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JP6788546B2 - 車両用制動システム - Google Patents

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Description

本発明は、摩擦制動装置と回生制動装置を備える車両用制動システムに関する。
摩擦制動装置と回生制動装置を備える車両用制動システムでは、バッテリが満充電に近づいた際には、回生制動を制限して、摩擦制動に切り替えることが行われている。
たとえば、特許文献1では、車両走行中におけるアクセルペダルから足を離した、アクセルオフの状態で、回生制動を行っている。つまり、摩擦制動を行わずに、回生制動によって、ガソリンエンジン車におけるエンジンブレーキに相当する制動力を発生している。
特開平10-271605号公報
ところで、特許文献1のような構成では、長い下り坂を下る際に、バッテリが満充電に近い状態では、回生制動から摩擦制動に切り替わり、摩擦制動が継続されることになる。このような状況では、摩擦制動装置への負荷が大きく、ブレーキパッドの急激な消耗、および劣化をもたらすおそれがある。
本発明は、前述の点に鑑みてなされたものであり、摩擦制動装置への負荷を低減することができる車両用制動システムを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明に係る車両用制動システムは、回生制動制御と摩擦制動制御との切替え、および回生制動装置と摩擦制動装置の制御を行う制動制御装置を備え、該回生制動装置が、該回生制動制御時に、回転電機に回生制動をさせ、発電した回生電力をバッテリに充電し、該摩擦制動装置が、該摩擦制動制御時に、摩擦制動を行い、該制動制御装置が、車両走行中に、運転者が加速操作を止めつつ、制動操作を止めた場合、該回生制動制御と該摩擦制動制御の少なくともどちらか一方が実行されるエンブレ制動モードを実行する車両用制動システムにおいて、前記制動制御装置は、前記回生制動制御中に、前記バッテリの充電量が充電制限値以上となった場合、該回生制動制御から前記摩擦制動制御へ移行する回生制限制御を行い、該摩擦制動制御中に、具備する温度取得手段で取得した摩擦手段の温度が、所定の第1温度以上となった場合、前記摩擦制動装置による摩擦制動を制限する摩擦制限制御を行い、具備する車両状態検出手段の出力から所定の走行状態であると判断した場合、該摩擦制動装置による摩擦制動の制限を禁止する摩擦制限禁止制御を行うことを特徴とする。
本発明によれば、摩擦制動装置への負荷を低減することができる車両用制動システムを提供することができる。
本実施形態に係る車両の要部系統図である。 本実施形態に制動システムのブロック図である。 本実施形態に電動サーボモータの構成を示す系統図である。 本実施形態制動システムの働きを示すタイムチャートである。 本実施形態制動システムの働きを示すフローチャートである。
本発明の第1実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る車両の全体構成を示す要部系統図である。
[全体構成]
車両100は、図1に示すように、車両前側に設けられた左右一対の前輪101F、および車両後側に設けられた左右一対の後輪101Rの計4つの車輪101を備えている。また、車両100は、前輪101Fの舵を切るステアリング装置102と、動力源としての動力装置103と、車両を制動する制動システム(車両用制動システム)104と、を備えている。
本実施形態の車両100は、前輪101Fが駆動輪を構成する、所謂前輪駆動車である。駆動輪である前輪101Fには、動力装置103が連結され、動力装置103からの駆動力が伝達される。
なお、本実施形態の制動システム104は、前輪駆動車に限らず、後輪101Rが駆動輪を構成する後輪駆動車や、4つの車輪全てが駆動輪を構成する四輪駆動車への適用が可能である。
ステアリング装置102は、運転者によるステアリングホイール102aの回転操作に応じて、前輪101Fを左右に転舵する。
動力装置103は、図1に示すように、アクセルペダル31と、回転電機32と、バッテリ33と、を備えている。つまり、本実施形態の車両100は、回転電機32を動力源とする所謂電気自動車である。
アクセルペダル31は、動力装置103の操作部として、運転者の足下に配置され、運転者によって踏み込み操作される。
回転電機32は、駆動制御モードと回生制動制御モードの2つの制御モードで制御される。
そして、駆動制御モードで駆動される回転電機32は、バッテリ33から供給される電力によって駆動する電動機として機能する。
また、回生制動制御モードで駆動される回転電機32は、発電機として機能し、回生電力を発電する。
バッテリ33は、充電、放電が可能な二次電池で構成されている。
そして、駆動制御モードにおけるバッテリ33は、電動機としての回転電機32へ駆動電力を供給する。
また、回生制動制御モードにおけるバッテリ33は、発電機として回転電機32が発電した回生電力が充電される。
このように構成された動力装置103は、アクセルペダル31の操作位置によって、回転電機32の制御モードが選択されるとともに、駆動制御モード時における回転電機32の出力量が操作される。
つまり、動力装置103は、車両100の動力源を構成するとともに、後述する制動システム104の回生制動装置105を構成している。
なお、本実施形態の制動システム104は、電気自動車に限らず、回生制動装置105と、摩擦制動装置106とを備えた車両であれば、所謂ハイブリッド車等にも適用が可能である。
制動システム(車両用制動システム)104は、図1、図2に示すように、摩擦制動装置106と、回生制動装置105(動力装置103)と、制動制御装置41と、を備えている。
摩擦制動装置106は、ブレーキディスク61と、液圧手段62と、を備えている。
ブレーキディスク61は、各車輪101に設置され、車輪101とともに回動する。
液圧手段62は、車体側に設置され、液圧配管62aと、ブレーキパッド62bと、モーターシリンダ62cとを備えている(図3参照)。
摩擦制動装置106は、図3に示すように、制動制御装置41が要求する摩擦制動力に相当する液圧をモーターシリンダ62cに発生させる。発生した液圧は、液圧配管62aを介してブレーキパッド62bに伝わり、ブレーキパッド62bがブレーキディスク61に押付けられる。そして、ブレーキパッド62bがブレーキディスク61に押付けられた際に生じる摩擦によって制動が行われる。
回生制動装置105は、前述のように、動力装置103を兼ねており、回転電機32と、バッテリ33とを備えている。そして、動力装置103が回生制動制御モードで制御されることで、動力装置103が回生制動装置105として機能する。
制動制御装置41は、摩擦制動装置106と回生制動装置105との制御を行い、ブレーキ操作部42と、車両状態検出手段43と、電力消費手段44と、制御手段45とを備えている(図1、図2参照)。
ブレーキ操作部42は、図3に示すように、ブレーキペダル42aと、ストロークシミュレータ42bとを備えている。
ブレーキペダル42aは、制動システム104の操作部として、運転者の足下に、アクセルペダル31と隣接して配置されている。
ストロークシミュレータ42bは、運転者がブレーキペダル42aを踏込み操作する際に、摩擦制動、回生制動を問わず、操作感(踏込み量、踏み応え)を運転者に与える。なお、ストロークシミュレータ42bは、前述のモーターシリンダ62cとともに、電動サーボブレーキを構成している。
車両状態検出手段43は、車両各部の状態を検出するセンサ類で構成されている。本実施形態では、車両状態検出手段43として、車速センサ43a、アクセル位置センサ43b、ブレーキ位置センサ43c、パッド温度センサ43d、および充電量センサ43eを備えている(図2参照)。
車速センサ43aは、車両100の速度を検出するとともに、その出力信号から走行中、あるいは停車中の判定が行われる。
アクセル位置センサ43bは、アクセルペダル31の踏込み位置(操作中の位置)を検出するとともに、その出力信号から踏み込み操作が行われているか否かの判定が行われる。
ブレーキ位置センサ43cは、ブレーキペダル42aの踏込み位置(操作中の位置)を検出するとともに、その出力信号から踏み込み操作(減速操作)が行われているか否かの判定が行われる。
パッド温度センサ(温度取得手段)43dは、ブレーキパッド62bに設置され、摩擦制動中を含む様々な状況におけるブレーキパッド62bの温度を検出する。
本実施形態では、温度取得手段として、パッド温度センサ43dをブレーキパッド62bに設置し、ブレーキパッド62bの温度を直接計測する手法を採用しているが、このような形態に限定されるものではない。たとえば、ブレーキパッド62b近傍に位置する液圧配管62a等の温度を計測し、この温度からブレーキパッド62bの温度を推定する等、温度取得手段として、様々な手法を採用することが可能である。
充電量センサ(充電量検出手段)43eは、バッテリ33の充電量を検出するとともに、その出力信号から充電が可能か否かの判定が行われる。
本実施形態では、充電量取得手段として、充電量センサ43eをバッテリ33に設置し、バッテリ33の充電量を直接計測する手法を採用しているが、このような形態に限定されるものではない。たとえば、バッテリ33の出力電圧、および出力電流から充電量を推定する等、充電量取得手段として、様々な手法を採用することができる。
電力消費手段44は、車両100に搭載される様々な補機(図示せず)で構成されている。電力消費手段44は、電動の機器からなり、これら機器を稼働することで、バッテリ33に蓄えられた電力を消費する。
たとえば、電力消費手段44として、車内の空調を行うコンプレッサ(図示せず)が挙げられる。空調装置(図示せず)の送風機(図示せず)は駆動せずに、コンプレッサのみを駆動し、冷媒を圧縮させることで電力を消費させる。これによって、乗員に違和感を与えることなく、バッテリ電力を消費することができる。
[制御系のシステム構成]
本実施形態の制御手段45は、図2に示すように、回生制御部45aと、摩擦制御部45bと、統合制御部45cと、を備えている。
回生制御部45aは、回生制動装置105の制動制御を行うとともに、回生制動で発電された電力を、バッテリ33に充電する。
摩擦制御部45bは、摩擦制動装置106の制動制御を行う。
統合制御部45cは、回生制動装置105と摩擦制動装置106とをそれぞれ単独で制動させるのか、協働させるのか、を判断するとともに、回生制御部45aと摩擦制御部45bの制御を行う。
統合制御部45cには、制動内容の違いによって、操作制動モード、エンブレ制動モード、車両システム制動モード、および保全制動モードが設定されている。
操作制動モードは、運転者のブレーキペダル操作による制動指令によって実施される、通常の制動であり、ガソリンエンジン車における所謂フットブレーキに相当する。したがって、操作制動モードでは、運転者によるブレーキペダル42aの操作量に応じて、統合制御部45cが制動力を発生させる。
操作制動モードでは、統合制御部45cは、バッテリ33の充電量を検出し、充電可能な場合には、回生制御部45aに回生制動を行うように指令を出す(回生制動制御)。そして、回生制動だけでは制動力が足りない場合には、摩擦制御部45bに不足分の制動力を発生させる(協働制動制御)。また、統合制御部45cは、バッテリ33の充電量を検出し、満充電状態で、充電ができない場合には、摩擦制御部45bに摩擦制動を行うように指令を出す(摩擦制動制御)。
エンブレ制動モードは、車両走行中に運転者がアクセルペダル31から足を離した、アクセルオフの状態(AP OFF)、且つ運転者がブレーキペダル42aから足を離したブレーキオフの状態(BP OFF)で実施される。つまり、エンブレ制動モードでの制動は、ガソリンエンジン車における所謂エンジンブレーキに相当する。
エンブレ制動モードでは、操作制動モードと同様に、統合制御部45cは、バッテリ33の充電量を検出し、充電可能な場合には、回生制御部45aに回生制動を行うように指令を出す(回生制動制御)。そして、回生制動だけでは制動力が足りない場合には、摩擦制御部45bに不足分の制動力を発生させる(協働制動制御)。また、統合制御部45cは、バッテリ33の充電量を検出し、満充電状態で、充電ができない場合には、摩擦制御部45bに摩擦制動を行うように指令を出す(摩擦制動制御)。
車両システム制動モードは、車両側の走行に関する制御中に、車両側制御部107から統合制御部45cへ制動要求があった場合に、他の制動モードよりも優先して実行される。
走行に関する制御として、たとえば、車間制御付きクルーズコントロール制御ACC、衝突軽減制御、低車速追従制御LSF、車両挙動安定化制御VSA等が挙げられる。
車間制御付きクルーズコントロール制御(ACC:Adaptive Cruise Control)は、運転者が設定した速度で、定速走行を行うとともに、先行車との車間距離を適切に保ちつつ、追従走行を行う制御である。
たとえば、先行車が減速した際に、車間距離を詰めすぎないように減速するために、車両側制御部107から統合制御部45cへ制動指令が発せられる。
衝突軽減制御は、衝突軽減ブレーキ装置(CMBS:Collision Mitigation Brake System)が、装備するカメラ、レーダー等で、衝突のおそれがある先行車、障害物等を検知した際に、衝突を回避するために行う制動制御である。
たとえば、このままでは先行車に追突するおそれがあると、車両側制御部107が判断した場合には、音や警告灯などでドライバーに警告してブレーキ操作による衝突回避を促す。さらに、警告に対して、運転者によるブレーキ操作が無く、追突が避けられないと車両側制御部107が判断した場合には、統合制御部45cへ急制動の指令を発する。
低車速追従制御(LSF:Low Speed Following)は、渋滞でのろのろと進んだり、止まったりを繰返すような状況で、先行車に適切な車間距離で追従する制御である。
たとえば、のろのろ走る先行車が停止した際に、衝突しないように停止するために、車両側制御部107から統合制御部45cへ制動指令が発せられる。
車両挙動安定化制御(VSA:Vehicle Stability Assist)は、車両100がカーブ等を走行中に挙動が不安定になった際に、車輪101毎に制動力を制御して、横滑り等を防止し、車両安定性を向上する制御である。車両安定化制御のために、車両側には、ヨーレートセンサ(図示せず)、横Gセンサ(図示せず)等が設けられている。そして、これらセンサによって、車両100の挙動を検出している。
保全制動モードは、操作制動モードでブレーキペダル42aが長時間に渡って踏込み操作が行われる状況、およびエンブレ制動モードが、長時間継続される状況で実施される。つまり、保全制動モードは、車両100が長い下り坂を下るような状況で、摩擦制動装置106、および回生制動装置105による制動状態が長時間に渡って継続される状況で実施される。
保全制動モードでは、統合制御部45cが、回生制限制御、摩擦制限制御、摩擦制限禁止制御、バッテリ放電制御を状況に合わせて選択的に実施する。
回生制限制御は、バッテリ33の充電量が充電制限値以上となった場合に、回生制動制御から摩擦制動制御への移行を行う。
なお、充電制限値は、バッテリ33に対して、これ以上の充電ができない充電量(満充電状態)である。
摩擦制限制御は、パッド温度センサ(温度取得手段)43dが取得したブレーキパッド(摩擦手段)62bの温度が、摩擦制動制御中に、第1温度以上の場合に、摩擦制動を制限する。
なお、第1温度は、ブレーキパッド62bに対して設定された温度である。第1温度の状態が継続された場合、臭いの発生、および摩耗が促進される等でブレーキパッド62bの商品性が低下するおそれがある温度である。
摩擦制限禁止制御は、車両100が旋回、方向転換等の所定の走行状態であると判断した場合に、摩擦制動の制限を中止し、操作制動モードへの移行を行う。
なお、所定の走行条件にあるか否かの判定は、車両状態検出手段43の出力、およびステアリング操作、ヨーレートセンサ(図示せず)、および横Gセンサ(図示せず)等の出力に基づいて行う。
バッテリ放電制御は、摩擦制限制御から摩擦制限禁止制御への移行する際に、バッテリ33の電力を使って、電力消費手段44を作動させ、バッテリ33の充電量を低減させる。
なお、本実施形態では、バッテリ放電制御を実施する条件が、摩擦制限制御から摩擦制限禁止制御への移行となっているが、これに限定するものではない。
たとえば、回生制動制御中に、バッテリ33の充電量が充電制限値を越え、回生制動制御から摩擦制動制御へ移行する際に、バッテリ放電制御を併せて行う手法を取ることも可能である。
[タイムチャートの説明]
次に、制動システム104の働きの一例として、エンブレ制動モードから保全制動モードへ移行する際の各部の振る舞いについて、タイムチャートを用いて説明する(図4参照)。
「スタート」時点では、タイムチャートは、エンブレ制動モードでの回生制動制御が実施されているところから始まっている。ここでは、回生制動中であるため、摩擦制動は行われておらず、ブレーキパッド62bはパッド温度が低下し続けている。また、回生制動によって車両100は減速し続けている。
「AP−OFF回生制限開始」時点では、回生電力によって、バッテリ充電量が満充電に近づく。すると、バッテリ充電量から決まる、回生制動力の制限値が、実際に要求される(エンブレに相当する)回生制動力よりも小さくなる。このため、不足する制動力を摩擦制動で補う。
つまり、バッテリ充電量が充電制限値を越えると、回生制動に制限が掛かり、回生制動制御から協働制動制御へ移行する。
そして、摩擦制動を行うため、パッド温度が上昇していく。
「満充電」時点では、バッテリ充電量が満充電となり、回生制動を行えない。このため、要求される制動力は、摩擦制動で全てまかなう。つまり、協働制動制御から摩擦制動制御へ移行する。
また、摩擦制動が継続されるため、パッド温度はさらに上昇していく。
「パッド温度高温」時点では、パッド温度が第1温度にまで上昇したため、摩擦制動を制限する。そして、運転者に違和感を与えないように、摩擦制動を徐々に減らしていく。これによって、パッド温度は徐々に低下していく。
「パッド温度低温」時点では、パッド温度が第3温度にまで低下したため、摩擦制動が可能な状態に回復している。
「AP−OFF回生からクリープへ」時点では、パッド温度が第3温度まで低下した後に、車両100が十分に減速したため、制動要求が解消され、惰性で走行している状態である。
[フローチャートの説明]
次に、制動システム104全体の働きについて、フローチャートを用いて説明する(図5参照)。
本実施形態の制動システム104は、車両100の電源が入ってから切れるまでの間、常に作動する。
まず、ステップS1では、運転者がアクセルペダル31とブレーキペダル42aを操作しているか否かを判断する。
アクセルペダル31が操作されている場合、ブレーキペダル42aが操作されている場合には、ステップS2へ移行し、操作制動モードを実施する。そして、運転者がアクセルペダル31を操作している間は、ステップS1とステップS2を繰り返す。
また、アクセルペダル31が操作されていないアクセルオフ(AP OFF)、且つブレーキペダル42aが操作されていないブレーキオフ(BP OFF)の場合には、ステップS3へ移行し、回生制動モード(回生制動制御)を実施する。
ステップS4では、回生制動モードを実施する中で、バッテリ充電量を検出し、バッテリ充電量が充電制限値を以上であるか否かを判断する。
バッテリ充電量が、充電制限値未満の場合には、回生制動モードを継続し、ステップS1へ移行する。
また、バッテリ充電量が充電制限値以上の場合には、ステップS5へ移行し、保全制動モードを実施する。
ステップS5では、回生制限制御を実施し、回生制動制御から摩擦制動制御への移行を行う。
ステップS6では、摩擦制動制御を行う中で、ブレーキパッド62bのパッド温度を検出し、パッド温度の判定を行う。
パッド温度が第1温度以上の場合には、ステップS10へ移行する。
パッド温度が第3温度以上第1温度未満の場合には、ステップS7へ移行する。
パッド温度が第3温度未満の場合には、ステップS5を繰り返す。
なお、第1温度は、ブレーキパッド62bに対して設定された温度である。第1温度の状態が継続された場合、臭いの発生、および摩耗が促進される等でブレーキパッド62bの商品性が低下するおそれがある温度である。
第3温度は、第1温度よりも低く設定された温度である。第3温度は、摩擦制動によって、第3温度から第1温度へ到達するまでの間に、電力消費手段44によって、回生制動が可能になる程度にバッテリ33を放電することができる温度である。
ステップS7では、車両側制御部107から制動要求が出ているか否かを判断する。
制動要求が出ている場合には、ステップS8へ移行する。
制動要求が出ていない場合には、ステップS5を繰り返す。
ステップS8では、車両システム制動モードへ移行するとともに、バッテリ放電制御を実施する。
車両システム制動モードが終了したら、ステップS9へ移行する。
バッテリ放電制御を併せて行うことで、パッド温度が第1温度以上になる前に、バッテリ33を充電が可能な状態にする。
ステップS9では、パッド温度の判定を行う。
パッド温度が第1温度以上の場合には、ステップS10へ移行する。
パッド温度が第1温度未満の場合には、ステップS5を繰り返す。
ステップS10では、車両側制御部107から制動要求が出ているか否かを判断する。
制動要求が出ている場合には、ステップS11へ移行する。
制動要求が出ていない場合には、ステップS13へ移行する。
ステップS11では、摩擦制限禁止制御を実施して、摩擦制限制御を中止し、車両システム制動モードへ移行するとともに、バッテリ放電制御を実施する。
そして、車両システム制動モードが終了したら、ステップS12へ移行する。
ステップS12では、バッテリ充電量とパッド温度を確認する。
バッテリ充電量が充電再開値以下、且つ第2温度以上の場合は、ステップS1へ移行する。
これ以外の場合には、ステップS11を繰り返す。
なお、第2温度は、ブレーキパッド62bに対して設定された温度である。第2温度の状態では、ブレーキパッド62bの商品性低下が認められる温度である。
また、充電再開値は、充電制限値よりも低く設定されている。充電再開値は、回生制動が、ある程度の時間継続された場合でも回生電力を充電することが可能な程度の容量を確保できる値に設定されている。
ステップS13では、ステップS9でパッド温度が第1温度以上になっていることから、摩擦制限制御を実施して、摩擦制限禁止制御を中止する。
なお、摩擦制限禁止制御を中止する際、摩擦制動が突然なくなると、運転者が違和感を覚えるため、摩擦制動力を徐々に抜いていく。
また、別態様として、パッド温度が第1温度以上になっていることを運転者にディスプレイ(図示せず)等で報知してから、違和感を意図的に与えるように摩擦制動力を変化させることも可能である。
ステップS14では、パッド温度を確認する。
パッド温度が第2温度以上の場合には、ステップS13を繰返し、パッド温度を下げる。
パッド温度が第2温度未満の場合には、ステップS5へ移行する。
次に、本実施形態に係る制動システム104の作用効果について説明する。
本実施形態の制動システム104では、回生制動制御中に、バッテリ33の充電量が充電制限値以上となった場合、回生制動制御から摩擦制動制御へ移行する回生制限制御を行っている。
また、摩擦制動制御中に、具備するパッド温度センサ(温度取得手段)43dが取得したブレーキパッド(摩擦手段)62bの温度が、所定の第1温度以上となった場合、摩擦制動装置106による摩擦制動を制限する摩擦制限制御を行っている。
さらに、具備する車両状態検出手段43の出力から所定の走行状態であると判断した場合、摩擦制動装置106による摩擦制動の制限を禁止する摩擦制限禁止制御を行っている。
つまり、本実施形態の制動システム104では、ブレーキパッド62bの温度(パッド温度)を取得し、取得したブレーキパッド62bの温度に応じて、摩擦制動装置106の作動を制限している。
これによって、摩擦制動装置106への負荷が低減され、商品性の低下を抑制することができる。
また、本実施形態の制動システム104では、摩擦制限制御から摩擦制限禁止制御へ移行する場合、バッテリ33の充電量を低減するバッテリ放電制御を併せて行っている。
つまり、ブレーキパッド62bが高温状態にありながらも摩擦制動力を付与する必要がある状態(摩擦制動力の制限が禁止されている状態)において、制動システム104は、バッテリ放電制御(バッテリの放電制御)を行っている。
これによって、摩擦制動の途中で回生制動への切替えが可能になり、摩擦制動装置106への負荷が低減されるため、商品性の低下を抑制することができる。
また、本実施形態の制動システム104では、摩擦制限禁止制御中に、パッド温度センサ43dが取得したパッド温度が第1温度よりも低く設定された第3温度と第1温度との間を示した場合、バッテリ放電制御を行っている。
つまり、ブレーキパッド62bの温度が閾値(第1温度)を超えそうな温度にあり、かつ車両状態から制動力の付与が必要な(摩擦制動力の制限が禁止されている)状態において、バッテリ放電制御を行っている。
これによって、摩擦制動の途中で回生制動への切替えが可能になり、摩擦制動装置106への負荷が低減されるため、商品性の低下を抑制することができる。
また、本実施形態の制動システム104では、バッテリ放電制御中に、バッテリ33の充電量が、充電制限値よりも低い充電量に設定された充電再開値以下となった場合、バッテリ放電制御を中止している。
これによって、無駄な電力消費を抑制することができる。
また、本実施形態の制動システム104では、摩擦制限禁止制御中に、バッテリ33の充電量が所定の充電再開値以下となった場合には、回生制動制御を併せて行っている。
つまり、ブレーキパッド62bの温度が商品性低下に繋がる限界値(第2温度以上)にありつつ、摩擦制動力を付与する必要がある(摩擦制動力の制限が禁止されている)状態において、制動システム104は、摩擦制動から回生制動への切替えている
これによって、摩擦制動装置106への負荷が低減され、商品性の低下を抑制することができる。
また、本実施形態の制動システム104では、摩擦制限禁止制御中に、パッド温度センサ43dが取得したパッド温度が、第1温度よりも高い温度に設定された第2温度を超えた場合、摩擦制限禁止制御から回生制動制御へ移行している。
つまり、パッド温度が商品性低下に繋がる限界値(第2温度以上)にありつつ、摩擦制動力を付与する必要がある(摩擦制動力の制限が禁止されている)状態において、摩擦制動から回生制動へ切替えている。
これによって、摩擦制動装置106への負荷が低減され、商品性の低下を抑制することができる。
また、本実施形態の制動システム104では、摩擦制動制御から摩擦制限制御へ移行する際に、摩擦制動力が徐々に減少するように制限を掛けている。
これによって、摩擦制動制御から摩擦制限制御へ移行することで、制動力が突然抜けることが無くなり、運転者に与える違和感を小さくすることができる。
また、本実施形態の制動システム104では、摩擦制限制御中に、車両側から摩擦制動要求があった場合、摩擦制限制御を中止している。つまり、摩擦制限制御から摩擦制限禁止制御へ移行している。
これによって、エンブレ制動モード中であっても、先行車との衝突を回避できるとともに、車両100の挙動を安定させることができる。
また、本実施形態の制動システム104では、摩擦制限制御中に、運転者の制動操作を検知した場合、摩擦制限制御を中止し、運転者の制動操作に応じた制動力を発生している。
これによって、エンブレ制動モード中であっても、運転者の要求に応じた制動を行うことができる。
また、本実施形態の制動システム104では、摩擦制限制御中に、運転者のステアリング操作を検知した場合、摩擦制限制御を中止している。
これによって、エンブレ制動モード中であっても、運転者のステアリング操作によって車両100の挙動が不安定になることに備えることができる。
また、本実施形態の制動システム104では、摩擦制限制御中に、制動力を車輪毎に制御する車両挙動安定化制御へ移行する場合、摩擦制限制御を中止している。
これによって、エンブレ制動モード中であっても、車両100の挙動が不安定になった場合には、車両挙動安定化制御を実施することができる。
また、本実施形態の制動システム104では、摩擦制限制御中に、車両100の旋回、および方向転換を検知した場合、摩擦制限制御を中止している。
これによって、エンブレ制動モード中であっても、旋回、および方向転換によって車両100の挙動が不安定になることに備えることができる。
32 回転電機
33 バッテリ
41 制動制御装置
43 車両状態検出手段
43d 温度取得手段(パッド温度センサ)
62b 摩擦手段(ブレーキパッド)
104 車両用制動システム(制動システム)
105 回生制動装置
106 摩擦制動装置

Claims (12)

  1. 回生制動制御と摩擦制動制御との切替え、および回生制動装置と摩擦制動装置の制御を行う制動制御装置を備え、
    該回生制動装置が、
    該回生制動制御時に、回転電機に回生制動をさせ、発電した回生電力をバッテリに充電し、
    該摩擦制動装置が、
    該摩擦制動制御時に、摩擦制動を行い、
    該制動制御装置が、
    車両走行中に、運転者が加速操作を止めつつ、制動操作を止めた場合、該回生制動制御と該摩擦制動制御の少なくともどちらか一方が実行されるエンブレ制動モードを実行する車両用制動システムにおいて、
    前記制動制御装置は、
    前記回生制動制御中に、前記バッテリの充電量が充電制限値以上となった場合、該回生制動制御から前記摩擦制動制御へ移行する回生制限制御を行い、
    該摩擦制動制御中に、具備する温度取得手段で取得した摩擦手段の温度が、所定の第1温度以上となった場合、前記摩擦制動装置による摩擦制動を制限する摩擦制限制御を行い、
    具備する車両状態検出手段の出力から所定の走行状態であると判断した場合、該摩擦制動装置による摩擦制動の制限を禁止する摩擦制限禁止制御を行う
    ことを特徴とする車両用制動システム。
  2. 前記制動制御装置は、
    前記摩擦制限制御から前記摩擦制限禁止制御へ移行する場合、
    前記バッテリの充電量を低減するバッテリ放電制御を併せて行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用制動システム。
  3. 前記制動制御装置は、
    前記摩擦制限禁止制御中に、前記温度取得手段が取得した温度が第1温度よりも低く設定された第3温度と第1温度との間を示した場合には、前記バッテリ放電制御を行う
    ことを特徴とする請求項2に記載の車両用制動システム。
  4. 前記制動制御装置は、
    前記バッテリ放電制御中に、前記バッテリの充電量が、充電制限値よりも低い充電量に設定された充電再開値以下となった場合には、該バッテリ放電制御を中止する
    ことを特徴とする請求項2、または3に記載の車両用制動システム。
  5. 前記制動制御装置は、
    前記摩擦制限禁止制御中に、前記バッテリの充電量が所定の充電再開値以下となった場合には、前記回生制動制御を併せて行う
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用制動システム。
  6. 前記制動制御装置は、
    前記摩擦制限禁止制御中に、前記温度取得手段が取得した前記摩擦手段の温度が、第1温度よりも高い温度に設定された第2温度を超えた場合には、該摩擦制限禁止制御から前記回生制動制御へ移行する
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用制動システム。
  7. 前記制動制御装置は、
    前記摩擦制動制御から前記摩擦制限制御へ移行する際に、摩擦制動力が徐々に減少するように制限する
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両用制動システム。
  8. 前記制動制御装置は、
    前記摩擦制限制御中に、車両側から摩擦制動要求があった場合には、該摩擦制限制御を中止する
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の車両用制動システム。
  9. 前記制動制御装置は、
    前記摩擦制限制御中に、運転者の制動操作を検知した場合には、該摩擦制限制御を中止し、運転者の制動操作に応じた制動力を発生する
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の車両用制動システム。
  10. 前記制動制御装置は、
    前記摩擦制限制御中に、運転者のステアリング操作を検知した場合には、該摩擦制限制御を中止する
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の車両用制動システム。
  11. 前記制動制御装置は、
    前記摩擦制限制御中に、制動力を車輪毎に制御する車両挙動安定化制御を実施する場合には、該摩擦制限制御を中止する
    ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の車両用制動システム。
  12. 前記制動制御装置は、
    前記摩擦制限制御中に、車両の旋回、および方向転換を検知した場合には、該摩擦制限制御を中止する
    ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の車両用制動システム。
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