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JP6847749B2 - コイル - Google Patents

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JP6847749B2 JP2017083119A JP2017083119A JP6847749B2 JP 6847749 B2 JP6847749 B2 JP 6847749B2 JP 2017083119 A JP2017083119 A JP 2017083119A JP 2017083119 A JP2017083119 A JP 2017083119A JP 6847749 B2 JP6847749 B2 JP 6847749B2
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Description

本発明の実施形態は、コイルに関する。
近年、都市部の地下変電所から屋外の変電所までの広い範囲で、ガス絶縁開閉装置が使用されるようになっている。このガス絶縁開閉装置の構成部品の1つてして、ガス絶縁変流器が設置されている。ガス絶縁変流器は、一次導体として、巻回された銅線を電界緩和用の金属シールドケースに収容するとともに、二次導体として、環状鉄心の外周に巻回された変流器も収容して、一次導体と二次導体とを交差させている。銅線自身では高い機械的強度を得ることができないため、樹脂やPETのような絶縁物を介して金属シールドケース内で固定されることで、電磁機械力に対する強度を向上させている。このようなガス絶縁変流器は、圧力容器に収納されている。一次導体の両端部は、絶縁スペーサを通して高圧充電部と接続され、二次導体に流れる電流は低圧端子板を介して圧力容器の外に出力される。
従来のガス絶縁変流器は、高圧充電部に印加される高電圧を銅線によって圧力容器内に引き込み、接続した銅線を複数回巻回することにより、一次導体を構成していた。一次導体は、大電流が流れるため、通電容量が大きい銅線、一般的には、断面積の大きい平角銅線を精密に絶縁しながら、巻型で整形して手作業で仕上げていた。
実開平4−127632号公報 実開昭63−119221号公報
上述したガス絶縁変流装置の一次導体は、ターン数が一次導体の軸に沿って並び、円筒上の立体となるため、螺旋状に精度よく銅線を高密度に巻く必要があった。そのためには、隣接する銅線が接触しないように、個々の銅線を絶縁しながら少しずつ銅線を巻型で整形する必要がある。更に、耐磁機械力を向上させるため、硬化テープを使用した金属ケースへの固定する必要もある。これらの作業は、手作業で仕上げる高度な手技と工作時間とが必要とされ、熟練工に頼らざるを得なかった。
本発明が解決しようとする課題は、熟練工に頼らずとも、装置によって製作することができるコイルを提供することにある。
本実施形態に係るコイルは、同一平面に沿って渦巻状に延びるアルミニウム又はアルミニウム合金の導電部により成る導体と、前記導電部の合間に渦巻状に延び、前記導体の表裏を連続的に貫通する貫通溝と、前記貫通溝に充填された樹脂と、を備え、前記導体は、トーラス体の断面部において頂点部分を平坦に削り取り端部角部を丸めた直線部を設け、且つトーラス体の内周面及び外周面を平坦に削り取った直線部を設け、さらに、トーラス体の内周面及び外周面の角部を斜めに削り取り断面の輪郭を全体として円形としたことを特徴とする。
第1の実施形態に係るガス絶縁変流器の概略の構成を示す図である。 第1の実施形態に係るガス絶縁変流器用一次導体の構造を示す正面図である。 第1の実施形態に係るガス絶縁変流器用一次導体の構造を示す上面図である。 第1の実施形態に係るガス絶縁変流器用一次導体の構造を示すA−A‘断面図である。 第1の実施形態に係るガス絶縁変流器用一次導体の2枚の導体の構造を示すA−A‘断面図である。 第1の実施形態に係るガス絶縁変流器用一次導体の2枚の導体の構造を示す上面図である。 第1の実施形態に係るガス絶縁変流器用一次導体の2枚の導体に樹脂を充填した構造を示す部分断面図である。 第1の実施形態に係るガス絶縁変流器用一次導体の第1の変形例として、導体に3ターンを形成して、2枚の導体で6ターンのガス絶縁変流器用一次導体を形成する構造の正面図である。 第1の実施形態に係るガス絶縁変流器用一次導体の第2の変形例を示す部分断面図である。 第1の実施形態に係るガス絶縁変流器用一次導体の第3の変形例を示す部分断面図である。 第2の実施形態に係るガス絶縁変流器用一次導体の構造を示す部分断面図である。 第2の実施形態に係るガス絶縁変流器用一次導体の構造を示す正面図と、BBA‘断面図である。
[第1の実施形態]
(1−1.構成)
第1の実施形態に係るガス絶縁変流器用一次導体10について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、第1の実施形態に係るガス絶縁変流器20の概略の構成を示す図である。ガス絶縁変流器20は、ガス絶縁開閉装置を構成する開閉器の一例として、使用されている。ガス絶縁変流器20は圧力容器16を備え、圧力容器16内に一次導体10と二次導体14を収容している。一次導体10と二次導体14は共に所謂コイルであり、鎖状に交差して配置されている。
一次導体10は更に金属シールドケース12に収容されている。一次導体10にはリード線11が接続され、このリード線11は金属シールドケース12から引き出されてガス絶縁変流器20の高圧充電部19に接続されている。高圧充電部19は、絶縁スペーサ17を介して圧力容器16内に支持されている。ガス絶縁変流器20は、圧力容器16に取り付けられた低圧端子板18を有し、二次導体14は、低圧端子板18と電気的に接続され、圧力容器16の外部に二次電流を出力する。
図2、図3及び図4に示すように、一次導体10は導体1aを備えている。導体1aは、ドーナツ状のトーラス体を大半径に沿って切断した片半身部分の全体形状を有する。導体1aは、このトーラス体を大円を含む平面に沿って輪切りにした片半身部分の形状を有する。トーラス体は、半径の大きな大円を基準に半径の小さな小円を連続的に連ねて成る小円の連続体である。小円を含む平面と大円を含む平面とは直交し、小円を含む平面は、大円の中心を通る。小円の中心は大円の周と一致する。小円は、大円の周に沿って連続的に連なる。導体1aの一面は略半円状に膨出し、導体1aの膨出側とは反対側の面は平坦面となっている。詳細には、導体1aは完全なトーラス体でなく、半円状に膨出した一面の頂点部分が平坦に削り取られ、大円における内周面及び外周面も平坦に削り取られているが、一次導体10の全体として、電界集中しにくいように断面の輪郭が円形になっていればよく、断面が矩形のリング状体の角や隅を斜めに削り取るようにして導体1aを形成してもよい。
この導体1aは、大円の半径方向に導電部が隙間を隔てて並んで成る。この導体1aは、一本の導電部を同一平面上に沿って渦巻き状に旋回させてリング部分を構成している。渦巻きの方向は、反時計回りの構造であっても時計回りの構造であってもよい。例えば、この導体1aは、導体1aの半径方向に6ターンの巻き数を有している。導体1aは、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金製である。但し、導体1aの使用する環境、電磁機械力に対する強度、断面積、導電率又は熱伝導率に基づいて、アルミニウムの種類を選択することができ、例えば、マグネシウムとシリコンとが添加された所謂6000番台系のアルミニウム合金を使用することができる。
この一次導体10は、更に貫通溝3と樹脂2とを備えている。導体1aの導電部と導電部の間は、2[mm]から10[mm]の隙間を有しており、貫通溝3はこの隙間である。即ち、貫通溝3は、導電部と導電部との合間に渦巻状に延び、導体1aの表裏を連続的に貫通している。樹脂2は、この貫通溝3に充填され、径方向に隣接する導電部間をバインドして、導体1aの形状を同一平面上に維持している。樹脂2は、一次導体10の略半円状の一面には露出せず、この略半円状面の表面から一面から5[mm]以上内側の領域のみに充填されている。この樹脂2は、天然樹脂であってもよく、合成樹脂であってもよい。天然樹脂の場合、植物由来のものでもよく、または、動物由来のものでもよい。さらに樹脂2は、接着剤であってもよい。樹脂2は、貫通溝3の全周すべてに充填されていても良いが、貫通溝3の周方向の一部分的に充填されていても良い。例えば、貫通溝3の周方向に5cm程度の幅で樹脂2を充填し、樹脂2と樹脂2との間に空隙を設けても良い。その場合は、貫通溝3を周方向に望むと、樹脂2、空隙、樹脂2、空隙・・・と、樹脂2と空隙とが交互に配置される。また、樹脂2は、渦巻状に配置される貫通溝3の中心を起点として放射状に8本線を引き、その放射状の線を中心に5cmの幅で貫通溝3に樹脂を充填しても良い。
この導体1aには端子接続部4aと突起部5aと接続面6が設けられている。端子接続部4aは、渦巻き状の導電部で成る導体1aの半径方向外方端部、即ち外周終端に設けられている。この端子接続部4aは、導体1aの半径方向外方に突出している。突起部5aは、導体1aの最外周に導体接続部4aに近傍に周方向に並べて設置されている。但し、端子接続部4aと突起部5aは、接続面6と導体1a中心とを通る仮想線で線対称となっている。なお、端子接続部4aと接続面6とが設けられる位置は、終端に限定されるものではなく、例えば、終端の近傍であってもよく、少なくとも導体1a上に設けられていればよい。
また、接続面6は、導体1の半径方向中心側端部、即ち、中心終端に設けられ、端子接続部4aと突起部5aとの等距離に延び、導体1aの中心を通る仮想線上に位置する。この接続面6は、導体1aの軸と直交する平坦面を有する。尚、導体1aを形成する最内周の導電部は、大半径方向の幅が接続面6と同等に幅広となっており、接続面6は、導体1aを形成する最内周の導電部と面一となっている。
図5、図6及び図7に示すように、ガス絶縁変流器用一次導体10は、同径の2枚の導体1aを備えている。2枚の導体1aは、渦巻き状の導電部の巻き方向を同一とし、互いの平坦面を平行にし、互いの平坦面を所定の空間を空けて向かい合わせにし、同軸で配置される。導体1a間のギャップは、例えば、2[mm]から6[mm]程度とする。
この一次導体10では、一方の導体1aの端子接続部4aと他方の導体1aの突起部5aとが重なり、一方の導体1aの突起部5aと他方の導体1aの端子接続部4aとが重なることとなり、2枚の導体1aにより成る一次導体10は、軸方向に輪切りした際、全体の輪郭線に大きな段差ができない。即ち、端子接続部4aと突起部5aとは同一形状及び同一の大きさで形成されることが望ましい。
両方の導体1aの接続面6も、端子接続部4aと突起部5aとの等距離に延び、導体1aの中心を通る仮想線上に位置するため向かい合う。両導体1aの接続面6は、ボルト等の導電体を介して締結又は溶接されることにより、電気的に接続され、2枚の導体1aは直列接続されることとなる。両方の導体1aの隙間には樹脂2が充填され、両導体1aの位置関係が固定される。
この一次導体10において、一方の導体1aの導体接続部4aは一次電流が入力出力される入力出力端子となる。同様に他方の導体1aの導体接続部4aも一次電流を出力する出力端子となる。一次導体10に印加された交流の一次電流は、一方の導体1aの導体接続部4aと、他方の導体接続部4a間の渦巻状の導電部を流れる。
(1−2.作用と効果)
第1の実施形態のガス絶縁変流器用一次導体10の作用について説明する。第1の実施形態に係るガス絶縁変流器用一次導体10は、同一平面に沿って渦巻状の導電部を備えるアルミニウム又はアルミニウム合金から成る導体1aと、導電部の合間に渦巻状に延び、導体1aの表裏を連続的に貫通する貫通溝3と、貫通溝3に充填された樹脂2と、を備えている。
即ち、導体1aは、1本の導電部が同一平面に沿って中心側から外周側へ渦巻状に延びる形状を有している。この導体1aは、3D(three dimension)加工機等に3次元情報(渦巻状の情報)を入力することによって掘削により成形することができる。3次元情報は、貫通溝3の平面状の位置と深さであり、螺旋状に描く巻線の3次元情報に比べて非常に単純である。従って、3D加工機であっても精度良く導体1aを成形することができる。また、導電部が同一平面状に拡がっているので、導体1aの材料を溶かして鋳物に流し込むことにより、導体1aを成形することができる。アルミニウム又はアルミニウム合金は、銅を加工する場合と比べ掘削が容易で、軽量、安価な利点を有する。
従って、仕上がり寸法及び品質のばらつきを抑制しつつ、大量生産、短納期対応等にも対応することができ、熟練工に依存しないガス絶縁変流器用一次導体10を提供することができる。このように、導体1aとしてアルミニウム又はアルミニウム合金を使用したことにより、平角銅線等の絶縁作業や巻き線作業を回避することができ、熟練工に頼らずとも、装置によって、ガス絶縁変流器用一次導体10を作成することができる。また、熟練工の離脱に伴う懸念も払拭することができる。なお、導体1aは、渦巻の導電部によって成形できればよく、渦巻きの形状は、円環でも長方形でも限定されるものではない。また、導電部はアルミニウム又はアルミニウム合金を用いて成るコイルであれば、ガス絶縁変流器用一次導体に限定されるものではない。
また、樹脂2は、渦巻状の貫通溝3に充填され、隣接する貫通溝3の側面同士を固定している。また、樹脂2は、2枚の導体1aの導体間も固定している。樹脂2は、2枚の導体1aの導体間と、導体1aの貫通溝3とに充填されているため、2枚の導体1aは固定される。これにより、2枚の導体1aの導体間が短絡しない一定の絶縁距離を確保するとともに、短時間に流れる許容範囲内の電流による電磁機械力が発生したとしても導体単体で変形に耐える強度を有している。ゆえに、2枚の導体1aに対して、補強の硬化テープ巻き又は金属ケースへの収納が不要となる。
また、第1の実施形態では、2枚の導体1aの平坦面が、向かい合うように配置されている。この場合、ガス絶縁変流器用一次導体10は、2枚の導体1aにより、合計12ターンの一次通電回路を構成することができる。これにより、12ターンのガス絶縁変流器用一次導体10であっても手作業による平角銅線等の絶縁作業や巻き線作業がなくすことができる。
また、第1の実施形態では、導体1aの外周終端には端子接続部4aが設けられるとともに、導体1aの中心終端には接続面6が設けられている。接続面6は、導体1aの中心終端において、他方の導体1aと締結又は溶接されることにより接続され、2枚の導体1aが直列接続されている。この場合、2枚の導体1aは、一方の導体1aの端子接続部4aが他方の導体1aの突起部5aと隣り合い、他方の導体1aの導体接続部4aが出力端子として一方の導体接続部4aの近傍に配置して入出力端子を形成することができるので、一次導体10をリード線11に接続することが容易になる。また、2枚の導体1aの接続も容易である。
また、第1の実施形態では、2枚の導体1aの平坦面を向かい合わせた状態で導体1aの断面の輪郭が円形になるように、2枚の導体1aの外周の角や隅を斜めに削り取っていた。2枚の導体1aの断面の輪郭を円形とすることにより、導体1aの表面への電界集中を抑制することができるので、従来では必要であった電界緩和シールドが不要となる。
また、第1の実施形態では、樹脂2による充填する範囲及び固定する範囲は、導体1aの中心部分のみ充填して固定していた。樹脂2を2枚の導体1aの表面まで充填すると、導体1aの表面付近に充填された樹脂2が、誘電率の異なるトリプルジャンクション部となり電界集中を生じやすい。そこで、電界集中を回避するため、樹脂2は、例えば、導体1aの表面から5[mm]以上窪ませることが望ましい。
(変形例1)
導体1aの半径方向に拡がるターン数は、ガス絶縁変流器の用途や性能に合わせ、変更してもよい。図8に示すように、例えば、導体1aを構成する導電部のターン数は、半径方向に3ターンである。この導体1aを2枚分直列接続することで半径方向に3ターンで軸方向に2ターンの計6ターンの一次導体10となる。その他、半径方向に5ターンとし、軸方向に2ターンとする計10ターンの一次導体10を形成してもよいし、半径方向に7ターンとし、軸方向に2ターンとする計14ターンの一次導体10を形成してもよい。このように、この一次導体10によれば、3D加工機による掘削プログラムや鋳造型を変更することにより、容易に任意のターン数の一次導体10を作成することができる。
(変形例2)
図9は、第1の実施形態に係るガス絶縁変流器用一次導体10の第2の変形例を示す部分断面図である。図9に示すように、樹脂2は、導体1aの貫通溝3及び2枚の導体1aとの間に加え、2枚の導体1aの表面を一体的に覆って充填される。一例として、樹脂2は、2枚の導体1の外周面全体を、3[mm]以上の厚さで覆う。
2枚の導体1aの表面を覆った樹脂2aは、2枚の導体1aの表面からの電子放出を抑制する。そのため、一次導体10の耐電圧性能が向上する。また、樹脂2の誘電率及び樹脂2の厚みの最適化を図ることにより、2枚の導体1aの表面近傍にある電界の等電位線は導体1aの外側に押し出される。これにより、電界集中しやすい貫通溝3への電界集中を抑制することができる。つまり、樹脂2が、2枚の導体1aの外周面全体を被覆することで、一次導体10の絶縁性能が高まるので、ガス絶縁変流器用一次導体10の小型化を図ることができる。また、貫通溝3は、樹脂2によって完全に包含されるので、耐電圧性能の向上や雷サージ雷サージが発生して異常電圧が生じても耐えることができる。
(変形例3)
図10は、第1の実施形態に係るガス絶縁変流器用一次導体10の第3の変形例を示す部分断面図である。図10に示すように、この一次導体10は、樹脂2が、導体1aの貫通溝3及び2枚の導体1aとの間に加え、2枚の導体1aの表面を一体的に覆って充填される。そして、2枚の導体1aの間に充填された樹脂2aの樹脂層には、スリット7が貫設されている。スリット7は、一次導体10の内周面と外周面に開口を有する。このスリット7は、2枚の導体1aの間に気体を流動させ、2枚の導体1a間を効果的に冷却する。このスリット7は、例えば、図示しない二次導体14から高圧充電部19に向けて(例えば、天地方向)貫通させるようにしてもよい。これにより、煙突効果が生じるので、冷却効果が高めることができる。
[第2の実施形態]
(2−1.構成)
図11は、第2の実施形態に係るガス絶縁変流器用一次導体10の構造を示す部分断面図である。図11に示すように、2枚の導体1aの表面を覆う樹脂2aを更に覆う導電性被膜層8を備えている。換言すれば、第2の実施形態では、一次導体10は、内殻の樹脂2aと外殻の導電性被膜層8の二重で覆われている。
図12(a)は、この一次導体10の正面図であり、図12(b)は、図12(a)のB−B‘断面図である。図12に示すように、導電性被膜層8上に環状の絶縁帯9a及び絶縁帯9bが形成されている。絶縁帯9a及び絶縁帯9bは、2方向の閉曲面(経線と緯線:meridian,longitude)上に形成されている。即ち、絶縁帯9aは、小円がリング状に連続的に連なって大円を形成するトーラス体の小円の円周に沿って360度に亘って形成され、一次導体10の中心軸に向けて延びる。絶縁帯9bは、導体1aと同軸の環状であり、トーラス体の大円に沿って360度に亘って形成される。
(2−2.作用と効果)
第2の実施形態では、樹脂2aの表面上に導電性被膜層8を形成することにより、導電性被膜層8は、一次導体10の電界シールドとして機能する。この結果、樹脂2aの表面電界を低く抑えることができるので、接地電位となる圧力容器や二次導体との距離を短くすることができ、より一層、一次導体10の小型化を図ることができる。また、導電性被膜層8の内側は完全にシールドされるため、樹脂2a内に気泡が混入することによるボイド欠陥や異物混入に伴うコロナ放電の発生を防ぐことができる。
また、一次導体10である2枚の導体1aに電流が流れると、鉄心の磁束を介して二次導体14に誘導電流が流れる。例えば、図12(a)において、一次導体10において反時計回りに電流が流れた場合、磁束は、一次導体10の中心において、紙面裏側から紙面手前方向に発生する。絶縁帯9aがない場合、一次導体に一次電流が流れることによって、導電性被膜層8にも誘導による循環電流が発生する。また、導電性被膜層8は、導電率を低くすることで、磁界の変化に伴う渦電流を抑え、発熱を低くすることができる。
更に、導電性被膜層8とリード線11とを接続するようにしてもよい。導電性被膜層8とリード線11とを接続することにより、導電性被膜層8に帯電した電荷をリード線11に逃がすことができ、導電性被膜層8とリード線11を等電位とすることができる。換言すれば、導電性被膜層8に電荷が溜まることを防ぎ、導電性被膜層8のフローティングを防止するために、リード線11等接続される。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、熟練工に頼らずとも、装置によって作成することができるコイルを提供することができる。
[他の実施形態]
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、第1の実施形態では、図1において、一次導体10は、リード線11を介してガス絶縁変流器20の高圧充電部19に接続されているが、リード線を排した構造としても良い。例えば、高圧充電部19と一次導体10の端子接続部4aとを直接接続しても良い。
1a…導体、
2…樹脂、
3…貫通溝、
4a…端子接続部、
5a…突起部、
6…接続面、
7…スリット、
8…導電性被膜層、
9a、9b…絶縁帯

Claims (8)

  1. 同一平面に沿って渦巻状に延びるアルミニウム又はアルミニウム合金の導電部により成る導体と、
    前記導電部の合間に渦巻状に延び、前記導体の表裏を連続的に貫通する貫通溝と、
    前記貫通溝に充填された樹脂と、
    を備え
    前記導体は、トーラス体の断面部において頂点部分を平坦に削り取り端部角部を丸めた直線部を設け、且つトーラス体の内周面及び外周面を平坦に削り取った直線部を設け、さらに、トーラス体の内周面及び外周面の角部を斜めに削り取り断面の輪郭を全体として円形としたこと、
    を特徴とするコイル。
  2. 前記導体は、
    マグネシウムとシリコンが添加されたアルミニウム合金の導電部により成ること、
    を特徴とする請求項1に記載のコイル。
  3. 前記樹脂は、
    前記貫通溝に加え、前記導体の表面を覆うこと、
    を特徴とする請求項1又は2に記載のコイル。
  4. 前記導体を2枚備え、
    前記2枚の導体のそれぞれは、
    前記導電部の半径方向外方側端部に設けられた端子接続部と、
    前記導電部の渦巻状中心側端部に設けられた接続面と、
    を有し、
    前記2枚の導体は、
    所定の空間を空けて、向かい合わせて配置され、
    互いの前記接続面同士が接続され、
    前記端子接続部に入出力端子を有すること、
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコイル。
  5. 前記2枚の導体間に充填される樹脂層と、
    前記樹脂層を貫通する通気孔と、
    をさらに備えること、
    を特徴とする請求項4に記載のコイル。
  6. 前記導体の表面を覆う前記樹脂上に重ねられた導電性被膜層をさらに備えること、
    を特徴とする請求項3に記載のコイル。
  7. 前記導電性被膜層の表面に、前記導体と同軸の環状の絶縁帯をさらに備えること、
    を特徴とする請求項6に記載のコイル。
  8. 前記導電性被膜層の表面に、前記導体の中心軸に向けて延びる絶縁帯をさらに備えること、
    を特徴とする請求項6又は7に記載のコイル。
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