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JP6848939B2 - 溶融めっき熱延鋼板の製造方法及び溶融めっき熱延鋼板、並びに溶融めっき処理用熱延鋼板の製造方法及び溶融めっき処理用熱延鋼板 - Google Patents

溶融めっき熱延鋼板の製造方法及び溶融めっき熱延鋼板、並びに溶融めっき処理用熱延鋼板の製造方法及び溶融めっき処理用熱延鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、溶融めっき熱延鋼板の製造方法及び溶融めっき熱延鋼板、並びに溶融めっき処理用熱延鋼板の製造方法及び溶融めっき処理用熱延鋼板に関するものである。より詳細には、本発明は、母材である溶融めっき処理用熱延鋼板にSiおよびMnを含有する高強度熱延鋼板を用いること、並びに該溶融めっき処理用熱延鋼板に溶融めっきを施した際には、表面外観性、めっき密着性及び耐食性に優れた溶融めっき熱延鋼板が得られることに関するものである。
従来、自動車用鋼板の分野を中心に、高強度鋼板に防錆性を付与した表面処理鋼板、中でも防錆性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板または合金化溶融亜鉛めっき鋼板が使用されてきた。これらの高強度鋼板として、製造コストが安価な熱延鋼板を使用する場合があり、また、耐食性の向上等を目的として溶融めっきを施す場合がある。
一般的に、溶融めっき鋼板は、スラブに熱間圧延またはさらに冷間圧延した薄鋼板を母材として用い、連続式溶融亜鉛めっきライン(以下、CGLと称す)において、母材鋼板を再結晶焼鈍し、その後、溶融めっき処理を行い製造される。また、合金化溶融めっき鋼板は、溶融めっき後、さらに合金化処理を行い製造される。
上記のような用途に使用される溶融めっき鋼板は、表面外観性およびめっき付着性が良好であることに加え、めっき処理などの加工を施した部分の耐食性が極めて重要である。しかしながら、Siを含有する溶融めっき鋼板の製造過程において、酸洗後の鋼板表面に局所的なスケール残りまたは過酸洗による局所的なスマット生成がある場合が多く、当該スケール残りおよびスマット生成は不めっきまたは合金化不全などの欠陥の原因になり易い。例えば、不めっきは、溶融めっき処理中、めっきが鋼板表面の一部に付着しないことに起因して、鋼板表面が部分的に露出する現象である。不めっき部分のサイズは通常mmオーダーのため、その存在を目視することができる。
上記問題を解決するためにいくつかの提案がなされている。例えば、特許文献1には、伸び率0.3%〜2.0%のスキンパス処理後、酸洗・溶融めっき処理し、次いで合金化処理するめっき皮膜の密着性改善方法が提案されている。また、特許文献2には、母材にSi、Mn、Pなどを含有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する際における合金化不良などのめっき欠陥防止対策として、母材となる熱延鋼板の酸洗脱スケールに先立ってショットブラスト処理またはブラシ研削を施す方法が提案されている。
特許文献3には、熱間圧延工程において鋼表層に内部酸化層を形成させることに加え、圧延後の鋼板に高圧水噴射によるデスケーリングを施すことにより、めっき密着性を改善する方法が提案されている。
特許文献4には、熱間鋼板または焼鈍済みの冷延鋼板に、圧下率が1.0%〜20%の軽圧下を施し、520℃〜650℃で5秒以上保持する低温加熱処理を施し、質量%でAl:0.01%〜0.18%を含有する溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、次いで合金化処理する合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が提案されている。
特開2000−109964号公報 特開平6−158254号公報 特開2013−108107号公報 特開2002−317257号公報
上記特許文献1および2で提案されている方法は、脱スケール性の向上には有効である。しかしながら、これらの方法では脱スケール後の熱延板の表面物性が検討されていない。その結果、上記方法は、脱スケール後の熱延板の表面状態の制御が不十分であるため、十分に高いレベルのめっき密着性を備えた鋼板が得られないという問題を解決できていない。
また、特許文献3に記載されている技術は、めっき密着性の改善には有効であるものの、加工時において内部酸化層を基点とした微細なクラックが鋼板表層部及びめっき層に生じ、加工部の耐食性が劣化するという問題を解決できない。
さらに、特許文献4で提案されている方法は、高強度鋼板において現在要求される高い強度と、加工性に対応できる、十分に高いレベルのめっき密着性とを備えた鋼板を得られておらず、加工部の耐食性の向上に必ずしも寄与できるレベルの鋼板には至っていない。
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、表面外観性、めっき密着性及び加工後耐食性に優れた溶融めっき熱延鋼板の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、表面外観性、めっき密着性及び加工後耐食性に優れた溶融めっき熱延鋼板を製造するための溶融めっき処理用熱延鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋭意検討した。その結果、鋼板表面形状と鋼板表層の残留応力量とを制御することにより、表面外観性、めっき密着性及び加工後耐食性に優れた溶融めっき熱延鋼板が得られることを見出した。
また、上記鋼板表面形状と上記鋼板表層の残留応力量との制御には、特定のタイミング、すなわち酸洗工程後に所定条件下でブラスト処理を行うことが有効であることを見出した。
なお、表面外観性に優れるとは、不めっきまたは合金化ムラが認められないめっき外観を有することをいう。
本発明は上記知見に基づくものであり、本発明の特徴は以下の通りである。
[1] 質量%で、C:0.02%以上0.30%以下、Si:0.01%以上1.0%以下、Mn:0.2%以上3.0%以下、P:0.08%以下、S:0.02%以下およびAl:0.001%以上0.20%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成を有する鋼素材に熱間圧延を施して熱延板を作製する熱間圧延工程と、
前記熱延板に対して酸洗処理を行う酸洗工程と、
前記酸洗工程後の熱延板に平均粒径50μm以上300μm未満の粒を0.3MPa以上1.0MPa以下の圧力条件下にて吹き付けるブラスト加工を行うブラスト工程と、
前記ブラスト工程後の鋼板に溶融めっき処理を施す溶融めっき工程と、
を有する、溶融めっき熱延鋼板の製造方法。
[2] 前記ブラスト工程後の熱延板の比表面積率rが、2.5以下である、[1]に記載の溶融めっき熱延鋼板の製造方法。
[3]前記ブラスト工程後の熱延板の算術平均粗さRaが、1.5μm以上6.0μm以下である、[1]または[2]に記載の溶融めっき熱延鋼板の製造方法。
[4] 前記ブラスト工程後の熱延板のα−Fe(211)面の平均残留応力σが、−500MPa以上30MPa以下である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の溶融めっき熱延鋼板の製造方法。
[5] 前記熱間圧延工程は、前記鋼素材に対して粗圧延を施した後、仕上げ圧延温度820℃以上で圧延を終了し、450℃以上650℃以下で巻き取って熱延板を作製する、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の溶融めっき熱延鋼板の製造方法。
[6] 前記ブラスト工程後の熱延板に対して、熱処理工程を施す、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の溶融めっき熱延鋼板の製造方法。
[7]前記熱処理工程は、前記溶融めっき工程前に、雰囲気を水素濃度2体積%以上20体積%以下かつ露点−60℃以上−10℃以下とし、鋼板到達温度(T)が600℃以上750℃以下、T−50℃以上T℃以下の温度域で10秒以上500秒以下保持する、[6]に記載の溶融めっき熱延鋼板の製造方法。
[8]前記溶融めっき工程後、さらに合金化処理を行う合金化工程を有する、[1]〜[7]のいずれか1項に記載の溶融めっき熱延鋼板の製造方法。
[9] 前記鋼素材は、Ti:0.01%以上0.40%以下、Nb:0.001%以上0.200%以下、V:0.001%以上0.500%以下、Mo:0.01%以上0.50%以下およびW:0.001%以上0.200%以下からなる群から選択される1種または2種以上をさらに含有する、[1]〜[8]のいずれか1項に記載の溶融めっき熱延鋼板の製造方法。
[10] 溶融めっき処理に用いられる溶融めっき処理用熱延鋼板の製造方法であって、
質量%で、C:0.02%以上0.30%以下、Si:0.01%以上1.0%以下、Mn:0.2%以上3.0%以下、P:0.08%以下、S:0.02%以下およびAl:0.001%以上0.20%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成を有する鋼素材に熱間圧延を施して熱延板を作製する熱間圧延工程と、
前記熱延板に対して酸洗処理を行う酸洗工程と、
前記酸洗工程後の熱延板に平均粒径50μm以上300μm未満の粒を0.3MPa以上1.0MPa以下の圧力条件下にて吹き付けるブラスト加工を行うブラスト工程と、
を有する、溶融めっき処理用熱延鋼板の製造方法。
[11] 溶融めっき処理に用いられる溶融めっき処理用熱延鋼板であって、
質量%で、C:0.02%以上0.30%以下、Si:0.01%以上1.0%以下、Mn:0.2%以上3.0%以下、P:0.08%以下、S:0.02%以下およびAl:0.001%以上0.20%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成を有し、
前記溶融めっき用下地鋼板の表面が、比表面積率rが、1.1以上2.0以下であり、算術平均粗さRaが、6.0μm以下であり、α−Fe(211)面の平均残留応力σが、−250MPa以上100MPa以下である溶融めっき処理用熱延鋼板。
[12] 前記成分組成として、質量%で、Ti:0.01%以上0.40%以下、Nb:0.001%以上0.200%以下、V:0.001%以上0.500%以下、Mo:0.01%以上0.50%以下およびW:0.001%以上0.200%以下からなる群から選択される1種または2種以上をさらに含有する、[11]に記載の溶融めっき処理用熱延鋼板。
[13] [11]または[12]記載の溶融めっき処理用熱延鋼板上にめっき層を備えた溶融めっき熱延鋼板。
本発明によれば、表面外観性、めっき密着性及び加工後耐食性に優れた溶融めっき熱延鋼板が得られる。
本発明により得られる溶融めっき処理用熱延鋼板は、溶融めっき熱延鋼板の下地鋼板であるため、当該溶融めっき熱延鋼板に対して優れた表面外観性、めっき密着性及び加工後耐食性を付与することができる。
以下、本発明の溶融めっき熱延鋼板の鋼成分組成の限定理由を説明した後、製造方法の各工程および当該製造方法により得られた溶融めっき熱延鋼板について具体的に説明する。なお、以下の説明において、鋼成分組成の各元素の含有量の単位およびめっきの成分組成の各元素の含有量の単位はいずれも「質量%」であり、特に断らない限り単に「%」で示す。また、水素濃度の単位はいずれも「体積%」である。
「鋼成分組成」
C:0.02%以上0.30%以下
Cは少ないほど母材の成形性が良好となるが、Cを含有させることで鋼板の強度を安価に高めることができる。従って、C含有量は0.02%以上とし、好ましくは0.04%以上である。一方、Cを過剰に含有させると鋼板の靱性または溶接性が低下するので、C含有量は0.30%以下とし、好ましくは0.20%以下である。C含有量の好ましい範囲は、これらの上限値および下限値を適宜組み合わせることができる。
Si:0.01%以上1.0%以下
Siは固溶強化元素として有効であり、鋼板の強度を高めるためにも0.01%以上が必要であり、好ましくは0.1%以上必要である。しかしながら、Siを過度に含有させると溶融めっき時の濡れ性を損ない、合金化反応性を損なうために、合金化の調整が困難となってめっき外観またはめっき密着性の低下を招く。以上より、Si含有量は1.0%以下とし、好ましくは0.5%以下である。また、Si含有量の好ましい範囲は、これらの上限値および下限値を適宜組み合わせることができる。例えば、Si含有量は0.01%以上0.5%以下とする。
Mn:0.2%以上3.0%以下
Mnは鋼の強度を高めるのに有用な元素である。この効果を得るには、Mnを0.2%以上含有させる必要があり、好ましくは1.0%以上必要である。しかしながら、Mnを過度に含有させると溶融めっき時の濡れ性を損ない、合金化反応性を損なうため、合金化の調整が困難となってめっき外観またはめっき密着性の低下を招く。以上より、Mn含有量は3.0%以下とし、好ましくは2.6%以下である。また、Mn含有量の好ましい範囲は、これらの上限値および下限値を適宜組み合わせることができる。例えば、Mn含有量は0.2%以上3.0%以下とし、好ましくは1.0%以上2.6%以下である。
P:0.08%以下
Pが0.08%を超えて含有されると、溶接性が劣化すると共に表面品質が劣化する。また、合金化処理時には合金化処理温度をより高くしないと所望の合金化度とすることができない。一方、合金化処理温度を上昇させると母材鋼板の延性が劣化すると同時に合金化溶融めっき層の密着性が劣化する。そのため、P含有量は0.08%以下であり、好ましくは0.02%以下である。P含有量の下限は特に規定しないが、P含有量が0.001%未満では製造過程において生産能率低下と脱燐コスト増を招く。したがって、P含有量は好ましくは0.001%以上、より好ましくは0.003%以上とする。また、P含有量の好ましい範囲は、これらの上限値および下限値を適宜組み合わせることができる。
S:0.02%以下
Sが粒界に偏析するまたはMnSが多量に生成する場合、靭性が低下するため、S含有量を0.02%以下とする必要があり、好ましくは0.005%以下である。S含有量の下限は特に限定されず、不純物程度であってもよい。例えば、S含有量が0.0001%未満では製造過程において生産能率低下とコスト増を招く。そこで、S含有量は0.0001%以上とすることが好ましく、0.0005%以上とすることがより好ましい。また、S含有量の好ましい範囲は、これらの上限値および下限値を適宜組み合わせることができる。
Al:0.001%以上0.20%以下
Alは溶鋼の脱酸を目的に添加されるが、その含有量が0.001%未満の場合、その目的が達成されない。そのため、Al含有量は0.001%以上とし、好ましくは0.0.005%以上である。一方、Al含有量が0.20%を超えると、介在物が多量に発生し、鋼板の疵の原因となる。そのため、Al含有量は0.20%以下とし、好ましくは0.08%以下である。また、Al含有量の好ましい範囲は、これらの上限値および下限値を適宜組み合わせることができる。
上記以外の残部はFe及び不可避的不純物である。以上が本発明に係る母材鋼板の基本成分である。上記基本成分に加えて、母材鋼板の成分組成は、必要により以下の成分をさらに含んでもよい。
本発明では、必要により下記を目的として、質量%で、Ti:0.01%以上0.40%以下、Nb:0.001%以上0.200%以下、V:0.001%以上0.500%以下、Mo:0.01%以上0.50%以下およびW:0.001%以上0.200%以下からなる群から選択される1種または2種以上を熱延鋼板の鋼成分組成としてさらに含有することができる。
Ti、Nb、V、MoおよびWは、母材鋼板中に析出物(特に、炭化物)を析出させるために必要な元素であり、これらの元素からなる群から選ばれる1種または2種以上を添加することが好ましい。通常、これらの元素は、母材鋼板中でこれらの元素を含む析出物の形で含有される場合が多い。
これらの元素のなかで、特にTiは析出強化能が高く、コストの観点からも有効な元素である。しかしながら、Ti含有量が0.01%未満では合金化溶融めっき層中に析出物(特に、炭化物)を含有させるために必要な母材鋼板中の析出物量が不十分な場合がある。一方、Ti含有量が0.40%を超えるとその効果は飽和し、コストアップとなる。そのため、Tiを含有する場合のTi含有量は、0.01%以上0.40%以下である。
なお、Nb、V、MoおよびWのうちいずれか1種または2種以上を鋼組成成分として含有する際の理由も、上記Ti含有量の範囲の上限および下限に関する理由と同様に、Nb含有量は0.001%以上0.200%以下、V含有量は0.001%以上0.500%以下、Mo含有量は0.01%以上0.50%以下、W含有量は0.001%以上0.200%以下であることが好ましい。
なお、本発明に係る溶融めっき処理用熱延鋼板の鋼成分組成の限定理由は、溶融めっき熱延鋼板と同一である。したがって、上記鋼成分組成の内容は、溶融めっき処理用熱延鋼板の製造方法に援用できる。
次に、本発明に係る溶融めっき熱延鋼板の製造方法について説明する。
本発明に係る溶融めっき熱延鋼板の製造方法は、上記記載の成分組成を有する鋼スラブに対して熱間圧延工程により熱延板を作製した後、当該熱延板を酸洗してスケールを除去する酸洗工程を経て、0.3MPa以上1.0MPa以下の圧力条件下、平均粒径50μm以上300μm未満の粒(例えば、噴射材)によりブラスト加工を行うブラスト工程を行い、次いで溶融めっき処理を施す溶融めっき工程を有する。
上記製造方法によって、所定の比表面積率もしくは所定の算術平均粗さを示す表面形状を備えた鋼板表面、または所定範囲内の残留応力量を備えた鋼板表層が形成されるため、表面外観性、めっき密着性及び加工後耐食性に優れた溶融めっき熱延鋼板を得ることができる。以下、各工程について説明する。
「熱間圧延工程」
本発明に係る熱間圧延工程は、上記記載の成分組成を有する鋼素材(例えば、鋼スラブ)に対して1100℃以上1300℃以下の温度範囲で加熱した後、熱間圧延することにより熱延板を作製する工程であることが好ましい。
また、本発明に係る熱間圧延工程は、加熱した鋼素材に対して粗圧延を施した後、仕上げ圧延温度820℃以上で圧延を終了し、450℃以上650℃以下で巻き取って熱延板を得ることが好ましい。
(鋼素材加熱温度)
TiまたはNb等の微細析出の分散を行うためには、熱間圧延を行う前にTiまたはNb等を一旦鋼板中に溶解させる必要がある。そのため、熱間圧延する前の加熱温度(スラブ加熱温度)は1100℃以上が好ましい。一方で、熱間圧延する前の加熱温度が1300℃を超える場合には、鋼板表層での内部酸化が促進され、表面性状が劣化する虞がある。よって、熱間圧延前のスラブ加熱温度は1100℃以上1300℃以下が好ましい。
(仕上げ圧延温度)
熱間圧延の際の変形抵抗を小さくし、操業を容易にするために、仕上げ圧延温度は820℃以上とすることが好ましい。一方、1000℃を超えて仕上げ圧延を施すと、スケール疵が発生しやすくなり、後工程に得られる鋼板の表面性状が劣化する虞がある。よって、仕上げ圧延温度は、820℃以上が好ましく、820℃以上1000℃以下がより好ましい。
(巻取り温度)
本発明に係る鋼板は、Si、MnまたはTiを初めとした易酸化性元素を含有する。そのため、鋼板の過度な酸化を抑制し、良好な表面性状を確保するためには、巻取り温度は650℃以下であることが好ましい。一方、巻取り温度が450℃未満の場合には、冷却ムラに起因したコイル性状不良が生じやすくなるために、生産性を損なう虞がある。よって、熱延巻取り温度は450℃以上650℃以下とすることが好ましい。
「酸洗工程」
本発明に係る酸洗工程は、前記熱間圧延工程によって得られた熱延板に対して、酸洗処理を行う工程である。
前記熱間圧延工程によって得られた熱延板は、酸洗によって脱スケールされ、その後ブラスト加工が実施される。酸洗処理は特に限定されず、常法でよい。例えば、本工程の酸洗処理で使用可能な酸は、熱延板の脱スケールを目的とした酸洗で一般的に使用されている取扱い容易な酸であればよい。例えば、塩酸、硫酸または硝酸などの酸が酸洗液として使用され、必要により過酸洗を抑制するためのインヒビターが酸洗液に添加されうる。
また、必要により、酸洗工程の前に5%以下の軽度の圧延が施されても良い。この軽度の圧延によって脱スケール性が向上するため、前記軽度の圧延はブラスト工程後に得られる鋼板の表面性状の改善に繋がる。一方、本発明に係る製造方法では、酸洗工程後に1%以上10%以下の圧下率の圧延を行わないことが好ましい。酸洗工程後に上記範囲の圧下率の圧延が熱延板に施されると、算術平均粗さが小さくなりすぎるという新たな問題が生じる。
「ブラスト工程」
本発明に係るブラスト工程は、前記酸洗した熱延板に平均粒径50μm以上300μm未満の粒を0.3MPa以上1.0MPa以下の圧力条件下にて吹き付けるブラスト加工を行う工程である。この工程により、鋼板表面形状の制御または鋼板表層の残留応力量の制御を行うことができる。より詳細に説明すると、本発明に係るブラスト工程は、デスケーリングを目的とするものではなく、鋼板表面形状の制御および鋼板表層の残留応力量の制御を目的とするものである。したがって、本発明に係るブラスト工程は、酸洗工程の後に行うことを必須とする。すなわち、本発明は、めっき前に所望の表面形状および所望の残留応力量を熱延板表層に付与することが肝要であることから、ブラスト加工後に酸洗が行われると、折角整えた表面形状が酸洗によって消失してしまう。その結果、表面外観性、めっき密着性及び加工後耐食性に優れた溶融めっき熱延鋼板が得られないことになる。
また、本発明に係るブラスト工程は、酸洗工程後、かつ後述の溶融めっき工程前に行う。後述の熱処理工程を行う場合、ブラスト工程は、酸洗工程後、かつ後述の熱処理工程前に行われることがより好ましい。
本発明に係るブラスト加工における噴射方式は、一般的に挙げられる、空気式(湿式および乾式を含む)または機械式の噴射方法のうち、連続操業時の乾燥工程省略の観点から、空気式を採用することが好ましい。本発明の空気式のブラスト加工は、圧縮空気によって、粒(いわゆる、噴射材)が酸洗した熱延板の面に吹き付けられることでその表面が物理的に変化するため、前記鋼板表面の算術平均粗さの制御、前記鋼板表面の比表面積の制御または前記鋼板に対する残留応力の付与が可能となる。
本発明に係るブラスト加工としては、サンドブラスト加工、ショットブラスト加工またはグリットブラスト加工が挙げられ、好ましくはショットブラスト加工である。
(平均粒径50μm以上300μm未満の粒)
本ブラスト工程における粒とは、一般的には、加工物に対して吹き付けられる、噴射材、投射材または研磨材などと呼ばれる粒体をいう。当該粒は、所定範囲の残留応力値、所定範囲の算術平均粗さまたは所定範囲の比表面積率のいずれかを、酸洗した熱延板に対して与えることができれば特に制限されることはない。当該粒は、例えば、カットワイヤー、鋳鋼粒子(スチールショット、スチールグリッド)、金属系微粒子(鉄、銅、鉛、アルミニウム、ニッケル)または非金属系の微粒子(硅砂、アルミナ、炭化珪素など)が用いられる。特に、本発明に係る粒は、酸洗した熱延板表面の比表面積を制御しやすい噴射材を用いることが好ましい。本発明に係る粒の好適な例は、酸洗した熱延板上に付着した残留粒子が後工程に及ぼす影響または粒の硬度とブラスト加工の噴射対象物の硬度との関係の観点から、鋼板と同じ金属材料を用いることが好ましく、例えば鉄製が好ましい。
また、本発明に係る粒の硬度はビッカース硬度Hvで150以上が好ましい。粒の硬度がビッカース硬度で150未満になると、酸洗した熱延板の硬度に対する粒の硬度が不十分となり、その結果、残留応力の付与が不十分となるおそれがある。なお、粒のビッカース硬度はマイクロビッカース硬度試験により求められる。
本発明に係るブラスト工程は、鋼板表面のめっき性を改善するために、熱間圧延工程および酸洗工程後に実施する。この際、平均粒径50μm以上300μm未満の粒を用いることで、熱延板の表面性状を、効率的に矯正することができる。粒の平均粒径が50μm未満になると、表面に微小な凹凸が多数導入されて比表面積が増大するため、SiおよびMn酸化物によるめっきを阻害する効果が顕著となり、めっき性の劣化を招く。一方、粒の平均粒径が大きいほど熱延板に導入される残留応力も増加すると共に、熱延板表面の微小凹凸の減少に伴って比表面積が低下する。しかし、粒の平均粒径が300μm以上となると、表面のマクロな凹凸である算術平均粗さRaが大きくなりすぎると共に、過剰な残留応力が熱延板に導入される。その結果、めっき付着量ムラまたは合金化ムラが誘発され、めっき外観不良または耐パウダリング性・加工後耐食性低下の要因となる上、焼鈍中に表層組織が粗大化しやすく、強度の低下にもつながる。したがって、本発明に係る粒の平均粒径の上限値は、300μm未満とし、200μmであることが好ましい。また、当該粒の平均粒径の下限値は、50μmとし、100μmであることが好ましい。これらの上限値および下限値を適宜組み合わせることができる。
なお、本発明における粒の平均粒径は、粒の1次粒子における体積平均粒径をいう。当該体積平均粒径の測定は、公知の方法を採用でき、例えば、電子顕微鏡(SEM、TEM)、動的光散乱法、レーザー回折法、画像イメージング法またはコールター法などを用いて測定することができる。本発明では、画像イメージング法による粒子の円(球)近似によって、粒の1次粒子の体積平均粒径を測定している。
(ブラスト加工圧力)
本発明に係るブラスト加工の際の圧力条件は、0.3MPa以上1.0MPa以下の圧力とする。ここでいう圧力は、粒(例えば、噴射材)と共に射出される圧縮空気圧に相当し、ノズル近傍に設置した圧力計で測定される。この時、ブラスト加工の方法は限定されず、乾式でも湿式でも良い。圧力(空気圧)が大きくなると、粒によって導入される残留応力が増加すると共に、粒の平均粒径が前記好適範囲内であれば、酸洗した熱延板表面の微小凹凸が減少し、比表面積が低下する。この時、空気圧が0.3MPa以上であると、残留応力の導入及び比表面積の低減効果が充分となり、最終的に得られる母材鋼板表面のめっき性が改善される。また、空気圧が1.0MPa以下であると、酸洗した熱延板の表面性状または鋼板表層の残留応力量が所定の範囲内に制御される。
一方、0.3MPa未満の噴射圧力では残留応力の付与が不十分となるおそれがある。また噴射圧力が1.0MPaを超えると、過剰な残留応力が酸洗した熱延板に導入されることとなる。その結果、めっき付着量ムラまたは合金化ムラが誘発され、めっき外観不良または耐パウダリング性・加工後耐食性低下の要因となる。さらには、焼鈍中に表層組織が粗大化しやすくなり、強度の低下にもつながる。したがって、本発明に係る粒を吹き付ける際の圧力の上限値は、1.0MPaとし、0.8MPaであることが好ましい。また、当該圧力の下限値は、0.3MPaとし、0.5MPaであることが好ましい。
(ブラスト加工条件)
本発明に係る空気圧以外の噴射条件は、公知の条件を採用でき、例えば、Q:粒の噴射流量(kg/min)、t:粒の噴射時間(sec)、W:ノズル径(m)があり、前記粒の粒径D(m)、ρ:粒の密度(kg/m)と合わせ、以下の式(1)を満たす範囲で噴射を実施することが好ましい。
[数1]
5.0×10≦E=Q×P×t/(D×π×W×ρ×60)≦1.0×10 式(1)
(上式(1)中、Pは噴射圧力(例えば、上記空気圧)(Pa)を表わし、Eは鋼板が受ける運動エネルギー(J/m)を表わし、πは円周率(=3.14)を表わす。)
鋼板が受ける運動エネルギーEが上記範囲内になるよう、上記式(1)中の各パラメーター「Q:粒の噴射流量(kg/min)、t:粒の噴射時間(sec)、W:ノズル径(m)、粒の粒径D(m)、ρ:粒の密度(kg/m)およびP:噴射圧力(Pa)」を適宜設定することができる。例えば、鋼板が受ける運動エネルギーEが上記範囲となる一例として、上記各パラメーターが以下の範囲になる条件が挙げられる。
上記P(噴射圧力(Pa))は、0.3MPa以上1.0MPa以下が好ましい。上記Q(粒の噴射流量(kg/min))は、0.05kg/min以上1kg/min以下が好ましい。上記t(粒の噴射時間(sec))は、0.5sec以上12sec以下が好ましい。上記W(ノズル径(m))は、0.005m以上0.1m以下が好ましい。上記D(粒の粒径(m))は、50×10−6m以上300×10−6m未満が好ましい。上記ρ(粒の密度(kg/m))は、4200kg/m以上8700kg/m以下が好ましい。
本発明のブラスト工程により、当該ブラスト工程後の熱延板の比表面積率rは、2.5以下になることが好ましい。
上記ブラスト工程後の熱延板表面の比表面積率が高いと、後工程の焼鈍後に形成されるSi及びMn酸化物量が増加するため、めっきはじきが顕著となり、めっき濡れ性を大きく損なう。そのため、前記表面の比表面積率が2.5を超えると、耐パウダリング性・加工後耐食性が著しく劣化する。前記比表面積率rの上限値は、2.2が好ましく、2.0がより好ましい。上記ブラスト工程後の熱延板表面の比表面積率は低い程好ましい。例えば、前記比表面積率rの下限値は、1.4が好ましく、1.2がより好ましい。
ここで比表面積率とは、鋼板表面の微小凹凸を考慮した実表面積と鋼板表面の凹凸を考慮しない二次元平面の面積との比率(実表面積/面積)に相当する値である。比表面積率の測定方法は特に限定せず、たとえばレーザー顕微鏡を用いて求めることができる。他にも3次元SEM観察や断面TEM観察による評価も考えられるが、nmオーダーの微細な凹凸を広範囲に評価可能な点から、レーザー顕微鏡が最も適していると考えられる。また、本明細書では、レーザー顕微鏡(Keyence社製)のVK−X250を用いて、鋼板毎に任意の視野を5箇所選択し、その平均値を比表面積率として定義している。
本発明のブラスト工程により、当該ブラスト工程後の熱延板の算術平均粗さRaは、1.5μm以上6.0μm以下になることが好ましい。
上記算術平均粗さRaは、大きくなりすぎるとめっき付着量ムラが大きくなり、めっき鋼板の外観が劣化する。そのため、上記Raは、6.0μm以下であることが好ましく、4.5μm以下であることがより好ましく、3.0μm以下であることがさらに好ましい。一方、Raが小さくなりすぎてしまうと、めっき/地鉄界面が平滑化することによりアンカリング効果が失われてしまう。その結果、鋼板加工時の亀裂進展が抑止されず、パウダリング性が劣化する。そのため、上記算術平均粗さRaは1.5μm以上であることが好ましく、2.0μm以上がより好ましい。
上記算術平均粗さRaは、JISB0601(2013)に規定されている方法、触針法または公知の光学的方法により測定することができる。本発明では触針法を採用している。
本発明のブラスト工程後の熱延板のα−Fe(211)面の平均残留応力σは、−500MPa以上−30MPa以下になることが好ましい。
本発明では、母材になる熱延板表面に圧縮残留応力が導入されることにより、Fe−Al反応性、Fe−Zn合金化反応性が向上する。また、表面に圧縮残留応力が導入されると、酸洗後に形成される酸化皮膜の還元を促進する。このようなめっき特性の改善効果を得るために、上記残留応力が−500MPa以上−30MPa以下の範囲内とすることが好ましい。前記残留応力は、本ブラスト加工処理で導入することができる。上記残留応力が−30MPaを超えると、圧縮残留応力の導入が不十分となり、めっき特性の改善効果が発現しにくい。一方、上記残留応力が−500MPa未満であると、Fe−Zn反応性の向上効果が過剰になり、均一な合金化反応を抑制することが困難になり、合金化ムラ等のめっき不良を招く。さらに、上記残留応力が−500MPa未満であると、鋼板表層に多量の転位が導入されることによって、めっき処理前の熱処理中に表層組織が粗大化しやすく、強度の低下にもつながる。したがって、ブラスト工程後の熱延板表面のα-Fe(211)面の平均残留応力σは、−500MPa以上−30MPa以下が好ましく、より好ましくは−250MPa以上−30MPa以下である。
また、平均残留応力σの測定には並傾法を使用し、鋼板の残留応力(σ)は、X線回折装置を用いて、任意の場所・方向からの分析結果5点の平均により導出した。α-Fe(211)面ピーク強度(S)の変位値(ΔS)と傾斜角度ψの関係から、式(2)に従って勾配(R)を算出し、鋼材のヤング率(E)と合わせ、以下の式(3)により残留応力(σ)を求めることができる。
[数2]
R=ΔS/(sinψ) (2)
σ=R×E (3)
なお、本発明のα−Fe(211)面の平均残留応力σの測定は特に制限されることは無く、公知の方法により測定することができるが、X線応力測定法標準(1997年版 日本材料学会X線材料強度部門委員会)に記載の方法を採用している。
以上のことから、本発明は、酸洗工程後のブラスト工程により、鋼板表面の形状及び残留応力量が制御されるため、溶融亜鉛めっき処理中の反応ムラを抑制することに加え、加工部の局所的な耐食性劣化を防ぐことを特徴とする。
「熱処理工程」
本発明に係る熱処理工程は、少なくとも後工程の溶融めっき工程に必要な温度(例えば、めっき浴温度)以上の温度条件下において、前記ブラスト加工した熱延板に対して熱処理を行う工程である。また、熱延板表面に形成された自然酸化皮膜を還元する目的により熱処理工程を行う場合は、少なくとも600℃の温度条件で前記ブラスト加工した熱延板に対して熱処理を行うことが好ましい。さらに、本発明に係る熱処理工程は、上記ブラスト工程後、かつ後述の溶融めっき工程前に行われることが好ましい。
本発明に係る熱処理工程は、炉内雰囲気を水素濃度2体積%以上20体積%以下、かつ露点−60℃以上−10℃以下とし、鋼板到達温度(T)が600℃以上750℃以下であり、T−50℃以上T℃以下の温度域で10秒以上500秒以下保持する熱処理を前記ブラスト加工した熱延板に対して施すことが好ましい。
溶融めっき工程前の熱処理の温度条件は、鋼板到達温度を600℃以上750℃以下とすることが好ましい。鋼板到達温度が600℃未満の場合、酸洗後の酸化皮膜が完全には還元されず、所望するめっき特性を得ることができない。また、鋼板到達温度が750℃を超える場合、Si、Mnなどが表面濃化してめっき性を劣化させる虞がある。
本発明に係る炉内雰囲気は、水素濃度が2体積%以上30体積%以下であり、かつ露点が−60℃以上−10℃以下であることが好ましい。炉内雰囲気は、還元性であれば良く、露点−60℃以上−10℃以下、水素濃度:2体積%以上30体積%以下で残部が不活性ガスからなる雰囲気が好適である。露点が−10℃を超えると、鋼板表面に生成するSi及びMn酸化物の形態が膜状となり易い。そして、膜状のSi及びMn酸化物は、めっきはじきの原因となるため、結果的にはめっき濡れ性を大きく損なう。一方、−60℃未満の露点は工業的に実現が困難である。
水素濃度が2体積%未満の場合は、還元性が弱い。一方、水素濃度が30体積%を超えると、還元能力が飽和することに加え、鋼中に多量の水素が導入され、耐遅れ破壊特性や穴広げ加工性等の劣化につながる可能性がある。そのため、水素濃度の上限は30体積%である。
なお、本発明に係る溶融めっき処理用熱延鋼板の製造方法は、溶融めっき工程を行わないこと以外、溶融めっき熱延鋼板の製造方法と同一である。したがって、溶融めっき工程以外の上記工程の内容は、溶融めっき処理用熱延鋼板の製造方法に援用できる。
「溶融めっき工程」
本発明に係る溶融めっき工程は、前記ブラスト工程後の鋼板に溶融めっき処理を施す工程である。当該溶融めっき工程は、440℃以上480℃以下の浴温を示し、かつAlを含有する溶融亜鉛めっき浴を用いて、前記熱処理した熱延鋼板にめっき処理を施す工程であることが好ましい。
本発明に係る溶融めっき処理は、連続溶融めっきラインにて、前記鋼板を熱処理(例えば、還元焼鈍)した後、上記溶融めっき浴を用いて実施する。
本発明に係る溶融めっき浴の組成は特に制限されず、亜鉛めっき浴、アルミめっき浴または錫めっき浴などの公知のめっき浴を目的または用途に応じて使用することができる。例えば、上記溶融めっき浴の組成が、溶融亜鉛めっき処理に使用される場合、当該溶融めっき浴の組成は、Al濃度0.01%以上1.0%以下の範囲とし、かつ残部をZnおよび不可避的不純物とすることが好ましい。Al濃度が0.01%未満である場合、めっき処理時にZn−Fe合金化反応が起こり、めっきと鋼板(母材)の界面に脆い合金層が発達する。そして、発達した合金層はめっき密着性を劣化させる原因になる。Al濃度が1.0%を超えるとFe−Al合金層の成長が顕著となり、当該合金層がめっき密着性を阻害する。溶融亜鉛めっき浴の温度は特に限定する必要はなく、通常の操業範囲である440℃以上、480℃以下でよい。
特に、Zn−Fe合金化反応を抑制する効果が重視される場合、上記溶融亜鉛めっき浴は、AlおよびZnを必須に含み、必要によりさらにMgを含んでもよい。すなわち、上記溶融亜鉛めっき浴の成分組成は、質量%で、Al:0.01%以上1.0%以下を含有し、必要により、Mg:0.5%以上10.0%以下をさらに含有し、かつ残部がZnおよび不可避的不純物の成分組成を示すことが好ましい。また、Zn−Fe合金化反応を抑制する効果を発揮する観点から、上記溶融亜鉛めっき浴は、さらに質量%で、Cr、Pb、Sb、Sr、Si、Sn、Mn、Ni、Co、ZrおよびBiからなる群から選択される1種または2種以上を合計0.01〜0.5%を含有することが好ましい。
また、本発明に係る溶融めっき工程におけるめっき付着量については、片面当たり20g/m以上120g/m以下であることが好ましい。付着量が20g/m未満であると、所望の耐食性を確保できない。一方、付着量が120g/mを超えると付着量ムラを抑制し難く、その結果、めっき鋼板の外観を劣化させる可能性が生じる。例えば、上記めっき浴を使用しためっき処理の場合、熱処理または焼鈍した鋼板が前記めっき浴に浸漬されて溶融めっき処理を行った後、前記めっき浴からめっき処理した鋼板が引き上げられ、次いでガスワイピング処理などによりめっき付着量が上記範囲内に調整されうる。
「合金化処理」
本発明に係る合金化工程は、常法の加熱合金化処理を施すことが好ましい。また、当該加熱合金化処理の条件は、特に制限されることはないが、例えば、合金化処理温度が550℃以下であり、合金化処理時間が10秒以上60秒以下であることが好ましい。
上記合金化処理温度が550℃を超えると、合金化処理の際に、鋼板(母材)とめっき皮膜との界面に硬質で脆いΓ相の生成が著しく増加することにより、耐パウダリング性が劣化する。したがって、合金化処理温度は550℃以下であることが好ましく、530℃以下であることがより好ましい。また、当該合金化処理温度の下限値は、480℃が好ましい。上記合金化処理時間は、コストまたは制御上の問題点から、10秒以上60秒以下とすることが好ましく、40秒以内であることがより好ましい。
上記合金化処理における加熱方法は特に限定する必要がなく、輻射加熱、通電加熱、高周波誘導加熱など、公知のいずれの方法でもよい。合金化処理が施された後、合金化処理後の鋼板は常温まで冷却される。溶融めっき工程後の後処理は特に限定する必要はなく、調質圧延による材質の調整またはレベリング等による平坦形状の調整、さらには必要に応じてクロメート処理など通常行われる後処理が施されてもよい
本発明に係る溶融めっき熱延鋼板の製造方法の好ましい形態の一つは、熱間圧延処理により上記記載の成分組成を有する鋼スラブから熱延板を作製した後、前記熱延板を酸洗し、次いで、平均粒径50μm以上300μm未満の噴射材を用いて、空気圧0.3MPa以上1.0MPa以下で酸洗した熱延板に対してブラスト加工を行い、さらに、溶融めっき処理前の炉内雰囲気を水素濃度2体積%以上30体積%以下、かつ露点−60℃以上−10℃以下とし、鋼板到達温度を600℃以上750℃以下とする熱処理を行った後、溶融めっき処理を行う。また必要により、前記溶融めっき処理後、得られた鋼板に対して合金化処理をさらに施してもよい。本発明に係る溶融めっき熱延鋼板の製造方法は、熱間圧延工程、酸洗工程、ブラスト工程、熱処理工程および溶融めっき工程の順に行うことが好ましい。
本発明に係る溶融めっき熱延鋼板は、上記説明した工程または上記好ましい製造方法を経て得られる。すなわち、本発明の溶融めっき熱延鋼板は、質量%で、C:0.02%以上0.30%以下、Si:0.01%以上1.0%以下、Mn:0.2%以上3.0%以下、P:0.08%以下、S:0.02%以下およびAl:0.001%以上0.20%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成を有する母材鋼板と、前記母材鋼板の表面に片面あたりのめっき付着量が20g/m以上120g/m以下の亜鉛系めっき層と、を備え、前記母材鋼板表面の比表面積率rが2.0以下である。
また、前記溶融めっき熱延鋼板の成分組成は、質量%で、Ti:0.01%以上0.40%以下、Nb:0.001%以上0.200%以下、V:0.001%以上0.500%以下、Mo:0.01%以上0.50%以下およびW:0.001%以上0.200%以下のうち1種または2種以上をさらに含有してもよい。
本発明は、表面外観性、めっき密着性及び加工後耐食性に優れた溶融めっき熱延鋼板を提供することを別の目的とする。本発明に係る溶融めっき熱延鋼板は、母材鋼板表面の形状または残留応力量が特定の範囲に制御されているため、加工後にも高い耐食性を有する。そして、加工後の高い耐食性は、複雑な成型を有する部材の製造に効果的であり、本発明により得られる工業上の効果は大きい。
続いて、本発明に係る溶融めっき熱延鋼板における亜鉛系めっき層及び溶融めっき熱延鋼板の下地である母材鋼板の形状について説明する。
上記母材鋼板表面の比表面積率rの上限値は、2.0が好ましく、1.6がより好ましい。一方、前記比表面積率rの下限値は、1.1が好ましく、1.2が好ましく、1.6がより好ましい。上記母材鋼板表面の比表面積率を上記範囲内に制御することにより、Si及びMn酸化物量が抑制されるため、めっき濡れ性および耐パウダリング性・加工後耐食性が向上する。
上記亜鉛系めっき層は、Al含有亜鉛系めっき層が好ましく、片面あたりのめっき付着量が20g/m以上120g/m以下である。めっき付着量が20g/m未満では耐食性の確保が困難になる。一方、めっき付着量が120g/mを超えると耐めっき剥離性が劣化する。
本発明に係る母材鋼板表面のα−Fe(211)面の平均残留応力σは、−250MPa以上100MPa以下であることが好ましく、−200MPa以上0MPa以下であることがより好ましい。上記範囲内の圧縮残留応力が母材である母材鋼板の表層に導入されていると、Fe−Al反応性、Fe−Zn反応性が改善されるため、Fe−Al合金層、Fe−Zn合金層を適度の量に維持することができ、めっき密着性・耐パウダリング性及び加工後耐食性が向上する。
上記母材鋼板表面の算術平均粗さRaは、1.5μm以上6.0μm以下であることが好ましく、2.0μm以上4.5μm以下であることがより好ましい。上記母材鋼板表面の算術平均粗さRaを上記範囲内に制御することにより、Fe−Al合金層、Fe−Zn合金層を適度に維持できるため、めっき密着性および耐パウダリング性が向上する。
本発明に係る溶融めっき処理用熱延鋼板の製造方法は、溶融めっき工程を行わないこと以外、溶融めっき熱延鋼板の製造方法と同一である。そのため、当該溶融めっき処理用熱延鋼板の製造方法も、上記の熱間圧延工程、上記の酸洗工程、上記のブラスト工程および必要により施される熱処理工程の順に行うことが好ましい。
本発明に係る溶融めっき熱延鋼板は、溶融めっき処理用熱延鋼板上にめっき層を備えている構成である。上記溶融めっき処理用熱延鋼板の製造方法により得られた溶融めっき処理用熱延鋼板の表面性状(Ra、比表面積率)および残留応力と、溶融めっき熱延鋼板の母材鋼板の表面性状および残留応力とを比較すると、溶融めっき処理前後による表面性状および残留応力は実質的に変化していないことが判った。一方、熱処理工程(焼鈍)前後における鋼板の表面性状および残留応力を比較すると、比表面積率および残留応力は変化することが確認された。したがって、めっき工程直前の溶融めっき処理用熱延鋼板の比表面積率および残留応力は、上記溶融めっき熱延鋼板の母材鋼板の記載内容を援用することができる。例えば、溶融めっき処理用熱延鋼板の比表面積率および残留応力は、それぞれ独立して、1.1以上2.0以下、−250MPa以上100MPa以下になると考えられる。また、溶融亜鉛めっき処理後の母材鋼板の算術平均粗さは、ブラスト工程直後の算術平均粗さとほぼ同程度と考えられる。したがって、めっき工程直前の溶融めっき処理用熱延鋼板の算術平均粗さRaは、上記溶融めっき熱延鋼板の算術平均粗さRaの内容を援用することができ、6.0μm以下であることが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
表2のNo.19の比較例は、製造工程の順序が他の例と異なるものであり、発明鋼種Eを用いて、通常の鋳造工程、表2に示す条件の熱間圧延工程、表2に示す条件のブラスト工程、酸洗工程および溶融亜鉛めっき工程の順に行うことで溶融亜鉛めっき鋼板を作製した。一方、その他の実施例および比較例については、表1に示す成分を有する鋼スラブを用い、通常の鋳造後、表2に示す条件の熱間圧延工程、酸洗工程、表2に示す条件のブラスト工程および以下の条件の溶融亜鉛めっき工程の順に行い、さらに一部については合金化処理を行うことで溶融亜鉛めっき鋼板を作製した。
前記酸洗工程および前記ブラスト工程を施すに際し、浴温度を60℃、塩酸濃度を5%の条件による酸洗工程を熱延板に対して行った後、粒(噴射材)としてJISG5903の粒度S40を用いて、ブラスト加工を行った。本実施例では、その他のブラスト加工条件を、表の条件とした。
前記溶融亜鉛めっき処理を施すに際し、亜鉛めっき浴温度が460℃であり、Al濃度が0.14%であり、かつ残部がZnおよび不可避的不純物であるAl含有亜鉛めっき浴を用いて、ワイピングでめっき付着量を50g/m2に調整した。合金化処理は、合金化温度520℃で実施した。
以上により得られた溶融亜鉛めっき鋼板について、下記に示す試験を行い、めっき表面外観性及びめっき密着性を評価した。測定方法および評価基準を下記に示す。
「ブラスト加工後の熱延板表面性状および残留応力の測定」
<算術平均粗さ測定>
ブラスト工程直後の鋼板表面の算術平均粗さRaは、圧延方向及び圧延方向と直行する方向について算術平均粗さをカットオフ:0.8mm、測定長さ:2.5mmの条件の下測定し、それぞれの方向に対して3回測定を行い、得られた結果の平均値とした。
<比表面積率測定>
ブラスト工程直後の鋼板比表面積について、レーザー顕微鏡(Keyence製:VK−X250)を用いて表面形状を走査して算出した。観察倍率は3000倍とし、z軸の分解能は0.5nm、x軸及びy軸の分解能0.1μmの条件下で観察・解析を行った。また面積率の導出に当たり、鋼板毎に任意の視野を5箇所選択し、その平均値を比表面積率rとした。
<残留応力試験>
ブラスト工程直後の鋼板表面の残留応力(σ)は、X線回折装置を用いて、任意の場所・方向からの分析結果5点の平均により導出した。
「めっき処理後の鋼板特性の測定」
<外観性試験>
溶融めっき工程後および合金化処理後の外観は、目視観察により確認し、不めっきおよび合金ムラがないものを○、不めっきまたは合金ムラがあるものは×とした。
<剥離性試験>
(めっき密着性)
溶融亜鉛めっき鋼板のめっき密着性は、ボールインパクト試験で評価した。すなわち、ボール重量2.8kg、落下高さ1mの条件で、ボールインパクト試験を行い、加工部をテープ剥離し、めっき層の剥離有無を目視判定した。
○ めっき層の剥離なし
× めっき層が剥離
(耐パウダリング性)
合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき密着性は、耐パウダリング性を試験することで評価した。すなわち、合金化溶融亜鉛めっき鋼板にセロハンテープを貼り、テープ面を90度曲げた後、曲げ戻しを施し、テープを剥がした。そして、剥がしたテープに付着した鋼板の一部から、曲げ戻し部10mm×40mm当たりの剥離しためっきの量を、蛍光X線によるZnカウント数として測定し、下記基準に照らして評価した。
蛍光X線カウント数 ランク
3000未満 : ◎(良)
3000以上6000未満 : ○
6000以上 : ×(劣)
<耐食性試験>
(加工後耐食性)
上記めっき密着性試験と同様の加工を行い、テープ剥離をしない試験片を用意し、日本パーカライジング社製の脱脂剤:FC−E2011、表面調整剤:PL−Xおよび化成処理剤:パルボンドPB−L3065を用いて、下記の標準条件で化成処理めっき皮膜付着量が1.7g/m以上3.0g/m以下となるよう化成処理を施した。
[標準条件]
・脱脂工程;処理温度が40℃、処理時間が120秒
・スプレー脱脂、表面調整工程;pHが9.5、処理温度が室温、処理時間が20秒
・化成処理工程;化成処理液の温度が35℃、処理時間が120秒
上記化成処理を施した試験片の表面に、日本ペイント社製の電着塗料:V−50を用いて、膜厚が25μmとなるように電着塗装を施し、下記の腐食試験に供した。
[塩水噴霧試験(SST)]
化成処理、電着塗装を施した上記試験片のGA(合金化溶融亜鉛めっき鋼板)では曲げ加工部表面及びGI(溶融亜鉛めっき鋼板)ではボールインパクト部分に、カッターでめっきに到達するカット疵を付与した後、この試験片を、5mass%NaCl水溶液を使用して、JIS Z2371:2000に規定される中性塩水噴霧試験に準拠して240時間の塩水噴霧試験を行った。その後、クロスカット疵部についてテープ剥離試験し、カット疵部左右を合わせた最大剥離全幅を測定した。この最大剥離全幅が2.0mm以下であれば、塩水噴霧試験における耐食性は良好と評価することができる。
○:カット疵からの最大膨れ全幅2.0mm以下
×:カット疵からの最大膨れ全幅2.0mm超え
Figure 0006848939
Figure 0006848939
表2より、本発明例は、表面外観性、めっき密着性(耐パウダリング性)、加工後耐食性のいずれも良好であることが確認された。一方、比較例では、表面外観性、めっき密着性(耐パウダリング性)、加工後耐食性のいずれか一つ以上が劣ることが確認された。
また、表2のNo.3および11の製造条件により得られた溶融亜鉛めっき鋼板の母材鋼板の表面特性(比表面積率、残留応力、算術平均粗さ)については、めっき鋼板上のZnめっき層をNaOH濃度15%の溶液で溶解し、母材を露出させた後、上述の測定方法を援用してそれぞれの母材鋼板に対して測定した。その結果、表2の発明例No.3の表面物性は、比表面積率が1.65、平均残留応力が−32MPa、算術平均粗さが2.1μmであった。一方、表2の比較例No.11の表面特性は、比表面積率が2.1、平均残留応力が10MPa、算術平均粗さが2.3μmであった。
以上のことから、本発明の溶融亜鉛めっき鋼板は、表面外観性、めっき密着性(耐パウダリング性)、加工後耐食性のいずれも良好であることが確認された。
本発明の高強度溶融めっき熱延鋼板は、近年急速に高強度化・薄肉化が進んできている自動車部品として好適に用いられる。

Claims (13)

  1. 質量%で、C:0.02%以上0.30%以下、Si:0.01%以上1.0%以下、Mn:0.2%以上3.0%以下、P:0.08%以下、S:0.02%以下およびAl:0.001%以上0.20%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成を有する鋼素材に熱間圧延を施して熱延板を作製する熱間圧延工程と、
    前記熱延板に対して酸洗処理を行う酸洗工程と、
    前記酸洗工程後の熱延板に平均粒径50μm以上300μm未満の粒を0.3MPa以上1.0MPa以下の圧力条件下にて吹き付けるブラスト加工を行うブラスト工程と、
    前記ブラスト工程後の鋼板に溶融めっき処理を施す溶融めっき工程と、
    を有する、溶融めっき熱延鋼板の製造方法。
  2. 前記ブラスト工程後の熱延板の比表面積率rが、2.5以下である、請求項1に記載の溶融めっき熱延鋼板の製造方法。
  3. 前記ブラスト工程後の熱延板の算術平均粗さRaが、6.0μm以下である、請求項1または2に記載の溶融めっき熱延鋼板の製造方法。
  4. 前記ブラスト工程後の熱延板のα−Fe(211)面の平均残留応力σが、−500MPa以上−30MPa以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶融めっき熱延鋼板の製造方法。
  5. 前記熱間圧延工程は、前記鋼素材に対して粗圧延を施した後、仕上げ圧延温度820℃以上で圧延を終了し、450℃以上650℃以下で巻き取って熱延板を作製する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶融めっき熱延鋼板の製造方法。
  6. 前記ブラスト工程後の熱延板に対して、熱処理工程を施す、請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶融めっき熱延鋼板の製造方法。
  7. 前記熱処理工程は、前記溶融めっき工程前に、雰囲気を水素濃度2体積%以上20体積%以下かつ露点−60℃以上−10℃以下とし、鋼板到達温度(T)が600℃以上750℃以下、T−50℃以上T℃以下の温度域で10秒以上500秒以下保持する、請求項6に記載の溶融めっき熱延鋼板の製造方法。
  8. 前記溶融めっき工程後、さらに合金化処理を行う合金化工程を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の溶融めっき熱延鋼板の製造方法。
  9. 前記鋼素材は、Ti:0.01%以上0.40%以下、Nb:0.001%以上0.200%以下、V:0.001%以上0.500%以下、Mo:0.01%以上0.50%以下およびW:0.001%以上0.200%以下からなる群から選択される1種または2種以上をさらに含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の溶融めっき熱延鋼板の製造方法。
  10. 溶融めっき処理に用いられる溶融めっき処理用熱延鋼板の製造方法であって、
    質量%で、C:0.02%以上0.30%以下、Si:0.01%以上1.0%以下、Mn:0.2%以上3.0%以下、P:0.08%以下、S:0.02%以下およびAl:0.001%以上0.20%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成を有する鋼素材に熱間圧延を施して熱延板を作製する熱間圧延工程と、
    前記熱延板に対して酸洗処理を行う酸洗工程と、
    前記酸洗工程後の熱延板に平均粒径50μm以上300μm未満の粒を0.3MPa以上1.0MPa以下の圧力条件下にて吹き付けるブラスト加工を行うブラスト工程と、
    を有する、溶融めっき処理用熱延鋼板の製造方法。
  11. 溶融めっき処理に用いられる溶融めっき処理用熱延鋼板であって、
    質量%で、C:0.02%以上0.30%以下、Si:0.01%以上1.0%以下、Mn:0.2%以上3.0%以下、P:0.08%以下、S:0.02%以下およびAl:0.001%以上0.20%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成を有し、
    前記溶融めっき用下地鋼板の表面が、比表面積率rが、1.1以上2.0以下であり、算術平均粗さRaが、6.0μm以下であり、α−Fe(211)面の平均残留応力σが、−250MPa以上100MPa以下である溶融めっき処理用熱延鋼板。
  12. 前記成分組成として、質量%で、Ti:0.01%以上0.40%以下、Nb:0.001%以上0.200%以下、V:0.001%以上0.500%以下、Mo:0.01%以上0.50%以下およびW:0.001%以上0.200%以下からなる群から選択される1種または2種以上をさらに含有する、請求項11に記載の溶融めっき処理用熱延鋼板。
  13. 請求項11または12記載の溶融めっき処理用熱延鋼板上にめっき層を備えた溶融めっき熱延鋼板。
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