JP6788887B2 - 膨張弁 - Google Patents
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Description
弁室内に配設される球状の弁部材は、弁室に開口する弁孔の弁座に対向し、パワーエレメントにより駆動される弁棒により操作されて、弁座との間の絞り通路の開度を制御する。
また、弁孔を通った冷媒は、出口ポートから蒸発器側へ送られる。蒸発器から圧縮機側へ戻る冷媒は、弁本体に設けられた戻り通路を通過する。
上蓋部材とダイアフラムで形成される圧力作動室には作動ガスが封入される。このとき、圧力作動室に作動ガスを封入するために、上蓋部材の頂部に穴を設け、この穴から作動ガスを封入した後に鋼球等で穴を塞ぎプロジェクション溶接手段などによって圧力作動室を封止する。
この騒音を抑制するために、弁部材を支持する支持部材の振動を抑制する防振ばねを備えた膨張弁が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、防振ばねがその耐久性の向上を図るためにステンレス鋼又はその合金等の比較的剛性の大きい材料(硬い材料)で作成され、その一方で弁本体が当該膨張弁の軽量化を図るためにアルミニウム又はその合金等の比較的剛性の小さい材料(柔らかい材料)を用いて作成されている場合、防振ばねの脚部が弁室の内面と摺動するため、弁室の摺動部が摩耗して耐久性が低下する懸念がある。
このとき、前記複数の摺動アームは、前記本体部の中心軸に関して対向する位置に配置されていてもよく、あるいは前記複数の摺動アームは、前記本体部の円周方向に等間隔に配置されていてもよい。
図1は、本発明の第1実施例による膨張弁を示す縦断面図である。
図1に示すように、本発明の第1実施例による膨張弁10は、弁本体11、弁棒60、パワーエレメント70及び弁構造体100を備えている。
弁本体11は、上面部に形成されて雌ねじを有するパワーエレメント取付部12と、高圧の冷媒が導入される入口ポート20と、冷媒の出口ポート28と、冷媒の戻り通路30と、弁本体11を他の部品に取り付けるためのスタッドボルト(図示せず)を螺合する雌ねじ80やボルトを挿入するための貫通溝や孔(いずれも図示せず)と、を有する。
一方、弁本体11における弁室24の上方には、出口ポート28が形成されている。この出口ポート28は、弁孔(オリフィス)26を介して弁室24の上端部に連通しており、当該弁孔26の弁室24側には、弁座25が形成されている。
冷媒は、入口ポート20から流入し、弁孔26を通過して膨張した後、出口ポート28から蒸発器(図示せず)へ送られる。蒸発器を通過した冷媒は、戻り通路30の左側から入って右側に抜けるように(すなわち矢印X方向に)弁本体11内を通過し、圧縮機(図示せず)へ戻る。
パワーエレメント取付部12は、弁本体11の上端において弁本体11の上面に円形状に開口しその内壁面に雌ねじを有する有底の円筒状穴として形成される。
また、パワーエレメント取付部12の中央部には戻り通路30に至る連通穴31が形成され、後述する弁棒60が挿通される。
このとき、上蓋部材71とダイアフラムとの間には、圧力作動室が形成され、この圧力作動室内に作動ガスが封入されている。
このとき、パワーエレメント70と弁本体11との間には、パッキン35が介装され、弁本体11にパワーエレメント70を取り付けた際の連通穴31からのリークを防止する。
また、これら弁孔26、通し穴29及び連通穴31のそれぞれに挿通される態様で弁棒60が設けられている。
このような配置とすることにより、図1に示す膨張弁10は、パワーエレメント70の圧力作動室における内圧の変動に応じて変形したダイアフラムの動きを受けてストッパ部材が上下動し、当該ストッパ部材の移動が弁棒60を介して弁構造体100の弁部材40に伝達され、膨張弁の開閉動作が行われる。
また、プラグ50の下部外周面には雄ねじが形成されており、弁本体11の下端部に開口する雌ねじ11aに螺合する態様で取り付けられる。
このとき、弁本体11とプラグ50との間にはOリング等のシール部材54が設けられ、これによって弁室24がシールされる。
図2に示すように、弁構造体100は、弁本体11の弁座25に接触してオリフィス開口面積を制御するボール状の弁部材40と、弁部材40を支持する支持部材42と、支持部材42を支持するコイルばね44と、コイルばね44を受けるプラグ50と、支持部材42の外周面と摺動自在に接触する防振ばね110と、により構成される。
また、コイルばね44は、支持部材42に設けられたフランジ部42bの下面とプラグ50に形成された凹部52との間に収容されており、これによって、弁部材40は支持部材42を介して弁座25の位置する側に向けて付勢されており、支持部材42と同様に、例えばステンレス鋼又はその合金製である。
そして、プラグ50のねじ込み量を変化させて弁座25と凹部52の底面との距離を調整することにより、コイルばね44のばね力を調整することができる。
図3に示すように、第1実施例に適用される防振ばね110は、筒状の本体部111と、本体部111の一部が除去された切欠部112と、切欠部112に接して形成された摺動アーム113と、により構成される。
摺動アーム113は、本体部111の円周方向に長手の部分を有し、その一端が本体部111に接続して他端が自由端となるように形成される。
そして、摺動アーム113の先端には、支持部材42のフランジ部42bの外周面と点又は小面積にて摺接するように、球面の一部に模した形状を有する突出部114が形成されている。
ここで、図3では、切欠部112及び摺動アーム113を3か所に配置した場合を例示したが、防振ばね110は支持部材42のフランジ部42bに外周面側から挟み込むように摺接するため、摺動アーム113は、少なくとも2つ以上形成されていればよい。
また摺動アーム113が奇数個形成されるときも、例えば本体部111の中心軸を通る直線に対して線対称となるようにこれを配置すれば、特に前記円周方向に等間隔に配置される必要はない。
その後、摺動アーム113を本体部111の内周面側に向けて変形させることにより、防振ばね110を形成する。
また、上記打ち抜き加工の際に、予め本体部111の内周面側に位置する方向に突出するように、摺動アーム113の先端に突出部114を同時に成形加工してもよい。
図4に示すように、弁本体11に形成された弁室24の弁座25近傍の内周面24aには、弁構造体100の一部をなす防振ばね110が圧入や挿入等により装着され、その後、内周面24aの開放端部をかしめることにより(かしめ部は符号24b)固着されている。もちろん、かしめる代わりに接着や溶接等の手法を採用しても良い。
このとき、防振ばね110の摺動アーム113に形成された突出部114が支持部材42のフランジ部42bの外周面に実質的に点接触した状態となる。
これにより、支持部材42が図示上の横方向(X方向)に振動することを抑制できるとともに、支持部材42がコイルばね44の伸縮に応じて図示上の上下方向(Y方向)に摺動アーム113と摺接するため、支持部材42が上下方向に振動することも抑制できる。
また、防振ばねが支持部材の外周面に摺接することで支持部材の横方向の振動を抑制するとともに、コイルばねによる支持部材の上下動に伴う支持部材の上下方向の振動をも抑制することができるため、弁部材の振動による騒音の発生も併せて抑制できる。
また、第1実施例に適用される防振ばねは、その高さ方向のいずれかの位置で支持部材の外周面と摺接すれば、上記した振動抑制の機能を果たすことができるため、防振ばねを弁室に取り付ける際に上下方向の向きを問わない。
さらに、防振ばね110の本体部111は、細長い帯板状の部材を筒状に湾曲させ、その端部同士を適宜の手法により結合するものとしたが、端部同士を結合することなく、筒状に湾曲したままの状態で弁本体11の内周面24aに固定しても良いことは当然である。
図5は、本発明の第2実施例による膨張弁を示す縦断面図である。
第2実施例において、膨張弁10の構成要素のうち、その機能や配置等が第1実施例(図1)で示したものと共通するものについては同一の符号を付して示す。また、発明の要部を除く部分については、再度の説明を省略する。
図5に示すように、本発明の第2実施例による膨張弁10は、弁本体11、弁棒60、パワーエレメント70及び弁構造体200を備えている。
図6に示すように、弁構造体200は、弁本体11の弁座25に接触して開閉するボール状の弁部材40と、弁部材40を支持する支持部材42と、支持部材42を支持するコイルばね44と、コイルばね44を受けるプラグ50と、支持部材42の外周面と摺動自在に接触する防振ばね210と、により構成される。
図7に示すように、第2実施例に適用される防振ばね210は、円環状の本体部211と、本体部211の内周面側に起立するように延びる摺動アーム212と、により構成される。
そして、摺動アーム212は、その先端が本体部211の高さ方向に向くように根元から折り曲げられ、その先端には、支持部材42のフランジ部42bの外周面と点又は小面積で摺接するように、球面の一部に模した形状を有する突出部213が形成されている。
ここで、図7では、摺動アーム212を3か所に配置した場合を例示したが、第1実施例の場合と同様に、防振ばね210は支持部材42のフランジ部42bに外周面側から挟み込むように摺接するため、摺動アーム212は、少なくとも2つ以上形成されていればよい。
また摺動アーム212が奇数個形成されるときも、例えば本体部211の中心を通る直線に対して線対象となるようにこれを配置すれば、特に前記円周方向に等間隔に配置される必要はない。
その後、摺動アーム212を本体部211に対して高さ方向に折り曲げて変形させることにより、防振ばね210を形成する。
また、上記打ち抜き加工の際に、予め本体部211の内周面側に位置する方向に突出するように、摺動アーム212の先端に突出部213を同時に成形加工してもよい。
図8に示すように、第2実施例において、弁室24の弁座25近傍にやや縮径する段部24cが形成されており、当該段部24cに弁構造体200の一部をなす防振ばね210を嵌め込み、かしめることにより(かしめ部は符号24d)固着されている。もちろん、かしめる代わりに接着や溶接等の手法を採用しても良い。
このとき、防振ばね210の摺動アーム212に形成された突出部213が支持部材42のフランジ部42bの外周面に実質的に点接触した状態となる。
なお、第1実施例の場合と同様に、防振ばねと支持部材とが摺接するため、支持部材を構成する材料としては、防振ばねを構成する金属と同一の材料あるいはより硬い材料であることが当該膨張弁の摩耗低減(すなわち支持部材の摩耗低減)の上から好ましいが、少なくとも弁本体を形成する材料よりも硬い材料であれば良い。
また、上記の効果に加えて、第2実施例による膨張弁によれば、摺動アームが防振ばねの高さ方向に延びる構造のため、防振ばねの加工に要する材料を削減しつつ支持部材の外周面との必要最小限の摺接を可能とすることができる。
図9は、本発明の第3実施例による膨張弁を示す縦断面図である。
なお、第3実施例においても、膨張弁10の構成要素のうち、その機能や配置等が第1実施例(図1)で示したものと共通するものについては同一の符号を付して示す。また、発明の要部を除く部分については、再度の説明を省略する。
図9に示すように、本発明の第2実施例による膨張弁10は、弁本体11、弁棒60、パワーエレメント70及び弁構造体300を備えている。
図9に示すように、第3実施例による膨張弁10には、第1実施例で用いられた防振ばね110と同一のものが適用されているため、その構造等の再度の説明は省略する。
このような支持部材310を製造する場合、例えば円板状の部材をプレス加工し、円板部310aの円錐状のくぼみと側壁部310bとを同時に形成する。
図10に示すように、第3実施例において、弁室24の弁座25近傍の内周面24aはその下側の部分よりもやや拡径しており、この拡径部分に防振ばね110が嵌合することにより固着されている。この嵌合構造により、第1実施例のような防振ばねのかしめ固定構造が不要となる。
このとき、防振ばね110の摺動アーム113に形成された突出部114が、支持部材310の側壁部310bの外周面に点接触の形で摺接する。
なお、第1実施例の場合と同様に、防振ばねと支持部材とが摺接するため、支持部材を構成する材料としては、防振ばねを構成する金属と同一の材料あるいはより硬い材料であることが好ましいが、少なくとも弁本体を形成する材料よりも硬い材料であれば良い。
また、上記の効果に加えて、第3実施例による膨張弁によれば、弁部材を支持する支持部材の構造が簡素化されるため、その製造が容易になる。
さらに、支持部材の側壁部がコイルばねの外側に位置するため、防振ばねとの摺動位置がより弁室の内周面に近くなるため、支持部材の上下方向の移動に対する安定性が向上する。
例えば、第1実施例から第3実施例において、支持部材を構成する材料として、防振ばねと同一の材料あるいはより硬い材料を例示したが、セラミックス材料等の耐摩耗性材料を適用したり、あるいは摺動面に耐摩耗性のコーティングを施してもよい。
また、弁部材と支持部材とは、別体として形成されていてもよいが、一体物として形成されてもよい。
その他にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施例に種々の改変を施すことも可能である。
11 弁本体
12 パワーエレメント取付部
20 入口ポート
24 弁室
24a (弁室の)内周面
24b かしめ部
24c (弁室の)段部
24d かしめ部
25 弁座
26 弁孔
28 出口ポート
29 通し穴
30 戻り通路
31 連通穴
40 弁部材
42 支持部材
42a 円板部
42b フランジ部
44 コイルばね
50 プラグ
54 シール部材
60 弁棒
70 パワーエレメント
71 上蓋部材
72 受け部材
100、200、300 弁構造体
110、210 防振ばね
111、211 本体部
112 切欠部
113、212 摺動アーム
114、213 突出部
310 支持部材
310a 円板部
310b 側壁部
Claims (4)
- 上蓋部材、受け部材並びに前記上蓋部材及び前記受け部材の間に挟まれるダイアフラムを含むパワーエレメントと、
入口ポート、前記入口ポートに連通する弁室、前記弁室に連通する弁孔、前記弁孔に連通する出口ポート、前記弁孔の前記弁室側の開口部に形成された弁座及びパワーエレメント取付部を含む弁本体と、
前記弁座に接触配置される弁部材と、
前記弁部材を支持する支持部材と、
前記弁室内に設けられて前記支持部材を前記弁孔に向けて付勢するコイルばねと、
前記パワーエレメントに取り付けられて前記弁部材を駆動する弁棒と、
前記弁室内に固着されて前記支持部材の外周面に摺動自在に接触する防振ばねと、
を備え、
前記防振ばねは、前記弁室内に固着される円環状の本体部と、前記本体部の内周側にその中心軸方向に沿って形成された複数の摺動アームと、を有し、
前記摺動アームは突出部を備え、前記突出部は前記支持部材の外周面と摺動し、
前記突出部が前記支持部材の外周面と摺動する位置は、前記本体部が前記弁室内に固着される位置よりも、前記弁部材が前記弁座に接触する位置に近い、
ことを特徴とする膨張弁。 - 前記複数の摺動アームは、前記本体部の中心軸に関して対向する位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の膨張弁。 - 前記複数の摺動アームは、前記本体部の円周方向に等間隔に配置されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の膨張弁。 - 前記弁室は、前記摺動アームの先端の周囲において、前記弁座に向かうに従って縮径したテーパ面を有する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の膨張弁。
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