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JP6793809B2 - 圧力検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、圧力検出装置に関する。
自動車の環境対応や燃費向上の為に、電動モータによって油圧を発生させる油圧システムや、燃料に圧力を加えて噴射する燃料噴射システム等の採用が拡大している。これらのシステムでは、圧力を検出するために圧力センサが備えられている。一般的に圧力センサは、強度的な信頼性を確保するために金属製の筐体に収納されており、測定対象物である作動油や液体燃料等の圧力媒体が流れる金属配管にネジ締めによって取り付けられる。金属配管は、たとえば自動車のボディやエンジンなど、ボディGND電位の構造物に固定されている。そのため、圧力センサの金属筐体の電位は、金属配管と同様にボディGND電位となる。
圧力センサは、自動車に搭載された電子制御装置(ECU:Electoronic Control Unit)とハーネスを介して接続される。このハーネスの周囲に不要な電磁波が存在すると、ハーネスがアンテナとなって電磁波を拾い易くなる。すると、電磁波がハーネスを伝ってノイズとして圧力センサ内に流れ込む。圧力センサにおいて圧力を検出する検出素子は、金属筐体との間に絶縁層を介して配置されている。これは、検出素子とGND電位の間に容量が比較的大きい寄生容量が電気的に接続されていることに相当する。ハーネスから圧力センサに流れ込むノイズは交流であるため、上記の寄生容量が大きいほど、圧力センサから金属筐体にノイズが流れ易くなる。この時、途中にある処理回路をノイズが流れると、処理回路が誤動作を引き起こす。
上記の課題を解決するために、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、チップコンデンサを圧力センサ内に設置し、チップコンデンサの一方の電極をハウジングに電気的に接続することで、圧力センサに入力するノイズをチップコンデンサを介してハウジング10および被測定体に出力して、圧力センサのノイズに対する耐性を確保する技術が示されている。
特開2005−257442号公報
特許文献1に記載の技術では、基板とハウジングが導電性接着剤により接着されることで、基板の配線パターン上に実装されたチップコンデンサとハウジングが電気的に接続されている。そのため、配線パターンやハウジングと導電性接着剤との間には、異種金属接合が発生する。異種金属接合があると、金属が持つイオン化傾向の違いにより接合している金属間で電位差が発生するため、水分等によって閉回路が形成されると、電池作用によって腐食が発生しうるという問題がある。
本発明による圧力検出装置は、圧力媒体から受ける圧力により変形する変形部を有する金属筐体と、前記変形部の変形を検出することで前記圧力を検出する検出素子と、前記検出素子と電気的に接続されたリードフレームと、前記リードフレームを保持する構造体と、を備え、前記リードフレームが有する第1の面と、前記金属筐体が有する第2の面とは、絶縁体を間に挟んで所定間隔で対向して配置されており、前記構造体には、前記検出素子と前記リードフレームを介して電気的に接続されるコネクタ端子を挿入するための挿入部が形成されており、前記挿入部には、前記リードフレームと、前記コネクタ端子を押圧して前記リードフレームと接触させるための押圧部材とが配置されている
本発明によれば、異種金属接合を避けつつ、圧力センサの耐ノイズ性を向上させることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る圧力検出装置の構成を示す縦断面図である。 接続部材の外観を示す図である。 寄生容量を用いたコンデンサ形成について説明する図である。 回路上での寄生容量Cic及び、本発明のCtを付加した場合の作用を説明する図である。 リードフレームと金属筐体の位置関係を示す図である。 接着剤を利用して平行平板コンデンサを構成する場合の接続部材の形状例を示す図である。 圧力検出装置に対するEMC試験結果の例を示す図である。
以下、本発明を実施するための実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る圧力検出装置1の構成を示す縦断面図である。圧力検出装置1は、自動車に搭載されて用いられるものであり、センサ素子2、圧力ポート3、コネクタサブアセンブリー5、ベース部材6、接続部材7、リードフレーム8、および押圧端子9を備える。
圧力ポート3の上部には、測定対象とする圧力媒体の受圧面として作用する矩形状のダイアフラム3aが設けられている。ダイアフラム3aの上面、すなわち受圧面と反対側の面は、センサ素子2が載置される台座面3bである。圧力ポート3は、作動油や液体燃料等の圧力媒体をダイアフラム3aの受圧面に導入する。これにより、ダイアフラム3aが圧力媒体の圧力に応じて変形し、歪が発生する。センサ素子2は、たとえばダイアフラム3aの歪に応じた抵抗値の変化を測定することで、ダイアフラム3aの変形量すなわち歪量を検出し、それによって圧力媒体の圧力を検出する。
圧力ポート3とベース部材6は、いずれもSUS等の金属製であり、溶接等によって互いに接合されている。ベース部材6の上には、接続部材7が接着剤等によって固定されている。以下では、圧力ポート3とベース部材6を合わせたものを「金属筐体」と呼ぶ。なお、圧力ポート3とベース部材6を接合して金属筐体とするのではなく、圧力ポート3とベース部材6が一体形成されているものを金属筐体として用いても問題ない。
コネクタサブアセンブリー5は、コネクタ端子5aを有する。コネクタ端子5aには不図示のハーネスが接続される。圧力検出装置1は、このハーネスを介して自動車のECUと接続されることで、圧力検出結果をECUに出力する。コネクタサブアセンブリー5には、センサ素子2等を外部から遮蔽するためのカバー11が一体成形により設けられている。なお、カバー11はたとえば六角形状を有する。
接続部材7は、リードフレーム8を保持するための構造体である。接続部材7には、コネクタ端子5aを挿入するための挿入部が形成されている。この挿入部には、リードフレーム8の一端と押圧端子9とが配置されている。リードフレーム8の他端側には、ワイヤ10を用いたワイヤボンディングによりセンサ素子2と接続されるボンディング部が設けられている。ワイヤ10には、たとえばアルミニウム(Al)や金(Au)などが使用される。コネクタ端子5aを接続部材7の挿入部に挿入することで、ワイヤ10、リードフレーム8、コネクタ端子5aおよびハーネスを介して、センサ素子2がECUと電気的に接続される。
圧力検出装置1を組み立てる際には、リードフレーム8および押圧端子9が組み込まれた接続部材7をベース部材6の上に配置し、センサ素子2とリードフレーム8のボンディング部をワイヤ10で接続する。その後、異物等からセンサ素子2を保護するために、センサ素子2の表面にシリコーンゲル12をポッティングする。そして、コネクタ端子5aが接続部材7の挿入部に挿入された状態で、カバー11とベース部材6を溶接等により接合することで、コネクタサブアセンブリー5と金属筐体を一体化する。これにより、圧力検出装置1が構成される。
センサ素子2は、歪検出素子と処理回路がシリコン基板上に一体的に形成された1チップ構成の圧力検出素子である。そのため、処理回路をレイアウトするための回路基板は不要である。ダイアフラム3aにて受圧された圧力に対してセンサ素子2が発生した出力信号は、ワイヤ10、リードフレーム8、コネクタ端子5aを通り、ハーネスにてECUに伝送される。
次に、接続部材7、リードフレーム8および押圧端子9の詳細形状について、図2を参照して説明する。図2は、リードフレーム8および押圧端子9が組み込まれた接続部材7の外観を示す図である。図2において、左側の図は接続部材7の投影図であり、右側の図は平面図である。
図2に示すように、接続部材7には挿入部7cが形成されている。挿入部7cには、リードフレーム8の一端側に設けられたコネクタ接触部8bと、押圧端子9とが配置されている。なお、リードフレーム8の他端側には、センサ素子2とワイヤボンディングで接続するためのボンディング部8aが設けられている。押圧端子9はばね性を持っているため、コネクタ端子5aが挿入部7cに挿入されると、押圧端子9が変形してコネクタ端子5aをコネクタ接触部8bの方向に押圧する。これにより、コネクタ端子5aをコネクタ接触部8bに確実に接触させ、コネクタ端子5aとリードフレーム8との電気的な接続を確保することができる。
また、接続部材7には、コネクタ端子5aを挿入部7cに挿入する際に位置決めを行うための差し込みガイド7bが設けられている。差し込みガイド7bの位置や形状は、コネクタサブアセンブリー5に設けられている不図示の突起部の位置や形状に対応するように形成されている。もしも差し込みガイド7bが存在しないと、コネクタ端子5aを挿入部7cに挿入する際にコネクタ端子5aの位置や向きがずれてしまい、コネクタ端子5aがコネクタ接触部8bに正確に接触されない恐れがある。そこで、本実施形態では接続部材7に差し込みガイド7bを設けることで、コネクタサブアセンブリー5を組み込む際に、差し込みガイド7bがコネクタサブアセンブリー5の突起部と嵌合してコネクタ端子5aの位置決めが行われるようにしている。こうして位置決めされた状態でコネクタ端子5aが挿入部7cに挿入されることで、コネクタ端子5aをコネクタ接触部8bに正確に接触させることができる。
さらに、接続部材7には、チップコンデンサ等の電子部品が搭載される搭載部7aが設けられている。コネクタ端子5aは、搭載部7aへの電子部品の搭載に支障が生じないように、挿入部7cに挿入された際に搭載部7aに搭載された電子部品と干渉しないような形状にプレス成型されている。これにより、圧力検出装置1において回路基板の廃止が可能である。搭載部7aは、必要な電子部品を搭載した後、センサ素子2と同様にシリコーンゲル12でポッティングし、表面保護される(図1参照)。
次に、本実施形態の特徴である寄生容量を用いたコンデンサ形成について、図3および図4を用いて以下に説明する。
図3は、センサ素子2が載置された圧力ポート3の部分拡大図である。図3に示すように、センサ素子2は圧力ポート3の上に接合剤4を介して接合されている。なお、前述のように、センサ素子2は歪検出素子と処理回路が一体的に形成された1チップ構成を有している。接合剤4は、たとえば無機系接着剤などの絶縁体であり、センサ素子2の面積に比べて極めて薄い厚さで塗布されている。そのため、センサ素子2を含む回路上では、接合剤4を間に挟んだセンサ素子2と圧力ポート3の接合部分は、比較的容量の大きな寄生容量Cicとして作用する。
図4は、回路上での寄生容量Cicの作用を説明する図である。図4(a)はノイズ対策が行われていない場合の回路模式図を示し、図4(b)はノイズ対策用の容量Ctが設けられている場合の回路模式図を示している。これらの回路模式図において示すICおよび保護回路は、センサ素子2や接続部材7の搭載部7aに搭載された電子部品によって構成される回路を示している。
ノイズ対策が未実施である図4(a)の場合、保護回路を介してICに接続された配線からノイズが入力されると、ノイズはICと金属筐体との間に設けられた寄生容量Cicを伝って、ボディGND電位の金属筐体に流れ込む。その際、ノイズがICすなわちセンサ素子2の処理回路を通過することで、処理回路が誤動作を引き起こし、センサ素子2の出力が異常となる恐れがある。
一方、ノイズ対策を施した図4(b)の場合、配線と金属筐体との間にノイズパスとして作用する容量Ctが設けられているため、入力されたノイズはICを通らずに容量Ctを通って、ボディGND電位の金属筐体に流れ込む。そのため、ノイズによる処理回路の誤動作を回避し、センサ素子2の出力異常を防ぐことができる。
一般的にコンデンサは、インダクタンスや抵抗分などの寄生成分を無視すると、同一周波数では静電容量が大きいほどインピーダンスが小さくなり、AC電流が流れ易くなる。すなわち、コンデンサの静電容量をC[F]とすると、コンデンサのインピーダンスZ[Ω]は以下の式(1)で表される。
Z=1/(ωC) ・・・(1)
上記の式(1)において、ω[rad/s]はコンデンサを流れるAC電流の角周波数を表しており、これはAC電流の周波数f[Hz]を用いて以下の式(2)で表される。
ω=2×π×f ・・・(2)
上記のように、同じ周波数のAC電流であれば、静電容量Cが大きいほどインピーダンスZが小さくなり、AC電流が流れやすくなる。したがって、寄生容量Cicよりも容量Ctの値を大きくすることで、処理回路に流れ込むノイズを抑制し、センサ素子2のノイズ耐性を向上できることが分かる。
本実施形態では、リードフレーム8と金属筐体との間に絶縁体である接続部材7を配置することで、リードフレーム8と金属筐体の間に寄生容量を生じさせ、この寄生容量を上記の容量Ctとして用いることで、センサ素子2のノイズ耐性を向上している。以下ではこの点について、図5を参照して詳しく説明する。
図5は、リードフレーム8と金属筐体の位置関係を示す図である。図5では、リードフレーム8と金属筐体の位置関係を分かりやすくするため、コネクタサブアセンブリー5のうちコネクタ端子5aの先端部を除いた部分と、接続部材7とを除去して、圧力検出装置1の外観を示している。図5において、左側の図は正面図であり、右側の図は平面図である。
図5の右側でハッチング部に示したように、リードフレーム8においてボンディング部8aとコネクタ接触部8bの間にある部分には、ベース部材6と平行な平板状の領域である平行平板領域が形成されている。この平行平板領域は、なるべく幅広く形成されており、かつ、ベース部材6となるべく近接して配置されている。これにより、リードフレーム8と金属筐体とで平行平板コンデンサを形成し、ノイズパスとして作用する寄生容量Ctを積極的に発生させている。
図5には示されていないが、平行平板コンデンサが形成されている部分において、リードフレーム8と金属筐体(ベース部材6)の間には、樹脂等の絶縁体で構成された接続部材7が配置されている。そのため、空気の場合に比べて、絶縁体の比誘電率に応じた分だけ寄生容量Ctを大きくすることができる。なお、接続部材7とベース部材6を絶縁体の接着剤で接合し、この接着剤を含めて平行平板コンデンサの誘電体として利用してもよい。これにより、前述のように寄生容量Ctの静電容量値を寄生容量Cicよりも大きくし、センサ素子2のノイズ耐性を確保することができる。
従来技術では、ノイズパス用のコンデンサとしてチップコンデンサが用いられる。このチップコンデンサは、はんだ等で配線や金属筐体に接続されるため異種金属接合が発生し、腐食等の懸念が生じる。一方、本実施形態の圧力検出装置1では、リードフレーム8の平行平板領域における下側の面、すなわちベース部材6側の面と、金属筐体におけるベース部材6の上側の面とは、絶縁体である接続部材7の樹脂や接着剤を間に挟んで、所定間隔で対向して配置されている。これにより、リードフレーム8と金属筐体の間に平行平板コンデンサを形成し、この平行平板コンデンサによる寄生容量Ctをノイズパス用のコンデンサとして利用している。そのため、異種金属接合を避けつつ、圧力検出装置1の耐ノイズ性を向上させることが可能となる。さらに、チップコンデンサを使用しなくて済むため、部品点数の増加を避けることもできる。
なお、接続部材7をモールド樹脂で構成する場合、モールド成型時の制約により、リードフレーム8と金属筐体の間に配置できる最小の薄さが存在する。そのため、寄生容量Ctにおいて必要な静電容量値が得られない場合がある。そこで、接続部材7とは異なる形状の接続部材を用いて、リードフレーム8と金属筐体(ベース部材6)の間に接続部材の樹脂が配置されないようにして、接続部材とベース部材6を接合している接着剤を平行平板コンデンサの誘電体として利用してもよい。
図6は、接着剤を利用して平行平板コンデンサを構成する場合の接続部材の形状例を示す図である。図6(a)に示す接続部材13では、リードフレーム8の平行平板領域における下側の面、すなわちベース部材6側の面が接続部材13から露出された状態で、リードフレーム8が接続部材13に取り付けられる。リードフレーム8が取り付けられた接続部材13をベース部材6の上に載せると、接続部材13の底面、すなわち金属筐体(ベース部材6)に対向する接続部材13の面から、リードフレーム8の一部、すなわちリードフレーム8のベース部材6に対向する面が露出している状態となる。この状態で接続部材13を絶縁体の接着剤でベース部材6に張り付けると、接着剤が平行平板コンデンサの誘電体として作用し、リードフレーム8と金属筐体の間に寄生容量Ctが形成される。このとき、接着剤の量を制御して接着層の厚さを調節することで、寄生容量Ctにおいて所望の静電容量値を得ることができる。
また、図6(b)に示す接続部材14を用いてもよい。接続部材14の底面には、外縁に沿って形成された壁部14aと、壁部14aに囲われた充填部14bとが設けられている。充填部14bは、底面に対して壁部14aよりも窪んでいる。この接続部材14でも図6(a)の接続部材13と同様に、リードフレーム8の平行平板領域における下側の面、すなわちベース部材6側の面が接続部材14から露出された状態で、リードフレーム8が接続部材14に取り付けられる。リードフレーム8が取り付けられた接続部材14をベース部材6の上に載せると、壁部14aの底面が金属筐体(ベース部材6)と接触した状態となる。このとき、金属筐体に接続部材14を取り付ける際の位置決めを壁部14aによって行うようにしてもよい。さらに、壁部14aの突出形状に対応する溝や段差等を金属筐体側に形成しておき、この溝や段差等に壁部14aを合わせることで、接続部材14の位置決めが行われるようにしてもよい。また、金属筐体(ベース部材6)に対向する充填部14bの面から、リードフレーム8の一部、すなわちリードフレーム8のベース部材6に対向する面が露出している状態となる。この状態で充填部14bに絶縁体の接着剤を充填し、接続部材14をベース部材6に張り付けると、接続部材13の場合と同様に、接着剤が平行平板コンデンサの誘電体として作用し、リードフレーム8と金属筐体の間に寄生容量Ctが形成される。このときの接着層の厚さは、壁部14aの高さとなるため、リードフレーム8と金属筐体の間の距離のバラツキを抑えることができる。したがって、壁部14aの高さを調節することで、寄生容量Ctにおいて所望の静電容量値を正確に得ることができる。なお、充填部14bにおいてリードフレーム8の一部を露出させなくてもよい。
さらに、金属筐体に接続部材14を取り付けた際に、壁部14aの底面に対して金属筐体が充填部14b内でリードフレーム8側に突き出るような配置としてもよい。たとえば、頂上部が平坦なテーブル状の凸形状部分を金属筐体に形成しておき、接続部材14を取り付けるときには、この凸形状部分を充填部14bの凹み部分に挿入することで、上記のような配置を実現できる。または、前述のように壁部14aの突出形状に対応する溝を金属筐体に設けておき、この溝に壁部14aを嵌め込むことでも、上記のような配置を実現できる。これにより、前述したようなモールド成型時の制約による最小樹脂厚みよりも小さい距離で、金属筐体とリードフレーム8とを配置できるため、寄生容量Ctを増大させることが可能となる。
次に、リードフレーム8と金属筐体の間の距離について説明する。寄生容量Ctの静電容量値を大きくするためには、先に説明したように、なるべくリードフレーム8の平行平板領域を金属筐体に近づければよい。しかし、数百[V]程度の大きさのサージ電圧が入力された場合でも、リードフレーム8と金属筐体との間の絶縁を確保して導通状態にならないように、ある程度の距離を保つ必要がある。
空気の絶縁破壊は、一般的に電位傾度E[V/m]が3[MV/m]以上で発生することが知られている。絶縁体にボイド等の欠陥があった場合、絶縁破壊が起こると周囲の樹脂が炭化し、リードフレーム8と金属筐体が導通するなどの不具合につながり兼ねない。ここで、一般的にサージ試験で想定されているサージ電圧の値は、300[V]程度である。したがってこれらの値から、リードフレーム8と金属筐体の間の最小距離は0.1[mm]と計算される。
また、本実施形態の圧力検出装置1を用いてEMC試験を行った結果、寄生容量Ctが9[pF]を下回ると、期待したノイズ耐性を発揮しないことが確かめられた。ここで、平行平板コンデンサ容量C[F]は、極板の面積をA[m]、極板間距離をd[m]、誘電率をε[F/m]とすると、以下の式(3)で表される。
C=(εA)/d ・・・(3)
上記の式(3)において、圧力検出装置1に対応する値をA、εにそれぞれ代入し、C=9[pF]時の極板間距離dを算出すると、d=0.6[mm]と計算される。したがって、リードフレーム8と金属筐体の間の最大距離は0.6[mm]と求められる。
以上説明したように、圧力検出装置1におけるリードフレーム8と金属筐体の間の距離は、0.1[mm]〜0.6[mm]の範囲で設定することが望ましい。ただし、最大距離の0.6[mm]については、リードフレーム8の平行平板領域の面積や、リードフレーム8と金属筐体の間に挟まれて配置される接続部材や接着剤の誘電率に応じて変化するため、この限りではない。
また、圧力検出装置1のノイズ耐性を向上させるには、寄生容量Ctの静電容量値を大きくする代わりに、寄生容量Cicの静電容量値を小さくすることも効果的である。具体的には、たとえばセンサ素子2を圧力ポート3に接合する接合剤4を厚くすることで、寄生容量Cicの静電容量値を小さくすることができる。すなわち、前述の式(3)から、極板間距離dを大きくすると平行平板コンデンサ容量Cが小さくなることが分かる。そのため、センサ素子2の歪検出性能に影響のない範囲で接合剤4を厚くし、センサ素子2と圧力ポート3の間の距離を離すことで、寄生容量Ctの静電容量値を小さくして圧力検出装置1のノイズ耐性を向上させることが可能である。
なお、圧力検出装置1において寄生容量Ctを発生させる位置は、なるべく図4に示す回路の入口付近、すなわち接続部材7においてチップコンデンサ等の電子部品が搭載される搭載部7aよりも、コネクタ端子5a側の位置とすることが望ましい。この場合、センサ素子2から見た接続順序は、ワイヤ10、リードフレーム8のボンディング部8a、電子部品、寄生容量Ctの順となる。すなわち、リードフレーム8において、ボンディング部8aと平行平板領域との間の電気経路上に、搭載部7aに搭載された電子部品が接続されている。これにより、入力されたノイズを効果的に寄生容量Ctから金属筐体に流すことができるため、さらなるノイズ耐性の向上が図れる。
図7は、圧力検出装置1に対するEMC試験結果の例を示す図である。図7(a)は、これまで説明したノイズ対策用の構造を有さない場合のEMC試験結果の例を示し、図7(b)は、ノイズ対策用の構造を設けた場合のEMC試験結果の例を示している。図7(a)と図7(b)を比較すると、本実施形態のノイズ対策用の構造により、広い周波数範囲にわたって良好なノイズ耐性が得られることが分かる。
次に、寄生容量Ctを形成しているリードフレーム8とは別に設けられている押圧端子9のさらなる役割について説明する。押圧端子9は、前述のように挿入部7cにおいて、コネクタ端子5aをコネクタ接触部8bに接触させるためのバネを形成している。また、接続部材7のモールド成型時には、複数の押圧端子9がキャリアにより一体化されており、モールド完了後に切断工程を経て、各押圧端子9に分かれる。押圧端子9はリードフレーム8と同様に、金属筐体に近接して配置される。そのため、金属筐体に近接した露出部を利用して、静電気が印加されたときの放電ギャップとして押圧端子9を機能させることが可能である。
以上説明した本発明の一実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)圧力検出装置1は、圧力媒体から受ける圧力により変形する変形部、すなわちダイアフラム3aを有する金属筐体と、変形部の変形を検出することで圧力を検出するセンサ素子2と、センサ素子2と電気的に接続されたリードフレーム8と、リードフレーム8を保持する構造体、すなわち接続部材7とを備える。リードフレーム8が有する第1の面、すなわち平行平板領域における金属筐体側の面と、金属筐体が有する第2の面、すなわちベース部材6の上面とは、絶縁体である接続部材7の樹脂および接着剤の少なくとも一つを間に挟んで、所定間隔で対向して配置されている。このようにしたので、リードフレーム8と金属筐体の間に寄生容量を生じさせ、異種金属接合を避けつつ、圧力センサである圧力検出装置1の耐ノイズ性を向上させることができる。
(2)第1の面と第2の面との間の静電容量、すなわち寄生容量Ctの静電容量は、センサ素子2と金属筐体との間の静電容量、すなわち寄生容量Cicの静電容量よりも大きいことが好ましい。このようにすれば、センサ素子2に流れるノイズ量を減らして、ノイズによるセンサ素子2の誤動作を防ぐことができる。
(3)接続部材7には、センサ素子2とリードフレーム8を介して電気的に接続されるコネクタ端子5aを挿入するための挿入部7cが形成されている。挿入部7cには、リードフレーム8と、コネクタ端子5aを押圧してリードフレーム8と接触させるための押圧部材である押圧端子9とが配置されている。このようにしたので、コネクタ端子5aをリードフレーム8に確実に接触させ、コネクタ端子5aとリードフレーム8との電気的な接続を確保することができる。
(4)接続部材7には、コネクタ端子5aを挿入部7cに挿入する際に位置決めを行うためのガイド部、すなわち差し込みガイド7bが形成されている。このようにしたので、コネクタ端子5aの位置や向きのずれを防止し、押圧端子9によりコネクタ端子5aをリードフレーム8に確実に接触させることができる。
(5)接続部材7は、樹脂により形成されており、接続部材7の一部が絶縁体として、第1の面と第2の面との間に配置されている。このようにしたので、接続部材7の一部を誘電体として用いて、所望の静電容量を得ることができる。
(6)第1の面は、金属筐体に対向する構造体の面、すなわち接続部材13や接続部材14の底面から露出している構成としてもよい。このようにすれば、モールド成型時の制約に関わらず第1の面を金属筐体に近接させ、所望の静電容量を得ることができる。
(7)接続部材7、13または14は、接着剤により金属筐体と接合されている。この接着剤が絶縁体として、第1の面と第2の面との間に配置されているようにしてもよい。このようにすれば、接着剤の量を制御して接着層の厚さを調節することで、所望の静電容量を得ることができる。
(8)接続部材14は、金属筐体と接する接触面、すなわち壁部14aの底面と、接触面に対して窪んでおり接着剤が充填される充填部14bとを有する。このような接続部材14を用いれば、壁部14aの高さを調節することで所望の静電容量を正確に得ることができる。
(9)リードフレーム8は、センサ素子2とワイヤボンディングにより接続された接続部、すなわちボンディング部8aを有し、接続部と第1の面との間の電気経路上に、電子部品が接続されている。このようにしたので、さらなるノイズ耐性の向上が図れる。
(10)第1の面と第2の面との間の所定間隔は、0.1mm以上であることが好ましい。このようにすれば、絶縁破壊によるリードフレーム8と金属筐体の導通を避けることができる。
(11)金属筐体は、圧力媒体を変形部に導入する圧力ポート3と、接続部材7と接合されるベース部材6とを含む。このようにしたので、耐ノイズ性が高い圧力検出装置1を構成することができる。
なお、以上説明した実施形態では、歪検出素子と処理回路が一体となった1チップタイプのセンサ素子2を例に取り説明したが、1チップタイプ以外のセンサ素子、すなわち歪ゲージと処理回路が別々の基板上に形成されているセンサ素子においても、同様に本発明を適用可能である。この場合、一般的に歪ゲージは金属筐体に最も近い場所に絶縁された状態で配置されるため、歪ゲージと金属筐体の間に大きな静電容量値を有する寄生容量が形成される。そのため、ノイズがその寄生容量に流れ込む際に処理回路を通ることで、センサ素子の誤動作を引き起こす恐れがある。したがって、この場合でも実施形態と同様の対策が効果的である。
また、実施形態で説明した圧力検出装置1は、自動車に搭載され、作動油や液体燃料等の圧力媒体の圧力を検出するものとして説明したが、他の用途で用いられる圧力検出装置についても、同様に本発明を適用可能である。金属筐体にセンサ素子が絶縁された状態で近接して配置され、金属筐体がGND電位になっているものであれば、様々な圧力検出装置について、本発明によるノイズ耐性の向上を有効に作用させることができる。たとえば荷重を歪みとして検出するセンサでは、大きな力がセンサに印加されるため、受圧部分に樹脂等を使用できない。また、センサ素子の台座も強固に構成する必要がある。したがって、こうしたセンサの筐体は必然的に金属により構成されることとなり、実施形態で説明した圧力検出装置1と類似の構成となるため、本発明を同様に適用することでノイズ耐性の向上を図ることができる。
なお、上記センサにおいて使用されるセンサ素子についても前述のように、歪検出素子と処理回路が一体となった1チップタイプのセンサ素子であってもよいし、これらが別々の基板上に形成されていてもよい。いずれの場合でも、実施形態で説明したのと同様の作用効果が得られる。
本発明が適用される圧力検出装置は、実施形態で説明したようなドーナツ型の形状に限らず、他の形状であってもよい。これまでに説明したような技術要素が組み込まれていれば、どのような形状としても問題無い。
以上説明したように、圧力検出装置において本発明を適用することで、異種金属結合を発生させずにノイズパス用コンデンサを形成することができる。これはチップコンデンサを用いない構成であるため、接続信頼性の向上、コストダウン、そして省スペース化が期待できる。
以上説明した実施形態や各種変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記では種々の実施形態や変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
1 圧力検出装置
2 センサ素子
3 圧力ポート
3a ダイアフラム
3b 台座面
4 接合剤
5 コネクタサブアセンブリー
5a コネクタ端子
6 ベース部材
7 接続部材
7a 搭載部
7b 差し込みガイド
7c 挿入部
8 リードフレーム
8a ボンディング部
8b コネクタ接触部
9 押圧端子10 ワイヤ11 カバー12 シリコーンゲル

Claims (10)

  1. 圧力媒体から受ける圧力により変形する変形部を有する金属筐体と、
    前記変形部の変形を検出することで前記圧力を検出する検出素子と、
    前記検出素子と電気的に接続されたリードフレームと、
    前記リードフレームを保持する構造体と、を備え、
    前記リードフレームが有する第1の面と、前記金属筐体が有する第2の面とは、絶縁体を間に挟んで所定間隔で対向して配置されており、
    前記構造体には、前記検出素子と前記リードフレームを介して電気的に接続されるコネクタ端子を挿入するための挿入部が形成されており、
    前記挿入部には、前記リードフレームと、前記コネクタ端子を押圧して前記リードフレームと接触させるための押圧部材とが配置されている圧力検出装置。
  2. 請求項1に記載の圧力検出装置において、
    前記第1の面と前記第2の面との間の静電容量は、前記検出素子と前記金属筐体との間の静電容量よりも大きい圧力検出装置。
  3. 請求項1または2に記載の圧力検出装置において、
    前記構造体には、前記コネクタ端子を前記挿入部に挿入する際に位置決めを行うためのガイド部が形成されている圧力検出装置。
  4. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の圧力検出装置において、
    前記構造体は、樹脂により形成されており、
    前記構造体の一部が前記絶縁体として、前記第1の面と前記第2の面との間に配置されている圧力検出装置。
  5. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の圧力検出装置において、
    前記第1の面は、前記金属筐体に対向する前記構造体の面から露出している圧力検出装置。
  6. 請求項またはに記載の圧力検出装置において、
    前記構造体は、接着剤により前記金属筐体と接合されており、
    前記接着剤が前記絶縁体として、前記第1の面と前記第2の面との間に配置されている圧力検出装置。
  7. 請求項に記載の圧力検出装置において、
    前記構造体は、前記金属筐体と接する接触面と、前記接触面に対して窪んでおり前記接着剤が充填される充填部とを有する圧力検出装置。
  8. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の圧力検出装置において、
    前記リードフレームは、前記検出素子とワイヤボンディングにより接続された接続部を有し、
    前記接続部と前記第1の面との間の電気経路上に、電子部品が接続されている圧力検出装置。
  9. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の圧力検出装置において、
    前記所定間隔は、0.1mm以上である圧力検出装置。
  10. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の圧力検出装置において、
    前記金属筐体は、前記圧力媒体を前記変形部に導入する圧力ポートと、前記構造体と接合されるベース部材とを含む圧力検出装置。
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