以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各部材等を認識可能な程度の大きさにするため、各部材等の尺度を実際とは異ならせて示している。
まず、印刷装置の構成について説明する。図1は印刷装置の構成を示す概略模式図であり、図2は画像形成装置の構成を示す構成図であり、図3は中間搬送装置の構成を示す構成図である。図1に示すように、本実施形態にかかる印刷装置1は、画像形成装置100と、中間搬送装置200と、後処理装置300と、を備えている。また、印刷装置1における各機構の駆動を統括的に制御する制御部10(図13参照)を備えている。画像形成装置100は、例えば、媒体としての用紙Mに対して画像を形成する装置である。後処理装置300は、例えば、画像が形成された複数の用紙Mをステープル(針)で綴じるステープラー処理等の後処理を行う装置である。そして、中間搬送装置200は、画像形成装置100で画像が形成された用紙Mを、後処理装置300に搬送する装置である。中間搬送装置200は、画像形成装置100と後処理装置300との間に配置されている。
本実施形態の印刷装置1では、画像形成装置100の上流側搬送経路としての第3排出経路153が中間搬送装置200の中間搬送経路218に接続され、当該中間搬送経路218が後処理装置300の下流側搬送経路319に接続されている。そして、第3排出経路153と、中間搬送経路218と、下流側搬送経路319と、により、用紙Mの搬送方向の上流側となる画像形成装置100から中間搬送装置200を経由して後処理装置300まで続く搬送経路(図1中の二点鎖線)を構成している。
図1に示すように、画像形成装置100は、媒体の一例としての用紙Mに液体の一例としてのインクを付着させることで文字や図形、写真等の画像を記録するインクジェットプリンターであり、略直方体状の記録装置側筐体101を有している。記録装置側筐体101の上部には、画像形成装置100の各種の操作を行うための操作部102が取り付けられている。
画像形成装置100には、鉛直方向Zにおいて、画像形成装置100の中央部から下部に亘って用紙カセット103が設けられている。本実施形態において、用紙カセット103は、鉛直方向Zに4つ並んで配置されている。各用紙カセット103には画像形成装置100によって記録を行う用紙Mが積層状態で収容されている。また、各用紙カセット103には、ユーザーが把持可能な把持部103aが形成されている。そして、用紙カセット103は、記録装置側筐体101に対して着脱可能に構成されている。なお、各用紙カセット103に収容される用紙Mは、それぞれ異なる種別のものでもよいし、同じ種別のものであってもよい。
鉛直方向Zにおける最上段の用紙カセット103の上方には、矩形状の前板カバー104が設けられている。前板カバー104は、用紙カセット103と隣り合う長辺を基端として回動可能に設けられ、基端とは反対側となる先端側が画像形成装置100から離間する開位置と、記録装置側筐体101の一部を構成する閉位置との2つの位置間で回動自在に構成されている。
また、図2に示すように、記録装置側筐体101の中間搬送装置200側の一部には、用紙Mが排出される排出口108が形成されている。そして、さらに排出口108の下方には、記録装置側筐体101から中間搬送装置200側に延びる排紙トレイ109が必要に応じて取り付け可能に設けられている。すなわち、排出口108を介して排出された用紙Mは、排紙トレイ109上に載置される。なお、この排紙トレイ109は、記録装置側筐体101に対して着脱可能に構成され、記録装置側筐体101に接続される基端から、基端とは反対側となる先端に向かうにつれて上向きに傾斜する上り勾配(図2において左上がり)を有している。
図2に示すように、画像形成装置100が有する記録装置側筐体101内には、用紙Mに対して鉛直方向Zの上側から記録を行う記録部110と、用紙Mを装置内搬送経路120に沿って搬送する搬送部130とが設けられている。装置内搬送経路120は、前後方向Yに沿う方向を用紙Mの幅方向としたときに、この幅方向と交差する方向を搬送方向として用紙Mが搬送されるように形成されている。
記録部110は、用紙Mの幅方向の略全域に亘って同時にインクを吐出可能なラインヘッド型の記録ヘッド111を備えている。記録部110は、記録ヘッド111から吐出されるインクが用紙Mにおいて記録ヘッド111と対向する記録面(画像を印刷される面)に付着されることで、用紙Mに画像を形成する。
搬送部130は、装置内搬送経路120に沿って配置され、搬送駆動モーター(図示せず)で駆動する複数の搬送ローラー対131と、記録部110の直下に設けられるベルト搬送部132とを有している。すなわち、ベルト搬送部132によって搬送されている用紙Mに対して、記録ヘッド111からインクが吐出され、記録が行われる。
ベルト搬送部132は、記録ヘッド111よりも搬送方向上流側に配置されている駆動ローラー133と、記録ヘッド111よりも搬送方向下流側に配置されている従動ローラー134と、これらの各ローラー133、134に掛けられた無端状をなす環状のベルト135とを有している。駆動ローラー133が駆動回転することによりベルト135が周回し、その周回するベルト135によって用紙Mが下流側へ搬送される。すなわち、ベルト135の外周面が、記録が行われる用紙Mを支持する支持面として機能する。
装置内搬送経路120は、記録部110へ向けて用紙Mが搬送される供給経路140と、記録部110により記録が行われ、記録済とされた用紙Mが搬送される排出経路150と、分岐機構147で分岐する分岐経路160とを有している。
供給経路140は、第1供給経路141と、第2供給経路142と、第3供給経路143とを有している。第1供給経路141では、記録装置側筐体101の右側面に備えられたカバー141aを開けることによって露出する挿入口141bから挿入される用紙Mが記録部110へ搬送される。すなわち、挿入口141bから挿入された用紙Mは、第1駆動ローラー対144の回転駆動によって記録部110へ向かって直線的に搬送される。
第2供給経路142では、鉛直方向Zにおいて、記録装置側筐体101の下部に備えられた用紙カセット103にそれぞれ収容された用紙Mが、記録部110へ搬送される。すなわち、用紙カセット103に積層状態で収容された用紙Mは、最上位の用紙Mがピックアップローラー142aにより送り出され、分離ローラー対145で一枚ずつに分離された後、鉛直方向Zにおける姿勢が反転されながら、第2駆動ローラー対146の回転駆動によって記録部110へ向かって搬送される。
第3供給経路143では、用紙Mに対して両面に画像を記録する両面印刷を行う場合に、記録部110によって片面が記録済とされた用紙Mが、再び記録部110へ搬送される。すなわち、記録部110よりも搬送方向下流側には、排出経路150から分岐する分岐経路160が設けられている。すなわち、両面印刷を行う際、用紙Mは、排出経路150の途中に設けられた分岐機構147の動作によって分岐経路160へ搬送される。また、分岐経路160には、正転と逆転の双方の回転が可能な分岐経路ローラー対161が分岐機構147よりも下流側に設けられている。
両面印刷に際して、一面が印刷された用紙Mは、分岐機構147により一旦この分岐経路160へ案内され、正転する分岐経路ローラー対161によって分岐経路160内を下流側に搬送される。その後、分岐経路160へ搬送された用紙Mは、逆転する分岐経路ローラー対161によって分岐経路160内を下流側から上流側へ逆搬送される。すなわち、分岐経路160を搬送される用紙Mは搬送の向きが反転される。
分岐経路160から逆搬送される用紙Mは第3供給経路143へ搬送され、複数の搬送ローラー対131によって記録部110へ向かって搬送される。第3供給経路143を搬送されることによって、用紙Mは印刷されていない他面が記録部110と対向するように反転され、第3駆動ローラー対148の回転駆動によって記録部110へ向かって搬送される。すなわち、第3供給経路143は、鉛直方向Zにおける用紙Mの姿勢を反転させながら搬送する反転搬送経路して機能する。
各供給経路141,142,143のうち、第2供給経路142及び第3供給経路143は、鉛直方向Zにおいて用紙Mの姿勢が湾曲されながら記録部110へ向けて用紙Mが搬送される。その一方で、第1供給経路141は、第2供給経路142及び第3供給経路143と比較して、用紙Mの姿勢が大きく湾曲されることなく記録部110へ向けて用紙Mが搬送される。
各供給経路141,142,143を搬送される用紙Mは、記録部110よりも搬送方向の上流側に配設された整列ローラー対149まで搬送されたのち、回転が停止した整列ローラー対149にその先端が突き当たる。そして、用紙Mは、このような整列ローラー対149へ突き当たった状態によって搬送方向に対する傾きが補正(スキュー取り)される。そして傾きが補正された用紙Mは、その後の整列ローラー対149の回転駆動によって、整列状態となって記録部110へ搬送される。
記録部110により片面又は両面に記録が行われ、記録が完了された用紙Mは、搬送ローラー対131により装置内搬送経路120の下流部を構成する排出経路150に沿って搬送される。排出経路150は、分岐経路160と分岐する位置よりも下流となる位置で、第1排出経路151、第2排出経路152、第3排出経路153に分岐している。すなわち、記録が完了された用紙Mは、排出経路150の上流部を構成する共通排出経路(上流排出経路)154を搬送された後、共通排出経路154の下流端に設けられた案内機構(切替案内部)180により、排出経路150の下流部を構成する第1から第3の各排出経路151,152,153のうち何れかの経路へ案内される。
第1排出経路(上方排出経路)151は、記録装置側筐体101の上方へ向かうとともに、分岐経路160に沿うように湾曲して延びて設けられている。第1排出経路151を搬送される用紙Mは、第1排出経路151の終端となるように記録装置側筐体101の一部に開口する排出口155から排出される。そして、排出口155から排出された用紙Mは、鉛直方向Z下側へ落下し、図2において二点鎖線で示すように、積層された状態で載置台156に排紙される。なお、排出経路150の複数箇所に配置された搬送ローラー対131により、用紙Mは、排出口155から片面印刷時における記録面が鉛直方向Zにおいて下を向く姿勢にて載置台156に排紙される。
載置台156は、左右方向Xにおける右方向に向かうにつれて、鉛直方向Z上側に上昇する先上がりの傾斜した形状を有し、この載置台156に用紙Mが積層状態で載置される。このとき、載置台156に載置された各用紙Mは、載置台156の傾斜に沿って左方向に移動し、記録装置側筐体101の排出口155の下側に設けられた縦側壁157に接近して載置される。
また、第1排出経路151は、記録部110により記録された用紙Mが排出口155まで搬送される間において、その用紙Mの表裏を反転させる湾曲反転経路151aを有している。すなわち、湾曲反転経路151aは、記録部110により記録された用紙Mの記録面を内側にして湾曲させるとともに、その用紙Mの記録面が鉛直方向Zにおいて鉛直方向Z上側に向く状態から鉛直方向Z下側に向く状態に用紙Mを反転させる。したがって、排出経路150では、用紙Mは、この湾曲反転経路151aを通ることによって片面印刷時における記録面が載置台156と対峙する状態となって排出口155から排出される。
第2排出経路152は、第1排出経路151よりも鉛直方向Z下側に分岐し、記録部110から中間搬送装置200に向けて直線的(水平的)に延びている。そのため、第2排出経路152を搬送される用紙Mは、第1排出経路151のように湾曲した姿勢で搬送されず、その姿勢が記録部110を通過したときと同様に一定に保たれたまま直線的に搬送され、排出口108から排紙トレイ109に向けて排出される。すなわち、第2排出経路152は、用紙Mの姿勢を反転させることなく排紙トレイ109へ向けて用紙Mを搬送する非反転排出経路として機能する。
第3排出経路153は、第2排出経路152よりも鉛直方向Z下側に分岐し、記録装置側筐体101の下方へ向かうように、鉛直方向Zにおいて斜め下側に向かって延びている。そして、その下流端は、中間搬送装置200が有する中間搬送経路218に接続されている。すなわち、第3排出経路153を搬送される用紙Mは、中間搬送装置200へ排出される。なお、第3排出経路153には、用紙Mの有無を検出可能な搬送検出部199が設けられている。搬送検出部199は、例えば、光透過型または光反射型のフォトインターラプターであり、光を発する発光部と発光部から発せられた光を受ける受光部とを備えている。発光部の発光素子としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)発光素子やレーザー発光素子等が適用される。また、受光部は、フォトトランジスターやフォトIC等で構成されている。発光部と受光部とにより用紙Mの有無(受光部における受光のON/OFF)を検出するこができる。
搬送検出部199は、制御部10(図13参照)に接続され、所定のプログラムに基づき、駆動制御される。制御部10は、搬送検出部199を駆動し、受光部における光の受光量と予め定められた閾値とを比較して、用紙Mの有無を検出する。そして、搬送ローラー対131の駆動に同期して、用紙Mの有と無とが繰り返し検出された場合は、用紙Mが正常に搬送されている状態であると判断される。一方、所定のタイミングあるいは所定の時間内に、受光部における受光量に変化がない状態が継続する場合は、異常状態(ジャム)にあると判断される。例えば、用紙Mの搬送不具合の発生により、記録ヘッド111側から用紙Mが正常に搬送されていない場合に、異常状態(ジャム)であると判断される。
排出経路150の一部及び分岐経路160の一部は、記録装置側筐体101に設けられた引出ユニット170に取り付けられている。なお、引出ユニット170は、記録装置側筐体101に対して着脱可能に構成されている。
ここで、印刷装置1に適用され得る用紙Mは、吸湿性及び可撓性を有するものが好ましく、例えば、電子写真複写用紙などの普通紙、シリカ、アルミナ、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)等を含む水溶性インク吸収層を備えたインクジェット用紙等が挙げられる。また、水溶性インクの浸透速度が比較的小さなタイプの吸収性被記録媒体として一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。
なお、本実施形態において、「用紙M」とは、一般に、パルプ(主成分はセルロース)を主原料としプリンター等に使用される紙をいい、JIS-P-0001番号6139で定義されている。具体的には、例えば、上質紙、PPCコピー紙、非塗工印刷紙などを挙げることができる。用紙Mは各社から市販されているものを利用することもでき、例えば、Xerox 4200(Xerox社製)、GeoCycle(Gerogia−Pacific社製)等、種々のものを利用することができる。また、坪量60〜120g/m2の用紙Mであることが好ましい。
次に、本実施形態の印刷装置1(画像形成装置100)において用いられるインク組成物について説明する。
本実施形態に係るインク組成物は、後述の(A)、(B)及び(C)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有すると好ましい。また、このインク組成物は、安全性、取り扱い性、各種性能(発色性、裏抜け適性、インク信頼性)の観点から、インクの主溶媒が水である水性インク組成物であることが好ましく、水はイオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水を用いることが好ましい。特に紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水を用いることが、カビやバクテリアの発生を防止してインクの長期保存を可能にする点で好ましい。インクの適正な物性値(粘度等)の確保、インクの安定性及び信頼性の確保という観点で、水はインク組成物中に60質量%〜10質量%含まれることが好ましい。
インク組成物に含まれる水の含有量を上記の範囲に規定することにより、用紙M中のセルロースに吸収される水分量が従来のインク組成物よりも少なくなる結果、コックリングやカールの原因と考えられているセルロースの膨潤を抑制することができる。以下、コックリング又はカールを抑制するのに適した性質を、それぞれ「コックリング適性」、「カール適性」ともいう。
水分含有量が10質量%未満の場合は、被記録媒体(用紙M)への定着性が低下する場合がある。一方、水分含有量が60質量%を超える場合は、従来の水性インク組成物と同様、インク吸収性が乏しい紙支持体の吸収層を有する被記録媒体に対して印刷する際に、コックリングやカールが発生しやすい。
インクの10℃〜40℃の温度範囲における粘度は、インクに含まれる着色剤、保湿剤、溶剤等の持つ温度特性に影響を受ける。これらの中では特に保湿剤の影響が大きく、保湿剤の種類や添加量、含有比によっては、10℃での粘度がより上がりやすく、40℃での粘度がより下がりやすい。なお、本明細書中では、10℃〜40℃での粘度差がより少ないことを、インクの温度による粘度特性に優れると表記する。
本実施形態に係るインク組成物は、カール、コックリング適性、裏抜け適性、目詰まり適性、インクの温度による粘度特性のバランスを適正に保つという観点から、下記(A)、(B)及び(C)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。これらの化合物は保湿剤としても作用する。ここで(A)の化合物は、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であり、(B)の化合物は、トリメチロールプロパン及びトリメチロールエタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であり、(C)の化合物は、ベタイン類、糖類及び尿素類からなる群より選ばれ、かつ分子量が100〜200の範囲にある、少なくとも1種の化合物である。
(A)の化合物は、特に目詰まりの抑制に対して効果があり、また、カール、コックリングの抑制に対しても効果を合わせ持つ物質である。しかしながら、その優れた被記録媒体への浸透性から裏抜け適性には劣る物質である。上述の効果をより有効かつ確実に奏する観点から、(A)の化合物として、グリセリン及びトリエチレングリコールが好ましい。
(B)の化合物は、特に目詰まりの抑制に対して効果があり、また、浸透抑制効果を持つため裏抜け適性に優れる物質である。それらの効果をより有効かつ確実に奏する観点から、(B)の化合物として、トリメチロールプロパンが好ましい。
(A)及び(B)の化合物は、その物質のもつ10℃〜40℃での粘度差が大きいという特性のため、インク組成物中の含有量が増えるに従って、温度による粘度特性に大きく影響し、インク組成物も10℃〜40℃での粘度差が大きくなる。
(C)の化合物は、特にカール、コックリング適性に優れる物質である。また、この化合物は、温度による粘度特性に優れる物質である。(C)の化合物として、具体的には、グリシンベタイン(分子量117、「トリメチルグリシン」ともいう。)、γ−ブチロベタイン(同145)、ホマリン(同137)、トリゴネリン(同137)、カルニチン(同161)、ホモセリンベタイン(同161)、バリンベタイン(同159)、リジンベタイン(同188)、オルニチンベタイン(同176)、アラニンベタイン(同117)、スタキドリン(同185)及びグルタミン酸ベタイン(同189)等のアミノ酸のN−トリアルキル置換体であるベタイン類、グルコース(同180)、マンノース(同180)、フルクトース(同180)、リボース(同150)、キシロース(同150)、アラビノース(同150)、ガラクトース(同180)及びソルビトール(同182)等の糖類、アリル尿素(同100)、N,N−ジメチロール尿素(同120)、マロニル尿素(同128)、カルバミル尿素(同103)、1、1−ジエチル尿素(同116)、n−ブチル尿素(同116)、クレアチニン(同113)及びベンジル尿素(同150)の尿素類が挙げられる。また、その分子量が100未満であると、10℃〜40℃での粘度差が大きくなる傾向が強くなる。一方で、その分子量が200以上であると、インク組成物中のその化合物の添加量に対して、インク組成物の粘度が増加しやすい。そのため、(C)の化合物の分子量は100〜200の範囲であることが好ましい。これらの中では、カールを抑制する効果が特に高いことから、ベタイン類及び糖類が好ましく、ベタイン類がより好ましい。同様の観点から、ベタイン類としてはグリシンベタインがより好ましく、糖類としてはソルビトールがより好ましく、これらの中ではグリシンベタインが特に好ましい。グリシンベタインとして、例えば、アミノコート(旭化成ケミカルズ社製)等の市販品を使用することもできる。
これら化合物は、カール適性、コックリング適性、裏抜け適性、目詰まり適性の観点から、(A)、(B)及び(C)の合計量でインク組成物中に10質量%〜40質量%含まれることが好ましい。
また、それらの化合物について、含有量の質量比は、それらの化合物による上記効果をバランス良く発揮させる観点から、(A):(B):(C)=(1.0):(0.1〜1.0):(1.0〜3.5)であると好ましい。(A)の群から選ばれる化合物(「(A)の化合物」という。以下同様。)に対して、(B)の化合物の質量比を上記よりも多くすると、カール適性及びコックリング適性が低下し、少なくすると、裏抜け適性が低下する。(A)の化合物に対して、(C)の化合物の質量比を上記よりも多くすると、目詰まり適性が低下し、少なくすると、カール適性及びコックリング適性が低下する。
また、本実施形態に係るインク組成物は、インクジェットヘッドのノズル近傍での目詰まり防止やインクの被記録媒体への浸透性や滲みを適度に制御したり、インクの乾燥性を付与する目的で、水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水溶性有機溶剤は、上記観点から、1,2−アルカンジオール及び/又はグリコールエーテルを含有することが好ましい。1,2−アルカンジオールの具体的な例としては、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオールが挙げられる。また、グリコールエーテルの具体的な例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルが挙げられる。また、上記以外に、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなども水溶性有機溶剤として用いることができる。これらの水溶性有機溶剤は1種又は2種以上を用いることができ、インクの適正な物性値(粘度等)の確保、印刷品質、信頼性の確保という観点で、インク組成物中に1質量%〜50質量%含まれることが好ましい。
さらに、インクの被記録媒体への濡れ性を制御し、被記録媒体への浸透性やインクジェット記録方法における印字安定性を得るために、インク組成物は表面張力調整剤を含有することが好ましい。表面張力調整剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤やポリエーテル変性シロキサン類が好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤の例としては、サーフィノール420、440、465、485、104、STG(以上、エアープロダクツ社製、製品名)、オルフィンPD−001、SPC、E1004、E1010(以上、日信化学工業(株)製、製品名)、アセチレノールE00、E40、E100、LH(以上、川研ファインケミカル(株)製、製品名)が挙げられる。またポリエーテル変性シロキサン類としては、BYK−346、347、348、UV3530(ビックケミー社製品)などが挙げられる。これらは、インク組成物中に1種又は2種以上用いることができ、インク組成物の表面張力を好ましくは20mN/m〜40mN/mに調整するよう含まれ、好ましくはインク組成物中に0.1質量%〜3.0質量%含まれる。
また、必要に応じて、インク組成物に、pH調整剤、錯化剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐・防カビ剤等を添加することもできる。pH調整剤としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の水酸化アルカリ及び/又はアンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアルカノールアミンを用いることができる。特に、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミンから選択される少なくとも1種類のpH調整剤を含み、pH6〜10に調整されることが好ましい。pHがこの範囲を外れると、インクジェットプリンターを構成する材料等の悪影響を与え、目詰まり回復性が劣化する傾向にある。
本実施形態に係るインク組成物は、画像形成や印字を目的として顔料を含むことが好ましい。本実施形態に係るインク組成物に用いられる顔料としては、公知の無機顔料及び有機顔料のいずれをも用いることができる。そのような顔料としては、例えば、カラーインデックスに記載されているピグメントイエロー、ピグメントレッド、ピグメントバイオレット、ピグメントブルー、ピグメントブラック等の顔料の他、フタロシアニン系、アゾ系、アントラキノン系、アゾメチン系、縮合環系等の顔料が例示できる。また、黄色4号、5号、205号、401号;橙色228号、405号;青色1号、404号等の有機顔料や、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化鉄、群青、紺青、酸化クローム等の無機顔料が挙げられる。顔料のカラーインデックスとしては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1,3,12,13,14,17,24,34,35,37,42,53,55,74,81,83,95,97,98,100,101,104,108,109,110,117,120,128,138,150,153,155,174,180,198、C.I.ピグメントレッド1,3,5,8,9,16,17,19,22,38,57:1,90,112,122,123,127、146,184、202、C.I.ピグメントバイオレッド1,3,5:1,16,19,23,38、C.I.ピグメントブルー1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,16、C.I.ピグメントブラック1,7が挙げられ、1種又は2種以上の顔料をインク組成物に含んでもよい。
本実施形態に用いられる顔料は、樹脂分散型の態様であってもよい。そのような態様の顔料は、高分子分散剤や界面活性剤などの分散剤と共に、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、高速攪拌型分散機などを用いて水性媒体中に分散させた顔料分散液として、あるいは、顔料表面に分散性付与基(親水性官能基及び/又はその塩)を直接又はアルキル基、アルキルエーテル基、アリール基等を介して間接的に結合させ、分散剤なしで水性媒体中に分散及び/又は溶解する自己分散型顔料として加工され、水性媒体中に分散させた顔料分散液として、インク組成物中に配合されることが好ましい。
分散剤の例としては、高分子分散剤として、にかわ、ゼラチン、サポニンなどの天然高分子化合物やポリビニルアルコール類、ポリピロリドン類、アクリル系樹脂類(ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体など)、スチレン−アクリル酸系樹脂類(スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−酢酸ビニルーアクリル酸共重合体など)、スチレン−マレイン酸系樹脂類、酢酸ビニル−脂肪酸ビニル−エチレン共重合体の樹脂類など及びこれらの塩などの合成高分子化合物が挙げられ、共重合体の構成はランダムタイプ、ブロックタイプ、グラフトタイプのいずれでもよい。
また、分散剤として用いられる界面活性剤としては、脂肪酸塩類、高級アルキルジカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩類、高級アルキルスルホン酸塩などのアニオン性界面活性剤、脂肪酸アミン塩、脂肪酸アンモニウム塩などのカチオン性界面活性剤、ポリオオキシアルキルエーテル類、ポリオキシアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類などのノニオン性界面活性剤が挙げられる。
これらの分散剤の中で、特に水不溶性樹脂が好ましい。水不溶性樹脂として、具体的には、疎水性基を有するモノマーと親水性基を有するモノマーとのブロック共重合体樹脂からなり、少なくとも塩生成基を有するモノマーを含有しているもので、中和後に25℃の水100gに対する溶解度が1g未満である樹脂が好ましい。疎水性基を有するモノマーとしては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類や酢酸ビニル等のビニルエステル類やアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体類が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。親水性基を有するモノマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタアクリレート、エチレングリコール・プロピレングリコールモノメタアクリレートが挙げられ、これらは1種を単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。塩生成基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンカルボン酸、マレイン酸が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。さらに、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロモノマー、シリコーン系マクロモノマーなどのマクロモノマーやその他のモノマーを併用することもできる。
この水不溶性樹脂は、エチルアミン、トリメチルアミン等の3級アミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等のアルカリ中和剤で中和した塩として用いることが好ましく、重量平均分子量が10000〜150000程度のものが、顔料を安定的に分散させる点で好ましい。
分散剤なしに水に分散及び/又は溶解が可能な自己分散型顔料は、例えば、顔料に物理的処理又は化学的処理を施すことで、分散性付与基又は分散性付与基を有する活性種を顔料の表面に結合(グラフト)させることによって製造される。物理的処理としては、例えば真空プラズマ処理が例示できる。また、化学的処理としては、例えば水中で酸化剤により顔料表面を酸化する湿式酸化法や、p−アミノ安息香酸を顔料表面に結合させることによりフェニル基を介してカルボキシル基を結合させる方法が例示できる。自己分散型顔料を含有するインク組成物は、通常の顔料を分散させるために含有させる前述のような分散剤を含む必要がないため、分散剤に起因する消泡性の低下による発泡がほとんどなく、吐出安定性に優れるインクを調製しやすい。また、分散剤に起因する大幅な粘度上昇が抑えられるので、顔料をより多く含有することが可能となり、印字濃度を十分に高めることが可能になる、あるいは、取り扱いが容易となる。このような利点があることから、自己分散型顔料は、特に高濃度を必要とするブラックインク組成物に有効であり、本実施形態のインク組成物として用いるブラックインク組成物には、分散剤なしに水に分散及び/又は溶解が可能な自己分散型顔料が少なくとも含まれることが好ましい。
本実施形態においては、次亜ハロゲン酸及び/又は次亜ハロゲン酸塩による酸化処理、又はオゾンによる酸化処理により表面処理される自己分散型顔料が、高発色という点で好ましい。また、自己分散型顔料として市販品を利用することも可能であり、そのような市販品として、マイクロジェットCW−1(商品名;オリヱント化学工業(株)製)、CAB−O−JET200、CAB−O−JET300(以上商品名;キャボット社製)が例示できる。
また、これらの顔料は、インクの保存安定性やノズルの目詰まり防止等の観点から、インク中での体積平均粒子径が50nm〜200nmの範囲であることが好ましい。これらの体積平均粒子径は、Microtrac UPA150(マイクロトラック社製)や粒度分布測定機LPA3100(大塚電子(株)製)等の粒径測定によって得ることができる。
これらの顔料は、インク組成物中に6質量%以上の範囲で含有されることが好ましい。その含有量が6質量%未満では印字濃度(発色性)が不充分である場合がある。また、その含有量の上限は特に限定されないが、例えば、含有量が25質量%以下であってもよい。含有量が25質量%よりも大きいと、ノズルの目詰まりや、吐出の不安定を起こす等の信頼性に不具合が生じる場合がある。
本実施形態に係るインク組成物は、被記録媒体への定着性を高める等の観点から、樹脂エマルジョンを含むことが好ましい。樹脂エマルジョンは、最低造膜温度が20℃未満の樹脂粒子を含むことが好ましい。樹脂エマルジョンとして、最低造膜温度が20℃未満の樹脂粒子を含むものを用いることにより、通常20℃以上である使用環境下の周囲温度において、樹脂粒子が膜化するので、インク組成物の被記録媒体への定着性や耐擦性を向上させる。
ここで、最低造膜温度は、下記のようにして測定される。まず、温度勾配試験装置のステンレス板上に0.3mmの厚さに樹脂エマルジョンを塗布する。塗布後、直ちにシリカゲルの入ったバスケットを板の上にのせ、透明プラスチック製の蓋で覆う。塗膜が乾燥した後、一様な連続皮膜部分と白濁している部分の境界部の温度を読み取り、最低造膜温度とする。
これらの樹脂エマルジョンとしては、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂からなる群より選択される1種又は2種以上の樹脂粒子を含むものであることが好ましい。これらの樹脂はホモポリマーとして使用されてもよく、また、コポリマーして使用されてもよく、単相構造及び複相構造(コアシェル型)のいずれのものも使用できる。
さらに、本実施形態で用いられるインク組成物に含まれる樹脂エマルジョンは、少なくともいずれかが、不飽和単量体の乳化重合によって得られた樹脂粒子のエマルジョンの形態で、インク組成物中に配合されることが好ましい。樹脂粒子を単独でインク組成物中に添加しても、該樹脂粒子の分散が不十分となる場合があるため、インク組成物の製造上、エマルジョンの形態が好ましい。また、エマルジョンとしては、インク組成物の保存安定性の観点から、アクリル樹脂粒子のエマルジョン、すなわちアクリルエマルジョンが好ましい。
樹脂粒子のエマルジョン(アクリルエマルジョン等)は、公知の乳化重合法により得ることができる。例えば、不飽和単量体(不飽和ビニルモノマー等)を、重合開始剤及び界面活性剤を存在させた水中において乳化重合することによって得ることができる。
不飽和単量体としては、例えば、一般に乳化重合で使用されるアクリル酸エステル単量体、メタクリル酸エステル単量体、芳香族ビニル単量体、ビニルエステル単量体、ビニルシアン化合物単量体、ハロゲン化単量体、オレフィン単量体、ジエン単量体が挙げられる。
不飽和単量体として、さらに具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−へキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート等のアクリル酸エステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;酢酸ビニル等のビニルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン化単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体;エチレン、プロピレン等のオレフィン;ブタジエン、クロロプレン等のジエン;ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニル単量体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N'−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の水酸基含有単量体が挙げられる。これらは1種を単独又は2種以上を混合して用いられる。
また、重合可能な二重結合を2つ以上有する架橋性単量体も、不飽和単量体として使用することができる。重合可能な二重結合を2つ以上有する架橋性単量体の例としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2'−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジアクリレート化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等のトリアクリレート化合物;ジトリメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のテトラアクリレート化合物;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のヘキサアクリレート化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、2,2'−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジメタクリレート化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート化合物;メチレンビスアクリルアミド;ジビニルベンゼンが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
また、乳化重合の際に使用される重合開始剤及び界面活性剤の他に、連鎖移動剤、さらには中和剤等も常法に準じて使用してよい。特に中和剤としては、アンモニア、無機アルカリの水酸化物、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが好ましい。
本実施形態において、樹脂エマルジョンは、インク組成物のインクジェット適性物性値、信頼性(目詰まりや吐出安定性等)、定着性等をより有効に得る観点から、インク組成物中の樹脂粒子が1質量%〜10質量%の範囲となるよう、含有されることが好ましい。
インク組成物に含まれる樹脂エマルジョンの体積平均粒子径は、インク組成物中における樹脂粒子の分散安定性の観点及び定着性の観点から、5nm〜400nmであることが好ましく、50nm〜200nmであることがより好ましい。この体積平均粒子径は、例えばコールターカウンターN4(コールター社製、商品名)を用いて測定される。
次に、中間搬送装置200について説明する。図1に示すように、中間搬送装置200は、用紙Mを搬送可能な中間搬送部252を備えている。中間搬送部252は、搬送された用紙Mを反転する少なくとも1つの反転部(本実施形態では2つの第1反転部241と第2反転部242)を備えている。第1反転部241及び第2反転部242は、搬送経路において記録部110よりも搬送方向の下流側に位置し、画像が形成(印刷)された用紙Mを反転する。また、中間搬送装置200は、用紙Mが搬送される中間搬送経路218を備えている。従って、中間搬送装置200は、画像形成装置100において画像が形成された用紙Mを搬送させながら乾燥させる乾燥機能と、画像形成装置100から搬送された用紙Mを反転させる反転機能とを備えている。
中間搬送装置200の中間搬送経路218は、画像形成装置100の第3排出経路153に接続されている。また、中間搬送経路218は、上流端が第3排出経路153と接続された導入経路243と、導入経路243の下流端である分岐点Aで分岐した第1分岐経路244及び第2分岐経路245とを有している。すなわち、分岐点Aには、導入経路243の下流端、第1分岐経路244の上流端、及び第2分岐経路245の上流端がそれぞれ接続されている。そして、第1分岐経路244と第2分岐経路245との搬送方向における経路長は、互いに略同じ長さとされている。
さらに、中間搬送経路218は、第1分岐経路244の下流端である第1接続点Bに接続された第1合流経路246と、第2分岐経路245の下流端である第2接続点Cに接続された第2合流経路247とを有している。第1合流経路246と第2合流経路247との搬送方向における経路長は、互いに略同じ長さとされている。
また、第1接続点Bには、第1反転部241が有する第1反転経路248が接続されている。また、第2接続点Cには、第2反転部242が有する第2反転経路249が接続されている。すなわち、第1接続点Bには、第1分岐経路244の下流端、第1合流経路246の上流端、及び第1反転経路248の一端が接続されている。また、第2接続点Cには、第2分岐経路245の下流端、第2合流経路247の上流端、及び第2反転経路249の一端が接続されている。なお、第1反転経路248及び第2反転経路249の経路長は、搬送方向において画像形成装置100で画像形成(印刷)可能な用紙Mの長さ以上となるように構成されている。
さらに、中間搬送経路218は、第1合流経路246及び第2合流経路247が合流する合流点Dが設けられ、当該合流点Dに接続された導出経路250を有している。すなわち、合流点Dには、第1合流経路246の下流端、第2合流経路247の下流端、及び導出経路250の上流端が接続されている。当該導出経路250は、後処理装置300へ向けて第1反転経路248と第2反転経路249の間を下向きに延びた後、第1反転経路248を回り込むように回して、上向きに延びている。なお、導出経路250は、上流側に配置された第1導出経路250aと当該第1導出経路250aの下流側に配置された第2導出経路250bとで構成されている。そして、第2導出経路250bの下流端は、後処理装置300の下流側搬送経路319に接続されている。
そして、本実施形態では、導入経路243と、第1分岐経路244と、第2分岐経路245とにより反転前経路218aが構成され、第1合流経路246と、第2合流経路247と、導出経路250とにより反転後経路218bが構成されている。そして、反転前経路218aは、搬送方向において第1反転部241もしくは第2反転部242よりも搬送方向の上流側に位置する。さらに、反転後経路218bは、搬送方向において第1反転部241もしくは第2反転部242よりも搬送方向の下流側に位置する。すなわち、中間搬送経路218は、第1反転部241及び第2反転部242よりも搬送方向の上流側に位置する反転前経路218aと、搬送方向の下流側に位置する反転後経路218bとを有している。
また、図3に示すように、中間搬送装置200は、中間搬送経路218に倣って用紙Mを搬送可能な中間搬送部252を備えている。中間搬送部252における第1反転部241及び第2反転部242は、搬送される用紙Mを反転可能に構成されている。
導入経路243、第1分岐経路244及び第2分岐経路245上には、第1駆動モーター(図示せず)により駆動する第1搬送ローラー対254が配置されている。また、第1合流経路246と第2合流経路247及び第1導出経路250a上には、第2駆動モーター(図示せず)により駆動する第2搬送ローラー対256が配置されている。また、第2導出経路250b上には、第3駆動モーター(図示せず)により駆動する第3搬送ローラー対257が配置されている。なお、第1搬送ローラー対254、第2搬送ローラー対256及び第3搬送ローラー対257の数は、各搬送経路の形態等により任意に設定することができる。そして、中間搬送部252の各ローラー対が用紙Mを表裏両側から挟み込んで支持した状態で、ローラー対のうち、一方のローラーを回転駆動することにより、搬送経路に沿って用紙Mを搬送する。
また、導入経路243には、用紙Mを検出する導入検出部258が設けられている。導入検出部258は、例えば、フォトインターラプターであり、具体的な構成は、搬送検出部199と同様である。そして、導入検出部258よりも搬送方向下流側の分岐点Aには、案内フラップ259が設けられている。案内フラップ259は、ソレノイド等により駆動され、導入経路243を搬送される用紙Mを第1分岐経路244及び第2分岐経路245のうち何れの経路に案内するかを切り替える。
さらに、第1分岐経路244の下流端には、第1分岐経路244から第1反転経路248への用紙Mの移動を許容する一方、第1反転経路248から第1分岐経路244への用紙Mの移動を規制する第1規制フラップ261が設けられている。さらに、第2分岐経路245の下流端には、第2分岐経路245から第2反転経路249への用紙Mの移動を許容する一方、第2反転経路249から第2分岐経路245への用紙Mの移動を規制する第2規制フラップ262が設けられている。これらの第1規制フラップ261及び第2規制フラップ262は、付勢部材(図示せず)による付勢力によって第1分岐経路244もしくは第2分岐経路245の下流端を塞ぐように付勢されている。
また、第1分岐経路244上には、用紙Mを検出する第1検出部281が配置され、第2分岐経路245上には、用紙Mを検出する第2検出部282が配置されている。また、第1合流経路246上には、用紙Mを検出する第3検出部283が配置されている。さらに、第1導出経路250aには用紙Mを検出する第4検出部284が配置され、第2導出経路250bには用紙Mを検出する第5検出部285が配置されている。なお、第1から第5検出部281,282,283,284,285は、例えば、フォトインターラプターであり、具体的な構成は、搬送検出部199と同様である。なお、各搬送路における各検出部の数は、各搬送経路の形態等により任意に設定することができる。
第1反転部241には、第1反転経路248に送り込まれた用紙Mを検出する第1反転検出部264と、第1反転経路248上に設けられた第1反転ローラー対265(本実施形態では2対)とが配置されている。第1反転ローラー対265は、第1反転検出部264が用紙Mを検出した際に送信する信号に基づいて、第1反転モーター(図示せず)により正転駆動又は逆転駆動される。
また、第2反転部242には、第2反転経路249に送り込まれた用紙Mを検出する第2反転検出部267と、第2反転経路249上に設けられた第2反転ローラー対268(本実施形態では5対)とが配置されている。第2反転ローラー対268は、第2反転検出部267が用紙Mを検出した際に送信する信号に基づいて、第2反転モーター(図示せず)により正転駆動又は逆転駆動される。なお、第1及び第2反転検出部264,267は、例えば、フォトインターラプターであり、具体的な構成は、搬送検出部199と同様である。
次に、後処理装置の構成について説明する。図1に示すように、後処理装置300は、略箱型状の枠体320を備えている。枠体320は、後処理給紙口322と後処理排紙口323とを備えている。後処理給紙口322及び後処理排紙口323は、それぞれ開口が形成されており、後処理給紙口322は、中間搬送装置200の中間搬送経路218の下流端に対応して配置され、中間搬送経路218と下流側搬送経路319とが接続されている。そして、下流側搬送経路319は後処理給紙口322から後処理排紙口323に亘って配置され、中間搬送装置200から搬送された用紙Mが後処理給紙口322から供給され、用紙Mに対して後処理等を施した後、後処理排紙口323から排紙される。
枠体320の内部には、スタッカー328と後処理部325等が配置されている。スタッカー328は、用紙Mを一時的に載置するものであり、用紙Mを載置可能なほぼ平坦面を有する載置面328aと、載置面328aの端部に対して略直角方向に形成された壁面328bと、を有している。
後処理部325は、スタッカー328に載置された状態の用紙Mに対して、用紙Mにパンチ穴を穿孔するパンチ処理や、用紙Mを所定枚数毎に綴じるステープル処理、用紙Mの幅方向の位置を1枚毎又は1束毎にその幅方向にずらして調整するシフト処理等の後処理を適宜の機構で行うものである。なお、後処理部325に、用紙Mの折り処理を行う用紙折り部や用紙Mを裁断する裁断処理、用紙Mを折り畳む折丁処理、用紙Mを製本する製本処理や丁合処理等が可能な機構を備えていてもよい。
また、枠体320の内部には、下流側搬送経路319に沿って下流側搬送部335が配置されている。下流側搬送部335は、駆動ローラー(図示せず)により駆動する搬送ローラー対327を有している。そして、下流側搬送経路319における後処理排紙口323の近傍には排紙ローラー対329が配置されている。搬送ローラー対327は、下流側搬送経路319においてスタッカー328及び後処理部325よりも上流側に配置され、後処理給紙口322から給紙される用紙Mをスタッカー328に搬送する。また、下流側搬送経路319における後処理給紙口322近傍には、用紙Mを検出する搬送検出部356が配置されている。搬送検出部356は、例えば、フォトインターラプターであり、具体的な構成は、搬送検出部199と同様である。
また、枠体320の内部には、下流側搬送経路319に沿って搬送される用紙Mを案内するガイド部330が設けられている。ガイド部330は、突部形状を有している。そして、ガイド部330には、ほぼ平坦面を有するガイド面330aを備え、ガイド面330aは下流側搬送経路319(スタッカー328)に対向して配置されている。本実施形態のガイド面330aの用紙Mの搬送方向に対して略直交する寸法幅は、搬送方向に対して略直交する用紙Mの寸法幅とほぼ同等の寸法を有している。これにより、用紙Mを容易に搬送することができる。ガイド部330は、下流側搬送経路319における搬送ローラー対327の下流側であって、排紙ローラー対329の上流側に配置されている。従って、搬送ローラー対327から搬送された用紙Mはガイド部330を介してスタッカー328に搬送される。
本実施形態のスタッカー328は、下流側搬送経路319において搬送ローラー対327よりも下流側に配置され、後処理部325で処理される用紙Mを一時的に載置する。そして、スタッカー328に載置された複数の用紙Mの少なくとも一端辺側が揃うように、スタッカー328の載置面328aが斜め方向に配置されている。本実施形態では、スタッカー328の一端は後処理排紙口323側に配置され、スタッカー328の他端(壁面328b)は後処理部325側に配置されている。後処理排紙口323は後処理部325よりも上方に配置されており、スタッカー328は後処理部325に向かって下方となるように斜めに配置されている。これにより、スタッカー328に載置された用紙Mの端一端辺がスタッカー328の壁面328bに接触することにより、用紙Mの一端辺が揃えられる。
図4及び図5は後処理装置の動作を示す模式図である。詳細には、排紙ローラー対329の動作を示す模式図である。排紙ローラー対329は、スタッカー328の一端側に配置され、スタッカー328に載置された用紙Mを1枚毎又は所定枚数からなる1束毎に排出するように構成されている。排紙ローラー対329は、第1排紙ローラー329aと第2排紙ローラー329bとを備えている。第1排紙ローラー329aと第2排紙ローラー329bとは鉛直方向Zに配列され、第1排紙ローラー329aは第2排紙ローラー329bよりも上方となるように配置されている。そして、第1排紙ローラー329aと第2排紙ローラー329bとが離間及び圧接可能に構成されている。本実施形態では、第1排紙ローラー329aが駆動モーターにより第2排紙ローラー329bに対して移動可能に構成されている。
そして、搬送ローラー対327から搬送された用紙Mをスタッカー328に載置する際には、図4に示すように、排紙ローラー対329を離間する。このとき、第1排紙ローラー329aは、第1排紙ローラー329aと第2排紙ローラー329bとの間隔Gが第1間隔G1となる第1ポジションPs1に配置される。第1ポジションPs1は規定されたホームポジションであり、第1間隔G1は、第1排紙ローラー329aと第2排紙ローラー329bとの間隔Gが最大となる値である。なお、間隔Gとは、第1排紙ローラー329aと第2排紙ローラー329bとで用紙Mを挟み込む方向における間隔であり、第1排紙ローラー329aの最外周面と第2排紙ローラー329bの最外周面との最短寸法である。そして、この状態で第1排紙ローラー329aと第2排紙ローラー329bとの間を用紙Mの一部が通過した後、図5に示すように、第1排紙ローラー329aと第2排紙ローラー329bとで用紙Mを挟み込むように圧接(ニップ)し、排紙ローラー対329(第1排紙ローラー329a、第2排紙ローラー329b)をスタッカー328側に引き戻す方向に回転させる。これにより用紙Mがスタッカー328に載置される。このとき、第1排紙ローラー329aは、第1ポジションPs1よりも下方であって、第1排紙ローラー329aと第2排紙ローラー329bとで用紙MをニップするニップポジションPsnに移動する。そして、スタッカー328に所定枚数の用紙Mが載置されるまで、第1排紙ローラー329aと第2排紙ローラー329bとによる離間及び圧接動作を繰り返す。
また、後処理部325で後処理が施された用紙Mを排紙トレイ331側に排出する場合は、所定枚数の用紙Mをニップし、排紙ローラー対329(第1排紙ローラー329a、第2排紙ローラー329b)をスタッカー328側とは反対側に搬送させる方向に回転させる。これにより、用紙Mを排紙トレイ331側に排出することができる。このとき、第1排紙ローラー329aは、第1排紙ローラー329aと第2排紙ローラー329bとでスタッカー328に載置された用紙MをニップするニップポジションPsnに配置される(図5参照)。
排紙トレイ331は、枠体320の外側に設けられ、後処理排紙口323から排出された用紙Mを積載する。排紙トレイ331は、用紙Mを載積(載置)する載置面331aを有し、枠体320の外側に向けて突出して備えられている。
次に、印刷装置の基本的な動作方法について説明する。図6から図9は、印刷装置の動作方法を示す模式図である。以下の説明では、画像形成装置100から中間搬送装置200を介して後処理装置300に搬送される用紙Mの搬送形態について説明する。なお、画像形成装置100の記録ヘッド111に供給されて搬送される用紙Mを1枚目から順に第1用紙Ma、第2用紙Mb、第3用紙Mcとし、4枚目の用紙Mを第4用紙Mdとして説明する。
まず、印刷処理(画像の形成処理)が実行されると、制御部10は、各駆動モーター類を駆動させる。これにより、各駆動モーターに接続されたピックアップローラー142a、搬送ローラー対131、駆動ローラー133、第1搬送ローラー対254、第2搬送ローラー対256、第3搬送ローラー対257、第1反転ローラー対265、第2反転ローラー対268及び搬送ローラー対327等が駆動する。
そして、記録部110は、用紙Mに対して記録ヘッド111からインクを吐出して画像を形成する(印刷を行う)。なお、この場合、印刷処理は片面印刷でもよいし、両面印刷でもよい。
そして、図6に示すように、第3排出経路153を反転前速度で搬送された第1用紙Maは、略同じ速度で導入経路243に受け渡される。そして、導入検出部258が第1用紙Maの先端を検出すると、制御部10は、ソレノイドを駆動して案内フラップ259を第1位置P1に位置させる。すなわち、案内フラップ259は、第1用紙Maを第1分岐経路244に案内する。そして、第1接続点Bまで搬送された第1用紙Maは、先端が第1規制フラップ261に接触することでこの第1規制フラップ261を付勢部材の付勢力に抗するように移動させる。すなわち、第1規制フラップ261は、第1分岐経路244の下流端を開くように移動する。そのため、第1用紙Maは、正転駆動する第1反転ローラー対265により第1反転経路248に反転前速度で送り込まれる。そして、第1用紙Maが第1規制フラップ261を通過すると、第1規制フラップ261は、第1分岐経路244の下流端を開く位置から塞ぐ位置に移動する。
図7に示すように、第1反転検出部264が第1用紙Maの後端を検出すると、制御部10は、正転駆動していた第1反転ローラー対265を逆転駆動に切り替える。すると、第1反転部241は、反転後速度で第1用紙Maを第1反転経路248から第1接続点B側に送り出す。また、このとき第1規制フラップ261は、第1用紙Maを第1合流経路246に案内する。すなわち、第1反転部241は、第1分岐経路244から送り込まれた第1用紙Maを第1合流経路246に送り出すことにより、第1用紙Maの向きを反転(スイッチバック)する。
また、導入検出部258が第2用紙Mbの先端を検出すると、制御部10はソレノイドを駆動して案内フラップ259の位置を変更する。すなわち、制御部10は、第1位置P1に位置した案内フラップ259を第2位置P2に移動させる。すると案内フラップ259は、第2用紙Mbを第2分岐経路245に案内する。
図8に示すように、第1反転部241により反転された第1用紙Maは、反転後経路218bを反転後速度で搬送される。そして、制御部10は、第1用紙Maが第1接続点Bを通過すると第1反転ローラー対265を正転回転する。また、制御部10は、第2反転検出部267が第2用紙Mbの後端を検出すると第2反転ローラー対268を逆転回転する。すなわち、第2反転部242は、第1反転部241と同様に第2用紙Mbを反転して反転後速度で第2合流経路247に送り出す。
さらに、導入検出部258が第3用紙Mcの先端を検出すると、制御部10はソレノイドを駆動して案内フラップ259の位置を変更する。具体的には、制御部10は、第2位置P2に位置した案内フラップ259を第1位置P1に移動させる。すなわち、案内フラップ259は、搬送される用紙Mを第1分岐経路244と第2分岐経路245に交互に案内する。
図9に示すように、第2反転部242で反転されて第2合流経路247に送り出された第2用紙Mbは、合流点Dを経由して導出経路250を搬送される。なお、このとき中間搬送部252は、反転前速度よりも遅い反転後速度で第1用紙Maと第2用紙Mbを搬送する。そのため、第1用紙Maと第2用紙Mbの搬送方向における間隔は、反転前経路218aを反転前速度で搬送された場合に比べて狭くなる。
そして、第1反転検出部264が第3用紙Mcの後端を検出すると、制御部10は、第1反転ローラー対265を逆転回転し、第3用紙Mcを第1合流経路246に送り出す。また、導入検出部258が第4用紙Mdの先端を検出すると、制御部10は、ソレノイドを駆動して案内フラップ259の位置を第2位置P2に変更する。
そして、中間搬送装置200は、先に導入された第1用紙Maから順に後処理装置300へ送り出す。すなわち、用紙Mは、中間搬送装置200において、用紙Mの面が反転されて後処理装置300に送られる。また、下流側搬送部335は、用紙Mを反転後速度よりも速い処理速度で搬送するため、用紙M同士の間隔が広がる。そして、用紙Mはスタッカー328に順次搬送され、スタッカー328に所定枚数の用紙Mが載置されると、後処理部325によってステープル等の処理を行い、排紙ローラー対329の駆動により排紙トレイ331に排出される。
次に、本実施形態の後処理装置300にかかる課題について説明する。上記したように、画像形成装置100がインクを液滴として吐出する記録ヘッド111を備えたインクジェットプリンターである場合、画像形成装置100で画像が形成された用紙Mは、インク(水分)の吸収やインクの乾燥等に伴ってカール(用紙が湾曲する状態や用紙が丸まる状態)することがある。このため、画像形成装置100(インクジェットプリンター)で画像が形成された用紙Mをスタッカー328に順次載置していった場合、先に載置された用紙Mのカールの程度が大きくななると、後から搬送される用紙Mが先に載置された用紙Mのカールした部分に接触して搬送不具合が発生してしまうおそれがある。
さらに、用紙Mのカールの発生のメカニズムについて詳細に説明する。本実施形態の用紙Mは、セルロースを主成分として構成され、当該セルロース同士が水素結合により形成されている。このため、画像形成装置100によりインクが用紙Mの一方面に塗布されると、インクの吸収により、セルロース間の水素結合が分断される。そうすると、セルロース同士の間隔が広がり、インクが塗布された用紙Mの一方面の方が、用紙Mの当該一方面とは反対となる他方面よりも伸びやすくなる。このため、用紙Mの一方面側を重力方向(下向き)に向けて載置した場合、用紙Mは重力方向に向けて凸状にカールする(1次カール)。
また、1次カールが発生した後、当該用紙Mに吸収したインクの乾燥が進んでいくと、セルロース同士が水素結合よって自由に結びつき、セルロース間の間隔が狭くなっていく。そうすると、インクが塗布された用紙Mの一方面の方が、他方面よりも縮んでいく。このため、用紙Mの一方面側を重力方向に向けて載置した場合、1次カールの場合とは反対に用紙Mは重力方向に対して凹状(重力方向と反対方向側に向けて凸状)にカールする(2次カール)。
ここで、本実施形態の後処理装置300では、用紙Mのカール(特に2次カール)が問題となる。具体的には、画像形成装置100によって画像が形成された用紙Mが、中間搬送装置200を介して後処理装置300に搬送されていく。この過程において、時間の経過により用紙Mに塗布されたインクの乾燥が進む程、2次カールが大きくなっていくため、例えば、第3排出経路153、中間搬送経路218、下流側搬送経路319等で用紙Mの搬送不具合(ジャム)が発生し、用紙Mの搬送が中断された場合、既にスタッカー328に載置されている用紙Mは時間の経過に伴ってカール(2次カール)が大きくなっていく。そして、ジャムが解消され、用紙Mの搬送が再開され、ジャム解消後に搬送された用紙Mがスタッカー328に搬送された場合、後から搬送された用紙Mが、すでにスタッカー328に載置されていた用紙Mのカールの部分に引っ掛かって搬送不具合が発生してしまう。特に、既にスタッカー328に搬送された用紙Mが、載置面328aに対して、用紙Mの中央部よりも端部が浮き上がって変形するカール(載置面328aに対して凹状の2次カール)である場合、用紙Mのカールの部分に引っ掛かりやすくなり搬送不具合が発生しやすくなる。なお、載置面328aに対して、用紙Mの中央部の方が端部よりも浮き上がって変形するカール(載置面328aに対して凸状の2次カール)の場合は、用紙Mの自重により変形量が低くなり、上記凹状の2次カールに比べ搬送不具合の発生傾向は低いものの、用紙Mの変形(カール)に関する搬送上の課題として同様に扱うことができる。
また、上記用紙Mのカールの発生は、片面印刷に限らず、両面印刷においても同様に発生する。すなわち、用紙Mの一方面における印刷dutyと他方面における印刷dutyとが異なる場合に、用紙Mのカールは発生し得る。特に、用紙Mの一方面における印刷dutyと他方面における印刷dutyとの差が所定以上(例えば、約30%以上)の場合に、用紙Mのカールの発生が顕著となる。なお、「duty」とは、duty(%)=実記録ドット数/(縦解像度×横解像度)×100(式中、「実記録ドット数」は単位面積当たりの実記録ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。)で算出される値である。
そこで、後処理装置300には、スタッカー328に載置された状態の用紙Mに対して、用紙Mの変形(カール)を抑制する抑制部450を備えている。抑制部450により、スタッカー328に載置された用紙Mのカール(特に2次カール)の発生に起因する用紙Mの搬送不具合を低減させることができる。
次に、抑制部の構成について説明する。図10、図11及び図12は、各抑制部の構成を示す概略図である。図10の例では、排紙ローラー対329が抑制部450としての機能を有している。そして、抑制部450としての排紙ローラー対329は、スタッカー328と排紙トレイ331との間で用紙Mの変形(カール)を抑制する。すなわち、排紙ローラー対329は、スタッカー328に関与せず単独で用紙Mのカールを抑制する。詳細には、抑制部450としての排紙ローラー対329は、第1ローラーとしての第1排紙ローラー329aと、第2ローラーとしての第2排紙ローラー329bと、を備えている。そして、図10に示すように、第1排紙ローラー329aと第2排紙ローラー329bとの間隔Gは、第1間隔G1と、第1間隔G1よりも間隔Gが狭くなる第2間隔G2と、に可変可能に構成されている。なお、本実施形態では、第1排紙ローラー329aが第1ポジションPs1に位置した場合、第1間隔G1が設定される(図4参照)。また、第1排紙ローラー329aは、第1ポジションPs1とニップポジションPsn(図5参照)との間を任意に移動可能である。そして、第1排紙ローラー329aを第1ポジションPs1から第2排紙ローラー329b側に移動させることにより、第1間隔G1よりも間隔Gが狭くなる第2間隔G2を設定することができる。従って、ニップポジションPsnも第2ポジションPs2となり得る。
そして、スタッカー328に載置された状態の用紙Mに対して、用紙Mの変形を抑制する場合は、スタッカー328に載置された状態の用紙Mを介して、第1排紙ローラー329aと第2排紙ローラー329bとの間隔Gを、第1間隔G1よりも間隔Gが狭い第2間隔G2に設定する。すなわち、第1排紙ローラー329aを第1ポジションPs1から第2ポジションPs2に移動させる。これにより、第1排紙ローラー329aと第2排紙ローラー329bとの間隔Gが第1間隔G1に比べて狭くなるため、用紙Mの変形(カール)が規制される。
なお、スタッカー328に載置された状態の用紙Mに対して、用紙Mの変形を抑制する場合は、第1排紙ローラー329aを、用紙MをニップするニップポジションPsnを第2ポジションPs2に設定することが好ましい。すなわち、第1間隔G1となる第1ポジションPs1では、第2排紙ローラー329bは用紙Mに接触しているが、第1排紙ローラー329aは用紙Mに対して非接触である。一方、第2間隔G2となるニップポジションPsn(第2ポジションPs2)では、第1排紙ローラー329aと第2排紙ローラー329bとが用紙Mに接触する。このようにすれば、用紙Mは第1排紙ローラー329aと第2排紙ローラー329bとで押し圧されるため、用紙Mの一部が平坦状態で保持されるのでカールの発生が抑制される。また、押し圧されることで用紙Mの表面が外気に触れる機会が低減するため、用紙Mに塗布されたインクの乾燥が抑えられ、カールの発生を抑制することができる。なお、第2ポジションPs2をニップポジションPsnとして設定した場合のニップ力は、通常用紙Mを搬送する場合のニップ力よりも弱く、例えば、ニップされた用紙Mを手指で引き抜ける程度の圧力に設定してもよい。排紙ローラー対329の負荷を低減することができる。
さらに、図11の例では、ガイド部330が、排紙ローラー対329とは別に抑制部450として機能し得る。そして、抑制部450としてのガイド部330は、スタッカー328上で用紙Mの変形(カール)を抑制する。すなわち、ガイド部330は、スタッカー328の一部(用紙Mを載置する載置面328a等)と関与させながら用紙Mのカールを抑制する。詳細には、抑制部450としてのガイド部330は、用紙Mの面に接触可能な接触部の一部としてのガイド面330aを備えている。そして、スタッカー328に載置された状態の用紙Mとガイド面330aとの間隔Kは、第1間隔K1と、第1間隔K1よりも間隔Kが狭くなる第2間隔K2と、に可変可能に構成されている。本実施形態のガイド部330は、駆動モーターに接続され、第1排紙ローラー329aの軸回りに回動可能に構成されている。
本実施形態では、ガイド部330を、用紙Mを搬送する際の第1ポジションPk1(ホームポジション)と、用紙Mの変形を抑制するために、ガイド部330をガイド面330aが用紙M側に近づく方向に移動させた第2ポジションPk2と、の間を移動可能とする。これにより、スタッカー328に載置された状態の用紙Mとガイド面330aとの間隔Kが可変となる。これにより、スタッカー328に載置された状態の用紙Mとガイド面330aとの間隔Kは、第1間隔K1と、第1間隔K1よりも間隔Kが狭くなる第2間隔K2とに可変可能となる。なお、本実施形態では、間隔Kは、ガイド部330の先端部330b(ガイド部330の第1排紙ローラー329aとは反対側の端部であり接触部の一部)と用紙Mに設定された規定点(固定点)Mtとの間の寸法で設定することができる。これにより、用紙Mとガイド面330aとの間隔Kを規定することができる。
そして、スタッカー328に載置された状態の用紙Mに対して、用紙Mの変形を抑制する場合は、ガイド部330を第1ポジションPk1から第2ポジションPk2に移動させ、用紙Mとガイド面330aとの間隔Kを、第1間隔K1よりも狭い第2間隔K2に可変する。これにより、用紙Mとガイド面330aとの間隔Kが狭くなるため、用紙Mの変形(カール)が規制される。なお、スタッカー328に載置された状態の用紙Mに対して、用紙Mの変形を抑制する場合は、ガイド部330の先端部330bがスタッカー328に載置された状態の用紙Mを押し圧可能な位置を第2ポジションPk2としてガイド部330を移動させることが好ましい。すなわち、第1間隔K1となる第1ポジションPk1では、ガイド部330のガイド面330aや先端部330bは用紙Mに対して非接触である。一方、第2間隔K2となる第2ポジションPk2では、ガイド部330のうち先端部330bが用紙Mに接触する。このようにすれば、用紙Mはガイド部330によって押し圧されるため、用紙Mの一部がほぼ平坦状態で保持されるので効率良くカールの発生を抑制することができる。
なお、本実施形態では、図12に示すように、排紙ローラー対329とガイド部330とを抑制部450として構成する。具体的には、スタッカー328に載置された状態の用紙Mに対して、用紙Mの変形を抑制する場合は、スタッカー328に載置された状態の用紙Mを介して、第1排紙ローラー329aと第2排紙ローラー329bとの間隔Gを、第2間隔G2に設定する。すなわち、第1排紙ローラー329aを第1ポジションPs1から第2ポジションPs2に移動する。さらに、スタッカー328に載置された状態の用紙Mとガイド面330aとの間隔Kを、第2間隔K2に設定する。すなわち、ガイド部330を第1ポジションPk1から第2ポジションPk2に移動する。これにより、スタッカー328に載置された状態の用紙Mは、排紙ローラー対329とガイド部330とにより用紙Mの変形(カール)が規制され、さらに用紙Mの変形(カール)の発生を抑制することができる。
次に、印刷装置の制御部の構成について説明する。図13は、印刷装置の制御部の一部構成を示すブロック図である。なお、図13では、抑制部450の制御にかかる構成について主に示している。
図13に示すように、印刷装置1は、制御部10を備えている。制御部10は、CPU、記憶手段としてのROM、RAM及び入出力インターフェイスを備え、CPUが入出力インターフェイスを介して入力される各種信号を、ROM、RAMのデータに基づき処理し、入出力インターフェイスを介して各駆動部に対して制御信号を出力する。CPUは、例えば、ROMに記憶された制御プログラムに基づいて、各種制御を行う。
制御部10には、各検出部(搬送検出部199、導入検出部258、第1から第5検出部281,282,283,284,285、第1及び第2反転検出部264,267、搬送検出部356)が接続され、各検出部から検出データが送信される。また、制御部10には、各駆動モーター(搬送駆動モーター、第1から第3駆動モーター、第1及び第2反転モーター、各駆動モーター)が接続され、制御部10から各駆動モーターに対して検出データに基づいて生成された駆動制御信号が送信され、各駆動モーターが駆動制御される。そして、各駆動モーターの駆動に伴い、各駆動モーターに接続された各ローラー対等の部材(搬送ローラー対131、第1から第3搬送ローラー対254,256,257、第1及び第2反転ローラー対265,268、第1排紙ローラー329a、ガイド部330、搬送ローラー対327)が駆動する。
次に、印刷装置の制御方法について説明する。詳細には、抑制部の制御方法について説明する。図14は、印刷装置の制御方法を示すフローチャートである。図14に示すように、抑制部450の制御方法は、ステップS100の抑制実行処理とステップS200の抑制解除処理とにより実行される。そして、ステップS100の抑制実行処理では、スタッカー328よりも用紙Mの搬送経路(第3排出経路153、中間搬送経路218、下流側搬送経路319)の上流側でジャムが発生した場合に、抑制部450で用紙Mの変形(カール)を抑制する。具体的には、ジャムが発生した場合に、ジャムが発生した箇所よりも搬送経路の下流側にある用紙Mをスタッカー328に搬送した後で、抑制部450を駆動(実行)させる。また、ステップS200の抑制解除処理では、ジャムが解消した場合に、ジャムが解消した後に、スタッカー328に対して最初に搬送される用紙Mがスタッカー328に載置可能であるとともに、抑制部450に対しての搬送経路の上流の最も近い位置に配置された検出部の検出結果に基づいて、抑制部450の駆動を解除させる。換言すれば、ステップS200の抑制解除処理では、ジャムが解消した場合に、抑制部450よりも上流の搬送経路かつ抑制部450に最も近い位置に配置された検出部の検出結果に基づいて、抑制部450の駆動を解除させる。以下、具体的に説明する。
まず、抑制実行処理方法について説明する。図15は、抑制部の実行処理方法を示すフローチャートである。図15に示すように、ステップS101では、用紙Mを搬送させる。具体的には、画像形成装置100、中間搬送装置200及び後処理装置300の各搬送ローラー対類(搬送ローラー対131、第1から第3搬送ローラー対254,256,257、第1及び第2反転ローラー対265,268、排紙ローラー対329、搬送ローラー対327)を駆動させる。また、画像形成装置100の記録部110を駆動させ、搬送された用紙Mに画像を形成する。これにより、画像が形成された用紙Mは、第3排出経路153、中間搬送経路218、下流側搬送経路319へと搬送されていく。
次いで、ステップS102では、ジャムが発生したが否かを判断する。具体的には、制御部10において、スタッカー328よりも搬送経路が上流側となる第3排出経路153、中間搬送経路218、下流側搬送経路319上でのジャムの有無を判断する。ジャムは、搬送経路に配置された各検出部(搬送検出部199、導入検出部258、第1から第5検出部281,282,283,284,285、第1及び第2反転検出部264,267、搬送検出部356)から送信される検出データに基づいて判断する。そして、ジャムが発生したと判断された場合(YES)は、ステップS103に移行し、ジャムが発生していない判断された場合(NO)は、終了(リターン)する。
次いで、ステップS103に移行した場合は、ジャムが発生した箇所とスタッカー328との間に用紙Mが有るか否かを判断する。具体的には、ジャムが発生した箇所とスタッカー328との間に配置された各検出部(搬送検出部199、導入検出部258、第1から第5検出部281,282,283,284,285、第1及び第2反転検出部264,267、搬送検出部356)から送信される検出データに基づいて判断する。そして、用紙Mが有ると判断された場合(YES)はステップS104に移行し、用紙Mが無いと判断された場合(NO)はステップS105に移行する。
そして、ステップS104に移行した場合は、ジャムが発生した箇所よりも搬送経路の下流側にある用紙Mをスタッカー328に搬送させる。すなわち、ジャムが発生した箇所とスタッカー328との間の搬送経路にある用紙Mを、対応する各搬送ローラー対(搬送ローラー対131、第1から第3搬送ローラー対254,256,257、第1及び第2反転ローラー対265,268、搬送ローラー対327)を駆動させてスタッカー328に搬送(回収)する。次いで、ステップS103に移行する。
例えば、搬送検出部199でエラーが検出され、第3排出経路153でジャムが発生した場合において、中間搬送経路218または下流側搬送経路319に用紙Mが有る場合、対応する搬送ローラー対(第1から第3搬送ローラー対254,256,257、第1及び第2反転ローラー対265,268、搬送ローラー対327)を駆動させ、中間搬送経路218または下流側搬送経路319に有る用紙Mをスタッカー328に搬送させる。
また、例えば、中間搬送装置200において、導入検出部258や第1検出部281、または、第2検出部282でエラーが検出され、導入経路243や第1分岐経路244、または、第2分岐経路245でジャムが発生し、ジャムが発生した箇所よりも搬送方向下流側に用紙Mが有る場合、対応する搬送ローラー対(第2及び第3搬送ローラー対256,257、第1及び第2反転ローラー対265,268、搬送ローラー対327)を駆動させ、第1反転経路248、第2反転経路249、第1合流経路246、第2合流経路247、導出経路250、下流側搬送経路319に有る用紙Mをスタッカー328に搬送させる。
また、例えば、中間搬送装置200において、第1反転検出部264、または第2反転検出部267でエラーが検出され、第1反転経路248、または、第2反転経路249でジャムが発生し、ジャムが発生した箇所よりも搬送方向下流側に用紙Mが有る場合、対応する搬送ローラー対(第2及び第3搬送ローラー対256,257、搬送ローラー対327)を駆動させ、第1合流経路246、第2合流経路247、導出経路250、下流側搬送経路319に有る用紙Mをスタッカー328に搬送させる。
また、例えば、中間搬送装置200において、第3検出部283や第4検出部284でエラーが検出され、第1合流経路246、第2合流経路247、または、第1導出経路250aでジャムが発生し、ジャムが発生した箇所よりも搬送方向下流側に用紙Mが有る場合、対応する搬送ローラー対(第3搬送ローラー対257、搬送ローラー対327)を駆動させ、導出経路250や下流側搬送経路319に有る用紙Mをスタッカー328に搬送させる。
また、例えば、中間搬送装置200において、第5検出部285でエラーが検出され、第2導出経路250bでジャムが発生し、ジャムが発生した箇所よりも搬送方向下流側に用紙Mが有る場合、対応する搬送ローラー対(搬送ローラー対327)を駆動させ、下流側搬送経路319に有る用紙Mをスタッカー328に搬送させる。
なお、上記用紙Mの回収搬送方法は、一例であり、搬送経路における各検出部の配置と、配置された各検出部に対応する各駆動モーターを任意に設定することができる。
次いで、ステップS105では、抑制部450を駆動(実行)させる。具体的には、スタッカー328に載置された状態の用紙Mを介して、第1排紙ローラー329aと第2排紙ローラー329bとの間隔Gを、第1間隔G1よりも狭い第2間隔G2に可変する。すなわち、第1排紙ローラー329aを第1ポジションPs1から第2ポジションPs2に移動する。さらに、スタッカー328に載置された状態の用紙Mとガイド面330aとの間隔Kを、第1間隔K1よりも狭い第2間隔K2に可変する。すなわち、ガイド部330を第1ポジションPk1から第2ポジションPk2に移動する(図12参照)。
これにより、スタッカー328に載置された用紙Mは、放置時間の経過とともにカールが発生してしまうところ、排紙ローラー対329とガイド部330とにより用紙Mの変形(カール)が規制されるので、用紙Mの変形(カール)の発生を抑制することができる。
また、ジャムが発生した後、ジャムが発生した箇所よりも下流側にある用紙Mはスタッカー328に搬送(回収)され、その後に、抑制部450を駆動させるため、用紙Mの無駄を省くことができる。
次に、抑制解除処理方法について説明する。図16は、抑制部の解除処理方法を示すフローチャートである。
まず、抑制部450を解除する場合には、ジャムを解消する必要があり、例えば、ジャムの起因となる用紙Mを搬送経路から手指で引き抜く。これにより、ジャムが解消する。また、後処理部325で後処理を行う用紙Mの処理単位を考慮し、ジャムが発生した箇所にある用紙Mから記録部110等にある用紙Mも印刷装置1から取り出す。その後、各検出部(搬送検出部199、導入検出部258、第1から第5検出部281,282,283,284,285、第1及び第2反転検出部264,267、搬送検出部356)のエラーが解除されたことを確認した後、印刷装置1を再稼働させる(ステップS201)。
次いで、ステップS202では、ジャムが解消した後に最初に搬送される用紙Mがスタッカー328に載置可能であるとともに、抑制部450に対しての搬送経路の上流の最も近い位置に配置された検出部(本実施形態では、抑制部450に対して搬送経路としての第2導出経路250b上の上流の最も近い位置に配置された第5検出部285a)が、上記最初の用紙Mを検出したか否かについて判断する。
具体的には、例えば、第3排出経路153、中間搬送経路218、下流側搬送経路319から全ての用紙Mが取り除かれた状態で印刷装置1を再稼働する場合、どのタイミングで抑制部450の駆動を解除するかが問題となる。すなわち、例えば、中間搬送経路218の上流側における導入検出部258で最初に搬送される用紙Mが検出された場合に抑制部450を解除してしまうと、最初の用紙Mがスタッカー328に搬送されるまでに時間がかかるため、スタッカー328に載置された用紙Mの変形(カール)が進行してしまう。一方、単に、スタッカー328に対して搬送経路の上流の最も近い位置に配置された検出部で最初の用紙Mの搬送を検出させた場合には、抑制部450が解除動作の途中で用紙Mがスタッカー328に搬送されてしまい、用紙Mの搬送不良を起こしてしまうおそれがある。
従って、用紙Mの検出が判定され、用紙Mがスタッカー328に搬送されるまでの時間と、検出部の検出結果からの判断を受けて抑制部450の解除動作が終了するまでの時間と、を両立させる必要があり、上記条件を満たす位置に配置された検出部(本実施形態では第5検出部285a)における検出データに基づいて、ジャム後に最初に搬送される用紙Mを検出したか否かを判断する。そして、用紙Mを検出したと判断した場合(YES)は、ステップS203に移行する。一方、用紙Mを検出していないと判断した場合(NO)は、再度ステップS202に移行する。
次いで、ステップS203に移行した場合、抑制部450の駆動を解除させる。具体的には、スタッカー328に載置された状態の用紙Mを介して、第1排紙ローラー329aと第2排紙ローラー329bとの間隔Gを、第2間隔G2から第1間隔G1に可変する。すなわち、第1排紙ローラー329aを第2ポジションPs2から第1ポジションPs1に移動する。さらに、スタッカー328に載置された状態の用紙Mとガイド面330aとの間隔Kを、第2間隔K2から第1間隔K1に可変する。すなわち、ガイド部330を第2ポジションPk2から第1ポジションPk1に移動する(図4、図12参照)。
これにより、ジャムが解除された後であっても、抑制部450による抑制時間を確保することができる。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
印刷装置1においてジャムが発生した場合、後処理装置300のスタッカー328に載置された用紙Mは、抑制部450(排紙ローラー対329、ガイド部330)によって抑えられる。これにより、用紙Mのカールを抑制することができる。また、ジャムが解除された場合、ジャム解除後に搬送された最初の用紙Mがスタッカー328に搬送される直前まで、抑制部450が駆動する。従って、ジャムが解除されて用紙Mがスタッカー328に搬送されても、カールによる搬送不具合の発生が低減される。そして、スタッカー328において用紙Mが整然と揃えられ、後処理を確実に行うことができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良等を加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)上記実施形態では、抑制部450として排紙ローラー対329やガイド部330の構成を例に説明したが、この構成に限定されない。例えば、抑制部450は、送風機(各種ファン)であってもよい。そして、スタッカー328よりも用紙Mの搬送経路の上流側でジャムが発生した場合に、スタッカー328に載置された状態の用紙Mに対して送風すればよい。このようにしても、送風による風圧により用紙Mのカール等の変形を容易に抑制することができる。
(変形例2)上記実施形態では、抑制部450として排紙ローラー対329やガイド部330の構成を例に説明したが、この構成に限定されない。例えば、抑制部450として排紙ローラー対329やガイド部330に加え、スタッカー328に載置された状態の用紙Mに対して、加湿可能な加湿部を備えた構成であってもよい。加湿部の加湿機構や方式は特に限定されず、例えば、水を含ませたフィルターに送風して加湿する気化方式であってもよいし、ヒーターで水を沸騰させ、その蒸気を用いて加湿する蒸気方式等であってもよい。そして、スタッカー328よりも用紙Mの搬送経路の上流側でジャムが発生した場合に、スタッカー328に載置された状態の用紙Mに対して、加湿部で加湿しながら排紙ローラー対329及びガイド部330で用紙Mの変形を抑制する。このようにすれば、ジャムが発生した場合、抑制部450によって用紙Mの変形が抑制されるとともに加湿部によって用紙Mが加湿されるので、用紙Mのカールをより効果的に抑制することができる。なお、用紙Mに対して加湿を行う場合、用紙Mのカールの状況に応じて用紙Mの面や領域を適宜選択して加湿する。これにより、さらに、効率良く用紙Mのカールの発生を抑制することができる。
(変形例3)上記実施形態では、印刷装置1は、画像形成装置100と、中間搬送装置200と、後処理装置300と、を備えた構成としたが、この構成に限定されない。例えば、印刷装置1は、媒体に対して画像を形成する画像形成装置100と、画像が形成された媒体を一時的に載置するスタッカー328と、スタッカー328に載置された状態の媒体に対して、後処理を実行する後処理部325と、スタッカー328に載置された状態の媒体に対して、媒体の変形を抑制する抑制部450と、を有する後処理装置300と、を備えた構成であってもよい。すなわち、中間搬送装置200が省略された構成であってもよい。また、例えば、中間搬送装置200と画像形成装置100とが一体化された構成であってもよいし、中間搬送装置200と後処理装置300とが一体化された構成であってもよい。このようにしても、画像形成装置100によって画像が形成された媒体がスタッカー328に載置された場合、抑制部450によって媒体のカール等の変形を抑えることができる。
(変形例4)上記実施形態では、ガイド部330は、接触部としてのガイド面330aを備えた構成としたが、これに限定されない。例えば、ガイド面330aのように用紙Mに対して面接触に限らず、用紙Mに対して点接触可能な突起部を備えた構成であってもよい。このようにしても、用紙Mのカールを抑制することができる。
(変形例5)上記実施形態では、画像形成装置100における記録部110は、用紙Mの幅方向の略全域に亘って同時にインクを吐出可能なラインヘッド型の記録ヘッド111を例に説明したが、この構成に限定されない。例えば、シリアルヘッド方式のプリンターであってもよい。また、画像形成装置100は、片面印刷専用の搬送経路を備えた構成であってもよい。このようにしても、上記同様の効果を得ることができる。