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JP6789645B2 - 面取り加工装置 - Google Patents

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JP6789645B2
JP6789645B2 JP2016047717A JP2016047717A JP6789645B2 JP 6789645 B2 JP6789645 B2 JP 6789645B2 JP 2016047717 A JP2016047717 A JP 2016047717A JP 2016047717 A JP2016047717 A JP 2016047717A JP 6789645 B2 JP6789645 B2 JP 6789645B2
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Description

本発明は、シリコン、サファイア、化合物、ガラス等の様々な素材、特に半導体ウェーハ、ガラスパネル等の板状被加工材の端面における高精度な面取り加工装置に関し、特に板状被加工材に対して砥石を傾ける研削に好適である。
近年、ウェーハの品質向上の要求が強く、ウェーハ端面(エッジ部)の加工状態が重要視され、半導体デバイス等の作製に使用されるシリコンウェーハ等の半導体ウェーハは、ハンドリングによるチッピングを防止するため、縁部を研削することで面取り加工が行われ、研磨による鏡面面取り加工が行われている。つまり、半導体製造工程において、ウェーハ製造からデバイス製造に至るまで、エッジ特性の品質改善は必要不可欠なプロセスとなっている。
シリコン等は固くてもろく、ウェーハの端面がスライシング時の鋭利なままでは、続く処理工程での搬送や位置合わせなどの取り扱い時に容易に割れたり欠けたりして、断片がウェーハ表面を傷つけたり汚染したりする。これを防ぐため、切り出されたウェーハの端面をダイヤモンドでコートされた面取り砥石で面取りする。
また、スマートフォンやタブレットの薄型化、軽量化のガラス基板にマスキング印刷、センサー電極形成を形成し、その後に切断することが行われ、面取りの加工品質、加工面粗さ、マイクロクラックの発生などがガラス基板の端面強度に直接影響する。
さらに、通常の研削ではレジン砥石の回転軸に対してウェーハの主面が垂直となる状態で面取り部を研削するが、この場合、面取り部には円周方向の研削痕が発生し易い。そこで、ウェーハに対して例えばレジンボンド砥石(レジン砥石)を傾けてウェーハの面取り部を研削する、いわゆるヘリカル研削を行うことが知られている。
特に、面取り面の粗さ精度を改善すると共に研摩効率を低下させないため、半導体ウェーハの周縁を研磨する半導体ウェーハの面取り方法に於いて、砥石の回転軸を半導体ウェーハ外周の接線方向に傾けて半導体ウェーハの周縁を研磨することにより、砥石の砥粒運動方向を半導体ウェーハの研磨面に対して傾斜させることが知られ、特許文献1に記載されている。つまり、ヘリカル研削を行うと、通常研削に比べ面取り部の加工歪みを低減させるだけでなく、ウェーハの面取り部と砥石とが面接触となり、接触領域が増えて面取り部の表面粗さが改善される効果が得られる。
また、ヘリカル研削による面取り加工の場合、接触長が長いため加工ポイントにクーラント液が届きにくく、ウェーハ及び砥石の冷却と研削屑の除去洗浄というクーラント液の効果を達成することが困難であった。そこで、効率のよいクーラント液の供給を可能にするため、供給されたクーラント液がウェーハ表面で表面内側から外周に向けて広がって研削位置に到達するように、ウェーハの表面内側にクーラント液を供給するクーラントノズルを設けることが知られ、特許文献2に記載されている。
特開平5−152259号公報 特開2007−48780号公報
上記従来技術において、ヘリカル研削によれば表面粗さが改善されるが、接触領域が増えてウェーハに対して抵抗力が大きくなったこと、例えば砥石の回転軸を下方に傾ければ、その分力によって、面取り加工時にウェーハが中心から先端に架けて曲げ変形し、つまり先端がだれることがあった。そして、曲げ変形が加工面の形状精度に影響を与え、より高精度な加工を行う上での障害となっていた。
また、クーラント液の供給を単に、特許文献2に記載のように行っても、砥石の回転によって、クーラント液の流入及び滞留性が損なわれること、切屑の排出が悪くなること、により表面粗さの劣化のみならず砥石の寿命を短くする恐れがあった。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、ヘリカル研削による面取り加工時に生じる被加工材の曲げ変形を無くし、加工精度を向上させると共に、クーラント液の流入及び滞留性、切屑の排出性を良くして表面粗さの向上、砥石の劣化を改善することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、板状の被加工材(ウェーハ)の端面を研削する面取り加工装置において、前記被加工材の平面に垂直となる厚さ方向の軸に対して回転軸を傾け、前記被加工材の端面に垂直方向より押し付けて当接する上研削砥石(上外周精研削砥石)と、前記上研削砥石の下方に前記回転軸の方向に隙間を有するように配置され前記上研削砥石に対して回転方向が逆となる下研削砥石(下外周精研削砥石)と、を備え、前記上研削砥石と前記下研削砥石とで前記被加工材の端面を研削するものである。
さらに、上記において、前記上研削砥石と前記下研削砥石とは回転軸が同芯となるように配置されたことが望ましい。
さらに、上記において、前記上研削砥石と前記下研削砥石とで前記被加工材を加工する研削溝が形成され、前記隙間は前記被加工材の厚さより小さいことが望ましい。
さらに、上記において、前記隙間は、前記研削溝の回転軸方向における中央に設けられたことが望ましい。
さらに、上記において、前記隙間は0.1〜1mmとされたことが望ましい。
さらに、上記において、前記上研削砥石と前記下研削砥石との回転軸は、前記被加工材の外周の接線方向に3〜15°傾けたことが望ましい。
さらに、上記のものにおいて、前記上研削砥石は左回転、前記下研削砥石は右回転とし、前記上研削砥石へのクーラント液は前記被加工材の上側から、前記下研削砥石へのクーラント液は前記被加工材の下側から供給されることが望ましい。
さらに、上記のものにおいて、前記クーラント液は、前記上研削砥石及び前記下研削砥石の回転方向に沿って流入されることが望ましい。
さらに、上記のものにおいて、前記上研削砥石及び前記下研削砥石は逆回転されてツルーイングされることが望ましい。
本発明によれば、厚さ方向の軸に対して回転軸を傾け、被加工材の端面に垂直方向より押し付けて当接する上研削砥石(上外周精研削砥石)と、上研削砥石の下方に回転軸の方向に隙間を有するように配置され、上研削砥石に対して回転方向が逆となる下研削砥石(下外周精研削砥石)と、を備えるので、加工時に生じる被加工材の曲げ変形を無くし、加工精度を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る面取り装置の主要部を示す正面図 一実施形態における外周精研スピンドル部の一部を拡大した側面図 一実施形態における全体の主要部を示す平面図 一実施形態における加工部の構成を示す平面図 一実施形態における外周精研スピンドル部の加工中の状態を示す側面図 一実施形態におけるクーラントノズルを説明する平面図 従来技術による加工後のウェーハWの形状を示す断面図 一実施形態における加工後のウェーハWの形状を示す断面図 一実施形態におけるツルーイング動作を示す側面図
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る面取り装置の主要部を示す正面図である。面取り装置10は、ウェーハ送りユニット20、砥石回転ユニット50、図示しないウェーハ供給/収納部、ウェーハ洗浄/乾燥部、ウェーハ搬送手段、及び面取り装置各部の動作を制御するコントローラ等から構成されている。
ウェーハ送りユニット20は、本体ベース11上に載置されたX軸ベース21、2本のX軸ガイドレール22、22、4個のX軸リニアガイド23、23、… 、ボールスクリュー及びステッピングモータから成るX軸駆動機構25によって図のX方向に移動されるXテーブル24を有している。
Xテーブル24には、2本のY軸ガイドレール26、26、4個のY軸リニアガイド27、27、… 、図示しないボールスクリュー及びステッピングモータから成るY軸駆動機構によって図のY方向に移動されるYテーブル28が組込まれている。
Yテーブル28には、2本のZ軸ガイドレール29、29と図示しない4個のZ軸リニアガイドによって案内され、ボールスクリュー及びステッピングモータから成るZ軸駆動機構30によって図のZ方向に移動されるZテーブル31が組込まれている。
Zテーブル31には、θ軸モータ32、θスピンドル33が組込まれ、θスピンドル33にはウェーハW(板状の被加工材)を吸着載置するウェーハテーブル34が取り付けられており、ウェーハテーブル34はウェーハテーブル回転軸心CWを中心として図のθ方向に回転される。
また、ウェーハテーブル34の下部には、ウェーハWの周縁を仕上げ面取りする砥石のツルーイングに用いるツルーイング砥石41(以下ツルアー41と称する)が、ウェーハテーブル回転軸心CWと同芯に取り付けられている。
このウェーハ送りユニット20によって、ウェーハW及びツルアー41は図のθ方向に回転されるとともに、X、Y、及びZ方向に移動される。
砥石回転ユニット50は、外周粗研削砥石52が取り付けられ、図示しない外周砥石モータによって軸心を中心に回転駆動される外周砥石スピンドル51、上方に配置されたターンテーブル53に取り付けられた上外周精研スピンドル54及び上外周精研モータ56を有している。同じくターンテーブル53に下固定枠59(図1では、一部切り欠いて図示)を介して下外周精研スピンドル57及び下外周精研モータ(図示せず)が設けられている。
上外周精研スピンドル54及び下外周精研スピンドル57は、ウェーハWの回転軸に対して回転軸が3〜15°、望ましくは6〜10°傾斜させた状態でウェーハWの外周面取りの仕上げ加工を行う。これにより、ヘリカル研削が行われ、ウェーハWの面取り部には斜め方向に弱い研削痕が発生するものの、通常研削に比べ面取り部の表面粗さが改善される効果が得られる。
図2は、外周精研スピンドル部の一部を拡大した側面図であり、上外周精研スピンドル54にはウェーハWの外周を仕上げ研削する面取り用砥石である上外周精研削砥石(上研削砥石)55−1が取り付けられ、同様に、下外周精研スピンドル57には下外周精研削砥石(下研削砥石)55−2が上外周精研削砥石55−1に対してウェーハWの厚さより小さい0.1〜1mm程度の隙間を持って回転軸が略同芯となるように取付けられる。
また、上外周精研削砥石55−1と下外周精研削砥石55−2とは回転方向が逆回転、つまり反対回転となるように上外周精研スピンドル54、下外周精研スピンドル57でそれぞれ駆動される。ウェーハWを加工するための研削溝は、上外周精研削砥石55−1と下外周精研削砥石55−2とで形成される。隙間は、その研削溝の回転軸方向における略中央に設けられる。
ウェーハ加工プロセスは、スライス→面取り→ラップ→エッチング→ドナーキラー→精面取りの順で行われ、工程間には汚れを取り除くため、各種洗浄が用いられる。シリコン等は固くてもろく、ウェーハの端面がスライシング時の鋭利なままでは、続く処理工程での搬送や位置合わせなどの取り扱い時に容易に割れたり欠けたりして、断片がウェーハ表面を傷つけたり汚染したりする。これを防ぐため、面取り工程では切り出されたウェーハの端面をダイヤモンドでコートされた面取り砥石で面取りする。
面取り工程は、ラッピング工程の後に行なわれることもある。この時、バラツキのある外周の直径を合わせ、オリエンテーションフラット(OF)の幅の長さを合わせることや、ノッチと呼ばれる微少な切り欠きの寸法を合わせることも含まれる。
図3は、面取り装置10全体の主要部を示す平面図であり、供給回収部は、面取り加工するウェーハWをウェーハカセット70から供給すると共に、面取り加工されたウェーハをウェーハカセット70に回収する。この動作は供給回収ロボット40で行われる。ウェーハカセット70はカセットテーブル71にセットされ、面取り加工するウェーハが多数枚収納されている。供給回収ロボット40はウェーハカセット70からウェーハWを1枚ずつ取り出したり、面取り加工されたウェーハをウェーハカセット70に収納したり、する。
供給回収ロボット40は3軸回転型の搬送アーム80を備えており、搬送アーム80は、その上面部に図示しない吸着パッドを備えている。搬送アーム80は、吸着パッドでウェーハの裏面を真空吸着してウェーハWを保持する。すなわち、この供給回収ロボット40の搬送アーム80は、ウェーハWを保持した状態で前後、昇降移動、及び旋回することができ、この動作を組み合わせることによりウェーハの搬送を行う。
面取り装置10は正面部に配置されており、ウェーハWの外周面取りの全加工、すなわち、粗加工から仕上げ加工までを行う。この面取り装置10はウェーハ送りユニット20、砥石回転ユニット50から構成されている。
図4は、加工部の構成を示す平面図であり、加工開始前の待機状態では、ウェーハテーブル34に保持されるウェーハWは、その中心がウェーハテーブル34の回転軸と一致するように配置される。このとき、ウェーハWのOF部は所定方向を向くように配置される。
また、外周粗研削砥石52及び外周精研削砥石55を構成する上外周精研削砥石55−1、下外周精研削砥石55−2は、ウェーハWからそれぞれ所定距離離れた位置に位置している。具体的には、外周粗研削砥石52の回転中心はウェーハWの回転中心に対してY軸方向に所定距離だけ離れた位置に配置され、かつ上外周精研削砥石55−1、下外周精研削砥石55−2の回転中心はウェーハWに対してX軸方向に所定距離離れた位置に配置される。
まず始めに、アライメント動作が行われる。このアライメント動作では、ウェーハテーブル34に保持されたウェーハWと外周粗研削砥石52及び外周精研削砥石55との上下方向(Z軸方向)について相対的な位置関係が調整される。
アライメント動作が完了したら、外周砥石スピンドル51が駆動される。次に、外周粗研削砥石52による研削(粗加工)を開始する。具体的には、外周粗研削装置62のY軸モータ(図示せず)が駆動され、外周砥石スピンドル51がY軸方向に沿ってウェーハテーブル34に向かって送られる。
外周粗研削砥石52は、直径200mmのダイヤモンド砥粒のメタルボンド砥石で、粒度#800である。また、外周砥石スピンドル51は、ボールベアリングを用いたビルトインモータ駆動のスピンドルで、回転速度8,000rpmで回転される。
ウェーハテーブル34に向かって外周砥石スピンドル51が送られると、ウェーハWの外周が外周粗研削砥石52に形成された外周粗研削用の研削溝に接触し、ウェーハWの外周部が外周粗研削砥石52により研削されて、ウェーハWの外周面取りの粗加工が開始される。
外周粗研削砥石52による粗加工が開始された後、ウェーハテーブル34に保持されたウェーハWが一定速度で矢印方向に回転を開始する。この回転角度、つまり加工点が直線部となるOF部に至ると、外周砥石スピンドル51をY方向、ウェーハテーブル34に向かう送り量を多くすると共に、外周砥石スピンドル51をX方向に直線移動させ直線部を加工する。その後、直線部の加工を終了すると、再び、ウェーハテーブル34に保持された板状のウェーハWを一定速度で矢印方向に回転させ、残りの円形部を研削して外周粗研削砥石52による粗加工を終了する。
次に、外周精研削砥石55である上外周精研削砥石55−1、下外周精研削砥石55−2による仕上げ加工が同様に行われる。上外周精研削砥石55−1、下外周精研削砥石55−2は、ダイヤモンド砥粒のレジンボンド砥石が適している。また、上外周精研スピンドル54及び下外周精研スピンドル57は、同芯とされ、その回転軸をウェーハテーブル34の回転軸に対してウェーハWの外周の接線方向に3〜15°、望ましくは6〜10°、つまり、ウェーハWの面に垂直な方向に対して傾斜させた状態でウェーハWの外周面取りの仕上げ加工が行われる。
さらに、上外周精研削砥石55−1、下外周精研削砥石55−2は、一組となって、面取り用加工溝はツルアー41によって形成される。また、上外周精研削砥石55−1、下外周精研削砥石55−2は同じ材料で、例えば、Fe、Cr、Cu等の金属粉等を主成分とし、ダイヤモンド砥粒を混ぜて成形したものが用いられる。その材質は、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂又はポリエチレン樹脂等を主成分とし、ダイヤモンド砥粒や立方晶窒化ホウ素砥粒を混ぜて成形したものが望ましい。
また、上外周精研削砥石55−1、下外周精研削砥石55−2は、直径50mmのダイヤモンド砥粒のレジンボンド砥石で、粒度#3000が用いられる。上外周精研スピンドル54及び下外周精研スピンドル57は、エアーベアリングを用いたビルトインモータ駆動のスピンドルで、回転速度35,000rpmで回転される。
ツルアー41の材質は、外周粗研削砥石52によって加工することができる一方、上外周精研削砥石55−1、下外周精研削砥石55−2を研削することができるものを採用する。例えば炭化珪素からなる砥粒を、必要に応じて充填剤等も加えてフェノール樹脂で結合し、これを円盤状のツルアー41に成形したものが望ましい。また、ツルアー41は、加工されるウェーハWと同等以下の外径であり、同厚の円盤状GC(Green silicon carbide)砥石、又はWA(White fused alumina)砥石でも良く、砥石の粒度は#320程度が良い。
また、研削砥石は、ポーラスな表面を有する面取り砥石素材に飽和脂肪酸溶液と共に潤滑剤を供給し、表面を乾燥させて潤滑剤含浸砥石とし、この潤滑剤を含む砥石を研削時に水冷却で使用することが望ましい。
図5は、外周精研スピンドル部の加工中の状態を示す側面図であり、上外周精研スピンドル54及び下外周精研スピンドル57の回転方向と力、クーラント液の流入、滞留、切屑の排出の関係を示している。上外周精研スピンドル54は左回転(矢印Aが示す方向図面視左から右へ回転)し、ウェーハWの回転軸に対して時計方向に傾斜、図で左から右に下方に傾斜しているので、ウェーハWに対して矢印Aのように力が加わる。ウェーハWは中央が保持され、外周は自由端となっているので、分力により下に曲げられるようになる。一方、下外周精研スピンドル57は、右回転(矢印Bが示す方向図面視右から左へ回転)し図で右から左に上方に傾斜しているので、ウェーハWに対して矢印Bのように力が加わる。
上外周精研削砥石55−1及び下外周精研削砥石55−2との隙間は回転軸方向に中央で対称となっているので、ウェーハWと上外周精研削砥石55−1及び下外周精研削砥石55−2との接触面積は等しくなる。したがって、それぞれの研削抵抗がつり合い、ウェーハWを曲げるような力を生じない。これにより、ウェーハWが中心から先端に架けて曲げ変形することがなく、曲げ変形による加工面の形状精度に影響を与えることがない。
矢印C、Dは、クーラント液の流入方向を示し、ウェーハWの上側は、上外周精研削砥石55−1の回転方向、半時計方向に沿って、図5で左側からウェーハWの外周から中心に向かって流入させる。下側は、下外周精研削砥石55−2の回転方向、時計方向に沿って右側からウェーハWの外周から中心に向かって流入させる。
図6は、外周精研削砥石55でウェーハWの外周を面取り研削するときのクーラントノズルを説明する平面図であり、ウェーハテーブル34(図1)の近傍にクーラントノズル71A、71Bを設けた例である。クーラントノズル71AはウェーハWの上面内側にクーラント液91Aを供給する。供給されたクーラント液91Aは噴射力と上外周精研削砥石55−1の回転による遠心力によって研削ポイントに到達する。また、クーラントノズル71BはウェーハWの下面内側に図示しないクーラント液を供給する。供給されたこのクーラント液は噴射力と下外周精研削砥石55−2の回転による遠心力によって研削ポイントに到達する。
図6ではクーラントノズル71A、71Bの噴射口を研削ポイントに近づけているが、上外周精研削砥石55−1と下外周精研削砥石55−2の回転方向は逆となっているので、必ずしも研削ポイントに近づける必要はない。そして、両側から流入されたクーラント液は、上外周精研削砥石55−1、下外周精研削砥石55−2の回転に伴って、それぞれ加速されるが、ウェーハWの中心付近の加工ポイントでぶつかり合い流入速度が弱められる。したがって、クーラント液は、加工ポイントで滞留し、ウェーハWと上外周精研削砥石55−1及び下外周精研削砥石55−2を十分冷却し、隙間から流出していく。また、研削に伴う研削屑は、クーラント液の流入、流出とともに隙間より排出、除去され、クーラント液の効果を促進してヘリカル研削の効果を高め、加工品質の向上を図ることができる。
以上により、砥石の切削点へ潤滑剤が確実に供給されて切削点温度を所定温度以下にすることができる。また、冷却液を水とすれば冷却液による環境汚染を防止できる。さらにウェーハ面取り装置では、砥石に潤滑剤を含浸させれば、長期にわたり潤滑剤を切削点に供給可能であり、そのうえ冷却液を水として低温かつ環境に配慮した加工が可能となる。さらに、研削屑が隙間から排出されるので加工面に落下することがなく、加工面に研削屑等によるキズ、引っ掻きによる条痕を生じることがない。
さらに、ウェーハWを固定するウェーハテーブル34の大きさは、固定及び研削抵抗を考慮して決めなければならないが、上外周精研削砥石55−1、下外周精研削砥石55−2を逆回転としたことにより、ウェーハWの変形や撓み、歪などの加工精度への影響を避けると共に、上外周精研削砥石55−1、下外周精研削砥石55−2を柔らかいレジンボンド砥石とすることで、その振れ等の衝撃を緩和することができる。
さらに、通常、外周精研削砥石55の傾斜角度があまりに大きいと、研削抵抗の増大、端面における上下角部の欠け、キズなどの点で好ましくないが、上外周精研削砥石55−1、下外周精研削砥石55−2の回転を逆回転とすることで、この点でも有利である。
なお、上外周精研削砥石55−1と下外周精研削砥石55−2との回転軸は、略同芯としたが、必ずしも正確な同芯である必要はなく、回転数、ウェーハW及び研削砥石の材質、ヘリカル研削のために傾けた角度などの加工条件により、適宜ずらすことでも良い。また、同様に、それぞれの回転数も正確に一致させる必要はなく、どちらか一方の回転数を仕上がり状態、精度、クーラント液の流入状態、ヘリカル研削のために傾けた角度などの加工条件により小さくしても良い。
図7は、従来技術による加工後のウェーハWの形状を示す断面図であり、通常の外周精研削砥石55で加工した切り込み位置でのウェーハWの形状を示し、厚さが740μmで上面A1が340μm、B1が300μm、θ1が43°に対して下面A2が250μm、B2が190μm、θ2が40°と言うように、ウェーハWが下方に曲げられることで面取り加工部の対称性が崩れていた。
図8は、一実施形態における加工後のウェーハWの形状を示す断面図であり、図7に対して、外周精研削砥石55を上下に分離して上外周精研削砥石55−1、下外周精研削砥石55−2として逆回転させた場合のウェーハWの形状を示す。厚さが740μmで上面A1が290μm、B1が260μm、θ1が44°に対して、下面A2が290μm、B2が240μm、θ2が42°と言うように、面取り加工部の対称性が改善され、精度が向上している。
図9は、ツルーイング動作を示した側面図であり、ウェーハテーブル34の下部にウェーハテーブル回転軸心と同芯で取付けられ、ウェーハテーブル34で回転される。ツルーイング動作は、最初にマスター砥石(図示せず)でツルアー41の外周に面取り加工を行う。この加工においては、マスター砥石が回転速度8,000rpmで回転されている。この状態でZテーブル31がZ軸駆動機構30によって移動され、ツルアー41の高さがマスター砥石のマスター溝に一致する高さに位置決めされる。
ツルアー41の外周部が面取りされ、ツルアー41の外周部にマスター溝の形状が転写される。マスター砥石のマスター溝の断面形状からツルアー41の外周部の断面形状への転写が終了する。外周部にマスター溝の断面形状が転写されたツルアー41を用いて、回転軸がウェーハWの接線方向に傾斜した上外周精研削砥石55−1、下外周精研削砥石55−2を形成する。外周精研削砥石55に形成される研削溝は、ウェーハWの外径Dと同等の外径を有するツルーイング砥石で形成したものと同等となる。
ツルーイング動作も上外周精研削砥石55−1、下外周精研削砥石55−2は逆回転させるので、外周研削のときと同様に、曲げ変形による加工面の形状精度に対する影響を受けず、研削屑も隙間から排出されるので、より正確な形状転写が行われる。
W…ウェーハ、ガラスパネル(被加工材)、10…面取り装置、11…本体ベース、20…ウェーハ送りユニット、21…X軸ベース、22…X軸ガイドレール、23…X軸リニアガイド、24…Xテーブル、25…X軸駆動機構、26…Y軸ガイドレール、27…Y軸リニアガイド、28…Yテーブル、29…Z軸ガイドレール、30…Z軸駆動機構、31…Zテーブル、32…θ軸モータ、33…θスピンドル、34…ウェーハテーブル、40…供給回収ロボット、41…ツルアー、50…砥石回転ユニット、51…外周砥石スピンドル、52…外周粗研削砥石、53…ターンテーブル、54…上外周精研スピンドル、55…外周精研削砥石、55−1…上外周精研削砥石(上研削砥石)、55−2…下外周精研削砥石(下研削砥石)、56…上外周精研モータ、57…下外周精研スピンドル、59…下固定枠、62…外周粗研削装置、70…ウェーハカセット、71…カセットテーブル、71A、71B…クーラントノズル、80…搬送アーム、91A…クーラント液

Claims (7)

  1. 板状の被加工材の端面をヘリカル研削する面取り加工装置において、
    前記被加工材の外周を研削する上研削砥石が取り付けられた上外周精研スピンドルと、
    同様に、下研削砥石が前記上研削砥石に対して前記被加工材の厚さより小さい隙間を持って回転軸が略同芯となるように取り付けられた下外周精研スピンドルと、
    前記上研削砥石と前記下研削砥石とで形成された研削溝と、
    回転軸を前記被加工材の主面に垂直な方向に対して前記被加工材の外周の接線方向に傾斜させた前記上外周精研スピンドル及び前記下外周精研スピンドルと、
    を備え、前記上研削砥石と前記下研削砥石とは回転方向が反対回転となるように前記上外周精研スピンドル、前記下外周精研スピンドルでそれぞれ駆動され、前記研削溝で前記被加工材の外周が加工されることを特徴とする面取り加工装置。
  2. 前記隙間は、前記研削溝の回転軸方向における中央に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の面取り加工装置。
  3. 前記隙間は0.1〜1mmとされたことを特徴とする請求項1又は2に記載の面取り加工装置。
  4. 前記回転軸は、前記被加工材の外周の接線方向に3〜15°傾いていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の面取り加工装置。
  5. 前記上研削砥石は左回転、前記下研削砥石は右回転とし、前記上研削砥石へのクーラント液は前記被加工材の上側から、前記下研削砥石へのクーラント液は前記被加工材の下側から供給されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の面取り加工装置。
  6. 前記クーラント液は、前記上研削砥石及び前記下研削砥石の回転方向に沿って流入されることを特徴とする請求項に記載の面取り加工装置。
  7. 前記上研削砥石及び前記下研削砥石は逆回転されてツルーイングされることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の面取り加工装置。
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