JP6848130B1 - 固定子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
前記複数のコイルセグメントの各々において、前記一対の線状部をそれぞれ固定子鉄心の一端面側からスロットの各々に挿通して、前記固定子鉄心の他端面側から前記線状部と前記傾斜面からなる延出部を突出させ、かつ各スロットにおいて前記線状部の複数を径方向において隣り合うように配置することにより、前記複数のコイルセグメントを前記固定子鉄心と同軸の複数層の円筒状に配列する。
第1の治具のフランジ部により前記延出部の端部を前記固定子鉄心の径方向外側から支持しつつ、前記第1の治具の押圧部により前記傾斜面を前記固定子鉄心の他端面に向かって前記固定子鉄心の軸方向に押圧しながら、前記固定子鉄心を前記第1の治具に対して相対的に周方向に回動させて、前記傾斜面が前記他端面とほぼ平行に位置するように前記延出部を前記固定子鉄心の周方向に折曲げ、
前記固定子鉄心の径方向において隣り合う前記傾斜面を互いに接合する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
初めに、実施形態に係る固定子が適用される回転電機の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る回転電機の縦断面図であり、中心軸線C1を中心として片側の半分だけを示している。図2は、回転電機の横断面図である。
以下の説明では、中心軸線C1の延在方向を軸方向、中心軸線C1回りに回転する方向を周方向、軸方向および周方向に直交する方向を径方向と称する。
複数のスロット20を形成することにより、固定子鉄心16の内周部は、中心軸線C1に向かって突出する複数(例えば、本実施形態では48個)のティース21を構成している。ティース21は、周方向に沿って等間隔を置いて配置されている。このように、固定子鉄心16は、円環状のヨーク部と、ヨーク部の内周面から中心軸線C1に向かって径方向に突出した複数のティース21とを一体に有している。
ケーシング30は、ほぼ円筒状の第1ブラケット32aと、お椀形状の第2ブラケット32bと、を有している。第1ブラケット32aは、固定子鉄心16の駆動端側に位置する鉄心押え26に連結されている。第2ブラケット32bは、反駆動端側に位置する鉄心押え26に連結されている。第1および第2ブラケット32a、32bは、例えば、アルミニウム合金等で形成されている。第1ブラケット32aの先端側に、環状のベアリングブラケット34がボルトにて同軸的に締結されている。ベアリングブラケット34の中央部に、例えば、ころ軸受35を内蔵した第1軸受部36が締結されている。第2ブラケット32bの中央部に、例えば玉軸受37を内蔵した第2軸受部38が締結されている。
図3に示すように、コイル18の内、3本のコイルに、それぞれU相接続端子TU、V相接続端子TV、、W相接続端子TWが接続されている。
図6は、固定子鉄心16および円筒状に配列されたコイルセグメント19を示す斜視図である。
図6に示すように、まず、多数本のコイルセグメント19を用意し、これらを円筒状に配列する。図示していないが、それぞれ円筒状に配列された3組のコイルセグメント19を用意する。1組(48本)のコイルセグメント19は、固定子鉄心16の複数のスロット20に沿って円筒形状に配列されている。1組のコイルセグメント19は、U相用の2本のコイルセグメント19U1と19U2、V相用の2本のコイルセグメント19V1と19V2、およびW相用の2本のコイルセグメント19W1と19W2の合計6本を最小ユニットとして、8ユニットから構成されている。円筒状に配列された1組において、コイルセグメント19の線状部19aは、径方向に2列に並んでいる。すなわち、多数(48本×2)の線状部19aは、径の異なる2層の円筒状に配列されている。
図7に示すように、各組のコイルセグメント19は、固定子鉄心16の一端面16a側からスロット20に挿入される。コイルセグメント19の線状部19aは、スロット20に差し込まれ、固定子鉄心16の他端面16bから所定長さだけ突出し、延出部19bを構成する。円筒状に配列された1組(48本)のコイルセグメント19の両端に位置する96個(48×2)の線状部19aは、対応する48個のスロット20において、2層分の円筒に相当し、例えば6層目(最外層)と5層目の位置に差し込まれる。円筒状に配列された3組(144本、48本×3)のコイルセグメント19が、固定子鉄心16の一端面16a側から対応する48個のスロット20に挿入される。3組のコイルセグメント19の線状部19aおよび延出部19bは、同芯で径の異なる6層の円筒状に配列される。各スロット20において、線状部19aは、6層目(最外層)から1層目(最内層)まで径方向に並んで配置される。
図8および図9に示すように、コイルセグメント19が装着された固定子鉄心16は、後述するコイルセグメント19の延出部19bの折曲げ成形のために、上下の向きが反転される。各スロット20に挿通された6本の線状部19aは、固定子鉄心16の径方向に並んで位置している。以下、径方向において、最外層(6層目)に位置するコイルセグメント、線状部、延出部、傾斜面を19P、19Pa、19Pb、19Pcとし、5層目に位置するコイルセグメント、線状部、延出部、傾斜面を19Q、19Qa、19Qb、19Qcとし、4層目に位置するコイルセグメント、線状部、延出部、傾斜面を19R、19Ra、19Rb、19Rcとし、3層目に位置するコイルセグメント、線状部、延出部、傾斜面を19S、19Sa、19Sb、19Scとし、2層目に位置する線状部、延出部、傾斜面を19T、19Ta、19Tb、19Tcとし、最内層(1層目)に位置するコイルセグメント、線状部、延出部、傾斜面を19Ua、19Ub、19Ucと称する。
径方向に並んだ傾斜面19Pc、19Qc、19Rc、19Sc、19Tc、19Ucの傾斜方向は、交互に逆向きにしている。すなわち、6層目、4層目、2層目の傾斜面19Pc、19Rc、19Tcは同一方向に傾斜し、5層目、3層目、1層目の傾斜面19Qc、19Sc、19Ucは、逆方向に傾斜している。
図10に示すように、円筒状に配列された最内層の延出部19Ubの内側に内壁治具(第2の治具)101が配置される。内壁治具101は、円筒形状に形成され、支持面と機能する外周面101aを有している。内壁治具101は、十分な剛性を備えた金属から形成されている。内壁治具101の直径は、最内層の延出部19Ubによって構成される円筒の内径とほぼ等しく形成されている。なお、内壁治具101は、円筒形状に限らず、中実の円柱形状に形成されていてもよい。
内壁治具101は、固定子鉄心16と同軸的に配置され、最内層の延出部19Ubの内側に挿通される。これにより、内壁治具101の外周面101aは、延出部19Ubの内周側の側面に隣接対向している。最内層の延出部19Ubを固定子鉄心16の周方向に折曲げ成形する際、内壁治具101は、延出部19Ubが固定子鉄心16の径方向内側に向かって傾斜しないように、延出部19Ubを内周側から支持する。ここで、1層目(最内層)に位置する延出部19Ubは、固定子鉄心16の径方向内側に隣接する他の延出部19bが存在しない。そのため、1層目(最内層)に位置する延出部19Ubを内壁治具101によって径方向内側から支持することにより、径方向内側に向かって倒れることを防止する。
図11では、一例として8個の成形治具102を図示している。成形治具102は、後述する図12等に示すように、48個を1組として構成し、ほぼ均等な間隔で円筒状に配置されている。1組の成形治具102は、固定子鉄心16に装着されているコイルセグメント19のうち、各1層の48本の延出部19bを同時に押圧して折曲げ成形する。
図12に示すように、1組の成形治具102の間隔を調整し、最外層の延出部19Pbからなる円筒の径とほぼ一致する径に配列する。48個の成形治具102が48本の延出部19Pbと整列する位置に成形治具102を配置し、押圧部102bを延出部19Pbの傾斜面(先端面)19Pcに当接させ、フランジ部102cを延出部19Pbの外周側の側面に当接させる。この状態で、成形治具102を軸方向に下降させ傾斜面19Pcを介して延出部19Pbを押圧するとともに、固定子鉄心16を中心軸線の回りで傾斜面19Pcの傾斜方向、ここでは、反時計方向CCWに回動する。これにより、最外層の48本の延出部19Pbが折曲げられ、傾斜面19Pcは、固定子鉄心16の他端面16bとほぼ平行な状態になる。
図13および図15(A)に示すように、折曲げ成形する直前の状態において、延出部19Pbは、固定子鉄心16の軸方向に沿って、固定子鉄心16の他端面16bから上方に突出している。延出部19Pbの傾斜面19Pcは、中心軸線に対して傾斜している。成形治具102の押圧部102bは傾斜面19Pcに当接し、フランジ部102cは延出部19Pbの外側面を固定子鉄心16の径方向内側に向かって支持している。
図16に示すように、1組の成形治具102は、互いの間隔を最も狭めるように移動され、最内層の延出部19Ubの径に一致する径に調整される。調整後、成形治具102は、固定子鉄心16の中心軸線方向に下降し、最内層に位置する48個の延出部19Ubの傾斜面Ucを同時に押圧する。
折曲げ成形の間、成形治具102のフランジ部102cは、延出部19Ubの外周側の側面を支持し、延出部19Ubの径方向外側への移動、変形を防止する。更に、折曲げ成形の間、延出部19Ubの内周側の側面を内壁治具101の外周面101aで支持することにより、延出部19Ubの径方向内方への移動、変形を防止している。すなわち、1層目(最内層)の延出部19Ubは、固定子鉄心16の径方向内側に隣接する他の延出部19bが存在していないため、押圧工程に伴って径方向内側に変形し易いが、内壁治具101の外周面101aによって延出部19Ubを押えることにより、延出部19Ubの径方向内側への変形、倒れを防止することができる。
コイルセグメント19の折曲げ成形後、1組の成形治具102は、内壁治具101の上方まで引き上げられ、コイルセグメント19から離間する。
図示のように、成形治具102をコイルセグメント19から離間させた状態において、コイルセグメント19の延出部19Pb、19Qb、19Rb、19Sb、19Tb、19Ubは、折曲げ成形後のスプリングバックによって、固定子鉄心16の径方向外側に向かって僅かに位置ずれしている。傾斜面19Pc、19Qc、19Rc、19Sc、19Tc、19Ucは、固定子鉄心16の周方向に互いずれて位置し、固定子鉄心16の径方向にジグザグに並んでいる。6層目に傾斜面19Pcと5層目の傾斜面19Qcとの間、4層目の傾斜面19Rcと3層目の傾斜面19Scとの間、および2層目の傾斜面19Tcと1層目の傾斜面19Ucとの間には、それぞれ僅かな隙間が生じている。
図20は、曲げ加工の工程を示す斜視図、図21は、曲げ加工工程における、延出部、内壁治具および外壁治具の一部を拡大して示す斜視図である。
図20に示すように、曲げ加工工程では、内壁治具101と外壁治具103とで延出部19bを径方向両側から押圧することにより、延出部19bを曲げ加工する。外壁治具103は、リング形状の部材を複数、例えば、4分割した4つの円弧状の分割治具103A、103B、103C、103Dで構成されている。外壁治具103は、傾斜面として機能する内周面103aを有している。分割治具103A〜103Dを組み合わせてリング状の外壁治具103を構成した状態において、内周面103aの直径は、6層目(最外層)に位置する48個の延出部19Pbによって構成される円筒の外径よりも僅かに小さい。分割治具103A〜103Dは、十分な剛性を備えた金属から形成されている。
本実施形態によれば、一例として、接合工程は、レーザー光による溶接により傾斜面を接合する。図23に示すように、折曲げ成形された6層の延出部19bを内壁治具101と外壁治具103とで挟んだ状態で、レーザー光源104からレーザー光Lを出射し、ガルバノミラー107を介して延出部19bの傾斜面19cにレーザー光Lを照射する。具体的には、固定子鉄心16を所定位置に保持した状態でガルバノミラー105を駆動し、径方向に一列に並んだ6層目の傾斜面19Pcと5層目の傾斜面19Qcとの境界部、4層目の傾斜面19Rcと3層目の傾斜面19Scとの境界部、および2層目の傾斜面19Tcと1層目の傾斜面19Ucとの境界部に、それぞれレーザー光を照射する。隣り合う2つの傾斜面19cは、それぞれレーザー光Lにより部分的に加熱、溶解され、その後、融合した状態で固まり溶接ビード19f(図24を参照)が形成される。溶接ビード19fによって、隣り合う2つの傾斜面19cが機械的かつ電気的に接合される。
以上の製造工程により、固定子鉄心16にコイル18を装着および接続し、固定子12が構成される。
このような製造方法によれば、延出部の先端部を把持することなく延出部を折り曲げることが可能となる。そのため、コイルセグメントの延出部に把持部を設ける必要がなく、把持部の分だけ、延出部を短く設定することができる。従って、形成されるコイルのコイルエンド18bの突出高さ(固定子鉄心16の他端面16bからの突出高さ)を低く抑えることができる。この結果、コイル18および固定子12の小型化が可能となる。
本実施形態の製造方法によれば、成形治具102よって延出部19bを折曲げ成形する間、成形治具102のフランジ部102cによって延出部19bを固定子鉄心16の径方向外側から支持することにより、延出部19bが径方向外側に倒れることを防止できる。また、最内層の延出部を折曲げ成形する間、内壁治具101により延出部19bを内周側から支持することにより、延出部19bが固定子鉄心16の径方向内側に曲がり、倒れることを防止できる。これにより、延出部19bの傾斜面19cの位置ずれを抑制でき、複数の傾斜面を固定子鉄心の径方向に隙間なく配列することができる。その結果、径方向において隣り合う傾斜面を良好に、かつ、容易に接合することができる。
以上のこから、本実施形態によれば、小型化を図りつつ複数のコイルセグメントを良好に接合できる固定子の製造方法が得られる。
例えば、コイルの巻数、コイルセグメントの設置数は、上述した実施形態に限定されることなく、適宜、増減可能である。例えば、1スロットに4本あるいは8本のセグメント線状部が配置されるように構成してもよい。回転子の寸法、材質、形状等は、前述した実施形態に限定されることなく、設計に応じて種々変更可能である。本実施形態に係る回転子および回転電機は、永久磁石界磁電動機に限らず、誘導電動機にも適用可能である。
Claims (7)
- 平角導体であって、長さ方向に対して傾斜した傾斜面を各々の一端とする一対の線状部を有し、前記一対の線状部の他端同士が連結するようにして構成されたコイルセグメントを複数用意し、
前記複数のコイルセグメントの各々において、前記一対の線状部をそれぞれ固定子鉄心の一端面側からスロットの各々に挿通して、前記固定子鉄心の他端面側から前記線状部と前記傾斜面からなる延出部を突出させ、かつ各スロットにおいて前記線状部の複数を径方向において隣り合うように配置することにより、前記複数のコイルセグメントを前記固定子鉄心と同軸の複数層の円筒状に配列し、
第1の治具のフランジ部により前記延出部の端部を前記固定子鉄心の径方向外側から支持しつつ、前記第1の治具の押圧部により前記傾斜面を前記固定子鉄心の他端面に向かって前記固定子鉄心の軸方向に押圧しながら、前記固定子鉄心を前記第1の治具に対して相対的に周方向に回動させて、前記傾斜面が前記他端面とほぼ平行に位置するように前記延出部を前記固定子鉄心の周方向に折曲げ、
前記固定子鉄心の径方向において隣り合う前記傾斜面を互いに接合する、固定子の製造方法。 - 円筒状に配列された複数の前記押圧部により、円筒状に配列された前記複数のコイルセグメントの一層において、複数の前記延出部を同時に折曲げ成形する請求項1に記載の固定子の製造方法。
- 円筒状かつ複数層に配列された複数の前記延出部を、前記固定子の径方向において、最外層から最内層に向かって、一層毎に、同時に折曲げ成形する請求項2記載の固定子の製造方法。
- 最内層の複数の前記延出部を折曲げ成形する際、第2の治具により、前記延出部を径方向内側から支持する請求項3に記載の固定子の製造方法。
- 折曲げ成形された前記固定子鉄心の最も径方向外側に位置する前記延出部を前記固定子鉄心の径方向外側から径方向内側に向かって押圧する、請求項1に記載の固定子の製造方法。
- 折曲げ成形され前記固定子鉄心の径方向に並んだ複数の前記延出部を前記固定子鉄心の径方向外側と径方向内側から押圧し前記延出部を湾曲させる請求項1に記載の固定子の製造方法。
- 前記折曲げ成形された複数の前記延出部の径方向において隣り合う2つの面を互いに溶接する請求項1に記載の固定子の製造方法。
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