以下、本発明の実施の形態に係る建設機械の代表例として、ホイール式の油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図9に従って詳細に説明する。
図1において、油圧ショベル1は、左,右の前輪2Aおよび左,右の後輪2Bを有する自走可能なホイール式の下部走行体2を備えたホイール式油圧ショベルである。そして、油圧ショベル1は、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3に俯仰動可能に設けられたフロント装置4とにより構成されている。この場合、下部走行体2は、本発明の基体を構成し、上部旋回体3は、本発明の旋回体を構成するものである。
フロント装置4は、ブーム4A、アーム4B、バケット4C、ブームシリンダ4D、アームシリンダ4E、バケットシリンダ4F等により構成されている。図2に示すように、ブーム4Aのフート部4A1は、後述する旋回フレーム5の前側で左,右方向の中間部位に回動可能に取付けられている。
旋回フレーム5は、上部旋回体3の支持構造体を構成するもので、前側にフロント装置4のフート部4A1が取付けられ、下部走行体2上に旋回可能に搭載されている。図3に示すように、旋回フレーム5は、前,後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる底板5Aと、該底板5A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左縦板5B,右縦板5Cと、該各縦板5B,5Cの左,右に間隔をもって配置され、前,後方向に延びた左サイドフレーム5D,右サイドフレーム5Eと、前記底板5A、各縦板5B,5Cから左,右方向に張出し、その先端部に左,右のサイドフレーム5D,5Eを支持する複数本の張出しビーム5Fとを含んで構成されている。各縦板5B,5Cの前側には、フロント装置4(フート部4A1)が俯仰動可能に取付けられ、後側には、後述のカウンタウエイト6が取付けられている。
カウンタウエイト6は、旋回フレーム5を構成する左,右の縦板5B,5Cの後端に設けられている。このカウンタウエイト6は、フロント装置4との重量バランスをとるためのものである。カウンタウエイト6の後面は、上部旋回体3の旋回中心を中心とした略円弧状に形成されている(図2参照)。
原動機としてのエンジン7は、カウンタウエイト6の前側に位置して旋回フレーム5の後部に設けられている。図3に示すように、このエンジン7は、左,右方向に延在する横置き状態に搭載されている。エンジン7の左,右方向の一側となる左側には、外部の空気を冷却風として吸い込む冷却ファン8が配置されている。
一方、エンジン7の左,右方向の他側となる右側には、油圧ポンプ(図示せず)が配置されている。油圧ポンプは、エンジン7によって駆動されることにより、上部旋回体3、フロント装置4に設けられた各種油圧アクチュエータに向けて作動用の圧油を吐出するものである。また、油圧ポンプの上方には、エンジン7の排気側に接続された排気ガス後処理装置9が設けられている。この排気ガス後処理装置9は、エンジン7から排出される排気ガス中の有害物質を除去するものである。
熱交換装置10は、冷却ファン8による冷却風の流れ方向の上流側に位置するように冷却ファン8と対面して配置されている。この熱交換装置10は、例えばエンジン冷却水を冷却するラジエータ、作動油を冷却するオイルクーラ、エンジン7が吸い込む空気を冷却するインタクーラ等により構成されている。熱交換装置10は、後述の建屋カバー17と後処理装置カバー18とによって覆われている。
作動油タンク11は、エンジン7の前側で、かつフロント装置4のフート部4A1を挟んで右側(一側)に位置して旋回フレーム5上に設けられている。この作動油タンク11は、油圧ショベル1に搭載された各種アクチュエータに供給される作動油を貯えるものである。一方、燃料タンク12は、作動油タンク11の右側に隣接して旋回フレーム5上に設けられている。この燃料タンク12は、エンジン7に供給される燃料を貯えるものである。
ステップ13は、作動油タンク11と燃料タンク12との前側に位置して、旋回フレーム5上に設けられている。即ち、ステップ13は、フロント装置4のブーム4Aを挟んで右側に設けられている。このステップ13は、地面と上部旋回体3上との間で複数段の階段状に形成され、作業者Wが上部旋回体3上に昇降するときに用いられるものである。
左昇降用ハンドレール14は、ステップ13の左端側に配設されている。この左昇降用ハンドレール14は、ステップ13に沿って設けられ、例えば作業者Wが上部旋回体3上に昇るときに右手で把持することができるものである。また、右昇降用ハンドレール15は、ステップ13の右端側に配設されている。この右昇降用ハンドレール15は、ステップ13に沿って設けられ、例えば作業者Wが上部旋回体3上に昇るときに左手で把持することができるものである。
上側ハンドレール16は、燃料タンク12の右端側に配設されている。この上側ハンドレール16は、右昇降用ハンドレール15の後方に位置して前,後方向に延びている。上側ハンドレール16は、例えば燃料タンク12に燃料を供給するときに作業者Wが把持して姿勢を安定させるためのものである。
建屋カバー17は、上部旋回体3の後側に位置して旋回フレーム5上に設けられている。この建屋カバー17は、左側面板17A、右側面板17B、およびこれら各側面板17A,17Bの上側に位置して設けられ、エンジン7を含む排気ガス後処理装置9および熱交換装置10等の搭載機器を覆う上面板17Cからなっている。即ち、建屋カバー17は、カウンタウエイト6、後述のキャブ23、作動油タンク11および燃料タンク12との間に位置してエンジン7、熱交換装置10等を含む搭載機器を覆うものである。
左側面板17Aは、後述のキャブ23とカウンタウエイト6との間に位置して、左サイドフレーム5Dから立設している。左側面板17Aは、例えば前部側を支点にして開閉することができ、熱交換装置10およびエンジン7に供給される空気を浄化するエアクリーナ(図示せず)等のメンテナンス作業を行うことができる。
右側面板17Bは、燃料タンク12とカウンタウエイト6との間に位置して、右サイドフレーム5Eから立設している。右側面板17Bは、例えば前部側を支点にして開閉することができ、油圧ポンプ等のメンテナンス作業を行うことができる。
上面板17Cは、作業者Wがエンジン7、排気ガス後処理装置9、熱交換装置10、および後述のプレクリーナ22等の搭載機器をメンテナンス作業するときに上がる部分(即ち、上部旋回体3上)である。上面板17Cには、排気ガス後処理装置9の上方を覆っている後処置装置カバー18と、エンジン7の上方を覆っているエンジンカバー20と、熱交換装置10の上方を覆っている熱交換装置カバー21とが備えられている。この場合、上面板17Cには、カウンタウエイト6の前側に開口部(図示せず)が設けられている。この開口部は、エンジン7等の搭載機器の上方を開口するもので、常時は右側から順に後処理装置カバー18、エンジンカバー20、および熱交換装置カバー21により覆われている。
後処理装置カバー18は、排気ガス後処理装置9の上方を覆っている。この後処理装置カバー18には、排気ガス後処理装置9で浄化された排気ガスを外部に排出するための尾管19が設けられている。エンジンカバー20は、後処理装置カバー18の左側に隣接してエンジン7の上方を覆っている。後処理装置カバー18とエンジンカバー20とは、例えば後部側を支点にして前,後方向に開閉することができる。
一方、熱交換装置カバー21は、エンジンカバー20の左側に隣接して熱交換装置10の上方を覆っている。この熱交換装置カバー21は、例えば左側を支点にして左,右方向に開閉することができる。作業者Wは、後処理装置カバー18、エンジンカバー20および熱交換装置カバー21を開閉することにより、エンジン7、排気ガス後処理装置9、および熱交換装置10等の搭載機器のメンテナンス作業を行うことができる。
図2に示すように、建屋カバー17の上面板17Cのうちフロント装置4のブーム4Aのフート部4A1よりも後側は、建屋カバー17の左,右方向の中央側Aとなっている。即ち、中央側Aは、建屋カバー17の上面板17Cのうちエンジンカバー20よりも前側付近となっている。換言すると、中央側Aは、建屋カバー17の上面板17Cのうちブーム4Aのフート部4A1とエンジンカバー20との間に位置している。
中央側Aは、油圧ショベル1の車体中央側に位置し、ステップ13から上部旋回体3上に昇った作業者Wが建屋カバー17の側面側Bに向けて移動するときの移動経路(動線)である。ここで、側面側Bは、建屋カバー17の上面板17Cのうちキャブ23の左後側付近となっている。即ち、側面側Bとは、建屋カバー17の上面板17Cのうち、左側面板17Aの上端と熱交換装置カバー21およびキャブ23の後面部25に囲まれた部位であり、建屋カバー17の左前側付近を指称している。
プレクリーナ22は、建屋カバー17の側面側Bに位置して上面板17Cから上方に向けて突出している。このプレクリーナ22は、例えば空気中のダスト(塵埃)を遠心分離することにより、エアクリーナに流入する空気中のダストを除去するものである。具体的には、プレクリーナ22に導入された空気は、プレクリーナ22によってダストが除去された後、熱交換装置10と左側面板17Aとの間に設けられたエアクリーナに導入されエアクリーナでさらにダストが除去された後にエンジン7に供給される。即ち、エンジン7に供給される空気は、プレクリーナ22とエアクリーナとの2段階で清浄化される構成となっている。
キャブ23は、エンジン7の前側で、かつフロント装置4のフート部4A1を挟んで左側に片寄せて配置されている。即ち、キャブ23は、旋回フレーム5の前部左側に搭載されている。このキャブ23は、オペレータが搭乗するもので、内部にはオペレータが着座する運転席、走行用のハンドル、作業用の操作レバー等(いずれも図示せず)が配設されている。そして、キャブ23は、前面部24、後面部25、左側面部26、右側面部27、および天面部28により形成されている。
前面部24は、旋回フレーム5から上方に向けて立設され、前面部24には、運転席に着座したオペレータに広い前方視野を提供するための前窓(図示せず)が備えられている。また、前面部24の左端側には、前面部24から前方に向けて突出し上,下方向に延びるキャブ搭乗用ハンドレール29が設けられている。このキャブ搭乗用ハンドレール29は、オペレータがキャブ23内に搭乗するときおよびキャブ23内から降りるときに把持するものである。
後面部25は、前面部24の後方に対面して立設され、後面部25には、上,下方向の中間部から上側にオペレータの後方視界を提供するための後窓25Aが備えられている。そして、後面部25の上方位置(天面部28側)には、後面部25から後方に向けて突出し、建屋カバー17の左,右方向の中央側Aから側面側Bに向けて延びる後述のキャブ後方ハンドレール30が設けられている。
左側面部26は、前面部24の左端と後面部25の左端との間で前,後方向に延びている。この左側面部26は、前,後方向の中間部から後側が左窓26Aとなり、中間部から前側がキャブ23内にオペレータが乗り降りするための乗降口を開閉するためのドア26Bが例えば後部側を支点として回動可能に取付けられている。一方、右側面部27は、前面部24の右端と後面部25の右端との間で前,後方向に延びている。この右側面部27は、上,下方向の中間部から上側にオペレータの右側の視界を提供するための右窓(図示せず)が備えられている。
天面部28は、各面部24〜27の上部を覆うように水平方向に延びている。天面部28の後端側には、右側面部27側に後述のキャブ後方ハンドレール30の一端側が固定され、左側面部26側に後述のキャブ後方ハンドレール30の他端側が固定されている。
次に、本実施の形態によるキャブ後方ハンドレール30について説明する。
キャブ後方ハンドレール30は、キャブ23の後面部25の天面部28側に位置して左,右方向に延びている。このキャブ後方ハンドレール30は、建屋カバー17の中央側Aの高さ寸法が高く、側面側Bに向けて高さ寸法が低くなる2段階の高さを有している。キャブ後方ハンドレール30は、本発明のハンドレールを構成している。
キャブ後方ハンドレール30は、例えば作業者Wが建屋カバー17の中央側Aから側面側Bに向けて移動するときおよびエンジン7、プレクリーナ22等の搭載機器をメンテナンス作業するときに把持して姿勢を安定させるためのものである。そして、キャブ後方ハンドレール30は、上側水平把持部31、傾斜把持部34、下側水平把持部35等を含んで構成されている。
上側水平把持部31は、建屋カバー17の中央側Aにある立姿勢領域C(図2、図7参照)に位置して、建屋カバー17の上面板17Cと平行に形成されている。立姿勢領域Cは、作業者Wが建屋カバー17の中央側Aから側面側Bに向けて移動するときの移動領域として設定されている。
上側水平把持部31は、一端側31A1がキャブ23の天面部28に取付けられた右ブラケット32に溶接等により固着され、右ブラケット32から後方に向けて延びる延出部31Aと、延出部31Aの他端側31A2から左側(側面側B)に向けて延びる水平手摺部31BとによりL字状に形成されている。水平手摺部31Bの他端側31B1には、傾斜把持部34が接続されている。
右ブラケット32は、例えばL字状に屈曲した板材により形成され、内面側に延出部31Aの一端側31A1が溶接等により固着されている。そして、右ブラケット32は、ボルト33を用いてキャブ23の天面部28に取付けられている。即ち、上側水平把持部31の一端側31A1は、右ブラケット32を介して天面部28の右端側に固定されている。
図6、図7に示すように、上側水平把持部31は、キャブ23の天面部28と同じ高さ位置に配設されている。この場合、キャブ23の後面部25と水平手摺部31Bとの間の隙間寸法は、作業者Wが水平手摺部31Bを掴み易いように、延出部31Aの前,後方向の長さ寸法が設定されている。
傾斜把持部34は、立姿勢領域Cよりも建屋カバー17の側面側Bにあるしゃがみ姿勢領域Dに位置して上側水平把持部31から建屋カバー17の側面側Bに向けて徐々に低くなっている。しゃがみ姿勢領域Dは、作業者Wが車体(上部旋回体3)の中央から外側に向けて移動するときに、車体の外側で安定したしゃがみ姿勢となるように促す領域として設定されている。この傾斜把持部34は、上側水平把持部31(水平手摺部31B)の他端側31B1から建屋カバー17の側面側Bに向けて下向きに一直線状に傾斜している。
傾斜把持部34は、建屋カバー17の中央側Aから側面側Bに向けて低くなっているため、中央側Aから側面側Bに向けて移動している作業者Wの姿勢をしゃがむように促すことができる。従って、図8に示すように、傾斜把持部34は、車体の外周端側(側面側B)で作業者Wに安定したしゃがみ姿勢をとらせることができるので、作業者の姿勢の安定性を向上することができる。また、例えば側面側Bに配設されているプレクリーナ22等のメンテナンス作業を行う場合には、作業者Wがしゃがんだ状態で傾斜把持部34を把持することができるので、作業姿勢を安定させてメンテナンス作業の作業性を向上することができる。
下側水平把持部35は、しゃがみ姿勢領域Dよりも建屋カバー17の側面側Bにある安全ストッパ領域Eに位置して、傾斜把持部34の他端側34Aから建屋カバー17の側面側Bに向けて再び建屋カバー17の上面板17Cと平行となっている。安全ストッパ領域Eは、車体(上部旋回体3)の外側(側面側B)で作業をする作業者Wの姿勢が不安定になるのを抑制させる領域として設定されている。
この下側水平把持部35は、傾斜把持部34の他端側34Aから水平方向に延び、上側水平把持部31よりも低い位置に配設されている。従って、例えば傾斜把持部34を掴んでいる手が滑った場合には、作業者Wはすべり方向が変わる下側水平把持部35により、姿勢が不安定になるのを抑制することができる。
そして、下側水平把持部35には、下側水平把持部35の他端側35Aから上方に向けて立上り、途中部位がキャブ23の天面部28に向けて屈曲した立上り部36が設けられている。この立上り部36は、上端側36A(他端側)がキャブ23の天面部28に取付けられた左ブラケット37に溶接等により固着されている。この場合、傾斜把持部34を把持している作業者の手が滑った場合には、作業者は立上り部36を把持することにより、身体が側面側Bに向けて前のめりになるのを抑制することができる。
左ブラケット37は、例えばL字状に屈曲した板材により形成され、内面側に立上り部36の上端側36Aが溶接等により固着されている。そして、左ブラケット37は、ボルト38を用いてキャブ23の天面部28に取付けられている。即ち、立上り部36の上端側36Aは、左ブラケット37を介して天面部28の左端側に固定されている。
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次にこの油圧ショベル1の動作について説明する。
まず、オペレータは、キャブ23に搭乗してエンジン7を作動させる。そして、オペレータが、キャブ23内に設けられた走行用のハンドル(図示せず)を操作することにより、油圧ショベル1を走行させることができ、作業用の操作レバー(図示せず)を操作することにより、フロント装置4を用いて土砂の掘削作業を行うことができる。
次に、作業者Wが上部旋回体3の左端側(側面側B)に配設されたプレクリーナ22のメンテナンス作業をする場合について説明する。
まず、作業者Wは、旋回フレーム5の右前側に設けられたステップ13から上部旋回体3上に昇ることができる。この場合、作業者Wは、ステップ13の左,右に配設された左昇降用ハンドレール14と右昇降用ハンドレール15とを把持しながら上部旋回体3上に昇ることができる。
また、ステップ13を昇りきった上部旋回体3の右端側には、上側ハンドレール16が配設されている。これにより、作業者Wは、上部旋回体3の右端側では上側ハンドレール16を把持して姿勢を安定させることができる。そして、作業者Wがプレクリーナ22に向かう場合には、建屋カバー17の中央側Aを通って側面側Bに向かって移動することになる。
ところで、上部旋回体3上に配設されるハンドレールは、上部旋回体3の外周端部を取囲むように設置するのが好ましい。しかし、上部旋回体3上には、エンジンカバー20等の種々の部材が配設されているので、上部旋回体3の外周端部を取囲むようにハンドレールを設置することがレイアウト上困難な場合がある。そして、ハンドレールの設置が困難な場所の近くでメンテナンス作業等を行う場合には、作業者の姿勢が安定しないのでメンテナンス作業等の作業性が低下する虞がある。
そこで、本実施の形態では、キャブ23の後面部25側に左,右方向に延びるキャブ後方ハンドレール30を設けている。このキャブ後方ハンドレール30は、車体の中央側Aが高く、車体の外側(側面側B)が低くなった2段状に形成されている。具体的には、キャブ後方ハンドレール30は、キャブ23の右端側に位置する上側水平把持部31と、キャブ23の左,右方向の中間部に位置する傾斜把持部34と、キャブ23の左端側に位置する下側水平把持部35とを含んで形成されている。
作業者Wが建屋カバー17の中央側Aから側面側Bに向けて移動するときには、立姿勢領域Cに配設された上側水平把持部31を把持することができる。この場合、上側水平把持部31は、作業者Wが立姿勢のときに把持し易いキャブ23の天面部28と同じ高さ位置(即ち、作業者Wの腰部付近)に配設されている。従って、作業者Wは、上側水平把持部31を把持しながら中央側Aから側面側Bに向けて安定して移動することができる。
そして、作業者Wがさらに側面側Bに向けて移動すると、しゃがみ姿勢領域Dに配設された傾斜把持部34を把持することができる。この場合、傾斜把持部34は、上側水平把持部31の水平手摺部31Bから側面側Bに向けて下向きに一直線状に傾斜している。これにより、作業者Wが傾斜把持部34を把持しながら側面側Bに移動すると、徐々に姿勢が低くなり、上部旋回体3の外側である側面側Bでの姿勢を安定したしゃがみ姿勢とすることができる。
そして、図8に示すように、作業者Wは、車体の外側(側面側B)近傍では安定したしゃがみ姿勢となる。そして、作業者は、安定したしゃがみ姿勢を保ちながら側面側Bに配設されたプレクリーナ22のメンテナンス作業を行うことができるので、作業姿勢の安定性およびメンテナンス作業の作業性を向上することができる。
また、傾斜把持部34を把持している手が滑った場合には、作業者Wは安全ストッパ領域Eに配設された下側水平把持部35または立上り部36を把持することができる。この場合、下側水平把持部35は、傾斜把持部34の他端側34Aから車体(上部旋回体3)の外側(側面側B)に向けて再び建屋カバー17の上面板17Cと平行に延びている。即ち、下側水平把持部35は、傾斜把持部34の他端側34Aで角度が変化している。これにより、傾斜把持部34を把持している手が滑った場合には、下側水平把持部35で滑り方向が変わるので滑った手を止めることができる。
そして、プレクリーナ22のメンテナンス作業を終了した場合には、作業者Wはしゃがみ姿勢領域Dから立姿勢領域Cへと立上りながら移動し、建屋カバー17の中央側Aを通ってステップ13から地上に戻ることができる。
かくして、本実施の形態では、キャブ23の後面部25には、建屋カバー17の左,右方向の中央側Aから側面側Bに向けて延びるキャブ後方ハンドレール30が設けられている。そして、キャブ後方ハンドレール30は、建屋カバー17の中央側Aにある立姿勢領域Cに位置して建屋カバー17の上面板17Cと平行に形成された上側水平把持部31と、立姿勢領域Cよりも建屋カバー17の側面側Bにあるしゃがみ姿勢領域Dに位置して上側水平把持部31から建屋カバー17の側面側Bに向けて徐々に低くなる傾斜把持部34とを有している。これにより、作業者Wは、キャブ後方ハンドレール30を把持しながら建屋カバー17の中央側Aから側面側Bに向けて安定して移動することができる。
また、キャブ後方ハンドレール30の傾斜把持部34は、上側水平把持部31から建屋カバー17の側面側Bに向けて下向きに一直線状に傾斜している。これにより、作業者Wが建屋カバー17の中央側Aから側面側Bに向けて移動するときに、徐々に安定したしゃがみ姿勢を促すことができる。また、作業者Wは、建屋カバー17の側面側Bに配設されている搭載機器のメンテナンス作業を行う場合には、しゃがんだ状態で傾斜把持部34を把持することができる。従って、作業者Wは、車体(上部旋回体3)の外側(側面側B)での作業姿勢の安定性およびメンテナンス作業を行うときの作業性を向上することができる。
また、キャブ後方ハンドレール30の上側水平把持部31は、キャブ23の天面部28と同じ高さ位置に配設され、上側水平把持部31の一端側31A1は天面部28に固定されている。これにより、上側水平把持部31は、作業者Wが立姿勢のときに腰近辺に位置するので、上側水平把持部31を把持し易く、建屋カバー17の中央側Aから側面側Bに移動するときの姿勢を安定させることができる。また、上側水平把持部31は、キャブ23よりも上方に突出しないので、例えばオペレータは、キャブ後方ハンドレール30の高さを気にすることなく油圧ショベル1の走行を行うことができる。
また、キャブ後方ハンドレール30は、しゃがみ姿勢領域Dよりも建屋カバー17の側面側Bにある安全ストッパ領域Eに位置して傾斜把持部34の他端側34Aから建屋カバー17の側面側Bに向けて再び建屋カバー17の上面板17Cと平行となった下側水平把持部35を有している。これにより、傾斜把持部34を把持している作業者Wの手が滑った場合には、下側水平把持部35で滑った手を止めることができるので、作業者Wの姿勢が不安定になるのを抑制することができる。
また、下側水平把持部35には、下側水平把持部35の他端側35Aから上方に向けて立上った立上り部36を有し、立上り部36の上端側36Aはキャブ23の天面部28に固定されている。これにより、キャブ後方ハンドレール30の他端側は、キャブ23の天面部28に安定して取付けることができる。
なお、上述した実施の形態では、上側水平把持部31、傾斜把持部34、および下側水平把持部35を備えたキャブ後方ハンドレール30を例に挙げて説明した。しかし、例えば図9に示す変形例のように、キャブ後方ハンドレール41は、一端側が右ブラケット32を介してキャブ23に固定された上側水平把持部42と、上側水平把持部42の他端側42Aから建屋カバー17の側面側Bに向けて下向きに傾斜する傾斜把持部43と、傾斜把持部43の他端側43Aから上方に向けて延び、他端側が左ブラケット37を介してキャブ23に固定された立上り部44とにより形成してもよい。
また、上述した実施の形態では、キャブ後方ハンドレール30は、右ブラケット32と左ブラケット37とによりキャブ23の天面部28に固定された場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばキャブ後方ハンドレールをキャブ23の後面部25または左,右の側面部26,27に固定してもよい。このことは、変形例についても同様である。
また、上述した実施の形態では、建設機械としてホイール式油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばクローラ式ショベル、クレーン等のキャブを備えた他の建設機械にも広く適用することができる。