/minにて175℃まで昇温した際のガラス転移温度Tg3と、が下記式1及び式2を満たす
粉体塗料。
式1:Tg1≧40℃
式2:Tg3−Tg2>10℃
前記熱硬化性樹脂が、水酸基価が20mgKOH/g以上80mgKOH/g以下のポリエステル樹脂を含み、前記熱硬化剤が、活性エステル化合物、ピラゾール化合物、及び、オキシム化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物をブロック化剤としてブロック化されたポリブロックイソシアネート化合物を含む、請求項1に記載の粉体塗料。
前記粉体粒子が、表面から300nm以内の領域に、融解温度が前記THよりも10℃以上低い結晶性物質を含む、請求項1又は請求項2に記載の粉体塗料。
前記粉体粒子の、表面から300nm以内の領域に含まれる前記結晶性物質の量が、表面から300nm以内の領域以外の領域に含まれる融解温度がTHよりも10℃以上低い結晶性物質の量よりも多い、請求項3に記載の粉体塗料。
前記粉体粒子の、表面から300nm以内の領域のガラス転移温度Tgsが、表面から300nm以内の領域以外の領域のガラス転移温度Tgcよりも高い、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の粉体塗料。
前記粉体粒子の、表面から300nm以内の領域に含まれる前記熱硬化性樹脂のガラス転移温度が、表面から300nm以内の領域以外の領域に含まれる前記熱硬化性樹脂のガラス転移温度よりも高い、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の粉体塗料。
本実施形態に係る粉体塗料は、熱硬化性樹脂及び熱硬化剤を含む粉体粒子を含有し、
示差走査熱量測定における、10℃/minにて樹脂の硬化が開始する温度THよりも10℃低い温度まで昇温した際のガラス転移温度Tg1と、Tg1の測定後に、10℃/minにて0℃まで冷却後、10℃/minにて前記THよりも10℃高い温度まで昇温し、30分間保持した際のガラス転移温度Tg2と、Tg2の測定後に、10℃/minにて0℃まで冷却後、10℃/minにて175℃まで昇温した際のガラス転移温度Tg3と、が下記式1及び式2を満たす。
式1:Tg1≧40℃
式2:Tg3−Tg2>10℃
また、Tg3−Tg2が10℃を超える(Tg3−Tg2>10℃)場合には、架橋構造が形成されることにより、低温焼き付けにより得られる塗装膜の耐溶剤性(以下、単に「耐溶剤性」ともいう)に優れる。
Tg1は、示差走査熱量測定(DSC)により測定される、10℃/minにて樹脂の硬化が開始する温度THよりも10℃低い温度まで昇温した際の粉体塗料のガラス転移温度である。
前記示差走査熱量測定の開始温度は、25℃とする。
粉体塗料の硬化が開始する温度およびガラス転移温度は、示差走査熱量測定により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはTgはJIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められ、硬化が開始する温度は、粉体塗料の温度に対する吸発熱データの25℃以降に現れる初めの吸熱ピークの後に現れる発熱ピーク温度と定義する。
本実施形態に係る粉体塗料のTHは75℃以上であることが好ましく、80℃以上であることが、塗膜形成時の耐溶剤安定性の点から好ましい。
本実施形態に係る粉体塗料のTg1はTH測定で用いたものとは別に測定するものであり、40℃以上であり(Tg1≧40℃)、保存安定性の点から、45℃を超える(Tg1>45℃)ことが好ましく、50℃(Tg1>50℃)を超えることがより好ましい。
Tg1の上限は特に限定されないが、低温により定着される観点から、70℃以下であることが好ましい。
Tg1が40℃以上である粉体塗料は、後述のアニール工程により、容易に得られる。
Tg2は、Tg1の測定後に、10℃/minにて0℃まで冷却後、10℃/minにて前記THよりも10℃高い温度まで昇温し、30分間保持した際の、Tg1を測定した粉体塗料におけるガラス転移温度である。
Tg2は、硬化反応の速さの観点から、30℃以上55℃以下であることが好ましい。
Tg2は、低温での塗膜形成の観点から、Tg1よりも小さい(Tg1>Tg2)ことが好ましい。Tg1とTg2の差(Tg1−Tg2)は、5℃以上20℃以下であることが好ましい。
Tg3は、Tg2の測定後に、10℃/minにて0℃まで冷却後、10℃/minにて175℃まで昇温した際の、Tg2を測定した粉体塗料におけるガラス転移温度である。
Tg3は、樹脂と硬化剤が反応、樹脂の水酸基と例えば硬化剤のイソシアネート基が反応した状態でのガラス転移温度であると考えられる。
Tg3は、耐溶剤性の観点から、45℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましい。
Tg3とTg2の差(Tg3−Tg2)は、10℃を超え(Tg3−Tg2>10℃)、耐溶剤性の観点から、12℃以上であることが好ましく、15℃以上であることがより好ましい。
本実施形態に係る粉体塗料は、粉体粒子を含有する。
粉体粒子は、熱硬化性樹脂及び熱硬化剤を含有することが好ましい。
熱硬化性樹脂は、熱硬化反応性基を有する樹脂である。熱硬化性樹脂としては、従来、粉体塗料の粉体粒子に使用される様々な種類の樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂は、非水溶性(疎水性)の樹脂であることがよい。熱硬化性樹脂として非水溶性(疎水性)の樹脂を適用すると、粉体塗料(粉体粒子)の帯電特性の環境依存性が低減される。また、粉体粒子を凝集合一法で作製する場合、水性媒体中で乳化分散を実現する点からも、熱硬化性樹脂は、非水溶性(疎水性)の樹脂であることがよい。なお、非水溶性(疎水性)とは、25℃の水100質量部に対する対象物質の溶解量が5質量部未満であることを意味する。
耐溶剤性の観点から、熱硬化性樹脂は、水酸基価20mgKOH/g以上80mgKOH/g以下のポリエステル樹脂を含むことが好ましい。
熱硬化性(メタ)アクリル樹脂は、熱硬化反応性基を有する(メタ)アクリル樹脂である。熱硬化性(メタ)アクリル樹脂への熱硬化反応性基の導入は、熱硬化反応性基を有するビニル単量体を用いることがよい。熱硬化反応性基を有するビニル単量体は、(メタ)アクリル単量体((メタ)アクリロイル基を有する単量体)であってもよいし、(メタ)アクリル単量体以外のビニル単量体であってもよい。
他のビニル単量体としては、各種のα−オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、ブテン−1等)、フルオロオレフィンを除く各種のハロゲン化オレフィン(例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、各種の芳香族ビニル単量体(例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等)、各種の不飽和ジカルボン酸と炭素数1以上18以下の1価アルコールとのジエステル(例えばフマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル、イタコン酸ジオクチル等)、各種の酸無水基含有単量体(例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水(メタ)アクリル酸、無水テトラヒドロフタル酸等)、各種の燐酸ステル基含有単量体(例えばジエチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジブチル−2−(メタ)アクリロイルオキシブチルフォスフェート、ジオクチル−2−(メアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジフェニル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート等)、各種の加水分解性シリル基含有単量体(例えばγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等)、各種の脂肪族カルボン酸ビニル(例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、炭素原子数9以上11以下の分岐状脂肪族カルボン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等)、環状構造を有するカルボン酸の各種のビニルエステル(例えばシクロヘキサンカルボン酸ビニル、メチルシクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル、p−tert−ブチル安息香酸ビニル等)などが挙げられる。
硬化性反応性基を有さないアクリル単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルオクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等)、各種の(メタ)アクリル酸アリールエステル(例えば(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等)、各種のアルキルカルビトール(メタ)アクリレート(例えばエチルカルビトール(メタ)アクリレート等)、他の各種の(メタ)アクリル酸エステル(例えばイソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等)、各種のアミノ基含有アミド系不飽和単量体(例えばN−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等)、各種のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等)、各種のアミノ基含有単量体(例えばtert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、ピロリジニルエチル(メタ)アクリレート、ピペリジニルエチル(メタ)アクリレート等)。
数平均分子量を上記範囲内にすると、塗装膜の平滑性及び機械的物性が向上しやすくなる。
熱硬化性ポリエステル樹脂は、例えば、多塩基酸と多価アルコールとを少なくとも重縮合した重縮合体である。熱硬化性ポリエステル樹脂の硬化反応性基の導入は、多塩基酸と多価アルコールとの使用量を調整することにより行う。この調整により、硬化反応性基として、カルボキシル基、及び水酸基の少なくとも一方を有する熱硬化性ポリエステル樹脂が得られる。
他の単量体としては、例えば、一分子中にカルボキシル基と水酸基とを併せ有する化合物(例えばジメタノールプロピオン酸、ヒドロキシピバレート等)、モノエポキシ化合物(例えば「カージュラE10(シェル社製)」等の分岐脂肪族カルボン酸のグリシジルエステル)など)、種々の1価アルコール(例えばメタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール等)、種々の1価の塩基酸(例えば安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸等)、種々の脂肪酸(例えばひまし油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸の等)等が挙げられる。
酸価と水酸基価との合計を上記範囲内にすると、塗装膜の平滑性及び機械的物性が向上しやすくなる。数平均分子量を上記範囲内にすると、塗装膜の平滑性及び機械的物性が向上すると共に、粉体塗料の貯蔵安定性も向上しやすくなる。
また、熱硬化性ポリエステル樹脂は、耐溶剤性の観点から、水酸基価が20mgKOH/g以上80mgKOH/g以下であることが好ましく、22mgKOH/g以上78mgKOH/g以下がより好ましく、25mgKOH/g以上75mgKOH/g以下が更に好ましい。
上記態様の粉体粒子は、後述するコア/シェル構造とし、シェル層(樹脂被覆部)に含まれる熱硬化性樹脂のガラス転移温度とコア層(芯部)に含まれる熱硬化性樹脂のガラス転移温度とを調整することにより、容易に製造される。
(表面から300nm以内の領域に含まれる熱硬化性樹脂のガラス転移温度)−(表面から300nm以内の領域以外の領域に含まれる熱硬化性樹脂のガラス転移温度)の値は、3℃以上であることが好ましく、5℃以上であることがより好ましい。
熱硬化剤は、熱硬化性樹脂の硬化反応性基の種類に応じて選択する。
具体的には、熱硬化性樹脂の硬化反応性基がエポキシ基の場合、熱硬化剤としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の酸;これら酸の無水物;これらの酸のウレタン変性物などが挙げられる。これらの中でも、熱硬化剤としては、塗装膜物性、及び貯蔵安定性の点から、脂肪族二塩基酸が好ましく、塗装膜物性の点から、ドデカン二酸が特に好ましい。
活性エステル化合物としては、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等が挙げられる。
ピラゾール化合物としては、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチルピラゾール、4−ブロモー3,5−ジメチルピラゾール、4−ニトロー3,5−ジメチルピラゾール等が挙げられる。
オキシム化合物としては、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム等が挙げられる。
なお、樹脂被覆部の樹脂として、熱硬化性樹脂を適用する場合、熱硬化剤の含有量は、芯部及び樹脂被覆部の全熱硬化性樹脂に対する含有量を意味する。
本実施形態に係る粉体粒子は、着色剤を含有することが好ましい。
着色剤としては、例えば、顔料が挙げられる。着色剤は、顔料と共に染料を併用してもよい。
顔料としては、例えば、酸化鉄(例えばベンガラ等)、酸化チタン、チタン黄、亜鉛華、鉛白、硫化亜鉛、リトポン、酸化アンチモン、コバルトブルー、カーボンブラック等の無機顔料;キナクリドンレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、パーマネントレッド、ハンザイエロー、インダンスレンブルー、ブリリアントファーストスカーレット、ベンツイミダゾロンイエロー等の有機顔料などが挙げられる。
顔料としては、その他、光輝性顔料も挙げられる。光輝性顔料としては、例えば、パール顔料、アルミニウム粉、ステンレス鋼粉等の金属粉;金属フレーク;ガラスビーズ;ガラスフレーク;雲母;リン片状酸化鉄(MIO)等が挙げられる。
本実施形態に係る粉体粒子は、融解温度(Tm)が前記THよりも10℃以上低い(TH−Tm≧10℃)結晶性物質(以下、「単に結晶性物質」とも称する。)を含むことが好ましい。
融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K 7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
結晶性物質としては、ワックスが挙げられる。
結晶性物質の結晶性とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10(℃/min)で測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以内であることを指す。
ワックスとしては、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。
これらの中でも、熱硬化性樹脂との相溶性の点から、炭化水素系ワックスが好ましい。
結晶性物質の融解温度は、40℃以上TH−10℃以下であることが好ましく、50℃以上TH−10℃以下がより好ましい。
前記(TH−Tm)は10℃以上であり、12℃以上であることが好ましく、15℃以上であることがより好ましい。
前記(TH−Tm)の上限は特に限定されないが、35℃以下であることが好ましい。
表面から300nm以内の領域に結晶性物質を含む粉体粒子は、後述するコア/シェル構造とし、シェル層(樹脂被覆部)に結晶性物質を含有することにより容易に製造することが可能である。
表面から300nm以内の領域に含まれる、融解温度が前記THよりも10℃以上低い結晶性物質の量は、粒子全体に対して1質量部以上15質量部以下が好ましく、2質量部以上12質量部以下がより好ましい。
表面から300nm以内の領域に結晶性物質を含むことの確認、及び、上記結晶性物質の量の測定は、 XPSによる元素分析を行い、出力に対して検出される炭素量の変化を測定することにより行われる。
より具体的には、高温高湿環境下における保存安定性、及び、低温焼付けの観点から、(表面から300nm以内の領域に含む前記結晶性物質の量)−(表面から300nm以内の領域以外の領域に含む前記結晶性物質の量)が1質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る粉体粒子は、その他添加材を含有してもよい。
その他添加剤としては、粉体塗料に使用される各種の添加剤が挙げられる。具体的には、その他添加剤としては、例えば、表面調整剤(シリコーンオイル、アクリルオリゴマー等)、発泡(ワキ)防止剤(例えば、ベンゾイン、ベンゾイン誘導体等)、硬化促進剤(アミン化合物、イミダゾール化合物、カチオン重合触媒等)、可塑剤、帯電制御剤、酸化防止剤、顔料分散剤、難燃剤、流動付与剤等が挙げられる。
粉体粒子の体積粒度分布指標GSDvは、1.50以下であることが好ましく、塗装膜の平滑性、及び粉体塗料の保管性の点で、1.40以下がより好ましく、1.30以下が更に好ましい。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50,000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積84%となる粒径を体積粒径D84vと定義する。
そして、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2として算出される。
本実施形態において、粉体粒子は、熱硬化性樹脂及び熱硬化剤を含有する芯部と、該芯部の表面を被覆する樹脂被覆部と、を有するコア/シェル型粒子であってもよい。
この際、芯部は、熱硬化性樹脂及び熱硬化剤の他、必要に応じて、前述した、着色剤等のその他の添加剤を含有してもよい。
樹脂被覆部は、樹脂のみで構成されていてもよいし、他の成分(芯部を構成する成分として説明した熱硬化剤、結晶性物質、その他の添加剤等)を含んでいてもよい。
但し、ブリードを低減させる点から、樹脂被覆部は、樹脂のみで構成されていることがよい。なお、樹脂被覆部が、樹脂以外の他の成分を含む場合でも、樹脂は樹脂被覆部全体の90質量%以上(好ましくは95質量%以上)を占めることがよい。
樹脂被覆部の樹脂として、熱硬化性樹脂を適用する場合、この熱硬化性樹脂としては、芯部の熱硬化性樹脂と同様なものが挙げられ、好ましい例も同様である。但し、樹脂被覆部の熱硬化性樹脂は、芯部の熱硬化性樹脂と同じ種類の樹脂であってもよいし、異なる樹脂であってもよい。
なお、樹脂被覆部の樹脂として、非硬化性樹脂を適用する場合、非硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、及びポリエステル樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種が好適に挙げられる。
樹脂被覆部の被覆率は、粉体粒子表面の樹脂被覆部の被覆率はXPS(X線光電子分光)測定により求められた値である。
具体的には、XPS測定は、測定装置として日本電子社製、JPS−9000MXを使用し、X線源としてMgKα線を用い、加速電圧を10kV、エミッション電流を30mAに設定して実施する。
上記条件で得られたスペクトルから、粉体粒子表面の芯部の材料に起因する成分と被覆樹脂部の材料に起因する成分をピーク分離することによって、粉体粒子表面の樹脂被覆部の被覆率を定量する。ピーク分離は、測定されたスペクトルを、最小二乗法によるカーブフィッティングを用いて各成分に分離する。
分離のベースとなる成分スペクトルは、粉体粒子の作製に用いた熱硬化性樹脂、硬化剤、顔料、添加剤、被覆用樹脂を単独に測定して得られたスペクトルを用いる。そして、粉体粒子で得られた全スペクトル強度の総和に対しての被覆用樹脂に起因するスペクトル強度の比率から、被覆率を求める。
樹脂被覆部の厚さは、次の方法により測定された値である。粉体粒子をエポキシ樹脂などに包埋し、ダイヤモンドナイフなどで切削することで薄切片を作製する。この薄切片を透過型電子顕微鏡(TEM)などで観察、複数の粉体粒子の断面画像を撮影する。粉体粒子の断面画像から樹脂被覆部の厚みを20か所測定して、その平均値を採用する。クリア粉体塗料などで断面画像において樹脂被覆部の観察が難しい場合は、染色を行って観察することで、測定を容易にすることもできる。
外部添加剤は粉体粒子間の凝集の発生を抑制することで少量で平滑性の高い塗装膜を形成することができる。外部添加剤の具体例としては、例えば、無機粒子が挙げられる。無機粒子として、SiO2、TiO2、Al2O3、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe2O3、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2)n、Al2O3・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4等の粒子が挙げられる。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部である。
次に、本実施形態に係る粉体塗料の製造方法について説明する。
本実施形態に係る粉体塗料は、粉体粒子を製造後、必要に応じて、粉体粒子に対して、外部添加剤を外添することで得られる。
熱硬化性樹脂を含む第1樹脂粒子、及び熱硬化剤が分散された分散液中で、前記第1樹脂粒子と前記熱硬化剤とを凝集して、又は、熱硬化性樹脂及び熱硬化剤を含む複合粒子が分散された分散液中で、前記複合粒子を凝集して、第1凝集粒子を形成する工程と、
前記第1凝集粒子が分散された第1凝集粒子分散液と、樹脂を含む第2樹脂粒子が分散された第2樹脂粒子分散液とを混合し、前記第1凝集粒子の表面に前記第2樹脂粒子を凝集し、前記第2樹脂粒子が前記第1凝集粒子の表面に付着した第2凝集粒子を形成する工程と、
前記第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱し、前記第2凝集粒子を融合及び合一する工程と、
を経て、粉体粒子を製造することが好ましい。
なお、この凝集合一法により製造された粉体粒子は、第1凝集粒子が融合合一した部分が芯部となり、第1凝集粒子の表面に付着した第2樹脂粒子が融合合一した部分が樹脂被覆部となる。
なお、以下の説明では、着色剤を含む粉体粒子の製造方法について説明するが、着色剤は必要に応じて含有するものである。
まず、凝集合一法で使用する各分散液を準備する。具体的には、芯部の熱硬化性樹脂を含む第1樹脂粒子が分散された第1樹脂粒子分散液、熱硬化剤が分散された熱硬化剤分散液、着色剤が分散された着色剤分散液、樹脂被覆部の樹脂を含む第2樹脂粒子が分散された第2樹脂粒子分散液を準備する。
また、第1樹脂粒子分散液及び熱硬化剤が分散された熱硬化剤分散液に代えて、芯部の熱硬化性樹脂及び熱硬化剤を含む複合粒子が分散された複合粒子分散液を準備する。
なお、各分散液準備工程において、第1樹脂粒子、第2樹脂粒子、複合粒子を「樹脂粒子」と称し説明する。
水性媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水;アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水性媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を水性媒体中に粒子状に分散する方法である。
また、ポリエステル樹脂粒子分散液の場合、原料単量体を加熱溶融及び減圧下重縮合を行った後、得られた重縮合体を溶剤(例えば酢酸エチル等)を加え溶解し、さらに、得られた溶解物に弱アルカリ性水溶液を加えながら撹拌、及び転相乳化することによって、ポリエステル樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散を得る。
なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA−700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
次に、第1樹脂粒子分散液と、熱硬化剤分散液と、着色剤分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、第1樹脂粒子と熱硬化剤と着色剤とをヘテロ凝集させ目的とする粉体粒子の径に近い径を持つ、第1樹脂粒子と熱硬化剤と着色剤とを含む第1凝集粒子を形成する。
なお、凝集終了後、凝集剤の金属イオンと錯体又は類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。このキレート剤の添加により、凝集剤を過剰に添加した場合、粉体粒子の金属イオンの含有量の調整が実現される。
キレート剤の添加量としては、例えば、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下がよく、0.1質量部以上3.0質量部未満が好ましい。
次に、得られた第1凝集粒子が分散された第1凝集粒子分散液と、第2樹脂粒子分散液とを混合する。
なお、第2樹脂粒子は第1樹脂粒子と同種であってもよいし、異種であってもよい。
そして、混合分散液のpHを、例えば6.5以上8.5以下程度の範囲にすることにより、凝集の進行を停止させる。
次に、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して、例えば、第1及び第2樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば第1及び第2樹脂粒子のガラス転移温度より10から30℃高い温度以上)に加熱して、第2凝集粒子を融合合一し、粉体粒子を形成する。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、気流式乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
本実施形態に係る粉体塗料の製造方法は、上述の乾燥した状態の粉体粒子、あるいは融合合一工程を経て液中に分散した状態の粉体粒子を、さらに加熱するアニール工程を含んでもよい。
アニール工程は、粉体粒子を加熱する工程であり、例えば液中であれば樹脂のガラス転移温度以上、硬化反応以下、結晶性成分を含む場合は融点以下の温度、液の沸点を超える場合は加圧可能な容器内で15分以上24時間以下の加熱により行われることが好ましい。
上記アニール工程によれば、粉体粒子中の樹脂の分離が促進されることにより、Tg1が40℃以上の粉体塗料が製造される。
加熱手段としては特に限定されず、公知の加熱手段が用いられる。
本実施形態に係る塗装品は、本実施形態に係る粉体塗料により塗装された塗装品である。そして、本実施形態に係る塗装品の製造方法は、本実施形態に係る粉体塗料により塗装する塗装品の製造方法である。
加熱温度(焼付温度)は、例えば、90℃以上250℃以下が好ましく、100℃以上220℃以下がより好ましく、120℃以上200℃以下が更に好ましい。なお、加熱時間(焼付時間)は、加熱温度(焼付温度)により調節する。
粉体粒子及び熱硬化性樹脂の特性の測定方法は、以下の通りとした。
粉体粒子のガラス転移温度(Tg)は、前述の示差走査熱量測定により求めた。測定は、具体的には下記のとおり行った。
自動接線処理システムを備えた示差走査熱量計(DSC−50型、島津製作所)に試料をセットし、冷却媒体として液体窒素をセットし、TH及びTg1、Tg2及びTg3を測定した。
測定装置の検出部の温度補正にはインジウムと亜鉛との混合物の融解温度を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いた。試料はアルミニウム製パンに入れ、サンプルの入ったアルミニウム製パンと対照用の空のアルミニウム製パンとをセットした。
また、熱硬化性樹脂のTHは、昇温速度10℃/分で0℃から200℃まで加熱して25℃以降に現れる初めの吸熱ピークの後に現れる発熱ピーク温度からを求めた。THを求めた後、熱履歴を受けていないサンプルをセットし直し、昇温速度10℃/分で0℃からTH−10℃まで加熱(1回目の昇温過程)、DSC曲線を得、次に、降温速度−10℃/分で0℃まで冷却し、再度、昇温速度10℃/分で0℃からTH+10℃まで加熱して(2回目の昇温過程)、DSC曲線を得、その温度にて30分間ホールドした。
次に、降温速度−10℃/分で0℃まで冷却し、再度、昇温速度10℃/分で0℃からTH+10℃まで加熱して(3回目の昇温過程)、DSC曲線を得た。なお、0℃及びTH−10℃にてそれぞれ10分間ずつホールドした。測定装置の検出部の温度補正は上述と同様の方法により行った。
ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価の測定は、JIS K0070−1992に準拠して測定した。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。GPCによる分子量測定は、測定装置としてHLC−8120GPC、SC−8020(東ソー)を用い、カラムとしてTSKgel SuperHM−M(6.0mmID×15cm)(東ソー)を2本用い、溶離液としてテトラヒドロフランを用いた。測定条件は、試料濃度0.5質量%、流速0.6mL/min、サンプル注入量10μL、測定温度40℃とし、RI検出器で検出を行った。検量線は、東ソー「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作成した。
(着色剤分散液(C1)の調製)
・シアン顔料(大日精化(株)製、C.I.Pigment Blue 15:3、(銅フタロシアニン)): 100質量部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK): 15質量部
・イオン交換水: 450質量部
上記成分を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて1時間分散してシアン顔料を分散させてなる着色剤分散液を調製した。着色剤分散液におけるシアン顔料の体積平均粒径は、0.13μm、着色剤分散液の固形分比率は25%であった。
シアン顔料をマゼンタ顔料(キナクリドン系顔料:大日精化社製:クロモファインマゼンタ6887)に変更した以外は、着色剤分散液(C1)と同様の方法で着色剤分散液(M1)を調製した。着色剤分散液におけるマゼンタ顔料の体積平均粒径は、0.14μm、着色剤分散液の固形分比率は25%であった。
シアン顔料をマゼンタ顔料(大日本インキ化学工業社製:Fastogen Super Red 7100Y−E)に変更した以外は、着色剤分散液(C1)と同様の方法で着色剤分散液(M2)を調製した。着色剤分散液におけるマゼンタ顔料の体積平均粒径は、0.14μm、着色剤分散液の固形分比率は25%であった。
シアン顔料をイエロー顔料(BASF社製:Paliotol Yellow d1155)に変更した以外は、着色剤分散液(C1)と同様の方法で着色剤分散液(Y1)を調製した。着色剤分散液におけるイエロー顔料の体積平均粒径は、0.13μm、着色剤分散液の固形分比率は25%であった。
シアン顔料をブラック顔料(キャボット社製:Reagal330)に変更した以外は着色剤分散液(C1)と同様の方法で着色剤分散液(K1)を調製した。着色剤分散液におけるブラック顔料の体積平均粒径は、0.11μm、着色剤分散液の固形分比率は25%であった。
・酸化チタン(石原産業製 A−220): 100質量部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK): 15質量部
・イオン交換水: 400質量部
上記成分を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて3時間分散して酸化チタンを分散させてなる着色剤分散液を調製した。レーザー回折粒度測定器を用いて測定したところ着色剤分散液における酸化チタンの体積平均粒径は0.25μm、着色剤分散液の固形分比率は25%であった。
(熱硬化性ポリエステル樹脂(PES1)の調製)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入口、精留塔を備えた反応容器に下記組成の原料を仕込み窒素雰囲気下で撹拌をおこないながら240℃に昇温し、重縮合反応をおこなった。
・テレフタル酸: 752.7質量部(100モル%)
・ネオペンチルグリコール: 311.4質量部(65モル%)
・エチレングリコール: 57.1質量部(20モル%)
・グリセリン: 63.5質量部(15モル%)
・ジ−n−ブチル錫オキサイド: 0.5質量部
コンデンサー、温度計、水滴下装置、アンカー翼を備えたジャケット付き3リットル反応槽(東京理化器械株式会社製:BJ−30N)を水循環式恒温槽にて40℃に維持しながら、該反応槽に酢酸エチル180質量部とイソプロピルアルコール80質量部との混合溶剤を投入し、これに下記組成物を投入した。
・熱硬化性ポリエステル樹脂(PES1):231質量部
・ブロックイソシアネート硬化剤 DURANATE SBN-70D(AsahiKASEI社製、ブロック化剤:活性エステル化合物):98.6質量部
・ベンゾイン:3質量部
・アクリルオリゴマー(アクロナール4F BASF社):3質量部
得られた乳化液800質量部とイオン交換水700質量部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械株式会社製)にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1100質量部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。この分散液における熱硬化性ポリエステル樹脂及び熱硬化剤を含有した複合粒子の体積平均粒径は150nmであった。
熱硬化性ポリエステル樹脂(PES1)を300質量部とし、ブロックイソシアネート硬化剤、ベンゾイン、アクリルオリゴマーを加えなかった以外は、複合粒子分散液(E1)と同様にして、複合粒子分散液(E2)を得た。
熱硬化性ポリエステル樹脂(PES1)を214.5質量部に変更し、ブロックイソシアネート硬化剤をDURANATE MF-K60B(AsahiKASEI社製、ブロック化剤:活性エステル化合物):142.5質量部に変更した以外は複合粒子分散液(E1)と同様にして複合粒子分散液(E3)を得た。
熱硬化性ポリエステル樹脂(PES1)を234.9質量部に変更し、ブロックイソシアネート硬化剤をDURANATE TPA-B80E(AsahiKASEI社製、ブロック化剤:活性エステル化合物):81.4質量部に変更した以外は複合粒子分散液(E1)と同様にして複合粒子分散液(E4)を得た。
撹拌機、温度計、窒素ガス導入口、精留塔を備えた反応容器に下記組成の原料を仕込み窒素雰囲気下で撹拌をおこないながら240℃に昇温し、重縮合反応をおこなった。
・イソフタル酸: 726質量部(100モル%)
・ネオペンチルグリコール: 311.4質量部(65モル%)
・エチレングリコール: 57.1質量部(20モル%)
・グリセリン: 63.5質量部(15モル%)
・ジ−n−ブチル錫オキサイド: 0.5質量部
得られた熱硬化性ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度50℃、酸価(Av)10mgKOH/g、水酸基価(OHv)74mgKOH/g、重量平均分子量21000、数平均分子量6500となった。
撹拌機、温度計、窒素ガス導入口、精留塔を備えた反応容器に下記組成の原料を仕込み窒素雰囲気下で撹拌をおこないながら240℃に昇温し、重縮合反応をおこなった。
・テレフタル酸: 783.3質量部(100モル%)
・ネオペンチルグリコール: 407.2質量部(85モル%)
・グリセリン: 63.5質量部(15モル%)
・ジ−n−ブチル錫オキサイド: 0.5質量部
得られた熱硬化性ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度60℃、酸価(Av)10mgKOH/g、水酸基価(OHv)33mgKOH/g、重量平均分子量29000、数平均分子量8500となった。
撹拌機、温度計、窒素ガス導入口、精留塔を備えた反応容器に下記組成の原料を仕込み窒素雰囲気下で撹拌をおこないながら240℃に昇温し、重縮合反応をおこなった。
・テレフタル酸: 611.4質量部(80モル%)
・セバシン酸: 186.1質量部(20モル%)
・ネオペンチルグリコール: 311.4質量部(65モル%)
・エチレングリコール: 57.1質量部(20モル%)
・グリセリン: 63.5質量部(15モル%)
・ジ−n−ブチル錫オキサイド: 0.5質量部
得られた熱硬化性ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度35℃、酸価(Av)10mgKOH/g、水酸基価(OHv)45mgKOH/g、重量平均分子量20000、数平均分子量5500となった。
熱硬化性ポリエステル樹脂(PES1):231質量部を、熱硬化性ポリエステル樹脂(PES2):213.9質量部に変更し、ブロックイソシアネート硬化剤をDURANATE SBN-70D(AsahiKASEI社製、ブロック化剤:活性エステル化合物):123質量部に変更した以外は複合粒子分散液(E1)と同様にして複合粒子分散液(E5)を得た。
熱硬化性ポリエステル樹脂(PES1):231質量部を、熱硬化性ポリエステル樹脂(PES3):254.4質量部に変更し、ブロックイソシアネート硬化剤をDURANATE SBN-70D(AsahiKASEI社製、ブロック化剤:活性エステル化合物):65.1質量部に変更した以外は複合粒子分散液(E1)と同様にして、複合粒子分散液(E6)を得た。
熱硬化性ポリエステル樹脂(PES1):231質量部を、熱硬化性ポリエステル樹脂(PES4):240.9質量部に変更し、ブロックイソシアネート硬化剤をDURANATE SBN-70D(AsahiKASEI社製、ブロック化剤:活性エステル化合物):84.4質量部に変更した以外は複合粒子分散液(E1)と同様にして複合粒子分散液(E7)を得た。
パラフィンワックス(日本精鑞社製、HNP9)45質量部、イオン性界面活性剤ネオゲンR(第一工業製薬)5質量部、イオン交換水200質量部を120℃に加熱し、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理して、固形分20%、中心粒径220nmの結晶性物質粒子分散液を得た。
−凝集工程−
・複合粒子分散液(E1): 325質量部(固形分65質量部)
・着色剤分散液(C1): 3質量部(固形分0.75質量部)
・着色剤分散液(W1): 150質量部(固形分37.5質量部)
上記成分を丸型ステンレス製フラスコ中においてホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で混合及び分散した。次いで、1.0%硝酸水溶液を用い、pHを2.5に調整した。これに10%ポリ塩化アルミニウム水溶液0.50質量部を加え、ウルトラタラックスで分散操作を継続した。
攪拌機、マントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌するように攪拌機の回転数を調整しながら、50℃まで昇温し、50℃で15分保持した後、体積平均粒径が5.5μmとなったところで、複合粒子分散液(E6)80質量部と結晶性物質粒子分散液(Q1)20質量部をゆっくりと投入した。
投入後30分間保持した後、5%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを6.0とした。その後、80℃まで昇温し、1時間保持した。光学顕微鏡で球形化が観察された。
球形化確認後、15℃まで10分間で冷却した後、65℃まで3℃/minで昇温し、8時間保持した後、15℃まで10分間で冷却した。
反応終了後、フラスコ内の溶液を冷却し、濾過することにより固形分を得た。次に、この固形分を、イオン交換水で洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、再度固形分を得た。
次に、この固形分を40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分、300rpmで攪拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離して得られた固形分を12時間真空乾燥させた後、固形分100質量部に対して0.5質量部の疎水性シリカ粒子(一次粒径16nm)を外部添加剤として混合して、ポリエステル樹脂製の着色粉体塗料(PCE1)を得た。
PCE1の製造において、複合粒子分散液(E1)を複合粒子分散液(E3)に変更した以外はPCE1の製造と同様の方法により、着色粉体塗料PCE2を製造した。
PCE1の製造において、複合粒子分散液(E1)を複合粒子分散液(E4)に変更した以外はPCE1の製造と同様の方法により、着色粉体塗料PCE3を製造した。
PCE1の製造において、体積平均粒径が5.5μmとなったところで投入する熱硬化性ポリエステル樹脂分散液(E6)80質量部と結晶性物質粒子分散液(Q1)20質量部を、熱硬化性ポリエステル樹脂分散液(E6)100質量部に変更した以外はPCE1の製造と同様の方法により、着色粉体塗料PCE4を製造した。
PCE1の製造において、複合粒子分散液(E1):325質量部を複合粒子分散液(E1):260質量部と結晶性物質粒子分散液(Q1):65質量部に変更した以外はPCE1の製造と同様の方法により、着色粉体塗料PCE5を製造した。
PCE1の製造において、混合及び分散に用いられる複合粒子分散液(E1)を複合粒子分散液(E6)に、体積平均粒径が5.5μmとなったところで投入する複合粒子分散液(E6)を複合粒子分散液(E1)に、それぞれ変更した以外はPCE1の製造と同様の方法により、着色粉体塗料PCE6を製造した。
PCE1の製造において、複合粒子分散液(E1)及び複合粒子分散液(E6)を複合粒子分散液(E7)及びアニール工程を実施しないに変更した以外はPCE1の製造と同様の方法により、着色粉体塗料PCE7を製造した。
PCE1の製造において、複合粒子分散液(E1)及び複合粒子分散液(E6)を複合粒子分散液(E2)に変更した以外はPCE1の製造と同様の方法により、着色粉体塗料PCE8を製造した。
なお、PCE8を除くすべての粉体塗料において、THは、結晶性物質粒子分散液(Q1)に含まれるパラフィンワックス(日本精鑞社製、HNP9)の融解温度よりも10℃以上低かった。
PCE8は硬化せず、THは測定不能であった。
(保存安定性)
各実施例又は比較例において、表2に記載の粉体塗料を、50℃、相対湿度85%の環境下で24時間保管した。
保管前後での体積粒度分布指標GSDv及び比表面積を算出し、GSDvの変化率、及び、比表面積の変化率を算出した。評価結果は表2に記載した。
GSDvの変化率及び比表面積の変化率が小さいほど保存安定性に優れているといえる。
GSDvの変化量=保管後のGSDv−保管前のGSDv
比表面積の変化率(%)=1−(保管後の比表面積/保管前の比表面積)×100
体積粒度分布指標GSDvは、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマンーコールター社製)を使用して測定した。
比表面積はSA3100比表面積測定装置(ベックマン−コールター社製)を窒素置換、3点法にて行った。具体的には、キャリア5gをセルに入れ、60℃、120分の脱気処理を行い、窒素とヘリウムとの混合ガス(30:70)を用いて行った。
〔塗装膜試料の作製〕
実施例又は比較例において、静電塗装法により、各例で得られた表2に記載の粉体塗料をリン酸亜鉛処理鋼板のテストパネルに塗装後、加熱温度TH+10℃、加熱時間30分で加熱(焼付け)を行って、厚みが30μmの塗装膜試料を得た。
塗装膜試料の表面(塗装面)を、先端が綿で、直径が約1cmの綿棒をテトラヒドロフラン(THF)に浸漬したものを用いて往復50回擦った。塗装膜の耐溶剤性について、以下の評価基準に則り評価した。下記評価基準においてA又はBであれば、使用には問題のないレベルであり、Aであることが好ましい。
A(◎):擦っている時に擦りの抵抗がなく、THFが乾いた後の塗装面と擦っていない領域の塗装面との間に変化がない
B(○):擦っている時に擦りの抵抗があるが、THFが乾いた後の塗装面と擦っていない領域の塗装面との間に変化がない
C(×):塗装面に擦り傷が生じたり、塗装面の擦った部分の一部が溶解する
Claims (6)
- 熱硬化性樹脂及び熱硬化剤を含む粉体粒子を含有し、
示差走査熱量測定における、10℃/minにて前記熱硬化性樹脂の硬化が開始する温度THよりも10℃低い温度まで昇温した際のガラス転移温度Tg1と、
Tg1の測定後に、10℃/minにて0℃まで冷却後、10℃/minにて前記THよりも10℃高い温度まで昇温し、30分間保持した際のガラス転移温度Tg2と、
Tg2の測定後に、10℃/minにて0℃まで冷却後、10℃/minにて175℃まで昇温した際のガラス転移温度Tg3と、が下記式1及び式2を満たす
粉体塗料。
式1:Tg1≧40℃
式2:Tg3−Tg2>10℃ - 前記熱硬化性樹脂が、水酸基価が20mgKOH/g以上80mgKOH/g以下のポリエステル樹脂を含み、前記熱硬化剤が、活性エステル化合物、ピラゾール化合物、及び、オキシム化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物をブロック化剤としてブロック化されたポリブロックイソシアネート化合物を含む、請求項1に記載の粉体塗料。
- 前記粉体粒子が、表面から300nm以内の領域に、融解温度が前記THよりも10℃以上低い結晶性物質を含む、請求項1又は請求項2に記載の粉体塗料。
- 前記粉体粒子の、表面から300nm以内の領域に含まれる前記結晶性物質の量が、表面から300nm以内の領域以外の領域に含まれる融解温度がTHよりも10℃以上低い結晶性物質の量よりも多い、請求項3に記載の粉体塗料。
- 前記粉体粒子の、表面から300nm以内の領域のガラス転移温度Tgsが、表面から300nm以内の領域以外の領域のガラス転移温度Tgcよりも高い、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の粉体塗料。
- 前記粉体粒子の、表面から300nm以内の領域に含まれる前記熱硬化性樹脂のガラス転移温度が、表面から300nm以内の領域以外の領域に含まれる前記熱硬化性樹脂のガラス転移温度よりも高い、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の粉体塗料。
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