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JP6797405B2 - 液滴体積推定装置及び輸液装置 - Google Patents

液滴体積推定装置及び輸液装置 Download PDF

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JP6797405B2
JP6797405B2 JP2016215907A JP2016215907A JP6797405B2 JP 6797405 B2 JP6797405 B2 JP 6797405B2 JP 2016215907 A JP2016215907 A JP 2016215907A JP 2016215907 A JP2016215907 A JP 2016215907A JP 6797405 B2 JP6797405 B2 JP 6797405B2
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Description

本発明は、液滴体積推定装置及び輸液装置に関し、正確な量で輸液を行うために液滴の正確な体積を推定する液滴体積推定装置及びその機能を有する輸液装置に関する。
現状の一般的な輸液装置では、落滴を検出する赤外線センサを用いた落滴センサによって、点滴筒の滴下ノズルの先端から液滴となって落滴している状態を検出して液滴の滴数をカウントし、各液滴の体積が同一であると仮定した前提のもとで、投液量及び投液速度を演算し、フィードバック制御によって輸液ポンプの制御を行う等してきた。
ところで、前記各液滴の体積は投液の種類や使用する点滴筒の固体差、投液速度等により変化することがある(非特許文献1参照)。例えば、近年症例数が急激に増加している抗癌剤を投液する際、抗癌剤の種類により使用する点滴筒の液滴体積許容差±10%以上の体積差がある抗癌剤が投薬されるようになった。具体的には、投薬種によって液滴体積の変化が30〜80%マイナスということも起っている。これに対し、薬事法では、各々の条件に合わせた許容精度として±10%の誤差が認められているにすぎない。そのために、看護士等が各々の抗癌剤に合わせた流量の補正値表をもとに確認し、具体的には液滴体積の変化が30〜80%マイナスということに対応すると通常の流量設定値に対して130〜180%の流量設定に補正する必要があるなど、その補正値に合わせた設定をする為にヒューマンエラーを生む可能性が高くなっている。
一方、液滴の体積を算出する技術も提案されてきている(特許文献1)。特許文献1は、落滴センサとして複数枚の撮影データを得る二次元イメージセンサーを用い、しかも複数の二次元イメージセンサーとして上部検出センサと下部検出センサとを設けている。そして、上部検出センサが滴下ノズル先端から液だまりが成長し、液滴となって落下した後の残渣を超える程度の位置に設定され、下部検出センサが滴下ノズル先端から液滴の落下に際して生じる括れを超えた程度の位置に設定され、撮影データに基づいて、薬液が滴下ノズルを離れて落下する液滴が生じたことを判別することにより、該薬液の滴下ノズルから滴下された直後の液滴の画像データを特定し、画像データの液滴の体積を算出することにしている。
特許第5583939号公報
可視化情報学会論文集Vol.26 No.7(2006年7月)pp.62-68 液滴形成過程の高速度撮影 佐藤光太郎、廣瀬智水、古屋興二著
しかしながら、液滴の体積を同一と仮定せずにより正確に各液滴の体積を算出して推定するためには特許文献1でも行われているように液滴体積の推定に最適な状態として液滴になった瞬間を捉えることが必要になってくるが、一般的にも薬液が滴下ノズルを離れて落下する液滴が生じたことを判別すること自体が簡単ではなく、その結果、特許文献1の技術においても、上部検出センサと下部検出センサとの2つが用いられ、さらに複数の撮像データ(動画を含む)から滴下ノズルから滴下された直後の液滴の画像データを特定するという複雑な構造による複雑な処理が必要とされている。
ゆえに、本発明は、正確な量で患者に輸液を行うために液滴の体積を推定する際の構造と処理を複雑化せずに簡単にして小型化を図りながらも液滴の体積の推定についてもできるだけ正確性を求めた液滴体積推定装置と、その機能を有して可能な限り実測値に近い正確な量で患者に輸液を行う輸液装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点は、点滴筒における薬液が滴下ノズルによって前記薬液の上流側とは分離された液滴になって落滴するときの液滴体積を推定する液滴体積推定装置であって、前記薬液の上流側とは分離された液滴になって落滴することを検出する落滴検出手段と、前記落滴検出手段によって検出される過去の複数の連続する液滴による落滴の時間間隔を計測する計測手段と、前記計測手段によって計測された時間間隔に基づき、将来の前記薬液の上流側とは分離された液滴になったとみなす時点を推定して決定する液滴時点決定手段と、前記液滴時点決定手段によって液滴になったとみなす時点の液滴の状態を撮像可能な撮像手段と、前記撮像手段が撮像して得られた撮像画像に基づいて前記液滴の体積を演算して推定する推定手段とを備えたものである。ここで、本発明の第1の観点では、常に実際に液滴となった瞬間に撮像するわけではなく、落滴の時間間隔から液滴となった時点とみなすタイミングを推定して決定して撮像するものであるが、液滴状態或いは少なくても液滴に近い状態で得られた1つの撮像画像から体積推定をできるだけ正確に行えるものであり、体積推定のための演算処理は複雑化しなくて済むものとできる。
なお、前記過去の複数の液滴の数は少なくとも3滴は必要となる。これにより、少なくとも2つの落滴の時間間隔の計測が可能になり、そのトレンドが明らかになる。例えば、このトレンドが予め決められた基準を満たすことにより、上記液滴になったとみなす時点をより確実に推定して決定でき、撮像手段でそのときの液滴の画像を撮像すれば、実際に液滴となった時点の画像或いは液滴になった時点に近い状態での画像が得られるものとなる。
本発明の第2の観点は、点滴筒における薬液が滴下ノズルによって前記薬液の上流側とは分離された液滴になって落滴し、下流側では落滴した薬液を、輸液チューブを介して、定められた流量条件に応じた流量で患者に輸液する輸液装置であって、前記薬液の上流側とは分離された液滴になって落滴するときの液滴体積を推定する液滴体積推定手段を備え、前記液滴体積推定手段は、前記薬液の上流側とは分離された液滴になって落滴することを検出する落滴検出手段と、前記落滴検出手段によって検出される過去の複数の連続する液滴による落滴の時間間隔を計測する計測手段と、前記計測手段によって計測された時間間隔に基づき、将来の前記薬液の上流側とは分離された液滴になったとみなす時点を決定する液滴時点決定手段と、前記液滴時点決定手段によって液滴になったとみなす時点の液滴の状態を撮像可能な撮像手段と、前記撮像手段が撮像して得られた撮像画像に基づいて前記液滴の体積を演算して推定する推定手段とを含み、前記定められた流量条件に応じた流量で患者に輸液するために、前記推定手段によって推定された液滴体積に基づいて前記輸液チューブを通過する薬液の流量を調整する流量調整手段を備えたものである。
なお、第2の観点において、操作ボタンが操作されたことをトリガとし、それに応答して、液滴体積推定手段が動作して液滴の体積を推定するとともに流量調整手段が動作してその推定された体積に基づいて輸液チューブを通過する薬液の流量調整を行ってもよい。また、操作ボタンが操作されたことをトリガにすることに代えて、落滴の時間間隔のトレンドが予め定めた基準を満たすことをトリガとしてもよい。
本発明によれば、1つの液滴の落下に対して、複数の撮像手段を用いて撮像した複数の画像データ(動画を含む)が必要とされず、過去の落滴の時間間隔を用いて将来の液滴になった瞬間と推定される液滴時点を導きつつ、1つの撮像手段によってワンショットでの撮影による体積推定のための画像データを得れば済む。したがって、シンプルな構成と処理としつつも、液滴の体積推定の正確性も求めることができる。特に、落滴の時間間隔の傾向を直前の例えば3滴分のような複数の落滴の時間間隔から導くようにすれば、落滴の時間間隔のトレンドに沿った液滴になった瞬間と推定される液滴時点の特定の精度が高くなり、より精度のよい体積の推定が行える。それにより、実測値に近づく正確な量での患者への輸液を行うことが可能になる。
本発明の実施の形態における輸液注入システムを使用する状態を示す全体図である。 図1の輸液注入システムの自動輸液装置の本体を示す斜視図である。 図2の自動輸液装置の本体に破線で示した点滴筒を装着する状態を示した図である。 図3のS−S断面の概略図である。 図4の点滴筒と撮像センサ(カメラ)と落滴センサとの位置関係を示す図である。 図5の撮像センサ(カメラ)で撮像される液滴の状態を説明するための図である。 図2の自動輸液装置の制御手段とそれに関係する構成を示すブロック図である。 図2の自動輸液装置の全体の動作を示すフロー図である。 図8の全体のフロー図における(step10)から(step16)を説明するフロー図であって図5の液滴ノズルから滴下される液滴の体積を求めて投液を継続する場合の例を示したフロー図である。 流量による液滴サイズの変化の一例を示したグラフである。
以下に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は本発明の実施の形態における輸液注入システムを使用する状態を示す全体図である。ここでの輸液注入システム1は、自然落下式としている。
輸液注入システム1は、輸液容器3に接続される輸液セット5と、自動輸液装置7とを備えている。輸液容器3は輸液スタンド9の頂部に吊り下げられている。自動輸液装置7は取付アーム10により輸液スタンド9に取り付けられている。輸液セット5は、輸液容器3に接続される導入針11と、導入針11にチューブ13aを介して繋がる点滴筒15と、点滴筒15にチューブ13bを介して繋がる手動クレンメ17と、手動クレンメ17にチューブ13cを介して繋がる輸注針19とを備える。手動クレンメ17は輸液セット5の流量を調整するものである。輸注針19は患者の腕等に差し込まれるものである。
図2は図1の輸液注入システムの自動輸液装置の本体を示す斜視図である。図3は図2の自動輸液装置の本体に破線で示した点滴筒を装着する状態を示した図である。図4は図3のS−S断面の概略図である。図5は図4の点滴筒と撮像センサ(カメラ)と落滴センサとの位置関係を示す図である。
図2及び図3に示すように、ここでは、点滴筒40は自動輸液装置30の本体に3方向から包み込まれるように装着される。
自動輸液装置7には、点滴筒15が装着される点滴筒装着部21が設けられている。点滴筒装着部21には点滴筒押え部23が設けられている。また、自動輸液装置7には、上部に点滴筒ハンガー24が設けられ、点滴筒装着部21の下部位置にチューブドア25も設けられている。チューブドア25はチューブ13bを位置決めするとともに保持できるものとしている。このチューブドア25は、さらに、チューブ13bの位置決めだけでなく、それに繋がった点滴筒15の装着を適切な位置で正しい装着にすることを担保できるものという役割も果たしている。
また、自動輸液装置7には、落滴センサ27が、図5に示すように、点滴筒15の液滴ノズルの先端である薬液流出口16から高さh分だけ下の位置に設けられており、落滴センサ27は、液滴になって落下する薬液の落滴を検出する。ここで、高さhは、現状の既存製品では16mm±1.5mmである。さらに、自動輸液装置7には、薬液流出口16で液滴化して液滴になっていく状態を撮影できる撮像センサ26も設けられている。
さらに、自動輸液装置7には、操作パネル28が設けられ、LED表示部29、警報表示部31、固定フック33、LCD表示部35、電源キー37、液量キー39、時間/流量キー41、アップキー43、ダウンキー45、スタートキー47、ストップ/警報停止キー49、開放キー51、音量キー53、輸液セットキー55、流量調整部(チューブクランプ)57が、設けられている。
LED表示部29、警報表示部31、LCD表示部35については、必要に応じた表示を行う。液量キー39、時間/流量キー41、アップキー43、ダウンキー45、スタートキー47、ストップ/警報停止キー49、開放キー51、音量キー53、輸液セットキー55は、自動輸液装置7側で輸液の注入の条件を設定するため等に操作され、自動輸液装置7が動作する前に設定される。流量調整部(チューブクランプ)57は、チューブ13bを流れる流量を調整する。
図6は図5の撮像センサ(カメラ)で撮像される液滴の状態を説明するための図である。図7は図2の自動輸液装置の制御手段とそれに関係する構成を示すブロック図である。以下、撮像センサ26が撮像する画像データについて説明する。
まず、撮像センサ26は、図6(E)の状態である液滴した瞬間である分離状態を撮像することが期待されている。これは、液滴になった瞬間は2次元の画像データの中で液滴の状態が2次元の円形の状態と捉えることができ、液滴の体積を推定するのが複雑な演算処理が必要とならず、より実測に近い体積の推定を行えるからである。
自動輸液装置7は、図6(E)の液滴になった分離状態の瞬間のタイミングを、動画や複数の画像データを撮像して画像解析するのではなく、落滴センサ27が各落滴を検出して時間間隔を計測し、時間間隔と上記hという高さとを基にして、推定して決定することにしている。そして、撮像センサ26によるワンショットの撮像では、図6(E)の状態を撮像することが期待されている。ここで、図6(E)に示す分離状態に向かって液滴化する過程としては、図6(A)、図6(B)、図6(C)、図6(D)に示されるネッキング状態がある。そのため、自動輸液装置7は、図6(E)の状態での撮像が全てにおいてできないとしても、上記した撮像タイミングの決定によって、できるだけ図6(E)に近い図6(D)の状態で撮像するように、液滴になったとみなす時点を推定により決定している。ここで、図6(D)の状態で撮像された場合には、推定するための近似等を用いた演算処理を行って、体積推定を行うようにしている。なお、この状態での体積推定については、全部の液滴の体積が同一と仮定した場合に比べると、薬事法で認められていない薬液の種類等によって流量測定(ml/h)の±10%の変動も起り得る状況からすれば、図6(C)の状態での体積推定であってもより実測に近い体積推定が行える可能性は高いものと考えている。
なお、液滴になった時点の決定を正確にすべく、一定時間経過して落滴の時間間隔が落ち着いたと思われるタイミングで操作パネル28の操作ボタンが操作されることをトリガにして、或いは、一定時間経過して落滴の時間間隔が落ち着いたことを予め定めた基準と比較してそれが満たされることをトリガにして、液滴の撮像を行って体積推定を行ってもよいが、それまでの液滴については同一の体積と仮定した計算を行えばよい。そのようにしても、全てを同一の体積と仮定した場合に比べれば格段の効果が得られ、薬事法の要求を満たすものとしながら、輸液チューブを通過する薬液の流量を調整する流量調整を行うものとできる。なお、体積推定用の専用の操作ボタンを新たに設けてもよく、既存の操作ボタンにその機能を持たせてもよい。
ここで、一定時間が経過して落滴の時間間隔が落ち着くタイミングとしては、複数の時間間隔が得られるために少なくとも3滴の落滴が必要になるが、例えば流量の多い落滴状態から少ない落滴状態に移行して安定した落滴を検知しようとすると、好ましくは4滴あれば、さらに時間間隔のトレンドが明確になって5滴目になれば液滴になる瞬間の推定が確実になってくることが分かってきている。なお、一般論として、落滴開始から落滴センサで落滴を検出するまでの時間は約10msであり、それから推定する撮像タイミングの修正は±2ms程度であることが分かってきている。このブレについては、人による視認では判断し難い値であり、落滴の時間間隔を計測することの意義が大きいことは言うまでもない。
また、全ての落滴に対して撮像と体積推定を行ってもよいが、その場合には、図6(D)等の液滴になる前の状態での撮像となってしまう可能性が高いため、上記したように、体積推定の演算処理の点で工夫すべきことが出てくる。この点については、上記したように、撮像センサ26が実際に液滴となった瞬間を判別して撮像するわけではなく、落滴の時間間隔から液滴となった時点とみなすタイミングで液滴化した状態のものを撮像することに起因している。つまり、常に完全な液滴状態だけの撮像画像を得られるわけではないことからすると、体積推定の演算処理においては工夫が必要となるとも言える。しかしながら、液滴となったとみなす時点の決定においても落滴の時間間隔を用いて決定しており、液滴になった状態で或いは少なくとも液滴になった状態に近い状態で撮像がなされるものであり、その画像から体積推定を行えるので、体積推定のための演算処理の複雑化は抑えられるものとなっている。そのため、薬事法でも精度の要求があり、人体に影響が出てしまう医療現場において、従来の体積が同一と仮定した場合に比べれば格段の正確な体積推定であり、複数のカメラを用いたりして複数の画像(動画)を得ることによって複雑な構成と処理とで液滴になる瞬間を正確に検出することは行わなくても、現場で必要とされる十分な精度で体積推定の正確さを求めつつ、構造と処理とを簡単化できて小型化できる点で、利点が大きいものと言える。
自動輸液装置7は、上記のような処理を行うために、図7に示すような構成を備えている。制御手段65には、落滴センサ27が接続され、撮像センサ26も接続されている。さらに、制御手段65には、入力手段67、表示手段69、演算手段71、時計手段73、音源手段75、メモリー77が接続されている。これらの入力手段67、表示手段69、演算手段71、時計手段73、音源手段75、メモリー77は、輸液セットの製造日時・場所、側管の位置と数、材質、ビン針の種類、点滴筒滴下量(滴/ml)についての情報の入力等の処理に必要とされる手段である。
落滴センサ27には、発光部27aと、受光部27bとが備えられ、この間を薬液の液滴が落滴することが検知される。検知信号が制御手段65に入力される。また制御手段65は、落滴センサ27の検知信号をもとに時計手段57の動作を制御しており、落滴の時間間隔の計測も行われるようになっている。計測された時間間隔は、メモリー77に記憶されている。メモリー77には、上記した高さhについてもデータとして記憶されている。
撮像センサ26は、図6(E)の液滴になった時点での状態を表す分離状態を撮像すべく、演算手段71がメモリー77に記憶された時間間隔と高さhに基づき、液滴になったとみなす時点を推定して決定し、ワンショットの撮像タイミングで撮像する。演算手段71は、撮像データに基づき、液滴の体積を演算して推定する。このような液滴の体積を推定する手段により体積推定装置が構成され、自動輸液装置7に組み込まれている。
制御手段65には、アクチェータ79を駆動させるドライバ81が接続され、制御手段65によりアクチェータ79が駆動して流量調整部(チューブクランプ)57による流量調整が行われる。制御手段65の動作等は、昇圧コンバータ83aを有する電源部83によって可能になっている。流量調整は、具体的には、上記した推定される液滴の体積の値によって、押圧体で狭圧と開放を間欠的に繰り返すことで行うようになっている。これにより、実際の流量が修正され、実測値により近い量での患者への輸液を行うことが可能になっている。
図8は図2の自動輸液装置の全体の動作を示すフロー図である。図9は図8の全体のフロー図における(step10)から(step16)を説明するフロー図であって図5の液滴ノズルから滴下される液滴の体積を求めて投液を継続する場合の例を示したフロー図である。
ステップ(step1)において、輸液セットの設定が行われる。この輸液セットの設定は図3の輸液セットキー55等が操作されて行われる。ステップ(step2)において、輸液予定量の入力が行われる。この入力は図3の液量キー39等が操作されて図7の入力手段67により行われる。ステップ(step3)において、1時間当たりの流量の入力が行われる。この入力は図3の時間/流量キー等が操作されて図7の入力手段67により行われる。ステップ(step4)において、単位時間当たりの流量の演算が行われる。この演算は、図7の演算手段71により行われる。ステップ(step5)において、落滴間隔の確定が行われる。ステップ(step6)では、輸液セット情報の保存が行われた上で、輸液セットの装着が行われた後の処理が行われる。
ステップ(step7)ではチューブクランプ57が閉じた状態となっているが、ステップ(step8)において手動クレンメ17の開放が行われ、ステップ(step9)ではチューブクランプが開き、ステップ(step10)では液滴落下の検出が行われる。以下、図9も参照して、液滴落下の検出は、図7の落滴センサ27によって行われる。図8のステップ(step11)では、設定流量の±10%以内か否かが判断される。設定流量の±10%以内でなければ、ステップ(step12)において輸液ラインの正常化、又は、輸液バックをあげる等の処理が行われて、設定流量の±10%以内となるようにループ処理が行われる。この処理の後のステップ(step13)において、液滴体積の算定が行われる。このステップ(step13)は、さらに具体的な処理としては、図9のステップ(step131)〜(step136)の処理が含まれる。
図9のステップ(step131)では、図7の落滴センサ27による検知に基いて時計手段73が落滴間隔の計測を行う。ステップ(step132)では、落滴間隔のトレンドがあるかが判断される。この判断には、少なくとも3滴の落滴検知が必要になる。落滴間隔のトレンドがあり、そのトレンドが落ち着くことで、ステップ(step133)では、演算手段71が、落滴の時間間隔と上記した高さhから画像取得のタイミングが決定できて確定している。このタイミングは、液滴となった瞬間とみなすタイミングである。ここで、画像処理による実際の液滴になった瞬間を見極めているのではなく、あくまでも落滴の時間間隔を用いて液滴になる瞬間を推定して液滴になったとみなす時点を決定して確定させている点が重要なポイントになっている。このように確定したタイミングで撮像センサ26が撮像するようにその動作を制御手段65が制御し、ステップ(step134)では、液滴になった分離状態或いはそれに近い状態でのワンショットの撮像を行えている。ステップ(step135)では、得られた画像から演算手段71により体積計算のプロセスが開始されて推定される体積が確定される。ステップ(step136)では、体積計算に準じた落滴間隔を確定する。
図8に戻って、ステップ(step14)では基準液滴体積に対して±10%以内であるか否かが判断され、基準液滴体積に対して±10%以内でなければステップ(step15)では流量調整部(チューブクランプ)57が動作して流量調整が行われて、液滴体積算定に合わせて落滴間隔が調整される。具体的には、例えば、液滴ノズルから落下する液滴体積の基準値を20滴/mlとして20滴の落滴で1mlとして設定しているのであれば1滴の体積は50mmとなり、±10%の誤差を許容しているとすると体積が45mm〜55mmの範囲を超えているか否かが判断される。基準液滴体積に対して±10%以内であれば、ステップ(step16)に示すように輸液の継続処理が行われる。なお、図8のステップ(step14)〜(step16)の処理を、図9のステップ(step137)〜(step139)に示すように別の捉え方で表現している。
以下、流量変化に伴う積算量の誤差に基づく流量による液滴サイズの変化などを考慮し、精度をより高める工夫について、説明する。
図10は一般的な20滴/mLの輸液セットを使用して流量変化に伴う積算量の誤差を測定したそのトレンドを表しているグラフである。ここで、横軸を流量とし、その流量に対応した積算量誤差を縦軸に設定し、流量変化による積算量の誤差が表されている。
図10を参照して、液滴の1つを測定することが簡単では無い為、各々の流量による一定の積算量を元に液滴のサイズを割り出すことを試みる。ここで、積算量は一定時間の液滴数カウントにて測定が可能となっている。医療用として認められている輸液セットの液滴サイズ誤差は±10%以内と定められている中、各輸液セットメーカーが設定している±0%の流量はほぼ100mL/h〜200mL/h付近となっており(図10では200mL/h)、バラ付きがある。そのバラ付きはメーカーが異なることでも発生し、同一製品であっても各固体差としても発生している。また、各輸液セットメーカーや前記固体差により、流量設定に相応する誤差の振れ幅もバラ付きがある状況にある。
図10から言えることは、流量が早くなれば液滴サイズは大きくなり、遅くなれば液滴サイズが小さくなる傾向が見える。この図10で表す流量200mL/hの液滴サイズは±0%であるが、その輸液セットを使用した場合の400mL/hでの補正値は−6%となる。逆に10mL/hでの補正値は+4%となり、流量変化における液滴サイズの補正も目標の±5%以内におさめることが可能と言える。このことは、図8等では±10%を基準にしていたものを±5%に精度をあげることが可能な視点とも言える。
このことについて、図6を用いて説明する。図6(A)〜(D)の液滴に形状変化するネッキング状態から、分離状態(E)に至る変化は、落滴間隔が短く(例えば2滴/1秒:20滴/mLの輸液セットでは360mL/hの流量)なれば、その変化のスピードは自ずと早くなりより短い時間の一瞬の撮影タイミングを得る必要が生じると共に、液滴化する形状は落滴間隔が長い状態と比較して表面張力を下方へ引っ張る力が強く作用し縦長になる。一方、落滴間隔が長くなり過ぎる(例えば1滴/9秒:20滴/mLの輸液セットでは20mL/hの流量)と、図6(A)〜(D)の液滴になるネッキング状態までの形状変化に時間がかかり過ぎ、分離状態(E)の撮影タイミングを計る為の正確な時間間隔のトレンドが掴みにくくなることが想定されると共に、相応の測定時間が必要となる事から実用的な測定流量(時間の間隔)を設定する事が望ましくなる。
つまり、過去の時間間隔の測定を1滴/1秒〜1滴/3秒(20滴/mLの輸液セットでは1滴/1秒では180mL/h、1滴/3秒では60mL/hの流量となる)程度の範囲内で固定的なトレンド測定をする事で、落滴形状の安定化と液滴になった瞬間と推定される液滴時点の特定精度を高くすることが可能となる。このような手法により、より精度が高いものとできる。
1・・・輸液注入システム、3・・・輸液容器、5・・・輸液セット、7・・・自動輸液装置、9・・・輸液スタンド、10・・・取付けアーム、11・・・導入針、13a,13b,13c・・・チューブ、15・・・点滴筒、16・・・薬液流出口、17・・・手動クレンメ、19・・・輸注針、21・・・点滴筒装着部、23・・・点滴筒押え部、24・・・点滴筒ハンガー、25・・・チューブドア、26・・・得撮像センサ、27・・・落滴センサ、27a・・・発光部、27b・・・受光部、28・・・操作パネル、29・・・LED表示部、31・・・警報表示部、33・・・固定フック、35・・・LCD表示部、37・・・電源キー、39・・・液量キー、41・・・時間/流量キー、43・・・アップキー、45・・・ダウンキー、47・・・スタートキー、49・・・ストップ/警報停止キー、51・・・開放キー、53・・・音量キー、55・・・輸液セットキー、57・・・流量調整部(チューブクランプ)、65・・・制御手段、67・・・入力手段、69・・・表示手段、71・・・演算手段、73・・・時計手段、75・・・音源手段、77・・・メモリー、79・・・アクチュエータ、81・・・ドライバ、83・・・電源部、83a・・・昇圧コンバータ

Claims (2)

  1. 点滴筒における薬液が滴下ノズルによって前記薬液の上流側に該当する前記滴下ノズルの先端である薬液流出口とは分離された液滴になって落滴するときの液滴体積を推定する液滴体積推定装置であって、
    前記薬液流出口から高さh分だけ下に位置し、前記薬液流出口とは分離された液滴になって落滴することを検出する落滴検出手段と、
    前記落滴検出手段によって検出される過去の複数の連続する液滴による落滴の時間間隔を計測する計測手段と、
    前記計測手段によって計測された時間間隔に基づき、将来の前記薬液流出口とは分離された液滴になったとみなす時点を前記高さhも考慮して推定して決定する液滴時点決定手段と、
    前記液滴時点決定手段によって液滴になったとみなす時点の液滴の状態を前記薬液流出口の位置で撮像可能な撮像手段と、
    前記撮像手段が撮像して得られた撮像画像に基づいて前記液滴の体積を演算して推定する推定手段とを備えた、液滴体積推定装置。
  2. 点滴筒における薬液が滴下ノズルによって前記薬液の上流側に該当する前記滴下ノズルの先端である薬液流出口とは分離された液滴になって落滴し、下流側では落滴した薬液を、輸液チューブを介して、定められた流量条件に応じた流量で患者に輸液する自動輸液装置であって、
    前記薬液流出口とは分離された液滴になって落滴するときの液滴体積を推定する液滴体積推定手段を備え、
    前記液滴体積推定手段は、
    前記薬液流出口から高さh分だけ下に位置し、前記薬液流出口とは分離された液滴になって落滴することを検出する落滴検出手段と、
    前記落滴検出手段によって検出される過去の複数の連続する液滴による落滴の時間間隔を計測する計測手段と、
    前記計測手段によって計測された時間間隔に基づき、将来の前記薬液流出口とは分離された液滴になったとみなす時点を前記高さhも考慮して推定して決定する液滴時点決定手段と、
    前記液滴時点決定手段によって液滴になったとみなす時点の液滴の状態を前記薬液流出口の位置で撮像可能な撮像手段と、
    前記撮像手段が撮像して得られた撮像画像に基づいて前記液滴の体積を演算して推定する推定手段とを含み、
    前記定められた流量条件に応じた流量で患者に輸液するために、前記推定手段によって推定された液滴体積に基づいて前記輸液チューブを通過する薬液の流量を調整する流量調整手段を備えた、自動輸液装置。
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