JP6853451B2 - 複合焼結体切削工具 - Google Patents
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Description
そして、この切削工具によれば、希少金属であるタングステンの使用量の低減を図り得るとともに、切れ刃に断続的・衝撃的な高負荷が作用する断続切削に用いた場合に、クラックの伝播・進展抑制作用を向上させ、チッピング、欠損、剥離等の異常損傷発生を抑制し得るとされている。
したがって、切れ刃により一段と熱的、機械的な高負荷が作用する切削加工における信頼性は満足できるものであるとはいえなかった。
「(1)TiCN基サーメットとWC基超硬合金との複合焼結体からなる複合焼結体切削工具において、
(a)前記複合焼結体切削工具の切れ刃を含む外周部の少なくとも一部の面は、WC基超硬合金層で構成され、
(b)前記WC基超硬合金層とTiCN基サーメットの界面から前記WC基超硬合金層側には、平均層厚が5〜200μmの界面層が形成され、
(c)前記界面層は、5〜50面積%を占めるWC粒子と、50〜95面積%を占める混合相で構成され、
(d)前記混合相中に存在するWとMoの合計含有量は、前記混合相中に存在するCoとNiの合計含有量の0.8〜1.2倍(但し、原子比)であることを特徴とする複合焼結体切削工具。
(2) 前記複合焼結体切削工具の切れ刃を含むすくい面の少なくとも一部は、結合相成分としての鉄族金属成分を4〜17質量%および硬質相成分としてのWCを少なくとも含有するWC基超硬合金層で構成されていることを特徴とする(1)に記載の複合焼結体切削工具。
(3)前記WC基超硬合金層の厚さは、前記複合焼結体切削工具の厚さの0.03〜0.3倍であることを特徴とする(1)または(2)に記載の複合焼結体切削工具。
(4)前記TiCN基サーメットは、2層以上のTiCN基サーメット層から構成され、前記WC基超硬合金層の界面層に隣接するTiCN基サーメット層は、該サーメットの構成成分の含有割合を金属成分の含有割合で表現した場合、少なくとも鉄族金属成分を4〜25質量%、Wを15質量%未満、Moを2〜15質量%、Nbを2〜10質量%、Crを0.2〜2質量%を含有し、かつ、鉄族金属成分であるCoとNiについて、CoとNiの合計含有量に対するCo含有量は0.5〜0.8倍(但し、原子比)であることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の複合焼結体切削工具。
(5)前記複合焼結体切削工具の少なくとも切れ刃を含むWC基超硬合金層の表面に、硬質被覆層が形成されていることを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の複合焼結体切削工具。」
を特徴とするものである。
図2は、WC基超硬合金層の表面に、硬質被覆層が設けられた本発明の複合焼結体切削工具の概略縦断面模式図を示し、(a)は、図1(a)に示す複合焼結体切削工具において、そのWC基超硬合金層の表面に硬質被覆層が設けられた複合焼結体切削工具を示し、(b)は、図1(b)に示す複合焼結体切削工具において、そのWC基超硬合金層の表面に硬質被覆層が設けられた複合焼結体切削工具を示す。
図3(a)は、本発明の複合焼結体切削工具の縦断面SEM像の一例を示し、(b)はその部分拡大図を示す。
また、図2(a)、(b)として示すように、本発明では、例えば、切削工具のすくい面に設けられたWC基超硬合金層の表面に、物理蒸着、化学蒸着等によって、硬質被覆層を蒸着形成することによって、表面に硬質被覆層が設けられた複合焼結体切削工具とすることもできる。
まず、所定組成のTiCN基サーメット粉末と、同じく所定組成のWC基超硬合金粉末を用意し、これらの粉末をプレスすることで、TiCN基サーメットとWC基超硬合金が積層された複合成形体を作製し、ついで、この複合成形体を、例えば、0.1kPaの窒素雰囲気中にて、1400℃〜1440℃の焼結温度で1hr〜1.5hr焼結する。
ついで、焼結後の冷却過程において、1330℃〜1370℃の温度範囲で0.8hr〜1.5hr保持する熱処理を施した後、室温まで冷却することによって複合焼結体を作製する。
このような焼結を行うことによって、WC基超硬合金層とTiCN基サーメットとの界面であって、かつ、該界面からWC基超硬合金層側にし、後記する界面層が形成される。
ついで、得られた複合焼結体を所定の形状に加工することにより本発明の複合焼結体切削工具を作製することができる。
また、前記複合成形体の作製に際し、TiCN基サーメットを2層以上のTiCN基サーメット層で構成し、かつ、WC基超硬合金層に隣接するTiCN基サーメットとして、成分組成を調整することにより熱膨張率をWC基超硬合金のそれに近づけたTiCN基サーメットを配置して焼結することにより、前記WC基超硬合金層側に形成した接合強度の高い前記界面層を介して、前記WC基超硬合金層に、大きな圧縮応力を付加した本発明の複合焼結体切削工具を作製することができる。
さらに、前記で作製した本発明の複合焼結体切削工具のWC基超硬合金層の表面に、物理蒸着法、化学蒸着法等により、Ti化合物層、TiとAlの複合窒化物層、Al2O3層等の硬質被覆層を単層でまたは複数層の積層皮膜として蒸着形成することによって、WC基超硬合金層の表面に、硬質被覆層を形成した本発明の複合焼結体切削工具を製造することができる。
本発明の複合焼結体切削工具の作製にあたり、前述のとおり、複合成形体をその焼結工程において、1400℃〜1440℃の焼結温度で1hr〜1.5hr焼結した後、その冷却過程において、1330℃〜1370℃の温度範囲で0.8hr〜1.5hr保持する熱処理を施すことによって、本発明の特徴の一つである界面層が、WC基超硬合金とTiCN基サーメットの界面からWC基超硬合金層側に5〜200μmの平均層厚で形成される。
そして、この界面層を形成することによって、WC基超硬合金層とTiCN基サーメットの接合強度を高めることができるため、希少金属であるタングステンの使用量を低減し、WC基超硬合金層の層厚を薄くした場合であっても、切れ刃に断続的・衝撃的な機械的高負荷および熱的な高負荷が作用する合金鋼等の湿式断続切削加工において、WC基超硬合金層とTiCN基サーメットの界面における剥離発生が抑制される。
その結果、切れ刃に断続的・衝撃的な機械的高負荷および熱的な高負荷が作用する合金鋼等の湿式断続切削加工に供した場合でも、界面層の有する大きな接合強度によってWC基超硬合金層とTiCN基サーメットの界面における剥離発生が抑制されるとともに、WC基超硬合金層が有する大きな圧縮応力によって、加熱冷却の熱サイクルに起因する熱亀裂の発生も防止されるため、剥離発生、熱亀裂発生を原因とする異常損傷の発生を招くこともなく、長期の使用に亘って、すぐれた切削性能が発揮される。
これは、(W+Mo)/(Co+Ni)の値が0.8未満では、界面層中に異相としてグラファイト相が出現し、界面層が大きく脆化するためであり、一方、(W+Mo)/(Co+Ni)の値が1.2を超えると、TiCN基サーメットから界面層に結合相成分が移動しやすくなり、その結果TiCN基サーメット中に空隙を生じ、破壊を生じやすくなるという理由による。
なお、前記界面層の前記成分組成、平均層厚は、主として、WC基超硬合金の成分組成及びこれに隣接するTiCN基サーメットの成分組成に応じた焼結時の冷却過程における保持温度と保持時間によって決まる。
本発明の複合焼結体切削工具は、TiCN基サーメットを母体とし、切れ刃を含む外周部の少なくとも一部の面、例えば、すくい面、に形成されるWC基超硬合金層は、結合相成分としての鉄族金属成分(例えば、Co、Ni、Fe)と硬質相成分としてのWCを少なくとも含有する。
結合相成分は、硬質相成分と強固に結合し、工具基体の強度および靭性を向上させる作用があるが、結合相成分である鉄族金属成分の含有量(即ち、Co、Ni、Feの含有量合計)が4質量%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方、その含有量が17質量%を越えると、耐摩耗性が低下するようになることから、結合相成分である鉄族金属成分の含有量(即ち、Co、Ni、Feの含有量合計)は、4〜17質量%とすることが望ましい。
なお、Ti、Zr、Nb、TaおよびCrの各成分は、炭化物、窒化物、炭窒化物等を形成して、WC基超硬合金の硬さを高め、耐摩耗性を向上させる作用があることから、これらの硬質相成分を微量添加含有させることが好ましい。しかし、これら硬質相成分の含有量合計が10質量%(但し、金属成分として換算)を越えると靭性が低下するようになることから、Ti、Zr、Nb、TaおよびCrの各成分の許容含有量合計は10質量%以下である。
これは、WC基超硬合金層の厚さが、複合焼結体の厚さの0.03倍未満である場合には、切削加工時、摩耗が進行した際にTiCN基サーメットまで摩耗が進み、界面層に大きな負荷がかかることにより破断を生じやすくなり、一方、WC基超硬合金層の厚さが、複合焼結体の厚さの0.3倍を超える場合には、WC基超硬合金層に付加される圧縮応力が小さくなるため、耐熱亀裂性が低下するばかりか、耐チッピング性、耐欠損性も低下し、さらに、W使用量の削減を図ることもできず、本発明の目的にそぐわなくなるという理由による。
したがって、本発明では、WC基超硬合金層の厚さは、複合焼結体の厚さの0.03〜0.3倍とすることが望ましい。
本発明で用いられるWC基超硬合金層に隣接するTiCN基サーメットは、TiCNを主たる硬質相成分とし、鉄族金属(例えば、Co、Ni、Fe)を主たる結合相成分とするサーメットである。
その他の含有成分を金属成分元素換算した場合に、Wを15質量%未満、Moを2〜15質量%、Nbを2〜10質量%、Crを0.2〜2質量%を含有し、かつ、鉄族金属成分のうちのCoとNiについては、CoとNiの合計含有量に対するCo含有量の比は0.5〜0.8(但し、原子比)とすることが望ましい。
W:
WはTiCN基サーメット中での含有量が増えるほど、TiCN基サーメットの特性がWC基超硬合金に近づくので、複合体としての焼結は容易となるが、この発明で目的としているように含有量の削減が求められる成分元素であることから、本発明では、W含有量を15質量%未満とする。
Moは、TiCN基サーメットにおいて、硬質相と結合相との濡れ性を高め、焼結性を向上させる作用を有する成分元素であるが、その含有量が2質量%未満では、濡れ性の向上効果が十分ではなく、一方、含有量が15質量%を超えると、硬質相にMoが溶け込み、強度、靭性を低下させるようになるため、Moの含有量は2〜15質量%とする。
Nbは、TiCN基サーメットの高温耐酸化性を向上させる効果があるが、その含有量が2質量%未満の場合、あるいは、10質量%を超える場合には、高温耐酸化性向上効果が低下するため、Nbの含有量は2〜10質量%とする。
Crは、TiCN基サーメットの焼結温度をWC基超硬合金のそれに近づける効果を有するが、その含有量が0.2質量%未満では、その効果が十分ではなく、一方、その含有量が2質量%を超えると、Cr3C2の遊離相が析出し焼結体の靭性を低下させるようになるため、Crの含有量は0.2〜2質量%とする。
Coは、鉄族金属成分であって、TiCN基サーメットにおける結合相成分であるが、同じく鉄族金属成分であるNiとの関連において、CoとNiの合計含有量に対するCoの含有割合(Co/(Co+Ni))を0.5〜0.8(但し、原子比)の範囲内とすることが望ましい。
CoとNiの合計含有量に対するCoの含有割合(Co/(Co+Ni))が0.5未満であると、TiCN基サーメットとWC基超硬合金の複合成形体を焼結する際に、TiCN基サーメット中のNi成分がWC基超硬合金に拡散し、WC基超硬合金の高温硬さを低下させることになり、一方、CoとNiの合計含有量に対するCoの含有割合(Co/(Co+Ni))が0.8を超えると、TiCN基サーメットの靭性が低下し、複合焼結体の破損を招く恐れがある。
したがって、TiCN基サーメットに含有される成分であるCoとNiについては、CoとNiの合計含有量に対するCoの含有割合(Co/(Co+Ni))を0.5〜0.8(但し、原子比)の範囲内とする。
即ち、図1(b),図2(b)に示すように、TiCN基サーメットを複数のTiCN基サーメット層(2層あるいは3層以上)の積層体として構成することができる。
図1(b),図2(b)には、TiCN基サーメットを、「TiCN基サーメット層1」と「TiCN基サーメット層2」による2層の積層体として構成した例を示したが、TiCN基サーメットは、3層以上のTiCN基サーメット層の積層体として構成することができる。
ここで、WC基超硬合金層に接するTiCN基サーメット層(即ち、図1(b),図2(b)に示す「TiCN基サーメット層1」)については、その成分組成を前記の如く定めることが望ましいが、WC基超硬合金層に直接接していないTiCN基サーメット層(即ち、図1(b),図2(b)に示す「TiCN基サーメット層2」)については、通常用いられるTiCN基サーメットの成分組成であっても構わない。
TiCN基サーメットに通常含有される成分、例えば、ZrC、TaC等、については、通常含有される範囲内の量であれば、本発明のTiCN基サーメット(層)において、これらを含有させることができる。
また、W含有量については、好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下、とするが、これによって、複合焼結体切削工具の切削性能を劣化させることなく、TiCN基サーメット(層)中に含有されるW含有量をより一層低減することができるので、Wの使用量削減効果が大となる。
本発明の複合焼結体切削工具は、複合焼結体の切れ刃を含む外周部の少なくとも一部の面、例えば、すくい面、を前記したWC基超硬合金層で構成することによって、そのまま切削工具として用いることができるが、WC基超硬合金層の表面に、物理蒸着法、化学蒸着法等によって、例えば、TiとAlの複合窒化物層等の硬質被覆層を被覆形成することによって、切削工具としての性能をより高めることができる。
なお、硬質被覆層としては、TiとAlの複合窒化物層ばかりでなく、Tiの窒化物層、炭化物層、炭窒化物層、AlとCrの複合窒化物層、Al2O3層など、既に知られている各種の硬質被覆層を、それぞれ単層として、あるいは、複数の層の積層として被覆形成することができる。
また、表2に示す配合組成の平均粒径0.5〜3μmのTiCN基サーメット原料粉末を用意する。
上記WC基超硬合金原料粉末およびTiCN基サーメット原料粉末を、表3に示す組合せでISOインサート形状CCGT120408の素材用金型で積層プレスし、本発明複合成形体1〜12を作製した。
なお、作製した本発明複合成形体1〜12は、WC基超硬合金原料粉末と一種類のTiCN基サーメット原料粉末からなる本発明複合成形体1〜6と、WC基超硬合金原料粉末とTiCN基サーメット層1形成用原料粉末とTiCN基サーメット層2形成用原料粉末の二種類のTiCN基サーメット原料粉末を用いた本発明複合成形体7〜12である。
本発明複合成形体では、すくい面側表面部にWC基超硬合金層が存在する形態で配置しているが、逃げ面側表面部にWC基超硬合金層が存在するよう配置することも全く問題がない。
焼結条件は、いずれの場合も、次のとおりである。
複合成形体を焼結温度にまで昇温するに際し、室温から1280℃までは5℃/minの昇温速度で昇温し、液相が出現する1280℃から1380℃までの温度域は、いずれも30℃/min以上の昇温速度で高速昇温し、1380℃から1420℃までは5℃/minの昇温速度で昇温し、0.1kPaの窒素雰囲気中にて、1420℃の焼結温度に1時間保持して焼結した後、その冷却過程において、1330℃〜1370℃の温度範囲で0.8hr〜1.5hr保持する熱処理を施し、その後、室温にまで冷却した。
熱処理条件を表3に示す。
この焼結によって、WC基超硬合金とTiCN基サーメットからなり、WC基超硬合金層とTiCN基サーメットとの界面であって、かつ、該界面からWC基超硬合金層側に界面層が形成されている本発明複合焼結体を作製した。
ついで、上記で得られた本発明複合焼結体1〜12について、WC基超硬合金層をすくい面として、刃先をR=0.04のホーニング加工し、CCGT120408形状の複合焼結体切削工具1〜12(以下、本発明工具1〜12という)を作製した。
さらに、界面層の幅200μmの範囲を画像処理し、組成分析結果と照らし合わせ、WC粒子を同定すると共に、WC粒子の面積%、混合相の面積%を測定した。
表5、表6に、これらの値を示す。
表5、表6に、これらの値を示す。
表5、表6に、本発明工具4〜6,10〜12について、蒸着形成した硬質被覆層の層厚を示す。
なお、本発明工具1〜12を図1、図2と対応させると、本発明工具1〜3は、図1(a)に示される構造、本発明工具4〜6は、図2(a)に示す構造、本発明工具7〜9は、図1(b)に示される構造、また、本発明工具10〜12は、図2(b)に示す構造を有するものであるといえる。
なお、比較例複合成形体1〜12は、全てWC基超硬合金原料粉末と一種類のTiCN基サーメット原料粉末を用いて作製した。
ついで、この比較例複合成形体を、次の条件で焼結して比較例複合焼結体1〜12を作製した。
比較例複合成形体1〜12を焼結温度にまで昇温するに際し、室温から1280℃までは5℃/minの昇温速度で昇温し、液相が出現する1280℃から1380℃までの温度域は、いずれも30℃/min以上の昇温速度で高速昇温し、1380℃から1420℃までは5℃/minの昇温速度で昇温し、0.1kPaの窒素雰囲気中にて、1420℃の焼結温度に1時間保持して焼結した後、一部焼結体は1300℃〜1400℃の温度範囲で一定時間保持した後、室温にまで冷却して、比較例複合焼結体1〜12を作製した。但し、前記比較例複合焼結体冷却中の熱処理には本発明複合焼結体の保持条件である1330℃〜1370℃の温度範囲、0.8hr〜1.5hr保持の熱処理は含まれていない。
つまり、比較例複合焼結体1〜12は、焼結時の冷却過程で、1330℃〜1370℃の温度範囲で0.8hr〜1.5hr保持の熱処理が施されていない点で、本発明の複合焼結体切削工具1〜12とはその製造条件が異なっている。
ついで、得られた比較例複合焼結体1〜12について、WC基超硬合金層をすくい面として、刃先をR=0.04のホーニング加工し、CCGT120408形状の複合焼結体切削工具1〜12(以下、比較例工具1〜12という)を作製した。
さらに、界面層のWC粒子の面積%、混合相の面積%を測定した。
さらに、比較例工具1〜12について、WC基超硬合金層の厚さを光学顕微鏡で観察し、異なる5点で厚み測定し、これを平均してWC基超硬合金層の厚さとし、これを4.76mmで除すことにより、(WC基超硬合金層の厚さ)/(複合焼結体の厚さ)の値を算出した。
表7に、これらの値を示す。
表7に、蒸着形成した硬質被覆層の層厚を示す。
被削材:JIS・SCM440のブロック、
切削速度:315 m/min.、
切り込み:1.0 mm、
送り:0.12 mm/rev.、
切削時間:14 分
の条件で、合金鋼の湿式フライス切削加工試験を行い、逃げ面摩耗量、寿命に至るまでの切削時間を測定し、また、切れ刃の損耗状態を観察した。
さらに、本発明工具1〜12および比較例工具1〜12について、表5〜表7に示される(WC基超硬合金層の厚さ)/(複合焼結体の厚さ)の値から、各工具においてサーメットと積層せず、全体をWC基超硬合金とした場合からの使用W量削減率(質量%)を算出した。
表8に、これらの結果を示す。
さらに、表6、表8に示される結果から、本発明の複合焼結体切削工具7〜12は、接合強度の高い界面層の存在によって、界面での剥離発生防止が図られることに加え、TiCN基サーメットを2層以上の複数の層で構成し、WC基超硬合金層に大きな圧縮応力を付与することが可能となったため、剥離の発生、熱亀裂の発生が防止されることがわかる。
したがって、本発明の複合焼結体切削工具1〜12は、希少金属であるタングステンの使用量を低減し、WC基超硬合金層の層厚を薄くした場合であっても、切れ刃に機械的高負荷および熱的な高負荷が作用する合金鋼等の湿式断続切削において、剥離発生、熱亀裂発生等に起因する異常損傷を招くこともなく、長期の使用に亘って、すぐれた切削性能が発揮される
Claims (5)
- TiCN基サーメットとWC基超硬合金との複合焼結体からなる複合焼結体切削工具において、
(a)前記複合焼結体切削工具の切れ刃を含む外周部の少なくとも一部の面は、WC基超硬合金層で構成され、
(b)前記WC基超硬合金層とTiCN基サーメットの界面から前記WC基超硬合金層側には、平均層厚が5〜200μmの界面層が形成され、
(c)前記界面層は、5〜50面積%を占めるWC粒子と、50〜95面積%を占める混合相で構成され、
(d)前記混合相中に存在するWとMoの合計含有量は、前記混合相中に存在するCoとNiの合計含有量の0.8〜1.2倍(但し、原子比)であることを特徴とする複合焼結体切削工具。 - 前記複合焼結体切削工具の切れ刃を含むすくい面の少なくとも一部は、結合相成分としての鉄族金属成分を4〜17質量%および硬質相成分としてのWCを少なくとも含有するWC基超硬合金層で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の複合焼結体切削工具。
- 前記WC基超硬合金層の厚さは、前記複合焼結体切削工具の厚さの0.03〜0.3倍であることを特徴とする請求項1または2に記載の複合焼結体切削工具。
- 前記TiCN基サーメットは、2層以上のTiCN基サーメット層から構成され、前記WC基超硬合金層の界面層に隣接するTiCN基サーメット層は、該サーメットの構成成分の含有割合を金属成分の含有割合で表現した場合、少なくとも鉄族金属成分を4〜25質量%、Wを15質量%未満、Moを2〜15質量%、Nbを2〜10質量%、Crを0.2〜2質量%を含有し、かつ、鉄族金属成分であるCoとNiについて、CoとNiの合計含有量に対するCo含有量は0.5〜0.8倍(但し、原子比)であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の複合焼結体切削工具。
- 前記複合焼結体切削工具の少なくとも切れ刃を含むWC基超硬合金層の表面に、硬質被覆層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の複合焼結体切削工具。
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