JP6728575B2 - 接合方法 - Google Patents
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Description
例えば、近年の微細加工技術の進展やプラスチック成形加工技術の発展・広範化により、樹脂積層体からなるマイクロ流体デバイスの活用・普及が進んでいる。
マイクロ流体デバイスとは、例えば人間の体液等の対象となる流体の混合,反応,抽出,分離など様々な化学プロセスを小型化・集積化して行うための手段(化学システム)であり、使用目的などにより例えばマイクロミキサー(混合装置),マイクロリアクター(化学反応装置),マイクロTAS(ラボ・オン・チップ:lab−on−a−chip)等とも呼ばれる。
具体的には、マイクロ流体デバイスでは、分子拡散時間(拡散距離の2乗に比例)が約1/10,000程度となり、化学反応速度が大幅に速くなる。
このため、例えば水道水の重金属汚染検査を、通常は3〜4時間程度かかるところを、約50秒程度で完了することが可能となる。
これにより、例えば水道水の重金属汚染検査の場合、対象流体(水)量を、通常の検査装置における1kgから1μg程度に、すなわち、およそ10億分の一までにすることができるようになる。
そして、近年では、このようなマイクロ流体デバイスが、複数の樹脂基材を接合した樹脂積層体によって構成されるようになっている。
図13は、マイクロ流体デバイスを構成する2つの樹脂基材を加熱融着する場合の製造工程を模式的に示す説明図であり、(a)はマイクロ流体デバイスを構成する2つの樹脂基材を積層する工程を、(b)は積層した2つの樹脂基材をガラス転移点以上もしくは融点以上に加熱及び加圧して接合する工程を示している。
ガラス転移点以上もしくは融点以上に加熱されることで、樹脂基材101,102が軟化することにより分子間が接近され、ファンデルワールス力によって両基材が接合されることになる。
そこで、このような樹脂製のマイクロ流体デバイスの製造方法に関して、加熱接合による流路空間の変形を防止する方法として、例えば特許文献1に開示されているような技術が提案されている。
樹脂基材の接合面の濡れ性を高めることで、特許文献1によれば、塑性変形温度未満の温度(例えば雰囲気温度70℃〜90℃)で加熱圧着できるようになるとされている。
このため、工程時間が長期化するだけでなく、長時間の紫外線照射により、樹脂基材の接合面が粗面化するという問題が生じる。この粗面化によって、樹脂基材の機械的強度の低下や透明な樹脂であった場合にはその透明性が低下するおそれがあると考えられる。
これによって、例えば樹脂製のマイクロ流体デバイスの製造等に好適な接合方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る接合方法で製造されるマイクロ流体デバイス10を模式的に示す斜視図であり、(a)はマイクロ流路13が刻設された基板11とその上面に接合される蓋部材12とを分解した状態、(b)は同じく基板11の上面に蓋部材12を接合させた状態を示している。
同図に示すように、マイクロ流体デバイス10を構成するマイクロチャンネルチップは、プラスチック等の合成樹脂製の基板11に、例えば幅100μm程度,深さ50μm程度の微小な流路空間であるマイクロ流路13が刻設され、その上面に蓋部材(カバー体)12が接合されることで反応場となるマイクロ流路13が形成されるようになっている。なお、基板11に刻設されるマイクロ流路13の流路の大きさ(幅・深さ)や流路長,流路形状等は、マイクロ流体デバイスの使用用途や流体の種類などに応じて任意に設定される。
そして、以上のような微細な流路空間を備えたマイクロチャンネルチップに、図示しない各種検出・制御素子等が埋め込まれて、化学システムを構成するマイクロ流体デバイス10が形成されるようになっており、例えば簡易なインフルエンザ用の迅速診断キットとなるマイクロ流体デバイス等が構成される。
以上のようなマイクロ流体デバイス10について、本実施形態においては、以下のような方法を用いて接合するようになっている。
すなわち、本実施形態に係る接合方法は、2つの樹脂基材を接合し、樹脂積層体を製造する方法であって、2つの樹脂基材うち少なくとも1つの樹脂基材の接合面に、高エネルギー照射を行うことにより当該接合面を平坦化及び軟化する工程と、2つの樹脂基材を積層した後、その2つの樹脂基材を、加熱及び/又は加圧して接合する工程とからなっている。
具体的には、本実施形態に係る接合方法では、まず、図2(a)に示すように、マイクロ流体デバイス10のマイクロ流路13が形成された基板11と、基板11に積層される蓋部材12のそれぞれの接合面となる基材表面に高エネルギー照射を行う。
樹脂基材の表面に原子量の大きな高エネルギー照射を行うことで、基材表面を改質することができ、具体的には基材表面を平坦化及び軟化することができる。
平坦化及び軟化することにより、基材表面同士の接触性・密着性が高まり、より低温の接合温度によっても、両者をファンデルワールス力により強固に融着・接合させることが可能となる。
アルゴンプラズマは、原子量が大きく、プラズマ化し易いアルゴンガスを原料ガスとして導入して放電を行うことで、アルゴンの活性種であるArイオンやArラジカルがプラズマによって生成されるもので、原子量が大きくアタック力の強いアルゴン活性種を樹脂基材の表面に衝突させることで、樹脂基材の分子間を切断させることができるものである。
これによって、樹脂基材の表面を改質することができ、具体的には、基材表面が平坦化されるとともに、基材表面が低分子量化、すなわち軟化されることになる。
これによって、図2(b)に示すように、樹脂基材(基板11・蓋部材12)はガラス転移点以下もしくは融点以下の温度においても接合が可能となり、例えば後述する図3に示すように接合温度約30℃で、2つの基材を接合することができるようになる。
そして、ガラス転移点以下もしくは融点以下の温度で接合が行われることで、基板11に形成されたマイクロ流路13が変形等することはなく、マイクロ流体デバイス10の製造方法として好適に用いることができる。
但し、より強固に確実に樹脂基材同士を接合するためには、適切な温度及び圧力で加熱及び加圧することが望ましい。
例えば、アルゴンプラズマ以外の高エネルギー照射としては、酸素プラズマ,アルゴンと酸素などの混合プラズマ,真空紫外線のうち、いずれかを照射する場合であってもよい。
これらは、プラズマ化し易く、アタック力のあるエネルギー照射であり、上述したアルゴンプラズマ照射の場合と同様に、樹脂基材の表面の改質、すなわち、基材表面の平坦化及び軟化(低分子量化)に好ましいものであり、アルゴンプラズマに代えて採用することができる。
また、これらの高エネルギー照射は、接合する2つの樹脂基材の、少なくとも一方の接合面に対して行えば良い。但し、より強固な接合強度を得るためには、接合する2つの樹脂基材の各接合面に対して高エネルギー照射を行うことが望ましい。
次に、以上のようなアルゴンプラズマ等の高エネルギーの照射時間と、接合される樹脂基材の接合強度(結合エネルギー)の関係について、図3を参照しつつ説明する。
図3(a)は、本発明の一実施形態に係る接合方法により接合される2つの樹脂基材の接合強度(結合エネルギー)とアルゴンプラズマの照射時間の関係を示すグラフであり、(b)は(a)に示す結合エネルギーの測定方法を模式的に示す説明図である。
[式1]
次に、高エネルギーを照射させた場合には、照射時間が長くなるにつれて、樹脂基材の接合強度も高くなる。
その後、照射時間が8〜9秒で、結合エネルギーγは2.8J/m2を超えて最高になるが、その直後に、照射時間が10秒で結合エネルギー=0J/m2となり、その後は、照射を継続しても結合エネルギー=0J/m2となり、接合温度30℃で樹脂基材を接合させることはできなくなる。
すなわち、高エネルギーの照射時間は長ければ良いというものではなく、上記のような所定範囲の照射時間とすることが重要であることが分かる。
この点は、上述した特許文献1において、樹脂基材の接合面に真空紫外線を例2分間や5分間などの長時間に亘って照射させた結果、接合温度の低温化が阻害されてしまうことからもよく理解できる。
次に、以上のような高エネルギーの照射時間と、接合される樹脂基材の接合強度(結合エネルギー)と、樹脂基材の接合面の表面粗さ(平坦化度)の関係について、図4を参照しつつ説明する。
図4(a)は、本発明の一実施形態に係る接合方法により接合される2つの樹脂基材の接合強度(結合エネルギー)とアルゴンプラズマの照射時間と接合面の表面粗さ(Ra)の関係を示すグラフであり、(b)は照射時間による表面粗さ(Ra)の違いを模式的に示す説明図である。
算術平均粗さは、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さlだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計し、平均し値であり、下記の式2により求められる。
一つの傷が測定値に及ぼす影響が非常に小さくなり、安定した結果が得られることから、本実施形態では、この算術平均粗さを接合面の平坦化の基準として採用している。
[式2]
次に、高エネルギーを照射させると、まず、照射時間が長くなるにつれて、樹脂基材の接合面の算術平均粗さも小さくなり、照射時間が8秒近辺まで算術平均粗さが小さくなり、従って、接合面が平坦化されていくことが分かる。例えば照射時間2秒で、Raは10nm以下となり、照射時間5秒で約5nm、照射時間8秒で約3nm程度になっている。
照射時間が8秒近辺で、算術平均粗さは最小になるが、その直後に、照射時間が10秒でRaは60nmとなり、その後は、照射時間が長くなるにつれてRaの値も大きくなり、照射時間20秒では、Raは70nmを超えるようになる(図4(b)の右図参照)。
これを接合面の表面粗さの面から理解すれば、上記のようにRaは、10nm以下から最小値(約3nm)に至った直後に、60nmまで急激に変化(増大)することから、接合面の算術平均粗さRa≦10nmとなるように、高エネルギーの照射時間を制御することが好ましいことが分かる。
この点も、上述した特許文献1において、樹脂基材の接合面に真空紫外線を例2分間や5分間などの長時間に亘って照射させた結果、接合温度の低温化が阻害されてしまうことからもよく理解できる。
次に、以上のような高エネルギーの照射時間と、接合される樹脂基材の接合強度(結合エネルギー)と、樹脂基材の接合面のヤング率(軟化度)の関係について、図5を参照しつつ説明する。
図5(a)は、本発明の一実施形態に係る接合方法により接合される2つの樹脂基材の接合強度(結合エネルギー)とアルゴンプラズマの照射時間と接合面のヤング率(E)の関係を示すグラフであり、(b)は(a)に示すヤング率の測定方法を模式的に示す説明図である。
[式3]
高エネルギーを照射させると、まず、照射時間が長くなるにつれて、樹脂基材の接合面のヤング率も小さくなり、照射時間が5秒近辺までヤング率が小さくなり、従って、接合面が軟化(低分子量化)されていくことが分かる。例えば照射時間2秒では、Eは約1.7GPaとなり、照射時間5秒で約1.6GPaと小さくなっていることが分かる。
照射時間が5秒近辺でヤング率が最小になるが、その直後に、ヤング率は上昇に転じ、照射時間が10秒で2.0GPaとなり、その後は、照射時間が長くなってもヤング率に変化はなく、それ以上の軟化(低分子量化)の変動がないことが分かる。
すなわち、上述した接合強度(結合エネルギー)や接合面の表面粗さ(平坦化)との関係の場合と同様、接合面のヤング率(軟化度)との関係からも、高エネルギーの照射時間は長ければ良いというものではなく、上記のような所定範囲の照射時間を採用することが望ましい。
この点においても、上述した特許文献1において、樹脂基材の接合面に真空紫外線を例2分間や5分間などの長時間に亘って照射させた結果、接合温度の低温化が阻害されてしまうことからもよく理解できる。
従って、樹脂基材の接合面の高エネルギーの照射時間は、2秒〜5秒の範囲が特に好ましく、この範囲で、樹脂基材の接合面の表面粗さ(平坦化度)Ra≦10nm、接合面のヤング率(軟化度)E≦3.0とすることができる。
以上、マイクロ流体デバイス10を例にとって本発明に係る接合方法の一実施形態について説明したが、本発明に係る接合方法を適用可能なものとしては、マイクロ流体デバイスに限定されるものではない。
例えば、本発明に係る接合方法により製造される包装容器として、カレーやシチューなどの食品用の所謂レトルトパウチ,パウチ等と呼ばれる包装容器に適用することも可能である。
また、パウチは、食材用のみに限らず、例えば洗剤や調味料,酒類など、様々な分野において簡便な包装容器として用いられている。
例えば、延伸ナイロンフィルムを外層とし、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルムを内層とする二層構成、延伸ポリエステルフィルムを外層とし、ポリオレフィンフィルムを内層とする二層構成、あるいはこのような内・外層フィルム間にアルミニウム等の金属箔を積層した三層構成のフィルム等がある。
同図(a)は、従来のレトルトパウチを示しており、2つの樹脂基材101a,102aの端部が加熱・加圧接合されて包装容器100aを構成するようになっている。
そして、このように包装容器100aを構成する樹脂基材101a,102aは、それぞれ複数の層からなるマルチレイヤーとなっており、具体的には、容器外装側からPET層・アルミ層・PP層の3層が積層された構成となっている。
ここで、図6に示すような層構成となっているのは、外層にPET層が配置されるのは、PET樹脂が強度や柔軟性・耐久性等に優れ、容器外装用の印刷等の適性にも優れるためである。
一方、内層にPP層が配置されるのは、PP樹脂同士はヒートシール性に優れ、熱融着により確実に接合できるためである。
このため、従来のレトルトパウチに充填される内容物は、内層のPP層に収着されることを前提として、例えばカレーであれば、本来よりも色や味の濃い,香りの強いカレーを充填して、PP層による収着があった上で、本来のカレーの色や味,香りがするように調理されたものが充填されるようになっていた。
従って、通常の料理として調理されたものを従来のレトルトパウチに充填すると、PP層の収着作用によって、色も味も香りも薄く、極端な場合には味のしない無味無臭のカレーとなってしまうことになる。
ところが、PET層を容器内層にすると、ヒートシールにより包装容器(レトルトパウチ)を構成できないという問題が生じてしまう。
PET樹脂同士をヒートシール・熱融着させるには、例えば融点である260℃以上の高温によって融着・接合させることは可能であるが、その場合PET樹脂が結晶化してしまい、例えば落下させると砕けてしまうような硬く脆い状態となってしまい、もはやレトルトパウチとしての機能を果たせないものとなってしまう。
このため、PET層を容器内層に配したレトルトパウチは、これまで一切提案されていない。
これによって、図6(b)に示すように、包装容器10aを構成する基材11a,12aとして、それぞれ容器外装側からPET層・アルミ層・PET層の3層が積層されたマルチレイヤー構成の基材を用いることができる。
この場合、容器内層側のPET層の接合面について、図2に示したアルゴンプラズマ等の高エネルギー照射を行った上で、基材11a,12aを積層した加熱・加圧することで、例えば200℃の接合温度で両基材11a,12aをヒートシールすることができる。
そして、容器内層側にPET層が配置されたパウチは、PET樹脂の収着性の低さによって、内容物の色素や味,香りなどの収着の問題が発生せず、その結果、通常の料理として調理されたものをそのまま充填しても、色や味・香りなどが変化しない、理想的なレトルトパウチ・パウチを実現することができる。
このような低温接合によって、例えばマイクロ流体デバイス10に形成された微細なマイクロ流路13が高温加熱により変形等することなく、所望の流路空間を備えたマイクロ流体デバイス10を製造することができる。
従って、本発明は、例えば簡易なインフルエンザ用の迅速診断キットを構成するマイクロ流体デバイスや、カレーなどのレトルト食品用の包装容器(レトルトパウチ)に好適な製造方法として用いることができる。
なお、本発明を以下の実施例により更に説明するが、本発明は下記実施例により何らかの制限を受けるものではない。
射出成形機でポリメチルメタクリレート(クラレ製、商品名パラペットGF、ガラス転移点100℃)を射出成形し、外形寸法60mm×15mm×1.0mmのプレート状の基板と蓋部材を作製した。
基材表面を70%エタノールで洗浄し、CDAにより乾燥させた。
続いて、高エネルギー照射は、表面波プラズマ装置にてアルゴンガス流量200SCCM、マイクロ波周波数2.45GHz、マイクロ波出力1.5kW、真空度400Paの条件下で、基材表面にプラズマ照射を行い、表面を平坦化・軟化させた。そして、直ちに基材のプラズマ照射面を内側にして、基板と蓋部材を重ね、ヒートシール機で接合温度30℃、接合圧力1.9MPaの条件下で60秒間保持し、基板と蓋部材を接合した。
クラックオープニング法にて結合エネルギーを測定したところ、アルゴンプラズマを照射したことにより、図3〜5で示すように、基材表面が平坦化・軟化されることで、結合エネルギーが増加した(図3参照)。
高エネルギー照射は、表面波プラズマ装置にて酸素ガス流量200SCCM、真空度100Pa、接合は接合温度70℃の条件下とした以外は、実施例1と同様に試料を準備した。
その結果、図7〜9に示すように、基板及び蓋部材の表面が平坦化・軟化されることで、結合エネルギーが増加した(図7参照)。
高エネルギー照射は、真空紫外線装置(MDエキシマ製、型式MEIRA−M−1−152−H2)にて、波長172nm、管面照度78W/cm2、RF出力600W、照射距離2mm、大気雰囲気の条件下とした以外は実施例1と同様に試料を準備した。
その結果、図10〜12に示すように、基板及び蓋部材の表面が平坦化・軟化されることで、結合エネルギーが増加した(図10参照)。
基材表面への高エネルギー照射を行わずに、接合は接合温度30℃ならびに70℃とした以外は、実施例1と同様に試料を準備した。
その結果、基板と蓋部材をヒートシール機から取り出すと、基板と蓋部材は接合されなかった(結合エネルギー0J/m2)
外層に延伸ポリエステル(厚さ12μm)にアルミ箔(厚さ6μm)を重ね、内層に延伸ポリエステル(厚さ100μm、融点260℃)をドライラミネート機で積層し、基材を作製した。
基材表面を70%エタノールで洗浄し、CDAにより乾燥させた。
続いて、表面波プラズマ装置にてアルゴンガス流量200SCCM、マイクロ波周波数2.45GHz、マイクロ波出力1.5kW、真空度400Paの条件下で、基材表面にプラズマ照射を行い、表面を平坦化・軟化させた。
内層の延伸ポリエステル同士を内側にして基材を重ね、ヒートシール機で接合温度200℃、接合圧力1.3MPaの条件下で60秒間保持し、基材同士を接合した。引張試験機で引張速度300mm/minのTピール試験にて接合強度を測定した結果、シール強度は23N/15mm以上であった。
また、4方シール袋(170mm×130mm)を作製し、カレーを充填・密封後、レトルト釜にて温度121℃の条件下で2時間加圧加熱殺菌を実施した。
目視検査により、シール袋内面への色素の収着を確認した結果、内層の延伸ポリエステルは着色されていなかった。
実施例4の基材の内層にポリプロピレン(厚さ100μm)にして、高エネルギー照射を行わずに、接合温度200℃、接合圧力1.3MPaの条件下で10秒間保持し、基材同士を接合した以外は、実施例4と同様に試料を作製した。
その結果、シール強度は23N/15mm以上であったが、レトルト後の目視検査により、シール袋内面への色素の収着を確認した結果、内層のポリプロピレンは黄色に着色されていた。
すなわち、本願発明は、ガラス転移点又は融点のいずれか一方の温度以下で加熱接合させる要請のある用途であれば、特に限定されるものではない。
11 基板
12 蓋部材(カバー体)
13 マイクロ流路
10a 包装容器
11a 基材
12a 基材
Claims (2)
- 樹脂面同士を接合する方法であって、
基材の接合面に、高エネルギー照射を行うことにより当該接合面を平坦化及び軟化する工程と、
前記接合面を接触させた後、基材を、加熱及び/又は加圧して接合する工程と、
を有し、
前記基材が、マイクロ流体デバイスを構成する、熱可塑性樹脂からなり、
前記高エネルギー照射を行う工程において、
前記基材の接合面に、照射時間2〜10秒の範囲で、アルゴンプラズマを照射することにより、
前記基材の接合面の表面粗さを、算術平均粗さRa≦10nmとし、
前記熱可塑性樹脂のガラス転移点の温度以下、かつ、70℃以下の温度で、前記基材の接合面同士を接合させる
ことを特徴とする接合方法。 - 2つの基材のうち少なくとも1つの基材の接合面に前記高エネルギー照射を行う請求項1に記載の接合方法。
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