以下、本発明の一実施形態に係る照明器具について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態に係る照明器具は、天井に設けられる埋込孔に埋め込まれるようにして天井に配置される、埋込型の照明器具である。ただし、実施形態に係る照明器具は天井埋込型の照明器具に限定されず、例えば、天井に直付けされる直付け型の照明器具、あるいは、壁に取り付けられる照明器具などであってもよい。なお、以下の実施形態で説明する構成は本発明の一例にすぎない。本発明は、以下の実施形態に限定されず、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
本実施形態に係る照明器具1(以下、照明器具1と略す)は、器具本体2と、光源部(光源ユニット3)と、電源装置6と、板状部材(反射部材4)と、取付ばね43と、固定部材(引掛具42及び引掛ばね12)とを備えている。ただし、以下の説明では、特に断りのない限り、図1において、照明器具1の上下、左右及び前後の各方向を規定する。
器具本体2は、図1〜図5に示すように、底板20と、一対の第1側板21Aと、一対の第2側板21Bと、一対の補強部材22とを備えることが好ましい。底板20は、鋼板などの金属板により、長手方向を左右方向と平行させた長尺の矩形板状に形成されている。
底板20は、前後方向の中央に、2つの電線挿通孔24と、1つの引掛孔25とが設けられている(図1参照)。1つの電線挿通孔24は、底板20の右端に設けられている。残り1つの電線挿通孔24は、底板20の左右方向の中央近くに設けられている。2つの電線挿通孔24は、底板20を上下方向に貫通する丸孔であり、電線を保護するためにグロメットが嵌め込まれることが好ましい。中央寄りの電線挿通孔24に電灯線(電力系統からの給電用の電線)が挿通される。右端の電線挿通孔24に信号線(調光信号の伝送媒体となる電線)が挿通される。ここで、底板20の下面における2つの電線挿通孔24の近くに、第1端子台10及び第2端子台11が取り付けられている(図1参照)。第1端子台10は、中央寄りの電線挿通孔24に挿通される電灯線と電気的に接続される。第2端子台11は、右端の電線挿通孔24に挿通される信号線と電気的に接続される。引掛孔25は、底板20の前後方向の中央において2つの電線挿通孔24の間に、底板20を上下方向に貫通するように形成されている。引掛孔25は、長尺の角孔で構成されている(図1参照)。さらに、底板20は、左右方向の両端近くに、2つの取付孔23が設けられている(図1参照)。これら2つの取付孔23は、底板20を貫通する長円形の孔である。また、底板20の下面における左端近傍に引掛ばね12が取り付けられている。引掛ばね12は、ばね性を有する帯状の板材によって、略Ω形状に形成されることが好ましい(図1参照)。
一対の第1側板21Aはそれぞれ、主部210と、連結部211と、外鍔部212とを有している(図3B及び図6参照)。主部210は、長尺の矩形板状に形成されている。連結部211は、長尺の矩形板状に形成され、連結部211の下端と主部210の上端とが連結されている。ただし、連結部211の下端部分(主部210につながる部分)は、内向き(底板20に近付く向き)に傾斜するように曲げられている(図6参照)。外鍔部212は、長尺の矩形板状に形成されている。外鍔部212は、主部210の下端から外向き(底板20から離れる向き)に突出している。外鍔部212の先端部分が上向きに曲げ起こされている(図6参照)。なお、主部210、連結部211及び外鍔部212は、鋼板などの金属板が曲げ加工されることで一体に形成されることが好ましい。また、底板20と一対の側板21Aとは、鋼板などの金属板が曲げ加工されることで一体に形成されることが好ましい。
一対の第2側板21Bはそれぞれ、正方形に近い矩形板状に形成され、底板20の短手方向に沿った両端(左端及び右端)から下向きに突出している。ただし、一対の第2側板21Bはそれぞれ、溶接などの適宜の方法で底板20及び一対の第1側板21Aと連結(接合)されることが好ましい。
ここで、器具本体2は、一対の補強部材22を有することが好ましい(図2参照)。一対の補強部材22は、第1補強部221と、一対の第2補強部222と、一対の第3補強部223とを有している。第1補強部221は、矩形板状に形成されている(図3D参照)。第1補強部221の長手方向の中央には、円形の電線挿通孔2210が貫通している。一対の第2補強部222はそれぞれ、概ね矩形板状であって、上側の2つの角がC面取りされている(図3B参照)。なお、一対の第2補強部222はそれぞれ、第1補強部221の前端及び後端から下向きに突出するように第1補強部221と一体に形成されることが好ましい。一対の第3補強部223はそれぞれ、概ね矩形板状であって、上側の2つの角がC面取りされている(図3C参照)。なお、一対の第3補強部223はそれぞれ、第1補強部221の左端及び右端から上向きに突出するように第1補強部221と一体に形成されることが好ましい。一対の補強部材22はそれぞれ、底板20の上面における長手方向(左右方向)の両端近くに第1補強部221がねじ止めされる(図2及び図3D参照)。
反射部材4は、反射板40、2つの反射側板41、引掛具42、取付ばね43及び取付ベース45などを有することが好ましい(図2及び図5参照)。反射板40は、鋼板などの金属板によって、器具本体2の底板20に相似した形状(長尺の長方形)に形成されている。ただし、反射板40の縦横(前後左右)の長さは、器具本体2の内側の縦横の長さよりも僅かに(例えば、十数ミリメートル〜数十ミリメートルほど)短い(図5参照)。2つの反射側板41は、反射板40の長手方向(左右方向)に沿った縁からそれぞれL字形に曲げ起こされて、反射板40と一体に形成されていることが好ましい(図2参照)。引掛具42は、菱形の板状に形成されている(図2参照)。引掛具42は、反射板40の上面における左端の近くに、反射側板41と直交して起立するように設けられている(図2参照)。
取付ばね43は、コイル部430と、一対の腕部431とを有するねじりコイルばねである(図2及び図5参照)。また、取付ばね43は、一対の腕部431のそれぞれの先端部分が曲げられることで引掛部432が設けられている。取付ばね43は、取付ベース45を介して反射部材4に取り付けられている。取付ベース45は、主片450、一対の脚片451と、一対の突部452とを有している。主片450は、厚み方向(上下方向)から見た形状がH字状に形成されている。一対の脚片451はそれぞれ、矩形板状に形成され、主片450の長手方向の両端から突出している。一対の突部452はそれぞれ、矩形板状に形成されている。一対の突部452はそれぞれ、主片450の長手方向に沿った端縁のうちで短手方向の幅が相対的に狭い部分から脚片451と反対向きに突出している。取付ベース45は、一対の脚片451を一対の第1側板21Aにねじ止めされることにより、主片450の長手方向を反射板40の短手方向に一致させる向きで反射部材4に取り付けられている。そして、取付ばね43は、主片450の長手方向の中央に、取付金具44によって取り付けられている(図2参照)。取付金具44は、帯状の金属板によってU字状に形成されている。取付金具44は、コイル部430に挿通された状態において、長手方向の一端部が取付ベース45の主片450にねじ止めされている。つまり、取付ばね43は、取付金具44により、コイル部430の軸方向に沿って揺動可能な状態で取付ベース45(反射部材4)に支持されている。
電源装置6は、電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換する電力変換回路、電源用の入力端子台62、信号用の入力端子台63、出力端子台64などが実装されたプリント配線板を金属製のケース60に収納して構成されている(図1及び図5参照)。電源用の入力端子台62は、第1端子台10と電線を介して電気的に接続される。信号用の入力端子台63は、信号変換装置65と電線を介して電気的に接続される。信号変換装置65は、第2端子台11を介して信号線に電気的に接続され、信号線によって伝送される、パルス幅変調(PWM)方式の調光信号を直流の電圧信号に信号変換する。電源装置6の電力変換回路は、信号変換装置65で信号変換された電圧信号の電圧レベル、すなわち、調光信号で指示された調光レベルに応じて、出力(出力電流)を増減するように構成されている。電源装置6並びに信号変換装置65は、器具本体2の底板20の下面における後端寄りの位置に取り付けられている。
2つの光源ユニット3はそれぞれ同一の構成を有している。光源ユニット3は、図6及び図7に示すように、LEDモジュール30、第1支持部材31、第2支持部材32、反射シート34、弾性シート35、複数本の固定ピン36、複数本の結合ねじ37及び複数本の固定ねじ38などを有している。
LEDモジュール30は、光源である複数個(図示例では60個)のLED(発光ダイオード)300、これら複数個のLED300が実装されている基板301、2つのコネクタ302などを有している(図7参照)。基板301は、長尺の矩形板状に形成されている。複数個のLED300は、基板301の下面における短手方向の第1端側に、長手方向に沿ってほぼ等間隔かつ直線上に並ぶように実装されている。また、2つのコネクタ302は、基板301の下面における長手方向の両端近くにそれぞれ実装されている。なお、これら2つのコネクタ302は、基板301の下面に形成されている導体(プリント配線)を介して、複数個のLED300と電気的に接続されている。なお、基板301は、短手方向の第2端側における長手方向の両端近く及び中央に、3つのねじ挿通孔303が設けられている。
第1支持部材31は、天板310と、第1結合片311と、第1支持片312と、第1連結片313とを有することが好ましい。天板310は、長尺の平板状に形成されている。天板310の長手方向の両端及び中央に、それぞれ3つの第1ねじ孔316及び3つのボルト挿通孔が設けられている。第1結合片311は、長尺の矩形板状に形成されている。第1結合片311の長手方向の両端及び中央に、それぞれ3つの雌ねじ部314が設けられている。第1結合片311は、天板310の長手方向に沿った第1端から下向きに突出している。第1支持片312は、長尺の矩形板状に形成されている。第1支持片312の長手方向の両端及び中央に、それぞれ3つの第1ピン挿通孔315が設けられている。これら3つの第1ピン挿通孔315は長孔状に形成されている。ただし、第1支持片312の長手方向の両端に設けられている2つの第1ピン挿通孔315は、第1支持片312の長手方向に対して長軸の方向が平行している。一方、第1支持片312の長手方向の中央に設けられている1つの第1ピン挿通孔315は、第1支持片312の短手方向(上下方向)に対して長軸の方向が平行している(図7参照)。第1連結片313は、長尺の矩形板状であって、下端部分が斜めに曲げ起こされている。第1連結片313の上端に天板310の長手方向に沿った第2端が連結され、第1連結片313の下端に第1支持片312の上端が連結されている。なお、天板310、第1結合片311、第1支持片312及び第1連結片313は、金属板が加工されることで一体に形成されることが好ましい(図7参照)。
第2支持部材32は、底壁320と、第2結合片321と、第2支持片322と、補強片323とを有することが好ましい。底壁320は、長尺の平板状に形成されている。第2結合片321は、長尺の矩形板状に形成されている。なお、底壁320は、3つの窓孔326が底壁320の長手方向に沿って直線上に並ぶように設けられている。これら3つの窓孔326はそれぞれ、底壁320を厚み方向に貫通して矩形に形成されている。第2結合片321の長手方向の両端及び中央に、それぞれ3つのねじ挿通孔324が設けられている。第2結合片321は、底壁320の長手方向に沿った第1端から上向きに突出している。第2支持片322は、長尺の矩形板状に形成されている。第2支持片322の長手方向の両端及び中央に、それぞれ3つの第2ピン挿通孔325が設けられている。これら3つの第2ピン挿通孔325は長孔状に形成されている。ただし、第2支持片322の長手方向の両端に設けられている2つの第2ピン挿通孔325は、第2支持片322の長手方向に対して長軸の方向が平行している(図7参照)。一方、第2支持片322の長手方向の中央に設けられている1つの第2ピン挿通孔325は、第2支持片322の短手方向(上下方向)に対して長軸の方向が平行している。補強片323は、長尺の矩形板状に形成されている。補強片323は、第2支持片322の上端から底壁320に平行して突出している。
反射シート34は、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂製のシート材が白色に着色されることで表面が反射面(拡散面)となるように形成されている。また、反射シート34は、底部340と、固定部341とを有することが好ましい。底部340及び固定部341はそれぞれ、長尺の矩形板状に形成されている。固定部341は、底部340の長手方向に沿った第1端から下向きに突出している。固定部341の長手方向の両端及び中央に、それぞれ3つのピン孔342が設けられている。これら3つのピン孔342は長孔状に形成されている。ただし、固定部341の長手方向の両端に設けられている2つのピン孔342は、固定部341の長手方向に対して長軸の方向が平行している。一方、固定部341の長手方向の中央に設けられている1つのピン孔342は、固定部341の短手方向(上下方向)に対して長軸の方向が平行している(図7参照)。
弾性シート35は、例えば、シリコーンゴムなどの弾性を有する材料によって、長尺の矩形板状に形成されている。
固定ピン36は、円柱状のピン本体360と、ピン本体360の軸方向(長手方向)の中央に設けられる円板状のフランジ361とを有することが好ましい(図6参照)。ただし、ピン本体360の直径は、第1支持部材31の第1ピン挿通孔315、第2支持部材32の第2ピン挿通孔325、反射シート34のピン孔342のそれぞれの短軸の径よりも僅かに小さい。なお、以下の説明では、フランジ361の表面側に突出するピン本体360を第1ピン本体と呼び、フランジ361の裏面側に突出するピン本体360を第2ピン本体と呼ぶ場合がある。
導光板39は、図6及び図7に示すように、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂材料によって、長尺の矩形板状に形成されることが好ましい。導光板39は、上部の長手方向の中央と両端近くの3箇所に円形の挿通孔390がそれぞれ設けられている。これら3つの挿通孔390は、導光板39を厚み方向に貫通している。なお、導光板39は、厚み方向に対向する両面(第1表面及び第2表面)のうち、少なくとも反射部材4と対向する側の表面(第1表面)に細かな凹凸が形成されることが好ましい。また、導光板39の下端面は、第2支持部材32に近付く向きに傾斜する傾斜面であることが好ましい(図6及び図7参照)。
光源ユニット3は、以下のような手順で組み立てられることが好ましい。まず、第1支持部材31の内側に反射シート34及びLEDモジュール30が重ねて収められる。そして、LEDモジュール30の基板301の3つのねじ挿通孔303にそれぞれ3本の固定ねじ38が挿通される。これら3本の固定ねじ38が、第1支持部材31の天板310の3つの第1ねじ孔316にねじ込まれる。その結果、LEDモジュール30が第1支持部材31の天板310に固定される。
続いて、3本の固定ピン36のピン本体360(第1ピン本体)が、反射シート34の3つのピン孔342、導光板39の3つの挿通孔390、第1支持部材31の3つの第1ピン挿通孔315に、それぞれ順番に挿通される。そして、3本の固定ピン36のピン本体360(第2ピン本体)が、第2支持部材32の第2ピン挿通孔325に挿通される。さらに、第2支持部材32の第2結合片321が第1支持部材31の第1結合片311と重ねられ、第2結合片321のねじ挿通孔324に挿通される結合ねじ37が、第1結合片311の雌ねじ部314にねじ込まれる。ただし、第2結合片321と反射シート34の固定部341との間に弾性シート35が挟み込まれる。その結果、第1支持部材31の第1結合片311と第2支持部材32の第2結合片321とが3本の結合ねじ37で結合される。さらに、第1支持部材31(の第1支持片312)と第2支持部材32(の第2支持片322)とが、導光板39を挟んで3本の固定ピン36で連結される。その結果、導光板39は、3本の固定ピン36を介して、第1支持部材31の第1支持片312と第2支持部材32の第2支持片322に厚み方向から挟まれて支持される(図6参照)。ここで、導光板39の上面は、第1支持部材31の天板310に取り付けられているLEDモジュール30の複数個のLED300のそれぞれと上下方向に対向している(図6参照)。
上述のようにして組み立てられた2つの光源ユニット3は、以下のような手順で器具本体2にそれぞれ取り付けられる。まず、1つの光源ユニット3の第1支持部材31の天板310が、器具本体2の底板20の下面における1つの周縁部分に重ねられる。そして、第2支持部材32の底壁320の3つの窓孔326を通して、3本のボルト13がそれぞれ、第1支持部材31の天板310に設けられている3つのボルト挿通孔に挿通され、器具本体2の底板20に設けられている3つのねじ孔にねじ込まれる。その結果、1つの光源ユニット3が器具本体2(の底板20)の周縁部分に取り付けられる。なお、残り1つの光源ユニット3も同様にして器具本体2(の第1側板21A)の周縁部分に取り付けられる。このとき、2つの導光板39はそれぞれ、器具本体2の一対の第1側板21Aの内側面(底板20に臨む側面)との間に微小な隙間を空けて配置されることが好ましい。
次に、照明器具1の施工手順を説明する。まず、施工作業を行う作業者は、反射部材4を取り外した器具本体2を、天井仕上げ材に設けられている埋込孔に埋め込む。このとき、作業者は、建物の躯体に下向きに埋め込まれている複数本の吊りボルトを、器具本体2の底板20の複数の取付孔23にそれぞれ挿通する。そして、作業者は、複数の取付孔23にそれぞれ挿通した複数本の吊りボルトにナットを締め付けることにより、器具本体2を複数本の吊りボルトに取り付ける。このとき、器具本体2の一対の第1側板21A及び一対の第2側板21Bのそれぞれの外鍔部212により、一対の第1側板21A及び第2側板21Bと埋込孔との隙間が目隠しされる。
続いて、作業者は、底板20の電線挿通孔24から引き込んだ電灯線を第1端子台10に電気的に接続し、底板20の別の電線挿通孔24から引き込んだ信号線を第2端子台11に電気的に接続する。
次に、作業者は、器具本体2に反射部材4を取り付ける。まず、作業者は、反射部材4を立てた状態(反射板40の厚み方向を第1側板21Aの厚み方向とほぼ平行にした状態)で器具本体2内に挿入する(図8参照)。続いて、作業者は、取付金具44に支持されている取付ばね43を上向きに揺動させた後、取付ばね43の一対の腕部431のそれぞれの先端部分に設けられている引掛部432を、器具本体2の底板20の引掛孔25の周縁に引っ掛ける。この状態では、器具本体2の片方の第2側板21Bに反射部材4の第1端が当たることにより、反射部材4が取付ばね43によって器具本体2に仮保持される。この場合の反射部材4の仮保持状態を、「第1の仮保持状態」と呼ぶ場合がある。さらに、作業者は、コイル部430を支点として反射部材4をおよそ90度回転させ、反射部材4を倒した状態(反射板40の厚み方向を第1側板21Aの厚み方向とほぼ直交させた状態)とする。このとき、反射部材4は、取付ばね43によって器具本体2に仮保持される。ただし、この場合の反射部材4の仮保持状態を、「第2の仮保持状態」と呼ぶ場合がある。
最後に、作業者は、反射部材4を押し上げて器具本体2内(底板20と一対の第1側板21A及び一対の第2側板21Bに囲まれた空間)に収容する。すると、取付ばね43の一対の腕部431が引掛孔25に挿入されながら外向きに広がり、一対の腕部431のそれぞれの根元部分(コイル部430に近い部分)が底板20の引掛孔25の周縁に引っ掛けられる。さらに、引掛具42が器具本体2の底板20に取り付けられている引掛ばね12に引っ掛けられる。その結果、反射部材4は、器具本体2内に収容された状態で、取付ばね43と引掛ばね12のばね力によって器具本体2に支持される(図5参照)。上述のようにして、照明器具1の施工作業が完了する。
次に、上述した施工作業において、照明器具1に取り付けられた反射部材4を、第1の仮保持状態に移行させる手順を説明する。まず、作業者は、反射部材4を下向きに引っ張り、一対の引掛ばね12のそれぞれから引掛具42を離脱させる。すると、反射部材4は、自重によって、引掛具42が取り付けられていない側の第1端を支点にして下向きに回転する(図9参照)。ただし、反射部材4は、取付ばね43の一対の腕部431のそれぞれの引掛部432が底板20の引掛孔25の縁に引っ掛かる位置(第2の仮保持状態)で停止する。このとき、反射部材4の引掛具42が取り付けられている側の第2端は、器具本体2の外鍔部212よりも僅かに突出している。そして、作業者は、器具本体2から一部が突出している反射部材4を回転させて立てた状態、すなわち、第1の仮保持状態へ移行させることができる。作業者は、反射部材4を第1の仮保持状態にしたまま、電灯線の結線作業や信号線の結線作業などを行うことができる。これらの作業が完了した後、作業者は、反射部材4を回転させて第2の仮保持状態に移行した後、反射部材4を押し上げて器具本体2内に収容し、取付ばね43と引掛ばね12のばね力によって反射部材4を器具本体2に支持させればよい。
上述のように天井に埋込配設された照明器具1は、電源装置6から給電させることによって2つの光源ユニット3をそれぞれ点灯する。2つの光源ユニット3(の複数個のLED300)から放射される光は、導光板39の入射面(上面)から導光板39内に入射し、導光板39内を導光されながら導光板39の内側面及び下面から出射する。このとき、導光板39の第1表面から出射する光は、導光板39の第1表面に形成されている細かな凹凸によって拡散される。導光板39の第1表面から出射され、かつ、拡散された光の一部は、器具本体2内に向かって進行する。そして、器具本体2内に向かって進行した光は、器具本体2内に配置されている反射部材4の反射板40(の下面)で反射され、反射板40の下方の照明空間に照射される。
ここで、特許文献1記載の照明器具においては、本体部に対して光源部を仮保持させるために、線バネを引掛金具に引っ掛けるとともに、板バネの先端を連結金具に引っ掛ける必要があった。これに対して本実施形態の照明器具1は、1つの取付ばね43で反射部材4を器具本体2に対して仮保持させることができるので、特許文献1記載の従来例に比べて、施工作業の簡素化を図ることができる。
また、照明器具1において、取付ばね43は、腕部431の先端部分に引掛部432が設けられている。そして、反射部材4は、取付ばね43の引掛部432が底板20における引掛孔25の縁に引っ掛けられた状態において、反射部材4の長手方向の第1端を、器具本体2内の長手方向の第1端に当てるように構成されている。つまり、第1の仮保持状態において反射部材4の第2端が器具本体2の下に突出する突出量は、反射部材4の第1端から取付金具44までの距離によって決まる。ゆえに、照明器具1の設計に当たり、第1の仮保持状態において反射部材4の第2端が器具本体2の下に突出する突出量を容易に調整することができる。
さらに、照明器具1において、取付ばね43のコイル部430が取付金具44に対してコイル部430の軸方向に沿って揺動可能に支持されているので、コイル部430を揺動させることにより、器具本体2に対する反射部材4の姿勢(角度)を変えることができる。したがって、器具本体2に対する反射部材4の姿勢を変えることにより、器具本体2内での作業性の向上を図ることができる。
ところで、照明器具1において、コイル部430は、反射部材4の短手方向における中央に取り付けられている。同様に、引掛孔25は、底板20の短手方向における中央に設けられている。ゆえに、照明器具1は、コイル部430が反射部材4の短手方向における中央に取り付けられておらず、かつ、引掛孔25が底板20の短手方向における中央に設けられていない場合と比較して、器具本体2に対して反射部材4を安定して取り付けることができる。
さらに、照明器具1において、引掛具42が反射部材4の短手方向における中央に設けられ、引掛ばね12が底板20の短手方向における中央に設けられている。ゆえに、照明器具1は、引掛具42を引掛ばね12に引っ掛けた状態(固定状態)において、器具本体2に対する反射部材4のかたむきやがたつきの発生を抑えることができる。
ところで、作業者が一対の腕部431を底板20の引掛孔25に挿入する際、誤って腕部431を離してしまった場合、コイル部430のばね力によって腕部431の先端(引掛部432の先端)が反射板40に衝突する可能性がある。そして、腕部431の先端が反射板40に衝突したとき、反射板40に凹み(打痕)が生じてしまうおそれがある。
そこで、照明器具1において、取付ばね43が取り付けられる取付ベース45に、一対の腕部431のそれぞれと対向する位置から腕部431に近付く向きに突出する突部452が設けられている。そして、これらの突部452の突出高さ(取付ベース45の主片450の表面から突部452の先端までの距離)は、腕部431の先端部分(引掛部432の先端)を反射板40に当てない突出高さとされている。つまり、コイル部430のばね力によって腕部431が反射板40に近付く向きに変位した際、突部452の先端が腕部431に当たることで腕部431の変位を制限し、腕部431の先端部分が反射板40に衝突することを回避できる。
ここで、本実施形態の照明器具1では、LEDモジュール30から放射される光を導光板39で導光するように構成された光源ユニット3を光源部としているが、光源部の構成は本実施形態における光源ユニット3に限定されない。光源部は、例えば、導光板を利用せずに、LEDモジュールから放射される光を照明空間に直接照射するように構成されてもよい。また、本実施形態の照明器具1では、光源ユニット3から放射される光を照明空間に向けて反射する反射部材4を板状部材としているが、板状部材の構成は本実施形態における反射部材4に限定されない。板状部材は、例えば、板材と、板材の表面(照明空間に対向する面)に保持される光源部とを有するように構成されてもよい。さらに、本実施形態の照明器具1において、一対の引掛具42が器具本体2に設けられ、一対の引掛ばね12が反射部材4に設けられても構わない。
上述のように照明器具1は、長尺の箱状に形成され、第1面(下面)が開放されている器具本体2と、器具本体2内に配置される光源部(光源ユニット3)とを備えている。また、照明器具1は、器具本体2内に配置されて光源ユニット3に給電する電源装置6と、長尺の板状に形成され、第1面と対向するように器具本体2内に収納される板状部材(反射部材4)とを備えている。さらに、照明器具1は、反射部材4を器具本体2に取り付ける取付ばね43と、反射部材4を器具本体2に固定する固定部材(引掛ばね12と引掛具42)とを備えている。取付ばね43は、コイル部430及び腕部431を有するねじりコイルばねである。コイル部430は、反射部材4に取り付けられている。器具本体2は、反射部材4に対向する底板20に、取付ばね43の腕部431を挿通させる引掛孔25が設けられている。取付ばね43は、底板20における引掛孔25の縁に腕部431を引っ掛けることで反射部材4を器具本体2に取り付けるように構成されている。
照明器具1が上述のように構成されれば、取付ばね43で反射部材4を器具本体2に対して保持させることができるので、特許文献1記載の従来例に比べて、施工作業の簡素化を図ることができる。
また、照明器具1において、取付ばね43は、腕部431の先端部分に引掛部432が設けられていることが好ましい。反射部材4は、取付ばね43の引掛部432が底板20における引掛孔25の縁に引っ掛けられた状態において、反射部材4の長手方向の第1端を、器具本体2内の長手方向の第1端に当てるように構成されていることが好ましい。
照明器具1が上述のように構成されれば、取付ばね43で反射部材4を器具本体2に対して仮保持させることができるので、施工作業の更なる簡素化を図ることができる。
さらに、照明器具1において、反射部材4は、コイル部430をコイル部430の軸方向に沿って揺動可能に支持していることが好ましい。
照明器具1が上述のように構成されれば、器具本体2に仮保持された反射部材4の向きを容易に変えることができる。
またさらに、照明器具1において、コイル部430は、反射部材4の短手方向における中央に取り付けられていることが好ましい。引掛孔25は、底板20の短手方向における中央に設けられていることが好ましい。
照明器具1が上述のように構成されれば、器具本体2に対して反射部材4を安定して取り付けることができる。
また、照明器具1において、固定部材は、引掛部(引掛具42)と、引掛具42が離脱可能に引っ掛けられる被引掛部(引掛ばね12)とを有することが好ましい。引掛具42は、反射部材4の短手方向における中央又は底板20の短手方向における中央に設置されることが好ましい。引掛ばね12は、反射部材4と底板20のうちで引掛具42が設けられていない方の短手方向における中央に設置されていることが好ましい。
照明器具1が上述のように構成されれば、照明空間と対向する反射部材4の第1面に固定部材(引掛具42及び引掛ばね12)を露出させずに、固定部材によって反射部材4を器具本体2に確実に固定することができる。
さらに、照明器具1において、反射部材4(の取付ベース45)は、腕部431と対向する位置から腕部431に近付く向きに突出する突部452を有することが好ましい。突部452の突出高さは、腕部431の先端部分(引掛部432)を反射部材4に当てない突出高さであることが好ましい。
照明器具1が上述のように構成されれば、コイル部430のばね力によって腕部431が反射板40に近付く向きに変位した際、突部452の先端が腕部431に当たることで腕部431の変位を制限できる。その結果、照明器具1は、腕部431の先端部分が反射板40に衝突することを回避できる。