JP6790382B2 - 電気集塵装置の調整方法 - Google Patents
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Description
電気集塵装置では、排出ガスが通される容器内に電極を配置し、電極で静電吸着したダストを下方のホッパに排出する構成が用いられる。
大規模な事業所では、前述した容器、電極およびホッパを有する集塵ユニットを、複数並列に設置し、ダクトで各集塵ユニットに排気ガスを分配し、大流量の排出ガスを処理している(特許文献1参照)。
その対策として、集塵ユニットの内部を複数の経路に分割し、一部の経路をダンパで閉鎖して経路中の堆積ダスト等の清掃を行うとともに、他の経路ではダンパを全開にして集塵動作を継続している。なお、清掃を行わない状況では、全てのダンパを全開にして各経路で集塵動作を行う(特許文献2参照)。
その対策として、ダクトのコーナー部に複数の整流板を配列し、通過する排出ガスを誘導することで、各ユニットへの排出ガスの流れを調整している(特許文献3参照)
なお、前述した特許文献2のような清掃により、堆積ダストを除去できる。しかし、清掃作業の実施は定期的であり、次の清掃までの間、集塵ユニットの一部での処理量低下が避けられない。
このような整流装置により、集塵ユニットごとの排出ガスの増減調整を行うことができ、複数の集塵ユニットの一部で流抵抗が増大しても、複数の集塵ユニット間での流量の均一化を図ることができる。
この際、整流装置は排出ガスの流れの向きを変えるものであり、例えばダクトで流量を絞る場合のような流抵抗の増大を招くことが避けられる。従って、各集塵ユニットの処理量を低下させることなく、複数の集塵ユニット間での流量の均一化を図ることができる。
このような電気集塵装置では、整流装置として複数の可動ベーンを用いることで、装置構成が簡単にでき、かつ流抵抗も抑制することができる。
このような電気集塵装置では、作業者が操作ハンドルを用いて整流装置の向きを調整することができる。本発明による排出ガスの向きの調整は、常時行われる必要はなく、定期的な実施で十分である。つまり、制御装置による自動化までは必要がなく、作業者による調整であればよい。従って、整流装置の調整を作業者が行うようにすることで、必要十分な機能を確保しつつ、装置構成の簡素化を図ることができる。
このような電気集塵装置では、集塵ユニットの入口および出口で、それぞれ通過する排出ガスのダスト濃度を検出することで、その濃度差から各々の集塵ユニットにおける現在の集塵性能を評価することができる。
このような本発明では、ダスト濃度の検出間隔が数ヶ月と長い場合など、着脱式とすることで下記の効果が得られる。
通常時は検出ホールに蓋をしておき、検出時のみダスト濃度センサを導入してダスト濃度の検出を行うことができる。通常時は検出ホールに蓋をしておくことで、通常時の排出ガスの漏れ出しを防止できる。
検出時のみダスト濃度センサを導入するため、複数の検出部に同じダスト濃度センサを使い回しできる。検出部として、多数のダスト濃度センサを固定的に設ける場合には、ダスト濃度センサが多数必要になるが、使い回すことで設備コストを低減できる。
通常時はダスト濃度センサを外しておくため、ダストによるセンサの損傷などを防止できる。
集塵ユニットに対する排出ガス供給量の調整にあたっては、前述した電気集塵装置で説明した通りの効果を得ることができる。
このような本発明の調整方法では、集塵ユニットの電極異常に基づいて、この集塵ユニットの排出ガスの流量を減らすことができる。集塵ユニットに電極異常があった場合、電極での吸着不良により集塵されずに通過してしまうダスト量も増加するが、電極異常を検出した時点で対応すれば、通過した排出ガスのダスト濃度を検出するよりも早期に対応を行うことができる。
〔排出ガス処理システム1の全体構成〕
図1において、排出ガス処理システム1は、火力発電所あるいは製鉄所などに設置され、石炭を燃料として高温高圧の水蒸気を供給するボイラの排出ガスを処理するシステムである。
排出ガス処理システム1は、高温高圧の水蒸気を発生するボイラ2を有する。
ボイラ2の吸気側には、押込通風機3および空気予熱器4が接続されている。押込通風機3は、外気を吸入して空気予熱器4へ送る。空気予熱器4は、送られた外気を予熱してボイラ2へ送る。
図2において、電気集塵装置10は、複数の集塵ユニット20と、集塵ユニット20の各々に排出ガスを供給するダクト30とを有する。
集塵ユニット20については、後に図4および図5を用いて詳述する。
ダクト30は、排出ガスの供給源(図1のボイラ2)に接続される集合部31と、集塵ユニット20の各々に至る個別部32と、集合部31から分岐して個別部32に接続される分岐部33とを有する。
分岐部33は、集合部31および個別部32に対して必ずしも明確な境界で区画されるものではないが、集合部31から拡開して複数の個別部32に接続される部分である。
整流板34は、排出ガスの流れに交差する方向に配列された多数の固定ベーンで構成され、各固定ベーンはコーナー部の屈曲方向に倣って湾曲した断面形状とされている。これらの固定ベーンにより、コーナー部を通過する排出ガスの流れが、コーナー部に沿った流れとなるように誘導される。
ダクト30の分岐部33には、通過する排出ガスの向きを変えて集塵ユニット20に対する排出ガスの流量を調整する整流装置40が設置されている。
整流装置40は、分岐部33に、排出ガスの流れに交差する方向(分岐部33を横断する方向)に配列された複数の可動ベーン41を有する。
また、整流装置40は、集塵ユニット20の入口および出口に、当該部分を通過する排出ガスのダスト濃度を検出する検出部として、複数の検出ホール42を有する。
操作ハンドル413はダクト30の外部に設置され、作業者が操作することで、シャフト411を回動させ、ベーン本体412の向きを変更し、ダクト30内を流れる排出ガスの向きを調整することができる。
図2に戻って、集塵ユニット20は、複数が並列に設置され、各々はダクト30の個別部32の出口に接続され、それぞれ排出ガスを供給される。
図4および図5に、集塵ユニット20の詳細を示す。
集塵ユニット20は、それぞれ排出ガスを流通可能な容器を有し、この容器の内部は複数のセル21に仕切られている。各セル21の内部には、静電吸着用の電極22が設置されている。各セル21の下面側には、ダストを捕集用のホッパ23が設置されている。
従って、集塵ユニット20の入口側(図4および図5の左側)から排出ガスを導入し、電極22に通電することで、排出ガス中のダストが電極22に静電吸着され、下方のホッパで捕集される。これにより、通過する排出ガスに対する集塵が行われる。
操作ハンドル25を作業者が操作することで、ダンパ24を作動させ、ダクト30からセル21に流入する排出ガスを遮断することができる。各セル21においては、ダンパ24により排出ガスを遮断した状態で、セル21内部や電極22ないしホッパ23の清掃や保守等を行うことができる。
図6(A)及び図6(B)において、検出ホール42は、集塵ユニット20の容器の上面側に固定された筒部421を有する。筒部421の下端は、容器の開口422を通して集塵ユニット20の各セル21の入口側あるいは出口側に連通されている。一方、筒部421の上端開口423は、着脱可能な円板状の蓋部424により、覆われている。
図6(C)に示すように、検出ホール42は、蓋部424を外してダスト濃度センサ43を導入し、その先端を集塵ユニット20の内部まで到達させることで、各セル21の入口側あるいは出口側を通過する排出ガスのダスト濃度を検出することができる。
このような本実施形態の電気集塵装置10においては、通常の稼働時、排出ガス処理システム1の一部として、ボイラ2の排出ガスの集塵を行う。
一方、定期的な電気集塵装置10の調整時期になったら、本発明に基づく調整方法で、整流装置40の調整を行う。
電気集塵装置10においては、ダクト30の集合部31に供給された排出ガスが、分岐部33から個別部32を経て集塵ユニット20に導入される。この際、各個別部32ないし集塵ユニット20へ分配される排出ガスは、分岐部33に設置された整流装置40により調整される。
このような整流装置40における可動ベーン41の向きの調整は、図7に示す手順で定期的に行われる。
図7において、整流装置40の調整にあたっては、先ず作業者が煙突8(図1参照)の排気におけるダスト濃度を検査する(処理S1)。
煙突8の排気ダスト濃度が所定値以上でなければ、電気集塵装置10は適切な稼働状態であり、整流装置40の調整は必要ないので、これで処理を終了する。
先ず、対象とする集塵ユニット20を選択する(処理S2)。
次に、選択した集塵ユニット20について、電装系統の点検により、電極22に異常がないか検査する(処理S3)。
処理S8のあと、全ての集塵ユニット20に対する調整が終了したかを判定する(処理S9)。
処理S9で未対応の集塵ユニット20があると判定されれば、処理S2に戻り、次の集塵ユニット20を選択して処理S3以降の調整を行う。
次に、集塵ユニット20の入口側および出口側のダスト濃度差を計算し(処理S5)、基準となる所定値と比較する(処理S6)。
処理S7での変更は、僅かな角度ずつ行う。そして、処理S4〜S6で再度判定しつつ、角度の変更を繰り返す。これにより、選択中の集塵ユニット20で、現在の集塵能力に応じた排出ガス流量となるように調整することができる。
本実施形態では、整流装置40により通過する排出ガスの向きを変えて集塵ユニット20に対する排出ガスの流量を調整することができる。すなわち、特定の集塵ユニット20の入口に向かう排出ガスを減らすことで、この集塵ユニット20の排出ガス流量を減らすことができる。逆に、特定の集塵ユニット20の入口に向かう排出ガスを増すことで、この集塵ユニット20の排出ガス流量を増やすことができる。
この際、整流装置40は排出ガスの流れの向きを変えるものであり、例えば集塵ユニット20のダンパ24で流量を絞る場合のような流抵抗の増大を招くことが避けられる。従って、各集塵ユニット20の処理量を低下させることなく、複数の集塵ユニット20間での流量の均一化を図ることができる。
さらに、本実施形態では、作業者が操作ハンドル413を用いて可動ベーン41の向きを調整することができる。
整流装置40における排出ガスの向きの調整は、常時行われる必要はなく、定期的な実施で十分である。つまり、制御装置による自動化までは必要がなく、作業者による調整であればよい。従って、整流装置40の調整を作業者が行うようにすることで、必要十分な機能を確保しつつ、装置構成の簡素化を図ることができる。
本実施形態においては、通常時には、検出ホール42に蓋部424で蓋をしておくことで、通常時の排出ガスの漏れ出しを防止できる。一方、検出時には、ダスト濃度センサ43を導入してダスト濃度の検出を行うことができる。
そして、検出時のみダスト濃度センサ43を導入するため、複数の検出ホール42で同じダスト濃度センサ43を使い回しできる。すなわち、多数のダスト濃度センサ43を固定的に設ける場合には、ダスト濃度センサ43が多数必要になるが、使い回すことで設備コストを低減できる。
さらに、通常時はダスト濃度センサ43を外しておくため、ダストによるセンサの損傷などを防止できる。
さらに、本実施形態の調整方法では、処理S3により、集塵ユニット20のいずれかで電極異常が検知された際に、処理S8により、異常が検知された集塵ユニット20に向かう排出ガスの流れを減らすことができる。集塵ユニット20に電極異常があった場合、電極22での吸着不良により集塵されずに通過してしまうダスト量も増加するが、電極異常を検出した時点で対応すれば、通過した排出ガスのダスト濃度を検出するよりも早期に対応を行うことができる。
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変更などは本発明に含まれる。
前記実施形態では、電気集塵装置10に4基の集塵ユニット20を設置したが、集塵ユニット20は2基または3基あるいは5基以上であってもよく、複数であればよい。
整流装置40において、排出ガスの流れの向きを変更する手段としては、可動ベーン41に限らず、筒状のダクトの向きを可変としたもの、多数のベーンを配置したフレームの向きを可変としたものなど、他の形状構造であってもよい。
また、可動ベーン41は、操作ハンドル413による回動に限らず、モータ等で回動させてもよい。ただし、調整作業の頻度を考慮すると、作業員が操作する操作ハンドル413で十分であり、構造も簡略にできる。
ダスト濃度センサ43は、検出ホール42に必要時に導入されるものに限らず、固定的に設置してもよい。
ダスト濃度センサ43は、集塵ユニット20の入口および出口のダスト濃度を検出するものに限らず、出口側のみ検出し、所定の基準値との比較により集塵ユニット20の集塵機能を判定してもよい。
Claims (2)
- 複数の集塵ユニットと、前記集塵ユニットの各々に排出ガスを供給するダクトと、前記ダクトの分岐部を通過する前記排出ガスの向きを変えて前記集塵ユニットのそれぞれに対する前記排出ガスの流量を調整する整流装置とを有する電気集塵装置の調整方法であって、
前記集塵ユニットの入口および出口を通過した前記排出ガスのダスト濃度を検出することで、集塵性能が低下した前記集塵ユニットを判別し、
前記集塵性能が低下した前記集塵ユニットについて、当該集塵ユニットへの前記排出ガスが減るように前記整流装置が前記排出ガスの向きを変える角度を変更する動作を前記ダスト濃度が集塵性能の低下を示さなくなるまで繰り返すことを特徴とする電気集塵装置の調整方法。 - 請求項1に記載した電気集塵装置の調整方法において、
前記集塵ユニットのいずれかで電極異常が検知された際に、異常が検知された前記集塵ユニットに向かう前記排出ガスの流れを減らすことを特徴とする電気集塵装置の調整方法。
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