JP6719718B2 - Siインゴット結晶の製造方法及びその製造装置 - Google Patents
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Description
本発明により得られるSiインゴット結晶の要件は、太陽電池結晶でも半導体結晶でも同じなので、本明細書では太陽電池を対象として説明を行う。
現在、高効率太陽電池や半導体デバイス用のSiインゴット単結晶の大部分は、チョクラルスキー成長法(CZ法)で作製されている。しかし、図9の(a)図に示すように、CZ法では結晶成長時の成長界面は、Si融液表面の上部にあり、成長界面を形成しているSi融液は、主に表面から表面張力で盛り上がった薄く体積の小さな融液からなっている。このため、徴妙な融液内での温度分布や勾配の制御が難しい。
太陽電池用結晶の実用的な主要材料であるSiインゴット多結晶を、低コストで製造する技術であるキャスト成長法では、石英ルツボの内壁に離型剤(Si3N4)を塗るため酸素濃度の上昇を抑制できる。
発明者らは、ルツボを用いた太陽電池用Siインゴット結晶の成長に関する長年の研究により、ルツボ内に入れたSi融液が凝固成長する時に起こる結晶の膨張により、結晶内に大きな歪みが発生し、多量の転位生成の原因になるため、ルツボに入れたSi融液から結晶を成長させる時には、ルツボ壁に触れないで成長させる重要性に気づいた。
これらの課題を解決するために、非特許文献1ないし4に示すような、ルツボ壁に触れないでSiインゴット結晶をSi融液の内部で成長できるNOC成長法(Noncontact Crucible Method)を考案した。
図10の(b)図に示すように、このNOC成長法では、Si融液内に設けた大きな低温領域を活用して、Siインゴット結晶をSi融液内で成長させる。
太陽電池用のインゴット結晶の製造技術として、インゴット単結晶では高品質結晶が得られるCZ法が使われており、またインゴット多結晶では量産がし易く低コストのキャスト成長法が使われている。
CZ法では、凝固成長時にルツボからの膨張歪みを受けるといった影響は無いが、インゴット結晶をSi融液表面の表面張力を利用してSi融液外へ引き上げながら成長する方法であるため、引き上げ速度によって決まる人工的な速度でインゴット結晶を成長している。
このため、Si結晶で高い品質を得るには、ルツボ成長によるSi結晶の各種歪みや、人工的に形成された成長界面による熱歪み等の影響を無くした成長技術の開発が必要となる。
(1)Si融液を入れたルツボ底の中央部への入熱を阻害することにより、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域をSi融液内に形成し、低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造方法。
(2)Si融液を入れたルツボ底にヒータのような発熱体を配置するとともに、ルツボ底の中央部への発熱体からの入熱を阻害することにより、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域をSi融液内に形成し、低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造方法。
(3)熱伝導度の悪い材料からなる板を、Si融液を入れたルツボ底の中央部に配置して、ルツボ底の中央部への入熱を阻害し、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域をSi融液内に形成し、低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造方法。
(4)ルツボを用いたSiインゴット結晶のSi融液内において、熱伝導度の悪い材料からなる板と熱伝導度の良い材料からなる板とを幾何学的に平面的に組み合わせた構造の合成板を用意し、合成板を、Si融液を入れたルツボ底に配置して、熱伝導度の悪い板によりルツボ底の中央部への入熱を阻害し、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域を融液内に形成し、低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造方法。
(5)Si融液を入れたルツボ底の中央部への入熱を阻害することにより、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域をSi融液内に形成し、低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長することを特徴とするNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造方法であって、
融液内に設けた低温領域を利用して、Si種結晶をSi融液表面に接触させて結晶成長を開始した後、Si融液表面に沿って又は融液内部に向かってインゴット結晶を成長し、成長したインゴット結晶の一部を融液内から融液と分離しない程度に引き上げる第1の工程と、再度融液内に残った結晶から、Si融液の表面に沿って又は内部に向かってインゴット結晶を成長し、再度成長したインゴット結晶の一部を融液内からSi融液と分離しない程度に引き上げる第2の工程とを、順次繰り返してインゴット結晶を成長させることを特徴とするNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造方法。
(6)Siインゴット結晶の引き上げ成長を開始した後に、上記Si融液全体の温度を下げて低温領域を大きくして結晶を融液内部に大きく広げる際に、降温と引き上げを断続的又は連続的に行うことを特徴とする(1)ないし(5)のいずれかに記載のNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造方法。
(7)Si種結晶に回転又は右左の繰り返し反復回転を与えることを特徴とする(5)又は(6)に記載のNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造方法。
(8)Si融液を入れるルツボを囲む側面ヒータ及び底面ヒータを備え、底面ヒータとルツボ底部との間に、熱伝導度の悪い材料からなる板を、ルツボ底の中央部に配置してルツボ底の中央部への入熱を阻害し、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域をSi融液内に形成し、低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造装置。
(9)Si融液を入れるルツボを囲む側面ヒータ及び底面ヒータを備え、底面ヒータとルツボ底部との間に、熱伝導度の悪い材料からなる板と熱伝導度の良い材料からなる板を幾何学的に平面的に組み合わせた構造の合成板を配置して、熱伝導度の悪い材料からなる板によりルツボ底の中央部への入熱を阻害し、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域をSi融液内に形成し、低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造装置。
(10)上記熱伝導度の悪い材料の熱伝導度をSiの融点近傍で0.6W/m・k以下とし、上記熱伝導度の良い材料の熱伝導度をSiの融点近傍で20−60W/m・kとすることを特徴とする(9)に記載のNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造装置。
(11)上記熱伝導度の悪い材料の熱伝導度をSiの融点近傍で0.15−0.55W/m・kとすることを特徴とする(10)に記載のNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造装置。
(12)上記熱伝導度の悪い材料からなる板の材質をグラファイト製の断熱材とし、上記熱伝導度の良い材料からなる板の材質をグラファイト材料とすることを特徴とする(9)に記載のNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造装置。
(13)ルツボ底の中央部への入熱を阻害するためにルツボ底に配置する上記熱伝導度の悪い材料からなる板の形状を、円形、四角形、多角形、星形、線状又は惰円形とし、上記熱伝導度の良い材料からなる板をその周りに幾何学的に平面的に配置して組み合わせた構造の合成板としたことを特徴とする(9)ないし(12)のいずれかに記載のNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造装置。
(14)上記合成板の下側に冷却体を配置したことを特徴とする(13)に記載のNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造装置。
(15)Si種結晶に回転又は右左の繰り返し反復回転を与える機構をさらに備えたことを特徴とする(8)ないし(14)のいずれかに記載のNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造装置。
(16)上記Si融液を入れるルツボとこれを囲む側面ヒータ及び底面ヒータとの間に、該ルツボを囲むカーボン製熱保持具を備えたことを特徴とする(8)ないし(15)のいずれかに記載のNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造装置。
本発明は、Si融液内に大きな安定した低温領域を、制御しながら設定する方法に関するものである。
最も重要なポイントは、側面ヒータと底面ヒータからSi融液内に流入する熱の流れを制御することにある。このために、熱伝導度の悪い材料からなる板(断熱板)を中央に配置し、熱伝導度の良い材料からなる板をその周りに配置し、これらを幾何学的に平面的に組み合わせた構造の合成板を活用し、Si融液への熱の流れを制御して低温領域を設定することである。
熱伝導度の悪い材料からなる板と熱伝導度の良い材料からなる板とは、幾何学的に平面的に組み合わせた構造の合成板を構成している。
比較のために、このような合成板がない通常の成長炉の熱の流れを、図1の(a)図に示す。
キャスト成長法の一つとしてデンドライト結晶利用成長法で、デンドライト結晶をルツボ底面に沿って一方向に配列するために、断熱材料の組み合わせ板が報告されている(特許文献1)。この方法ではインゴット多結晶がルツボ底面から成長を開始しメルトの上部へ向かって成長が進行するので、本発明のベースとなる成長法であるNOC成長法とは温度分布や構成が逆になっている。
一方本発明では、Si融液の下部の温度が上部の温度よりも高く設定されている状態を基本にしている。この状態で、Si融液内部の上部中央から底部にかけて、周りの融液温度よりはるかに低温になっている低温領域を設けるために、熱伝導度の悪い断熱材料によりルツボ底の中央部への入熱を阻害し、その周りを逆に熱伝導度の良い材料で囲い、熱が融液中に入り易いように工夫している。
図2の(a)図に示すように、Kyropoulos法では、基本的には凝固潜熱は主に種結晶を固定した軸を通して放熱される。同時にルツボ底面からも放熱が行われ、熱はSi融液の底部から外に流れる方向になるため、融液内には大きな低温領域を作ることができない。
このように低温領域を作るための基本コンセプトが異なり、Kyropoulos法には融液内に意識的に低温領域を設定する発想はなく、十分な大きさの低温領域を融液内に設定することができない。このため、Si結晶のような潜熱の大きな結晶の成長には無理があり、Si融液内でルツボ壁に触れないでSiインゴット結晶を成長した報告は一切無い。
Si融液内の上部中央に大きな低温領域を形成する技術として、熱伝導度の悪い材料からなる板と熱伝導度の良い材料からなる板を幾何学的に平面的に組み合わせた構造の合成板を用意し、この板をルツボ底に配置して、熱伝導度の悪い材料からなる板によりルツボ底の中央部への入熱を阻害し、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域を融液内に形成する方法が最も効果的であることを見出した。
中央の円形部分に熱伝導度の悪いグラファイト製の材料からなる板と、その周りの円環部分に熱伝導度の良いグラファイト製の材料からなる板とを幾何学的に平面的に組み合わせた構造の合成板の例を図3に示す。
ルツボの大きさによっては、この合成板を通した入熱を効果的に障害する目的で、この合成板の下側に冷却体を配置してもよい。
冷却体としては、良導体の材料からなる円柱棒やその中を水冷した円柱管などが考えられるが、この限りではない。
Si融液は、融液上部よりも下部の方が高温となる温度分布を有するようにし、Si種結晶を用いてSi融液表面に核形成させ、まずここからSi融液の表面に沿って結晶を低温領域内で大きく広げる。
この時、低温領域に内部に向かってもインゴット結晶が成長するため、成長界面は下に凸型を有するようになる。
実際の結晶成長の状況に合わせて、目的とするインゴット結晶のサイズや形状に応じて適宜決めればよい。
Si融液をルツボに入れてSiインゴット結晶を製造する際に、まずSi融液の上部中央から下部にかけて、その周囲の融液温度よりも低く、より大きな過冷却度を有する、円形、四角形、多角形、星形、線状、楕円形の低温領域を設ける。これによりSi結晶を融液内成長させる際に、ルツボ壁に触れないで結晶成長が可能になる。しかも、この低温領域のサイズを自在に制御することにより、成長するインゴット結晶の形状・大きさを自在に制御できるようになる。
ここで、熱伝導度の悪い材料の熱伝導度を、Siの融点近傍で0.6W/m・k以下とする。さらに好ましくは、0.15−0.55W/m・kとする。
また、熱伝導度の良い材料の熱伝導度を、Siの融点近傍で20−60W/m・kとする。
低温領域を大きくするには、融液点下に融液を降温し、低温領域内の過冷却度を増す必要がある。過冷却度は80k以上付けることが可能である。
本発明を活用した、具体的なn型Siインゴット単結晶の成長の実施例を実施例1及び実施例2として以下に示す。
実施例1では、ルツボの大きさを50cm径とし、ドーパントとしてPを加えたSi原料の重さを35.32kgとする。この時、Si融液の深さは7cmとなる。
窒化珪素粉未を塗布しない石英ルツボにSi原料を充填し、インゴット結晶の製造装置内の所定の位置にセットする。
この時、ルツボ底の下側には、直径40cmのグラファィト製の熱伝導度の悪い円形の板とその周りに熱伝導度の良い材料の円環状の板を組み合わせた構造の合成板(直径60cm)をあらかじめ配置しておく。
引き上げ成長を開始する前に、融液全体の温度を下げて低温領域を大きくし、結晶を融液表面に沿って大きく広げた。
この時、降温と引き上げを連続的に行ったり、断続的に行ったりすることにより、インゴット結晶のサイズを調整した。
温度降下幅は55.1kであり、全成長時間は630分となった。
実施例2では、ルツボの大きさを15cm径とし、ドーパントとしてPを加えたSi原料の重さを1.66kgとするとこの時、Si融液の深さは4cmとなる。
窒化珪素粉末を塗布しない石英ルツボにSi原料を充填し、インゴット結晶の製造装置内の所定の位置にセットする。この時、ルツボ底の下側には、直径10cmのグラファイト製の熱伝導度の悪い円形の板とその周りに熱伝導度の良い材料の円環状の板を組み合わせた構造の合成板(直径20cm)をあらかじめ配置しておく。
次に、ルツボの温度をSiの融点温度以下1.5kまで下げ、Si種結晶をSi融液表面に持ち浸して接触させ種づけする。
この後、1mm/minの引き上げ速度で5−8mm径の細い種結晶を成長しネッキングを行う。成長した種結晶が約14cmの長さになった時、引き上げ成長を終了する。
引き続き、0.2mm/minの速度で引き上げ成長を開始し、1時間43分成長を行う。
この後、10mm/minの高速で成長したインゴット結晶を融液から引き上げ、成長を終了した。
図5、図6を見て明らかなように、これらのインゴット結晶は、ルツボ壁に触れることなく成長している。このことは、本発明により、Si融液内部に大きな低温領域が形成できていることを示している。
特に、ルツボ壁の内面近傍の温度を高温に保持したまま、融液中央部をSi融点以下の55kもの大きさに冷却できたことを、ルツボ壁からの核形成と結晶成長が無かったことから示しており、融液内に低温領域がしっかりとできていることを現している。
インゴット結晶の成長初期に、過冷却をかけながらSi融液表面に沿って結晶を広げながら大きく成長する。この結晶成長時に、この広がった結晶を融液から急速に引き上げて成長を強制的に終了させ、その時点での成長界面の形状を確認した。融液内に低温領域が大きく広がっておれば、成長界面は下に凸型の形状をしているはずである。
図7(a)図は、このようにして取り出したインゴット結晶の上面を示す。種結晶を中心に円形のインゴット結晶が得られている。
図7(b)図は、インゴット結晶が融液表面だけでなく低温領域内で下方に成長して広がっている概念図を示す。
さらに、図8に示すように、成長したインゴット結晶の最大直径は断熱材(熱伝導度の悪い材料からなる板)の直径と強い相関があり、断熱材の直径が大きくなるほどインゴット結晶の最大直径が大きくなっている。このことは、断熱材がSiインゴット結晶の大口径化に極めて有効であることを実証している。
本発明は、高効率な太陽電池を作製するためのSiインゴット結晶の製造方法に関するもので、歪み、転位密度、酸素濃度の少ない種々の形状の高品質Siインゴット結晶、その中でも特にSiインゴット単結晶を製造する技術に関するものである。
特に、本発明のベースとなる結晶成長技術であるNOC成長法に適用した時、大きな効果を発揮することができる。
ルツボ底面に配置する熱伝準度の悪い材料からなる板の形状を四角形、多角形、星形、線状、楕円形などに変えることによって、Si融液内に設けた低温領域の形状も微妙に変化させることができる。
目的とするSiインゴット結晶の形状に合わせた低温領域の設定を使用することができる。
実際に本発明により、ルツボ内に入れたSi融液の表面付近から底部にかけて周囲より融液温度が低く、より大きな過冷却度を有する円形の低温領域を融液内部に局所的に設けた場合、低温領域よりも融液温度が高いルツボ壁近傍の領域から低温領域に向けてデンドライト等の結晶が発現しないことを見出している。このように本発明は、極めて高く強力な効果を発揮する。
このため、本発明は太陽電池の大幅な普及に大きく貢献できる技術である。この効果は、同時に大口径半導体結晶の普及にも大きな効果を発揮できる。
高効率太陽電池を作製できる高品質・高均質なSiインゴット結晶の製造方法及びその製造装置に関する発明であり、現在主流のSi結晶太陽電池の分野に革新的な技術を供与できる。
さらに、半導体デバイスを作製できる大口径・高品質なSiインゴット結晶の製造方法及びその製造装置にも適用可能な発明であり、小さな装置を用いて大口径のSiインゴット単結晶を製造できる革新的な技術を供与できる。
すなわち、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない限り、Siインゴット結晶の製造方法及びその製造装置について、適宜の設計変更が可能であることは言うまでもないことである。
Claims (16)
- Si融液を入れたルツボ底の中央部への入熱を阻害することにより、該Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域を該Si融液内に形成し、該低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造方法。
- Si融液を入れたルツボ底に発熱体を配置するとともに、該ルツボ底の中央部への該発熱体からの入熱を阻害することにより、該Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域を該Si融液内に形成し、該低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造方法。
- 熱伝導度の悪い材料からなる板を、Si融液を入れたルツボ底の中央部に配置して、ルツボ底の中央部への入熱を阻害し、該Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域を該Si融液内に形成し、該低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造方法。
- ルツボを用いたSiインゴット結晶のSi融液内において、熱伝導度の悪い材料からなる板と熱伝導度の良い材料からなる板とを幾何学的に平面的に組み合わせた構造の合成板を用意し、該合成板を、Si融液を入れたルツボ底に配置して、熱伝導度の悪い板によりルツボ底の中央部への入熱を阻害し、該Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域を融液内に形成し、該低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造方法。
- Si融液を入れたルツボ底の中央部への入熱を阻害することにより、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域をSi融液内に形成し、該低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長することを特徴とするNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造方法であって、
融液内に設けた低温領域を利用して、Si種結晶を該Si融液表面に接触させて結晶成長を開始した後、該Si融液表面に沿って又は融液内部に向かってインゴット結晶を成長し、成長したインゴット結晶の一部を融液内から融液と分離しない程度に引き上げる第1の工程と、再度融液内に残った結晶から、該Si融液の表面に沿って又は内部に向かってインゴット結晶を成長し、再度成長したインゴット結晶の一部を融液内から該Si融液と分離しない程度に引き上げる第2の工程とを、順次繰り返してインゴット結晶を成長させることを特徴とするNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造方法。 - Siインゴット結晶の引き上げ成長を開始した後に、上記Si融液全体の温度を下げて低温領域を大きくして結晶を融液内部に大きく広げる際に、降温と引き上げを断続的又は連続的に行うことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造方法。
- Si種結晶に回転又は右左の繰り返し反復回転を与えることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造方法。
- Si融液を入れるルツボを囲む側面ヒータ及び底面ヒータを備え、底面ヒータとルツボ底部との間に、熱伝導度の悪い材料からなる板を、ルツボ底の中央部に配置してルツボ底の中央部への入熱を阻害し、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域をSi融液内に形成し、該低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造装置。
- Si融液を入れるルツボを囲む側面ヒータ及び底面ヒータを備え、底面ヒータとルツボ底部との間に、熱伝導度の悪い材料からなる板と熱伝導度の良い材料からなる板を幾何学的に平面的に組み合わせた構造の合成板を配置して、熱伝導度の悪い材料からなる板によりルツボ底の中央部への入熱を阻害し、Si融液の上部中央から下部中央にかけて周りの融液温度よりも低い低温領域をSi融液内に形成し、該低温領域を利用してSiインゴット結晶をルツボ壁に触れないようにSi融液内で成長させることを特徴とするNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造装置。
- 上記熱伝導度の悪い材料の熱伝導度をSiの融点近傍で0.6W/m・k以下とし、上記熱伝導度の良い材料の熱伝導度をSiの融点近傍で20−60W/m・kとすることを特徴とする請求項9に記載のNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造装置。
- 上記熱伝導度の悪い材料の熱伝導度をSiの融点近傍で0.15−0.55W/m・kとすることを特徴とする請求項10に記載のNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造装置。
- 上記熱伝導度の悪い材料からなる板の材質をグラファイト製の断熱材とし、上記熱伝導度の良い材料からなる板の材質をグラファイト材料とすることを特徴とする請求項9に記載のNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造装置。
- ルツボ底の中央部への入熱を阻害するためにルツボ底に配置する上記熱伝導度の悪い材料からなる板の形状を、円形、四角形、多角形、星形、線状又は惰円形とし、上記熱伝導度の良い材料からなる板をその周りに幾何学的に平面的に配置して組み合わせた構造の合成板としたことを特徴とする請求項9ないし請求項12のいずれか1項に記載のNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造装置。
- 上記合成板の下側に冷却体を配置したことを特徴とする請求項13に記載のNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造装置。
- Si種結晶に回転又は右左の繰り返し反復回転を与える機構をさらに備えたことを特徴とする請求項8ないし請求項14のいずれか1項に記載のNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造装置。
- 上記Si融液を入れるルツボとこれを囲む側面ヒータ及び底面ヒータとの間に、該ルツボを囲むカーボン製熱保持具を備えたことを特徴とする請求項8ないし請求項15のいずれか1項に記載のNOC成長法によるSiインゴット単結晶の製造装置。
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