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JP6716870B2 - 量子ドットシート、バックライト及び液晶表示装置 - Google Patents

量子ドットシート、バックライト及び液晶表示装置 Download PDF

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JP6716870B2 JP2015140812A JP2015140812A JP6716870B2 JP 6716870 B2 JP6716870 B2 JP 6716870B2 JP 2015140812 A JP2015140812 A JP 2015140812A JP 2015140812 A JP2015140812 A JP 2015140812A JP 6716870 B2 JP6716870 B2 JP 6716870B2
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Description

本発明は、量子ドットシート、バックライト及び液晶表示装置に関する。
液晶ディスプレイバックライト及び照明装置等の高発光効率化、高演色化に向けた開発が進んでいる。近年、このような発光装置を実現するため、一次光を生じる光源(青色光を放出する青色LED等)と、半導体微粒子からなる量子ドット蛍光体(以下、「量子ドット」と称す)とを組み合わせた発光装置の開発が行われている。
量子ドットは、例えば、CdSeであるコアとZnSであるシェルにより構成される半導体微粒子と、シェルの周辺を覆うリガンドにより構成されるナノサイズの化合物半導体微粒子である。量子ドットは、その粒子径が化合物半導体の励起子のボーア半径よりも小さいため、量子閉じ込め効果が現れる。そのため、量子ドットの発光効率は、従来用いられている希土類イオンを賦活剤とする蛍光体(希土類蛍光体)よりも高く、90%以上の高発光効率を実現することができる。
また、量子ドットの発光波長は、このように量子化された化合物半導体微粒子のバンドギャップエネルギーにより決まるため、量子ドットの粒径を変化させることで任意の発光波長、すなわち任意の発光スペクトルを得ることができる。これらの量子ドットを青色LED等と組み合わせることで、高発光効率で高演色性のバックライトを実現することが可能とされている(例えば、特許文献1〜3参照)。
量子ドットをバックライト装置に組み込む方式としては、光源中に量子ドットを組み込むオンチップ方式、量子ドットを収容した透明チューブを光源と導光板との間に配置するオンエッジ方式、および導光板の出光側や光源上に量子ドットを含むシート(量子ドットシート)を配置するオンサーフェス方式が知られている。
しかしながら、オンチップ方式においては、光源中に量子ドットを組み込むので、量子ドットが高温に晒されてしまい、量子ドットの変換効率が劣る。また、オンエッジ方式においては、量子ドットを収容した透明チューブを光源と導光板との間に配置するので、サイズが大きくなってしまう。特に、モバイル機器においては、小型化が要求されるので、オンエッジ方式では対応することが難しい。
一方、オンサーフェス方式においては、上記の問題がなく、また従来から用いられてきたバックライト装置を利用することも可能である。このようなことから、現在、オンサーフェス方式で量子ドットをバックライト装置に組み込むことが検討されている。
国際公開第2012/132239号 特開2015−18131号公報 特開2015−28139号公報
量子ドットは酸素や湿度に弱い。このため、オンサーフェス型のバックライトで用いられる量子ドットシートは、量子ドットを含有する層(量子ドット含有層)をバリア性フィルムで挟むなどした積層構造を有することが好ましい。
しかし、積層構造の量子ドットシートは、面内の輝度の均一性に欠ける場合があった。
本発明は、上記問題に鑑み、面内の輝度の均一性が良好である量子ドットシート、バックライト及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく本発明は、以下の[1]〜[9]の量子ドットシート、バックライト及び液晶表示装置を提供する。
[1]一次光を吸収して二次光を放出する量子ドット及びバインダー樹脂を含む量子ドット含有層と、前記量子ドット含有層の一方の面上に配置されてなる積層体Aと、前記量子ドット含有層の他方の面上に配置されてなる積層体Bとを有してなり、
前記積層体A及び前記積層体Bは、少なくともバリア層、光拡散層及び一以上の光透過性基材を有する構成であり、
前記量子ドット含有層を中心として厚み方向に上下対称の層構成となるように前記積層体A及び前記積層体Bが配置されてなる量子ドットシート。
[2]前記量子ドット含有層は、接着剤層を介することなく前記積層体A及び前記積層体Bに密着してなる上記[1]に記載の量子ドットシート。
[3]前記バインダー樹脂は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物を含む組成物の硬化物である上記[1]又は[2]に記載の量子ドットシート。
[4]前記電離放射線硬化性官能基を有する化合物中に、単官能モノマーを40質量%以上含む上記[3]に記載の量子ドットシート。
[5]前記量子ドットシートの両表面のJIS B0601:2001に準拠するカットオフ値0.8mmの算術平均粗さRaが0.1〜10μmである上記[1]〜[4]の何れかに記載の量子ドットシート。
[6]一次光を放出する少なくとも1つの光源と、前記光源に隣接して配置され、導光又は拡散のための光学板と、前記光学板の光出射側に配置された量子ドットシートとを備えたバックライトにおいて、前記量子ドットシートが上記[1]〜[5]の何れかに記載の量子ドットシートであるバックライト。
[7]バックライト及び液晶パネルを備えた液晶表示装置であって、前記バックライトが上記[6]に記載のバックライトである液晶表示装置。
[8]以下の(a)〜(c)の工程を順に行う量子ドットシートの製造方法。
(a)少なくともバリア層、光拡散層及び一以上の光透過性基材を積層し、積層体A及び積層体Bを得る工程。
(b)積層体A及び積層体Bの何れか一方の積層体の一方の面に、一次光を吸収して二次光を放出する量子ドット及びバインダー樹脂成分を含む量子ドット含有層塗布液を塗布し、量子ドット含有層を形成する工程。
(c)工程(b)で量子ドット含有層を形成していない積層体と、工程(b)で量子ドット含有層を形成した積層体の量子ドット含有層側の面とを、量子ドット含有層を中心として厚み方向に上下対称の層構成となるように貼り合わせる工程。
[9]前記工程(c)において、量子ドット含有層を形成していない積層体と、工程(b)で量子ドット含有層を形成した積層体の量子ドット含有層側の面とを、接着剤層を介することなく貼り合わせる、上記[8]に記載の量子ドットシートの製造方法。
本発明の量子ドットシート、バックライト及び液晶表示装置は、面内の輝度の均一性を良好にすることができる。
本発明の量子ドットシートの一実施形態を示す断面図である。 本発明の量子ドットシートの他の実施形態を示す断面図である。 本発明のバックライトの一実施形態を示す断面図である。 本発明のバックライトの他の実施形態を示す断面図である。 本発明の液晶表示装置の一実施形態を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を説明する。
[量子ドットシート]
本発明の量子ドットシートは、一次光を吸収して二次光を放出する量子ドット及びバインダー樹脂を含む量子ドット含有層と、前記量子ドット含有層の一方の面上に配置されてなる積層体Aと、前記量子ドット含有層の他方の面上に配置されてなる積層体Bとを有してなり、
前記積層体A及び前記積層体Bは、少なくともバリア層、光拡散層及び一以上の光透過性基材を有する構成であり、
前記量子ドット含有層を中心として厚み方向に上下対称の層構成となるように前記積層体A及び前記積層体Bが配置されてなるものである。
図1及び図2は、本発明の量子ドットシートの実施の形態を示す断面図である。本発明の量子ドットシートは、図1及び図2のように、量子ドット含有層を中心として厚み方向に上下対称の層構成となるように積層体A及び積層体Bが配置されてなるものである。
通常、積層構造の量子ドットシートは、以下の(1)〜(3)の工程により製造される。
(1)積層体A及び積層体Bを作製する工程、(2)積層体Aに量子ドット含有層を形成する工程、(3)量子ドット含有層を形成した積層体Aと、積層体Bとを接着剤層を介して貼り合わせる工程
上記(1)〜(3)の工程により製造された量子ドットシートは、量子ドット含有層に接する接着剤層が一方の側のみに形成されているため、量子ドット含有層を中心として厚み方向に上下対称の層構成とはならない。
一方、本発明では、図1及び図2のように、量子ドット含有層を中心として厚み方向に上下対称の層構成としている。かかる構成をとることで、本発明の量子ドットシートは、面内の輝度の均一性を良好にすることができる。この理由は以下のように考えられる。
まず、量子ドットシートを上下対称の層構成とすることにより、量子ドットシートの各層の伸縮による歪みを均等に分散させることができる。歪みを均等に分散させると、量子ドットシートの平面性を良好にできるとともに、量子ドットシートに存在する複数の界面(例えば、量子ドット含有層と光透過性基材との界面)のうちの特定の界面に歪みが集中することを防止できる。
量子ドットシートの平面性が良好な場合、後述する光学板と量子ドットシートとの間で漏れる光の量を減少させたり、量子ドットシートから出射する光の角度が本来よりも高角度となることを防止することができる。この結果、量子ドットシートの面内の輝度の均一性を良好にすることができる。
また、量子ドットシートに存在する複数の界面のうちの特定の界面に歪みが集中することを防止した場合、該界面の剥離を防止することができる。界面の剥離は諸機能の低下につながる。したがって、量子ドットシートを上下対称の層構成とすることにより、量子ドットシートの初期段階及び経時的な機能低下も抑制できる。
なお、厚み方向に上下対称の層構成とは、上下で層の数、層の種類が同一であるとともに、各層の厚みが略同一であることをいう。厚みが略同一と言えるためには、対象の関係にある上下の層の厚みの比が0.95〜1.05の範囲であることが好ましく、0.97〜1.03の範囲であることがより好ましい。
各層の厚みは、例えば、走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した断面の画像から20箇所の厚みを測定し、20箇所の値の平均値から算出できる。STEMの加速電圧は10kv〜30kV、倍率は1000〜7000倍とすることが好ましい。なお、厚みがナノオーダーの場合は、STEMの倍率は5万〜30万倍とすることが好ましい。
また、対称の関係にある層同士は組成も略同一であることが好ましい。例えば、積層体Aの光拡散層と、積層体Bの光拡散層とは組成が略同一であることが好ましい。組成が略同一と言えるためには、層の構成成分の90質量%以上が同一であることが好ましく、95質量%以上が同一であることがより好ましく、99質量%以上が同一であることがさらに好ましい。
量子ドット含有層
量子ドット含有層は、一次光を吸収して二次光を放出する量子ドット及びバインダー樹脂を含むものである。
量子ドットとしては、青に相当する波長の一次光を吸収して赤に相当する波長の二次光を放出する第1量子ドット、及び青に相当する波長の一次光を吸収して緑に相当する波長の二次光を放出する第2量子ドットの少なくとも一種を含むことが好ましく、前記第1量子ドット及び前記第2量子ドットの両方を含むことがより好ましい。
青に相当する波長の一次光は、ピーク波長が380〜480nmの範囲であることが好ましく、ピーク波長が450nmであることがより好ましい。また、緑に相当する波長の二次光は、ピーク波長が495〜570nmの範囲であることが好ましく、ピーク波長が528nmであることがより好ましい。赤に相当する波長の二次光は、ピーク波長が620〜750nmの範囲であることが好ましく、ピーク波長が637nmであることがより好ましい。
量子ドット(第1量子ドット及び第2量子ドット)について、以下に説明する。
量子ドット(Quantum dot)は、半導体のナノメートルサイズの微粒子で、電子や励起子がナノメートルサイズの小さな結晶内に閉じ込められる量子閉じ込め効果(量子サイズ効果)により、特異的な光学的、電気的性質を示し、半導体ナノ粒子とか、半導体ナノ結晶とも呼ばれるものである。
量子ドットは、半導体のナノメートルサイズの微粒子であり、量子閉じ込め効果(量子サイズ効果)を生じる材料であれば特に限定されない。例えば、既に述べたような、自らの粒径によって発光色が規制される半導体微粒子と、ドーパントを有する半導体微粒子がある。本発明における量子ドットとしては、自らの粒径によって発光色が規制される半導体微粒子及びドーパントを有する半導体微粒子のいずれも用いることができ、共に優れた色純度を得ることができる。
量子ドットは、その粒径により発光色を異にするものであり、例えば、CdSeからなるコアのみから構成される量子ドットの場合、粒径が2.3nm、3.0nm、3.8nm、4.6nmの時の蛍光スペクトルのピーク波長は、528nm、570nm、592nm、637nmである。つまり、ピーク波長637nmの二次光を放出する量子ドットの粒径は4.6nmであり、ピーク波長528nmの二次光を放出する量子ドットの粒径は2.3nmである。
なお、量子ドット含有層中に、赤に相当する波長の二次光を放出する量子ドット、及び緑に相当する波長の二次光を放出する量子ドット以外の量子ドットを含有してもよい。
量子ドットの含有量は、量子ドット含有層の厚み、バックライトにおける光のリサイクル率、目的とする色味等に応じて適宜調整する。量子ドット含有層の厚みが後述する範囲であれば、量子ドット含有層のバインダー樹脂100質量部に対して、量子ドットの含有量は、0.01〜1.0質量部程度である。
量子ドットのコアとなる材料として具体的には、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe及びHgTeのようなII−VI族半導体化合物、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaAs、GaP、GaN、GaSb、InN、InAs、InP、InSb、TiN、TiP、TiAs及びTiSbのようなIII−V族半導体化合物、Si、Ge及びPbのようなIV族半導体、等の半導体化合物又は半導体を含有する半導体結晶を例示できる。また、InGaPのような3元素以上を含んだ半導体化合物を含む半導体結晶を用いることもできる。
さらに、ドーパントを有する半導体微粒子からなる量子ドットとしては、上記半導体化合物に、Eu3+、Tb3+、Ag、Cuのような希土類金属のカチオン又は遷移金属のカチオンをドープしてなる半導体結晶を用いることもできる。
量子ドットのコアとなる材料としては、作製の容易性、可視域での発光を得られる粒径の制御性、蛍光量子収率の観点から、CdS、CdSe、CdTe、InP、InGaP等の半導体結晶が好適である。
量子ドットは、1種の半導体化合物からなるものであっても、2種以上の半導体化合物からなるものであってもよく、例えば、半導体化合物からなるコアと、該コアと異なる半導体化合物からなるシェルとを有するコアシェル型構造を有していてもよい。
コアシェル型の量子ドットを用いる場合にシェルを構成する半導体としては、励起子がコアに閉じ込められるように、コアを形成する半導体化合物よりもバンドギャップの高い材料を用いることで、量子ドットの発光効率を高めることができる。
このようなバンドギャップの大小関係を有するコアシェル構造(コア/シェル)としては、例えば、CdSe/ZnS、CdSe/ZnSe、CdSe/CdS、CdTe/CdS、InP/ZnS、Gap/ZnS、Si/ZnS、InN/GaN、InP/CdSSe、InP/ZnSeTe、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnS、Si/AlP、InP/ZnSTe、InGaP/ZnSTe、InGaP/ZnSSe等が挙げられる。
量子ドットのサイズは、所望の波長の光が得られるように、量子ドットを構成する材料によって適宜制御すればよい。量子ドットは粒径が小さくなるに従い、エネルギーバンドギャップが大きくなる。すなわち、結晶サイズが小さくなるにつれて、量子ドットの発光は青色側へ、つまり、高エネルギー側へとシフトする。そのため、量子ドットのサイズを変化させることにより、紫外領域、可視領域、赤外領域のスペクトルの波長全域にわたって、その発光波長を調節することができる。
一般的には、量子ドットの粒径(直径)は0.5〜20nmの範囲であることが好ましく、特に1〜10nmの範囲であることが好ましい。なお、量子ドットのサイズ分布が狭いほど、より鮮明な発光色を得ることができる。
量子ドットの形状は特に限定されず、例えば、球状、棒状、円盤状、その他の形状であってもよい。量子ドットの粒径は、粒子ドットが球状でない場合、同体積を有する真球状の値とすることができる。
量子ドットは、樹脂で被覆されているものであってもよい。また、量子ドット含有層のバインダー樹脂の屈折率をnと、量子ドットを被覆する樹脂(被覆樹脂)の屈折率をnとした際に、n/nが1.02以上又は0.98以下の関係を満たすことが好ましい。樹脂で被覆された量子ドットは、量子ドットの耐久性を向上することができる。また、バインダー樹脂の屈折率と被覆樹脂の屈折率とが前記関係を満たすことにより、樹脂で被覆された量子ドットは、後述する内部拡散粒子の作用を奏する。
なお、本発明において、屈折率は波長450nmの光によるものとする。
量子ドットの粒径、形状、分散状態等の情報については、透過型電子顕微鏡(TEM)により得ることができる。また、量子ドットの結晶構造、粒径については、X線結晶回折(XRD)により得ることができる。さらには、紫外−可視(UV−Vis)吸収スペクトルによって、量子ドットの粒径、表面に関する情報を得ることもできる。
量子ドット含有層のバインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられる。これらの中でも、耐久性の観点から、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましく、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物がより好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられ、その中でもエチレン性不飽和結合基が好ましい。また、エチレン性不飽和結合基の中でも(メタ)アクリレート基が好ましい。以下、(メタ)アクリロイル基を有する電離放射線硬化性化合物を(メタ)アクリレート系化合物と称する。
なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。また、本明細書において、「電離放射線」は、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
電離放射線硬化性化合物は、上記官能基を1つのみ有する単官能の電離放射線硬化性化合物であってもよく、上記官能基を2つ以上有する多官能の電離放射線硬化性化合物であってもよく、これらの混合物であってもよい。
また、電離放射線硬化性化合物は、モノマーであってもよく、オリゴマーであってもよく、低分子量のポリマーであってもよく、これらの混合物であってもよい。
電離放射線硬化性化合物の中でも単官能モノマーは、重合収縮を抑制して量子ドットシートの平面性を良好にし得るとともに、量子ドット含有層の密着性を向上して量子ドットシートの初期段階及び経時的な機能低下を抑制する点で好適である。特に、量子ドット含有層の厚みが厚い場合、単官能モノマーを用いた場合の前記効果が顕著となる。
また、単官能モノマーを用いて量子ドット含有層の密着性が向上すると、接着剤層を介することなく、量子ドット含有層を積層体A及び積層体Bに密着させることが可能となる。つまり、単官能モノマーを用いて量子ドット含有層の密着性を向上させることにより、量子ドットシートの構成を、量子ドット含有層を中心として厚み方向に上下対称の構成としやすくできる。また、接着剤層を介することなく、量子ドット含有層を積層体A及び積層体Bに密着させることにより、量子ドットの耐湿性及び耐酸素性を向上することができる。
全電離放射線硬化性化合物中における単官能モノマーの割合は40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることがよりさらに好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
また、量子ドットは湿度に弱いことから、電離放射線硬化性化合物としては、分子中に水酸基を有さないものを主成分として用いることが好ましい。具体的には、全電離放射線硬化性化合物に対する分子中に水酸基を有さない電離放射線硬化性化合物の割合が80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。
分子中に水酸基を含まない電離放射線硬化性化合物としては、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート系化合物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート系化合物等が挙げられる。
また、電離放射線硬化性化合物は、疎水性を高めて量子ドットの耐湿性を向上する観点から、総炭素数が8以上であることが好ましい。耐湿性に加えて量子ドット含有層の密着性を考慮すると、電離放射線硬化性化合物の総炭素数は、8〜20であることがより好ましい。例えば、総炭素数が8〜20の単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、電離放射線硬化性化合物の分子量は、100〜2000であることが好ましく、120〜1000であることがより好ましく、150〜500であることがさらに好ましい。電離放射線硬化性化合物の分子量が100以上であると、製造時の液垂れを防止しやすくすることができ、分子量が2000以下であると、後述する工程(c)の貼り合わせ時の圧力で量子ドット含有層の厚みを均一化しやすくできる。
電離放射線硬化性化合物として単官能モノマーを用いる場合、製造時の液垂れ防止、量子ドット含有層の厚みの均一化、及び量子ドット含有層の密着性の観点から、単官能モノマーの分子量は、100〜500であることが好ましく、120〜400であることがより好ましく、150〜250であることがさらに好ましい。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性組成物は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
これら光重合開始剤は、融点が20℃以下であることが好ましい。融点が20℃以下の場合、製造時に上記の電離放射線硬化性化合物に添加する際に、室温下で容易に溶解させることができるためである。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
内部拡散粒子
量子ドット含有層中には、内部拡散粒子を含んでいてもよい。内部拡散粒子を含有することにより、以下の理由により、一次光を均等拡散に近づけることができ、色味の角度依存性を抑制できる。
量子ドットシートから出射される光のうち、二次光は均等拡散である一方、一次光は指向性を有している。このため、一次光を均等拡散に近づけることは、色味の角度依存性の抑制につながる。また、指向性は強い拡散によって均等拡散に近づけることができ、内部拡散粒子による拡散は、大きな角度にまで光を拡散させることができる。したがって、内部拡散粒子を含有することは、色味の角度依存性の抑制につながる。
また、均等拡散である二次光は高角度まで多くの割合の光が拡散し、量子ドットシートのエッジ領域から光が漏れやすい一方で、一次光は高角度の拡散光の割合が少なく、エッジ領域から光が漏れにくい。このため、エッジ領域は一次光の割合が多くなり、一次光の色味(一次光が青色の場合は青味)を帯びやすくなるが、量子ドット含有層中に内部拡散粒子を含有することにより、エッジ領域が一次光の色味を帯びにくくすることができる。
内部拡散粒子は、有機粒子及び無機粒子の何れも用いることができる。有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル−スチレン共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂及びポリエステル等からなる粒子が挙げられる。無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア及びチタニア等からなる微粒子が挙げられる。
内部拡散粒子の形状は、球形、円盤状、ラグビーボール状、不定形等の形状が挙げられる。
また、内部拡散粒子は、中空粒子、多孔質粒子及び中実粒子の何れであってもよい。
また、内部拡散粒子は、バインダー樹脂の屈折率をn、内部拡散粒子の屈折率をnとした際に、n/nが1.02以上又は0.98以下となるものを用いることが好ましい。n/nは、バインダー樹脂と内部拡散粒子との相対屈折率であり、n/nを1.02以上又は0.98以下とすることにより、高角度にまで光を拡散し、色味の角度依存性を抑制しやすくできる。また、n/nを1.02以上又は0.98以下とすることにより、一次光が量子ドットに衝突する確率が上がり、量子ドットの使用量を少なくすることができる。
/nは、強い拡散性、偏光板の光漏れの抑制、及び正面輝度のバランスの観点から、1.10以上又は0.95以下であることがより好ましく、又は1.15以上又は0.90以下であることが更に好ましい。
内部拡散粒子の屈折率はベッケ法、バインダー樹脂の屈折率はアッベ法で測定することができる。
内部拡散粒子の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、1〜40質量部であることが好ましく、3〜30質量部であることがより好ましい。内部拡散粒子の含有量を前記範囲とすることにより、高角度まで光を拡散する一方で、偏光板の光漏れ及び正面輝度の低下を抑制できる。
内部拡散粒子の平均粒子径は、含有量当たりの粒子数を増やして拡散の均一性を図る観点から、10μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。なお、内部拡散粒子の平均粒子径の下限は、0.1μm程度である。
内部拡散粒子の平均粒子径は、以下の(1)〜(3)の作業により算出できる。
(1)光学顕微鏡にて量子ドット含有層の透過観察画像を撮像する。倍率は500〜2000倍が好ましい。
(2)観察画像から任意の10個の粒子を抽出し、個々の粒子の長径及び短径を測定し、長径及び短径の平均から個々の粒子の粒子径を算出する。長径は、個々の粒子の画面上において最も長い径とする。また、短径は、長径を構成する線分の中点に直交する線分を引き、該直交する線分が粒子と交わる2点間の距離をいうものとする。
(3)同じサンプルの別画面の観察画像において同様の作業を5回行って、合計50個分の粒子径の数平均から得られる値を内部拡散粒子の平均粒子径とする。
後述する光拡散層の拡散粒子の平均粒子径も、上記作業にならって算出できる。
量子ドット含有層の厚みは、10〜200μmであることが好ましく、20〜150μmであることがより好ましく、30〜130μmであることがさらに好ましい。量子ドット含有層の厚みがこの範囲であれば、表示装置の軽量化および薄膜化に適しており、また、量子ドット含有層の厚みの振れ(製造公差)による色ムラを抑制できる。
量子ドット含有層は、接着剤層を介することなく積層体A及び積層体Bに密着してなることが好ましい。かかる構成とすることにより、量子ドットシートの構成を、量子ドット含有層を中心として厚み方向に上下対称の構成としやすくできるとともに、量子ドットの耐湿性及び耐酸素性を向上しやすくできる。
積層体A及び積層体Bの量子ドット含有層と密着する側の面は、量子ドットの耐湿性及び耐酸素性を向上する観点から、光透過性基材又はバリア層であることが好ましい。
積層体A及び積層体B
積層体A及び積層体Bは、少なくともバリア層、光拡散層及び一以上の光透過性基材を有する構成である。
積層体A及び積層体Bは、量子ドットシートとした際に、量子ドット含有層を中心として、厚み方向に上下対称の層構成となるようにする。
厚み方向に上下対称の層構成とは、層の数が同一であるとともに、対称となる層の厚み及び組成が略同一であることをいう。このため、積層体A及び積層体Bは、層の数が同一であるとともに、対称となる層の厚み及び組成を略同一とする。
光透過性基材
積層体A及び積層体Bの光透過性基材は、図1のように一枚のみであってもよいし、図2のように二枚以上であってもよい。
光透過性基材は特に制限されないが、耐熱性を有し、平滑性、コシ、機械的強度に優れたものであることが好ましい。このような透明基材としては、ポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、アクリル、ポリカーボネート、ポリウレタン及び非晶質オレフィン(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)等のプラスチックフィルムが挙げられる。
上記の中でも、機械的強度、寸法安定性及び耐熱性の観点からは、延伸加工、特に二軸延伸加工されたポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)が好ましい。
光透過性基材の厚みは、機械的強度、コシ及び薄膜化のバランスの観点から、10〜200μmが好ましく、20〜150μmがより好ましく、30〜100μmがさらに好ましい。積層体A及び積層体Bが二枚以上の光透過性基材を有する場合、各光透過性基材の厚みが前記範囲であることが好ましい。
光透過性基材の表面には、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理の他、アンカー剤又はプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行ってもよい。
バリア層
バリア層は、量子ドットの耐湿性及び耐酸素性を向上する役割を有する。
積層体A及び積層体Bにおけるバリア層の位置は特に制限されないが、量子ドットシートとした際に、光拡散層よりも量子ドット含有層側の位置とすることが好ましい。
バリア層としては、無機物又は無機酸化物からなるものであることが好ましく、無機物もしくは無機酸化物の蒸着膜、無機アルコキシドの加水分解膜が挙げられる。耐湿性及び耐酸素性の観点からは、バリア層は、無機物もしくは無機酸化物の蒸着膜であることが好ましい。
バリア層は、公知の無機物、無機酸化物及び無機アルコキシド等を用いて、公知の方法により形成することができ、その組成及び形成方法は特に限定されない。バリア層は、単層でもよく、2層以上有してもよい。バリア層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
蒸着膜の材料は、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の無機物、または、これらの酸化物等、さらにはこれらに有機物が配合されたものが挙げられる。
加水分解膜の材料である無機アルコキシドは、金属アルコキシドともよばれるものであり、テトラアルコキシシラン等のケイ素アルコキシド、チタンアルコキシド、アルミニウムアルコキシド等が挙げられる。
バリア層の厚みは、耐湿性、耐酸素性、ひび割れ抑制及び光透過性のバランスの観点から、5〜1000nmであることが好ましく、10〜700nmであることがより好ましく、10〜500nmであることがさらに好ましい。バリア層が蒸着膜の場合、バリア層の厚みは、5〜30nmであることが好ましく、7〜25nmであることがより好ましく、10〜20nmであることがさらに好ましい。
バリア層としての蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法及びイオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法及び光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD法)等が挙げられる。
光拡散層
光拡散層は、量子ドットシートの拡散を強くして色味の角度依存性を抑制する役割を有する。
光拡散層は、量子ドットシートの最外層あるいは最外層と同一視できる位置に配置することが好ましい。最外層と同一視できる位置とは、光拡散層の表面凹凸に実質的な影響を与えないような薄膜(厚み100nm以下の層)が光拡散層上に形成されている際の光拡散層の位置をいう。
光拡散層は、表面凹凸による外部拡散を有するものが好ましい。かかる光拡散層を最外層あるいは最外層と同一視できる位置に配置することにより、量子ドットシートと接触する部材(輝度向上シート等)との密着を防止できる。
光拡散層は、例えば、バインダー樹脂及び拡散粒子から形成できる。
光拡散層のバインダー樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられる。これらの中でも、耐擦傷性の観点から、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましく、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物がより好ましい。
熱硬化性樹脂組成物及び電離放射線硬化性樹脂組成物は、量子ドット含有層で例示したものと同様のものを用いることができる。
拡散粒子の平均粒子径と、光拡散層の厚みとの比(拡散粒子の平均粒子径/光拡散層の厚み)は、0.10〜2.00であることが好ましく、0.15〜1.50であることがより好ましく、0.20〜1.00であることがさらに好ましい。
光出射面側の光拡散層の拡散粒子の平均粒子径と、光拡散層の厚みとの比を0.10以上とすることにより、強い外部拡散を付与することができる。また、光入射面側の光拡散層の拡散粒子の平均粒子径と、光拡散層の厚みとの比を0.10以上とすることにより、再帰反射性が付与され、光のリサイクル率が高まり、量子ドットの含有量を少なくすることが可能となる。また、拡散粒子の平均粒子径と、光拡散層の厚みとの比を2.00以下とすることにより、光拡散層において拡散粒子を十分に保持できる。
また、上記の比に基づく効果を得やすくする観点から、光拡散層の拡散粒子の平均粒子径は、1〜20μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。
拡散粒子は、有機粒子及び無機粒子の何れも用いることができ、量子ドット含有層の内部拡散粒子として例示したものと同様のものを使用できる。
光拡散層の厚みは、拡散粒子の保持力及び外部拡散性の観点から、1〜30μmであることが好ましく、3〜20μmであることがより好ましい。
光拡散層の拡散粒子は、拡散性と塗膜強度のバランスの観点から、バインダー樹脂100質量部に対して、10〜200質量部であることが好ましく、30〜170質量部であることがより好ましく、50〜150質量部であることがさらに好ましい。
接着剤層
積層体A及び積層体Bを構成する各層を積層するため、各層の間に接着剤層を介在させてもよい。例えば、図2では、光透過性基材とバリアフィルムとの間、バリアフィルムと拡散フィルムとの間に接着剤層を有している。
接着剤層は、汎用の感圧型接着剤(粘着剤)、熱硬化型接着剤、電離放射線硬化型接着剤から形成することができる。
接着剤層の厚みは、接着力及び薄膜化の観点から、0.5〜20μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。
量子ドットシートは、反射防止層、帯電防止層等の上記以外の機能層を有していてもよい。
量子ドットシートの総厚みは特に限定されないが、100〜700μm程度である。
量子ドットシートの製造方法
量子ドットシートの製造方法は特に限定されないが、例えば、以下の(a)〜(c)の順で製造することができる。
(a)少なくともバリア層、光拡散層及び一以上の光透過性基材を積層し、積層体A及び積層体Bを得る工程。
(b)積層体A及び積層体Bの何れか一方の積層体の一方の面に、一次光を吸収して二次光を放出する量子ドット及びバインダー樹脂成分を含む量子ドット含有層塗布液を塗布し、量子ドット含有層を形成する工程。
(c)工程(b)で量子ドット含有層を形成していない積層体と、工程(b)で量子ドット含有層を形成した積層体の量子ドット含有層側の面とを、量子ドット含有層を中心として厚み方向に上下対称の層構成となるように貼り合わせる工程。
工程(a)で作製する積層体Aと積層体Bとは、層の数が同一であり、対称となる層の厚み及び組成が略同一のものである。
工程(b)のバインダー樹脂成分は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、及び電離放射線硬化性樹脂組成物の何れか、あるいはこれらの混合物を用いることができる。
工程(c)において、工程(b)で量子ドット含有層を形成していない積層体と、工程(b)で量子ドット含有層を形成した積層体の量子ドット含有層側の面とを貼り合わせる際は、図1〜2のように、量子ドット含有層を中心として厚み方向に上下対称の構成とする観点から、接着剤層を介することなく貼り合わせることが好ましい。
工程(b)のバインダー樹脂成分が電離放射線硬化性樹脂組成物である場合、工程(c)で接着剤層を介することなく2つの積層体を貼り合わせるためには、以下の手法を採用することが好ましい。
第一に、電離放射線硬化性樹脂組成物が単官能モノマーを含むことが好ましい。
第二に、工程(b)で量子ドット含有層を形成する際に、電離放射線を照射しないか、電離放射線の照射量を抑制して電離放射線硬化性樹脂組成物に未硬化の部分を残しておき、工程(c)の後に電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化を進行させることが好ましい。
第一の手法及び第二の手法を組み合わせると、工程(c)において接着剤層を介することなく2つの積層体を貼り合わせる作業性がより向上する点で好ましい。
透過率
本発明の量子ドットシートのJIS K7361−1:1997の全光線透過率は特に限定されないが、通常は40%以上程度である。
表面粗さ
本発明の量子ドットシートは、両表面の算術平均粗さRaが0.1〜10μmであることが好ましく、0.2〜8μmであることがより好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましい。量子ドットシートの両表面のRaは略同一であることが好ましい。具体的には、積層体A側の表面のRaをRa、積層体B側の表面のRaをRaとした場合、Ra/Raが0.9〜1.1の範囲内であることが好ましい。
Raを0.1μm以上とすることにより、量子ドットシートと接触する部材との密着を防止できる。量子ドットシートと接触する部材とは、例えば、量子ドットシートの光出射側に位置するプリズムシート、量子ドットシートの光入射側に位置する導光又は拡散のための光学板が挙げられる。また、Raを10μm以下とすることにより、偏光板の光漏れ及び正面輝度の低下を抑制できる。
また、拡散の強さを制御することによって、色味の角度依存性の抑制、エッジ領域の色味の抑制、偏光板の光漏れ、及び正面輝度の低下の抑制のバランスを図る観点からは、Raは0.5〜10μmであることが好ましく、1〜5μmであることがより好ましい。また、光入射面側のRaを1μm以上とすることにより、再帰反射性が付与され、光のリサイクル率が高まり、量子ドットの含有量を少なくすることが可能となる。
なお、Ra及び後述するRzJISは、JIS B0601:2001に準拠するものであり、カットオフ値0.8mmで20回測定した際の平均値である。
本発明の量子ドットシートは、両表面の十点平均粗さRzJISが0.1〜20μmであることが好ましく、0.2〜10μmであることがより好ましく、0.5〜8μmであることがさらに好ましい。量子ドットシートの両表面のRzJISは略同一であることが好ましい。具体的には、積層体A側の表面のRzJISをRz、積層体B側の表面のRzJISをRzとした場合、Rz/Rzが0.9〜1.1の範囲内であることが好ましい。
RzJISが上記範囲を満たすことは、量子ドットシートの表面粗さが一定のランダム性を有しつつ、かつ粗さに極端な偏りがないことを示している。したがって、RzJISが上記範囲を満たすことにより、拡散の偏りを低減するとともに、局所的な密着を防止することができる。
また、拡散の強さを制御することによって、色味の角度依存性の抑制、エッジ領域の色味の抑制、偏光板の光漏れ、及び正面輝度の低下の抑制のバランスを図る観点からは、RzJISは1〜10μmであることが好ましく、2〜8μmであることがより好ましい。
Ra及びRzJISを上記範囲とするには、量子ドットシートの最表面に後述する光拡散層を位置させればよい。
[バックライト]
本発明のバックライトは、一次光を放出する少なくとも1つの光源と、前記光源に隣接して配置され、導光又は拡散のための光学板と、前記光学板の光出射側に配置された量子ドットシートとを備えたバックライトにおいて、前記量子ドットシートが上述した本発明の量子ドットシートであるものである。
本発明のバックライトとしては、一例として、図3に示すようなエッジライト型のバックライト、あるいは、図4に示すような直下型のバックライトを採用することができる。
図3のエッジライト型のバックライトに用いられる光学板120は、光源110で放出された一次光を導光するための光学部材であり、いわゆる導光板である。導光板は、例えば、少なくとも一つの面を光入射面とし、これと略直交する一方の面を光出射面とするように成形された略平板状の形状からなる。
導光板は、主としてポリメチルメタクリレート等の高透明な樹脂から選ばれるマトリックス樹脂からなる。導光板は、必要に応じてマトリックス樹脂と屈折率の異なる樹脂粒子が添加されていてもよい。導光板の各面は、一様な平面ではなく複雑な表面形状をしているものであってもよく、ドットパターン等が設けられていてもよい。
図4の直下型のバックライトに用いられる光学板120は、光源110のパターンを見えにくくするための光拡散性を有する光学部材(光拡散材)である。光拡散材としては、例えば、厚み1〜3mm程度の乳白色の樹脂板が挙げられる。
エッジライト型及び直下型のバックライトには、上述した光源、光学板及び量子ドットシートの他に、目的に応じて、反射板、光拡散フィルム、プリズムシート、輝度上昇フィルム(BEF)及び反射型偏光フィルム(DBEF)等から選ばれる一種以上の部材を備えていてもよい。反射板は、光学板の光出射面側と反対側に配置される。光拡散フィルム、プリズムシート、輝度上昇フィルム及び反射型偏光フィルムは、光学板の光出射面側に配置される。反射板、光拡散フィルム、プリズムシート、輝度上昇フィルム及び反射型偏光フィルム等から選ばれる一種以上の部材を備える構成とすることで、正面輝度、視野角等のバランスに優れたバックライトとすることができる。
エッジライト型及び直下型のバックライトにおいて、光源110は、一次光を放出する発光体であり、青に相当する波長の一次光を放出する発光体を用いることが好ましい。青に相当する波長の一次光は、ピーク波長が380〜480nmの範囲であることが好ましく、ピーク波長が450nmであることがより好ましい。光源110としては、バックライトを設置する装置が単純化及び小型化できるという観点から、LED光源であることが好ましく、青色単色のLED光源であることがより好ましい。光源110は、少なくとも1つであり、十分な一次光を放出するという観点から、複数個であることが好ましい。
なお、量子ドットシートの量子ドット含有層中に、第1量子ドット及び第2量子ドットの一方のみを含有する場合、青に相当する波長の一次光を放出する発光体からなる一次光源に加えて、補助光源を有することが好ましい。具体的には、量子ドット含有層中に第1量子ドットのみを含有する場合には、緑色に相当する波長の光を放出する発光体を補助光源として用いることが好ましい。また、量子ドット含有層中に第2量子ドットのみを含有する場合には、赤色に相当する波長の光を放出する発光体を補助光源として用いることが好ましい。
本発明のバックライトは、上述した本発明の量子ドットシートを用いていることから、バックライトのエッジ領域の色味、及び色味の角度依存性を改善することができる。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、バックライト及び液晶パネルを備えた液晶表示装置であって、前記バックライトが上述した本発明のバックライトであるものである。
図5は、本発明の液晶表示装置の実施の形態を示す断面図である。図5の液晶表示装置300は、バックライト200と、液晶パネル210とを備えている。また、バックライト200及び液晶パネル210は、ホルダ220に組み込まれて固定されている。
液晶パネルは、偏光板(図示せず)及びカラーフィルター(図示せず)等を備える。液晶パネルは、特に限定されず、一般的に液晶表示装置の液晶パネルとして公知のものを用いることができる。例えば、液晶層の上下をガラス板で挟んだ一般的な構造を有する液晶パネル、具体的には、TN、STN、VA、IPS及びOCB等の表示方式のものを用いることができる。
偏光板は、所望の偏光特性を備えるものであれば特に限定されず、一般的に液晶表示装置の偏光板として公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、ポリビニルアルコールフィルムが延伸されてなり、ヨウ素を含有する偏光板が好適に用いられる。
カラーフィルターとしては、特に限定されず、例えば、一般的に液晶表示装置のカラーフィルターとして公知のものを用いることができる。カラーフィルターは、通常、赤色、緑色及び青色の各色の透明着色パターンから構成され、それら各透明着色パターンは、着色剤が溶解又は分散、好ましくは顔料微粒子が分散された樹脂組成物から構成される。
カラーフィルターの形成方法は、所定の色に着色したインキ組成物を調整して、着色パターン毎に印刷することによって形成する方法や、所定の色の着色剤を含有した塗料タイプの感光性樹脂組成物を用いて、フォトリソグラフィ法によって形成する方法が挙げられる。
液晶表示装置の表示画像は、バックライトから照射された白色光がカラーフィルターを透過することでカラー表示される。液晶表示装置は、量子ドットによるバックライトのスペクトルと適合するカラーフィルターを用いることで、明るさと効率に優れ、非常に鮮明な色を生成するディスプレイを実現することができる。
液晶パネルは、カラーフィルター上に任意の層が単層又は複層形成された構成であってもよい。上記任意の層としては特に限定されず、例えば、タッチパネル用センサー層、ハードコート層、帯電防止層、低屈折率層、高屈折率層、防眩層、防汚層、反射防止層、高誘電体層、電磁波遮蔽層、接着剤層等が挙げられる。
本発明の液晶表示装置は、上述した本発明のバックライトを用いていることから、表示画像のエッジ領域の色味、及び色味の角度依存性を改善することができる。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は特に断りのない限り質量基準とする。また、屈折率は特に断りのない限り波長450nmの屈折率とする。
1.量子ドットシートの物性測定及び評価
以下のように、実施例及び比較例の量子ドットシート及び液晶表示装置の物性測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
1−1.表面粗さ
表面粗さ測定器(型番:SE−3400/小坂研究所株式会社製)を用いて、JIS B0601:2001に準拠して、下記の測定条件により、量子ドットシートの両表面のRa及びRzJISを測定した。20回測定した際の平均値を表1に示す。
[表面粗さ検出部の触針]
小坂研究所社製の商品名SE2555N(先端曲率半径:2μm、頂角:90度、材質:ダイヤモンド)
[表面粗さ測定器の測定条件]
・基準長さ(粗さ曲線のカットオフ値λc):0.8mm
・評価長さ(基準長さ(カットオフ値λc)×5):4.0mm
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・予備長さ:(カットオフ値λc)×2
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
1−2.平面性
製造直後の量子ドットシートの平面性を目視で評価した。その結果、量子ドットシートの表面の波打ち及び量子ドットシートの端部の浮き上がりが観察されないものを「A」、波打ち及び端部の浮き上がりの少なくとも何れかが観察されるものを「C」とした。
1−3.輝度の均一性
下記「4」で作製した液晶表示の電源を入れ、面内の輝度の均一性を目視で評価した。面内の輝度ムラが全く気にならないものを1点、面内の輝度ムラが若干気になるが実用上問題ないレベルであるものを2点、面内の輝度ムラが大きく実用上問題あるレベルであるものを3点とする評価基準で、20人の被験者が評価を行い、平均点を算出した。平均点が1.25点未満のものを「AA」、平均点が1.25点以上1.50点未満のものを「A」、平均点が1.50点以上2.00点未満のものを「B」、平均点が2.0点以上のものを「C」とした。
1−4.密着性
実施例及び比較例の量子ドットシートを作製する際に、積層体Aとして幅25mm長さ170mmのもの、積層体Bとして幅25mm長さ150mmのものを作製した。積層体Aの二軸延伸PETフィルム側の面の一方の端部から150mmの領域のみに量子ドット層を形成し、量子ドット層を形成した部分に積層体Bを二軸延伸PETフィルム側から貼り合わせた後、紫外線を照射して実施例及び比較例の密着性測定用サンプルを得た。
測定用サンプルの積層体Aが突出している箇所を引っ張り試験機(エ−・アンド・デイ社製、商品名:テンシロン)に付属しているチャッキング用冶具に固定し、剥離角180°の方向に固定した突出箇所を引っ張り、量子ドット含有層から積層体Aの二軸延伸PETフィルムを引き剥がすのに要する力(剥離力)を測定した。測定は、室温において引張速度0.3m/分の条件で行った。その結果、剥離できずに二軸延伸PETが破壊され、剥離力が測定不能なものを「A」、10N/25mm以上であるものを「B」、10N/25mm未満であるものを「C」とした。基材が破壊されるものは、基材が破壊されるほど密着性が良好であることを意味している。
1−5.ブロッキング
下記「4」で作製したバックライトについて、量子ドットシートと導光板との間、並びに、量子ドットシートとプリズムシートとの間でブロッキングの発生を目視で評価した。その結果、ブロッキングが生じていないものを「A」、ブロッキングが生じたものを「C」とした。
1−6.色味の角度依存性
下記「4」で作製した実施例のバックライトを点灯し、様々な方向からバックライトの中心付近の色味を目視で評価した。角度による色味の変化が全く気にならないものを1点、角度による色味の変化が若干気になるが実用上問題ないレベルであるものを2点、角度による色味の変化が大きく実用上問題あるレベルであるものを3点とする評価基準で、20人の被験者が評価を行い、平均点を算出した。平均点が1.50点以下のものを「AA」、平均点が1.50点超2.00点以下のものを「A」、平均点が2.00点超2.50点未満のものを「B」、平均点が2.5点以上のものを「C」とした。
2.量子ドットの作製
技術文献「Journal of American Chemical Society.2007,129,15432−15433」に記載されている方法を参照し、蛍光スペクトルのピーク波長が637nmのInP/ZnSコアシェル型量子ドット(量子ドットA)、及び蛍光スペクトルのピーク波長が528nmのInP/ZnSコアシェル型量子ドット(量子ドットB)を作製した。
3.量子ドットシートの作製
[実施例1]
厚み12μmの二軸延伸PETフィルムの一方の面上に、PVD法にて酸化ケイ素からなる膜厚20nmのバリア層を形成し、バリアフィルムを得た。次いで、厚み50μmの二軸延伸PETフィルムの一方の面上に、下記処方の光拡散層塗布液a1を乾燥後の厚みが11μmとなるように塗布、乾燥した後、紫外線照射して光拡散層を形成し、光拡散フィルムを得た。次いで、光拡散フィルムと、バリアフィルムと、厚み50μmの二軸延伸PETフィルムとを、前記の順番で厚み3μmの接着剤層を介して積層し、積層体Aを得た(図2参照)。バリアフィルムと光拡散フィルムとは、両者の二軸延伸PETフィルム側の面が対向するようにして貼り合わせた。次いで、上記と同様の作業により積層体Bを得た。
次いで、積層体Aの二軸延伸PETフィルム側の面に、下記処方の量子ドット含有層塗布液b1を乾燥後の厚みが100μmとなるように塗布、乾燥し、電離放射線未照射の量子ドット含有層を形成した。
次いで、電離放射線未照射の量子ドット含有層と、積層体Bの二軸延伸PETフィルム側の面とを対向させて貼り合わせ、積層体Aの光拡散層側から紫外線を照射して、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化を進行させ、実施例1の量子ドットシートを得た。
<光拡散層塗布液a1>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 30部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・ウレタンアクリレート 70部
(日本合成化学社製、UV1700B)
・光重合開始剤 5部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.1部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・ウレタン樹脂系拡散粒子 100部
(平均粒子径3μm)
・希釈溶剤 500部
<量子ドット含有層塗布液b1>
・イソノニルアクリレート 100部
(単官能モノマー、屈折率1.45)
・光重合開始剤 5部
(BASF社製、イルガキュア184)
・量子ドットA 0.2部
・量子ドットB 0.2部
・希釈溶剤 5部
[実施例2]
量子ドット含有層塗布液1aに、内部散乱粒子(真球状アルミナ、平均粒子径1.5μm、屈折率1.76)を20部加えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の量子ドットシートを得た。
[比較例1]
実施例1と同様にして積層体A及び積層体Bを準備した。次いで、積層体Aの二軸延伸PETフィルム側の面に、量子ドット含有層塗布液b1を乾燥後の厚みが100μmとなるように塗布、乾燥した後、量子ドット含有層側から紫外線を照射した。紫外線の照射量は電離放射線硬化性樹脂組成物が完全硬化する理論量とした。
次いで、積層体Bの二軸延伸PETフィルム側の面に、ウレタン二液硬化型の接着剤を乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布、乾燥して接着剤層を形成した。
次いで、積層体Aに形成した量子ドット含有層と、積層体Bに形成した接着剤層とを対向させて貼り合わせ、比較例1の量子ドットシートを得た。
[比較例2]
積層体Bを下記の積層体B−1に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1の量子ドットシートを得た。
(積層体B−1)
厚み12μmの二軸延伸PETフィルムの一方の面上に、PVD法にて酸化ケイ素からなる膜厚20nmのバリア層を形成し、バリアフィルムを得た。次いで、厚み50μmの二軸延伸PETフィルムの一方の面上に、下記処方のブロッキング防止層塗布液c1を乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布、乾燥した後、紫外線照射してブロッキング防止層を形成し、ブロッキング防止フィルムを得た。次いで、ブロッキング防止フィルムと、バリアフィルムと、厚み50μmの二軸延伸PETフィルムとを、前記の順番で厚み3μmの接着剤層を介して積層し、積層体B−1を得た。バリアフィルムとブロッキング防止フィルムとは、両者の二軸延伸PETフィルム側の面が対向するようにして貼り合わせた。
<ブロッキング防止層塗布液c1>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 30部
(日本化薬社製、KAYARAD−PET−30)
・ウレタンアクリレート 70部
(日本合成化学社製、UV1700B)
・光重合開始剤 5部
(BASF社製、イルガキュア184)
・シリコーン系レベリング剤 0.1部
(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、TSF4460)
・ウレタン樹脂系粒子 10部
(平均粒子径3μm)
・希釈溶剤 500部
4.バックライト及び液晶表示装置の作製
光源に青色LEDを用いている市販の液晶表示装置(対角7インチ)を分解し、バックライトを取り出した。バックライトはエッジライト型であり、導光板の下方に反射板、導光板の上方に光拡散フィルム、プリズムシート2枚を有するものであった。なお、2枚のプリズムシートは、下側のものと上側のものとでストライプラインが直交するものであった。
上記バックライトから光拡散フィルムを取り除き、導光板とプリズムシートとの間に、実施例1〜2及び比較例1〜2の量子ドット含有シートを配置して、実施例1〜2及び比較例1〜2のバックライトを得た。
次いで、分解した液晶表示装置のバックライトが設置されていた箇所に、実施例1〜2及び比較例1〜2のバックライトを戻し、実施例1〜2及び比較例1〜2の液晶表示装置を得た。
表1の結果から明らかなように、実施例1〜2の量子ドットシートは、平面性に優れるため、面内の輝度の均一性に優れるものであった。また、実施例1〜2の量子ドットシートは密着性に優れ、初期段階及び経時的な機能低下を抑制できるものであった。
10:量子ドット含有層
21a、21b、31a、31b、41a、41b:光透過性基材
30a、30b:バリアフィルム
32a、32b:バリア層
40a、40b:光拡散フィルム
42a、42b:光拡散層
51a、51b、52a、52b:接着剤層
61:積層体A
62:積層体B
100:量子ドットシート
110:光源
120:光学板
130:反射板
140:プリズムシート
200:バックライト
210:液晶パネル
220:ホルダ
300:液晶表示装置

Claims (11)

  1. 一次光を吸収して二次光を放出する量子ドット及びバインダー樹脂を含む量子ドット含有層と、前記量子ドット含有層の一方の面上に配置されてなる積層体Aと、前記量子ドット含有層の他方の面上に配置されてなる積層体Bとを有してなり、
    前記積層体A及び前記積層体Bは、少なくともバリア層、光拡散層及び一以上の光透過性基材を有する構成であり、
    前記量子ドット含有層を中心として厚み方向に上下対称の層構成となるように前記積層体A及び前記積層体Bが配置されており、
    前記バインダー樹脂は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物を含む組成物の硬化物であり、
    前記電離放射線硬化性官能基を有する化合物中に、単官能モノマーを100質量%含み、
    前記量子ドット含有層は、さらに内部拡散粒子を含み、前記バインダー樹脂の屈折率をn、前記内部拡散粒子の屈折率をnとした際に、n/nが1.02以上又は0.98以下である、量子ドットシート。
  2. 一次光を吸収して二次光を放出する量子ドット及びバインダー樹脂を含む量子ドット含有層と、前記量子ドット含有層の一方の面上に配置されてなる積層体Aと、前記量子ドット含有層の他方の面上に配置されてなる積層体Bとを有してなり、
    前記積層体A及び前記積層体Bは、少なくともバリア層、光拡散層及び二以上の光透過性基材を有する構成であり、
    前記量子ドット含有層を中心として厚み方向に上下対称の層構成となるように前記積層体A及び前記積層体Bが配置されており、
    前記バインダー樹脂は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物を含む組成物の硬化物であり、
    前記電離放射線硬化性官能基を有する化合物中に、単官能モノマーを40質量%以上含み、
    前記量子ドット含有層は、さらに内部拡散粒子を含み、前記バインダー樹脂の屈折率をn 、前記内部拡散粒子の屈折率をn とした際に、n /n が1.02以上又は0.98以下である、量子ドットシート。
  3. 一次光を吸収して二次光を放出する量子ドット及びバインダー樹脂を含む量子ドット含有層と、前記量子ドット含有層の一方の面上に配置されてなる積層体Aと、前記量子ドット含有層の他方の面上に配置されてなる積層体Bとを有してなり、
    前記積層体A及び前記積層体Bは、少なくともバリア層、光拡散層及び一以上の光透過性基材を有する構成であり、
    前記光拡散層は拡散粒子とバインダー樹脂を含み、前記光拡散層に含まれる拡散粒子の含有量が、前記光拡散層に含まれるバインダー樹脂100質量部に対し10〜200質量部であり、
    前記量子ドット含有層を中心として厚み方向に上下対称の層構成となるように前記積層体A及び前記積層体Bが配置されており、
    前記量子ドット含有層に含まれるバインダー樹脂は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物を含む組成物の硬化物であり、
    前記電離放射線硬化性官能基を有する化合物中に、単官能モノマーを40質量%以上含み、
    前記量子ドット含有層は、さらに内部拡散粒子を含み、前記バインダー樹脂の屈折率をn 、前記内部拡散粒子の屈折率をn とした際に、n /n が1.02以上又は0.98以下である、量子ドットシート。
  4. 前記量子ドット含有層は、接着剤層を介することなく前記積層体A及び前記積層体Bに密着してなる請求項1〜3の何れか1項に記載の量子ドットシート。
  5. 前記量子ドットシートの両表面のJIS B0601:2001に準拠するカットオフ値0.8mmの算術平均粗さRaが0.1〜10μmである請求項1〜4の何れか1項に記載の量子
    ドットシート。
  6. 一次光を放出する少なくとも1つの光源と、前記光源に隣接して配置され、導光又は拡散のための光学板と、前記光学板の光出射側に配置された量子ドットシートとを備えたバックライトにおいて、前記量子ドットシートが請求項1〜の何れか1項に記載の量子ドットシートであるバックライト。
  7. バックライト及び液晶パネルを備えた液晶表示装置であって、前記バックライトが請求項に記載のバックライトである液晶表示装置。
  8. 以下の(a)〜(c)の工程を順に行う量子ドットシートの製造方法。
    (a)少なくともバリア層、光拡散層及び一以上の光透過性基材を積層し、積層体A及び積層体Bを得る工程。
    (b)積層体A及び積層体Bの何れか一方の積層体の一方の面に、一次光を吸収して二次光を放出する量子ドット及びバインダー樹脂成分を含む量子ドット含有層塗布液を塗布し、前記バインダー樹脂は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物を含む組成物の硬化物であり、前記電離放射線硬化性官能基を有する化合物中に、単官能モノマーを100質量%含み、前記量子ドット含有層は、さらに内部拡散粒子を含み、前記バインダー樹脂の屈折率をn、前記内部拡散粒子の屈折率をnとした際に、n/nが1.02以上又は0.98以下である、量子ドット含有層を形成する工程。
    (c)工程(b)で量子ドット含有層を形成していない積層体と、工程(b)で量子ドット含有層を形成した積層体の量子ドット含有層側の面とを、量子ドット含有層を中心として厚み方向に上下対称の層構成となるように貼り合わせる工程。
  9. 以下の(a)〜(c)の工程を順に行う量子ドットシートの製造方法。
    (a)少なくともバリア層、光拡散層及び二以上の光透過性基材を積層し、積層体A及び積層体Bを得る工程。
    (b)積層体A及び積層体Bの何れか一方の積層体の一方の面に、一次光を吸収して二次光を放出する量子ドット及びバインダー樹脂成分を含む量子ドット含有層塗布液を塗布し、前記バインダー樹脂は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物を含む組成物の硬化物であり、前記電離放射線硬化性官能基を有する化合物中に、単官能モノマーを40質量%以上含み、前記量子ドット含有層は、さらに内部拡散粒子を含み、前記バインダー樹脂の屈折率をn 、前記内部拡散粒子の屈折率をn とした際に、n /n が1.02以上又は0.98以下である、量子ドット含有層を形成する工程。
    (c)工程(b)で量子ドット含有層を形成していない積層体と、工程(b)で量子ドット含有層を形成した積層体の量子ドット含有層側の面とを、量子ドット含有層を中心として厚み方向に上下対称の層構成となるように貼り合わせる工程。
  10. 以下の(a)〜(c)の工程を順に行う量子ドットシートの製造方法。
    (a)少なくともバリア層、光拡散層及び一以上の光透過性基材を積層し、前記光拡散層は拡散粒子とバインダー樹脂を含み、前記光拡散層に含まれる拡散粒子の含有量が、前記光拡散層に含まれるバインダー樹脂100質量部に対し10〜200質量部である、積層体A及び積層体Bを得る工程。
    (b)積層体A及び積層体Bの何れか一方の積層体の一方の面に、一次光を吸収して二次光を放出する量子ドット及びバインダー樹脂成分を含む量子ドット含有層塗布液を塗布し、前記量子ドット含有層に含まれるバインダー樹脂は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物を含む組成物の硬化物であり、前記電離放射線硬化性官能基を有する化合物中に、単官能モノマーを40質量%以上含み、前記量子ドット含有層は、さらに内部拡散粒子を含み、前記バインダー樹脂の屈折率をn 、前記内部拡散粒子の屈折率をn とした際に、n /n が1.02以上又は0.98以下である、量子ドット含有層を形成する工程。
    (c)工程(b)で量子ドット含有層を形成していない積層体と、工程(b)で量子ドット含有層を形成した積層体の量子ドット含有層側の面とを、量子ドット含有層を中心として厚み方向に上下対称の層構成となるように貼り合わせる工程。
  11. 前記工程(c)において、量子ドット含有層を形成していない積層体と、工程(b)で
    量子ドット含有層を形成した積層体の量子ドット含有層側の面とを、接着剤層を介するこ
    となく貼り合わせる、請求項8〜10の何れか1項に記載の量子ドットシートの製造方法。
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