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JP6719866B2 - 止血用コネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、止血用コネクタに関する。
一般に、心臓疾患の治療等でカテーテル等の導入部材が血管内の治療対象箇所まで導入される際には、まずシースイントロデューサが血管に刺し込まれることで血管内に挿入され、その後シースイントロデューサの内部を通じてガイディングカテーテルが血管内へ導入される。このガイディングカテーテルには、その基端部にYコネクタが取り付けられており、そのYコネクタを通じて導入部材がガイディングカテーテル内へ挿入される。そして、その挿入状態で導入部材が血管内の治療対象部位まで導入される。また、導入部材の血管内への導入に際しては、Yコネクタの内部に設けられる止血弁により止血が行われる。
ここで近年、シースイントロデューサによる血管への刺込部位に対して導入部材による治療対象部位が比較的近い位置にある場合等に、ガイディングカテーテルを用いないで導入部材を治療対象部位まで導入することが行われている。すなわち、シースイントロデューサを血管内に挿入した後、そのシースイントロデューサ内を通じて導入部材を血管内へ導入することが行われている。この場合、ガイディングカテーテルを用いなくてよい分、導入部材の血管内への導入作業を速やかに行うことが可能となる。
ところで、導入部材がシースイントロデューサの内部を通じて血管内へ導入される場合には、導入部材がシースイントロデューサのハブ内に設けられた止血弁を貫通した状態で導入されることになる。しかしながら、ハブ内の止血弁には通常、導入部材よりも径の大きいガイディングカテーテルが挿通されるため、導入部材が挿通される場合には止血が不十分となり血液漏れが生じるおそれがある。
そこで、こうした問題に対する対策として、特許文献1には、ハブの基端側にアダプタを介してYコネクタを接続した構成が開示されている。この構成によれば、Yコネクタ内部とアダプタ内部とを通じて導入部材がシースイントロデューサ内に挿入され、その挿入状態で導入部材が血管内に導入される。この場合、導入部材の血管内への導入に際し、Yコネクタ内部の止血弁、すなわちハブ内の止血弁と比べて止血性能に優れた止血弁により止血が行われるため、導入部材をシースイントロデューサ内を通じて血管内に導入するにあたって血液漏れを抑制することが可能となる。
特開2014−195630号公報
ところで、上記特許文献1の構成では、導入部材を血管内に導入するにあたり、ハブの基端側にアダプタを接続するとともに、アダプタの基端側にYコネクタを接続する作業が発生する。しかしながら、導入部材を血管内に導入する際に、複数の接続作業を行うのは手間であるし、しかも導入部材を血管内に迅速に導入することが困難になるおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、導入部材をシースイントロデューサの内部を通じて血管内に導入するに際し、血液漏れを抑制しながら、その導入作業を好適に行うことができる止血用コネクタを提供することを主たる目的とするものである。
上記課題を解決すべく、第1の発明の止血用コネクタは、生体内へ導入される細長状の導入部材を挿通可能な挿通孔と、その挿通孔の周面と前記導入部材との間の隙間を塞ぐ止血部材と、前記挿通孔の一部である第1通路を構成し、前記止血部材が設けられたコネクタ本体部と、前記挿通孔のうち前記第1通路とは異なる部分である第2通路を構成し、シースイントロデューサのハブに接続可能な接続管部と、を備え、前記接続管部は、前記ハブの内部孔に基端側から挿入され、前記内部孔に設けられた止血弁を貫通した状態で前記ハブに接続可能であり、前記コネクタ本体部と前記接続管部とは分離不能に構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、止血用コネクタに設けられた接続管部がハブの内部孔に基端側から挿入されることで、接続管部がハブの内部孔に設けられた止血弁を貫通した状態でシースイントロデューサのハブに接続される。かかる接続状態では、止血用コネクタの挿通孔とハブの内部孔とが連通されるため、カテーテル等の導入部材を挿通孔を通じてシースイントロデューサの内部に挿通し、その挿通状態で導入部材を血管内へ導入することが可能となる。この場合、挿通孔には止血部材が設けられているため、その止血部材により止血を行うことが可能となる。したがって、止血部材として止血性能に優れたものを用いれば、導入部材の血管内への導入に際し、血液漏れを抑制することが可能となる。
また、止血用コネクタは、コネクタ本体部と接続管部とが分離不能に構成されているため、導入部材の導入に際して行う接続作業としては、接続管部(ひいては止血用コネクタ)をハブに対して接続する作業だけ行えばよい。そのため、導入部材をシースイントロデューサの内部を通じて血管内に導入するに際して、その導入作業を好適に行うことができる。
第2の発明の止血用コネクタは、第1の発明において、前記コネクタ本体部の先端側に分離不能に取り付けられ、前記接続管部を有するハブ接続部を備え、前記ハブ接続部は、前記コネクタ本体部に対して前記接続管部の軸線を中心として回転可能に取り付けられていることを特徴とする。
本発明によれば、接続管部を有するハブ接続部がコネクタ本体部に対して回転可能に取り付けられているため、接続管部をハブに接続した状態でコネクタ本体部をハブに対して回転させることができる。この場合、体内にシースイントロデューサを導入した状態でコネクタ本体部だけを回転させることができるため、止血用コネクタの取り扱いをし易くすることができる。
第3の発明の止血用コネクタは、第1又は第2の発明において、前記コネクタ本体部は、Yコネクタを構成するための構成部材であるYコネクタ本体部からなり、前記Yコネクタ本体部の先端部には、他の医療機器に接続可能な接続具であるローテータに代えて、前記接続管部を有するハブ接続部が分離不能に取り付けられていることを特徴とする。
一般に、Yコネクタは、止血部材を内蔵するYコネクタ本体部と、そのYコネクタ本体部の先端部に取り付けられるローテータとを有して構成されている。そこで本発明では、このYコネクタのYコネクタ本体部を用いてコネクタ本体部を構成し、そのYコネクタ本体部の先端部に接続管部を有するハブ接続部を取り付けている。この場合、Yコネクタの構成部材(Yコネクタ本体部)を流用して止血用コネクタを製造することができるため、製造コストの低減等を図ることができる。
ここで、上述した特許文献1の構成では、Yコネクタのローテータにアダプタが接続され、そのアダプタにハブが接続される構成となっている。そのため、上記特許文献1の構成では、ローテータの分、接続部分の長さが長くなってしまうおそれがある。その点上記の構成では、Yコネクタ本体部の先端部に、ローテータに代えてハブ接続部を取り付けているため、ローテータがない分接続部分の長さを短くすることができる。そのため、デバイスの有効長を確保する上で好ましい構成といえる。
第4の発明の止血用コネクタは、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記接続管部に接続された前記ハブを内部に収容する収容筒部を備え、前記収容筒部には、前記ハブに対する前記接続管部の接続に際し、前記ハブの外周面から突出する分岐管部を通過させる分岐管通路が形成されており、前記分岐管通路は、その一部が、前記収容筒部の周方向に延びているとともに、前記接続管部に接続された前記ハブの分岐管部を入り込ませることで当該分岐管部と係合可能な係合通路部となっており、前記収容筒部の内部には、前記係合通路部に前記分岐管部が係合した状態で前記ハブを先端側に向けて付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、接続管部をハブに接続してからハブの分岐管部を収容筒部に形成された分岐管通路の係合通路部に入り込ませることにより、分岐管部を係合通路部に係合させることができる。この場合、その係合によって、接続管部(ひいては止血用コネクタ)とハブとの接続状態を保持することができる。また、分岐管部が係合通路部に係合された状態でハブが付勢部材により先端側に付勢されるため、その付勢力により分岐管部が係合通路部に押し付けられた状態となる。この場合、分岐管部の係合状態を好適に保持することができるため、接続管部とハブとの接続状態を好適に維持することができる。
第5の発明の止血用コネクタは、第4の発明において、前記収容筒部の内部には、前記収容筒部に収容された前記ハブの基端面に対向する対向部材が設けられており、前記対向部材は、前記接続管部を挿通可能な孔部を有し、その孔部に挿通された前記接続管部に沿って移動可能とされており、前記対向部材の基端側には前記付勢部材が設けられており、その付勢部材によって前記ハブが前記対向部材を介して先端側に付勢されており、前記対向部材は、前記孔部の少なくとも一部を構成する弾性シール部を有し、前記孔部のうち前記弾性シール部が構成する部分の内周面は、当該孔部に挿通された前記接続管部の外周面に密接されていることを特徴とする。
本発明によれば、収容筒部に収容されたハブの基端面に対向する対向部材が設けられ、その対向部材を介してハブが付勢部材により先端側に付勢される。この場合、付勢部材による付勢力をハブの基端面全域に作用させることができるため、ハブの基端面に局所的に付勢力が作用してハブに傾きが生じるといった不都合の発生を抑制することができる。
また、対向部材には接続管部を挿通させる孔部が設けられ、その孔部の少なくとも一部が弾性シール部により構成されている。この弾性シール部では、孔部の内周面が接続管部の外周面と密接されているため、仮にハブの内部孔から基端側に血液が漏れ出たとしても、その血液が孔部を通じて付勢部材側に入り込むのを抑制することができる。これにより、付勢部材に血液が付着して付勢部材の付勢力が低減するのを抑制することができるため、その付勢力によって得られる上述の効果を確実に発揮させることができる。
第6の発明の止血用コネクタは、第5の発明において、前記対向部材は、前記ハブの基端面に対向して設けられる対向板部と、前記対向板部の基端面側に設けられた板状の前記弾性シール部とを有し、前記弾性シール部は、前記付勢部材の付勢力により前記対向板部に押し付けられた状態で配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、弾性シール部がハブの基端面に対向する対向板部の基端面側に設けられているため、弾性シール部が収容筒部内から先端側に脱落するのを抑制することができる。また、弾性シール部は、付勢部材の付勢力により対向板部に押し付けられているため、弾性シール部を対向板部に接着剤等で固定しなくても、弾性シール部を対向板部に安定した状態で配設することができる。
第7の発明の止血用コネクタは、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記接続管部は、その先端側の端面が先端側に向けて凸となる曲面状をなしていることを特徴とする。
本発明によれば、接続管部の先端側端面が先端側に向けて凸となる曲面状をなしているため、接続管部をハブの止血弁に貫通させて接続する際に止血弁を傷付けてしまう等の不都合が生じるのを抑制することができる。
シースイントロデューサ組立の構成を示す正面図。 (a)がシースイントロデューサ組立の構成を示す縦断面図であり、(b)がシースイントロデューサを示す縦断面図である。 止血用コネクタの構成を示す正面図。 止血用コネクタの構成を示す縦断面図。 ハブ接続部の構成を示しており、(a)が同構成を示す分解正面図、(b)が分解縦断面図である。 止血用コネクタをハブに対して接続した接続部分の構成を示す縦断面図。 止血用コネクタをハブに対して接続する際の流れを説明するための説明図。 止血用コネクタをハブに対して接続する際の流れを説明するための説明図。
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、シースイントロデューサを有して構成されるシースイントロデューサ組立について具体化している。図1は、シースイントロデューサ組立の構成を示す正面図である。図2は、(a)がシースイントロデューサ組立の構成を示す縦断面図であり、(b)がシースイントロデューサを示す縦断面図である。なお、図2(a)と図2(b)とはそれぞれ異なる面で切断した縦断面図となっている。また図1及び図2において、上方、下方は夫々、シースイントロデューサ組立10の基端側と先端側である。
図1及び図2(a)に示すように、シースイントロデューサ組立10は、シースイントロデューサ11と、シースイントロデューサ11のハブ16に接続された止血用コネクタ12とを備える。
シースイントロデューサ11は、血管に刺し込まれることにより血管内に挿入されるものである。図2(b)に示すように、シースイントロデューサ11は、シースチューブ15と、そのシースチューブ15の基端部(近位端部)に取り付けられたハブ16とを備える。シースチューブ15は、可撓性を有する樹脂材料により管状に形成されており、その内側にバルーンカテーテル等の導入部材Xが挿通される内腔15aを有している。
ハブ16は、本体部17と、止血弁18と、キャップ部19とを有している。本体部17は、ポリエチレン等の樹脂材料により円管状(円筒状)に形成されており、その内部に軸線方向全域に亘って延びる管孔21を有している。管孔21は、その基端側から先端側に向けて順に、大径領域21a、縮径領域21c及び小径領域21bを有している。大径領域21aの孔径は、小径領域21bの孔径よりも大きくなっている。縮径領域21cでは、その孔径が大径領域21aから小径領域21bに向けて小さくなっている。
管孔21の先端部(小径領域21b)には、シースチューブ15の基端部が挿入されている。シースチューブ15は、その挿入状態において熱溶着や接着等により本体部17に固定されている。これにより、シースチューブ15と本体部17(ひいてはハブ16)とが接続され、シースチューブ15の内腔15aと本体部17の管孔21とが連通されている。
本体部17には、その外周面から突出する分岐管部23が設けられている。分岐管部23は、本体部17における軸線方向の中間部にて当該軸線方向と直交(交差)する方向へ突出している。分岐管部23は、管孔21の軸線方向において小径領域21bよりも基端側にあり、詳しくは縮径領域21cと同位置にある。
分岐管部23の内部には、管孔21と連通する管孔23aが形成されている。図示は省略するが、分岐管部23には導管が接続され、その導管に対して各種機器が接続されるようになっている。例えば、導管には、造影剤等の液剤を供給する液剤供給器が接続される。その場合、液剤供給器より液剤が管孔21,23aを通じて体内へ供給される。また、導管には、血圧をモニタする血圧モニタが接続される場合がある。その場合、管孔21,23aを通じて血管内の圧力がモニタされる。
本体部17の基端部には、外径が小さくされた縮径部17aが形成されている。縮径部17aの基端側には止血弁18が設けられている。止血弁18は、シリコンゴム等の弾性を有する材料により円板状に形成されており、管孔21の基端側の開口を塞ぐようにして設けられている。止血弁18には、その厚み方向に貫通してスリット(図示略)が形成されている。スリットは、例えば十文字状をなしており、止血弁18の弾性によって常時閉鎖された状態となっている。但し、スリットは一直線状とする等、その形状は任意でよい。なお、止血弁18は分岐管部23よりも基端側に位置している。
キャップ部19は、本体部17と同じ樹脂材料により有底の円筒状に形成されている。キャップ部19は、その内側に止血弁18を収容する収容凹部27を有している。キャップ部19は、収容凹部27に止血弁18が収容された状態で本体部17の縮径部17aに被せられて固定されている。これにより、止血弁18はキャップ部19の底部19aと縮径部17aとの間に配設されている。また、キャップ部19の底部19aには、その中央部に厚み方向に貫通する貫通孔28が形成されている。この場合、本体部17の管孔21と収容凹部27と貫通孔28とによりハブ16の内部通路29が構成され、その内部通路29に対して導入部材Xが挿通されるようになっている。なお、内部通路29がハブ16の内部孔に相当する。
次に、止血用コネクタ12の構成について図3及び図4に基づいて説明する。図3は、止血用コネクタ12の構成を示す正面図である。図4は、止血用コネクタ12の構成を示す縦断面図である。図3及び図4において、上方、下方は夫々、止血用コネクタ12の基端側、先端側である。
図3及び図4に示すように、止血用コネクタ12は、コネクタ本体部としてのYコネクタ部30と、シースイントロデューサ11のハブ16に接続可能なハブ接続部31とを備える。Yコネクタ部30は、Y字状に形成された本体部32とスクリュ37とオープナ41とを備える。本体部32は、透明性を有するポリカーボネート等の合成樹脂材料により形成されている。本体部32は、主管部33と、その主管部33から分岐して設けられた分岐管部34とを有している。主管部33の内部には管孔33aが形成され、分岐管部34の内部には管孔34aが形成されている。これらの管孔33a,34aは互いに連通している。
主管部33の基端部にはスクリュ37が取り付けられている。スクリュ37は有底の円筒状に形成されており、その内側空間が先端側に向けて開口されている。スクリュ37の内側空間には主管部33の基端部が挿入されており、その挿入された基端部がスクリュ37の内周面にねじ込まれている。また、スクリュ37の底部37aには、厚み方向に貫通する貫通孔39が形成されている。
主管部33の基端部とスクリュ37とにより囲まれた空間には止血弁38が収容されている。止血弁38は、比較的高い止血性能を有しており、ハブ16内の止血弁18よりも高い止血性能を有している。止血弁38は、シリコンゴム等の弾性を有する材料により円板状に形成されており、主管部33(管孔33a)と同一軸上に配置されている。止血弁38には、その厚み方向に貫通したスリット(図示略)が形成されている。スリットは、例えば十文字状をなしており、止血弁38の弾性によって常時閉鎖された状態となっている。但し、スリットは一直線状とする等、その形状は任意でよい。なお、止血弁38が止血部材に相当する。
スクリュ37の基端側にはオープナ41が取り付けられている。オープナ41は、止血弁38を貫通するための貫通部42を有している。貫通部42は、円管状をなしており、その内側に管孔42aを有している。貫通部42は、スクリュ37の底部37aの貫通孔39に挿通させて設けられており、その管孔42aと主管部33の管孔33aとがスクリュ37の内側空間を介して連通されている。この場合、各管孔33a,42aとそれら管孔33a,42a同士を繋ぐスクリュ37の内側空間とによりYコネクタ部30の内部通路43が構成されている。即ち、内部通路43はYコネクタ部30の基端から先端まで延びる孔である。なお、内部通路43が第1通路に相当する。
ところで、市場で流通する通常のYコネクタは、止血弁を内蔵するYコネクタ本体部と、そのYコネクタ本体部の先端部に取り付けられたローテータとを有して構成されている。ローテータは、他の医療器具に接続するための接続具であり、Yコネクタ本体部に対して回転可能に取り付けられている。そこで本実施形態では、このYコネクタのYコネクタ本体部をYコネクタ部30(コネクタ本体部)として用いており、Yコネクタの構成部品(Yコネクタ本体部)を流用してYコネクタ部30を構成している。
続いて、ハブ接続部31について図3及び図4に加え図5を用いながら説明する。図5はハブ接続部31の構成を示しており、(a)が同構成を示す分解正面図、(b)が分解縦断面図である。図5の上方、下方は夫々、ハブ接続部31の基端側、先端側である。
図3〜図5に示すように、ハブ接続部31は、Yコネクタ部30(本体部32)の主管部33の先端部に分離不能(取り外し不能)に取り付けられている。つまり、本実施形態では、Yコネクタにおいて本来ローテータが取り付けられる箇所にハブ接続部31が取り付けられている。ハブ接続部31は、第1ボディ51と第2ボディ52とを備える。これら各ボディ51,52は互いに結合されており、これら各ボディ51,52によりハブ接続部31のボディ本体が構成されている。また、各ボディ51,52はいずれも同じ樹脂材料により形成され、例えば透明性を有するポリカーボネート等の樹脂材料により形成されている。
第1ボディ51は、有底の円筒状に形成された筒状部54を備える。筒状部54は、その内側に第2ボディ52を収容する収容凹部57を有する。筒状部54は、その収容凹部57を囲む周壁部54aと、収容凹部57の底面を規定する底板部54bとを有する。周壁部54aには、その先端側に厚み方向に貫通する複数(本実施形態では4つ)の孔部59が形成されている。これら各孔部59はいずれも矩形形状をなしており、周壁部54aの周方向に等間隔(詳しくは90°間隔)で配置されている。なお、本実施形態では、各孔部59のうち対向する所定の2つの孔部59が、それ以外の2つの孔部59と比べて周方向に長い長孔とされている。
筒状部54(周壁部54a)の外周面には、軸線方向に延びる複数のリブ61が周方向に所定間隔(詳しくは等間隔)で設けられている。これらのリブ61により筒状部54の強度が高められている。また、筒状部54の外周面はハブ接続部31の外周面となるため、止血用コネクタ12(ハブ接続部31)をシースイントロデューサ11のハブ16に接続する際には筒状部54を手に持って接続作業を行うことになる。この点、かかるリブ61が設けられていることで、その接続作業の際、手が滑るといった不都合が生じるのを抑制することができる。
第1ボディ51には、筒状部54の底板部54bから基端側に延びる第1管部62と、底板部54bから先端側に延びる第2管部63とが設けられている。これら各管部62,63はいずれも軸線方向に延びる円管状をなしており、互いに同一軸線上に位置している。また、これら各管部62,63は底板部54bの中心部に配置されている。
第1管部62及び第2管部63には、これら両管部62,63に跨がって延びる管孔64が形成されている。管孔64は、第1管部62と底板部54bと第2管部63とをそれぞれ軸線方向に貫通して形成されている。したがって、管孔64は、第1管部62の基端及び第2管部63の先端においてそれぞれ外部に開口している。なお、管孔64において第2管部63に形成されている部分が第2通路に相当する。
第1管部62は、第2管部63よりも内径及び外径ともに大きくなっている。第1管部62は、Yコネクタ部30(本体部32)の主管部33の先端部に接続されている。第1管部62には、その管孔64に基端側から主管部33が挿入されており、その挿入状態でこれら各管部33,62が互いに接続されている。
各管部33,62の接続構成について具体的に説明する。主管部33の先端部の外周面には円環状の溝部45が形成されており、その溝部45にはゴム材料からなるOリング46(環状弾性部材)が配設されている。一方、第1管部62の内周面には、上記溝部45に沿って円環状の溝部47が形成されており、その溝部47にはOリング46の一部が入り込んでいる。この場合、Oリング46は、各管部33,62の溝部45,47に跨がって配設されている。それによりOリング46は、第1管部62の管孔64から主管部33が抜け出るのを防止する抜け止め部材として機能している。そして、その抜け止めにより、第1管部62と主管部33とが互いに分離不能(取り外し不能)な状態で接続されている。これにより、第1ボディ51ひいてはハブ接続部31が本体部32(Yコネクタ部30)に対して取り外し不能(分離不能)な状態で取り付けられている。
また、第1管部62は、主管部33に対してその軸線(換言すると第2管部63の軸線)を中心として回転可能に接続されている。これにより、ハブ接続部31が本体部32に対して上記軸線を中心として回転可能に取り付けられている。
第1管部62が主管部33に接続された状態では、ハブ接続部31の管孔64と主管部33の管孔33a(ひいてはYコネクタ部30の内部通路43)とが互いに連通されている。この場合、ハブ接続部31の管孔64とYコネクタ部30の内部通路43とにより止血用コネクタ12の内部通路55が構成される。内部通路55は、導入部材Xが挿通される挿通孔に相当する。
第1管部62と主管部33との接続部分には、当該接続部分からの血液漏れを防止すべくシール部材48が配設されている。シール部材48は、ゴム等の弾性材料により円環状に形成されており、第1管部62の内周面と主管部33の外周面との間に配設されている。シール部材48の配設構成に関して具体的に説明すると、第1管部62は、溝部47よりも先端側において内周面に段差が生じており、その段差部66よりも先端側が段差部66よりも基端側と比べて内径が小さくなっている(以下、段差部66よりも先端側の部分を小径部68という)。一方、主管部33は、溝部45よりも先端側において外周面に段差が生じており、その段差部67よりも先端側が段差部67よりも基端側と比べて外径が小さくなっている(以下、段差部67よりも先端側の部分を小径部69という)。第1管部62の小径部68の内側には主管部33の小径部69が入り込んでおり、その入り込み状態において第1管部62の段差部66と主管部33の段差部67とは軸線方向に隙間を隔てて対向している。そして、それら各段差部66,67の間の隙間には上記シール部材48が配設されている。この場合、シール部材48は、各段差部66,67の間に挟み込まれた状態で配設されている。これにより、第1管部62と主管部33との接続部分からの血液漏れが防止されている。
第2管部63は、ハブ16の内部通路29(詳しくは本体部17の管孔21)に基端側から挿し入れられて当該ハブ16に接続される接続管部となっている。第2管部63は、その外径が管孔21の大径領域21aの内径よりも小さく、かつ小径領域21bの内径よりも大きくなっている。つまり、第2管部63の外径は、縮径領域21c(の途中位置)の内径と同じとなっている。また、第2管部63は、筒状部54の先端よりも先端側へと延びている。第2管部63の先端側の端面63aは、先端側に向けて凸となる曲面状をなしており、詳しくは先端側に向けて凸となる半円状をなしている。
第2ボディ52は、円筒状に形成されており、収容筒部に相当するものである。第2ボディ52は、第1ボディ51の収容凹部57に収容された被収容部71と、その収容凹部57から先端側に延出させて設けられた延出部72とを有する。被収容部71は、その外径が収容凹部57の内径と同じか又はそれよりも若干小さくされており、第1ボディ51(筒状部54)と同一軸上に位置した状態で収容凹部57に収容されている。
被収容部71の外周面には、その先端側に複数(本実施形態では4つ)の突出部74が設けられている。これら各突出部74は、被収容部71の周方向に沿って等間隔で配置され、具体的には第1ボディ51の各孔部59に対応する位置にそれぞれ配置されている。被収容部71が第1ボディ51の収容凹部57に収容された状態では、各突出部74がそれぞれ第1ボディ51の各孔部59に入り込んで各々の孔部59と係合されている。これにより、被収容部71ひいては第2ボディ52が第1ボディ51と結合されている。
被収容部71の内周面には、軸線方向全域に亘って延びる複数(本実施形態では4つ)の案内溝75が形成されている。これら各案内溝75は被収容部71の周方向に所定の間隔で配置されており、詳しくは等間隔(90°間隔)で配置されている。案内溝75の先端部には段差部77が生じており、その段差部77によって案内溝75の先端が規定されている。その一方で、案内溝75は、その基端において開放されている。
延出部72は、基端部から先端部に向かうにつれて外径が小さくなるテーパ形状をなしており、その外周面がテーパ面76となっている。延出部72は、その基端部において外径が被収容部71よりも大きくされており、詳しくは第1ボディ51の筒状部54の外径と同じとされている。
延出部72を構成する周壁部78には、ハブ16の分岐管部23を案内するための案内通路80が形成されている。案内通路80は、周壁部78を厚み方向に貫通して形成されており、周壁部78の先端から基端側に向けて延びる第1通路部81と、その第1通路部81の基端部から周壁部78の周方向の一方側に向けて延びる第2通路部82とを有する。なお、この場合、案内通路80が分岐管通路に相当し、第2通路部82が係合通路部に相当する。また、周壁部78において第2通路部82を規定する(軸線方向の)先端側の通路端面85には、その第1通路部81寄りの端部に第2通路部82に向けて突出する突出部84が設けられている。
第2ボディ52の内側には、可動部材86が配設されている。可動部材86は、各ボディ51,52と同じ樹脂材料により形成されている。可動部材86は、円筒状に形成された筒状部87と、筒状部87の内側に設けられた円板状の仕切板部88とを有する。仕切板部88は、筒状部87に対して同軸に配置され、筒状部87の内側空間を軸線方向に仕切るように設けられている。なお、仕切板部88が対向板部に相当する。
可動部材86には、仕切板部88を挟んだ両側にそれぞれ凹部94,95が形成されている。これらの凹部94,95のうち、凹部95はその内径が凹部94よりも大きくなっている。また、仕切板部88には、その中央部にこれら両凹部94,95を連通する孔部89が形成されている。
筒状部87の外周面には、複数(本実施形態では4つ)の被案内部96が突出して形成されている。これら各被案内部96はそれぞれ筒状部87の軸線方向に延びており、詳しくは同方向において仕切板部88と同じ位置から筒状部87の凹部94側の一端まで延びている。各被案内部96はそれぞれ筒状部87の周方向に所定の間隔(等間隔)で配置されており、具体的には第2ボディ52の各案内溝75に対応させて配置されている。
可動部材86は、その筒状部87を第2ボディ52と同一軸線上に位置させた状態で当該第2ボディ52の内側に配設されている。可動部材86は、その凹部94を基端側に開口させ、かつその凹部95を先端側に開口させる向きで配置され、その仕切板部88の孔部89に第1ボディ51の第2管部63を挿通させている。
可動部材86は、第2ボディ52の内側において当該ボディ52の軸線方向に移動可能に設けられている。可動部材86は、各被案内部96をそれぞれ第2ボディ52の各案内溝75に入り込ませている。これにより、各被案内部96がそれぞれ各々の案内溝75に沿って移動することで、可動部材86が案内溝75に沿ってつまりは第2ボディ52の軸線方向に沿って案内されるようになっている。
可動部材86の凹部94には、円板状のシール部材98がはめ込まれている。シール部材98は、シリコンゴム等の弾性を有する材料により形成され、その厚み寸法が凹部94の深さ寸法よりも小さくされている。シール部材98は、可動部材86の仕切板部88の基端側面に重ねられている。なお、シール部材98が弾性シール部に相当する。また、シール部材98と可動部材86とを含んで対向部材が構成されている。
シール部材98には、その中央部に厚み方向に貫通する孔部99が形成されている。この孔部99は仕切板部88の孔部89と連通している。それら両孔部89,99には第1ボディ51の第2管部63が挿通されている。この場合、これら両孔部89,99により「接続管部(第2管部63)を挿通可能な孔部」が構成されている。孔部99は、その孔径が孔部89の孔径よりも小さくなっている。具体的には、孔部99の孔径は第2管部63の外径と同じか又はそれよりも若干小さくされている。したがって、孔部89の内周面は第2管部63の外周面と離間しているのに対し、孔部99の内周面は第2管部63の外周面と密接している。
第2ボディ52の内側においてシール部材98(さらには可動部材86の仕切板部88)の基端側には付勢部材としてのコイルばね90が設けられている。コイルばね90は、シール部材98と第1ボディ51(筒状部54)の底板部54bとの間に圧縮した状態で配設されている。この場合、コイルばね90の付勢力によって、シール部材98と可動部材86とが第1ボディ51(ひいてはボディ本体)に対して先端側に付勢されている。
これに対して、可動部材86は、その被案内部96が案内溝75の段差部77に当接している。そのため、可動部材86は、コイルばね90によって先端側に付勢されているにもかかわらず、それ以上の先端側への移動が規制されている。この場合の可動部材86の位置が当該可動部材86の初期位置(図4参照)となっている。なお、図5では便宜上、コイルばね90の図示を省略している。
次に、止血用コネクタ12をシースイントロデューサ11のハブ16に対して接続した場合の接続構成について説明する。図6は、止血用コネクタ12をハブ16に対して接続した接続部分の構成を示す縦断面図である。図6の上方、下方は夫々、止血用コネクタ12の基端側、先端側である。
図6に示すように、止血用コネクタ12のハブ接続部31は、第2ボディ52の内側にハブ16を収容した状態で当該ハブ16と接続されている。ハブ接続部31の第2管部63は、ハブ16の止血弁18のスリットを貫通した状態でハブ16と接続されており、その接続によってハブ接続部31の管孔64(ひいては止血用コネクタ12の内部通路55)とハブ16の内部通路29とが連通されている。
止血弁18に対する第2管部63の貫通状態において、第2管部63の外周面と止血弁18のスリットの内周面とは互いに密着している。これにより、それら両者間を通じた血液漏れが防止されている。また、第2管部63は、その先端部がハブ16の管孔21の縮径領域21cまで達しており、止血弁18に対して十分な挿し込み深さで挿し込まれて(貫通されて)いる。そのため、止血弁18による止血機能を安定した状態で発揮させることが可能となる。
第2管部63(ハブ接続部31)がハブ16に接続された状態では、ハブ16の分岐管部23がハブ接続部31の第2通路部82に位置している(図7(d)も参照)。この場合、分岐管部23が第2通路部82に係合されることで、ハブ16がハブ接続部31に対して先端側へ移動することが規制されている。そのため、ハブ接続部31(第2管部63)とハブ16との接続状態を保持することが可能となる。また、分岐管部23は、突出部84により第2通路部82から第1通路部81へ入り込むことが抑制されている。そのため(図7(d)参照)、第2通路部82に対する分岐管部23の係合状態を保持することができる。
ハブ16は、第2ボディ52の内側に収容された状態において、その基端側を可動部材86の凹部95に入り込ませ、その(キャップ部19の)基端面を可動部材86の仕切板部88に当接させている。具体的には、ハブ16が第2ボディ52内に収容された状態(換言すると分岐管部23が第2通路部82に係合された状態)では、そのハブ16の基端面によって、可動部材86が初期位置よりも基端側(第2ボディ52内の奥側)へ押し込まれた状態にある。この場合、その押し込みに伴い圧縮されたコイルばね90により、可動部材86さらにはハブ16が先端側に向けて付勢されている。そのため、その付勢力によってハブ16の分岐管部23が第2通路部82に押し付けられた状態にある。この場合、分岐管部23の第2通路部82に対する係合状態を好適に保持することができるため、ハブ接続部31とハブ16との接続状態を好適に維持することができる。
次に、止血用コネクタ12をシースイントロデューサ11のハブ16に接続する際の流れについて説明する。図7及び図8はいずれも止血用コネクタ12をハブ16に接続する際の流れを説明するための説明図であり、図7ではその説明図を正面図で示しており、図8では縦断面図で示している。また、図7(a)〜図7(d)はそれぞれ図8(a)〜図8(d)に対応している。図7及び図8の上方、下方は夫々、止血用コネクタ12の基端側、先端側である。
まず図7(a)及び図8(a)に示すように、ハブ16(詳しくはキャップ部19)の基端面を止血用コネクタ12のハブ接続部31の可動部材86(詳しくは仕切板部88)と向き合わせた状態で、ハブ16とハブ接続部31とを軸線方向に並べる。この際、ハブ16の分岐管部23とハブ接続部31の第1通路部81とを軸線周り方向にて同位置に配置する。
次に、図7(b)及び図8(b)に示すように、ハブ16をハブ接続部31の第2ボディ52の内側に入り込ませ、その状態でハブ16を第2ボディ52内の奥側(基端側)へ押し込む。この際、ハブ16の分岐管部23を止血用コネクタ12の第1通路部81に通過させ、同通路部81の基端部まで導く(図7(c)参照)。これにより、第2管部63がハブ16の止血弁18に向けて押し込まれ当該止血弁18を貫通し、その貫通状態で第2管部63がハブ16に接続される(図8(c)参照)。また、第2ボディ52内へのハブ16の押し込みに伴い、同ボディ52内の可動部材86がハブ16によって第2ボディ52内の奥側へコイルばね90の付勢力に抗しながら押し込まれる。
次に、図7(d)に示すように、ハブ16を止血用コネクタ12に対して軸線周り方向における一方側(図7(d)において右側)に回転させ、ハブ16の分岐管部23を第2通路部82に入り込ませる。これにより、分岐管部23が第2通路部82に対して係合され、その係合によって、第2管部63がハブ16に接続された状態(第2管部63が止血弁18を貫通した状態)が保持される(図8(d)参照)。
次に、上述したシースイントロデューサ組立10を用いて導入部材Xを血管内に導入する場合の作業の流れについて図2を参照しながら説明する。なおここでは、導入部材Xとしてバルーンカテーテルを想定しており、そのバルーンカテーテルを体内の狭窄箇所(治療対象箇所)まで導入する際の流れについて説明する。また、バルーンカテーテルは、その先端部に、流体を利用して膨張及び収縮が可能なバルーンを有する周知の構成のものからなる。
導入作業に際しては、まずシースイントロデューサ11(詳しくはシースチューブ15)を血管内に挿入する。その後、止血用コネクタ12をシースイントロデューサ11のハブ16に接続し、シースイントロデューサ組立10を形成する。
次に、シースイントロデューサ組立10の内部にガイドワイヤGを挿通する。この際、ガイドワイヤGは、止血用コネクタ12の内部通路55→ハブ16の内部通路29を通じてシースチューブ15の内腔15aへ挿通される。そして、その挿通状態でガイドワイヤGを血管内に挿入し、血管内における狭窄箇所を越える位置まで導入する。
次に、バルーンカテーテルをシースイントロデューサ組立10内に挿通し、その挿通状態で押引操作を加えながら血管内の狭窄箇所まで導入する。この際、バルーンカテーテルは、バルーンを収縮させた状態でガイドワイヤGに沿って狭窄箇所まで導入される。したがって、バルーンカテーテルは、上記ガイドワイヤGと同様、止血用コネクタ12の内部通路55→ハブ16の内部通路29→シースチューブ15の内腔15aを通じて血管内へ導入される。
なお図6に示すように、管孔64の内径はシースチューブ15の内腔15aの直径よりも大きい。故に、シースチューブ15の内腔15aを挿通する医療用カテーテルは、止血用コネクタ12の内部通路55を挿通可能である。即ち、止血用コネクタ12は、ユーザがシースチューブ15への挿通を所望する医療用カテーテルを挿通可能に構成されている。そのため、ユーザがシースチューブ15に挿通を所望する医療用カテーテルが、止血用コネクタ12を挿通しないという不具合は生じない。
この導入に際して、バルーンカテーテルは止血用コネクタ12の止血弁38のスリットを貫通(挿通)した状態で血管内へ導入される。この際、バルーンカテーテルと止血用コネクタ12の内部通路55の周面との間が止血弁38により閉塞された状態となる。即ち、バルーンカテーテルが内部通路55に挿通された場合、止血弁38は内部通路55の周面とバルーンカテーテルとの間の隙間を塞ぐ。これにより、バルーンカテーテルの血管内への導入に際し止血を行うことができる。つまり、この場合、バルーンカテーテルの血管内への導入に際し、シースイントロデューサ11内(詳しくはハブ16内)の止血弁18ではなく、それよりも止血性能の高い止血用コネクタ12の止血弁38により止血を行うことができる。これにより、バルーンカテーテルの血管内への導入に際し、血液漏れを抑制することが可能となる。
バルーンカテーテル(バルーン)を狭窄箇所まで導入した後、バルーンを膨張させて狭窄箇所を拡張させる。その後、バルーンを収縮状態として、バルーンカテーテルをシースイントロデューサ組立10内を通じて血管内から抜き取る。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
止血用コネクタ12を、止血弁38を有するYコネクタ部30と、ハブ16に接続されるハブ接続部31(第2管部63)とを分離不能に一体化することで構成したため、導入部材X(バルーンカテーテル)を血管内に導入する際に行う接続作業としてはハブ接続部31(止血用コネクタ12)をハブ16に対して接続する作業だけ行えばよい。これにより、導入部材Xを血管内に導入するに際して、その導入作業を好適に行うことができる。
ハブ接続部31をYコネクタ部30に対して第2管部63の軸線を中心として回転可能に取り付けたため、第2管部63をハブ16に接続した状態でYコネクタ部30をハブ16に対して回転させることができる。この場合、体内にシースイントロデューサ11を導入した状態でYコネクタ部30だけを回転させることができるため、止血用コネクタ12の取り扱いをし易くすることができる。
Yコネクタの構成部材であるYコネクタ部30にハブ接続部31を取り付けることで止血用コネクタ12を構成した。この場合、Yコネクタの構成部材(Yコネクタ部30)を流用して止血用コネクタ12を製造することができるため、製造コストの低減等を図ることができる。
また、Yコネクタ部30の先端部にローテータに代えてハブ接続部31を取り付けたため、ローテータがない分接続部分の長さを短くすることができる。そのため、シースイントロデューサ組立10の有効長を確保する上で好ましい構成といえる。
第2ボディ52の内部にハブ16の基端面に対向する可動部材86(及びシール部材98)を設け、その可動部材86よりも基端側にコイルばね90を配設した。この場合、コイルばね90によりハブ16が可動部材86を介して先端側に付勢されるため、コイルばね90による付勢力をハブ16の基端面全域に作用させることができる。そのため、ハブ16の基端面に局所的に付勢力が作用してハブ16に傾きが生じるといった不都合の発生を抑制することができる。
また、可動部材86(仕切板部88)に重ねてシール部材98を設け、そのシール部材98に第2管部63を挿通させる孔部99を形成した。そして、その孔部99の内周面を第2管部63の外周面と密接させた。この場合、仮にハブ16の内部通路29から基端側に血液が漏れ出たとしても、その血液が孔部99を通じてコイルばね90側に入り込むのを抑制することができる。これにより、コイルばね90に血液が付着してコイルばね90の付勢力が低減するのを抑制することができるため、その付勢力によって得られる上述の効果を確実に発揮させることができる。
シール部材98を可動部材86の仕切板部88の基端側面に配設したため、シール部材98が第2ボディ52の内部から先端側に脱落するのを抑制することができる。また、シール部材98は、コイルばね90の付勢力により仕切板部88に押し付けられた状態で配設されるため、シール部材98を仕切板部88に接着剤等で固定しなくても、シール部材98を仕切板部88に安定した状態で配設することができる。
また、シール部材98がコイルばね90の付勢力により押し付けられた状態では、シール部材98が厚み方向に圧縮されることになるため、その圧縮に伴って孔部99の孔径が小さくなることが考えられる。このため、かかる場合には、孔部99の内周面が第2管部63の外周面に密着する効果が高まって、孔部99を通じたコイルばね90側への血液の入り込みをより一層抑制することができる。
ちなみに、可動部材86及びシール部材98による上述の各効果を得る上では、Yコネクタ部30とハブ接続部31とが分離不能に一体化されていることは必ずしも必須ではない。例えば、ハブ接続部が止血機能を有する他のコネクタ(例えばYコネクタ)と着脱可能に接続される構成であっても、そのハブ接続部が可動部材86及びシール部材98を有していれば上述の各効果を得ることが可能である。
第2管部63の先端側端面63aを先端側に向けて凸となる曲面状としたため、第2管部63をハブ16の止血弁18に貫通させて接続する際に止血弁18を傷付けてしまう等の不都合が生じるのを抑制することができる。なお、かかる効果を得る上では、Yコネクタ部30とハブ接続部31(第2管部63)とが分離不能に一体化されていることは必須でなく、第2管部63を有する構成であればかかる効果を得ることが可能である。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、案内通路80の第2通路部82にハブ16の分岐管部23を係合させることで、ハブ接続部31(第2管部63)とハブ16との接続状態を保持するようにしたが、かかる保持手段の構成は必ずしもこれに限らない。例えば、ハブ接続部31に、保持手段として分岐管部23に係合可能な係合部材(例えば鉤状のフック部材)を設け、その係合部材による係合によりハブ接続部31とハブ16との接続状態を保持するようにしてもよい。また、ハブ接続部31に、保持手段として分岐管部23を挟持可能な一対の挟持部材を設け、それら挟持部材による分岐管部23の挟持によりハブ接続部31とハブ16との接続状態を保持するようにしてもよい。
また、ハブ接続部31に保持手段を設けないようにしてもよい。第2管部63をハブ16の止血弁18(スリット)に貫通させて接続した状態では、第2管部63の外周面に止血弁18のスリット内周面が密着されるため、この場合でも止血弁18からの第2管部63の抜けをある程度抑制することができ、ハブ接続部31(第2管部63)とハブ16との接続状態を維持することが期待できる。
(2)上記実施形態では、シール部材98を可動部材86の仕切板部88の基端側面に設けたが、これを変更して、シール部材98を仕切板部88の先端側面に設けてもよい。この場合、シール部材98を仕切板部88に接着剤等で固定するのが望ましい。
また、シール部材は必ずしも円板状である必要はなく、例えば円環状(リング状)にしてもよい。その場合、仕切板部88の孔部89を第2管部63の外径に対してある程度大きめに形成し、その孔部89に円環状のシール部材(弾性シール部に相当)をはめ込むことが考えられる。かかる構成では、シール部材の内側に第2管部63を挿通し、シール部材の内周面と第2管部63の外周面とを密接させることになる。なお、可動部材86に弾性シール部を設けないようにしてもよい。
また上記実施形態では、仕切板部88の孔部89とシール部材98の孔部99とで、第2管部63が挿通可能な孔部が構成されていた。しかし第2管部63が挿通可能な孔部は、シール部材98の孔部99のみで構成されてもよい。この場合、例えば、可動部材86の基端から先端までの長さに相当する厚みを有するシール部材が、可動部材86内に収められていればよい。この場合、可動部材86は仕切板部88を備えず、筒状部87のみで構成されていればよい。
(3)上記実施形態では、第2管部63の先端面63aを先端側に凸となる曲面状としたが、これを変更してもよい。例えば、第2管部63の先端面63aを平面状としたり、また第2管部63の先端部を先端側に向けて尖った尖端部としたりすることが考えられる。
(4)上記実施形態では、Oリング46を抜け止め部材として用いることで、Yコネクタ部30とハブ接続部31とを分離不能に一体化したが、これら両部材30,31を分離不能に一体化するための構成は必ずしもこれに限らない。例えば、Yコネクタ部30(本体部32)の主管部33とハブ接続部31の第1管部62とを接着剤等を用いて固定することにより、Yコネクタ部30とハブ接続部31とを分離不能に一体化してもよい。
また、Yコネクタ部30の本体部32とハブ接続部31の第1ボディ51(第2管部63)とを一体成形してもよい。この場合にも、Yコネクタ部とハブ接続部(第2管部63)とを分離不能に構成することができる。
(5)上記実施形態では、コネクタ本体部として、主管部33と分岐管部34とを有するYコネクタ部30を用いたが、例えばコネクタ本体部として分岐管部を有しない直管状のコネクタを用いてもよい。また、コネクタ本体部として、2以上の分岐管部を有するコネクタを用いてもよい。要するに、コネクタ本体部はその内部に止血弁(止血部材)を有していればよく、その形態については任意であってよい。
(6)上記実施形態では、主管部33の先端部と第1管部62の基端部とが分離不能に接合されていた。しかし主管部33の先端部と第1管部62の基端部との間に、可撓性のチューブ等、他の部材が設けられてもよい。この場合、例えば、チューブの一端が主管部33の先端部と分離不能に接合されていて、且つチューブの他端が第1管部62の基端部と分離不能に接合されていればよい。
(7)シースイントロデューサ組立10を血管内に導入する際に用いられるガイドワイヤとして、所定の形状に湾曲した先端部を有するものが用いられる場合がある。そこで、そのようなガイドワイヤをシースイントロデューサ組立10に挿通するときに、ガイドワイヤを止血用コネクタ12内に案内する為の筒状部材が用いられてもよい。具体的には、管孔64の内径よりも小さい外径を有し、ガイドワイヤが挿通可能な内径を有する筒状部材であって、少なくとも止血用コネクタ12の基端から第2管部63の基端までの長さを有する筒状部材が用いられてもよい。この場合、例えばユーザは、ガイドワイヤの先端を筒状部材内に挿通し、ガイドワイヤを筒状部材内に押し進める。ガイドワイヤは可撓性を有する。そのためガイドワイヤの先端部は、筒状部材内で略真直ぐのばされた状態で収められる。このときユーザは、ガイドワイヤの先端部が筒状部材内に収まった状態とする。ユーザは、ガイドワイヤの先端部が筒状部材内に収められている状態で、筒状部材を止血用コネクタ12の基端側から第2管部63に向けて挿通する。ユーザは、筒状部材の先端が第2管部63の基端付近に位置した状態で、ガイドワイヤをシースチューブ15に向けて押し進めることで、ガイドワイヤを血管内の所定の位置まで導入する。このように、ガイドワイヤが湾曲した先端部を有する場合であっても、筒状部材を用いることで、ユーザはガイドワイヤを容易に止血用コネクタ12内に挿通することができる。
10…シースイントロデューサ組立、11…シースイントロデューサ、12…止血用コネクタ、16…ハブ、18…止血弁、23…分岐管部、29…内部孔としての内部通路、30…コネクタ本体部及びYコネクタ本体部としてのYコネクタ部、31…ハブ接続部、38…止血部材としての止血弁、52…収容筒部としての第2ボディ、55…挿通孔としての内部通路、63…接続管部としての第2管部、80…分岐管通路としての案内通路、82…係合通路部としての第2通路部、88…対向板部としての仕切板部、90…付勢部材としてのコイルばね、98…弾性シール部としてのシール部材、X…導入部材。

Claims (4)

  1. 生体内へ導入される細長状の導入部材を挿通可能な挿通孔と、
    その挿通孔の周面と前記導入部材との間の隙間を塞ぐ止血部材と、
    前記挿通孔の一部である第1通路を構成し、前記止血部材が設けられたコネクタ本体部と、
    前記挿通孔のうち前記第1通路とは異なる部分である第2通路を構成し、シースイントロデューサのハブに接続可能な接続管部と、を備え、
    前記接続管部は、前記ハブの内部孔に基端側から挿入され、前記内部孔に設けられた止血弁を貫通した状態で前記ハブに接続可能であり、
    前記コネクタ本体部と前記接続管部とは分離不能に構成されており、
    前記接続管部に接続された前記ハブを内部に収容する収容筒部を備え、
    前記収容筒部には、前記ハブに対する前記接続管部の接続に際し、前記ハブの外周面から突出する分岐管部を通過させる分岐管通路が形成されており、
    前記分岐管通路は、その一部が、前記収容筒部の周方向に延びているとともに、前記接続管部に接続された前記ハブの分岐管部を入り込ませることで当該分岐管部と係合可能な係合通路部となっており、
    前記収容筒部の内部には、前記収容筒部に収容された前記ハブの基端面に対向する対向部材が設けられており、
    前記対向部材は、前記接続管部を挿通可能な孔部を有し、その孔部に挿通された前記接続管部に沿って移動可能とされており、
    前記収容筒部の内部には、前記対向部材の基端側に付勢部材が設けられており、その付勢部材によって前記ハブが前記分岐管部を前記係合通路部に係合させた状態で前記対向部材を介して先端側に付勢されるようになっており、
    前記対向部材は、前記ハブの基端面に対向して設けられる対向板部と、前記対向板部の基端面側に設けられた板状の弾性シール部とを有し、
    前記弾性シール部は、前記孔部の一部を構成しており、
    前記孔部のうち前記弾性シール部が構成する部分の内周面は、当該孔部に挿通された前記接続管部の外周面に密接されており、
    前記弾性シール部は、前記付勢部材の付勢力により前記対向板部に押し付けられた状態で配置されていることを特徴とする止血用コネクタ。
  2. 前記コネクタ本体部の先端側に分離不能に取り付けられ、前記接続管部を有するハブ接続部を備え、
    前記ハブ接続部は、前記コネクタ本体部に対して前記接続管部の軸線を中心として回転可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の止血用コネクタ。
  3. 前記コネクタ本体部は、Yコネクタを構成するための構成部材であるYコネクタ本体部からなり、
    前記Yコネクタ本体部の先端部には、他の医療機器に接続可能な接続具であるローテータに代えて、前記接続管部を有するハブ接続部が分離不能に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の止血用コネクタ。
  4. 前記接続管部は、その先端側の端面が先端側に向けて凸となる曲面状をなしていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の止血用コネクタ。
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