JP6853701B2 - ノック式筆記具 - Google Patents
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Description
このため、軸筒に相対するノック体の前後位置によって筆記部が突出しているか否かを視覚的に判断することができない。
また、筆記部の突出状態において、ノック体が前後に自由にスライド可能であるため、筆記方向を素早く変化させる筆記動作や、軸筒を把持する時の動作等に起因して、ノック体が前後にがたついて音や振動を発生する場合がある。
また、ノック体が前記突出位置にて軸筒等との摩擦により静止し、この状態で筆記が行われると、筆記具全体の重心がノック体により後方寄りに位置して、良好な筆記感触が得られない場合がある。
しかしながら、この従来技術においても、ノック体は回転子に相対し、小さい移動量ではあるが前後にがたつくことになり、前者従来技術と同様に、音や振動の発生、筆記感触の低下等を生じるおそれがある。
軸筒と、該軸筒に対し第1の範囲前後へ移動するように該軸筒内に支持されるとともに後端側を軸筒外に露出したノック体と、前記ノック体に押動されて前進する回転子と、前進した際の回転子をカム斜面により回転させて係止するカム機構と、前記回転子の前端側に接続され該回転子の前進により筆記部を軸筒前端から突出させる中芯と、前記回転子を前記軸筒に対し後方へ付勢する第1の付勢部材と備え、前記ノック体が前記回転子に対し前記第1の範囲よりも小さい第2の範囲前後へ微動可能に接続され、このノック体を前記軸筒に対し後方へ付勢する第2の付勢部材が設けられ、前記第2の付勢部材は、その前端側を前記軸筒に係止するとともに後端側を前記ノック体に係止して、前記ノック体を後方へ付勢していることを特徴とするノック式筆記具。
第1の特徴は、軸筒と、該軸筒に対し第1の範囲前後へ移動するように該軸筒内に支持されるとともに後端側を軸筒外に露出したノック体と、前記ノック体に押動されて前進する回転子と、前進した際の回転子をカム斜面により回転させて係止するカム機構と、前記回転子の前端側に接続され該回転子の前進により筆記部を軸筒前端から突出させる中芯と、前記回転子を前記軸筒に対し後方へ付勢する第1の付勢部材と備え、前記ノック体が前記回転子に対し前記第1の範囲よりも小さい第2の範囲前後へ微動可能に接続され、このノック体を前記軸筒に対し後方へ付勢する第2の付勢部材が設けられている(図1〜図7参照)。
また、前記第2の付勢部材には、例えば、前端を軸筒に係止するとともに後端を前記ノック体に係止して、前記ノック体を軸筒に対し直接的に後方へ付勢する態様(図1参照)や、前端を軸筒に係合する他の部材(例えば前記回転子やリフィール等)に係止するとともに後端を前記ノック体に係止して、前記ノック体を軸筒に対し間接的に後方へ付勢する態様(図5参照)等を含む。
なお、本明細書中、軸筒軸方向とは、軸筒の中心線の延びる方向を意味する。また、「前」とは、軸筒軸方向の一方側であって筆記部が突出する方向を意味する。また、「後」とは、前記一方側に対する逆方向側を意味する。また、「軸筒径方向」とは、軸筒軸方向に対し直交する方向を意味する。また、「軸筒径外方向」とは、前記軸筒径方向に沿って軸筒中心から離れる方向を意味する。「軸筒径内方向」とは、前記軸筒径方向に沿って軸筒中心へ近づく方向を意味する。
図1は、本発明に係るノック式筆記具の一例を示す。
このノック式筆記具1は、軸筒10と、軸筒10内に支持されるとともに後端側を軸筒外に露出したノック体20と、前進した際のノック体20に押動されカム機構Aにより回転しながら後退して係止される回転子30と、回転子30の前端側に接続され回転子30の前進により筆記部41を軸筒前端から突出させる中芯40と、回転子30を軸筒10に対し後方へ付勢する第1の付勢部材51と、ノック体20を後方へ付勢する第2の付勢部材52とを具備する。
カム斜面12は、軸筒10後端側に形成された縮径部分の前端に周方向へ間隔を置いて複数設けられた傾斜面である。これらカム斜面12は、図3に例示するように、鋸刃状に配設され、隣接する二つのカム斜面12,12の間が、前後方向へわたる係止面18により接続され、隣接する二つのカム斜面12,12の周方向の端部が、スライド溝11の前端に繋がっている。
この突起13は、後述するノック体20の突条21c後端に当接して、ノック体20の後方への移動を規制する。
詳細に説明すれば、このノック体20は、スライド筒21と、このスライド筒21の後端側に接続されたクリップ部材22と、スライド筒21とクリップ部材22を接続する嵌合孔を塞ぐ閉鎖部材23とを一体的に具備している。
このスライド筒21は、その前端面に、V字状のカム斜面21aを周方向へわたって複数配設している(図3参照)。
また、このスライド筒21は、内周面に凸部21bを有する(図1及び図2参照)。スライド筒21は、この凸部21bを回転子30の凹部35に嵌め合わせることで、第1の範囲W1よりも小さく、且つスライド筒21のカム斜面21aによる前後方向の移動量M(図3参照)よりも大きい第2の範囲W2前後へ微動可能に接続されている(図4参照)。
この筒部22aは、その前端側を、軸筒10の周壁の後端側の筒状孔14に嵌め合わせて、前後に進退可能である。
この回転子30は、ノック体20に押圧されて所定量前進すると、カム機構Aによって回転して係止され、ノック体20に再度押圧された際に前記係止状態を解除する(図3参照)。
凹部35の前後幅Xは、第2の範囲W2を含むように設定されている(図4参照)。
より具体的に説明すれば、この第2の範囲W2は、回転子30に対するスライド筒21の相対位置の範囲であって、スライド筒21の前進が該スライド筒21前端のカム斜面21aと回転子30との当接により規制された位置(図4(a)参照)と、スライド筒21の後退が該スライド筒21の凸部21bと回転子30の凹部35後端との当接により規制された位置(図4(b)参照)との間の範囲である。
移動量Mは、図3に示すように、スライド筒21のカム斜面21aにおける軸筒軸方向の距離である。
すなわち、本実施の形態の好ましい一例では、第2の範囲W2を移動量Mよりも長く設定することで、スライド筒21に相対する回転子30の回転及び進退がスムーズに行われるようにしている。
このカム機構Aの基本構造は、例えば、特開2004−209881号公報に開示される構造を適用することが可能であるが、同様に機能する他の構造であってもよい。
この中芯40の他例としては、シャープペンシル用リフィールや、電子機器用の入力ペン(スタイラスペン)を構成するリフィール等とすることも可能である。
この中芯40は、第1の付勢部材51により後方へ付勢され、後端側が回転子30によって受けられている。
なお、他例としては、第1の付勢部材51の前端部を軸筒10内の後部側に係止し、第1の付勢部材51の後端部を回転子30に係止して、回転子30を直接後方へ付勢するようにしてもよい。
この第2の付勢部材52の径内方向側には、スライド筒21の凸部21bと回転子30の凹部35とが位置している。
そして、この第2の付勢部材52は、ノック体20を軸筒10に対し後方へ付勢している。
図1に示すように、軸筒10内に筆記部41を収納した初期状態において、ノック体20は、第2の付勢部材52によって後方へ付勢されて、スライド筒21の突条21c後端部を軸筒10内後端側の突起13に係止している。
そして、突条31後端のカム斜面32は、図3(c)に示すように、スライド筒21前端の隣接するカム斜面21a,21aの谷間に係止される。
一方、中芯40は、図2(a)(b)に示すように、筆記部41を軸筒10前端から突出させた状態で、回転子30と共に若干後退して静止する。
このため、ノック体20は、例えば外力により後方へ引っ張られたとしても、回転子30に相対し後方へ移動することがない。
しかも、ノック体20が前後方向へがたつくのを、第2の付勢部材52の付勢力によって抑制することができ、ひいては、ノック体20のがたつきにより、音や振動が発生するようなことを防ぐことができる。
特に、図示する好ましい一例によれば、凸部21b及び凹部35を第2の付勢部材52の内側に配置しているため、前後方向の長さが比較的短いコンパクトな構造を得ることができる。
次に、図5〜図7に示すノック式筆記具2について説明する。このノック式筆記具2は、ノック式筆記具1の構成を一部変更したものであるため、主にその変更部分について詳述し、ノック式筆記具1と同様に機能する部分については、同一の符号を付けて、重複する詳細説明を省略する。
この軸筒10’の他例としては、単一の長尺略筒状に形成した態様や、複数の筒状部材を軸方向に連結した態様、軸筒本体10a’の前端側に弾性材料からなるグリップを有する態様等とすることが可能である。
この中筒10c’の内周面には、上記ノック式筆記具1の軸筒10と同様に、カム機構A(図3参照)を構成するためのスライド溝11、カム斜面12、係止面18、そして、スライド溝11よりも後側で径内方向へ環状に突出する突起13等が設けられる。なお、他例としては、これらの構成を軸筒本体10a’の内周面に形成して、中筒10c’を省くことも可能である。
このノック体20’は、上述したスライド筒21と同様に、外周面の突条21c、前端部のカム斜面21a、内周面後端側の凸部21b等を有する。
また、このノック体20’内周面の凸部21bよりも前側には、第2の付勢部材52’の後端部を受ける段部20a’が設けられる。
この回転子30’は、上記回転子30と同様に、ノック体20’に押圧されて所定量前進すると、カム機構Aにより回転して係止され、ノック体20’に再度押圧された際に前記係止状態を解除する(図3参照)。
この円筒部30a’内の前端側は、中芯40の後端部を受けて、該中芯40に対し着脱可能に嵌り合っている。
詳細に説明すれば、この第2の付勢部材52’は、圧縮コイルスプリングであり、その前端側を回転子30’に係止するとともに後端側をノック体20’に係止して、ノック体20’内周面と軸状部30b’外周面との間に環状に装着されている。
図5に示すように、筆記部41を収納した初期状態において、ノック体20’は、第2の付勢部材52’によって、回転子30’に対し後方へ付勢され、凸部21bを凹部35内の後端に当接させるとともに、突条21c後端を突起13に当接させて、後方への移動が規制される。
また、この初期状態で、回転子30’は中芯40後端に圧接され、中芯40は第1の付勢部材51後端に圧接され、第1の付勢部材51は軸筒10’内の段部15’に圧接されている。
このため、ノック体20’は、前後方向へがたつくことなく静止する。
この突出保持状態において、ノック体20’は、第2の付勢部材52’によって、回転子30’に対し後方へ付勢され、凸部21bを凹部35内の後端に当接させるため、後方への移動が規制される。
また、この突出保持状態において、第2の付勢部材52’を前方で受けている回転子30’は、収縮した第1の付勢部材51の弾発力により後方へ付勢されてカム斜面32を係止面18に係止しているため(図3(d)参照)、進退しないように保持される。
このため、ノック体20’は、前後にがたつくことなく静止する。
特に、図示する好ましい一例によれば、第2の付勢部材52’をノック体20’内周面と回転子30’外周面の間に配置しているため、前後方向の長さが比較的短く且つ細身でコンパクトな構造を得ることができる。
10:軸筒
20:ノック体
21a:カム斜面
21b:凸部
30:回転子
35:凹部
40:中芯
41:筆記部
51:第1の付勢部材
52:第2の付勢部材
A:カム機構
W1:第1の範囲
W2:第2の範囲
X:前後幅
Claims (4)
- 軸筒と、該軸筒に対し第1の範囲前後へ移動するように該軸筒内に支持されるとともに後端側を軸筒外に露出したノック体と、前記ノック体に押動されて前進する回転子と、
前進した際の回転子をカム斜面により回転させて係止するカム機構と、前記回転子の前端側に接続され該回転子の前進により筆記部を軸筒前端から突出させる中芯と、前記回転子を前記軸筒に対し後方へ付勢する第1の付勢部材と備え、
前記ノック体が前記回転子に対し前記第1の範囲よりも小さい第2の範囲前後へ微動可能に接続され、
このノック体を前記軸筒に対し後方へ付勢する第2の付勢部材が設けられ、
前記第2の付勢部材は、その前端側を前記軸筒に係止するとともに後端側を前記ノック体に係止して、前記ノック体を後方へ付勢していることを特徴とするノック式筆記具。 - 前記回転子の後部側が軸状に形成され、前記ノック体が前記回転子の後部側に嵌り合う筒状に形成され、前記回転子と前記ノック体とのうち、その一方には前後方向へ延びる凹部が設けられ、その他方には前記凹部内で前後方向へ移動可能な凸部が設けられ、
前記凹部の前後幅が、前記第2の範囲を含むように設定されていることを特徴とする請求項1記載のノック式筆記具。 - 前記第2の付勢部材は、前記ノック体に環状に装着された圧縮コイルスプリングであり、その径内方向側に、前記凹部及び前記凸部を配置していることを特徴とする請求項2記載のノック式筆記具。
- 前記カム機構は、前記ノック体の前端側に、前進した際の前記回転子を滑らせて回転させながら前後方向へ移動させるカム斜面を有し、
前記第2の範囲は、前記ノック体の前記カム斜面による前後方向の移動量よりも長く設定されていることを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載のノック式筆記具。
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