JP6710600B2 - 上部旋回体 - Google Patents
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Description
旋回フレーム10に関する上下位置には、旋回フレーム下端位置V10がある。旋回フレーム下端位置V10は、底板11の下端および第二側板15Bの下端のうち、下側Z2に配置される方の下端の上下位置である。さらに詳しくは、旋回フレーム下端位置V10は、前後範囲A1(図2参照)内での底板11の下端、および前後範囲A1内での第二側板15Bの下端のうち、下側Z2に配置される方の下端の上下位置である。図3では、旋回フレーム下端位置V10は、底板11の下端の上下位置である。なお、底板11の下端と側板15の下端とで上下位置が一致する場合(図11参照)は、底板11の下端の上下位置を旋回フレーム下端位置V10とする。
キャブデッキ30の振動を抑制するために、支持部材40は、少なくとも下記[条件a]を満たす。
[条件a]接続部下端40d1は、デッキ中央下側位置V3と同じ上下位置、または、デッキ中央下側位置V3よりも下側Z2に配置される。
[条件b−1]支持部材下端40aは、旋回フレーム下端位置V10と同じ上下位置、または旋回フレーム下端位置V10よりも上側Z1に配置される。
[条件b−2]支持部材下端40aは、旋回フレーム下端位置V10よりも上側Z1に配置される。
[条件b−3]図10に示すように、支持部材下端40aは、底板11の上面に接する。
図3に示すキャブデッキ30の振動を抑制するために、支持部材40は、少なくとも下記[条件c−1]を満たし、好ましくは[条件c−2]を満たす。
[条件c−1]接続部上端40d2は、デッキ中央位置V1と同じ上下位置、またはデッキ中央位置V1よりも上側Z1に配置される。
[条件c−2]接続部上端40d2は、デッキ中央上側位置V5と同じ上下位置、またはデッキ中央上側位置V5よりも上側Z1に配置される。
[条件d−1]支持部材上端40bは、デッキ上端位置V4と同じ上下位置、またはデッキ上端位置V4よりも下側Z2に配置される。
[条件d−2]支持部材上端40bは、デッキ上端位置V4よりも下側Z2に配置される。
様々な上部旋回体(振動解析モデル)について、振動加速度応答を計算し、キャブデッキ30の振動(以下、振動)を比較した。計算や比較の詳細は次の通りである。図1に示すように、エンジンデッキ20の加振点αに単位加振を加えたときの、キャブデッキ30の応答評価点βでの振動加速度応答を計算した。加振点αの位置は、エンジンデッキ20のエンジンマウント部(エンジンの取付位置)である。加振の方向は上下方向Zである。応答評価点βの位置は、キャブデッキ30で特に振動が大きい位置であり、具体的には、キャブデッキ30の最も前側X1かつ最も横方向外側Y2の位置(例えば右前)である。評価の対象とした周波数領域は、振動抑制の対象とする周波数(振動抑制対象周波数)であり、キャブ内のオペレータの乗り心地に影響が大きい低周波数領域であり、図16に示す振動モードでのキャブデッキ30の振動の周波数である。振動抑制対象周波数は、具体的には、約12〜15[Hz]である。応答評価点βでの、前後方向X、横方向Y、および上下方向Zそれぞれの振動について、振動抑制周波数での振動加速度のピーク値を比較した。
図4〜図7に示すように、横方向Yから見た支持部材40の断面形状を変えたときの、キャブデッキ30の振動加速度を比較した(以下、横方向Yから見た断面を「断面」という)。図4〜図7に示すモデルM11〜M14について比較した。
結果を表1〜表3に示す。各表の「低減割合」は、モデルM11(基準となるモデル)での振動加速度に対する、モデルM12〜M14の振動加速度の低減割合である。低減割合が大きいほど、基準となるモデルでの振動加速度に対して、振動加速度がより低減されたことを表す。低減割合の値が負の数の場合、基準となるモデルでの振動加速度よりも、振動加速度が大きいことを表す。
図8〜図12に示すように、支持部材下端40aの上下位置を変えたときの、振動加速度を比較した。以下では、特に断らない限り、配置は、上下位置に関する配置である。図8〜図12に示すモデルM21〜モデルM26について比較した。モデルM21〜M26それぞれの支持部材40の断面は、I形断面である(下記のモデルM31〜M39についても同様)。
結果を表4〜表6に示す。各表の「低減割合」は、モデルM21での振動加速度に対する、モデルM22〜M26の振動加速度の低減割合である。
モデルM24およびモデルM25(図11参照)のように、支持部材下端40aの上下位置が、旋回フレーム下端位置V10の上下方向Zと同じ、または旋回フレーム下端位置V10よりも下側Z2の場合、次の問題がある。この位置関係の場合、旋回フレーム10の下端よりも下側Z2に配置される部材と、支持部材40とが干渉するおそれがある。旋回フレーム10の下端よりも下側Z2に配置される部材には、例えば、ロワフレーム、カーボディ、旋回ロック機構(旋回時の旋回ロック用の部材)、および旋回ベアリングなど(それぞれ図示なし)がある。
旋回フレーム10と旋回ベアリングとを締結するための部材(締結用部材)が、旋回フレーム下端位置V10と同じ(またはほぼ同じ)上下位置に設けられる場合がある。この締結用部材は、締結用のボルトの軸力が過大になることを抑制する部材である。この場合、締結用部材の形状を考慮して支持部材40の形状を設定する必要があるため、支持部材40の形状が制限され、例えば支持部材40の形状を複雑な形状にする必要が生じ得る。そのため、上部旋回体1の製造時に、キャブデッキ30および第二側板15Bへの支持部材40の取り付け作業が困難になるおそれがある(組立性が悪い)。
モデルM23(図10参照)およびモデルM26(図12参照)のように、接続部下端40d1が旋回フレーム下端位置V10よりも上側Z1に配置される場合、上記「干渉の問題(その1)」および「支持部材40の形状の制限の問題」を抑制できる。また、モデルM23およびモデルM26のように、接続部下端40d1の上下位置が、デッキ中央下側位置V3よりも下側Z2に配置される場合(デッキ中央下側位置V3と同じ上下位置に配置されてもよい)、次の効果が得られる。この場合、モデルM21およびモデルM22のように、接続部下端40d1の上下位置が、デッキ中央下側位置V3よりも上側Z1に配置される場合に比べ、振動加速度を低減できる。
図13〜図15などに示すように、支持部材上端40bの上下位置を変えたときの、振動加速度を比較した。図8、図10、図13〜図15に示すモデルM31〜M39について比較した。
・モデルM33:60[mm]
・モデルM34:92[mm]
・モデルM35:150[mm]
・モデルM36:200[mm]
・モデルM37:250[mm]
結果を表7〜表9に示す。各表の「低減割合」は、モデルM31での振動加速度に対する、モデルM32〜M39での振動加速度の低減割合である。
モデルM33〜M37(図13参照)のように、支持部材上端40bの上下位置が、デッキ上端位置V4よりも上側Z1に配置される場合、次の問題が生じる場合がある。この位置関係の場合、キャブデッキ30にキャブを載せる際、支持部材40とキャブの部材(フレームなど)が干渉(接触)するおそれがあり、例えばキャブに傷が付くなどのおそれがある。
支持部材上端40bとデッキ上端位置V4とが同じ上下位置の場合は、次の問題が生じる場合がある。これらの支持部材上端40bとデッキ上端位置V4とを同じ上下位置に揃えようとしても、製造時の誤差や組立時の誤差の影響で必ずしも揃わないことがある。これらを揃えようとすると、微調整が必要となり、キャブデッキ30と支持部材40との組立に時間がかかり、組立性が悪くなる場合がある。
モデルM39(図15参照)では、上下方向Zの振動はモデルM31とほぼ同じであり、前後方向Xの振動はモデルM31(図8参照)よりも増大した。そのため、モデルM39のように、支持部材上端40bがデッキ中央位置V1よりも下側Z2に配置される場合、振動抑制効果が不十分であると言える。
モデルM32(図10参照)およびモデルM38(図14参照)では、支持部材上端40bの上下位置が、デッキ上端位置V4よりも下側Z2に配置される。よって、上記の「干渉の問題(その2)」および「組立性の問題」を抑制できる。また、支持部材上端40bの上下位置が、デッキ上端位置V4と揃う場合と、デッキ上端位置V4よりも少し下側Z2(例えば図10に示すデッキ中央上側位置V5よりも上側Z1)の場合と、で振動抑制効果の差はほとんどないと考えられる。よって、支持部材上端40bをデッキ上端位置V4よりも下側Z2に設定することが好ましい。
図1に示す上部旋回体1による効果は次の通りである。上部旋回体1は、旋回フレーム10と、エンジンデッキ20と、キャブデッキ30と、支持部材40と、を備える。旋回フレーム10は、底板11、および底板11から上側Z1に突出する側板15を有する。エンジンデッキ20は、旋回フレーム10よりも横方向外側Y2に配置され、旋回フレーム10に固定される。キャブデッキ30は、エンジンデッキ20との間に隙間Sを開けてエンジンデッキ20よりも前側X1に配置される。支持部材40は、側板15(第二側板15B)とキャブデッキ30とに接続される。キャブデッキ30は、キャブデッキ30の横方向内側Y1の面である内側枠部31iを備える。内側枠部31iには、支持部材40が接続される。
[構成1−2]支持部材40の内側枠部31iへの接続部40dの上端(接続部上端40d2)は、デッキ中央位置V1と同じ上下位置、またはデッキ中央位置V1よりも上側Z1に配置される。
[構成1−3]支持部材40の下端(支持部材下端40a)は、旋回フレーム下端位置V10と同じ上下位置、または旋回フレーム下端位置V10よりも上側Z1に配置される。
[構成2]支持部材40の下端(支持部材下端40a)は、旋回フレーム下端位置V10よりも上側Z1に配置される。
[構成3]支持部材40の上端(支持部材上端40b)は、キャブデッキ30の上端の上下位置であるデッキ上端位置V4と同じ上下位置、またはデッキ上端位置V4よりも下側Z2に配置される。
[構成4]支持部材40の上端(支持部材上端40b)は、デッキ上端位置V4よりも下側Z2に配置される。
キャブデッキ30の上端の上下位置であるデッキ上端位置V4と、デッキ中央位置V1と、の上下方向Z中央の上下位置をデッキ中央上側位置V5とする。
[構成5]支持部材40の内側枠部31iへの接続部40dの上端(接続部上端40d2)は、デッキ中央上側位置V5と同じ上下位置、またはデッキ中央上側位置V5よりも上側Z1に配置される。
上記の実施形態およびモデルの構成要素どうしが組み合わされてもよい。例えば、図4〜図7に示すモデルM11〜M14(比較例として説明したモデル)の支持部材40の断面形状が、図2に示す上部旋回体1に適用されてもよい。また、図12に示すモデルM26のように、支持部材下端40aの上下位置が底板11の上面よりも上側Z1に配置される構成が、図13および図14に示すモデルM33〜M38に適用されてもよい。
10 旋回フレーム
11 底板
15 側板
20 エンジンデッキ
30 キャブデッキ
31i 内側枠部
40 支持部材
40a 支持部材下端
40b 支持部材上端
40d 接続部
40d1 接続部下端
40d2 接続部上端
V1 デッキ中央位置
V2 デッキ下端位置
V3 デッキ中央下側位置
V4 デッキ上端位置
V5 デッキ中央上側位置
V10 旋回フレーム下端位置
Claims (3)
- 底板、および前記底板から上側に突出する側板を有する旋回フレームと、
前記旋回フレームよりも横方向外側に配置され、前記旋回フレームに固定されるエンジンデッキと、
前記エンジンデッキとの間に隙間を開けて前記エンジンデッキよりも前側に配置されるキャブデッキと、
前記側板と前記キャブデッキとに接続される支持部材と、
を備え、
前記キャブデッキは、前記キャブデッキの横方向内側の面であって前記支持部材が接続される内側枠部を備え、
前記キャブデッキの上下方向中央の上下位置をデッキ中央位置とし、前記キャブデッキの下端の上下位置をデッキ下端位置とし、前記デッキ中央位置と前記デッキ下端位置との上下方向中央の上下位置をデッキ中央下側位置とし、
前記底板の下端および前記側板の下端のうち、下側に配置される方の下端の上下位置を旋回フレーム下端位置としたとき、
前記支持部材の前記内側枠部への接続部の下端は、前記デッキ中央下側位置と同じ上下位置、または前記デッキ中央下側位置よりも下側に配置され、
前記支持部材の前記内側枠部への接続部の上端は、前記デッキ中央位置と同じ上下位置、または前記デッキ中央位置よりも上側に配置され、
前記支持部材の下端は、前記旋回フレーム下端位置よりも上側に配置され、
前記支持部材の上端は、前記キャブデッキの上端の上下位置であるデッキ上端位置よりも下側に配置される、
上部旋回体。 - 請求項1に記載の上部旋回体であって、
前記支持部材の下端は、前記旋回フレームの底板の上面に接する、
上部旋回体。 - 請求項1または2に記載の上部旋回体であって、
前記デッキ上端位置と、前記デッキ中央位置と、の上下方向中央の上下位置をデッキ中央上側位置としたとき、
前記支持部材の前記内側枠部への接続部の上端は、前記デッキ中央上側位置と同じ上下位置、または前記デッキ中央上側位置よりも上側に配置される、
上部旋回体。
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