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JP6799849B2 - 濃淡重なり模様付成形品の製法およびそれによって得られる濃淡重なり模様付成形品 - Google Patents

濃淡重なり模様付成形品の製法およびそれによって得られる濃淡重なり模様付成形品 Download PDF

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Description

本発明は、独特の印象を与える濃淡重なり模様が付与された、濃淡重なり模様付成形品の製法と、それによって得られる濃淡重なり模様付成形品に関するものである。
化粧料を収容したコンパクト容器や口紅容器等には、単に機能性だけでなく、見栄えがよい、商品イメージを反映したデザインである、といった意匠性も要求される。このような要求に応える技術として、例えば、コンパクト容器の蓋部に、接着剤を用いることなく装飾フィルムを一体化する技術が開示されている(特許文献1等を参照)。
また、最近は、より複雑な模様を付与するために、上記装飾フィルムの一部をレーザ照射によって除去し、その除去部から容器の地の部分を露出させて文字や図柄模様を形成することも行われ、さらには、より印象の強い模様を付与する方法として、成形体の表面に着色層を形成し、その上にさらに被覆層を形成した後、レーザ照射により上記被覆層に透孔部を形成してその部分から着色層を露呈させる方法も提案されている(特許文献2等を参照)。
しかしながら、上記特許文献1のように、装飾フィルムを用いたものは、経時的に装飾フィルム部が変質したり摩耗・損傷したりして、見栄えが悪くなるという問題がある。また、上記特許文献2のように、容器の地の部分を露出させて色模様を付与する方法では、文字や図柄模様の部分の色が、容器の地の色に限られるため、全体として、その印象が弱くなるという問題がある。
そこで、本出願人は、低コストで、長期にわたって美麗に保たれる色模様を樹脂成形品の表面に付与する方法を開発し、すでに特許を取得している(特許文献3を参照)。
特開2001−292827号公報 特開2002−127691号公報 特許第5628516号公報
すなわち、上記特許文献3のものは、樹脂成形品の成形面に、着色剤を含有する着色アンダーコート層と、蒸着層と、トップコート層をこの順で形成し、上記着色アンダーコート層以外の層をレーザ照射によって部分的に除去して、その除去跡から、着色アンダーコート層を部分的に露出させて、色模様を現出させるようにしたものである。この方法によれば、アンダーコート層が着色層を兼ねるため、全体の層厚みをごく薄く設定することができる。しかも、上記色模様は、耐久性に優れ、長期にわたって美麗な状態を保つという利点を有する。
しかしながら、上記色模様となる着色アンダーコート層は、アンダーコート用樹脂組成物に着色剤を含有させただけのものであり、この着色アンダーコート層において複雑な色模様を表現することは難しい。一方、化粧料を収容したコンパクト容器等においては、アイキャッチ効果の高い、今まで見たことのない独特の印象を備えたデザインが求められており、全く新しい、独特の印象を与える色模様の提供が強く求められている。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、たっぷりの水を含んだ筆で複数の色をにじませながら描いたぼかし絵のような、独特の印象を与える濃淡重なり模様付成形品の製法と、それによって得られる濃淡重なり模様付成形品の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、濃い色と薄い色が混じり合う濃淡模様Pが付与された模様付成形品を準備する工程と、上記模様付成形品の少なくとも一部に、上記濃い色と薄い色とは異なる色の着色剤が分散含有されたアンダーコート用透明樹脂組成物を用いて、上記着色剤による色の濃淡があり透明性を有する透明着色層を形成する工程と、上記透明着色層の上に蒸着層を形成する工程と、上記蒸着層の上に、直接もしくは他の層を介してトップコート層を形成する工程と、上記模様付成形品に形成された複数の層のうち、透明着色層以外の層をレーザ照射によって部分的に除去し、その除去跡において、透明着色層の色の濃淡とその下の濃淡模様Pとが重なった濃淡重なり模様Qを現出させる工程と、を備えた濃淡重なり模様付成形品の製法であって、上記透明着色層を形成する工程において、上記透明着色層における層の厚みを不均一に形成し、厚みが薄いところでは色が薄くなり厚みが厚いところでは色が濃くなることにより色の濃淡を生じさせるとともに、上記模様付成形品の濃淡模様Pにおいて、最も薄い色の明度(L*1)と、最も濃い色の明度(L*2)の差(L*1−L*2)が、50〜10であり、上記レーザ照射による除去跡の濃淡重なり模様Qにおいて、最も薄い色の明度(L*3)と最も濃い色の明度(L*4)の差(L*3−L*4)が、45〜10である濃淡重なり模様付成形品の製法を第1の要旨とする。
また、本発明は、濃い色と薄い色が混じり合う濃淡模様Pが付与された模様付成形品を準備する工程と、上記模様付成形品の少なくとも一部に、上記濃い色と薄い色とは異なる色の着色剤が分散含有されたアンダーコート用透明樹脂組成物を用いて、上記着色剤による色の濃淡があり透明性を有する透明着色層を形成する工程と、上記透明着色層の上に蒸着層を形成するか蒸着層と他の層をこの順で形成する工程と、上記蒸着層もしくは蒸着層と他の層をレーザ照射によって部分的に除去し、その除去跡において、透明着色層の色の濃淡とその下の濃淡模様Pとが重なった濃淡重なり模様Qを現出させる工程と、上記濃淡重なり模様Qが現出した模様付き成形品の表面に、直接もしくは他の層を介してトップコート層を形成する工程と、を備えた濃淡重なり模様付成形品の製法であって、上記透明着色層を形成する工程において、上記透明着色層における層の厚みを不均一に形成し、厚みが薄いところでは色が薄くなり厚みが厚いところでは色が濃くなることにより色の濃淡を生じさせるとともに、上記模様付成形品の濃淡模様Pにおいて、最も薄い色の明度(L*1)と、最も濃い色の明度(L*2)の差(L*1−L*2)が、50〜10であり、上記レーザ照射による除去跡の濃淡重なり模様Qにおいて、最も薄い色の明度(L*3)と最も濃い色の明度(L*4)の差(L*3−L*4)が、45〜10である濃淡重なり模様付成形品の製法を第2の要旨とする。
そして、本発明は、それらのなかでも、特に、上記透明着色層を形成する工程において、アンダーコート用透明樹脂組成物を不均一にスプレー塗装し、層の厚みを不均一に形成することによって色の濃淡を生じさせるようにした濃淡重なり模様付成形品の製法を第3の要旨とする。
また、本発明は、濃い色と薄い色が混じり合う濃淡模様Pが付与された模様付成形品を準備する工程と、上記濃い色と薄い色とは異なる色の着色剤が分散含有された透明接着剤組成物からなり、上記着色剤による色の濃淡があり透明性を有する透明着色層と、蒸着層もしくは蒸着層と他の層と、トップコート層と、基材層とが、この順で設けられた転写箔を準備する工程と、上記模様付成形品の少なくとも一部に、上記転写箔の透明着色層側を当てて転写箔を貼り付け、貼り付けられた転写箔から基材層を除去してトップコート層を露出させる工程と、上記模様付成形品に貼り付けられた転写箔に由来する複数の層のうち、透明着色層以外の層をレーザ照射によって部分的に除去し、その除去跡において、透明着色層の色の濃淡とその下の濃淡模様Pとが重なった濃淡重なり模様Qを現出させる工程と、を備えた濃淡重なり模様付成形品の製法であって、上記転写箔の透明着色層において、層の厚みが不均一に形成され、厚みが薄いところでは色が薄くなり厚みが厚いところでは色が濃くなることによって色の濃淡が生じており、上記模様付成形品の濃淡模様Pにおいて、最も薄い色の明度(L*1)と、最も濃い色の明度(L*2)の差(L*1−L*2)が、50〜10であり、上記レーザ照射による除去跡の濃淡重なり模様Qにおいて、最も薄い色の明度(L*3)と最も濃い色の明度(L*4)の差(L*3−L*4)が、45〜10である濃淡重なり模様付成形品の製法を第4の要旨とする。
さらに、本発明は、それらのなかでも、特に、上記濃淡模様Pの濃い色または薄い色が、寒色系の色であり、透明着色層の色が、暖色系の色である濃淡重なり模様付成形品の製法を第5の要旨とする。
また、本発明は、それらのなかでも、特に、上記レーザ照射によって濃淡重なり模様Qを現出させる工程において、レーザとして、YAGレーザ、YVO4レーザもしくは半導体レーザのいずれかを用いるようにした濃淡重なり模様付成形品の製法を第6の要旨とする。
そして、本発明は、濃い色と薄い色が混じり合う濃淡模様Pが付与された模様付成形品の少なくとも一部に、上記濃い色と薄い色とは異なる色の濃淡があり透明性を有する透明着色層と、蒸着層とが、この順に設けられ、さらにその上に、直接もしくは他の層を介してトップコート層が設けられており、上記透明着色層以外の層が部分的に除去され、その除去跡において、透明着色層の色の濃淡とその下の濃淡模様Pとが重なった濃淡重なり模様Qが現出している濃淡重なり模様付成形品であって、上記透明着色層において、層の厚みが不均一に形成され、厚みが薄いところでは色が薄くなり厚みが厚いところでは色が濃くなることによって色の濃淡が生じており、上記除去跡の濃淡重なり模様Qにおいて、最も薄い色の明度(L*3)と最も濃い色の明度(L*4)の差(L*3−L*4)が、45〜10である濃淡重なり模様付成形品を第7の要旨とする。
また、本発明は、濃い色と薄い色が混じり合う濃淡模様Pが付与された模様付成形品の少なくとも一部に、上記濃い色と薄い色とは異なる色の濃淡があり透明性を有する透明着色層と、蒸着層もしくは蒸着層と他の層とが、この順に設けられており、上記蒸着層もしくは蒸着層と他の層が部分的に除去され、その除去跡において、透明着色層の色の濃淡とその下の濃淡模様Pとが重なった濃淡重なり模様Qが現出し、その濃淡重なり模様Qが現出した模様付き成形品の表面に、直接もしくは他の層を介してトップコート層が設けられている濃淡重なり模様付成形品であって、上記透明着色層において、層の厚みが不均一に形成され、厚みが薄いところでは色が薄くなり厚みが厚いところでは色が濃くなることによって色の濃淡が生じており、上記除去跡の濃淡重なり模様Qにおいて、最も薄い色の明度(L*3)と最も濃い色の明度(L*4)の差(L*3−L*4)が、45〜10である濃淡重なり模様付成形品を第8の要旨とする。
そして、本発明は、それらのなかでも、特に、上記濃淡模様Pの濃い色または薄い色が、寒色系の色であり、透明着色層の色が、暖色系の色である濃淡重なり模様付成形品を第9の要旨とする。
すなわち、本発明の製法は、濃淡模様Pが付与された模様付成形品(いわゆるマーブル調成形品)をベースとし、その少なくとも一部に、色の濃淡があり透明性を有する透明着色層を形成し、さらに、蒸着層とトップコート層とをこの順で形成するか、トップコート層は最後に形成するかして、その透明着色層より上の層(蒸着層のみ、もしくは蒸着層とトップコート層、あるいは蒸着層の上に他の層が形成される場合は他の層も)をレーザ照射によって部分的に除去し、その除去跡において、上記透明着色層の色の濃淡とその下の濃淡模様Pとが重なった濃淡重なり模様Qを現出させるようにしたものである。また、本発明の他の製法は、上記透明着色層、蒸着層(もしくは蒸着層と他の層)、トップコート層の積層部分を、転写箔を利用して得るようにしたもので、それ以外は上記の製法と同様にして、濃淡重なり模様Qを現出させるようにしたものである。
そして、これらの製法において、上記ベースとなる成形品に付与された濃淡模様Pが、特定の明度差を有しており、その上の透明着色層の色の濃淡と重なることにより、その両者の濃淡重なり模様Qの濃淡が、特定の明度差となるよう設定されている。特に、上記透明着色層を形成する工程において、上記透明着色層における層の厚みを不均一に形成し、厚みが薄いところでは色が薄くなり厚みが厚いところでは色が濃くなることにより色の濃淡を生じさせるようになっている。
このようにして得られる濃淡重なり模様Qは、全体として明度差が限定されており、柔らかい印象を与える。しかも、色の濃淡を有する透明着色層を透かしてマーブル調の地の色が見え、その地の色のうち濃い色が透明着色層の色の濃淡と重なってにじんだような濃淡模様となるため、あたかもたっぷりの水を含んだ筆で複数の色をにじませながら描いたぼかし絵のように見える。この独特の濃淡重なり模様Qが、手描きではなく、工業的な加工によって簡単に得られることが、本発明の大きな特徴である。さらに、この濃淡重なり模様Qの最表面は、耐久性に優れたアンダーコート組成物に由来する透明着色層か、同じく耐久性に優れたトップコート層によって形成されているため、この模様は、褪せたり損傷したりすることがなく、長期にわたって美麗な状態を維持することができる。
そして、本発明の製法によれば、模様付成形品の濃淡模様Pの種類と、透明着色層に分散含有させる着色剤の色や濃淡の付け方と、蒸着層に形成するレーザ照射による除去跡のデザインとを、適宜選択して組み合わせることによって、多種多様なぼかし絵調の模様を簡単に得ることができる。したがって、顧客のニーズに応じた印象の外観を有する成形品を短い納期で提供することができ、実用的価値が高い。
なお、本発明の製法において、蒸着層等の上にトップコート層を形成した後、これらの層をレーザ照射により除去した場合と、蒸着層等を形成した後、この蒸着層等をレーザ照射により除去した場合と、転写箔を利用した場合のいずれの場合も、上述のように、多種多様なぼかし絵調の模様を簡単に得ることができ、優れた効果を奏する。
そして、本発明のなかでも、特に、上記濃淡模様Pの濃い色または薄い色が、寒色系の色であり、透明着色層の色が、暖色系の色である場合には、得られる濃淡重なり模様Qが、より印象的な濃淡となり好適である。
また、本発明のなかでも、特に、転写箔を用いることなく、上記透明着色層を形成する工程において、アンダーコート組成物を不均一にスプレー塗装することによって色の濃淡を生じさせるようにしたものは、色の濃淡を、最終的に露出させる部分を意識したデザインの濃淡模様となるようコントロールしやすく、好適である。
さらに、本発明のなかでも、特に、上記レーザ照射によって濃淡重なり模様Qを現出させる工程において、レーザとして、YAGレーザ、YVO4レーザもしくは半導体レーザのいずれかを用いるようにしたものは、成形品の表面に形成された透明着色層より上の層の部分的な除去を、効率よく、しかも美麗な仕上がりとなるよう行うことができ、好適である。
そして、本発明の各製法によって得られる濃淡重なり模様付成形品は、いずれも、手描きによるぼかし絵のような模様が付与されており、興趣に富むものとなる。しかも、その模様は耐久性を有し、長期にわたって美麗な状態を維持することができる。
また、本発明の濃淡重なり模様付成形品のなかでも、特に、上記濃淡模様Pの濃い色または薄い色が、寒色系の色であり、透明着色層の色が、暖色系の色である場合、とりわけ印象深い濃淡模様を呈し、好適である。
本発明の一実施の形態を示す外観斜視図である。 上記実施の形態の部分的な拡大縦断面図である。 (a)は上記実施の形態の蓋部に用いられる模様付成形品の斜視図、(b)は(a)の平面図、(c)は上記模様付成形品の表面に透明着色層を形成した状態を示す平面図である。 上記実施の形態の製法の説明図であり、(a)は透明着色層の上に蒸着層とトップコート層を形成した状態を示す部分的な拡大縦断面図、(b)はレーザ照射によって透明着色層より上の二層を除去した状態を示す部分的な拡大縦断面図である。 上記レーザ照射後の蓋部を示す平面図である。 (a)、(b)は、ともに本発明の他の製法の説明図である。 (a)、(b)は、ともに本発明のさらに他の製法の説明図である。 (a)、(b)は、ともに本発明の他の製法の説明図である。
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
図1は、本発明を、化粧料を収容するコンパクト容器に適用した一実施の形態を示している。このコンパクト容器は、化粧料を収容する本体部1と、これを蓋する蓋部2とで構成されており、上記蓋部2の上面に、大小の略円が互いに重なったり離れたりした模様領域が設けられ、各模様領域に、あたかも手描きのぼかし絵のような濃淡重なり模様Qが付与されている。この濃淡重なり模様Qが付与されている以外の部分は、蓋部2の上面も前後左右の側面も、蒸着層5による金属光沢を有している。なお、上記本体部1と蓋部2は、互いに後端部においてヒンジ連結されており、本体部1に対し蓋部2が上方に開くようになっている。
より詳しく説明すると、上記蓋部2は、その部分的な拡大縦断面図である図2に示すように、樹脂成形品からなるベース体3の表面に、透明着色層4と、金属光沢を有する蒸着層5と、無色透明なトップコート層6とが、この順で積層形成された構成になっている。そして、上記透明着色層4より上の、蒸着層5とトップコート層6とが、部分的に除去され、その除去跡において、濃淡重なり模様Qが現出するようになっている。
上記蓋部2は、例えばつぎのようにして得ることができる。すなわち、まず、図3(a)に示すように、ベース体3として、蓋部2の形状に賦形された樹脂成形品を準備する。このベース体3は、濃い色(この例では青色)と薄い色(この例では白色)とが混じり合った、いわゆるマーブル調の濃淡模様Pが付与されているものであることが必要である。
このような濃淡模様Pが付与された成形品を得るには、例えば色の異なる2種類以上の樹脂材料を混合射出する方法(いわゆる「マーブル調成形」)が好適に用いられる(例えば特開2009−137192号公報、特許第5651741号公報等を参照)。
上記樹脂材料としては、通常、各種の熱可塑性樹脂が用いられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等があげられ、なかでも、ABS樹脂が好適である。
また、上記ベース体3となる成形品には、その全体に濃淡模様Pが付与されている必要はなく、濃淡重なり模様Qを付与しようとする面のみに、印刷や転写、着色フィルムの貼付等によって、濃淡模様Pを付与したものを用いても差し支えない。
そして、上記ベース体3に付与される濃淡模様Pは、その模様のうち、最も薄い色の明度(L*1)と、最も濃い色の明度(L*2)の差(L*1−L*2)が、50〜10であることが必要である。すなわち、明度差が上記の範囲を外れると、最終的に得られる濃淡重なり模様付成形品において、本発明の特徴である、ぼかし絵のような印象となる濃淡重なり模様Qを得ることができない。そして、上記明度差は、なかでも、45〜30であることが、効果の点でより好適である。
なお、本発明において、明度(L*)は、国際照明委員会CIEで規格化され、JIS
Z8729で規定された「L***表色系」によって数値化される明度(白を100とし、黒を0として数値化)をいう。そして、濃淡模様Pが付与された部分の明度を、単位面積ごとに区切って全て測色計(日本電色工業社製、分光色差計 SE6000)で計測し、最も明度が高い値L*1(最も薄い色の値)と、最も明度が低い値L*2(最も濃い色の値)を求めることができる。
つぎに、上記ベース体3の上面および前後左右の側面の表面に、透明着色層4を形成する[図3(c)参照]。上記透明着色層4は、従来アンダーコート層を形成するために用いられている各種のアンダーコート用透明樹脂組成物に所望の色調を付与するための着色剤(この例では赤色染料)を分散含有させた組成物を用いて形成することができる。なお、本発明では、得られた透明着色層4を透かして、その下のベース体3の濃淡模様Pをみせることが必要なため、透明着色層4は、少なくとも上記濃淡模様Pを透かしてみることができる程度に透明であることが必要である。
このようなアンダーコート用透明樹脂組成物としては、例えばアクリル系樹脂、オルガノポリシロキサン系樹脂、ウレタン系樹脂等、各種のアンダーコート用透明樹脂を主成分とする透明な樹脂組成物があげられ、なかでも、アクリル系樹脂を主成分とする組成物が、硬度、透明性、着色剤の分散性等の点で、好適に用いられる。
そして、上記アンダーコート用透明樹脂組成物に分散含有させる着色剤としては、染料、顔料等、各種のものを適宜選択することができる。ただし、着色剤の色は、前記ベース体3に付与された濃淡模様Pに用いられている「濃い色」と「薄い色」のどちらとも異なる色でなければならない。すなわち、着色剤の色が濃淡模様Pに用いられている色と重複した場合、透明着色層4を透かしてみえるベース体3の濃淡模様Pの色模様が単調になり、目的とする印象を得ることができないからである。
上記アンダーコート用透明樹脂組成物に分散含有される着色剤の含有割合は、着色剤の種類にもよるが、通常、アンダーコート用透明樹脂組成物100重量部に対して、0.01〜50重量部に設定することが好適である。すなわち、着色剤の含有割合が上記の範囲を外れると、着色剤の色調、種類等によっては、得られる透明着色層4において効果的な色の濃淡を得ることができず、目的とする印象の濃淡重なり模様Qが得られにくくなるおそれがある。また、着色剤の含有割合が多すぎると、透明着色層4の下の成形品(この例ではベース体3)や透明着色層4の上の蒸着層5に対する密着性が低下することがあり好ましくない。
透明着色層4は、上記着色剤が分散含有されたアンダーコート用透明樹脂組成物を、ベース体3の表面に、厚みが不均一となるよう層形成することによって得ることができる。厚みが薄いところでは着色剤による色が薄くなり、厚みが厚いところでは着色剤による色が濃くなって、全体として色の濃淡が表れる。このように、厚みが不均一となるよう層形成する方法としては、スプレー塗装の他、はけ塗り、ロールブラシ塗り、エアレススプレー塗装、ディップコート、フローコート、カーテンフローコート、ロールコート等があげられる。なかでも、作業効率や仕上がりの点から、スプレー塗装が好適に用いられる。
そして、上記着色剤が分散含有されたアンダーコート用透明樹脂組成物によって形成される透明着色層4の厚みは、最も薄いところで0.01〜30μm程度、最も厚いところで1〜50μm程度になるよう設定することが好ましい。すなわち、透明着色層4の厚みが部分的にせよ薄すぎると、ベース体3を保護する性能が充分に得られないおそれがあり、逆に、その厚みが部分的にせよ厚すぎると、その部分において透明着色層4の透明性が損なわれるおそれがあり、好ましくない。
なお、上記透明着色層4において、着色剤に由来して生じる色の濃淡は、後述するように、ベース体3の上に重なることによって得られる濃淡重なり模様Qの明度差が、特定の範囲内となるよう調整される。すなわち、このように、上記ベース体3の、明度差が特定範囲に設定された濃淡模様Pと、この透明着色層4の色の濃淡とを重ねることによって、一方の色の薄い部分に、他方の色の濃い部分がにじんで溶け込んだような、手描きのぼかし絵のような独特の印象が得られるのである。
このようにして色の濃淡があり透明性を有する透明着色層4が形成されたベース体3の平面図を図3(c)に示す。なお、図3(b)は透明着色層4が形成される前のベース体3の平面図である。これらの図において、ハッチングの間隔が狭いほどその部分の色が濃い(明度が低い)ことを示し、ハッチングの間隔が広いほどその部分の色が薄い(明度が高い)ことを示す。ただし、色と色の間に引かれた境界線は、色の濃淡をわかりやすく示すために引いた仮想線であり、実際には、色は徐々に濃くなったり薄くなったりしており、明確な境界線は表れにくい。
つぎに、上記透明着色層4の上に、蒸着層5を形成した後、その上に、トップコート用塗料を塗布・乾燥してトップコート層6を形成する[図4(a)参照]。
上記蒸着層5の材料は、アルミニウム、スズ、ステンレス等、上記透明着色層4に密着するものであれば、どのようなものであっても差し支えない。そして、蒸着層5の形成は、例えば、上記蒸着材料を、真空中(一般的には10-2Pa以下)で加熱蒸発させ、この蒸発粒子を成形品に析出させることによって行われる。上記蒸着層5の厚みは、0.001〜0.05μmに設定することが好適である。すなわち、薄すぎると、金属光沢色が充分に現われず、所望の色調を得られにくいおそれがあり、逆に、厚すぎると、透明着色層4との密着性が低下し、あるいは、不必要に重量を増加させてしまうおそれがあるからである。また、蒸着層5の上に、ホログラム形成層や、パール調付与層等をさらに形成させてもよく、この場合、より複雑な金属光沢色調を得ることでき、デザインの幅が広がるようになる。
また、上記トップコート層6は、蒸着層5を保護して、酸化や腐食・摩耗を防止するものであり、例えば無色透明のアクリル系塗料等の、各種のトップコート用塗料を用いることができる。そして、上記トップコート層6は、無色であっても、着色剤を含有させて着色したものであってもよいが、その下の蒸着層5の金属光沢を損なうことのない、透明性を有しているものが好適である。もちろん、金属光沢を柔らかく見せるためにマット調に仕上げるものも好適である。さらに、紫外線防止用のUVカット剤や抗菌剤等を含有するものであってもよい。上記トップコート層6の厚みは、10〜50μmにすることが好適である。すなわち、10μm未満であると、その下の蒸着層5等を保護するのに充分な効果を発揮できないおそれがあり、50μmを超えると、保護の効果は充分であるものの、コンパクト容器全体の重量が増加して、軽量性を失うおそれがあるからである。
つぎに、上記透明着色層4と蒸着層5とトップコート層6とが形成されたベース体3の上面の、予め設定された部分領域(濃淡重なり模様Qを現出させる予定部)に、レーザ照射を行い、照射部分の蒸着層5とトップコート層6とを除去して、その除去跡から透明着色層4を、部分的に露出させる[図4(b)参照]。
上記レーザ照射は、YAGレーザ、二酸化炭素レーザ、ルビーレーザ、YVO4レーザ、半導体レーザ等、各種のレーザ装置を用いて行うことができる。なかでも、制御性,仕上がり性において、YAGレーザ、YVO4レーザ、半導体レーザのいずれかを用いることが好適である。
上記レーザ照射によって形成された除去跡には、透明着色層4の表面が露出し、すでに述べたとおり、色の濃淡があり透明性を有する透明着色層4と、その下のベース体3の濃淡模様Pとが重なった、あたかもぼかし絵のような濃淡重なり模様Qが現出する。この濃淡重なり模様Qは、最も薄い色の明度(L*3)と最も濃い色の明度(L*4)の差(L*3−L*4)が45〜10の範囲であり、柔らかい印象を与える。しかも、色の濃淡を有する透明着色層4を透かしてマーブル調の地の色が見え、その地の色のうち濃い色が透明着色層4の色の濃淡と重なってにじんだような濃淡模様となるため、あたかもたっぷりの水を含んだ筆で複数の色をにじませながら描いたぼかし絵のように見える。
この濃淡重なり模様Qと、除去されていない蒸着層5の、地色となる金属光沢色との対比によって、図5に示すように、美麗で、非常に印象的な外観の蓋部2を得ることができる。この蓋部2を本体部1と組み合わせることにより、図1に示すコンパクト容器を得ることができる。
この方法によれば、あたかも手描きしたようなぼかし絵調の濃淡重なり模様Qを、非常に効率よく、樹脂成形品である蓋部2に付与することができる。しかも、上記濃淡重なり模様Qが現出した部分は、透明着色層4によって保護されており、金属光沢を有する蒸着層5が形成されている部分は、その表面がトップコート層6によって保護されているため、蓋部2の表面全体に耐久性があり、その美麗な外観を長期にわたって維持することができる。そして、ぼかし絵調の濃淡重なり模様Qのデザインは、簡単に設計変更することができるため、多種多様なデザインの濃淡重なり模様Qが付与されたコンパクト容器を、短い納期で供給することができるという利点を有する。
そして、このようにして得られたコンパクト容器は、手描きのようなぼかし絵調の濃淡重なり模様Qが付与されているため、従来の、単に印刷されたり転写されたりしただけの色模様とは異なった、興趣に富む印象を呈する。このため、アイキャッチ効果の高い商品となる。そして、このコンパクト容器の美麗な外観は、耐久性を有するため、長期にわたって良好に使用することができる。
なお、上記の例は、白色と青色が混じり合った濃淡模様Pが付与されたベース体3に、赤色染料が分散含有された透明着色層4を重ねることによって濃淡重なり模様Qを得たが、ベース体3の濃淡模様Pの色と、透明着色層4の色とは、すでに述べたように、互いに異なる色でなければならない。しかも、互いに同系色や類似色であるよりも、補色あるいは補色に近い関係にある色の組み合わせであることが好ましい。すなわち、互いの色相が近いと、ぼかし絵調の印象が曖昧になってアイキャッチ効果を低下するおそれがあるからである。なかでも、ベース体3の濃淡模様Pの濃い色または薄い色が、青色や緑色といった寒色系であり、透明着色層4の色が、赤色や橙色といった暖色系であると、得られる濃淡重なり模様Qが、より印象的な濃淡となり好適である。
また、上記の例では、蒸着層5とトップコート層6を形成した後、レーザ照射を行って濃淡重なり模様Qを現出させた[図4(b)を参照]が、トップコート層6は、レーザ照射の後に形成しても差し支えない。すなわち、図6(a)に示すように、透明着色層4の上に蒸着層5を形成した後、レーザ照射を行い、蒸着層5を部分的に除去し、その除去部において濃淡重なり模様Qを現出させる。そして、図6(b)に示すように、その上から、蒸着層5の除去部も含めて、全面的にトップコート層6を形成することができる。
このようにして得られた濃淡重なり模様付成形品も、上記の例と同様、手描きのようなぼかし絵調の濃淡重なり模様Qを有し、興趣に富むものとなる。ただし、この場合、トップコート層6は、濃淡重なり模様Qの濃淡や色調を妨げないよう、できるだけ無色透明であることが望ましい。
さらに、上記の例では、ベース体3の表面に、透明着色層4と、蒸着層5と、トップコート層6を、この順で、一層ずつ形成したが、これらの層を、転写箔から転写することによって形成してもよい。すなわち、図7(a)に示すように、まず、透明着色層4′と、蒸着層5と、トップコート層6と、基材層11とが、この順で設けられた転写箔を準備する。ただし、上記透明着色層4′は、ベース体の濃淡模様Pにおける濃い色と薄い色とは異なる色の着色剤が分散含有された透明接着剤組成物からなり、接着性を備えたものでなければならない。
そして、図7(b)に示すように、この転写箔の、接着性のある透明着色層4′をベース体3に当てて転写箔を貼り付け、貼り付けられた転写箔から基材層11を剥がして除去する。このようにして、ベース体3の表面に、透明着色層4′と蒸着層5とトップコート層6とがこの順で積層された中間体を得ることができる。そこで、上記の例と同様、レーザ照射によって、蒸着層5とトップコート層6を部分的に除去して、濃淡重なり模様Qを現出させることができる[図4(b)を参照]。
このようにして得られた濃淡重なり模様付成形品も、上記の例と同様、手描きのようなぼかし絵調の濃淡重なり模様Qを有し、興趣に富むものとなる。
また、どの段階でトップコート層6を形成するにしても、蒸着層5の表面に、ホログラム形成層やパール調付与層等の任意の層(「他の層」という)をさらに形成した後、これらの層を介してトップコート層6を形成してもよい。これらの層を付加すると、より複雑な金属光沢色調を得ることができ、蒸着層5のみを用いた場合とはまた違った印象のデザインを提供することができる。
同様に、蒸着層5の表面に、他の層として、セミハードコートタイプの塗料を用いたミドルコート層20を形成した後、トップコート層6を形成し、レーザ照射によって、これらの層を部分的に除去して、濃淡重なり模様Qを現出させることができる[図8(a)を参照]。あるいは、蒸着層5の表面に、セミハードコートタイプの塗料を用いたミドルコート層20を形成した後、レーザ照射によって、これらの層を部分的に除去して、濃淡重なり模様Qを現出させ、その上から、レーザ照射による除去部も含めて、全面的にトップコート層6を形成することもできる[図8(b)を参照]。このように、蒸着層5とトップコート層6の間にミドルコート層20を介在させると、全体の耐久性が向上し、より長期にわたって、美麗な外観を維持することができる。
さらに、図7(a)に示すような転写箔を用いる場合も、例えば蒸着層5とトップコート層6の間にミドルコート層20が形成された転写箔を用いることができる。
そして、前記の例は、本発明をコンパクト容器の蓋部2に適用したものであるが、濃淡重なり模様Qを施す対象は容器に限らず、各種の樹脂成形品、あるいは樹脂成形品に他の部材を組み合わせた成形品等に適応可能である。例えば、携帯電話、文房具、家電製品、各種ケース等に広く応用することができる。
[実施例1〜5、比較例1〜5]
後記の表1〜表4に示すように、基本的な構成は図1に示す蓋部2と略同一で、濃淡の程度が異なる濃淡重なり模様Qが付与された蓋部を製造した(実施例1〜5)。また、その構成の一部を、後記の表1〜表4に示すように変えたものを、上記実施例1〜5に準じて製造した(比較例1〜5)。
そして、得られた各蓋部の濃淡重なり模様Q(もしくはこれに準じる模様)を、専門モニター5名で評価し、◎:ぼかし絵調の印象が強く非常に興趣に富む、〇:ぼかし絵調の印象で興趣に富む、△:ぼかし絵調が曖昧で特に興趣に富むとはいえない、×:特別な印象がない、の4段階で評価した。その結果を下記の表1〜表4に併せて示す。なお、色の明度L*1〜L*4については、測色計(日本電色工業社製、分光色差計 SE6000、光源:C光源2°)で計測した。
Figure 0006799849
Figure 0006799849
Figure 0006799849
Figure 0006799849
上記の結果から、実施例1〜5品は、いずれも、ぼかし絵調の興趣に富む濃淡重なり模様Qが得られている。これに対し、比較例1〜5品は、いずれも興趣に富む濃淡重なり模様Qが得られていないことがわかる。
[実施例6]
透明着色層として、緑色の着色剤を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、濃淡重なり模様付成形品を得た。得られた濃淡重なり模様Qが、青色の濃淡と緑色の濃淡が重なるものであり、美麗なぼかし調模様であることは認識できるが、実施例1〜5品に比べてやや印象が弱いものとなった。
[比較例6]
ベース体として、青色単色のものを用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、透明着色層に由来する濃淡模様を有する濃淡模様付成形品を得た。しかし、濃淡模様が単調で、実施例1〜6品のように、ぼかし絵調の興趣に富むものではなかった。
本発明は、独特の印象を与える濃淡重なり模様が付与された、濃淡重なり模様付成形品を提供するために広く利用することができる。
2 蓋部
3 ベース体
4 透明着色層
5 蒸着層
6 トップコート層
P 濃淡模様
Q 濃淡重なり模様

Claims (9)

  1. 濃い色と薄い色が混じり合う濃淡模様Pが付与された模様付成形品を準備する工程と、上記模様付成形品の少なくとも一部に、上記濃い色と薄い色とは異なる色の着色剤が分散含有されたアンダーコート用透明樹脂組成物を用いて、上記着色剤による色の濃淡があり透明性を有する透明着色層を形成する工程と、上記透明着色層の上に蒸着層を形成する工程と、上記蒸着層の上に、直接もしくは他の層を介してトップコート層を形成する工程と、上記模様付成形品に形成された複数の層のうち、透明着色層以外の層をレーザ照射によって部分的に除去し、その除去跡において、透明着色層の色の濃淡とその下の濃淡模様Pとが重なった濃淡重なり模様Qを現出させる工程と、を備えた濃淡重なり模様付成形品の製法であって、
    上記透明着色層を形成する工程において、上記透明着色層における層の厚みを不均一に形成し、厚みが薄いところでは色が薄くなり厚みが厚いところでは色が濃くなることにより色の濃淡を生じさせるとともに、
    上記模様付成形品の濃淡模様Pにおいて、最も薄い色の明度(L*1)と、最も濃い色の明度(L*2)の差(L*1−L*2)が、50〜10であり、
    上記レーザ照射による除去跡の濃淡重なり模様Qにおいて、最も薄い色の明度(L*3)と最も濃い色の明度(L*4)の差(L*3−L*4)が、45〜10であることを特徴とする濃淡重なり模様付成形品の製法。
  2. 濃い色と薄い色が混じり合う濃淡模様Pが付与された模様付成形品を準備する工程と、上記模様付成形品の少なくとも一部に、上記濃い色と薄い色とは異なる色の着色剤が分散含有されたアンダーコート用透明樹脂組成物を用いて、上記着色剤による色の濃淡があり透明性を有する透明着色層を形成する工程と、上記透明着色層の上に蒸着層を形成するか蒸着層と他の層をこの順で形成する工程と、上記蒸着層もしくは蒸着層と他の層をレーザ照射によって部分的に除去し、その除去跡において、透明着色層の色の濃淡とその下の濃淡模様Pとが重なった濃淡重なり模様Qを現出させる工程と、上記濃淡重なり模様Qが現出した模様付き成形品の表面に、直接もしくは他の層を介してトップコート層を形成する工程と、を備えた濃淡重なり模様付成形品の製法であって、
    上記透明着色層を形成する工程において、上記透明着色層における層の厚みを不均一に形成し、厚みが薄いところでは色が薄くなり厚みが厚いところでは色が濃くなることにより色の濃淡を生じさせるとともに、
    上記模様付成形品の濃淡模様Pにおいて、最も薄い色の明度(L*1)と、最も濃い色の明度(L*2)の差(L*1−L*2)が、50〜10であり、
    上記レーザ照射による除去跡の濃淡重なり模様Qにおいて、最も薄い色の明度(L*3)と最も濃い色の明度(L*4)の差(L*3−L*4)が、45〜10であることを特徴とする濃淡重なり模様付成形品の製法。
  3. 上記透明着色層を形成する工程において、アンダーコート用透明樹脂組成物を不均一にスプレー塗装し、層の厚みを不均一に形成することによって色の濃淡を生じさせるようにした請求項1または2記載の濃淡重なり模様付成形品の製法。
  4. 濃い色と薄い色が混じり合う濃淡模様Pが付与された模様付成形品を準備する工程と、上記濃い色と薄い色とは異なる色の着色剤が分散含有された透明接着剤組成物からなり、上記着色剤による色の濃淡があり透明性を有する透明着色層と、蒸着層もしくは蒸着層と他の層と、トップコート層と、基材層とが、この順で設けられた転写箔を準備する工程と、上記模様付成形品の少なくとも一部に、上記転写箔の透明着色層側を当てて転写箔を貼り付け、貼り付けられた転写箔から基材層を除去してトップコート層を露出させる工程と、上記模様付成形品に貼り付けられた転写箔に由来する複数の層のうち、透明着色層以外の層をレーザ照射によって部分的に除去し、その除去跡において、透明着色層の色の濃淡とその下の濃淡模様Pとが重なった濃淡重なり模様Qを現出させる工程と、を備えた濃淡重なり模様付成形品の製法であって、
    上記転写箔の透明着色層において、層の厚みが不均一に形成され、厚みが薄いところでは色が薄くなり厚みが厚いところでは色が濃くなることによって色の濃淡が生じており、
    上記模様付成形品の濃淡模様Pにおいて、最も薄い色の明度(L*1)と、最も濃い色の明度(L*2)の差(L*1−L*2)が、50〜10であり、
    上記レーザ照射による除去跡の濃淡重なり模様Qにおいて、最も薄い色の明度(L*3)と最も濃い色の明度(L*4)の差(L*3−L*4)が、45〜10であることを特徴とする濃淡重なり模様付成形品の製法。
  5. 上記濃淡模様Pの濃い色または薄い色が、寒色系の色であり、透明着色層の色が、暖色系の色である請求項1〜4のいずれか一項に記載の濃淡重なり模様付成形品の製法。
  6. 上記レーザ照射によって濃淡重なり模様Qを現出させる工程において、レーザとして、YAGレーザ、YVO4レーザもしくは半導体レーザのいずれかを用いるようにした請求項1〜5のいずれか一項に記載の濃淡重なり模様付成形品の製法。
  7. 濃い色と薄い色が混じり合う濃淡模様Pが付与された模様付成形品の少なくとも一部に、上記濃い色と薄い色とは異なる色の濃淡があり透明性を有する透明着色層と、蒸着層とが、この順に設けられ、さらにその上に、直接もしくは他の層を介してトップコート層が設けられており、上記透明着色層以外の層が部分的に除去され、その除去跡において、透明着色層の色の濃淡とその下の濃淡模様Pとが重なった濃淡重なり模様Qが現出している濃淡重なり模様付成形品であって、
    上記透明着色層において、層の厚みが不均一に形成され、厚みが薄いところでは色が薄くなり厚みが厚いところでは色が濃くなることによって色の濃淡が生じており、
    上記除去跡の濃淡重なり模様Qにおいて、最も薄い色の明度(L*3)と最も濃い色の明度(L*4)の差(L*3−L*4)が、45〜10であることを特徴とする濃淡重なり模様付成形品。
  8. 濃い色と薄い色が混じり合う濃淡模様Pが付与された模様付成形品の少なくとも一部に、上記濃い色と薄い色とは異なる色の濃淡があり透明性を有する透明着色層と、蒸着層もしくは蒸着層と他の層とが、この順に設けられており、上記蒸着層もしくは蒸着層と他の層が部分的に除去され、その除去跡において、透明着色層の色の濃淡とその下の濃淡模様Pとが重なった濃淡重なり模様Qが現出し、その濃淡重なり模様Qが現出した模様付き成形品の表面に、直接もしくは他の層を介してトップコート層が設けられている濃淡重なり模様付成形品であって、
    上記透明着色層において、層の厚みが不均一に形成され、厚みが薄いところでは色が薄くなり厚みが厚いところでは色が濃くなることによって色の濃淡が生じており、
    上記除去跡の濃淡重なり模様Qにおいて、最も薄い色の明度(L*3)と最も濃い色の明度(L*4)の差(L*3−L*4)が、45〜10であることを特徴とする濃淡重なり模様付成形品。
  9. 上記濃淡模様Pの濃い色または薄い色が、寒色系の色であり、透明着色層の色が、暖色系の色である請求項7または8記載の濃淡重なり模様付成形品。
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