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JP6719671B2 - 回転電機の固定子、及び回転電機 - Google Patents

回転電機の固定子、及び回転電機 Download PDF

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JP6719671B2 JP2019526165A JP2019526165A JP6719671B2 JP 6719671 B2 JP6719671 B2 JP 6719671B2 JP 2019526165 A JP2019526165 A JP 2019526165A JP 2019526165 A JP2019526165 A JP 2019526165A JP 6719671 B2 JP6719671 B2 JP 6719671B2
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Description

本発明は、回転電機の固定子及びそれを用いた回転電機に関し、特に自動車の走行のためにトルクを発生したり、あるいは制動時に発電したりする回転電機に関する。
回転電機では、固定子巻線に交流電力を供給することで回転磁界を発生させ、この回転磁界により回転子を回転させる。また、回転子に加わる機械エネルギーを電気エネルギーに変換してコイルから交流電力を出力することもできる。このように、回転電機は、電動機または発電機として作動する。
このような回転電機の固定子として、セグメントコイルの端末を溶接して接続する構成が知られている(例えば特許文献1参照)。固定子コイルがスロット内壁面に径方向に沿って交互に配置することで温度低減に伴う出力向上が可能であるとともに磁気騒音を低減することができる回転電機を提供する(例えば特許文献2参照)。
特開2011−151975号公報 特開2010−112993号公報
この種の回転電機を自動車に搭載する場合、狭く限られた空間に取り付けられるため、小型化が要求される。コイルエンドの上部はミッション部との隙間を確保するため、セグメント部における溶接部においてコイルエンド高さを下げることが望ましい。さらに、温度変化で溶接部に発生する応力が問題であったため溶接強度を上げるために溶接面積を大きくする必要があった。
本発明に係る回転電機の固定子又は回転電機は、周方向に並んだ複数のスロットが形成された固定子鉄心と、前記固定子鉄心の前記スロット内に挿入された絶縁被膜付き固定子コイルと、を備え、前記固定子コイルは、複数のセグメント導体を周方向に並べられて構成されかつそれぞれが径方向の内径から外径に沿って並べられる第1層セグメントないし第4層セグメントにより構成され、前記第1層セグメントと前記第2層セグメントは、周方向に第1ズレ量分ずれた状態で互いに接続され、前記第3層セグメントと前記第4層セグメントは、周方向に前記第1ズレ量とは異なるように設けられる第2ズレ量分ずれた状態で互いに接続される。
本発明によれば、小型高出力であるにも関わらず、冷却性が優れた回転電機の固定子を提供することができる。
本実施形態に係る回転電機10の断面図である。 固定子20の全体斜視図である。 固定子鉄心132の全体斜視図である。 回転子11および固定子鉄心132の断面を示す断面図である。 固定子コイル60を示す全体斜視図である。 固定子コイル60の接続状態を示す概念図である。 固定子コイル60を構成するセグメント導体28を説明する概念図である。 固定子コイル60を構成するセグメント導体28を説明する概念図である。 図5に示した固定子コイル60の一相分であるU相コイル60Uを示す斜視図である。 U1相コイル60U1を示す斜視図である。 U2相コイル60U2を示す斜視図である。図9及び図10に示すように、中性点結線用導体40N1はU1相コイル60U1の他端に接続され、中性点結線用導体40N2はU2相コイル60U2の他端に接続されている。 溶接側コイルエンド62における、セグメント導体28の曲げ加工後の端部28E1ないし端部28E4を示す図である。 端部28E1ないし端部28E4が溶接により接続される前における、図11の矢印方向から見た溶接側コイルエンド62の部分拡大図である。 端部28E1ないし端部28E4が溶接により接続された後における、図11の矢印方向から見た溶接側コイルエンド62の部分拡大図である。 他の実施形態に係る端部28E1ないし端部28E4が溶接により接続される前における、図11の矢印方向から見た溶接側コイルエンド62の部分拡大図である。 他の実施形態に係る端部28E1ないし端部28E4が溶接により接続された後における、図11の矢印方向から見た溶接側コイルエンド62の部分拡大図である。 他の実施形態に係る端部28E1ないし端部28E8が溶接により接続される前における、図11の矢印方向から見た溶接側コイルエンド62の部分拡大図である。 他の実施形態に係る端部28E1ないし端部28E8が溶接により接続された後における、図11の矢印方向から見た溶接側コイルエンド62の部分拡大図である。 他の実施形態に係る端部28E1ないし端部28E8が溶接により接続される前における、図11の矢印方向から見た溶接側コイルエンド62の部分拡大図である。 他の実施形態に係る端部28E1ないし端部28E8が溶接により接続された後における、図11の矢印方向から見た溶接側コイルエンド62の部分拡大図である。 本実施形態に係る回転電機10を搭載したハイブリッド型電気自動車の概略構成を示す。
以下、図16を参照して本発明を実施するための形態について説明する。本実施形態における回転電機10は、自動車の走行に使用するのが好適な回転電機である。ここで、回転電機10を使用するいわゆる電気自動車には、エンジンENGと回転電機10の両方を備えるハイブリッドタイプの電気自動車(HEV)と、エンジンENGを用いないで回転電機10のみで走行する純粋な電気自動車(EV)とがある。以下に説明する回転電機は両方のタイプに利用できるので、ここでは代表してハイブリッドタイプの自動車に用いられる回転電機に基づいて説明する。
また、以下の説明において、「軸方向」は回転電機の回転軸に沿った方向を指す。周方向は回転電機の回転方向に沿った方向を指す。「径方向」は回転電機の回転軸を中心としたときの動径方向(半径方向)を指す。「内周側」は径方向内側(内径側)を指し、「外周側」はその逆方向、すなわち径方向外側(外径側)を指す。
(車両の概略構成)
まず、図16を参照して、回転電機が搭載される車両の概略構成を説明する。前輪側の主動力として、エンジンENGと回転電機10を有する。エンジンENGと回転電機10の発生する動力は、変速機TRにより変速され、前輪側駆動輪FWに動力を伝えられる。また、後輪の駆動においては、後輪側に配置された回転電機10と後輪側駆動輪RWを機械的に接続され、動力が伝達される。前輪側の動力源である回転電機10は、エンジンENGと変速機TRの間に配置される。
回転電機10は、エンジンENGの始動を行い、また、車両の走行状態に応じて、駆動力の発生と、車両減速時のエネルギーを電気エネルギーとして回収する発電力の発生を切り換える。回転電機10の駆動動作及び発電動作は、車両の運転状況に合わせ、トルクおよび回転数が最適になるように電力変換装置INVにより制御される。回転電機10の駆動に必要な電力は、電力変換装置INVを介してバッテリBATから供給される。また、回転電機10が発電動作のときは、電力変換装置INVを介してバッテリBATに電気エネルギーが充電される。
この回転電機10は、永久磁石内蔵型の三相同期モータである。回転電機10は、固定子コイルに三相交流電流が供給されることで、回転子を回転させる電動機として作動する。また、回転電機10は、エンジンENGによって駆動されると、発電機として作動して三相交流の発電電力を出力する。つまり、回転電機10は、電気エネルギーに基づいて回転トルクを発生する電動機としての機能と、機械エネルギーに基づいて発電を行う発電機としての機能の両方を有しており、車両の走行状態によって上記機能を選択的に利用することができる。
(回転電機10の説明)
図1は、本実施形態に係る回転電機10の断面図である。本実施形態においては、回転電機10は、液冷ジャケット130の内部に配設されている。液冷ジャケット130は、エンジンENGのケースや変速機TRのケースによって構成される。回転電機10は、固定子20と、固定子20を保持するハウジング50と、回転子11と、を備えている。
ハウジング50の外周側には、液冷ジャケット130が固定されている。液冷ジャケット130の内周壁とハウジング50の外周壁とで、油などの液状の冷媒RFの冷媒通路153が構成される。回転子11が固定されるシャフト13は、液冷ジャケット130に設けられた軸受144及び軸受145により回転自在に支持されている。そのため、液冷ジャケット130は、軸受ブラケットとも称されている。
なお、直接液体冷却方式の場合には、冷媒RFは、冷媒貯蔵空間150に溜まった液体が冷媒通路153を通り、さらに冷媒通路154や冷媒通路155を介して固定子20へ向けて流出し、固定子20を冷却する。ここで冷媒RFは冷却用の油であってもよい。
ハウジング50の内周側には、固定子20が固定されている。固定子20の内周側には、回転子11が回転可能に支持されている。ハウジング50は、炭素鋼など鉄系材料の切削により、または、鋳鋼やアルミニウム合金の鋳造により、または、プレス加工によって円筒状に成形され、回転電機10の外被を構成している。ハウジング50は、枠体或いはフレームとも称されている。
ハウジング50は、厚さ2〜5mm程度の鋼板(高張力鋼板など)を絞り加工により円筒形状に形成されている。ハウジング50には、液冷ジャケット130に取り付けられる複数のフランジ(不図示)が設けられている。複数のフランジは、円筒状のハウジング50の一端面周縁において、径方向外方に突設されている。なお、フランジは、絞り加工時に形成される端部において、フランジ以外の部分を切除して形成されるものであり、ハウジング50と一体となっている。なお、ハウジング50を設けずに、固定子20をケースである液冷ジャケット130に直接固定するようにしても良い。
図2は、固定子20の全体斜視図である。図3は、固定子鉄心132の全体斜視図である。図2に示されるように、固定子20は、固定子鉄心132と、固定子コイル60とによって構成されている。固定子鉄心132は、珪素鋼板の薄板が積層されて作られている。固定子コイル60は、固定子鉄心132の内周部に多数個設けられているスロット420に巻回されている。固定子コイル60からの発熱は、固定子鉄心132を介して、液冷ジャケット130に伝熱され、液冷ジャケット130内を流通する冷媒RFにより放熱される。
図1に示されるように回転子11は、回転子鉄心12と、シャフト13とから構成されている。図4は、回転子11および固定子鉄心132の断面を示す断面図である。なお、図4ではシャフト13の図示を省略した。回転子鉄心12は、珪素鋼板の薄板が積層されて作られている。シャフト13は、回転子鉄心12の中心に固定されている。シャフト13は、図1に示すように液冷ジャケット130に取り付けられた軸受144及び軸受145により回転自在に保持されており、固定子20内の所定の位置で、固定子20に対向した位置で回転する。また、図示を省略したが回転子11には、永久磁石18と、エンドリングが設けられている。
図3に示されるように、固定子鉄心132には、固定子鉄心132の軸方向に平行な複数のスロット420が周方向に等間隔となるように形成されている。スロット420の数は、例えば本実施形態では72個であり、スロット420に上記した固定子コイル60が収容される。各スロット420の内周側は開口とされ、この開口の周方向の幅は、固定子コイル60が装着される各スロット420のコイル装着部とほぼ同等もしくは、コイル装着部よりも若干小さくなっている。
スロット420間にはティース430が形成されており、それぞれのティース430は環状のコアバック440と一体となっている。つまり、固定子鉄心132は、各ティース430とコアバック440とが一体成形された一体型コアとされている。ティース430は、固定子コイル60によって発生した回転磁界を回転子11に導き、回転子11に回転トルクを発生させる。
固定子鉄心132は、厚さ0.05〜1.0mm程度の電磁鋼板を打ち抜き加工により成形し、成形された円環形状の電磁鋼板を複数枚積層してなる。溶接部200は、TIG溶接やレーザー溶接などにより、円筒状の固定子鉄心132の外周部において、固定子鉄心132の軸方向に平行に設けられている。なお、溶接部200を設けずにカシメなどで固定して、固定子鉄心132をケースに直接挿入して固定するようにしても良い。
図4は、軸方向を直角方向に切る回転子11と固定20の断面図である。回転子鉄心12には、矩形形状の永久磁石18が挿入される磁石挿入孔810が等間隔に形成されている。各磁石挿入孔810には、永久磁石18が接着剤や粉体樹脂やモールドなどで固定されている。磁石挿入孔810の円周方向の幅は、永久磁石18の円周方向の幅よりも大きく設定されており、永久磁石18の両側には磁気的空隙156が形成されている。この磁気的空隙156は接着剤を埋め込んでも良いし,成形樹脂で永久磁石18と一体に固めても良い。永久磁石18は回転子11の界磁極を形成する作用をなす。この実施例では一つの永久磁石18で1つの磁極を形成する構成としているが、各磁極を構成する永久磁石18を複数に増やしても良く、永久磁石18を増やすことで、永久磁石が発する各磁極の磁束密度が大きくなり、磁石トルクを増大することができる。
永久磁石18の磁化方向は径方向を向いており、界磁極毎に磁化方向の向きが反転している。すなわち、ある磁極を形成するための永久磁石18の固定子側面がN極、軸側の面がS極に磁化されていたとすると、隣の磁極を形成する永久磁石18の固定子側面はS極、軸側の面はN極となるように磁化されている。これらの永久磁石18が円周方向に磁極毎に交互に磁化方向が変わるように磁化されて、配置されている。本実施形態では、各永久磁石18は等間隔に12個配置しており、回転子11は12極の磁極を形成している。
ここで、永久磁石18には、ネオジム系、サマリウム系の焼結磁石やフェライト磁石、ネオジム系のボンド磁石などを用いることができる。本実施形態では、磁極を形成する各永久磁石18間に補助磁極160が形成されている。この補助磁極160は、固定子コイル60が発生するq軸の磁束の磁気抵抗が小さくなるように作用する。そして、この補助磁極160により、q軸の磁束の磁気抵抗がd軸の磁束の磁気抵抗に比べて非常に小さくなるため、大きなリラクタンストルクが発生することになる。
図5は、固定子コイル60を示す全体斜視図である。図6は、固定子コイル60の接続状態を示す概念図である。本実施形態では、固定子コイル60は、図6に示される2つのスター結線が並列接続された2スター構成の固定子コイルが採用されている。すなわち、固定子コイル60は、U1相コイル60U1、V1相コイル60V1およびW1相コイル60W1のスター結線と、U2相コイル60U2、V2相コイル60V2およびW2相コイル60W2のスター結線とを備えている。N1およびN2はそれぞれのスター結線の中性点である。
固定子コイル60は、断面が丸形状であっても、四角形状であってもよい。ただし、スロット420の内部の断面をできるだけ有効に利用し、スロット内の空間が少なくなるような構造とすることが効率の向上につながる傾向にあるため、断面が四角形状の方が効率向上の点で望ましい。なお、四角形状断面の各辺の長さは、固定子鉄心132の径方向が長く設定されていても良いし、逆に周方向が長く設定されていても良い。
本実施形態の固定子コイル60は長方形断面の平角線が使用されており、長方形断面の長辺はスロット420内において固定子鉄心132の周方向に並んでおり、短辺は固定子鉄心132の径方向に並んでいる。平角線は、外周が絶縁被膜で覆われている。固定子コイル60には無酸素銅や有酸素銅を用いられる。例えば、有酸素銅の場合は、酸素含有率がおよそ10ppm以上から1000ppm程度である。
図7は、固定子コイル60を構成するセグメント導体28を説明する図である。図7Aは、固定子鉄心132に装着する前のセグメント導体28の形状を示したものである。図7Bは、固定子鉄心132に装着した後のセグメント導体28の形状を示したものである。セグメント導体28は平角線で形成されており、一対の脚部28Bと、それらを連結する頭頂部28Cとを有する略U字形状に形成されている。
セグメント導体28同士を接続して各相コイルを形成する場合、図7Bに示すように、セグメント導体28の一対の脚部28Bを、固定子鉄心132の軸方向の一方側から異なるスロット420にそれぞれ挿入する。その後、固定子鉄心132の軸方向の他方側に突出した脚部28Bを、接続すべきセグメント導体28の方向に折り曲げて、脚部28Bの端部28Eを他方のセグメント導体28の端部28Eに溶接する。
固定子鉄心132の一方の側に突出する頭頂部28Cの集合は、図5に示される固定子コイル60の一方の側のコイルエンド61を構成する。固定子鉄心132の他方の側に突出する端部28Eの集合は、図5に示される固定子コイル60の他方の側のコイルエンド62を構成している。以下では、コイルエンド62を溶接側コイルエンド62と呼び、コイルエンド61を反溶接側コイルエンド61と呼ぶことにする。
図5及び図6に示されるように、反溶接側コイルエンド61の側には、U1相コイル60U1の一端に接続された口出し線41U1と、U2相コイル60U2の一端に接続された口出し線41U2とが引き出されている。口出し線41U1と口出し線41U2とは、交流端子42Uにより1つに纏められている。同様に、反溶接側コイルエンド61の側には、V1相コイル60V1及びV2相コイル60V2の一端に接続された口出し線41V1及び口出し線41V2が交流端子42Vにより1つに纏められる。W1相コイル60W1及びW2相コイル60W2の一端に接続された口出し線41W1及び口出し線41W2が交流端子42Wにより1つに纏められている。
また反溶接側コイルエンド61の側には、中性点結線用導体40N1及び中性点結線用導体40N2が配置されている。中性点結線用導体40N1は一方のスター結線の中性点N1(図6参照)に関するものであり、中性点結線用導体40N2は他方のスター結線の中性点N2に関するものである。
固定子コイル60は分布巻の方式で巻かれている。分布巻とは、複数のスロット420(図3参照)を跨いで離間し2二つのスロット420に相巻線が収納されるように、相巻線が固定子鉄心132に巻かれる巻線方式である。本実施形態では、巻線方式として分布巻を採用しているので、形成される磁束分布は集中巻きに比べて正弦波に近く、リラクタンストルクを発生しやすい特徴を有している。そのため、この回転電機10は、弱め界磁制御やリラクタンストルクを活用する制御の制御性が向上し、低回転速度から高回転速度までの広い回転速度範囲に亘って利用が可能であり、電気自動車に適した優れたモータ特性を得ることができる。
図8は、図5に示した固定子コイル60の一相分であるU相コイル60Uを示す斜視図である。図6に示すように、U相コイル60Uは、一方のスター結線のU1相コイル60U1と他方のスター結線のU2相コイル60U2とで構成される。図9は、U1相コイル60U1を示す斜視図である。図10は、U2相コイル60U2を示す斜視図である。図9及び図10に示すように、中性点結線用導体40N1はU1相コイル60U1の他端に接続され、中性点結線用導体40N2はU2相コイル60U2の他端に接続されている。
(固定子の製造方法)
−曲げ加工−
次に、本実施形態における固定子20の製造方法について説明する。前述したように、図7Aの状態のセグメント導体28を固定子鉄心132のスロット内に挿入した後、図7Bのように脚部28Bを接続すべき他のセグメント導体28の方向に曲げ加工する。各スロット420から引き出された各脚部28Bは、接続すべきセグメント導体28の方向に曲げられる。例えば、スロット420から突出する脚部28B1は周方向左側に曲げられる。一方、端部28E2を有する脚部28B2は、周方向右側に曲げられる。そして、端部28E1と端部28E2は径方向に隣接するように配置される。
図11は、溶接側コイルエンド62における、セグメント導体28の曲げ加工後の端部28E1ないし端部28E4を示す図である。図12Aは、端部28E1ないし端部28E4が溶接により接続される前における、図11の矢印方向から見た溶接側コイルエンド62の部分拡大図である。図12Bは、端部28E1ないし端部28E4が溶接により接続される後における、図11の矢印方向から見た溶接側コイルエンド62の部分拡大図である。
スロット420内には径方向に4列のセグメント導体28が挿通される。スロット420内に挿通される脚部28Bには、スロットライナー310が配設される。スロットライナー310を設けることにより、セグメント導体28の相互間およびセグメント導体28とスロット420の内面との間の絶縁耐圧が向上する。なお、接続が行われる端部28E1ないし端部28E4は、絶縁被膜が除去されていて導体が剥き出しになっている。
端部28E1ないし端部28E4の先端の高さを揃えたりコイルエンド高さを抑えたりするために、端部28E1ないし端部28E4の切断加工を行う。コイルエンドの高さが揃っていれば切断加工を削除することもできる。
図12A及び図12Bに示されるように、端部28E1と端部28E2が溶接により接続され、端部28E3と端部28E4が溶接により接続される。端部28E1及び端部28E2と端部28E3及び端部28E4には、母材が溶けて固まった溶接部800がそれぞれ形成される。溶接方法としては、アーク溶接のTIG溶接やプラズマ溶接などでセグメント導体28の母材を溶融して接続する。シールドガスにはアルゴンやヘリウム、さらにアルゴンとヘリウムの混合ガスなどが使用される。
図12Bに示されるように、端部先端の端部28E1と端部28E2がずらされた状態で接続され、接続部28W1が構成される。また、端部28E3と端部28E4も固定子鉄心の内周側の接続部28W1よりも小さいずれで接続され、接続部28W2が構成される。
本実施形態に係る接続部28W1及び28W2は溶接により構成され、これらに溶接部800に生じる主な応力として昇温・降温時に生じる応力がある。特に固定子鉄心の内周側は温度上昇が著しいため、端部28E1と端部28E2を大きくずらした状態にすることで回転子の中心部から外周側に放射状に冷却風が発生しやすくなり冷却効果が向上する。
つまり、接続部28W1が接続部28W2よりも大きくずらした状態で接続されると、接続部28W1の表面積がずれた分だけ拡大する。接続部28W1の周囲の温度が、接続部28W2の周囲の温度よりも上昇すると、接続部28W1の周囲から接続部28W2の周囲へ空気が流れる。これにより、回転子の中心部から外周側に放射状に冷却風が発生しやすくなる。
図13A及び図13Bに示すように端部28E3と端部28E4は固定子鉄心の内周側の接続部28W1よりも大きいずれで接続され、接続部28W2が構成される。
接続部である溶接部に生じる主な応力として昇温・降温時に生じる応力がある。そのため、油などの液状の冷媒RFによる溶接部の冷却が必要である。特に固定子鉄心の内周側は温度上昇が著しいため、外周側の端部28E3と端部28E4を大きくずらした状態にすることで油などの液状の冷媒RFに接触する面積が広くなり冷却効果が向上する。
つまり、冷媒RFが接続部28W2から接続部28W1への方向に流れ落ちる場合、接続部28W2の表面積は大きく形成されているため冷媒RFを補足するための面積を大きくなっているので、多くの冷媒RFが接続部28W2へ接続部28W1に滴下するようになる。これにより、固定子鉄心の内周側であるかつ高温となる接続部28W1が効率的に冷却される。
また、溶接側コイルエンド62における、曲げ加工は内周側のほうが位置あわせがしやすいので外周側を積極的に冷却することで接続部28W1に発生する応力を低減することができる。
図14A及び図14Bに示すように、端部28E3と端部28E4、端部28E5と端部28E6、端部28E7と端部28E8は、固定子鉄心の内周側に近い配置となるにつれて互いのずれが大きくなるように接続される。本実施形態に係る接続部28W1ないし28W4は溶接により構成され、これらに溶接に生じる主な応力として昇温・降温時に生じる応力がある。特に固定子鉄心の内周側は温度上昇が著しいため、固定子鉄心の内周側に近い位置となるにつれて互いのずれを大きくすることで、回転子の中心部から外周側に放射状に冷却風が発生しやすくなり冷却効果が向上する。
図15A及び図15Bに示すように、端部28E3と端部28E4、端部28E5と端部28E6、端部28E7と端部28E8は、固定子鉄心の外周側に近い配置となるにつれて互いのずれが大きくなるように接続される。
本実施形態に係る接続部28W1ないし28W4は溶接により構成され、これらに溶接に生じる主な応力として昇温・降温時に生じる応力がある。そのため、油などの液状の冷媒RFによる接続部28W1ないし28W4の冷却が必要である。特に固定子鉄心の内周側は温度上昇が著しいため、固定子鉄心の外周側に近い配置となるにつれて互いのずれが大きくなるように接続することで油などの液状の冷媒RFに接触する面積が広くなり冷却効果が向上する。
また、溶接側コイルエンド62における、曲げ加工は内周側のほうが位置あわせがしやすいので外周側を積極的に冷却することで溶接部に発生する応力を低減することができる。
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
接続部である溶接部に生じる主な応力として昇温・降温時に生じる応力がある。そのため、油などの液状の冷媒RFや冷却風による溶接部の冷却が向上するため、溶接部の溶接面積を小さくすることができるため、溶接電流を小さくすることができるためエナメル皮膜へのダメージも小さくすることができ絶縁性も向上する。また、溶接部の応力を低減することができるのでずれたままでも溶接できるため溶接前の位置あわせ作業が簡易化することができる。
以上で説明したように、本発明によれば、小型高出力であるにも関わらず、冷却性が優れた回転電機の固定子を提供することができる。
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
10…回転電機、11…回転子、12…回転子鉄心、13…シャフト、18…永久磁石、20…固定子、28…セグメント導体、28B…脚部、28C…頭頂部、28E…端部、28E1ないし28E4…端部、28W1…接続部、28W2…接続部、40N1…中性点結線用導体、40N2…中性点結線用導体、41U1…口出し線、41U2…口出し線、41V1…口出し線、41V2…口出し線、41W1…口出し線、41W2…口出し線、42U…交流端子、42V…交流端子、42W…交流端子、50…ハウジング、60…固定子コイル、60U…U相コイル、60U1…U1相コイル、60U2…U2相コイル、60V1…V1相コイル、60V2…V2相コイル、60W1…W1相コイル、60W2…W2相コイル、61…反溶接側コイルエンド、62…溶接側コイルエンド、130…液冷ジャケット、132…固定子鉄心、144…軸受、145…軸受、150…冷媒油貯蔵空間、153…冷媒通路、154…冷媒通路、155…冷媒通路、156…磁気的空隙、160…補助磁極、200…溶接部、310…スロットライナー、420…スロット、430…ティース、440…コアバック、800…溶接部、810…磁石挿入孔、BAT…バッテリ、ENG…エンジン、FW…前輪側駆動輪、INV…電力変換装置、N1…中性点、N2…中性点、TR…変速機、RF…冷媒、RW…後輪側駆動輪。

Claims (6)

  1. 周方向に並んだ複数のスロットが形成された固定子鉄心と、
    前記固定子鉄心の前記スロット内に挿入された絶縁被膜付き固定子コイルと、を備え、
    前記固定子コイルは、複数のセグメントコイルを周方向に並べられて構成され、かつそれぞれが径方向の内径から外径に沿って並べられる第1層セグメント、第2層セグメント、第3層セグメント、及び第4層セグメントにより構成され、
    前記第1層セグメントと前記第2層セグメントは、周方向に第1ズレ量だけずれた状態で互いに接続され、
    前記第3層セグメントと前記第4層セグメントは、周方向に前記第1ズレ量とは異なるように設けられる第2ズレ量だけずれた状態で互いに接続される回転電機の固定子。
  2. 請求項1に記載の回転電機の固定子であって、
    前記固定子コイルは、冷媒として気体が用いられ、
    前記第1ズレ量は、前記第2ズレ量よりも大きい回転電機の固定子。
  3. 請求項1に記載の回転電機の固定子であって、
    前記固定子コイルは、冷媒として液体が用いられ、
    前記第2ズレ量は、前記第1ズレ量よりも大きい回転電機の固定子。
  4. 請求項1に記載の固定子を備える回転電機であって、
    前記固定子鉄心に対して所定隙間を介して回転可能に配置された回転子と、を備える回転電機。
  5. 請求項2に記載の固定子を備える回転電機であって、
    前記固定子鉄心に対して所定隙間を介して回転可能に配置された回転子と、を備える回転電機。
  6. 請求項3に記載の固定子を備える回転電機であって、
    前記固定子鉄心に対して所定隙間を介して回転可能に配置された回転子と、を備える回転電機。
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