以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明に係る電池システムの一実施の形態を示す回路構成図である。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素については、図から適宜省略している。本実施の形態における電池システムは、車両として電気自動車(EV)又はプラグインハイブリッドカー(PHV)に搭載される場合を例にして説明する。図1には、組電池1、電気機器2、昇圧回路3、制御装置4、及び電圧検出回路5が示されている。
組電池1は、電池ブロックB及び電池ブロックGを直列に接続して構成される。本実施の形態の場合、電池ブロックBが第1電池ブロックに、電池ブロックGが第2電池ブロックに、それぞれ対応する。電池ブロックB,Gは、充放電可能な二次電池であり、例えば鉛蓄電池や、ニッケル−カドミウム蓄電池、ニッケル−水素蓄電池、リチウム二次電池など種々の二次電池を用いることができる。
電気機器2は、組電池1に接続される、例えばインバータ及びモータを備える。モータは、車両の走行に用いる三相交流モータである。インバータは、組電池1から出力された直流電力を三相の交流電力に変換して、モータに印加する電力変換器である。
組電池1と電気機器2のインバータとは、組電池1の正極と電気機器2(インバータ)の正極側端子とを接続する正極側電力線(正極ライン)BL、及び、組電池1の負極と電気機器2(インバータ)の負極側端子とを接続する負極側電力線(負極ライン)GLにより接続されている。そして、正極ラインBLには、この正極ラインBLを開閉する正極側のシステムメインリレーSMR−Bが設けられている。また、負極ラインGLには、この負極ラインGLを開閉する負極側のシステムメインリレーSMR−Gが設けられている。
昇圧回路3は、電力線BL,GLのシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gと電気機器2との間に設けられ、組電池1から出力された電圧を昇圧する。
制御装置4は、マイクロコンピュータを中心とした論理回路として構成される。具体的には、予め設定された制御プログラムに従って所定の演算などを実行する図示しないCPUと、CPUで各種演算処理を実行するのに必要な制御プログラムや制御データ等が予め格納された図示しないROMと、同じくCPUで各種演算処理をするのに必要な各種データが一時的に読み書きされる図示しないRAMと、各種信号を入出力する図示しない入出力ポート等を備える。制御装置4は、ECU(Engine Control Unit)により実現され、本実施の形態の場合、実施する動作制御の一つとして、システムメインリレーSMR−B,SMR−G及び後述する各絶縁スイッチSW1〜SW4のオンオフを制御する。
電圧検出回路5は、組電池1に含まれている各電池ブロックB,Gの電圧を検出する回路である。電圧検出回路5は、各電池ブロックB,Gの正極側及び負極側の電位の差分を検出することで各電池ブロックB,Gの電圧を検出する検出手段としての差動増幅部51及び差動増幅部51を各電池ブロックB,Gと接続又は切断する絶縁スイッチ部52を備える。差動増幅部51は、各電池ブロックB,Gの検出電圧を制御装置4が認識できる0〜5Vに変換する。絶縁スイッチ部52には、電池ブロックBの正極を差動増幅部51に接続又は切断する絶縁スイッチSW1、電池ブロックBの負極を差動増幅部51に接続又は切断する絶縁スイッチSW2、電池ブロックGの正極を差動増幅部51に接続又は切断する絶縁スイッチSW3、及び電池ブロックGの負極を差動増幅部51に接続又は切断する絶縁スイッチSW4が含まれている。
本実施の形態においては、組電池1を電池ブロックB,Gで構成しているので、電池ブロックB,Gの電圧検出系として2組のブロックを備えることになる。従って、以降の説明では、電池ブロックBを含む組電池1の正極側のブロックBBを「ブロック上」、電池ブロックGを含む組電池1の負極側のブロックBGを「ブロック下」、とそれぞれ称することにする。
本実施の形態における電池システムにおいては、更に電力線BL,GLのシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gと昇圧回路3との間に設けられたVLセンサ(図示せず)によるVL電圧検出のために電力線BL,GL間の電圧を分圧する抵抗R5,R6を備えている。同様に、電力線BL,GLの昇圧回路3と電気機器2との間に設けられたVHセンサ(図示せず)によるVH電圧検出のために電力線BL,GL間の電圧を分圧する抵抗R7,R8を備えている。抵抗R5,R6と抵抗R7,R8との間は、それぞれボディグランド(以下、「ボディGND」)に接続されている。
本実施の形態において特徴的なことは、電圧検出回路5をシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gの溶着検知回路として流用することである。より具体的には、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gをオフにすると共に絶縁スイッチSW1〜SW4を所定のオンオフ状態に設定したときに、電池ブロックB又は電池ブロックGの電圧が当該所定のオンオフ状態に対応して設定された閾値以上となった場合にシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gの少なくとも一方が異常と判定する、すなわちシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gの溶着を検知できるようにしたことである。
図2は、図1に示した回路のうちボディGNDの電位VGNDに寄与する部分以外を簡略化した回路図である。図2では、電圧検出回路5の差動増幅部51を省略しているので、各ブロック上下の検出電圧VB,VGに関しては、入力側の端子間電圧V1,V2,V3,V4を参照して説明する。以降の実施の形態においても同様とする。
本実施の形態では、電池ブロックBの電圧を120V、電池ブロックGの電圧を80V、すなわち組電池1の電圧を200Vとする。また、昇圧回路3は、非稼動で0Vを想定する。各抵抗R1〜R8は全て8MΩとする。なお、実際のボディGNDの電位VGNDには、差動増幅部51のオフセット電圧(例えば、0.77V)が加算されるが、電池ブロックB,Gの電圧に対しては無視できるので、以下に説明する計算には考慮しない。以降の実施の形態においても同様とする。
図3は、本実施の形態において、SWパターンと、当該SWパターンにおける絶縁スイッチSW1〜SW4のオンオフ状態と、当該SWパターンのときに検出する電圧及びシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gの溶着検知の組合せを示す図である。以下、図3を用いて、本実施の形態における回路動作について説明する。前述したように、システムメインリレーSMR−B,SMR−G及び絶縁スイッチSW1〜SW4のオンオフ制御は、制御装置4が行う。
本実施の形態において、ブロック上下の電圧をそれぞれ検出するには、SWパターン1、すなわち全ての絶縁スイッチSW1〜SW4をオンにすることによって電圧VB,VGを検出する。また、電圧の検出を行わないときにはSWパターン2、すなわち全ての絶縁スイッチSW1〜SW4をオフにする。制御装置4は、このように電圧検出回路5を電圧検出のために動作させる。
次に、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gの少なくとも一方が溶着し、電力線BL,GLの少なくとも一方が閉状態のまま固定される不具合を検知するための回路動作について説明する。
不具合の検知のために、制御装置4は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gを共にオフ制御し、かつSWパターン3、すなわち絶縁スイッチSW1をオンにすると同時にそれ以外の絶縁スイッチSW2〜4をオフにする。このときの回路の状態を図4に示す。ここでは、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gは共に正常に動作し、開状態になったものとして説明する。また、本実施の形態から実施の形態5までは、絶縁スイッチSW1〜SW4は制御装置4からの制御に従ったオンオフの状態になるものとする。
以降の説明では、抵抗R1〜R8は同一の抵抗値(8MΩ)として計算しているが、高い抵抗値、例えばメガオーダーの抵抗値であれば異なる値でもよい。
ここでは、絶縁スイッチSW1はオンなので、ブロック上のプラス端子の電位V1は、絶縁スイッチSW1における電池電位200Vとなる。ボディGNDは、絶縁スイッチSW1を介してのみ組電池1と繋がっているので、ボディGNDの電位VGNDは、ブロック上のプラス端子と同じ200Vとなる。また、絶縁スイッチSW2〜SW4はオフなので、各電位V2〜V4は、ボディGNDの電位VGNDと同じ200Vとなる。
このように、ブロック上の端子の電位V1,V2はいずれも200Vとなるので、ブロック上の検出電圧VBは、V1(200V)−V2(200V)=0Vとなる。同様に、ブロック下の端子の電位V3,V4はいずれも200Vとなるので、ブロック下の検出電圧VGは、V3(200V)−V4(200V)=0Vとなる。この例のように、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gが溶着しておらず、制御装置4からの制御に従って正常にオフ動作する場合において、絶縁スイッチSW1のみをオンにすると、各ブロックの検出電圧VB,VGはいずれも0Vとなる。
ここで、上記と同様に、制御装置4は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gが共にオフになるよう制御したものの、システムメインリレーSMR−Gが溶着により閉状態のままだったとする。このときの回路の状態を図5に示す。
この場合、絶縁スイッチSW1はオンなので、ブロック上のプラス端子の電位V1は、上記と同様に200Vとなる。一方、ボディGNDは、絶縁スイッチSW1を介して組電池1の正極側と繋がっていると同時に、システムメインリレーSMR−Gがオンの状態であることから組電池1の負極側とも繋がっていることになる。この結果、ボディGNDの電位VGNDは、抵抗R1〜R8の接続関係により200Vより小さい67Vとなる。そして、絶縁スイッチSW2はオフなので、絶縁スイッチSW2の端子(ブロック上のマイナス端子)は、ボディGNDの電位VGNDと同じ67Vとなる。なお、ブロック下の絶縁スイッチSW3,4はオフなので、絶縁スイッチSW3,4の端子も67Vとなる。
このように、ブロック上のプラス端子の電位V1は200Vで、マイナス端子の電位V2は67Vとなるので、ブロック上の検出電圧VBは、V1(200V)−V2(67V)=133Vとなる。なお、ブロック下の検出電圧VGは、V3(67V)−V4(67V)=0Vとなる。
この結果、ブロック上の検出電圧VBは正常時の0Vとは異なる電圧を示すため、ブロック上の検出電圧VBを参照することで、システムメインリレーSMR−Gの溶着を検知できる。なお、ブロック下の検出電圧VGは正常時と同じ0Vを示すので、システムメインリレーSMR−Gの溶着の検知のためにブロック下の検出電圧VGは参照しない。
次に、制御装置4がシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gを共にオフになるよう制御したものの、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gが共に溶着により閉状態のままだったとする。このときの回路の状態を図6に示す。
この場合、絶縁スイッチSW1はオンなので、ブロック上のプラス端子の電位V1は、上記と同様に200Vとなる。一方、ボディGNDは、絶縁スイッチSW1及びシステムメインリレーSMR−Bをそれぞれ介して組電池1の正極側と繋がっていると同時に、システムメインリレーSMR−Gを介して組電池1の負極側とも繋がっていることになる。この結果、ボディGNDの電位VGNDは、抵抗R1〜R8の接続関係により200Vより小さい120Vとなる。そして、絶縁スイッチSW2はオフなので、絶縁スイッチSW2の端子(ブロック上のマイナス端子)は、ボディGNDの電位VGNDと同じ120Vとなる。なお、ブロック下の絶縁スイッチSW3,4はオフなので、絶縁スイッチSW3,4の端子も120Vとなる。
このように、ブロック上のプラス端子の電位V1は200Vで、マイナス端子の電位V2は120Vとなるので、ブロック上の検出電圧VBは、V1(200V)−V2(120V)=80Vとなる。なお、ブロック下の検出電圧VGは、V3(120V)−V4(120V)=0Vとなる。
この結果、ブロック上の検出電圧VBは正常時の0Vとは異なる電圧を示すため、ブロック上の検出電圧VBを参照することで、システムメインリレーSMR−B,SMR−G両方の溶着を検知できる。なお、ブロック下の検出電圧VGは正常時と同じ0Vを示すので、システムメインリレーSMR−B,SMR−G両方の溶着検知のためにブロック下の検出電圧VGは参照しない。
上記説明では、SWパターン3、すなわち絶縁スイッチSW1のみをオンとするよう制御することによってシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gの溶着を検知するようにしたが、SWパターン4、すなわち絶縁スイッチSW4をオンにすると同時にそれ以外の絶縁スイッチSW1〜3をオフにするよう制御しても、上記と同様にシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gの溶着を検知することができる。
すなわち、制御装置4は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gを共にオフ制御することによってシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gが共に正常に動作し、開状態になると、各電位V1〜V4は全て0Vとなるので、各ブロックの検出電圧VB,VGはいずれも0Vとなる。
ここで、制御装置4がシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gが共にオフになるよう制御したものの、システムメインリレーSMR−Bが溶着により閉状態のままだったとする。この場合、ブロック下のマイナス端子の電位V4は、上記と同様に0Vとなる。一方、ボディGNDは、絶縁スイッチSW4を介して組電池1の負極側と繋がっていると同時に、システムメインリレーSMR−Bがオンの状態であることから組電池1の正極側とも繋がっていることになる。この結果、ボディGNDの電位VGNDは、抵抗R1〜R8の接続関係により0Vより大きい133Vとなるので、電位V1〜V3も133Vとなる。これにより、ブロック下の検出電圧VGは、V3(133V)−V4(0V)=133Vとなる。なお、ブロック上の検出電圧VBは、V1(133V)−V2(133V)=0Vとなる。
また、制御装置4がシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gを共にオフになるよう制御したものの、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gが共に溶着により閉状態のままだったとする。この場合も上記と同様に、ボディGNDの電位VGNDは、抵抗R1〜R8の接続関係により0Vより大きい80Vとなるので、電位V1〜V3も80Vとなる。これにより、ブロック下の検出電圧VGは、V3(80V)−V4(0V)=80Vとなる。なお、ブロック上の検出電圧VBは、V1(80V)−V2(80V)=0Vとなる。
図7は、上記説明した回路動作により各SWパターン1,3,4と検出電圧との関係を模式的に示す図である。図7に示すように、本実施の形態では、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gが正常か異常(溶着)かの判定基準として閾値(Vth)を予め設定しておく。閾値は、組電池1の電圧、抵抗R1〜R8の値等を参照して適切な値を設定しておけばよい。本実施の形態の場合は、40V程度の値を設定しておけばよい。なお、ブロック上とブロック下とで異なる閾値を設定するようにしてもよい。以降の実施の形態においても同様である。
図7(a)及び図7(b)から明らかなように、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gが正常に動作するのであれば、いずれのSWパターン1,3,4においても0Vとなる。そこで、絶縁スイッチSW1〜SW4をSWパターン3に設定してブロック上の検出電圧を参照する、あるいは絶縁スイッチSW1〜SW4をSWパターン4に設定してブロック下の検出電圧を参照し、各検出電圧が閾値を超える場合は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gが溶着していると判定できる。なお、図7(a)において、システムメインリレーSMR−Bが固着している場合、ブロック上の検出電圧は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gの正常動作時と同様、いずれのSWパターン1,3,4においても0Vとなる。また、図7(b)において、システムメインリレーSMR−Gが固着している場合、ブロック下の検出電圧は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gの正常動作時と同様、いずれのSWパターン1,3,4においても0Vとなる。従って、正常動作時を示す線と図面上重なっている。以上説明した処理について図8に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、制御装置4は、絶縁スイッチSW1〜SW4をSWパターン3に設定して(ステップ101)、ブロック上の検出電圧VBを取得する(ステップ102)。また、絶縁スイッチSW1〜SW4をSWパターン4に設定して(ステップ103)、ブロック下の検出電圧VGを取得する(ステップ104)。
そして、制御装置4は、検出電圧VBが閾値(Vth)以下でなければ(ステップ105でN)、システムメインリレーSMR−Gがオンに固着されている、すなわちシステムメインリレーSMR−Gの溶着を検知する(ステップ106)。また、検出電圧VGが閾値(Vth)以下でなければ(ステップ107でN)、システムメインリレーSMR−Bがオンに固着されている、すなわちシステムメインリレーSMR−Bの溶着を検知する(ステップ108)。また、検出電圧VB,VGが共に閾値(Vth)以下の場合(ステップ105でY、ステップ107でY)、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gは共に正常であると判定する。
なお、各ブロックの電圧の検出(ステップ101,102とステップ103,104)及びシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gの正常か否かの判定(ステップ105,106とステップ107,108)は、逆に実施するようにしてもよい。
実施の形態2.
図9は、本実施の形態における電池システムの回路構成図である。なお、実施の形態1と同じ構成要素には同じ符号を付け、説明を省略する。
上記実施の形態1では、組電池1とボディGNDをつなぐ高抵抗R1〜R8が図1に示した抵抗のみであることを想定している。しかしながら、実際の回路構成には、漏洩検出回路6が実装されている。漏洩検出回路6では、組電池1の負極側とボディGNDとの間のカップリングコンデンサのリーク電流が無視できず、絶縁抵抗として最低1.5MΩの抵抗が接続される。そうすると、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gの正常時でもボディGNDが組電池1の負極側に引っ張られ、これにより図4を用いて説明したときの電圧VBは0Vとならず、よってシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gを正常と判定することが困難となる。このため、実施の形態1において説明したSWパターン3(絶縁スイッチSW1のみオン)では、溶着の検知ができなくなる。
そこで、本実施の形態においては、正極ラインBLのシステムメインリレーSMR−Bと抵抗R5の接続点との間と、負極ラインGLのシステムメインリレーSMR−Gと抵抗R6の接続点との間に、双方向DCDCコンバータ(双方向DDC)7を設けるように構成する。双方向DCDCコンバータ7は、組電池1から補機バッテリ(図示せず)にエネルギーを移動させることで補機上がりを防止する既存のコンバータに、補機バッテリから組電池1へもエネルギーを移動させる機能を追加して構成されるコンバータである。
図10は、図9に示した回路のうちボディGNDの電位VGNDに寄与する部分以外を簡略化した回路図である。図10において、抵抗R9は絶縁抵抗であり、1.5MΩとする。また、双方向DCDCコンバータ7の起動時における出力電圧は200Vとする。
図11は、本実施の形態において、SWパターンと、当該SWパターンにおける絶縁スイッチSW1〜SW4のオンオフ状態と、当該SWパターンのときに検出する電圧及びシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gの溶着検知の組合せを示す図である。以下、図11を用いて、本実施の形態における回路動作について説明する。なお、双方向DCDCコンバータ7の駆動制御は、制御装置4が行う。
本実施の形態において、ブロック上下の電圧をそれぞれ検出するには、SWパターン1、すなわち全ての絶縁スイッチSW1〜SW4をオンにすることによって電圧VB,VGを検出する。また、電圧の検出を行わないときにはSWパターン2、すなわち全ての絶縁スイッチSW1〜SW4をオフにする。制御装置4は、このように電圧検出回路5を電圧検出のために使用する。
次に、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gの少なくとも一方が溶着し、電力線BL,GLの少なくとも一方が閉状態のまま固定される不具合を検知するための回路動作について説明する。
不具合の検知のために、制御装置4は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gを共にオフ制御し、かつSWパターン4すなわち絶縁スイッチSW4をオンにすると同時にそれ以外の絶縁スイッチSW1〜3をオフにする。このときの回路の状態を図12に示す。ここでは、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gは共に正常に動作し、開状態になったものとして説明する。
このとき、絶縁スイッチSW4はオンなので、ブロック下のマイナス端子の電位V4は、絶縁スイッチSW4における電池電位0Vとなる。ボディGNDは、絶縁スイッチSW4を介して組電池1と繋がっているので、ボディGNDの電位VGNDは、ブロック下のマイナス端子と同じ0Vとなる。また、絶縁スイッチSW1〜SW3はオフなので、各電位V1〜V3は、ボディGNDの電位VGNDと同じ0Vとなる。
このように、ブロック上の端子の電位V1,V2はいずれも0Vとなり、ブロック上の検出電圧VBは0Vとなる。同様に、ブロック下の端子の電位V3,V4はいずれも0Vとなり、ブロック上の検出電圧VGは0Vとなる。この例のように、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gが溶着しておらず、制御装置4からの制御に従って正常にオフ動作する場合において、絶縁スイッチSW4のみをオンにすると、各ブロックの検出電圧VB,VGはいずれも0Vとなる。
ここで、制御装置4がシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gが共にオフになるよう制御したものの、システムメインリレーSMR−Bが溶着により閉状態のままだったとする。このときの回路の状態を図13に示す。この場合、ブロック下のマイナス端子の電位V4は、上記と同様に0Vとなる。一方、ボディGNDは、絶縁スイッチSW4を介して組電池1の負極側と繋がっていると同時に、システムメインリレーSMR−Bがオンの状態であることから組電池1の正極側とも繋がっている。更に、ボディGNDの電位VGNDは、システムメインリレーSMR−Bで電圧が持ち上がるため抵抗R1〜R8の接続関係により0Vより大きい39Vとなるので、電位V1〜V3も39Vとなる。これにより、ブロック下の検出電圧VGは、V3(39V)−V4(0V)=39Vとなる。なお、ブロック上の検出電圧VBは、V1(39V)−V2(39V)=0Vとなる。
また、制御装置4がシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gが共にオフになるよう制御したものの、システムメインリレーSMR−Gが溶着により閉状態のままの場合(図14)、更にシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gが共に溶着により閉状態のままの場合(図15)も、上記と同様にブロック下の検出電圧VGは、V3(39V)−V4(0V)=39V、ブロック上の検出電圧VBは、V1(39V)−V2(39V)=0Vとなる。
図16は、上記説明した回路動作により各SWパターン3,4と検出電圧との関係を模式的に示す図である。本実施の形態では、組電池1及び双方向DCDCコンバータ7の出力電圧が等しいので、ボディGNDの電位VGNDは、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gの溶着箇所によらず同じ電位となる。従って、溶着時(図13〜図15)におけるブロック上下の出力電圧は同じとなり、絶縁スイッチSW1〜SW4をSWパターン4に設定してブロック下の検出電圧を参照し、検出電圧が閾値を超える場合は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gの少なくとも一方が溶着していると判定できる。なお、本実施の形態の場合、SWパターン3では、漏電抵抗R9(1.5MΩ)のためブロック上の検出電圧にシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gが正常か異常(溶着)かを正確に判定しうるだけの差は生じないで、SWパターン4に設定してブロック下の検出電圧を参照することになる。以上説明した処理について図17に示すフローチャートを用いて説明する。
制御装置4は、絶縁スイッチSW1〜SW4をSWパターン1に設定して(ステップ201)、ブロック上下の検出電圧VB,VGを取得する(ステップ202)。そして、検出した電圧VB,VGの和を双方向DCDCコンバータ7からの出力電圧に設定する(ステップ203)。本実施の形態の場合、前述したように200V=(120V+80V)となる。
続いて、制御装置4は、絶縁スイッチSW1〜SW4をSWパターン4に設定して(ステップ204)、ブロック下の検出電圧VGを取得する(ステップ205)。
そして、制御装置4は、検出電圧VGが閾値(Vth)以下でなければ(ステップ206でN)、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gの少なくとも一方はオンに固着されている、すなわちシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gの溶着を検知する(ステップ207)。一方、検出電圧VGが閾値(Vth)以下の場合(ステップ206でY)、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gは共に正常であると判定する(ステップ208)。
実施の形態3.
図18は、本実施の形態における電池システムの回路構成図である。なお、実施の形態1,2と同じ構成要素には同じ符号を付け、説明を省略する。
本実施の形態では、電圧検出回路5における差動増幅部51をフライングキャパシタ回路8に置き換えた構成を有している。
図19は、本実施の形態において、SWパターンと、当該SWパターンにおける絶縁スイッチSW1〜SW4のオンオフ状態と、当該SWパターンのときに検出する電圧及びシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gの溶着検知の組合せを示す図である。以下、図19を用いて、本実施の形態における回路動作について説明する。
本実施の形態において、ブロック上下の電圧をそれぞれ検出するには、まず全ての絶縁スイッチSW1〜SW6をオフにした後、SWパターン5、すなわち絶縁スイッチSW1,SW2をオンにしてキャパシタ9にチャージする。チャージ後、SWパターン7、すなわち絶縁スイッチSW1,SW2をオフにすると同時に絶縁スイッチSW5,SW6をオンにする。これにより、キャパシタ9にチャージされた電圧が電圧VBとして検出される。
同様に、全ての絶縁スイッチSW1〜SW6をオフにした後、SWパターン6、すなわち絶縁スイッチSW3,SW4をオンにしてキャパシタ9にチャージする。チャージ後、SWパターン7、すなわち絶縁スイッチSW3,SW4をオフにすると同時に絶縁スイッチSW5,SW6をオンにする。これにより、キャパシタ9にチャージされた電圧が電圧VGとして検出される。
システムメインリレーSMR−B,SMR−Gの溶着検知に関しては、基本的には実施の形態2と同じとなるので説明を省略する。ただ、SWパターン3で絶縁スイッチSW1をオンするときには絶縁スイッチSW5も合わせてオンにする必要がある。また、SWパターン4で絶縁スイッチSW4をオンするときには絶縁スイッチSW6も合わせてオンにする必要がある。
実施の形態4.
図20は、本実施の形態における電池システムの回路構成の要部を示す図である。なお、実施の形態3と同じ構成要素には同じ符号を付け、説明を省略する。
上記各実施の形態においては、組電池には2つの電池ブロックB,Gが含まれていることから、電圧検出回路5がブロックBBとブロックBGの2チャンネルを備えていたが、これに限らず、1チャンネルでも3チャンネル以上でも上記と同様に動作することでシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gの溶着を検知することは可能である。
図20では、4ブロックを備えた構成を示しているが、図20に示すように、組電池1に含まれる電池ブロック11のうち正極ラインBLに最も近い電池ブロックBの正極側に接続される絶縁スイッチSW1と、組電池1に含まれる電池ブロック11のうち負極ラインGLに最も近い電池ブロックGの負極側に接続される絶縁スイッチSW4に対して、上記各実施の形態1〜3に対して実施したオンオフ制御を行うことで、各実施の形態1〜3と同様の作用効果を奏することができる。
実施の形態5.
図21は、本実施の形態における電池システムの回路構成図である。なお、実施の形態2と同じ構成要素には同じ符号を付け、説明を省略する。図21には、組電池1に外部電力を供給することで充電を行うAC充電器10が示されている。また、図21では、補機電池12も明示した。プラグインハイブリッドカーにおいては、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gとは別個に、充電リレーBR−B,BR−Gを介してAC充電器10が接続される。より具体的には、AC充電器10の正極側は、充電リレーBR−Bを介して組電池1とシステムメインリレーSMR−Bとの間の正極ラインBLに接続される。また、AC充電器10の負極側は、充電リレーBR−Gを介して組電池1とシステムメインリレーSMR−Gとの間の負極ラインGLに接続される。
前述した溶着検知方法では、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gと充電リレーBR−B,BR−Gのいずれが溶着しているのか判別できない場合がある。例えば、システムメインリレーSMR−Bの溶着を検知するために、双方向DCDCコンバータ7を昇圧させ、絶縁スイッチSW4をオンにして、ブロック下の電圧VGを検出する場合、システムメインリレーSMR−Bが溶着しても、充電リレーBR−Bが溶着しても、ボディGNDの電位は共に、双方向DCDCコンバータ7による昇圧により持ち上がることとなり、電圧の検出値が上昇する。確かに、システムメインリレーSMR−Bの溶着は検知できるが、充電リレーBR−Bの溶着との切り分けができない。
そこで、本実施の形態においては、双方向DCDCコンバータ7の昇圧電圧を変動させたときの検出電圧の変動量を検出するロジックを追加する。ここでは、絶縁スイッチSW4のみをオンに設定することとする。双方向DCDCコンバータ7を駆動させる場合、システムメインリレーSMR−Bが溶着していることから双方向DCDCコンバータ7の昇圧電圧の変動に応じてボディGNDの電位が変動する。その一方、システムメインリレーSMR−Bが溶着していない場合、双方向DCDCコンバータ7の昇圧電圧の変動の影響を受けないため、ボディGNDの電位は変動しない。仮に、充電リレーBR−B,BR−Gが溶着していてもボディGNDの電位は変動しないので切り分け可能である。以下、前述した本実施の形態における溶着検知処理について図22に示すフローチャートを用いて説明する。
制御装置4は、まず双方向DCDCコンバータ7の昇圧を停止し(ステップ501)、この状態でSWパターン3に設定する(ステップ502)。すなわち、絶縁スイッチSW1のみをオンにして、ブロック上の電圧VBを検出する(ステップ503)。この双方向DCDCコンバータ7の昇圧が停止された状態で検出した電圧VBをVB1_OFFとする。続いて、制御装置4は、SWパターン4に設定する(ステップ504)。すなわち、絶縁スイッチSW4のみをオンにして、ブロック下の電圧VGを検出する(ステップ505)。この双方向DCDCコンバータ7の昇圧が停止された状態で検出した電圧VGをVG4_OFFとする。
双方向DCDCコンバータ7のオフ状態時でのブロック上下の電圧を検出すると、制御装置4は、双方向DCDCコンバータ7を起動して昇圧させる(ステップ506)。この状態でSWパターン3に設定する(ステップ507)。すなわち、絶縁スイッチSW1のみをオンにして、ブロック上の電圧VBを検出する(ステップ508)。この双方向DCDCコンバータ7が昇圧を行う状態で検出した電圧VBをVB1_ONとする。続いて、制御装置4は、SWパターン4に設定する(ステップ509)。すなわち、絶縁スイッチSW4のみをオンにして、ブロック下の電圧VGを検出する(ステップ510)。この双方向DCDCコンバータ7の昇圧が停止された状態で検出した電圧VGをVG4_ONとする。
以上のようにして、双方向DCDCコンバータ7がオン状態のときとオフ状態のときの電圧を検出すると、例えば実施の形態2において説明したように、双方向DCDCコンバータ7がオン状態であってSWパターン4(絶縁スイッチSW4のみがオン)に設定されたときに検出された電圧VG4_ONが閾値(ここでは、Vth1)以下の場合(ステップ511でY)、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gは共に正常であると判定する(ステップ513)。
ここで、前述したようにシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gが溶着しているとボディGNDの電位が変動する。実施の形態1で説明したように、ブロック上下それぞれの検出電圧は、ボディGNDの電位と等しくなるので、ボディGNDの電位の変動量は、ブロック上下それぞれの検出電圧の変動量と等しい。つまり、双方向DCDCコンバータ7がオフ状態のときとオン状態のときの検出電圧VB,VGそれぞれの差が変動量となるので、ブロック上の検出電圧VBであればVB1_OFFとVB1_ONとの差の絶対値、ブロック下の検出電圧VGであればVG4_OFFとVG4_ONとの差の絶対値をそれぞれボディGNDの電位の変動量として算出する。そして、それぞれの変動量が共に、変動の有無を判別するための閾値として予め設定されている閾値Vth2以下の場合(ステップ512でY)、充電リレーBR−B,BR−Gが溶着していると判定する。つまり、充電リレーBR−B,BR−Gの溶着を検知することになる(ステップ514)。一方、それぞれの変動量のいずれかが閾値Vth2を超えている場合(ステップ512でN)、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gが溶着していると判定する。つまり、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gの溶着を検知することになる(ステップ515)。
なお、本実施の形態では、ブロック上下双方の電圧VB,VGを検出するようにしたが、これは、実際の回路設計においては、溶着箇所によりブロック上下のいずれかがレンジオーバーする可能性があるからである。そのため、ブロック上又はブロック下のいずれかにおいて電圧変動が発生すれば、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gが溶着していると判定するようにした。一方、ブロック上又はブロック下のいずれも電圧変動が発生しなければ、充電リレーBR−B,BR−Gが溶着していると判定する。
また、本実施の形態では、組電池1と接続されているリレーは、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gと充電リレーBR−B,BR−Gの2種類なので、双方向DCDCコンバータ7の昇圧変動のみによって切り分け可能であるが、3種類以上のリレーが接続されている電池システムの場合、AC充電器10等を昇圧変動させれば、それぞれのリレーの溶着を検知することが可能となる。
実施の形態6.
上記各実施の形態においては、絶縁スイッチSW1〜SW4のオンオフ状態を制御することによってシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gの溶着を検知するようにした。ただ、絶縁スイッチSW1〜SW4に不具合が生じていた場合、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gの溶着を正常に検知できない可能性が生じてくる。仮に、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gが正常に動作するのにもかかわらず、溶着と誤って検知してしまうと、バッテリレス走行が可能な状況において走行を禁止してしまう。本実施の形態では、システムメインリレーSMR−B,SMR−G又は絶縁スイッチSW1〜SW4の異常を切り分け可能に検知することによって、走行禁止というような過剰なフェールとなる状況を未然に防止できるようにすることを特徴とする。
本実施の形態における電池システムの回路構成は、実施の形態1(図1,図2)と同じでよい。本実施の形態では、絶縁スイッチSW1〜SW4のオンオフ制御に特徴がある。
図23は、本実施の形態において、SWパターンと、当該SWパターンにおける絶縁スイッチSW1〜SW4のオンオフ状態と、当該SWパターンのときに検出する電圧及びシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gの溶着検知の組合せを示す図である。以下、図23及び実施の形態1において用いた図3を用いて、本実施の形態における回路動作について説明する。
制御装置4は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gを共にオフ制御し、かつSWパターン3、すなわち絶縁スイッチSW1のみをオンにすると同時にそれ以外の絶縁スイッチSW2〜4をオフにする。このときの回路の状態は図4に示す通りである。ここでは、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gは共に正常に動作し、開状態になったものとすると、ブロック上の検出電圧VBは、実施の形態1において説明したようにV1(200V)−V2(200V)=0Vとなり、ブロック下の検出電圧VGもV3(200V)−V4(200V)=0Vとなる。
続いて、制御装置4は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gが共にオフになるよう制御したものの、システムメインリレーSMR−Gが溶着により閉状態のままだったとする。このときの回路の状態は図5に示す通りである。前述したように、このような状態において、ブロック上のプラス端子の電位V1は200V、マイナス端子の電位V2は67Vとなるので、ブロック上の検出電圧VBは、V1(200V)−V2(67V)=133Vとなる。そして、ブロック下の検出電圧VGは、V3(67V)−V4(67V)=0Vとなる。
ここで、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gは共に、制御装置4によるオフ制御に従ってオフの状態になったとする、一方、制御装置4がSWパターン3、すなわち絶縁スイッチSW1のみをオンに、それ以外の絶縁スイッチSW2〜4をオフになるよう制御したものの、絶縁スイッチSW2が不具合によりオン状態のままだったとする。このときの回路の状態を図24に示す。
この場合、絶縁スイッチSW1,SW2は共にオン状態なので、差動増幅部51は、電池ブロックBと接続されるため、電位V1は200V、電位V2は80Vとなる。ボディGNDの電位は、電位V1,V2の平均値の140Vとなり、これにより、電位V3,V4は共に140Vとなる。よって、ブロック上の検出電圧VBは、V1(200V)−V2(80V)=120Vとなる。なお、ブロック下の検出電圧VGは、V3(140V)−V4(140V)=0Vとなる。
このように、制御装置4がSWパターン3(絶縁スイッチSW1のみオン)に設定した場合において、システムメインリレーSMR−Gは正常に動作せずにオン状態のままとなるが、全ての絶縁スイッチSW1〜SW4が正常に動作したとき(図5に示す絶縁スイッチSW1のみがオン)の検出電圧VB(=133V)と、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gは共に正常に動作してオフ状態になるが、絶縁スイッチSW2が正常に動作せずにオンになったとき(図24に示す絶縁スイッチSW1,SW2がオン)の検出電圧VB(=120V)とは、近い値を示す。つまり、システムメインリレーSMR−Gが異常のときと絶縁スイッチSW2が異常のときの判別がしづらい状況になる。そこで、本実施の形態においては、次のようにして異常の発生箇所が判別できるようにした。
すなわち、本実施の形態では、SWパターン4、すなわち絶縁スイッチSW4のみをオンに、それ以外の絶縁スイッチSW1〜3をオフになるよう制御するようにした。絶縁スイッチSW2が正常に動作したときの回路の状態を図25に示す。なお、システムメインリレーSMR−Gは正常に動作せずにオン状態のままとなっている。
このとき、絶縁スイッチSW4はオンなので、電位V4は、絶縁スイッチSW4における電池電位0Vとなる。ボディGNDは、絶縁スイッチSW4を介してのみ組電池1と繋がっているので、ボディGNDの電位VGNDは、0Vとなる。また、絶縁スイッチSW1〜SW3はオフなので、各電位V1〜V3は、ボディGNDの電位VGNDと同じ0Vとなる。これにより、各ブロックの検出電圧VB,VGはいずれも0Vとなる。
ここで、制御装置4がSWパターン4(絶縁スイッチSW4のみをオン)になるよう制御したものの、絶縁スイッチSW2が正常に動作しなかったときの回路の状態を図26に示す。なお、システムメインリレーSMR−Gは正常に動作してオフ状態のままとなっている。
このとき、絶縁スイッチSW4はオンなので、電位V4は、絶縁スイッチSW4における電池電位0Vとなる。また、絶縁スイッチSW2もオンなので、電位V2は、絶縁スイッチSW2における電池電位80Vとなる。ボディGNDは、絶縁スイッチSW2,SW4を介して組電池1と繋がっているので、ボディGNDの電位VGNDは、各電位V2,V4の平均値の40Vとなる。絶縁スイッチSW1,SW3はオフなので、各電位V1,V3は、ボディGNDの電位VGNDと同じ40Vとなる。
この結果、ブロック上の検出電圧VBは、V1(40V)−V2(80V)=−40Vとなり、ブロック下の検出電圧VGは、V3(40V)−V4(0V)=40Vとなる。
実施の形態1では、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gの異常判定を、SWパターン3(絶縁スイッチSW1のみをオン)に設定してブロック上の検出電圧VBを参照する、あるいはSWパターン4(絶縁スイッチSW4のみをオン)に設定してブロック下の検出電圧VGを参照するようにした。これに対し、本実施の形態においてシステムメインリレーSMR−B,SMR−G又は絶縁スイッチSW1〜SW4の溶着の切り分け時には、上記とは逆にSWパターン3(絶縁スイッチSW1のみをオン)に設定してブロック下の検出電圧VGを参照する、あるいはSWパターン4(絶縁スイッチSW4のみをオン)に設定してブロック上の検出電圧VBを参照する。
図27は、上記説明した回路動作により各SWパターン1,3,4と検出電圧との関係を模式的に示す図である。図27に示すように、本実施の形態では、実施の形態1と同様にSWパターン3に対してシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gが正常か異常(溶着)かの判定基準として閾値(Vth)を予め設定しておく。閾値は、組電池1の電圧、抵抗R1〜R8の値等を参照して適切な値を設定しておけばよい。更に、本実施の形態では、SWパターン4に対してプラスのみならずマイナスにも閾値(−Vth)を予め設定しておく。
図27から明らかなように、絶縁スイッチSW1,SW2が固着している場合、SWパターン4のときにブロック上の電圧VBを検出すると所定の閾値以上の値となる。絶縁スイッチSW3,SW4が固着している場合、SWパターン3のときにブロック下の電圧VGを検出すると所定の閾値以上の値となる。一方、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gは溶着しても、いずれの場合も電圧VB,VGが0Vとなる。従って、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gあるいは絶縁スイッチSW1〜SW4のいずれかで異常が発生したかの切り分けが可能となる。以上説明した処理について図28に示すフローチャートを用いて説明する。
制御装置4は、絶縁スイッチSW1〜SW4をSWパターン3に設定する(ステップ601)。すなわち、制御装置4は、絶縁スイッチSW1のみをオンにした状態にて、ブロック上の電圧VB(VB3)及びブロック下の電圧VG(VG3)をそれぞれ検出する(ステップ602)。
次に、絶縁スイッチSW1〜SW4をSWパターン4に設定する(ステップ603)。すなわち、制御装置4は、絶縁スイッチSW4のみをオンにした状態にて、ブロック上の電圧VB(VB4)及びブロック下の電圧VG(VG4)をそれぞれ検出する(ステップ604)。なお、ステップ601,602とステップ603,604は、逆に処理してもよい。
ここで、ブロック上の電圧VB(VB3)及びブロック下の電圧VG(VG4)の各絶対値が共に閾値(Vth)以下の場合(ステップ605でY)、システムメインリレーSMR−B,SMR−G及び絶縁スイッチSW1〜SW4は共に正常であると判定する(ステップ607)。そうでない場合というのは、システムメインリレーSMR−B,システムメインリレーSMR−G又は絶縁スイッチSW1〜SW4のいずれかに不具合が発生していることになるので、本実施の形態では、ここで切り分ける処理を実行することになる。
すなわち、いずれかに不具合が発生している場合において(ステップ605でN)、ブロック上の電圧VB(VB4)及びブロック下の電圧VG(VG3)の各絶対値が共に閾値(Vth)以下の場合(ステップ606でY)、システムメインリレーSMR−B又はシステムメインリレーSMR−Gの少なくとも一方の溶着を検知することになる(ステップ608)。一方、それぞれの絶対値の少なくとも一方が閾値Vthを超えている場合(ステップ606でN)、絶縁スイッチSW1〜SW4のいずれかの溶着を検知することになる(ステップ609)。
以上説明したように、システムメインリレーSMR−B、SMR−Gの溶着検知時には、絶縁スイッチSW1のみをオンにしてブロック上の検出電圧VBを参照し、あるいは絶縁スイッチSW4のみをオンにしてブロック下の検出電圧VGを参照するようにしたが、不具合発生箇所を切り分け時には、検出電圧を参照するブロックの上下を入れ替えるようにした。換言すると、ブロックの上下を入れ替えることで不具合発生箇所の切り分けが可能となる。本実施の形態では、以上説明したようにしてシステムメインリレーSMR−B、SMR−G又は絶縁スイッチSW1〜SW4のいずれかに不具合が発生していることを切り分けることができる。
実施の形態7.
本実施の形態における電池システムの回路構成は、実施の形態2(図9,図10)と同じでよい。本実施の形態は、このように漏洩検出回路6及び双方向DCDCコンバータ7を備える回路構成においても実施の形態6において説明した技術、すなわちシステムメインリレーSMR−B,SMR−G又は絶縁スイッチSW1〜SW4の異常の切り分け時において異常判定に用いるブロックの上下を入れ替える技術が適用可能であることを説明するものである。
図29は、本実施の形態において、SWパターンと、当該SWパターンにおける絶縁スイッチSW1〜SW4のオンオフ状態と、当該SWパターンのときに検出する電圧及びシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gの溶着検知の組合せを示す図である。本実施の形態では、図29及び実施の形態2において用いた図11を組み合わせることで、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gと絶縁スイッチSW1〜SW4との異常の切り分けを行うことが可能となる。なお、回路動作自体は、実施の形態6と同じなので説明を省略する。
図30は、上記説明した回路動作により各SWパターン3,4と検出電圧との関係を模式的に示す図である。本実施の形態の場合、実施の形態2と同様に、SWパターン3では、漏電抵抗R9(1.5MΩ)のためブロック上の検出電圧VBにシステムメインリレーSMR−B,SMR−Gが正常か異常(溶着)かを正確に判定しうるだけの差は生じないで、異常判定及び切り分け判定に用いない。この代わりにSWパターン4に設定してブロック下の検出電圧VGにて正常異常の判定することになる。そして、異常と判定した場合において、SWパターン4に設定してブロック上の検出電圧VG及びSWパターン3に設定してブロック下の検出電圧VGにて切り分け判定を行うことになる。以上説明した処理について図31に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、制御装置4は、双方向DCDCコンバータ7を起動して昇圧させる(ステップ701)。この状態でSWパターン4に設定する(ステップ702)。すなわち、制御装置4は、絶縁スイッチSW4のみをオンにした状態にて、ブロック上の電圧VB(VB4)及びブロック下の電圧VG(VG4)をそれぞれ検出する(ステップ703)。
続いて、制御装置4は、SWパターン3に設定する(ステップ704)。すなわち、制御装置4は、絶縁スイッチSW1のみをオンにした状態にて、ブロック下の電圧VG(VG3)を検出する(ステップ705)。
以上のようにしてブロック上下の電圧を検出すると、実施の形態2において説明したように、双方向DCDCコンバータ7がオン状態であってSWパターン4(絶縁スイッチSW4のみがオン)に設定されたときに検出された電圧VGが閾値(Vth)以下の場合(ステップ706でY)、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gは共に正常であると判定する(ステップ708)。そうでない場合に不具合発生箇所の切り分けを行うことになるが(ステップ706でN)、制御装置4は、ブロック上の電圧VB(VB4)及びブロック下の電圧VG(VG3)の各絶対値が共に閾値(Vth)以下の場合(ステップ707でY)、システムメインリレーSMR−B又はシステムメインリレーSMR−Gの少なくとも一方の溶着を検知することになる(ステップ709)。一方、それぞれの絶対値の少なくとも一方が閾値Vthを超えている場合(ステップ707でN)、絶縁スイッチSW1〜SW4のいずれかの溶着を検知することになる(ステップ710)。
本実施の形態では、以上説明したようにしてシステムメインリレーSMR−B、SMR−G又は絶縁スイッチSW1〜SW4のいずれかで固着が発生していることを切り分けることができる。