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JP6792554B2 - 研磨砥粒、研磨スラリーおよび硬脆材の研磨方法、ならびに硬脆材の製造方法 - Google Patents

研磨砥粒、研磨スラリーおよび硬脆材の研磨方法、ならびに硬脆材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、サファイア等の硬脆材の研磨に使用される研磨砥粒、研磨スラリーおよび硬脆材の研磨方法、ならびに硬脆材の製造方法に関する。
近年、次世代の半導体デバイスとして、携帯電話等の高周波デバイス、LED等の発光素子、電力変換・制御装置等のパワーデバイス等において、シリコン半導体よりも特性に優れる窒化ガリウム(GaN)等の半導体層を、半導体形成用基板の上に積層した積層半導体ウェハの開発が精力的に行われている。このような積層半導体ウェハにおいて、半導体形成用基板の表面に凸凹があると、半導体層の成長が不均一になったり、半導体形成用基板と半導体層の接着強度が弱くなったりするため、半導体形成用基板には高い表面平滑性が求められている。
半導体形成用基板の製造における研磨では、通常、ラッピングにより粗研磨を行った後に、仕上げ研磨である化学機械研磨(CMP)によりラッピングで生じた傷を除去することにより高平滑な表面を得る。CMPは、研磨対象物を、研磨パッドを張ったラップに押し付けて、研磨砥粒、および酸またはアルカリ等の成分を含んだ研磨スラリーを流しながら、研磨対象物およびラップを相対運動させることで研磨を行う方法であり、研磨スラリーに含まれる化学成分によって、研磨対象物の表面を改質し、研磨砥粒による機械的な研磨作用を増大させて、高平滑な研磨面を得ることができる。
上述の窒化ガリウム(GaN)等の半導体層の形成に使用される基板には、サファイア(Al23)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)等が用いられている。これらはいずれも高い硬度を有する脆性材料、すなわち硬脆材であり、従来の金属シリコンおよび酸化ケイ素等と比較して研磨による加工が容易ではない。硬脆材とは、一般的に硬くて脆い材料のことを意味し、ガラス、石材または上記セラミックス等の非常に硬い素材である反面、衝撃に弱く割れやすい素材を総称している。ここでは、ビッカース硬度で500HV以上の硬さを持ち、衝撃を与えた時に割れることがあるものを指す。
例えば、研磨対象物が硬脆材(特にはサファイア)である場合、仕上げ研磨であるCMPでは、コロイダルシリカを研磨砥粒として含む研磨スラリーを用いていることが多い(例えば、特許文献1,2参照)。しかしながら、コロイダルシリカを研磨砥粒として用いたCMPでは十分な研磨速度(除去速度)が得られず、高平滑な表面を得るまでには長時間の研磨が必要であり、生産性の改善のため、より速い研磨速度が得られる研磨砥粒、研磨スラリーの開発が求められている。
一方、CMP用の研磨スラリーとして、コロイダルシリカに代えてアルミナ砥粒を使用した例が報告されている。特許文献3では特定の粒径および割合のアルミナ砥粒を含有し、pH10.0〜14.0の範囲にある研磨スラリーが開示されている。そして、アルミナ砥粒を強アルカリ性で使用することにより、コロイダルシリカ砥粒と比較して優れた研磨速度が得られることを報告している。また、特許文献4では、特定の比表面積を有するアルミナ砥粒および水を含有し、かつ、pH8.5以上である研磨スラリーが開示されている。しかしながら、特許文献3および特許文献4で開示されたアルミナ砥粒を含有する研磨スラリーにおいても、CMPにおける研磨対象物の研磨速度は十分とはいえず、さらなる改善が求められていた。また、スラリーが強アルカリ性であると、アルミナ砥粒自体が劣化するという問題もあった。
特開2008−44078号公報 特開2009−28814号公報 国際公開第2011/136387号 国際公開第2012/115020号
上述のような課題がある中、本発明の目的は、硬脆材の研磨において、研磨速度の高速化と表面平滑性の両立できる研磨砥粒、研磨スラリー、および硬脆材の研磨方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、効率的に表面平滑性の優れた硬脆材を製造する方法を提供することである。
本発明は、以下の手段を提供する。
<1> 硬脆材を研磨するために使用される研磨砥粒であって、1つ以上のネック部を有する連結状粒子を含有し、質量平均粒子径が3μm以下のアルミナ粉末である研磨砥粒。
<2> 前記アルミナが、αアルミナである前記<1>に記載の研磨砥粒。
<3> 前記αアルミナのアルカリ耐性度が、0.7以上である前記<2>に記載の研磨砥粒。
<4> 質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有するアルミナ粉末において、前記連結状粒子の個数割合が、20%以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の研磨砥粒。
<5> 質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有するアルミナ粉末において、表面指数1.4以上の粒子の個数割合が、25%以上である前記<1>から<4>のいずれかに記載の研磨砥粒。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の研磨砥粒と水または水を主体とする溶媒とを含有し、pHが12以上である研磨スラリー。
<7> 前記<6>に記載の研磨スラリーを使用して、硬脆材の表面を化学機械研磨する工程を含む硬脆材の研磨方法。
<8> 前記<7>に記載の研磨方法によって硬脆材を研磨する工程を含む硬脆材の製造方法。
<9> 研磨対象の硬脆材が、サファイアである前記<8>に記載の硬脆材の製造方法。
<10> 前記サファイアが、単結晶サファイアである前記<9>に記載の硬脆材の製造方法。
本発明によれば、硬脆材の研磨において、研磨速度の高速化と表面平滑性の両立できる研磨砥粒、研磨スラリー、および硬脆材の研磨方法が提供される。当該研磨スラリーを使用して硬脆材の表面を化学機械研磨することにより、高平滑な表面を有する硬脆材を、高い生産性で製造することができる。
画像解析に用いた実施例2の研磨砥粒のSEM像である。 画像解析に用いた実施例2の研磨砥粒のSEM像である。 実施例1の研磨砥粒のSEM像である。 実施例2の研磨砥粒のSEM像である。 実施例3の研磨砥粒のSEM像である。 実施例4の研磨砥粒のSEM像である。 実施例5の研磨砥粒のSEM像である。 比較例1の研磨砥粒のSEM像である。
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
<1.研磨砥粒>
本発明の研磨砥粒は、硬脆材を研磨するために使用される研磨砥粒であって、1つ以上のネック部を有する連結状粒子を含有し、平均粒子径が3μm以下のアルミナ粉末である。本発明の研磨砥粒は、そのまま使用することもできるが、通常、溶媒(分散媒)に分散させて研磨スラリーとして研磨装置に供される。本発明の研磨砥粒を含有する研磨スラリー、および研磨スラリーを使用した研磨方法の詳細については後述する。
本発明の研磨砥粒が、1つ以上のネック部を有する連結状粒子を含有することにより、研磨速度が向上し、かつ、研磨対象の表面平滑性が向上する原因については現段階では詳細な理由は完全には明らかではないが、アルミナがネック部を有する形状であると、CMPで使用される研磨パッドに保持されやすくなり、研磨に実際に作用する研磨砥粒の数が増加して研磨速度が向上することが原因の一つと推測される。
本発明において、「1つ以上のネック部を有する連結状粒子」とは、複数の一次粒子が焼結等によって連結しているか、あるいは、一次粒子そのものが凹凸形状をしており、凹部であるネック部を1つ以上有している粒子を意味する。
1つ以上のネック部を有する連結状粒子であるか否かを判定する方法として、例えば、以下の[判定方法1]および[判定方法2]が挙げられる。[判定方法1]および[判定方法2]のいずれかの判定基準を満たすものを、1つ以上のネック部を有する連結状粒子とする。
[判定方法1]
走査型電子顕微鏡(SEM)にてアルミナ粒子を倍率20000倍で観察し、ネック部の有無を目視で判定し、ネック部を1つ以上有しているアルミナ粒子を、1つ以上のネック部を有する連結状粒子と判定する。
[判定方法2]
SEMにてアルミナ粒子を倍率20000倍で観察し、下記式(I)で表される面積欠損率を計算して、面積欠損率が10%以上の粒子を、1つ以上のネック部を有する連結状粒子と判定する。

面積欠損率 =(面積A − 面積B) ÷ 面積A ×100 (I)

面積Aは、アルミナ粒子のSEM像において、アルミナ粒子の外周の凸部を結ぶ複数の直線を、アルミナ粒子と交わらず、アルミナ粒子を囲むように引くことにより得られる、アルミナ粒子および凹部を囲んだ部分の面積である。
面積Bは、当該SEM像における、アルミナ粒子の面積である。
面積欠損率が大きいほど、アルミナ粒子の凹凸が大きいか、あるいはアルミナ粒子に存在する凹凸が多いと考えられる。より優れた研磨速度を得る観点から、面積欠損率は、好ましくは15%以上である。面積欠損率は通常、40%以下である。
面積欠損率は、市販の画像解析ソフト、例えば三谷商事株式会社の「WinROOF」を用いて画像解析により計算してよい。
アルミナ粒子の画像解析の際には、1つのアルミナ粒子を観察できるように、アルミナ粒子が分散されたSEM像を得る必要がある。1つのアルミナ粒子とは、例えばSEMで観察したときに、輪郭線により連続で囲まれたものをいう。しかし、乾燥したアルミナ粉末を得るためにスラリーを単に乾燥させるだけでは、アルミナ粒子は集合した状態であるため、アルミナ粒子が分散された画像解析に適したSEM像を得ることは難しい。そこで、後述の[評価方法2]に記載したように、十分に希釈したアルミナ分散液を用いることにより、アルミナ粒子が分散されたSEM像を得ることができる。図1は、後述の実施例2のアルミナ粒子が分散された状態のSEM像である。なお、図4はアルミナ粒子が集合した状態のSEM像である。
図1の1〜4は2個以上のアルミナ粒子が接触または重なっており、5は1つのアルミナ粒子である。画像解析の際には、図1の1〜4のように2つ以上のアルミナ粒子が接触または重なっている場合には、下部の粒子の輪郭および個数が不明確であるため、輪郭線により連続で囲まれた最上部の粒子のみを1つのアルミナ粒子と判定して、解析対象とする。図2において、図1に示されたアルミナ粒子のうち、1つのアルミナ粒子と判定された粒子が塗りつぶされており、塗りつぶされた粒子が解析対象である。
本発明の研磨砥粒は、1つ以上のネック部を有する連結状粒子の個数割合が、アルミナ粉末を構成する全粒子の数の20%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。1つ以上のネック部を有する連結状粒子の個数割合が多いと、アルミナ砥粒のうち研磨に寄与する粒子の割合が多くなり、より研磨速度を高速化することができる。
当該個数割合は、例えば、集合した状態のアルミナ粒子を倍率20000倍で観察したSEM像において、アルミナ粒子100個を無造作に抽出して、上述のように、それぞれの粒子について目視により連結状粒子であるか否かを判別し、以下の式により求めることができる。

1つ以上のネック部を有する連結状粒子の個数割合(%)
=(ネック部を有すると目視で確認された粒子数)÷(無造作に抽出した全粒子数(100個))×100 (II)
また、粉砕等によって生じた微粒子および粉砕されていない粗大粒子は研磨作用への寄与が小さい。そこで、そのような粒子を除いた、研磨作用への寄与が大きいアルミナ粒子を測定対象として、1つ以上のネック部を有する連結状粒子であるか否かを判定することが好ましい。従って、好ましい実施形態において、アルミナ粉末の質量平均粒子径の0.5倍〜2倍の粒子径を有するアルミナ粒子を測定対象とすることが好ましい。
このような観点から、本発明の研磨砥粒は、アルミナ粉末の質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有するアルミナ粉末において、1つ以上のネック部を有する連結状粒子の個数割合が、20%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。当該個数割合が多いと、アルミナ砥粒のうち研磨に寄与する粒子の割合が多くなり、より研磨速度を高速化することができる。
当該個数割合は、例えば、上述のように分散した状態のアルミナ粒子を倍率20000倍で観察したSEM像において、アルミナ粉末の質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有するアルミナ粒子100個を無造作に抽出して、上述のように、それぞれの粒子の面積欠損率を計算して1つ以上のネック部を有する連結状粒子であるか否かを判定し、以下の式により求めることができる。アルミナ粉末の粒子径は、アルミナ粒子のSEM像の円相当径であってよく、市販の画像解析ソフト、例えば三谷商事株式会社の「WinROOF」を用いて画像解析により計算してよい。

アルミナ粉末の質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有するアルミナ粉末における、1つ以上のネック部を有する連結状粒子の個数割合(%)
=(アルミナ粉末の質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有する面積欠損率10%以上の粒子数)÷(無造作に抽出した、アルミナ粉末の質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有する全粒子数(100個))×100 (III)
本発明の研磨砥粒は、より優れた研磨速度を得る観点から、好ましくは1.4以上、より好ましくは1.5以上の表面指数を有する粒子を含有する。本発明の研摩砥粒が含有する粒子の表面指数の上限は通常、3.5である。表面指数が1.4以上である粒子を含有することにより、研磨速度が向上し、かつ、研磨対象の表面平滑性が向上する原因については現段階では詳細な理由は完全には明らかではないが、粒子の表面指数が1.4以上であると、粒子表面の微小な凹凸が大きいため、CMPで使用される研磨基板と砥粒の微小な接触点数が増え研磨速度が向上することが原因の一つと推測される。また、表面指数を3.5以下とすることにより、研磨レートに寄与しないが表面指数は高い粒子、例えば非常に細長い扁平粒子を除く点で効果的である。
本発明において、アルミナ粒子の表面指数は、断面が真円(三次元的には球)の場合を1とし、そこからの離れ具合を表す指標であって、アルミナ粒子の周囲長と面積から下式(IV)により計算される。

表面指数 =(アルミナ粒子の周囲長の二乗)÷(アルミナ粒子の面積)÷ 4π (IV)

アルミナ粒子の表面指数は、例えば、SEMにてアルミナ粒子を倍率20000倍で観察し、アルミナ粒子のSEM像の周囲長および面積から計算してよい。
表面指数は、市販の画像解析ソフト、例えば三谷商事株式会社の「WinROOF」を用いて画像解析により計算してよい。画像解析の際には、上述のように、1つのアルミナ粒子を観察できるように、アルミナ粒子が分散されたSEM像を得て、1つのアルミナ粒子と判定した粒子を解析対象にする。
また、粉砕等によって生じた微粒子および粉砕されていない粗大粒子は研磨作用への寄与が小さい。そこで、そのような粒子を除いた、研磨作用への寄与が大きいアルミナ粒子を測定対象として、表面指数を求めることが好ましい。従って、好ましい実施形態において、アルミナ粉末の質量平均粒子径の0.5倍〜2倍の粒子径を有するアルミナ粒子を測定対象とすることが好ましく、測定対象となったアルミナ粒子の表面指数が1.4以上であることが好ましい。
このような観点から、本発明の研磨砥粒は、アルミナ粉末の質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有するアルミナ粉末において、表面指数1.4以上の粒子の個数割合が、25%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、35%以上であることがさらに好ましい。当該個数割合が多いと、アルミナ砥粒のうち研磨に寄与する粒子の割合が多くなり、より研磨速度を高速化することができる。
当該個数割合は、例えば、上述のように分散した状態のアルミナ粒子を倍率20000倍で観察したSEM像において、アルミナ粉末の質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有するアルミナ粒子100個を無造作に抽出して、それぞれの粒子の表面指数を算出し、以下の式により求めることができる。アルミナ粉末の粒子径は、アルミナ粒子のSEM像の円相当径であってよく、市販の画像解析ソフト、例えば三谷商事株式会社の「WinROOF」を用いて画像解析により計算してよい。

アルミナ粉末の質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有するアルミナ粉末における、表面指数1.4以上の粒子の個数割合(%)
=(アルミナ粉末の質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有する表面指数1.4以上の粒子数)÷(無造作に抽出した、アルミナ粉末の質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有する全粒子数(100個))×100 (V)
アルミナ粉末の平均粒子径は3μm以下であり、好適には2μm以下である。ここで規定する「平均粒子径」は、レーザー回折法により得た質量基準で累積百分率50%相当粒子径を意味する。研磨砥粒であるアルミナ粉末の粒径が3μmを超えると、高平滑な表面を得られないおそれがある。アルミナ粉末の平均粒子径の下限値は高平滑な表面を得るという面では制限はないが、粒径が小さくなると研磨速度が低下するため、通常、0.1μm以上、好適には0.2μm以上である。
アルミナにはαアルミナ、γアルミナ等の結晶形があるが、硬脆材の高速研磨においてはαアルミナが好ましい。αアルミナの中でも、アルカリ耐性度が、0.7以上のαアルミナであることが好ましい。ここで、「アルカリ耐性度」とは、高アルカリ溶液中に一定時間浸漬させたときにαアルミナの結晶構造がどの程度維持されているかの指標であり、具体的にはX線回折パターンで測定したアルカリ溶液浸漬前後のピーク強度比で規定される。具体的なアルカリ耐性度の規定方法については、実施例にて後述する。
本発明において、αアルミナとは結晶相の主相がα相であるアルミナを意味する。そのため、アルミナとして一般的な結晶相であるγ相、θ相、χ相、δ相、κ相またはρ相を含んでいてもよい。
以下、アルミナ粉末の製造方法について説明する。
アルミナ粉末の製造方法は特に限定されず、例えば、バイヤー法で製造された水酸化アルミニウムを焼成する方法;アルミニウムアルコキシド法で製造された水酸化アルミニウムを焼成する方法;有機アルミニウムを使って合成する方法;その原料に遷移アルミナまたは熱処理により遷移アルミナとなるアルミナ粉末を、塩化水素を含有する雰囲気ガス中にて焼成する方法;特開平11−049515号公報、特開2010−150090号公報、特開2008−100903号公報、特開2002−047009号公報、特開2001−354413号公報などに記載の方法などが挙げられる。
また、研磨砥粒が、破断面等に起因してエッジを有する形状(角が鋭利な形状)であると、研磨対象物の研磨面に傷が残りやすいので好ましくない。微粒の水酸化アルミニウムを用いることで、焼成等による粒子成長過程において粒子同士の凝結を強くすることができ、連結状粒子の連結部(ネック部)強度に優れ、ネック破断面等に起因するエッジの少ないαアルミナ粒子となり、研磨対象物の研磨面に傷が残らず仕上がり性が損なわれないという利点がある。
アルミニウムアルコキシド法としては、例えば、アルミニウムアルコキシドを、水を用いて加水分解してスラリー状、ゾル状、ゲル状の水酸化アルミニウムを得て、それを乾燥させることにより乾燥粉末状の水酸化アルミニウムを得る方法などが挙げられる。
乾燥させることにより得られる粉末状の水酸化アルミニウムは、軽装かさ密度が通常0.1〜0.4g/cm3程度のかさ高い粉末であり、好ましくは0.1〜0.2g/cm3の軽装かさ密度を有する。
水酸化アルミニウムの累積細孔容積(細孔半径が0.01μm以上1μm以下の範囲)は特に制限されないが、0.6mL/g以上の累積細孔容積を有することが好ましい。このような水酸化アルミニウムは、一次粒子が小さく、分散性に優れ、凝集粒子が少ないため、焼成しても、強固に結合した粉砕困難なアルミナ凝集粒子の発生を防ぐことができる。
アルミニウムアルコキシド法により得られた乾燥粉末状の水酸化アルミニウムを焼成することにより、目的とするαアルミナ粉末を得ることができる。水酸化アルミニウムの焼成は通常、焼成容器に水酸化アルミニウムを充填して行われる。焼成容器としては、例えば鞘などが挙げられる。また、焼成容器の材質は、得られるαアルミナ粉末の汚染防止の観点からアルミナであることが好ましく、特に高純度のαアルミナであるのがよい。水酸化アルミニウムの焼成容器への充填方法は特に制限されないが、自重で充填し、過度に圧密しないことが好ましい。
水酸化アルミニウムの焼成に用いる焼成炉としては、例えば、トンネルキルン、回分式通気流型箱型焼成炉、回分式並行流型箱型焼成炉などに代表される材料静置型焼成炉;ロータリーキルンに代表される材料移動型焼成炉が挙げられる。
水酸化アルミニウムの焼成温度、焼成温度までの昇温速度および焼成時間は、所望の物性を有するαアルミナとなるように適宜選定する。
水酸化アルミニウムの焼成温度は、例えば1100℃以上1450℃以下、好ましくは1200℃以上1350℃以下であり、この焼成温度まで昇温するときの昇温速度は、通常30℃/時間以上500℃/時間以下であり、水酸化アルミニウムの焼成時間は、通常0.5時間以上24時間以内、好ましくは1時間以上10時間以内である。
水酸化アルミニウムの焼成は、例えば大気雰囲気中の他、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気中で焼成してもよく、プロパンガスなどの燃焼によって焼成するガス炉のように、水蒸気分圧が高い雰囲気中で焼成してもよい。
得られたアルミナ粉末は、平均粒子径が10μmを超えた状態で凝集している場合がある。その場合は粉砕して、本発明の研磨砥粒として使用できる3μm以下の平均粒子径にする。
アルミナ粉末の粉砕は、例えば振動ミル、ボールミル、ジェットミルなどの公知の装置を用いて行うことができ、乾式状態で粉砕する方法、および、湿式状態で粉砕する方法のいずれも採用することができるが、ネック部を維持しながら、粗大な凝集粒子を含まず、前述のαアルミナ粉末の物性を達成するためには、ボールなどの粉砕メディアを使用せずに粉砕する方法、例えばジェットミルによる粉砕、またはボール若しくはビーズなどの粉砕メディアを使用するが、ネック部を維持しながら粗大な凝集粒子を含まないような条件に調節して粉砕する方法、例えば振動ミルが好ましい方法として挙げられる。
得られたアルミナ粉末に含まれる10μm以上の粗大粒子の含有量は、10ppm以下であることが好ましく、3ppm以下であることがより好ましい。
アルミナ粉末の、粒度分布の小径側から質量基準で累積百分率5%、累積100%に相当する粒径をそれぞれd5、d100としたとき、[(d100−d5) ÷ 質量平均粒子径]が30以下であることが好ましく、さらに好ましくは10以下である。
粉砕装置は、得られるアルミナ粉末への異物混入などの汚染が少ない点で、αアルミナと接する面が高純度のアルミナの材質で構成されているか、あるいは樹脂ライニングされていることが好ましい。媒体撹拌ミルなどを用いて粉砕する場合は、これに用いられる粉砕メディアも、高純度のアルミナの材質で構成されていることが好ましい。
<2.研磨スラリー>
本発明の研磨スラリーは、本発明の研磨砥粒と、水または水を主体とする溶媒とを含有し、pHが12以上である。
本発明の研磨スラリーは、pH12以上の強アルカリであるため、当該スラリーを使用すると研磨対象である硬脆材の表面が改質された状態となり、その状態で研磨性に優れた本発明の研磨砥粒によって物理的に研磨されるため、高い研磨速度を得ることができる。
研磨スラリーのpHは、研磨対象物の表面を改質するのみならず、水または水を主体とする溶媒を用いたときに、研磨砥粒の分散性を制御するために重要である。好適なpH範囲は、研磨砥粒の種類とそのアルカリ耐性、分散性を考慮して決定されるが、本発明の研磨スラリーでは、アルカリによる表面改質を促進し、研磨速度を高めるために、pH12以上とし、好適にはpH13以上である。
特に研磨砥粒として、アルカリ耐性度が、0.7以上のαアルミナを使用することにより、pH12以上のスラリーで長時間保管し、使用しても研磨砥粒の劣化が抑制され、優れた研磨作用を保つことができる。
研磨スラリー中の研磨砥粒の濃度は、研磨砥粒が研磨スラリー中で安定して分散できる濃度範囲で決定すればよく、通常、0.1〜50重量%、好適には5〜20重量%である。
以下、研磨スラリーの構成成分について説明する。なお、研磨砥粒については上述の本発明の研磨砥粒で説明したため、省略する。
(溶媒)
溶媒(分散媒)は、研磨砥粒および必要に応じて添加される任意成分を分散させ、溶解するための媒体であり、本発明のスラリーにおいては、水または水を主体とする溶媒が使用される。なお、「水を主体とする溶媒」とは、少なくとも水を50重量%以上含み、水以外にエタノール等の他の溶媒または添加成分を含む溶媒を意味する。なお、環境負荷が小さく、廃棄処理が容易である等の点で、全溶媒のうち、水を70重量%以上含有することが好適であり、90重量%以上含有することがより好適である。
水については、特に制限はないが、配合成分に対する影響、不純物の混入、pH等への影響の点で、蒸留水、イオン交換水が好ましい。
(アルカリ成分)
アルカリ成分は、pHの調整のためにスラリーに添加され、本発明の効果を損なわない限り特に限定はなく、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物、テトラアルキルアンモニウムの水酸化物、水酸化カルシウムまたは水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物、水酸化アンモニウム等が挙げられる。この中でも、入手性およびコストの関係から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましく用いられる。
(その他の成分)
本発明の研磨スラリーには、アルカリ成分以外にも、本発明の目的を損なわない限り、他の成分を必要に応じて適宜含有させることができる。他の成分として、例えば、分散剤、界面活性剤、粘度調節剤等が挙げられる。これらの他の成分を使用する場合、含有割合は、研磨砥粒の全質量に対して、通常、0.01〜10質量%の範囲程度である。
分散剤としては、縮合燐酸または縮合燐酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸型高分子化合物、ポリアクリル酸型高分子化合物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等が挙げられる。
界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、および両性界面活性剤が挙げられる。
粘度調節剤としては、水溶性セルロースエーテル、多糖類、多価アルコールおよびその誘導体、水溶性高分子化合物、増粘作用を持つ水溶性酸化物およびその塩類、生体高分子等が挙げられる。
研磨スラリーは、研磨砥粒(および任意の成分)を分散媒に均一に分散するように混合することによって調製される。混合方法は特に制限はなく、例えば、超音波分散機、ホモジナイザー等による撹拌混合方法を挙げることができる。
混合方法は、従来公知の混合方法で行うことができ、混合順序も任意であり、研磨スラリーの構成成分(研磨砥粒、アルカリ成分、溶媒、および任意の成分)のうち、何れか2成分または3成分以上を予め混合し、その後に残りの成分を混合してもよいし、一度に全部を混合してもよい。
<3.硬脆材の研磨方法>
本発明の硬脆材の研磨方法(以下、「本発明の研磨方法」と記載する。)は、上述の本発明の研磨スラリーを使用して、硬脆材の表面を化学機械研磨(CMP)する工程を有する。本発明の研磨方法は、研磨スラリーとして本発明の研磨スラリーを用いる以外は、従来のCMPによる研磨方法と同様である。すなわち、研磨砥粒を含む研磨スラリーを研磨パッドに供給しながら、研磨対象物の被研磨面と、定盤に貼り付けて使用する研磨パッドとを接触させ、両者の相対運動により研磨対象物の研磨を行うことができる。
本発明の研磨方法における研磨対象である硬脆材として具体的には、酸化アルミニウム(サファイア)、ダイヤモンド、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化ジルコニウム、炭化タングステン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ガリウム、窒化アルミニウム等が挙げられる。これらは単結晶、多結晶、非晶質のいずれもが研磨対象になり得る。
これらの中でも、半導体素子の基板として好適なサファイア(特には単結晶サファイア)は、加工が困難な硬脆材であり、高速研磨による生産性改善が求められていたため、本発明の研磨方法の好適な対象である。研磨後の硬脆材の表面はより平滑であることが好ましく、硬脆材が単結晶サファイアである場合には算術平均表面粗さ(Ra)が2nm以下となるようにすることが好ましく、1nm以下にすることがより好ましい。ただし、ポリシングの仕上げに別砥粒を用いて実施するなど、表面粗さがそれほど必要とされない場合はこれに限らない。
研磨装置としては、従来公知のCMP研磨装置を使用することができる。以下、一般的な片面研磨方式のCMP研磨装置を使用する場合を例に説明する。
片面研磨方式のCMP研磨装置の代表的な構成は、回転軸を中心として回転し、表面に研磨パッドが貼り付けられた定盤と、研磨対象物をワックス等でサンプルホルダ下部に固定した状態で研磨パッドに押圧することが可能なサンプルホルダ(以下、ヘッドと記載する場合がある。)、研磨荷重用の加圧機構と、研磨パッド上に研磨砥粒を含む研磨スラリーを供給するノズルとを主要な構成部分として備える。このような構成のCMP研磨装置では定盤とサンプルホルダが、それぞれの軸心の回りに回転した状態で、定盤に貼付けられた研磨パッドの表面にノズルから研磨スラリーを供給し、サンプルホルダの下面に保持された研磨対象物が研磨パッドに押し付けられることにより、研磨対象物の被研磨面が研磨される。
研磨速度は、研磨スラリー(研磨砥粒の種類、粒子径、研磨スラリー中の研磨砥粒濃度、スラリーの供給速度)、研磨装置(研磨荷重、定盤とヘッドの回転数、研磨パッドの種類)により決定される。上述の性質を有する本発明の研磨スラリーを用いているため、硬脆材からなる基板(特には単結晶サファイア基板)に対しても、高い研磨速度を設定することができ、平滑性の高い表面の硬脆材を効率よく生産することができる。
例えば、研磨砥粒としてアルミナを含有する研磨スラリーを使用し、研磨対象が単結晶サファイア(c面)である場合には、基板の表面粗さ(Ra)1nmを維持することが可能な研磨速度を4μm/hr以上(好適には5μm/hr以上、より好適には6μm/hr以上)とすることができる。
定盤に貼り付けて使用する研磨パッドには、不織布、発泡ポリウレタン、多孔質樹脂、非多孔質樹脂等の種類があり、一般に市販されているものを使用でき、用いる研磨砥粒の硬度および粒子径、研磨速度および研磨荷重等の研磨条件および硬脆材の種類等を考慮して、適且決定すればよい。
研磨スラリーの供給量は、研磨対象物の構成材料、研磨砥粒の種類およびスラリー中の研磨砥粒濃度を考慮して適宜決定される。
なお、研磨砥粒は、必ずしも予めすべての成分を混合した研磨スラリーとして研磨パッドに供給する必要はない。例えば、研磨砥粒をそのまま供給し、溶媒を別途供給してもよい。一方で、研磨パッドに研磨砥粒を均等に分散させ、研磨の均一性を高めるためにはあらかじめ、研磨砥粒を溶媒に分散させた研磨スラリーとして用いることが好ましい。
研磨する際の、定盤の回転数も特に制限されず、使用する研磨装置の能力の範囲で、安定的に運転可能な範囲とすればよい。研磨を短時間で行うためには、定盤の回転数は速いほうが好ましいが、使用する研磨砥粒(研磨スラリー)、および研磨対象物に求められる表面平滑性などを考慮して適且決定することが好ましい。
研磨する際の荷重も特に制限されず、使用する研磨装置の能力の範囲で、安定的に運転可能な範囲で決定すればよい。研磨を短時間で行うためには、荷重は大きいほうが好ましいが、回転用モーターの動力負荷も大きくなるため、使用する研磨砥粒(研磨スラリー)、および研磨対象物に求められる表面平滑性などを考慮して適且決定することが好ましい。
研磨対象物の研磨に使用した研磨スラリーは、回収して再利用してもよい。研磨装置において研磨スラリーを循環させて使用することにより、廃液が減少するので環境負荷を低減し、かつ、コストを低減することができる。なお、研磨スラリーを循環使用するときには、消費された成分(研磨砥粒、溶媒、pH調整剤、その他任意成分)を適宜補充することもできる。
以上、本発明の研磨方法を一般的な片面研磨方式のCMP研磨装置を使用する場合で説明したが、特に、今回開示された研磨装置において、明示的に開示されていない運転条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。また、本発明の研磨方法で使用される研磨装置は片面研磨方式のCMP研磨装置に限定されない。例えば、両面研磨方式の研磨装置、またはサンプルホルダを回転運動でなく直線往復方式した装置などを用いてもよい。また、定盤が回転運動を行うものではなく、例えばベルト式で一方向に移動するものであってもよい。
<4.硬脆材の製造方法>
本発明の硬脆材の製造方法は、上記本発明の研磨方法によって硬脆材を研磨する工程(以下、「本発明の研磨工程」と記載する。)を含む。
本発明の製造方法は、上述の本発明の研磨工程を有するため、生産性良く高平滑な表面を有する硬脆材を製造することができる。
本発明の硬脆材の製造方法において、本発明の研磨工程で硬脆材を研磨する工程以外の工程は、原料となる硬脆材の公知の製造方法に準じて行えばよい。
以下、本発明の硬脆材の製造方法の好適な対象であるサファイア(特には単結晶サファイア基板)を例に説明する。
サファイア(特には単結晶サファイア)は、高周波デバイス、LEDの発光素子等に用いられるGaN系半導体層用の基板、および液晶プロジェクタ用の偏光子保持基板等をはじめとして、様々な用途で用いられている。
サファイアの結晶は、面方位により性質が異なっており、極性面であるc面、および半極性面であるr面は、その表面に窒化ガリウム等の半導体層を成長させるための半導体用基板としての用途に適しており、無極性面であるa面およびm面は、高硬度で傷のない基板を必要とする用途(例えば、薄膜用基板または半導体製造装置用のチャンバー窓)に適する。
サファイア基板の製造方法では、まず、サファイア結晶(インゴッド)を適当な大きさに研削し、切断して所定の大きさの切断片を得る(研削・切断工程)。次いで、得られた切断片を所定の厚さまで平面切削することにより板状のサファイアを得る(平面切削工程)。得られた板状のサファイアに対し、ラッピング等により粗研磨を行い、仕上げ研磨であるCMPによりラッピングで生じた傷を除去して高平滑な表面を得る。
本発明の研磨工程に相当するCMP以外の工程は、一般的なサファイア基板の製造方法に準じる公知の方法を採用すればよい。
なお、本発明の硬脆材の製造方法は、硬脆材を含む製品、例えば、半導体層が形成されたウェハから半導体層を除去して再利用される硬脆材の製造に適用してもよい。この場合、硬脆材を含む製品から硬脆材以外の部分を研削または粗研磨により除去した後に本発明の研磨工程に供される。
また、本発明の硬脆材の製造方法は、さらに必要に応じて適時、任意の工程を有していてもよい。例えば、熱処理工程、ウェットエッチング工程、洗浄工程等が挙げられる。
熱処理工程における熱処理方法は特に限定されず、対象となる硬脆材の熱処理方法として従来公知の方法で行えばよい。熱処理を行う目的としては、例えば、硬脆材内部に残留する結晶の歪みを取り除くこと、または硬脆材表面の酸化を促進して表面の加工をしやすくすること等が挙げられる。熱処理温度、熱処理雰囲気等の熱処理条件は、処理する硬脆材の種類または目的に応じて適宜決定される。
ウェットエッチング工程におけるウェットエッチング方法は特に限定されず、対象となる硬脆材のウェットエッチング方法として従来公知の方法で行えばよい。ウェットエッチングに使用する薬液の種類、処理温度および処理時間といったウェットエッチング条件は、処理する硬脆材の材質または除去対象によって適宜決定される。
洗浄工程における洗浄方法は特に限定されず、対象となる硬脆材の洗浄方法として従来公知の方法で行えばよい。例えば、洗浄対象である硬脆材を、アルコールなどの有機溶媒、または塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ化水素酸、過酸化水素酸等の酸系洗浄液、水酸化アルカリ、アンモニア、有機アミンなどの塩基系洗浄液でリンスするか、または当該洗浄液に浸漬して、基板に残存する微量の異物を除去することができる。
製造された硬脆材の用途はその他硬脆材の種類によって適宜選択すればよい。例えば、サファイアの場合には高周波デバイス、LEDの発光素子等に用いられるGaN系半導体層用の基板、または液晶プロジェクタ用の偏光子保持基板等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、各物性の評価方法は次の通りである。
(1)1つ以上のネック部を有する連結状粒子の個数割合の評価
実施例1は、後述の[評価方法1]で評価し、実施例2〜5および比較例1は、後述の[評価方法2]で評価した。
[評価方法1]
アルミナ粒子の1つ以上のネック部を有する連結状粒子の個数割合は、SEMにて、アルミナ粒子が集合した状態を倍率20000倍で観察し、SEM像の中から合計100個の粒子を無造作に抽出して、それぞれの粒子につき目視によってネック部の有無を判断し、以下の式で計算した。なお、当該評価方法1において、SEM像では、ネック部を有する連結状粒子であっても、観察する角度または粒子の配置状態によってはネック部を確認できないことがあるため、ここでは、明確にネック部を有すると目視で確認された粒子のみを「ネック部を有する連結状粒子」として算出した。

1つ以上のネック部を有する連結状粒子の個数割合(%)
=(ネック部を有すると目視で確認された粒子数)÷(無造作に抽出した全粒子数(100個))×100 (II)

以下、当該個数割合を「個数割合[1]」と示すことがある。
[評価方法2]
JIS R 1633:1998の7.2b)および7.3に準じて、エタノールにアルミナを極少量添加し、超音波洗浄機を用いて懸濁液を調整し、続いて、スポイトを用いて懸濁液をスライドガラス上に滴下し、薄く伸ばした後、溶媒を蒸発乾燥させ、カーボンを蒸着し、SEM観察用の試料を得た。次に、日立ハイテクノロジーズ社製の電界放出型走査電子顕微鏡「S4800」を用いて、加速電圧2kVで、倍率20000倍で試料を観察し、図1に示される程度にアルミナ粒子が分散されていることを確認し、画像解析用のSEM像を得た。なお、図1に示される程度にアルミナ粒子が分散されていない場合には、当該懸濁液をエタノールで2倍に薄めた希釈液を調整し、上記と同様にしてアルミナ粒子の分散の程度を確認し、図1に示される程度にアルミニウム粒子が分散された状態になるまで同様の操作を繰り返した。
得られたアルミナ粒子のSEM像を、三谷商事株式会社の「WinROOF」を用いて解析し、円相当径が質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有するアルミナ粒子100個を無造作に抽出した。2つ以上のアルミナ粒子が接触または重なっている場合には、最上部の粒子のみを1つのアルミナ粒子と判定して抽出した。
次に、三谷商事株式会社の「WinROOF」を用いて、それぞれの粒子の面積欠損率を計算して1つ以上のネック部を有する連結状粒子であるか否かを判定し、アルミナ粉末の質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有するアルミナ粉末における、1つ以上のネック部を有する連結状粒子の個数割合を、以下の式で計算した。

アルミナ粉末の質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有するアルミナ粉末における、1つ以上のネック部を有する連結状粒子の個数割合(%)
=(アルミナ粉末の質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有する面積欠損率10%以上の粒子数)÷(無造作に抽出した、アルミナ粉末の質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有する全粒子数(100個))×100 (III)

以下、当該個数割合を「個数割合[2]」と示すことがある。
(2)表面指数の評価
上記(1)[評価方法2]と同様にして、アルミニウム粒子が分散された状態のSEM像を得た後、三谷商事株式会社の「WinROOF」を用いて解析し、円相当径が質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有するアルミナ粒子100個を無造作に抽出した。

次に、三谷商事株式会社の「WinROOF」を用いて、それぞれの粒子の表面指数を計算し、アルミナ粉末の質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有するアルミナ粉末における、表面指数1.4以上の粒子の個数割合を、以下の式で計算した。

アルミナ粉末の質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有するアルミナ粉末における、表面指数1.4以上の粒子の個数割合(%)
=(アルミナ粉末の質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有する表面指数1.4以上の粒子数)÷(無造作に抽出した、アルミナ粉末の質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有する全粒子数(100個))×100 (V)

以下、当該個数割合を「個数割合[3]」と示すことがある。
(3)質量平均粒子径
レーザー粒度分布測定装置〔日機装(株)製「マイクロトラック」〕を用いてレーザー回折法により、質量基準で累積百分率50%相当粒子径を平均粒子径とした。また、粒度分布の小径側から質量基準で累積百分率5%、累積100%に相当する粒径をそれぞれd5、d100とした。測定に際しては、0.2重量%のヘキサメタ燐酸ソーダ水溶液で超音波分散し、アルミナ粒子の屈折率は1.76とした。
(4)アルカリ耐性度
水酸化カリウム(KOH)でpH13.5に調整した水溶液に固形分濃度が10重量%になるようにアルミナ粉末を投入し、4週間浸漬後の固形成分を回収した。水酸化カリウム水溶液の浸漬前後の粉末X線回折パターンを株式会社リガク製RINT−2000で測定し、2θ=43.4°のピーク強度から、アルカリ耐性度を以下式で算出した。

アルカリ耐性度=(4週間浸漬後のピーク強度)÷(浸漬前のピーク強度)
(5)BET比表面積
比表面積測定装置として、島津製作所社製の「フローソーブII 2300」を使用し、JIS−Z−8830:2013「ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定法」に規定された方法に従って、窒素吸着法一点法によりBET比表面積を求めた。
(6)表面粗さ
表面粗さ測定装置として、株式会社菱化システム製の白色干渉計「VertScan R5500G」を使用し、算術平均表面粗さ(Ra)を求めた。測定は研磨面の6点を測定し、その平均を研磨特性とした。
(実施例1)
(1)研磨砥粒の製造
純度99.99%のアルミニウムを原料にして調製したアルミニウムイソプロポキシドを、水を用いて加水分解してスラリー状の水酸化アルミニウムを得て、これを乾燥させることにより軽装かさ密度が0.1g/cm3の乾燥粉末状の水酸化アルミニウムを得た。さらに、この乾燥粉末状の水酸化アルミニウムをプロパンガス等の燃焼によって焼成するガス炉にて、1220℃で4時間保持して焼成し、ジェットミルにて粉砕してαアルミナ粉末からなる実施例1の研磨砥粒を得た。得られた研磨砥粒(αアルミナ粉末)について、上記方法(1)[評価方法1]により、1つ以上のネック部を有する連結状粒子の個数割合[1]の評価を行い、上記方法(3)〜(5)により、質量平均粒子径、アルカリ耐性度およびBET比表面積を評価した。評価結果を以下に示す。また、図3に、アルミナ粒子が集合した状態の実施例1の研磨砥粒(αアルミナ粉末)のSEM像を示す。
粒子形状:個数割合[1] 81%
平均粒子径:0.65μm(10μm以上の粗大粒子3ppm以下)
アルカリ耐性度:0.75
BET比表面積:4.2m2/g
[(d100−d5)/平均粒子径]=6.7
(2)研磨スラリーの調製
実施例1の研磨砥粒を、水酸化カリウム(KOH)でpH13.5に調整した水溶液に固形分濃度が10重量%になるように投入し、羽根撹拌を行った後に、超音波を照射し研磨砥粒を1時間分散させることにより、実施例1の研磨スラリーを得た。
(3)研磨試験
研磨試料としてサファイア基板(c面):2インチΦ(ダイヤラップ加工済、Ra5nm)を使用した。研磨装置として、株式会社ハイテクノス製NANO−450−DOCAbを使用し、実施例1のスラリーを使用して以下の条件で1時間研磨を行い、研磨前後のサファイア基板の重量差から平均研磨速度を算出し、研磨後の試料表面を光学顕微鏡(50倍)で観察した。
(研磨条件)
定盤回転数:60rpm
サンプルホルダ(ヘッド)回転数:60rpm
ヘッド荷重:500g/cm2
ヘッド搖動:1mm/s(搖動幅:±20mm)
研磨パッド:ニッタ・ハース株式会社製SUBA800(不織布)
スラリー量:0.6L/min(循環使用)
研磨時間:1時間
実施例1では、平均研磨速度は6.5μm/hourであり、研磨後の試料表面は極めて平坦であり、研磨前に観察された傷が観察されなかった。
(実施例2)
(1)研磨砥粒の製造
実施例1と同じ条件で、実施例2の研磨砥粒を得た。得られた研磨砥粒(αアルミナ粉末)について、上記方法(1)[評価方法2]により、1つ以上のネック部を有する連結状粒子の個数割合[2]の評価を行い、上記方法(2)〜(5)により、表面指数、質量平均粒子径、アルカリ耐性度およびBET比表面積を評価した。評価結果を以下に示す。また、図4に、アルミナ粒子が集合した状態の実施例2の研磨砥粒(αアルミナ粉末)のSEM像を示す。
粒子形状:個数割合[2] 63%、個数割合[3] 73%
平均粒子径:0.65μm(10μm以上の粗大粒子3ppm以下)
アルカリ耐性度:0.75
BET比表面積:4.2m2/g
[(d100−d5)/平均粒子径]=6.7
(2)研磨スラリーの調製
実施例1の研磨砥粒に代えて、実施例2の研磨砥粒を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例2の研磨スラリーを得た。
(3)研磨試験
研磨試料としてサファイア基板(c面):2インチΦ(ダイヤラップ加工済、Ra5.8nm)を使用し、実施例1の研磨スラリーに代えて、実施例2の研磨スラリーを使用した以外は、実施例1と同様にして研磨試験を行った。実施例2では、平均研磨速度は6.5μm/hourであり、研磨後の試料表面は極めて平坦であり、研磨前に観察された傷が観察されなかった。また、上記方法(6)で表面粗さを評価した結果、表面粗さは1.0nmであった。
(実施例3)
(1)実施例3の研磨砥粒として、実施例1と同じ方法で得た乾燥粉末状の水酸化アルミニウムを、プロパンガス等の燃焼によって焼成するガス炉で1200℃にて3時間保持して焼成し、振動ミルで粉砕して得た下の物性を有するアルミナ粉末を使用した。当該研磨砥粒について、上記方法(1)[評価方法2]により、1つ以上のネック部を有する連結状粒子の個数割合[2]の評価を行い、上記方法(2)〜(5)により、表面指数、質量平均粒子径、アルカリ耐性度およびBET比表面積を評価した。評価結果を以下に示す。また、図5に、アルミナ粒子が集合した状態の実施例3の研磨砥粒のSEM像を示す。
粒子形状:個数割合[2] 42%、個数割合[3] 54%
平均粒子径: 0.38μm
アルカリ耐性度:0.75
BET比表面積:6.8m2/g
[(d100−d5)/平均粒子径]= 34.0
(2)研磨スラリーの調製
実施例1の研磨砥粒に代えて、実施例3の研磨砥粒を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例3の研磨スラリーを得た。
(3)研磨試験
実施例2の研磨スラリーに代えて、実施例3の研磨スラリーを使用した以外は、実施例2と同様にして研磨試験を行った。実施例3では、平均研磨速度は4.7μm/hourと高かった。また、研磨後の試料表面には研磨前に観察された傷が確認されなかった。上記方法(6)で表面粗さを評価した結果、表面粗さは0.9nmであった。
(実施例4)
(1)実施例4の研磨砥粒として、バイヤー法で作製した水酸化アルミニウムを原料に用い、ボールミルで粉砕して得た下の物性を有するアルミナ粉末を使用した。当該研磨砥粒について、上記方法(1)[評価方法2]により、1つ以上のネック部を有する連結状粒子の個数割合[2]の評価を行い、上記方法(2)〜(5)により、表面指数、質量平均粒子径、アルカリ耐性度およびBET比表面積を評価した。評価結果を以下に示す。また、図6に、アルミナ粒子が集合した状態の実施例4の研磨砥粒のSEM像を示す。
粒子形状:個数割合[2] 46%、個数割合[3] 63%
平均粒子径:0.91μm
アルカリ耐性度:0.82
BET比表面積:4.1m2/g
[(d100−d5)/平均粒子径]= 4.7
(2)研磨スラリーの調製
実施例1の研磨砥粒に代えて、実施例4の研磨砥粒を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例4の研磨スラリーを得た。
(3)研磨試験
実施例2の研磨スラリーに代えて、実施例4の研磨スラリーを使用した以外は、実施例2と同様にして研磨試験を行った。実施例4では、平均研磨速度は5.3μm/hourと高かった。また、研磨後の試料表面には研磨前に観察された傷が確認されなかった。表面粗さは1.6nmであった。
(実施例5)
(1)実施例5の研磨砥粒として、バイヤー法で作製した水酸化アルミニウムを原料に用い、ジェットミルで粉砕して得た下の物性を有するアルミナ粉末を使用した。当該研磨砥粒について、上記方法(1)[評価方法2]により、1つ以上のネック部を有する連結状粒子の個数割合[2]の評価を行い、上記方法(2)〜(5)により、表面指数、質量平均粒子径、アルカリ耐性度およびBET比表面積を評価した。評価結果を以下に示す。また、図7に、アルミナ粒子が集合した状態の実施例5の研磨砥粒のSEM像を示す。
粒子形状:個数割合[2] 51%、個数割合[3] 69%
平均粒子径:0.96μm
アルカリ耐性度:0.78
BET比表面積:4.2m2/g
[(d100−d5)/平均粒子径]=4.6
(2)研磨スラリーの調製
実施例1の研磨砥粒に代えて、実施例5の研磨砥粒を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例5の研磨スラリーを得た。
(3)研磨試験
実施例2の研磨スラリーに代えて、実施例5の研磨スラリーを使用した以外は、実施例2と同様にして研磨試験を行った。実施例5では、平均研磨速度は5.2μm/hourと高かった。また、研磨後の試料表面には研磨前に観察された傷が確認されなかった。上記方法(6)で表面粗さを評価した結果、表面粗さは1.0nmであった。
(比較例1)
(1)比較例1の研磨砥粒として、以下の物性を有するαアルミナ粉末を使用した。当該研磨砥粒について、上記方法(1)[評価方法1]および[評価方法2]により、1つ以上のネック部を有する連結状粒子の個数割合[1]および個数割合[2]の評価を行い、上記方法(2)〜(5)により、表面指数、質量平均粒子径、アルカリ耐性度およびBET比表面積を評価した。評価結果を以下に示す。また、図8に、アルミナ粒子が集合した状態の比較例1の研磨砥粒(αアルミナ粉末)のSEM像を示す。
粒子形状:個数割合[1] 0%、個数割合[2] 0%、個数割合[3] 0%
平均粒子径:0.65μm(10μm以上の粗大粒子3ppm以下)
アルカリ耐性度:0.62
BET比表面積:4.1m/g
[(d100−d5)/平均粒子径]=6.3
(2)研磨スラリーの調製
実施例1の研磨砥粒に代えて、比較例1の研磨砥粒を使用した以外は、実施例1と同様にして比較例1の研磨スラリーを得た。
(3)研磨試験
実施例1の研磨スラリーに代えて、比較例1の研磨スラリーを使用した以外は、実施例1と同様にして研磨試験を行った。比較例1では、平均研磨速度は3.1μm/hourと低かった。
本発明の研磨砥粒を含有する研磨スラリーを使用することにより、研磨が困難なサファイア等の硬脆材であっても、研磨速度の高速化することができ、表面平滑性に優れた硬脆材を得るための研磨時間の短縮が可能になる。そのため、工業的な利用価値が大きい。

Claims (10)

  1. 硬脆材を研磨するために使用される研磨砥粒であって、1つ以上のネック部を有する連結状粒子を含有し、質量平均粒子径が0.2〜2.0μmであり、BET比表面積が、4.1〜6.8m /gであるアルミナ粉末である研磨砥粒。
  2. 前記アルミナが、αアルミナである請求項1に記載の研磨砥粒。
  3. 前記αアルミナのアルカリ耐性度が、0.7以上である請求項2に記載の研磨砥粒。
  4. 質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有するアルミナ粉末において、前記連結状粒子の個数割合が、20%以上である請求項1から3のいずれかに記載の研磨砥粒。
  5. 質量平均粒子径の0.5〜2倍の粒子径を有するアルミナ粉末において、表面指数1.4以上の粒子の個数割合が、25%以上である請求項1から4のいずれかに記載の研磨砥粒。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の研磨砥粒と水または水を主体とする溶媒とを含有し、pHが12以上である研磨スラリー。
  7. 請求項6に記載の研磨スラリーを使用して、硬脆材の表面を化学機械研磨する工程を有する硬脆材の研磨方法。
  8. 請求項7に記載の研磨方法によって硬脆材を研磨する工程を含む硬脆材の製造方法。
  9. 研磨対象の硬脆材が、サファイアである請求項8に記載の硬脆材の製造方法。
  10. 前記サファイアが、単結晶サファイアである請求項9に記載の硬脆材の製造方法。
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