以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物に形成された開口部に納められたサッシユニット(枠ユニット)の横枠(上枠、無目、巾木部等)の長手方向(即ち、ガラスや障子の面内方向)を意味し、「見込方向」とは、屋内外方向(即ち、奥行き方向)を意味する。
図1は、本発明の一実施形態に係るサッシユニットを屋外側から見た姿図である。図1に示すように、サッシユニット1は、店舗等の建築物に用いられるものであり、建築物に形成された開口に取り付けられる枠体2を備える枠ユニットである。サッシユニット1は、本発明に係る排煙窓51を含んで構成される。
枠体2は、図1に示すように、上枠21と、巾木部22と、左右両側の縦枠(図示省略)と、方立23と、無目24と、を備える。枠体2は、全体としては矩形に枠組みされている。枠体2の内側の空間は、方立23によって見付方向に複数の開口部に区画されるとともに、無目24によって複数の開口部のそれぞれが上下方向に区画される。
サッシユニット1の屋外側から見て左側には、無目24を境にして上段にFIX窓61が納められ、下段にはFIX窓62が納められるFIX窓ユニット6が2ユニット連続して配設される。
2ユニット連続して配設されたFIX窓ユニット6の右側には、無目24を境にして上段に排煙窓51(建具)が納められ、排煙窓51の下側にあたる下段にはFIX窓54が納められる排煙窓ユニット5が2ユニット連続して配設される。
本実施形態においては、排煙窓51は、図1に示すように、横方向(見付方向の左右方向)に連続して複数の窓が配置された連窓のうちの少なくとも1つの窓を構成する。本実施形態においては、排煙窓51は、横方向(見付方向における左右方向)に、2つ連続で配置されており、2つの排煙窓51の横方向(左右方向)の両側の隣りには、FIX窓54が配置されている。また、排煙窓51は、見付方向における上下方向の下段には、FIX窓54が配置されている。
なお、排煙窓ユニット5は、複数連続で設ける構成や単体で設ける構成等、事情に応じて適宜変更できる。
本実施形態の排煙窓51は、排煙枠体52(枠体)と、排煙枠体52内に配置され排煙枠体52の内周面に保持された排煙障子53(障子)と、排煙枠体52と排煙障子53の下端部とを連結する連結部56と、を備えて構成される。連結部56は、排煙障子53を排煙枠体52に対して回動可能に、排煙枠体52と排煙障子53の下端部とを接続する。排煙枠体52は、サッシユニット1の枠体2の一部を構成する上枠21と、横枠としての無目24と、左右の縦枠としての左右の方立23と、を備えて構成される。排煙枠体52は、全体として、四周が矩形に枠組みされて構成される。
本実施形態においては、排煙枠体52を構成する上枠21と、無目24と、左右の方立23は、長手方向に直交する方向に沿って切断されて形成されている。言い換えると、排煙枠体52を構成する上枠21と、無目24と、左右の方立23は、長手方向に延びる面と長手方向に直交する端面とが直角になるように切断された、いわゆる、ぶつ切り加工が施されている。
排煙窓51において、排煙枠体52内に配置される排煙障子53は、下端部の回動軸J(図2及び図3参照)を中心に回動可能である。排煙障子53は、後述する回動軸部(框側軸部としての円弧軸片524b、枠側軸部としての軸受円弧状部243d)を中心に、排煙枠体52の内側に配置される閉位置と、排煙枠体52の外側に配置される開位置と、の位置に回動可能に構成される。排煙窓51は、排煙障子53の下端部において回動軸Jを中心に回動して、排煙障子53の上端部が屋外側に倒れるように構成されている。
図2は、排煙窓ユニット5の縦断面図であって、図1のA−A線断面図である。図3は、排煙窓ユニット5の縦断面図であって、図1のB−B線断面図である。図4は、排煙窓ユニット5の縦断面図であって、連結部56を取り付ける場合を示す図である。図5は、排煙窓ユニット5の縦断面図であって、図1のC−C線断面図である。図2〜図5において、紙面左側が屋外側であり、右側が屋内側である。図6は、排煙窓ユニット5の横断面図であって、図1のD−D線断面図である。図6において、紙面上側が屋内側であり、下側が屋外側である。
図2に示すように、上枠21は、屋内側に配置される上枠本体部211と、上枠本体部211から下方に延びる上枠延在片212と、上枠本体部211の屋外側に配置される上枠中間部213と、上枠中間部213から更に屋外側に延設される上枠延設部214と、を備える。
上枠本体部211は、中空部を備えるホロー構造である。
上枠延在片212は、上枠本体部211の屋外側の下端部から下方に延びる。上枠延在片212の下端部には、屋外側に開放する嵌合部212aが形成される。嵌合部212aには、排煙障子53が閉鎖位置に位置する場合において、排煙障子53の屋内側の上端部の側面を押圧する気密材21aが嵌合される。上枠延在片212の屋内側の側面には、係止機構55が固定される。係止機構55は排煙窓51の排煙障子53を閉鎖位置で固定するためのものである。
上枠中間部213は、中空部を備えるホロー構造である。上枠中間部213は、内側に形成されかつ上枠21の長手方向に延びる溝部213aを備える。溝部213aは、上枠本体部211の内側上部の屋内側の角に配置される。溝部213aは、見付方向の方立23側から方立23を連結するためのビス(図示省略)が差し込まれるネジ受けとなる。上枠中間部213は、その下面が上枠本体部211の下面よりも上方に配置される。
上枠延設部214は、中空部を備えるホロー構造である。上枠延設部214は、内側に形成されかつ上枠21の長手方向に延びる溝部214aと、外側に形成され下方に開放する嵌合部214bと、を備える。
溝部214aは、上枠延設部214の内側における屋内側の上部に配置される。溝部214aは、見付方向の方立23側から方立23を連結するためのビス(図示省略)が差し込まれるネジ受けとなる。上枠延設部214は、その下面が上枠中間部213の下面よりも下方に配置される。
嵌合部214bは、上枠延設部214の外側における屋外側の下部に配置される。嵌合部214bには、排煙障子53が閉鎖位置に位置する場合において、排煙障子53の屋外側の上端部を上方側から接する気密材21bが嵌合される。
上枠本体部211の下部の屋外側、上枠延在片212の屋外側、上枠中間部213の下方、及び、上枠延設部214の下方の空間には、閉鎖位置にあるときの排煙障子53の上部が収容される。
排煙障子53は、図2に示すように、排煙框体500と、排煙ガラス51aと、錠受け部材540と、を備える。排煙框体500は、図1に示すように、排煙ガラス51aの上端を保持する排煙上框510と、排煙ガラス51aの下端を保持する排煙下框520と、排煙ガラス51aの左右の端部を保持する左右の排煙縦框530と、を備える。
本実施形態においては、排煙上框510、排煙下框520及び左右の排煙縦框530は、長手方向に直交する方向に沿って切断されて形成されている。言い換えると、排煙上框510、排煙下框520及び左右の排煙縦框530は、長手方向に延びる面と長手方向に直交する端面とが直角になるように切断された、いわゆる、ぶつ切り加工が施されている。
本実施形態においては、図1に示すように、左右の排煙縦框530を排煙上框510及び排煙下框520の間に配置することで、排煙上框510及び排煙下框520を、左右の排煙縦框530で支えている。排煙上框510及び排煙下框520の左右方向の外側の端部の位置は、左右の排煙縦框530の左右方向の外側の端部の位置と一致する。換言すると、排煙框体500は、横方向に延びる排煙上框510及び排煙下框520の両端部において、排煙上框510と排煙下框520との間に左右の排煙縦框530が配置された「横通し」、いわゆる「横勝ち」の構造を有する。つまり、本実施形態においては、排煙上框510及び排煙下框520は、横通しとなっている。
本実施形態においては、排煙上框510及び排煙下框520を横通し、いわゆる「横勝ち」の構造とすることで、排煙ガラス51aの飲み込み溝であるガラス溝511a、521a(後述)を排煙上框510及び排煙下框520に設けて、排煙ガラス51aの上端部及び下端部をガラス溝511a、521aに配置して、排煙ガラス51aの上端部及び下端部をガラス溝511a、521aにより保持する構造としている。
排煙上框510は、図2に示すように、屋外側に配置されかつ下方側から上方側に窪むガラス溝511aを有する排煙上框本体部511と、排煙上框本体部511から屋内側に延設される排煙上框延設部512と、を備える。排煙窓51が閉鎖位置にあるときは、排煙上框本体部511及び排煙上框延設部512は、上枠中間部213の下方及び上枠延設部214の下方の空間に収容される状態となる。
排煙上框本体部511のガラス溝511aは、排煙ガラス51aの上端部を保持する。
排煙上框延設部512は、中空部を備えるホロー構造である。排煙上框延設部512の屋内側の側面には、排煙窓51が閉鎖位置にあるときに、上枠21の嵌合部212aに嵌合して配置された気密材21aが当接する。
錠受け部材540は、排煙上框延設部512の屋内側の下面に、ビス541により固定されている。錠受け部材540は、排煙上框延設部512から屋内側に延出するように形成される。錠受け部材540は、排煙窓51が閉鎖位置にあるときに、係止機構55の下部の係止部551に係止される。錠受け部材540を係止機構55に係止するための機構としては、例えばラッチ機構を用いることができる。
排煙窓51は、錠受け部材540が係止機構55に係止されることにより、閉鎖位置で固定される。排煙窓51を閉鎖位置から開放位置に移動させるときは、上述の錠受け部材540と係止機構55の係止を解除する。
排煙下框520は、図2及び図3に示すように、屋外側に配置されかつ上方側から下方側に窪むガラス溝521aを有する排煙下框本体部521と、排煙下框本体部521から屋内側に延設される排煙下框延設部522と、排煙下框本体部521の屋外側の下部から下方に延出する下框屋外側部分523(屋外側部分)と、下框屋外側部分523の下端部から屋内側に延出して形成される回動軸構成片524と、下框屋外側部分523の下端部から下方に延出する遮蔽部としての下框遮蔽部525と、を備える。
排煙下框本体部521のガラス溝521aは、排煙ガラス51aの下端部を保持する。
排煙下框延設部522は、中空部を備えるホロー構造である。排煙下框延設部522の屋内側の側面には、排煙窓51が閉鎖位置にあるときには、後述する無目24の嵌合部242aに嵌合して配置された乾式の気密材24aが当接する。排煙下框延設部522の下部には、段部としての段差凹部522aが設けられている。
段差凹部522aは、図3に示すように、排煙下框520の排煙下框延設部522の下部の屋内側において、下方側から上方側に窪むように形成される。段差凹部522aは、無目24の無目本体部241の上面の上方に配置される。
段差凹部522aは、図3に示すように、下段水平部522bと、傾斜部522cと、上段水平部522dと、を有する。下段水平部522b、傾斜部522c及び上段水平部522dは、屋外側から屋内側に向けてこの順に並んで配置されている。下段水平部522bは、排煙下框延設部522の底部を構成し、水平方向に延びる。傾斜部522cは、下段水平部522bの屋内側の端部に接続され、屋外側から屋内側に向かうにしたがって上方側に向かうように傾斜する。上段水平部522dは、傾斜部522cの屋内側の端部に接続され、下段水平部522bよりも上方の位置において水平方向に延びる。排煙下框520の下部に上方に窪む段差凹部522aを設けることで、無目24と排煙下框520との間において、排煙下框520の下方に位置する無目24の無目本体部241の上面を流れる水の許容量を増加させることができる。
下框屋外側部分523は、図3に示すように、排煙下框本体部521の屋外側の端部の下部から下方に延出し、上下方向に延びる。下框屋外側部分523は、無目24における軸受円弧状部243d(後述)が配置される見付面24b(後述)よりも屋外側に配置される部分である。本実施形態においては、無目24を排煙下框520の下框屋外側部分523よりも屋内側に配置している。これにより、排煙障子53の回動軸部(框側軸部としての円弧軸片524b、枠側軸部としての軸受円弧状部243d)(後述)を設けるスペースを設けて、見付方向における上下の幅を小さくできる。
下框屋外側部分523の屋外側の面は、排煙下框本体部521の屋外側の面と同一平面上に位置する。
回動軸構成片524は、図3に示すように、L字状のL字状屈曲片524aと、回動軸部を構成する框側軸部としての円弧軸片524bと、を有する。
L字状屈曲片524aは、下框屋外側部分523の下端部に接続され、下框屋外側部分523の下端部から屋内側に所定長さ延び、屋内側の端部から下方に屈曲して、下方側に所定長さ延びる。
円弧軸片524bは、排煙下框520の屋外側に配置される。円弧軸片524bは、L字状屈曲片524aの下端部から、屋内側が開放する半円弧状の略C字形状に形成される。円弧軸片524bは、略C字形状の円弧の内部の中空部分に設けられた回動軸Jを中心に回動可能である。円弧軸片524bは、排煙障子53の回動中心であり、排煙障子53は、回動軸Jを中心に回動する。
円弧軸片524bを含む回動軸構成片524の回動範囲には、回動軸構成片524が回動可能なように、空間が設けられている。図3に示すように、回動軸構成片524の先端側には、無目ガラス保持部243の軸受円弧状部243d(後述)の上部の屋内側に、先端側回動空間526が形成されている。円弧軸片524bの基端部側には、無目ガラス保持部243の軸受円弧状部243d(後述)の上部の屋外側に、基端側回動空間527が形成されている。
下框遮蔽部525は、回動軸構成片524の円弧軸片524bよりも屋外側において、下框屋外側部分523の下端部に接続され、下框屋外側部分523の下端部から、下方に所定長さ延びる。下框遮蔽部525は、上下方向において、排煙枠体52の無目24と重なる位置に配置される。言い換えると、下框遮蔽部525は、見込方向において、排煙枠体52の無目24と並んで配置される。下框遮蔽部525は、屋外側から見た場合に、円弧軸片524bが屋外側から視認できないように、円弧軸片524bを遮蔽する。下框遮蔽部525は、上下方向に延び、下框遮蔽部525の屋外側の面は、下框屋外側部分523及び排煙下框本体部521の屋外側の面と同一平面上に位置する。
排煙ガラス51aの上端部及び下端部の保持について説明する。図2に示すように、排煙ガラス51aは、ガラス溝521aの内部に配置される支持部材51bによって下から支持される。排煙ガラス51aの下端部は、ガラス溝521a内において、屋外側に配置されるバックアップ材51cと屋内側に配置されるバックアップ材51dとによって挟まれる。更に、バックアップ材51cの上方には、シール材51eが塗工される。バックアップ材51dの上方には、シール材51fが塗工される。
排煙ガラス51aの上端部は、ガラス溝511a内において、屋外側に配置されるバックアップ材51gと屋内側に配置されるバックアップ材51hとによって挟まれる。更に、バックアップ材51gの下方には、シール材51iが塗工される。バックアップ材51hの下方には、シール材51jが塗工される。
無目24は、図2及び図3に示すように、屋内側に配置されかつ中空部を備えるホロー構造である無目本体部241と、無目本体部241の屋内側の端部の上部から上方に延びる無目延在片242と、無目本体部241の屋外側に形成される無目ガラス保持部243と、を備える。
無目本体部241は、内側に形成されかつ無目24の長手方向に延びる溝部241a,241bを備える。溝部241aは、無目本体部241の内側上部の屋内側の角に配置され、溝部241bは、無目本体部241の内側下部の屋内側の角に配置される。溝部241a,241bは、いずれも見付方向の方立23側から方立23を連結するためのビス(図示省略)が差し込まれるネジ受けとなる。
無目延在片242は、無目24の屋内側の端部の上端部から上方に延びる。無目延在片242の上端部には、屋外側に開放する嵌合部242aが形成される。嵌合部242aは、無目24の段部250を構成する部分の屋外側の見付面において、見付方向の左右方向に延びて形成される。嵌合部242aには、排煙障子53が閉鎖位置に位置する場合において、排煙障子53の屋内側の下端部の側面を押圧する乾式の気密材24aが嵌合される。気密材24aは、嵌合部242aに嵌合されることで、無目24の段部250の段部側対向側面252の反対側において、無目24の屋外側の見付面に保持される。
気密材24aは、図6に示すように、所定長さ見付方向に延びて配置される。気密材24aの両端部246の見付方向の位置は、無目24の両端部245の位置よりも内側に位置する。つまり、気密材24aは、無目24の長手方向の長さよりも短く形成され、第1方立部材31の第1方立本体部311の内側の面及び第2方立部材32の第2方立本体部321の内側の面よりも内側に配置される。
そのため、例えば、雨水が排煙下框520に載った場合であっても、気密材24aを無目24の長手方向の長さよりも短く形成しているため、気密材24aが配置されていない部分において、雨水を屋外側に落下させることができる。これにより、気密材24aを無目24の長手方向の長さよりも短く形成することで、排煙下框520に載った雨水を、屋内側へ誘導しないように構成される。
無目ガラス保持部243は、無目本体部241の屋外側の上端から屋外側に延設される。無目延在片242と無目本体部241とによってFIX窓54を構成するガラス54aの上端部を保持するガラス溝243aが形成される。なお、FIX窓54を構成するガラス54aの下端部を保持する巾木部22(図1参照)の構成の説明は省略する。
無目ガラス保持部243は、下方側及び屋内側が開放する略L字状に形成される。無目ガラス保持部243は、内側に形成されかつ無目24の長手方向に延びる溝部243bが形成される。溝部243bは、無目ガラス保持部243の内側の下部に配置される。溝部243bは、見付方向の方立23側から方立23を連結するためのビス(図示省略)が差し込まれるネジ受けとなる。
無目ガラス保持部243は、図3に示すように、無目側L字状部243cと、回動軸部を構成する枠側軸部としての軸受円弧状部243dと、を有する。
無目側L字状部243cは、無目本体部241の屋外側の上端部から屋外側に所定長さ延び、屋外側の端部から下方に屈曲して、下方側に所定長さ延びる。無目側L字状部243cの上面には、係止溝243eが形成される。
軸受円弧状部243dは、無目24の見付面24bに配置される。軸受円弧状部243dは、無目側L字状部243cの下端部に形成され、上方側が開放する略半円弧状に形成される。軸受円弧状部243dには、連結部56の突出軸部563(後述)が係合された円弧軸片524bが配置される。
連結部56は、無目24の軸受円弧状部243dに対して排煙障子53の排煙下框520の円弧軸片524bを回動可能に、無目24の軸受円弧状部243dと排煙障子53の排煙下框520の円弧軸片524bとを連結する。連結部56は、無目24の長手方向に沿って延びて形成され、無目24の長手方向に沿って、複数個並んで配置される。本実施形態においては、連結部56は、図1に示すように、無目24の長手方向に沿って、間隔を開けて、3つ並んで配置されている。なお、無目24の長手方向の両端部において、連結部56が設けられていない箇所には、端部キャップ(図示省略)が設けられている。
連結部56、無目24及び排煙下框520の構成は、無目24の長手方向において、連結部56が設けられている部分と、連結部56が設けられていない部分と、において構成が異なる。
まず、連結部56が設けられている部分の構成について説明する。図3に示すように、連結部56が設けられている部分においては、連結部56が配置され、前述の無目24の軸受円弧状部243d及び排煙下框520の回動軸構成片524が設けられている。
連結部56は、連結側L字状部561と、係止部562と、突出軸部563と、を有する。連結側L字状部561は、水平連結部561bと、垂直連結部561aと、を有する。水平連結部561bは、水平方向に延びる。垂直連結部561aは、水平連結部561bの屋外側の端部から下方に延びる。
水平連結部561bは、無目24の無目ガラス保持部243の無目側L字状部243cの上面に沿って配置される。垂直連結部561aは、無目24の無目ガラス保持部243の無目側L字状部243cの屋外側の側面に沿って配置される。連結部56は、水平連結部561bが無目側L字状部243cの上面に沿うとともに、垂直連結部561aが無目側L字状部243cの屋外側の側面に沿った状態で、ビス57で固定されている。
突出軸部563は、連結側L字状部561の垂直連結部561aの下端部において、屋外側の斜め下方に突出する。突出軸部563は、無目24の長手方向に延びる略円柱状に形成される。突出軸部563は、排煙下框520の回動軸構成片524の円弧軸片524bに係合する。
次に、排煙下框520を無目24に仮固定した状態で、連結部56を、排煙下框520と無目24とに跨るように配置する。具体的には、連結部56の突出軸部563を排煙下框520の回動軸構成片524の円弧軸片524bに係合させた状態で、無目24の軸受円弧状部243dに収容して、連結部56の突出軸部563を無目24の係止溝243eに係止させる。言い換えると、連結部56を用いて無目24と排煙障子53とを接続する場合には、排煙障子53の開位置において、無目24の軸受円弧状部243dに対して回動軸構成片524の円弧軸片524bを回動可能に、無目24の軸受円弧状部243dと回動軸構成片524の円弧軸片524bとを連結部56により連結する。
続けて、ドライバー100を用いて、ビス57により、上方から連結部56と無目24とをネジ固定する。この状態においては、無目24の軸受円弧状部243dに回動軸構成片524の円弧軸片524bを係止させるだけで、排煙下框520の円弧軸片524bを先端側の上面と基端側の下面から支持しているため、作業者が排煙下框520を支える必要がなく、作業者は一人で連結部56と無目24とを固定できる。ここで、ビス57の固定位置において、無目24の下方には、ビス57を受けるための裏板244が配置される。裏板244は、所定の長さのピース状に形成され、ビス57でネジ固定する部分のみに配置される。裏板244は、排煙ガラス51aが排煙框体500に嵌め込まれていない状態において、無目24の形材の側方から一対の爪部243h,243hの上方を通して差し込まれる。裏板244は、ビス57の固定位置に設置された後は、一対の爪部243h,243hにカシメ加工を施すことで固定される。
この状態で、ドライバー100を用いて、連結部56の上方からビス57を、連結部56、無目24、裏板244の順にネジ込む。このようにして、上方から、ビス57により、連結部56と無目24とをネジ固定する。
よって、連結部56により、軸受円弧状部243dと円弧軸片524bとを連結することで、排煙窓51を排煙枠体52に容易に取り付けることができるため、排煙窓51の施工性を向上できる。
この場合に、排煙下框520の下部には、上方に窪む段差凹部522aが形成される。排煙下框520の下部に段差凹部522aが形成されているため、ドライバー100の移動範囲において、排煙窓51の施工時において、排煙下框520が、ドライバー100の移動を妨げることがない。これにより、ドライバー100を用いて、ビス57により連結部56を容易に固定して、排煙障子53を、無目24に容易に固定することができる。
また、段差凹部522aが形成されているため、施工済みの排煙窓51に対して、連結部56を固定したビス57を容易に取り外すこともできる。このように、施工済みの排煙窓51において、段差凹部522aにより、ビス57の取り付け及び取り外しを容易に行えるため、排煙障子53の交換を容易に行うことができる。
次に、連結部56が設けられていない部分の構成について説明する。図1に示すように見付方向に並べられた3つの連結部56の間には、図5に示すように、無目24の軸受円弧状部243dも、排煙下框520の円弧軸片524bも、設けられていない。このように構成されることで、無目24と排煙下框520との間には、連結部56も、無目24の軸受円弧状部243dも、排煙下框520の円弧軸片524bも、設けない空間を形成することができる。無目24と排煙下框520との間に空間を形成することで、雨水等の浸入した水を排水するための流路を確保することができる。これにより、水を排出する排水性を向上することができる。また、無目24と排煙下框520との間の空間に外気を導入できるため、内圧と外圧とを近づけることで、水が内部に吸い込まれることが抑制されて、より水密性を向上できる。
FIX窓54を構成するFIXガラス54aの保持について説明する。FIXガラス54aは、図1に示すように、巾木部22のガラス溝(図示省略)の内部に配置される支持部材(図示省略)によって下から支持される。FIXガラス54aの下端部は、ガラス溝内において、屋外側及び屋内側に配置されるバックアップ材(図示省略)に挟まれ、シール材(図示省略)が塗工される。
FIXガラス54aの上端部は、図2及び図3に示すように、無目24のガラス溝243a内において、屋外側に配置されるバックアップ材54bと屋内側に配置されるバックアップ材54cとによって挟まれる。更に、バックアップ材54bの下方には、シール材54dが塗工される。バックアップ材54cの下方には、シール材54eが塗工される。
方立23は、図6に示すように、屋外側から見て、左側に配置される第1方立部材231と、右側に配置される第2方立部材232と、を備える。
第1方立部材231は、屋内側に配置される第1方立本体部311と、第1方立本体部311から屋外側に延設される方立延在部312と、方立延在部312から屋外側に延設される第1方立屋外側部313と、を備える。
第1方立本体部311は、中空部を備えるホロー構造である。第1方立本体部311の右側(排煙障子53が設けられる側)の側面には、第1方立戸当たり部315(戸当たり部材)が固定される。つまり、第1方立戸当たり部315は、排煙枠体52の内周面である第1方立本体部311の右側(排煙障子53が設けられる側)の側面に固定されている。
第1方立戸当たり部315の周辺の構成について説明する。 第1方立戸当たり部315は、図6に示すように、上下方向に見た場合における断面視で、屋外側及び方立23とは反対側が開放する略L字状に形成される。第1方立戸当たり部315は、排煙障子53が屋内側に倒れないように規制するように、排煙障子53の屋内側において、第1方立本体部311から右側に延出するように形成されている。
第1方立戸当たり部315は、見込方向に延びる見込延在部316と、見込延在部316の見込方向の屋内側の端部から右側に延びる見付延在部317と、見付延在部317の右側の端部から屋内側に延びる第1見込片41と、第1見込片41よりも左側において見付延在部317の屋外側の面から第1見込片41と平行に屋内側に延びる第2見込片42と、を備える。第1方立戸当たり部315の見付延在部317及び第1見込片41は、上下方向に見た場合に、断面L字形状のL字形状部分を構成する。
見込延在部316は、第1方立本体部311の右側の側面に、ネジ部材318により、接続されている。見込延在部316と第1方立本体部311の右側の側面との間には、乾式のシール材316aが配置されている。シール材316aは、第1方立部材31の長手方向に連続して上下方向に延びて配置される。
見付延在部317は、排煙障子53の屋内側において、第1方立本体部311から見付方向の右側に延びる。見付延在部317は、排煙障子53の屋内側の障子屋内側見付面53aに対向して配置される。
第1見込片41及び第2見込片42は、図6に示すように、排煙枠体52の内周面である第1方立本体部311の右側の側面に対向して配置され、見付延在部317の屋外側の面から見込方向の屋外側に延びる。
第1見込片41及び第2見込片42の屋外側の先端には、図6に示すように、嵌合部317aが形成される。嵌合部317aは、第1方立戸当たり部315の右側の先端において、屋外側に開放するように形成されている。嵌合部317aは、互いが近づく側に突出する突出片41a,42aを有する。第1見込片41及び第2見込片42は、屋外側の先端の間に気密材231aを配置可能な距離だけ、見付方向に離間して配置されている。第1見込片41及び第2見込片42の間には、嵌合部317aに嵌合した場合における気密材231aの基端部側の部分が配置される。なお、本実施形態においては、気密材231aを嵌合するための嵌合部317aを設けるために、2つの第1見込片41及び第2見込片42を、所定距離離間させて設けた。しかし、これに限定されず、例えば、1つの第1見込片41のみを設ける構成であってもよい。
嵌合部317aには、図6に示すように、排煙障子53が閉鎖位置に位置する場合において、排煙障子53の屋内側の側面を押圧する乾式の気密材231aが嵌合される。気密材231aは、見付方向における上下方向に延びるように配置されている。気密材231aは、排煙障子53が閉鎖位置に位置する場合に、排煙障子53の屋内側の障子屋内側見付面53aと当接して、排煙障子53と第1方立戸当たり部315とを止水する。
第1見込片41及び第2見込片42の長手方向の下端部には、それぞれ、切り欠き部400が形成される。切り欠き部400は、排煙窓51の排煙枠体52の無目24の屋内側の上端部に形成される段部250を避けるように、屋外側及び下方側が開放するL字形状に切り欠かれて形成され、段部250に対向して配置される。
段部250と切り欠き部400との間には、乾式のシール部材450が配置される。シール部材450は、見付方向に延びるシート状に形成され、見付方向に見た場合に、断面L字形状に形成される。
方立延在部312は、第1方立本体部311の左側の端部から屋外側に直線状に延びる。方立延在部312の右側には、右側から左側に窪むガラス収容溝312aが形成される。ガラス収容溝312aは、方立23に、FIXガラスを直接取り付ける場合に使用される。換言すると、方立23は、ガラスを直接取り付ける場合と、障子を取り付ける場合との両方に使用できるように構成されている。本実施形態の排煙窓51においては、ガラス収容溝312aは使用されないため、ガラス収容溝312aは、カバー部材314により閉止される。
第1方立屋外側部313は、方立延在部312の屋外側の端部から、屋外側に延びる。第1方立屋外側部313は、中空部を備えるホロー構造である。第1方立屋外側部313の右側の側面には、排煙障子53が閉鎖位置に位置する場合において、左縦框611の嵌合部612cに嵌合して配置された気密材231bが当接する。
第1方立本体部311の右側の側面、カバー部材314の右側の側面及び第1方立屋外側部313の右側の側面は、見込方向に延びて形成され、同一平面上に位置する。
第2方立部材232は、第2方立本体部321と、第2方立本体部321の屋外側に延設される見付延在部322と、見付延在部322の屋外側に延設される第2方立屋外側部323と、を備える。また、第2方立部材232には、第2方立戸当たり部325(戸当たり部材)が固定される。
第2方立部材232及び第2方立戸当たり部325は、第1方立部材231及び第2方立戸当たり部325と左右対称で同一の構成である。そのため、第2方立部材232及び第2方立戸当たり部325の説明は、第1方立部材231及び第1方立戸当たり部315に対応する符号を付けて、その説明を省略する。
第1方立部材231と第2方立部材232との間に配置される排煙障子53について説明する。図6に示すように、排煙障子53は、見付方向において、左右の排煙縦框530により、排煙ガラス51aの左右の両端部が保持される。
排煙縦框530は、図6に示すように、屋外側から見て、左側に配置される左縦框611と、右側に配置される右縦框621と、を備える。左縦框611及び右縦框621は、排煙ガラス51aの左右の端部を保持する。
左縦框611は、屋外側に配置されるL字状の左縦框本体612と、左縦框本体612の屋内側に設けられる第1中間部613と、第1中間部613の屋内側に設けられる第2中間部614と、第2中間部614の更に屋内側に設けられる屋内側端部615と、を有する。
左縦框本体612は、屋外側及び方立23と反対側(右側)が開放するL字状のL字状部分を構成する。左縦框本体612の開放する側には、排煙ガラス51aの左右方向の端部が配置される。左縦框本体612の開放する側は、排煙ガラス51aの左右方向の端部が配置されるガラス溝を構成する。左縦框本体612は、見付延在部612aと、見込延在部612bと、嵌合部612cと、を有する。見付延在部612a及び見込延在部612bは、連続して形成され、L字状に形成される。見付延在部612aは、見付方向の水平方向に延びる。見込延在部612bは、見付延在部612aの第1方立部材231側(排煙障子53の外側)の端部から、屋外側に延びる。
嵌合部612cは、左縦框本体612の見込延在部612bの屋外側の端部において、排煙障子53の左右方向の左側に開放する。嵌合部612cには、排煙障子53が閉鎖位置に位置する場合において、排煙障子53の左右方向の左側において、排煙障子53の屋内側の端部に接する気密材231bが嵌合される。
左縦框本体612の見込延在部612bの右側の面には、係止突起ホルダ612dが形成される。係止突起ホルダ612dは、見込延在部612bの右側の面から右側に突出する。
第1中間部613は、L字状の左縦框本体612の屋内側の面側に配置され、中空部を備えるホロー構造である。第1中間部613は、内側に形成されかつ排煙縦框530の長手方向に延びる溝部613aを備える。溝部613aは、第1中間部613の屋内側の左側の角に配置される。溝部613aは、見付方向の排煙上框510側から排煙上框510を連結するためのビス(図示省略)、又は、見付方向の排煙下框520側から排煙下框520を連結するためのビス(図示省略)が差し込まれるネジ受けとなる。なお、本実施形態においては、排煙上框510及び排煙下框520が横通し(横勝ち)の構造であるため、排煙上框510の上方側からビスがねじ込まれ、排煙下框520の下方側からビスがねじ込まれる。
第2中間部614は、第1中間部613の屋内側の面側に配置され、中空部を備えるホロー構造である。
屋内側端部615は、第2中間部614の屋内側に配置され、方立23側が開放する形状に形成される。屋内側端部615は、内側に形成されかつ排煙縦框530の長手方向に延びる溝部615aを備える。溝部615aは、屋内側端部615の屋外側に配置される。溝部615aは、見付方向の排煙上框510側から排煙上框510を連結するためのビス(図示省略)、又は、見付方向の排煙下框520側から排煙下框520を連結するためのビス(図示省略)が差し込まれるネジ受けとなる。なお、本実施形態においては、排煙上框510及び排煙下框520が横通し(横勝ち)の構造であるため、排煙上框510の上方側からビスがねじ込まれ、排煙下框520の下方側からビスがねじ込まれる。
屋内側端部615の屋内側の面には、排煙障子53が閉鎖位置に位置する場合において、第1方立戸当たり部315の嵌合部317aに嵌合して配置された気密材231aが当接する。
右縦框621は、左縦框611と左右対称で同一の構成である。そのため、右縦框621の説明は、左縦框611に対応する符号を付けて、その説明を省略する。
排煙ガラス51aの左右方向の端部の保持について説明する。排煙ガラス51aは、図6に示すように、左右方向の左側の端部において、L字状の左縦框本体612の開放側に配置されたL字状バックアップ材61aにより、排煙ガラス51aの端面501及び屋内側の側面502が支持される。
L字状バックアップ材61aは、L字状に形成される。L字状バックアップ材61aは、見付延在バックアップ部61bと、見込延在バックアップ部61cと、を有する。
見付延在バックアップ部61bは、見付方向の水平方向に延びる。見付延在バックアップ部61bは、L字状の左縦框本体612の見付延在部612aの屋外側を向く面に取り付けられる。見付延在バックアップ部61bの屋外側の面は、排煙ガラス51aの端部の屋内側の側面502(屋内側の面)に当接する。
見込延在バックアップ部61cは、見付延在バックアップ部61bの第1方立部材231側(排煙障子53の外側)の端部から、見込方向の屋外側に延びる。見込延在バックアップ部61cは、L字状の左縦框本体612の見込延在部612bの排煙障子53の内側(右側)を向く面に取り付けられる。見込延在バックアップ部61cの排煙障子53の内側(右側)の面は、排煙ガラス51aの端部の見込方向に延びる端面501に当接する。
排煙ガラス51aの左右方向の左側の端部は、端面501及び屋外側の側面502に配置されるL字状バックアップ材61aに当接して支持された状態で、屋内側に配置されるL字状バックアップ材61aと屋外側に塗工される被覆部材61eとによって挟まれる。被覆部材61eは、排煙ガラス51aの屋外側の側面503(屋外側の面)に配置される。更に、L字状バックアップ材61aにおける排煙ガラス51aの左右方向の内側には、シール材61dが塗工される。ここで、排煙ガラス51aの端面501には、L字状バックアップ材61aが配置されているため、シール材が当接しない。そのため、シール材が当接することがないため、シール材の破損が低減され、排煙ガラス51aを排煙框体500に施工する際の施工性が良好となる。
本実施形態においては、被覆部材61eは、気密性及び水密性を有する材料により形成される。本実施形態においては、排煙ガラス51aは、上下方向において、上端部が排煙上框510のガラス溝511aに飲み込まれて配置され、下端部が排煙下框520のガラス溝521aに飲み込まれて配置されることで、保持されている。そのため、排煙ガラス51aの横方向(見付方向の左右方向)の端部を固定するのではなく、排煙ガラス51aの端部における気密性及び水密性を確保する。これにより、被覆部材61eは、排煙ガラス51aの端部において、排煙ガラス51aの端部の端面501から排煙ガラス51aの内側の最低限の部分を覆うように配置される。これにより、排煙ガラス51aが屋外側に向けて露出する面積(開口する面積)を大きくすることができる。排煙ガラス51aを大きく見せることができるため、意匠性を向上できる。
排煙ガラス51aの左右方向の右側の端部の保持については、排煙ガラス51aの左右方向の左側の端部の保持の構成と、左右対称で同一の構成である。そのため、排煙ガラス51aの左右方向の右側の端部の保持の構成の説明は、排煙ガラス51aの左右方向の左側の端部の保持の構成に対応する符号を付けて、その説明を省略する。
次に、排煙上框510の左右方向の端部に配置される端部キャップ70について説明する。図7は、排煙障子53が閉鎖位置にある状態で排煙上框510と上枠21の気密材21aが当接している様子を示す平面図である。図8は、排煙障子53が開放位置にある状態で排煙上框510と上枠21の気密材21aが当接していない様子を示す平面図である。
図7に示すように、方立23の見込面に対向する排煙上框510には、当該排煙上框510の中空部を外部から隔てて小口を塞ぐ端部キャップ70が取り付けられる。閉鎖位置(図7に示す状態)から排煙障子53が図8に示す開放位置に移動すると、排煙上框510が気密材21aから離間した状態となる。
本実施形態の端部キャップ70は、排煙障子53が閉鎖位置にある状態においても気密材21aに当接しないレイアウトになっている。より具体的には、気密材21aの端部260が、左右方向で端部キャップ70よりも方立23の見込面350から離れた位置になるように、気密材21aの長さ及び取付位置が設定されている。
図9は、端部キャップ70が取り付けられた状態の排煙上框510及びその周囲を示す拡大斜視図である。図10は、排煙上框510に取り付けられた端部キャップ70を内側面から見た様子を模式的に示す図である。図11は、本実施形態の端部キャップ70の内側面を示す斜視図である。
図9〜図11に示すように、端部キャップ70は、屋外側に位置する屋外側板状部710と、屋内側に位置する屋内側板状部720と、が樹脂により一体的な部材として成形される。
屋外側板状部710は、排煙上框本体部511の形状に対応する部分である。屋外側板状部710により、排煙上框本体部511の小口部分が塞がれる。屋外側板状部710の内側面には、排煙上框本体部511側に突出する屋外側嵌合部711が形成される。この屋外側嵌合部711が排煙上框本体部511の内側に嵌まり込むことにより、端部キャップ70の見込方向の屋外側が排煙上框510に固定される。
屋外側板状部710にはキャップ切欠部712が形成される。キャップ切欠部712は屋外側板状部710の上端面から下方に切り欠かれた形状となっている。このキャップ切欠部712は、排煙上框本体部511(排煙上框510)の中空部が外部と連通する位置まで切り欠かれている。
屋外側板状部710の外側面には、気密材231bの上端部を係合するための切欠き状の係合部715が形成される。左縦框611の嵌合部612cに嵌合された気密材231bの上端部が係合部715に固定される。
屋内側板状部720は、排煙上框延設部512の形状に対応する部分である。屋内側板状部720により、排煙上框延設部512の小口部分が塞がれる。屋内側板状部720の内側面には、排煙上框延設部512側に突出する屋内側嵌合部721が形成される。この屋内側嵌合部721が排煙上框延設部512の内側に嵌まり込むことにより、端部キャップ70の見込方向の屋内側が排煙上框510に固定される。
屋内側板状部720における屋外側板状部710の近傍には貫通孔726が形成される。この貫通孔726によっても、排煙上框延設部512の中空部が外部と連通している。屋内側板状部720の内側面には、貫通孔726を見込方向で跨ぐにように形成される円弧状部725が形成される。この円弧状部725も、端部キャップ70が排煙上框510に嵌合されている状態では、排煙上框510の中空部に位置する状態となる。
屋内側で排煙上框510に付着した雨水が端部キャップ70と排煙上框510の隙間に入り込み、毛細管現象や気圧差(屋内側の圧力が屋外側よりも低くなる状態)により、端部キャップ70と排煙上框510の隙間で屋外側から屋内側に引き込まれる吸引力が作用したとする(図7及び図10の経路75)。このような場合でも、端部キャップ70と排煙上框510の隙間で水は屋外側から屋内側に進もうとするが、その経路途中に配置されるキャップ切欠部712により、屋内側板状部720(屋内側)に至ることなく落下することになる。仮に、水が端部キャップ70の見込方向の屋内側端部まで到達したとしても、上述のように、端部キャップ70が気密材21aに当接する構成ではないので、端部キャップ70と排煙上框510の隙間から気密材21aを伝って屋内側に水が漏れ出すこともない。
上述の通り、排煙上框510の下方には排煙下框520が配置される。図12は、第1方立戸当たり部315と無目24との止水部分における構造を屋外側から見た斜視図である。図12に示すように、排煙下框520に当接する無目24の気密材24aについても、上枠21の気密材21aと同様のレイアウトになっている。これにより、端部キャップ70の屋内側端部で落下した水についても、気密材24aを伝って屋内側に漏水する事態を確実に回避できる構造となっている。
なお、排煙上框510の左右方向の一側(左側)の端部に配置される端部キャップ70について説明してきたが、他側(右側)にも同様の構成の端部キャップ70が配置されている。そして、この他側に配置される端部キャップ70についても、気密材21aの他側の端部260に接触しない構成になっている。
以上説明してきたように、本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
排煙窓(建具)51は、建物の躯体の開口部に設けられる排煙枠体52と、排煙枠体52に開閉可能に設けられ、排煙上框(横框)510と排煙縦框(縦框)520が框組みされた排煙障子(障子)53と、排煙枠体52側に配置され、閉鎖位置にある排煙障子53の排煙上框510に当接する気密材(止水部材)21aと、排煙上框510の長手方向の端部に取り付けられ、排煙上框510の小口を塞ぐ端部キャップ70と、を備え、気密材21aの排煙枠体52側の端部260が端部キャップ70よりも排煙枠体52から離れた位置に配置され、排煙障子53の閉鎖位置において気密材21aが端部キャップ70に当接しない位置関係となっている。
これにより、毛細管現象や気圧差等により、排煙上框510と端部キャップ70の隙間(結合面)を通じて屋外側から屋内側に水が引っ張られたとしても、端部キャップ70と気密材21aが接触していないので、気密材21aを伝って屋内側に漏水することがない。
また、本実施形態の端部キャップ70は、排煙上框510の小口に対向する部位に配置され、見込方向の水の流れを遮断する水遮断部としてのキャップ切欠部712を有する。
これにより、排煙上框510と端部キャップ70の隙間を屋外側から屋内側に移動しようとする水があっても、キャップ切欠部712によりその移動が妨げられる。屋内側への漏水を防ぐ上記気密材21aの配置と併せて多重的に屋内側への漏水を防止することができる。
また、本実施形態の端部キャップ70のキャップ切欠部712は、端部キャップ70に形成され、排煙上框510の中空部を外側と連通するように構成される。
これにより、排煙上框510の中空部が外部と連通させるキャップ切欠部712により、水の経路75が部分的に途切れることになるので、毛細管現象や気圧差等により水が屋外側から屋内側に進もうとしても屋内側に到達することなく落下したり、その場所に留まったりすることになる。端部キャップ70に切欠きを形成するというシンプルな構成で雨水の屋内側への侵入をより確実に防止できる構成を実現できる。
また、本実施形態の排煙枠体52は、上枠21と方立(縦枠)23が横勝ち方式で枠組みされ、排煙障子53は、排煙上框510と排煙縦框530が横勝ち方式で框組みされ、端部キャップ70が取り付けられる框は排煙上框510である。
これにより、気密材21aが横方向に延びているため、気密材21aを伝って屋内側に水が移動し易くなる横勝ち方式においても、重力を利用して気密材21aに到達しなかった水を排煙枠体52の内側に落下させることができ、屋内側への水の侵入を確実に防止することができる。
以上、本発明の排煙窓51の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
上記実施形態では、端部キャップ70の水遮断部がキャップ切欠部712によって構成されているが、この構成に限定されない。次に、上記実施形態とは異なる構成の端部キャップ770の変形例について説明する。なお、以下の説明において上記実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する場合がある。
図13は、変形例の端部キャップ770の外側面を示す斜視図である。図14は、変形例の端部キャップ770の内側面を示す斜視図である。図13及び図14に示すように、変形例の端部キャップ770は、上記実施形態の端部キャップ70のキャップ切欠部712が省略されており、雨水遮断部としてキャップ止水部材811が配置される点が異なっている。
キャップ止水部材811は、矩形の板状に形成されており、上記実施形態の気密材と同様の材料によって構成される乾式シール部材である。キャップ止水部材811は、屋外側板状部710の内側面に固定されており、排煙上框510に端部キャップ770が嵌め込まれた状態では、排煙上框510と屋外側板状部710の内側面との隙間を埋めるように弾性変形する。
以上説明してきたように、本変形例によれば、以下の効果が奏される。
端部キャップ770が有する水遮断部は、端部キャップ770と排煙上框510の間に配置されるキャップ止水部材811によって構成される。
本変形例によっても、毛細管現象や気圧差等により水が屋外側から屋内側に進もうとしてもキャップ止水部材811によってそれ以上の屋内側への移動が妨げられ、屋内側に到達することなく下方に落下することになる。
上記実施形態及び変形例は、更に以下のように変更することもできる。上記実施形態及び変形例では、排煙上框510に雨水遮断部を有する端部キャップ70,770が配置される構成であるが、排煙下框520にも同様の構成の雨水遮断部を有する端部キャップを配置する構成としてもよい。
また、上記実施形態及び変形例では、排煙枠体52が横勝ち方式で枠組みされるとともに排煙障子53が横勝ち方式で框組みされる構成であるが、この構成に限定されない。排煙枠体(枠体)52が縦勝ち方式で枠組みされるとともに排煙障子(障子)53が縦勝ち方式で框組みされる構成にも適用することができる。この場合では、排煙枠体の縦枠に止水部材が設けられ、端部キャップが取り付けられる框が縦框となり、当該縦框に取り付けられる端部キャップが止水部材に当接しないレイアウトになる。この構成によっても、端部キャップと框の隙間を屋内側に引っ張られた水が止水部材を伝って屋内側に漏れ出す事態を防止することができる。
また、上記実施形態及び変形例では、サッシユニット1において、上下に2つの窓(排煙窓51、FIX窓54)を2段に連続して配置した場合について説明したが、これに限定されない。例えば、上下に窓を連続して配置しなくてもよく、1段の排煙窓で構成してもよい。また、複数の窓を上下に複数の窓を3段以上連続して配置してもよい。