以下に図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の形状及びそれらの相対配置などは、この発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定される趣旨のものではない。なお、モータ制御装置が設けられるのは画像形成装置に限定されるわけではない。なお、以下の説明においては、モータ制御装置が画像形成装置に設けられる場合について説明するが、モータ制御装置が設けられるのは画像形成装置に限定されるわけではない。例えば、記録媒体や原稿等のシートを搬送するシート搬送装置等にも用いられる。
〔第1実施形態〕
[画像形成装置]
図1は、本実施形態で用いられている画像形成装置であるモノクロの電子写真方式の複写機(以下、画像形成装置と称する)100の構成を示す断面図である。なお、画像形成装置は複写機に限定されず、例えば、ファクシミリ装置、印刷機、プリンタ等であっても良い。また、記録方式は、電子写真方式に限らず、例えば、インクジェット等であっても良い。更に、画像形成装置の形式はモノクロ及びカラーのいずれの形式であっても良い。
以下に、図1を用いて、画像形成装置100の構成および機能について説明する。図1に示すように、画像形成装置100は、原稿給送装置201、読取装置202及び画像印刷装置301を有する。
原稿給送装置201の原稿積載部203に積載された原稿は、給紙ローラ204によって1枚ずつ給紙され、搬送ガイド206に沿って読取装置202の原稿ガラス台214上に搬送される。更に、原稿は、搬送ベルト208によって一定速度で搬送されて、排紙ローラ205によって不図示の排紙トレイへ排紙される。読取装置202の読取位置において照明209によって照射された原稿画像からの反射光は、反射ミラー210、211、212からなる光学系によって画像読取部111に導かれ、画像読取部111によって画像信号に変換される。画像読取部111は、レンズ、光電変換素子であるCCD、CCDの駆動回路等で構成される。画像読取部111から出力された画像信号は、ASIC等のハードウェアデバイスで構成される画像処理部112によって各種補正処理が行われた後、画像印刷装置301へ出力される。前述の如くして、原稿の読取が行われる。即ち、原稿給送装置201及び読取装置202は、原稿読取装置として機能する。
また、原稿の読取モードとして、第1読取モードと第2読取モードがある。第1読取モードは、一定速度で搬送される原稿の画像を、所定の位置に固定された照明系209及び光学系によって読み取るモードである。第2読取モードは、読取装置202の原稿ガラス214上に載置された原稿の画像を、一定速度で移動する照明系209及び光学系によって読み取るモードである。通常、シート状の原稿は第1読取モードで読み取られ、本や冊子等の綴じられた原稿は第2読取モードで読み取られる。
画像印刷装置301の内部には、シート収納トレイ302、304が設けられている。シート収納トレイ302、304には、それぞれ異なる種類の記録媒体を収納することができる。例えば、シート収納トレイ302にはA4サイズの普通紙が収納され、シート収納トレイ304にはA4サイズの厚紙が収納される。なお、記録媒体とは、画像形成装置によって画像が形成されるものであって、例えば、用紙、樹脂シート、布、OHPシート、ラベル等は記録媒体に含まれる。
シート収納トレイ302に収納された記録媒体は、給紙ローラ303によって給送されて、搬送ローラ329、306及びプレレジストレーションローラ(以下、プレレジローラと称する)327によってレジストレーションローラ(以下、レジローラと称する)308へ送り出される。また、シート収納トレイ304に収納された記録媒体は、給紙ローラ305によって給送されて、搬送ローラ330、307、306及びプレレジローラ327によってレジローラ308へ送り出される。なお、本実施形態におけるプレレジローラ327は、本発明における第1のローラに対応する。また、本実施形態におけるレジローラ308は、本発明における当接部材及び第2のローラに対応する。
読取装置202から出力された画像信号は、半導体レーザ及びポリゴンミラーを含む光走査装置311に入力される。また、感光ドラム309は、帯電器310によって外周面が帯電される。感光ドラム309の外周面が帯電された後、読取装置202から光走査装置311に入力された画像信号に応じたレーザ光が、光走査装置311からポリゴンミラー及びミラー312、313を経由し、感光ドラム309の外周面に照射される。この結果、感光ドラム309の外周面に静電潜像が形成される。
続いて、静電潜像が現像器314内のトナーによって現像され、感光ドラム309の外周面にトナー像が形成される。
感光ドラム309と対向する位置(転写位置)には、前記トナー像を記録媒体に転写する際に用いられる転写帯電器315が設けられている。転写帯電器315には、ユーザによって設定された紙種に適した電圧が印加される。
レジローラ308とプレレジローラ327との間には、記録媒体の先端を検知するシートセンサ328が設けられている。レジローラ308及びプレレジローラ327はシートセンサ328の検知結果に基づいて記録媒体の先端側の辺の斜行補正を行う。なお、斜行補正の具体的な方法については後述する。その後、レジローラ308及びプレレジローラ327は、転写帯電器315によって記録媒体に画像が転写される転写タイミングに合わせて、記録媒体を転写位置へ送り込む。なお、本実施形態におけるシートセンサ328は、例えば、光学式のセンサであるが、これに限定されるものではない。
前述の如くして、トナー像が転写された記録媒体は、搬送ベルト317によって定着器318へ送り込まれ、定着器318によって加熱加圧されて、トナー像が記録媒体に定着される。このようにして、画像形成装置100によって記録媒体に画像が形成される。なお、定着器318の温度は、紙種に適した温度となるように制御される。
片面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319、324によって、不図示の排紙トレイへ排紙される。また、両面印刷モードで画像形成が行われる場合は、定着器318によって記録媒体の第1面に定着処理が行われた後に、記録媒体は、排紙ローラ319、搬送ローラ320、及び反転ローラ321によって、反転パス325へと搬送される。その後、記録媒体は、搬送ローラ322、323によって再度レジローラ308へと搬送され、前述した方法で記録媒体の第2面に画像が形成される。その後、記録媒体は、排紙ローラ319、324によって不図示の排紙トレイへ排紙される。
また、第1面に画像形成された記録媒体をフェースダウンで画像形成装置100の外部へ排紙される場合は、定着器318を通過した記録媒体は、排紙ローラ319を通って搬送ローラ320へ向かう方向へ搬送される。その後、記録媒体の後端が搬送ローラ320のニップ部を通過する直前に搬送ローラ320の回転が反転することによって、記録媒体の第1面が下向きになった状態で、記録媒体が排紙ローラ324を経由して、画像形成装置100の外部へ排出される。
以上が画像形成装置100の構成および機能についての説明である。なお、本実施形態のモータ制御装置は、負荷を駆動するモータに適用することができる。負荷とは、例えば、給紙ローラ204、303、305、プレレジローラ327、レジローラ308及び排紙ローラ319等の各種ローラや感光ドラム309、搬送ベルト208、317、照明系209及び光学系等に対応する。
図2は、画像形成装置100の制御構成の例を示すブロック図である。システムコントローラ151は、図2に示すように、CPU151a、ROM151b、RAM151cを備えている。また、システムコントローラ151は、画像処理部112、操作部152、アナログ・デジタル(A/D)変換器153、高圧制御部155、モータ制御装置157、紙種決定器200、センサ類159等と接続されている。システムコントローラ151は、接続された各ユニットとの間でデータやコマンドの送受信をすることが可能である。
CPU151aは、ROM151bに記憶された各種プログラムを読み出して実行することによって、予め定められた画像形成シーケンスに関連する各種シーケンスを実行する。
RAM151cは記憶デバイスである。RAM151cには、例えば、高圧制御部155に対する設定値、モータ制御装置157に対する指令値及び操作部152から受信される情報等の各種データが記憶される。
システムコントローラ151は、操作部152、センサ類159、紙種決定器200等からの信号を受信し、受信した信号に基づいて、高圧制御部155の設定値及びモータ制御装置157に対する指令値等を設定してRAM151cに記憶する。また、システムコントローラ151は、画像処理部112における画像処理に必要となる、画像形成装置100の内部に設けられた各種装置の設定値データを画像処理部112に送信する。なお、紙種決定器200による紙種の決定方法については後述する。
高圧制御部155は、システムコントローラ151が設定した設定値をRAM151cから読みだして、高圧ユニット156(帯電器310、現像器314、転写帯電器315等)に必要な電圧を供給する。
システムコントローラ151(CPU151a)は、シートセンサ328の検知結果に基づいて、モータ制御装置157に指令を出力する。モータ制御装置157は、CPU151aから受信した指令に応じて、プレレジローラ327を駆動するモータ509を制御する。なお、図2においては、画像形成装置のモータとしてモータ509のみが記載されているが、実際には、画像形成装置には複数個のモータが設けられている。また、1個のモータ制御装置が複数個のモータを制御する構成であっても良い。更に、図2においては、モータ制御装置が1個しか設けられていないが、2個以上のモータ制御装置が画像形成装置に設けられていてもよい。
A/D変換器153は、定着ヒータ161の温度を検出するためのサーミスタ154が検出した検出信号を受信し、検出信号をアナログ信号からデジタル信号に変換してシステムコントローラ151に送信する。システムコントローラ151は、A/D変換器153から受信したデジタル信号に基づいて、ACドライバ160の制御を行う。ACドライバ160は、定着ヒータ161の温度が、使用されているシートに定着処理を行うために必要な温度となるように定着ヒータ161を制御する。なお、定着ヒータ161は、定着処理に用いられるヒータであり、定着器318に含まれる。
システムコントローラ151は、使用するシートの種類等の設定をユーザが行うための操作画面を、操作部152に設けられた表示部に表示するように、操作部152を制御する。システムコントローラ151は、ユーザが設定した情報を操作部152から受信し、ユーザが設定した情報に基づいて画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。また、システムコントローラ151は、画像形成装置の状態を示す情報を操作部152に送信する。なお、画像形成装置の状態を示す情報とは、例えば、画像形成枚数、画像形成動作の進行状況、原稿読取装置201及び画像印刷装置301におけるシート材のジャムや重送等に関する情報である。操作部152は、システムコントローラ151から受信した情報を表示部に表示する。
前述の如くして、システムコントローラ151は、画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。
[モータ制御装置]
次に、本実施形態におけるモータ制御装置について説明する。本実施形態におけるモータ制御装置は、ベクトル制御を用いてモータを制御する。
<ベクトル制御>
まず、図3及び図4を用いて、本実施形態におけるモータ制御装置157がベクトル制御を行う方法について説明する。なお、以下の説明におけるモータには、モータの回転子の回転位相を検出するためのロータリエンコーダなどのセンサは設けられていないが、ロータリエンコーダなどのセンサが設けられていてもよい。
図3は、A相(第1相)とB相(第2相)との2相から成るステッピングモータ(以下、モータと称する)509と、d軸及びq軸によって表される回転座標系との関係を示す図である。図3では、静止座標系において、A相の巻線に対応した軸であるα軸と、B相の巻線に対応した軸であるβ軸とが定義されている。また、図3では、回転子402に用いられている永久磁石の磁極によって作られる磁束の方向に沿ってd軸が定義され、d軸から反時計回りに90度進んだ方向(d軸に直交する方向)に沿ってq軸が定義されている。α軸とd軸との成す角度はθと定義され、回転子402の回転位相は角度θによって表される。ベクトル制御では、回転子402の回転位相θを基準とした回転座標系が用いられる。具体的には、ベクトル制御では、巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルの、回転座標系における電流成分であって、回転子にトルクを発生させるq軸成分(トルク電流成分)と巻線を貫く磁束の強度に影響するd軸成分(励磁電流成分)とが用いられる。
ベクトル制御とは、回転子の目標位相を表す指令位相と実際の回転位相との偏差が小さくなるようにトルク電流成分の値と励磁電流成分の値とを制御する位相フィードバック制御を行うことによってモータを制御する制御方法である。また、回転子の目標速度を表す指令速度と実際の回転速度との偏差が小さくなるようにトルク電流成分の値と励磁電流成分の値とを制御する速度フィードバック制御を行うことによってモータを制御する方法もある。
図4は、モータ509を制御するモータ制御装置157の構成の例を示すブロック図である。なお、モータ制御装置157は、少なくとも1つのASICで構成されており、以下に説明する各機能を実行する。
図4に示すように、モータ制御装置157は、ベクトル制御を行う回路として、位相制御器502、電流制御器503、座標逆変換器505、座標変換器511、モータの巻線に駆動電流を供給するPWMインバータ506等を有する。座標変換器511は、モータ509のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルを、α軸及びβ軸で表される静止座標系からq軸及びd軸で表される回転座標系に座標変換する。この結果、巻線に流れる駆動電流は、回転座標系における電流値であるq軸成分の電流値(q軸電流)及びd軸成分の電流値(d軸電流)によって表される。なお、q軸電流は、モータ509の回転子402にトルクを発生させるトルク電流に相当する。また、d軸電流は、モータ509の巻線を貫く磁束の強度に影響する励磁電流に相当し、回転子402のトルクの発生には寄与しない。モータ制御装置157は、q軸電流及びd軸電流をそれぞれ独立に制御することができる。この結果、モータ制御装置157は、回転子402にかかる負荷トルクに応じてq軸電流を制御することによって、回転子402が回転するために必要なトルクを効率的に発生させることができる。即ち、ベクトル制御においては、図3に示す電流ベクトルの大きさは、回転子402にかかる負荷トルクに応じて変化する。
モータ制御装置157は、モータ509の回転子402の回転位相θを後述する方法により決定し、その決定結果に基づいてベクトル制御を行う。CPU151aは、モータ509の回転子402の目標位相を表す指令位相θ_refを生成し、指令位相θ_refをモータ制御装置157へ出力する。
減算器101は、モータ509の回転子402の回転位相θと指令位相θ_refとの偏差を演算し、該偏差を所定の時間周期T(例えば、200μs)で位相制御器502に出力する。
位相制御器502は、比例制御(P)、積分制御(I)、微分制御(D)に基づいて、減算器101から出力される偏差が小さくなるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する。具体的には、位相制御器502は、P制御、I制御、D制御に基づいて減算器101から出力される偏差が0になるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する。なお、P制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差に比例する値に基づいて制御する制御方法である。また、I制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差の時間積分に比例する値に基づいて制御する制御方法である。また、D制御とは、制御する対象の値を指令値と推定値との偏差の時間変化に比例する値に基づいて制御する制御方法である。本実施形態における位相制御器502は、PID制御に基づいてq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成しているが、これに限定されるものではない。例えば、位相制御器502は、PI制御に基づいてq軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成しても良い。なお、回転子402に永久磁石を用いる場合、通常は巻線を貫く磁束の強度に影響するd軸電流指令値id_refは0に設定されるが、これに限定されるものではない。
モータ509のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流は、電流検出器507、508によって検出され、その後、A/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換される。なお、A/D変換器510がデジタル値を出力する周期は、例えば、減算器101が偏差を位相制御器502に出力する周期Tより短い周期(例えば25μs)であるが、これに限定されるわけではない。
A/D変換器510によってアナログ値からデジタル値へと変換された駆動電流の電流値は、静止座標系における電流値iα及びiβとして、図4に示す電流ベクトルの位相θeを用いて次式によって表される。なお、電流ベクトルの位相θeは、α軸と電流ベクトルとの成す角度と定義される。また、Iは電流ベクトルの大きさを示す。
iα=I*cosθe (1)
iβ=I*sinθe (2)
これらの電流値iα及びiβは、座標変換器511と誘起電圧決定器512に入力される。
座標変換器511は、次式によって、静止座標系における電流値iα及びiβを回転座標系におけるq軸電流の電流値iq及びd軸電流の電流値idに変換する。
id= cosθ*iα+sinθ*iβ (3)
iq=−sinθ*iα+cosθ*iβ (4)
座標変換器511は、変換された電流値iqを減算器102に出力する。また、座標変換器511は、変換された電流値idを減算器103に出力する。
減算器102は、q軸電流指令値iq_refと電流値iqとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
また、減算器103は、d軸電流指令値id_refと電流値idとの偏差を演算し、該偏差を電流制御器503に出力する。
電流制御器503は、PID制御に基づいて、入力される偏差がそれぞれ小さくなるように駆動電圧Vq及びVdを生成する。具体的には、電流制御器503は、入力される偏差がそれぞれ0になるように駆動電圧Vq及びVdを生成して座標逆変換器505に出力する。即ち、電流制御器503は、生成手段として機能する。なお、本実施形態における電流制御器503は、PID制御に基づいて駆動電圧Vq及びVdを生成しているが、これに限定されるものではない。例えば、電流制御器503は、PI制御に基づいて駆動電圧Vq及びVdを生成しても良い。
座標逆変換器505は、電流制御器503から出力された回転座標系における駆動電圧Vq及びVdを、次式によって、静止座標系における駆動電圧Vα及びVβに逆変換する。
Vα=cosθ*Vd−sinθ*Vq (5)
Vβ=sinθ*Vd+cosθ*Vq (6)
座標逆変換器505は、逆変換されたVα及びVβを誘起電圧決定器512とPWMインバータ506に出力する。
PWMインバータ506は、フルブリッジ回路を有する。フルブリッジ回路は座標逆変換器505から入力された駆動電圧Vα及びVβに基づくPWM信号によって駆動される。その結果、PWMインバータ506は、駆動電圧Vα及びVβに応じた駆動電流iα及びiβを生成し、駆動電流iα及びiβをモータ509の各相の巻線に供給することによって、モータ509を駆動させる。即ち、PWMインバータ506は、モータ509の各相の巻線に電流を供給する供給手段として機能する。なお、本実施形態においては、PWMインバータはフルブリッジ回路を有しているが、PWMインバータはハーフブリッジ回路等を有する構成であっても良い。
次に、回転位相θの決定方法について説明する。回転子402の回転位相θの決定には、回転子402の回転によってモータ509のA相及びB相の巻線に誘起される誘起電圧Eα及びEβの値が用いられる。誘起電圧の値は誘起電圧決定器512によって決定(算出)される。具体的には、誘起電圧Eα及びEβは、A/D変換器510から誘起電圧決定器512に入力された電流値iα及びiβと、座標逆変換器505から誘起電圧決定器512に入力された駆動電圧Vα及びVβとに基づいて、次式によって決定される。
Eα=Vα−R*iα−L*diα/dt (7)
Eβ=Vβ−R*iβ−L*diβ/dt (8)
ここで、Rは巻線レジスタンス、Lは巻線インダクタンスである。巻線レジスタンスR及び巻線インダクタンスLの値は使用されているモータ509に固有の値であり、ROM151b又はモータ制御装置157に設けられたメモリ(不図示)等に予め格納されている。
誘起電圧決定器512によって決定された誘起電圧Eα及びEβは、位相決定器513に入力される。
位相決定器513は、誘起電圧決定器512から出力された誘起電圧Eαと誘起電圧Eβとの比に基づいて、次式によってモータ509の回転子402の回転位相θを決定する。
θ=tan^−1(−Eβ/Eα) (9)
なお、本実施形態においては、位相決定器513は、式(9)に基づく演算を行うことによって回転位相θを決定したが、この限りではない。例えば、位相決定器513は、ROM151b等に記憶されている、誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβと誘起電圧Eα及び誘起電圧Eβとに対応する回転位相θとの関係を示すテーブルを参照することによって回転位相θを決定してもよい。
前述の如くして得られた回転子402の回転位相θは、減算器101、座標逆変換器505及び座標変換器511に入力される。
モータ制御装置157は上述の制御を繰り返し行う。
以上のように、本実施形態におけるモータ制御装置157は、指令位相θ_refと回転位相θとの偏差が小さくなるように回転座標系における電流値を制御するベクトル制御を行う。ベクトル制御を行うことによって、モータが脱調状態となることや、余剰トルクに起因してモータ音が増大すること及び消費電力が増大することを抑制することができる。
[紙種を決定する方法]
次に、本実施形態において紙種が決定される構成について説明する。本実施形態では、以下の構成が画像形成装置に適用されることによって、シートの種類を判別するセンサを用いずにシートの種類が判別される。
図5は、記録媒体の先端側の辺の斜行を補正する構成を説明する図である。
記録媒体Pの斜行補正は、レジローラ308及びプレレジローラ327によって行われる。具体的には、モータ制御装置157がモータ509の駆動を制御することによってモータ509が回転し、モータ509が回転することによってプレレジローラ327が回転する。プレレジローラ327が回転することによって記録媒体Pは搬送方向へと搬送され、記録媒体Pの先端が停止状態のレジローラ308のニップ部に当接する。その後、モータ制御装置157は、更にモータ509を回転させることによってプレレジローラ327を回転させる。この結果、記録媒体Pが更に搬送方向へと搬送され、記録媒体Pが撓む。
なお、前述の過程においては、CPU151aは、シートセンサ328が記録媒体Pの先端を検知してから所定時間T1プレレジローラ327を回転させるようにモータ制御装置157を制御する。即ち、CPU151aは、シートセンサ328が記録媒体Pの先端を検知してから所定時間T1後にプレレジローラ327の回転が停止するようにモータ制御装置157を制御する。なお、所定時間T1は、シートセンサ328が記録媒体の先端を検知してから当該所定時間T1後における記録媒体Pの撓み量が、記録媒体Pの斜行補正が適切に行われるために必要な撓み量となるような時間に設定される。
なお、プレレジローラ327の回転を停止させる方法は、例えば、以下のような方法である。具体的には、CPU151aはモータ制御装置157に指令位相θ_refとして、前回出力した指令位相と同じ指令位相を出力する。以降、CPU151aはモータ制御装置157に同じ指令位相を出力し続ける。この結果、モータ制御装置157は回転子402の位相を固定することができる。即ち、CPU151aはプレレジローラ327の回転を停止させることが出来る。また、CPU151aがモータ制御装置157にenable信号‘L’を出力し、モータ制御装置157がプレレジローラ327を駆動するモータ509を停止させることによってプレレジローラ327の回転を停止させる構成であっても良い。enable信号とは、モータ制御装置157の稼働を許可又は禁止する信号である。enable信号が‘L(ローレベル)’である場合は、CPU151aはモータ制御装置157の稼働を禁止する。即ち、モータ制御装置157によるモータ509の制御は終了される。また、enable信号が‘H(ハイレベル)’である場合は、CPU151aはモータ制御装置157の稼働を許可して、モータ制御装置157はCPU151aから出力される指令に基づいてモータ509の駆動制御を行う。
前述のように、記録媒体Pの先端をシートセンサ328が検知してから所定時間T1プレレジローラ327が回転することによって記録媒体Pが撓む。この結果、記録媒体Pに弾性力が働き、記録媒体Pの先端がレジストレーションローラのニップ部に沿って当接する。この結果、記録媒体Pの斜行が補正される。
図6は、斜行補正を行う過程における電流値iqの変化を示す図である。図6においては、本実施形態における一例として、厚紙の斜行補正が行われた場合における電流値iqと普通紙の斜行補正が行われた場合における電流値iqとが示されている。
図6に示すように、時刻t0において記録媒体Pの先端がシートセンサ328によって検知されてから所定時間T1が経過すると、モータ制御装置157はモータ509の回転を停止させる。なお、所定時間T1は、時刻t0から時刻t3までの時間に対応する。
記録媒体が撓んでいる期間は、記録媒体に弾性力が働く。即ち、記録媒体には搬送方向の力だけでなく搬送方向とは逆方向の力が働く。この結果、モータ509の回転子402には、搬送方向とは逆方向の力に起因した負荷トルクが働く。なお、記録媒体の撓み量が大きくなるほど、負荷トルクの大きさは大きくなる。負荷トルクと電流値iqとの間には以下の関係が成り立つ。
Tm=iq*kt (10)
ここで、ktは負荷トルク値Tmと電流値iqとの関係を示す比例係数で、モータに固有の値である。
図6に示すように、時刻t1以降に、厚紙における電流値iqと普通紙における電流値iqとが増大している。これは、回転子402にかかる負荷トルクが増大していることを示している。即ち、時刻t1において、記録媒体の先端側の辺がレジローラ308のニップ部に当接し、記録媒体が撓み始めたことを示している。
また、図6に示すように、厚紙における電流値iqの単位時間当たりの増加量と普通紙における電流値iqの単位時間当たりの増加量とが異なっている。具体的には、厚紙における電流値iqの単位時間当たりの増加量が普通紙における電流値iqの単位時間当たりの増加量よりも大きい。これは、厚紙が撓んだときに厚紙に発生する弾性力が、普通紙が撓んだときに普通紙に発生する弾性力よりも大きいからである。このように、記録媒体が撓む期間における電流値iqは紙種によって異なる。したがって、記録媒体が撓む期間における電流値iqを観測することによって、紙種を判別することができる。
図4及び図5に示すように、本実施形態においては、CPU151aから紙種決定器200に紙種を判定する指示(判定指示信号)が出力される。具体的には、CPU151aは、時刻t0から所定時間T2が経過すると紙種決定器200に判定指示信号を出力する。なお、所定時間T2は、時刻t0から時刻t2までの時間に対応する。また、時刻t2は、時刻t1から時刻t3までの期間中の所定の時刻であって時刻t3を含む。即ち、所定時間T2は所定時間T1以下の時間である。
図7は、紙種決定器200の構成の例を示すブロック図である。また、図8は、本実施形態における、紙種と時刻t2における電流値iqとの対応関係を示すテーブル図である。なお、図8に示す電流値iqは、予め実験等によって決定された値である。図7に示すように、紙種決定器200には、座標変換器511から出力された電流値iqを記憶するメモリ200aが設けられている。また、紙種決定器200には、図8に示すテーブル200bが設けられている。なお、本実施形態におけるメモリ200aは、既にメモリ200aに記憶されている電流値iqを新たに取得した電流値iqに更新する。
紙種決定器200に判定指示信号が入力されると、紙種決定器200は、判定指示信号が入力された後の最初にメモリ200aが記憶した電流値iqをメモリ200aから取得し、当該電流値iqに基づいて紙種を決定する。具体的には、例えば、図8に示すように、電流値iqが0.5〜0.7Aの範囲内の値である場合は、紙種決定器200は搬送されている記録媒体の種類が普通紙であると決定する。また、電流値iqが1.0〜1.2Aの範囲内の値である場合は、紙種決定器200は搬送されている記録媒体の種類が厚紙であると決定する。即ち、紙種決定器200は、電流値iqが0.5〜0.7Aの範囲内の値(第1の値)である場合は記録媒体が普通紙(第1のシート)であると決定し、電流値iqが1.0〜1.2Aの範囲内の値(第2の値)である場合は記録媒体が普通紙よりも坪量が大きい厚紙(第2のシート)であると決定する。なお、本実施形態においては、紙種決定器200に判定指示信号が入力されると、紙種決定器200は、判定指示信号が入力された後の最初にメモリ200aが記憶した電流値iqに基づいて紙種を決定したが、この限りではない。例えば、紙種決定器200は、判定指示信号が入力された際に、既にメモリ200aに記憶されている電流値iqを取得し、当該電流値iqに基づいて紙種を決定しても良い。また、例えば、判定指示信号が時刻t2−α及び時刻t2においてCPU151aから紙種決定器200に入力されると、紙種決定器200は、時刻t2−αにおいてメモリ200aから取得した電流値iqと時刻t2においてメモリ200aから取得した電流値iqとの平均値に基づいて紙種を決定する構成であっても良い。
紙種決定器200は、決定した紙種の情報をCPU151aに出力する。
図9は、紙種を決定する方法を説明するフローチャートである。以下、図9を用いて、本実施形態における紙種の決定方法について説明する。このフローチャートの処理は、CPU151aによって実行される。
まず、CPU151aからモータ制御装置157にenable信号‘H’が出力されると、モータ制御装置157はCPU151aから出力される指令に基づいてモータ509の制御を開始する。
そして、S101において、シートセンサ328が記録媒体Pの先端を検知すると、CPU151aは処理をS102に進める。
S102において、シートセンサ328が記録媒体Pの先端を検知してから所定時間T2が経過すると、S103において、CPU151aは、紙種決定器200に判定指示信号を出力する。
その後、S104において、紙種決定器200は、判定指示信号が入力された後の最初にメモリ200aが記憶した電流値iqに基づいて紙種を決定し、CPU151aに紙種の情報を出力する。
以上のように、本実施形態においては、記録媒体が撓む期間における電流値iqに基づいて紙種が決定される。モータの回転子にかかる負荷トルクは紙種によって異なる。具体的には、例えば、厚紙が搬送される際に回転子にかかる負荷トルクは普通紙が搬送される際に回転子にかかる負荷トルクに比べて大きい。なお、電流値iqは負荷トルクに対応した値である。したがって、電流値iqが観測されることによって、搬送されている記録媒体の種類が決定される。このようにして、本実施形態においては、シートの種類を判別するセンサを用いずにシートの種類を判別することができる。この結果、画像形成装置が大型化したりコストが増大したりすることを抑制することができる。
[紙種に基づく画像形成装置の制御]
次に、紙種決定器200から出力された紙種の情報に基づいて、CPU151aが行う動作について説明する。
帯電器310、現像器314、転写帯電器315等の電圧や定着ヒータ161の温度等の設定値(以下、設定値と称する)は、システムコントローラ151によって設定される。具体的には、ユーザが操作部152を用いてシステムコントローラ151に送信した紙種の情報等に基づいてシステムコントローラ151が設定した設定値がRAM151cに記憶されている。帯電器310、現像器314、転写帯電器315及び定着ヒータ161は、RAM151cに記憶されている設定値に基づいて制御される。
しかしながら、ユーザがシステムコントローラ151に送信した紙種の情報と実際に使用される記録媒体の種類とが異なる場合に、予め設定された設定値では適切に画像形成を行うことができない可能性がある。例えば、転写電圧の不足によって画質が劣化したり、定着温度の不足によってトナーが剥がれてしまったりする可能性がある。
本実施形態においては、システムコントローラ151(CPU151a)は、紙種決定器200によって決定された紙種の情報に基づいて、設定値を設定する。
図10は、紙種決定器200から出力された紙種の情報に基づいてCPU151aが設定値を設定する方法を説明するフローチャートである。以下、図10を用いて、本実施形態における設定値の設定方法について説明する。このフローチャートの処理は、CPU151aによって実行される。
まず、S201において、CPU151aは、ユーザによって設定された紙種の情報等に基づいて設定された設定値をRAM151cに記憶する。
その後、S202において、CPU151aは、各種ローラを駆動するモータを制御するモータ制御装置にenable信号‘H’を出力し、モータ制御装置はCPU151aから出力される指令に基づいてモータの制御を開始する。この結果、記録媒体の搬送が開始される。
次に、S203において、紙種決定器200は前述した方法を用いて紙種を決定し、CPU151aに紙種の情報を出力する。
そして、S204において、シートセンサ328が記録媒体Pの先端を検知してから所定時間T1が経過すると、S205において、CPU151aは、モータ509の回転を停止させるようにモータ制御装置157を制御する。この結果、プレレジストレーションローラ327の回転が停止する。
その後、S206において、CPU151aは、ユーザによって設定された紙種と紙種決定器200によって決定された紙種とが一致しているか否かを判断する。ユーザによって設定された紙種と紙種決定器200によって決定された紙種とが一致しない場合は、S207において、CPU151aは、紙種決定器200によって決定された紙種の情報に基づいて、RAM151cに記憶されている設定値を更新(変更)する。具体的には、例えば、ユーザによって設定された紙種が普通紙であって、紙種決定器200によって決定された紙種が厚紙である場合、CPU151aは、転写帯電器315の電圧をS201において設定された電圧よりも高くする。より具体的には、例えば、CPU151aは、普通紙に対応する電圧500Vを厚紙に対応する電圧1300Vに変更する。これは、紙の厚みが厚いほど、画像を紙に転写する際に必要な電圧が高いからである。このようにして、CPU151aは、紙種決定器200によって決定された紙種の情報に基づいて、RAM151cに記憶されている設定値を更新する。なお、RAM151cには、紙種と設定値との対応関係を示すデータが記憶されており、CPU151aは、当該データに基づいて設定値を変更する。
次に、S208において、CPU151aは、モータ509の制御を再開するようにモータ制御装置157を制御する。この結果、記録媒体の搬送が再開される。その後、S209において、画像形成装置100はRAM151cに記憶されている設定値に基づいて記録媒体に画像形成を行い、CPU151aは、処理をS212に進める。
また、S206において、ユーザによって設定された紙種と紙種決定器200によって決定された紙種とが一致する場合は、S210において、CPU151aは、モータ509の制御を再開するようにモータ制御装置157を制御する。この結果、記録媒体の搬送が再開される。その後、S211において、画像形成装置100は記録媒体に画像形成を行い、CPU151aは、処理をS212に進める。
以降、画像形成ジョブが完了するまで、CPU151aは、上述した処理を繰り返し行う。
以上のように、本実施形態では、ユーザによって設定された紙種と紙種決定器200によって決定された紙種とが一致しない場合は、CPU151aは、紙種決定器200によって決定された紙種の情報に基づいて、RAM151cに記憶されている設定値を更新する。また、ユーザによって設定された紙種と紙種決定器200によって決定された紙種とが一致する場合は、CPU151aは、設定値を変更しない。即ち、画像形成装置100は、設定値が紙種に適した値に設定されている状態で画像形成を行う。この結果、転写電圧の不足によって画質が劣化したり、定着温度の不足によってトナーが剥がれてしまったりすることを抑制することができる。なお、設定値には、シートを搬送する搬送速度も含まれ、例えば、厚紙の場合の搬送速度は普通紙の場合の搬送速度よりも遅い。
なお、本実施形態では、時刻t2は時刻t0から時刻t3まで期間の所定の時刻であるが、紙種を精度よく判定するためには、できるだけ時刻t3に近い時刻を時刻t2としたほうが良い。これは、図6に示すように、時刻t3に近い時刻であるほど、厚紙における電流値iqと普通紙における電流値iqとの差が大きくなるからである。
〔第2実施形態〕
画像形成装置及びモータ制御装置の構成は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。また、紙種決定器200から出力された紙種の情報に基づいて、CPU151aが行う動作についても、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
本実施形態においては、紙種決定器200は、プレレジローラ327が記録媒体を撓ませる期間における電流値iqの単位時間当たりの変化量(傾き)に基づいて紙種を決定する。
以下、本実施形態における紙種の決定方法について説明する。図11は、本実施形態における斜行補正が行われる過程における電流値iqの変化を示す図である。図11においては、厚紙の斜行補正が行われた場合における電流値iq(黒丸)と普通紙の斜行補正が行われた場合における電流値iq(白丸)とが示されている。また、図11に示す点線は、厚紙の斜行補正が行われた場合における電流値iqを直線近似した線であり、図11に示す一点鎖線は、普通紙の斜行補正が行われた場合における電流値iqを直線近似した線である。なお、所定時間T1,T2及び時刻t0乃至t3については、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
図11に示すように、厚紙における電流値iqの単位時間当たりの変化量は普通紙における電流値iqの単位時間当たりの変化量と異なっている。具体的には、厚紙における電流値iqの単位時間当たりの増加量が普通紙における電流値iqの単位時間当たりの増加量に比べて大きい。これは、厚紙が撓む期間に厚紙に発生する弾性力が、普通紙が撓む期間に普通紙に発生する弾性力よりも大きいからである。このように、記録媒体が撓む期間における電流値iqの単位時間当たりの増加量は紙種によって異なる。したがって、記録媒体が撓む期間における電流値iqの単位時間当たりの変化量が観測されることによって、紙種の判別が可能である。
第1実施形態と同様に、本実施形態においても、CPU151aから紙種決定器200に紙種を判定する指示(判定指示信号)が出力される。具体的には、CPU151aは、時刻t0から所定時間T2が経過すると紙種決定器200に判定指示信号を出力する。
図12は、本実施形態における紙種決定器200の構成の例を示すブロック図である。また、図13は、本実施形態における、紙種と電流値iqの単位時間当たりの変化量Δiqとの対応関係を示すテーブル図である。図12に示すように、本実施形態における紙種決定器200には、座標変換器511から出力された電流値iqを異なるタイミングで取得して、当該電流値iqと電流値iqを取得した時刻tとを対応させて複数個記憶するメモリ200aが設けられている。また、紙種決定器200には、メモリ200aに記憶されている電流値iqを直線近似することによって単位時間当たりの変化量Δiqを決定する変化量決定器200cが設けられている。更に、変化量決定器200cには、図13に示すテーブル200bが設けられている。
変化量決定器200cは、判定指示信号が入力されると、時刻t1から時刻t2までの期間にメモリ200aに記憶された全ての電流値iqを直線近似することによって単位時間当たりの変化量Δiqを決定する。更に、変化量決定器200cは当該単位時間当たりの変化量Δiqに基づいて紙種を決定する。具体的には、例えば、図13に示すように、変化量Δiqが2〜4A/sの範囲内の値である場合は、変化量決定器200cは搬送されている記録媒体の種類が普通紙であると決定する。また、変化量Δiqが10〜12A/sの範囲内の値である場合は、変化量決定器200cは搬送されている記録媒体の種類が厚紙であると決定する。即ち、紙種決定器200は変化量Δiqが2〜4A/sの範囲内の値(第1の値)である場合は記録媒体が普通紙(第1のシート)であると決定し、変化量Δiqが10〜12A/sの範囲内の値(第2の値)である場合は記録媒体が普通紙よりも剛度が大きい厚紙(第2のシート)であると決定する。紙種決定器200は、決定した紙種の情報をCPU151aに出力する。なお、時刻t1は時刻t0から所定時間T3が経過した時刻であり、所定時間T3は予め設定されたモータの制御シーケンスによって決定されている。また、本実施形態においては、メモリ200aは、紙種決定器200が決定した紙種の情報をCPU151aに出力すると、記憶していた電流値iqを削除する。また、紙種と変化量Δiqとの対応関係は、予め実験等によって決定された値である。
図14は、紙種を決定する方法を説明するフローチャートである。以下、図14を用いて、本実施形態における紙種の決定方法について説明する。このフローチャートの処理は、CPU151aによって実行される。
まず、CPU151aからモータ制御装置157にenable信号‘H’が出力されると、モータ制御装置157はCPU151aから出力される指令に基づいてモータ509の駆動制御を開始する。
そして、S301において、シートセンサ328が記録媒体Pの先端を検知すると、CPU151aは処理をS302に進める。
S302において、シートセンサ328が記録媒体Pの先端を検知してから所定時間T2が経過すると、S303において、CPU151aは、紙種決定器200に判定指示信号を出力する。
その後、S304において、変化量決定器200cは、メモリ200aに記憶されている、時刻t1から時刻t2までの期間の電流値iqの単位時間当たりの変化量Δiqを決定する。
そして、S305において、紙種決定器200は、該変化量Δiqに基づいて紙種を決定し、CPU151aに紙種の情報を出力する。
以上のように、本実施形態においては、記録媒体が撓む期間における電流値iqの単位時間当たりの変化量(傾き)に基づいて紙種が決定される。この結果、シートの種類を判別するセンサを用いずにシートの種類を判別することができる。この結果、画像形成装置が大型化したりコストが増大したりすることを抑制することができる。
なお、本実施形態においては、時刻t2は時刻t0から時刻t3まで期間の所定の時刻であるが、紙種が精度よく判定されるためには、できるだけ時刻t3に近い時刻が時刻t2であるほうが良い。これは、時刻t2が時刻t3に近い時刻であるほど、q軸電流値のデータが多くなり、変化量Δiqが決定される精度が良くなるからである。
また、本実施形態においては、時刻t1から時刻t2までの期間にメモリ200aに記憶された全てのq軸電流値を直線近似することによって変化量Δiqを決定したが、この限りではない。例えば、時刻t1から時刻t2までの期間における2個以上のq軸電流値を直線近似することによって変化量Δiqを決定しても良い。即ち、全てのq軸電流値を用いて紙種を判別する構成でなくても良い。
〔第3実施形態〕
画像形成装置及びモータ制御装置の構成は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
第1実施形態及び第2実施形態においては、記録媒体がプレレジストレーションローラ327とレジストレーションローラ308との間で撓む期間における電流値iqに基づいて紙種が決定された。本実施形態においては、屈曲した搬送路を記録媒体が搬送され、当該記録媒体が屈曲した搬送路において撓む期間における電流値iqに基づいて紙種が決定される。
図15は、搬送ローラ330と搬送ローラ307との間に形成された搬送路を示す図である。図15に示すように、搬送ローラ330と搬送ローラ307との間に形成された搬送路は、搬送ガイドa及び搬送ガイドbによって形成されている。なお、、搬送ガイドa及び搬送ガイドbによって形成される搬送路の形状は屈曲した搬送路の一例であり、搬送路の形状(搬送路が屈曲する角度、ガイドaとガイドbとの距離等)はこれに限定されるわけではない。
図15に示すように、搬送ローラ330はモータM1によって駆動され、モータM1はモータ制御装置158によって制御される。モータ制御装置158はCPU151a(システムコントローラ151)と接続されており、CPU151aからの指令に基づいてモータM1を制御する。なお、モータ制御装置158の構成は、モータ制御装置157の構成と同様であるため、説明を省略する。
また、図15に示すように、給送ローラ305と搬送ローラ330との間には記録媒体の有無を検知するシートセンサ331が設けられている。シートセンサ331はCPU151a(システムコントローラ151)と接続されており、CPU151aはシートセンサ331による記録媒体の先端の検知に基づいて紙種決定器200に判定指示信号を出力する。
搬送ローラ330によって搬送される記録媒体は、屈曲した搬送路に当接しながら搬送される。屈曲した搬送路に記録媒体が当接しながら搬送されると、記録媒体には、当該記録媒体と搬送路との摩擦によって、搬送方向とは逆方向に摩擦力が働く。なお、記録媒体と搬送路との摩擦によって生じる摩擦力は、搬送される記録媒体の表面の摩擦係数が大きいほど大きくなる。即ち、搬送ローラ330にかかる負荷トルクは、搬送される記録媒体の表面の摩擦係数が大きいほど大きくなる。
また、屈曲した搬送路に記録媒体が当接しながら搬送される際には、記録媒体が撓んだ状態で搬送される。なお、図15に示す搬送ローラ330のニップ部と記録媒体の先端とを結ぶ直線と水平方向との成す角度δが大きいほど、当該記録媒体の撓み量は大きくなる。第1実施形態乃至第3実施形態で説明したように、記録媒体の撓み量が増大すると、当該記録媒体に働く弾性力も増大する。即ち、記録媒体の撓み量が増大すると、搬送ローラ330にかかる負荷トルクも増大する。なお、負荷トルクの増大量(変化量)は、記録媒体の剛度(坪量)が大きいほど大きくなる。即ち、厚紙の撓み量が増大したときの負荷トルクの変化量は薄紙の撓み量が増大したときの負荷トルクの変化量よりも大きい。
以下、本実施形態における紙種の決定方法について説明する。図16は、屈曲した搬送路を記録媒体が搬送される期間における電流値iqの変化を示す図である。図16においては、厚紙が搬送される場合における電流値iq(黒丸)と普通紙が搬送される場合における電流値iq(白丸)とが示されている。また、図16に示す点線は、厚紙が搬送される場合における電流値iqを直線近似した線であり、図16に示す一点鎖線は、普通紙が搬送される場合における電流値iqを直線近似した線である。
本実施形態では、CPU151aは、シートセンサ331が記録媒体を検知する時刻である時刻t4から所定時間T5が経過した時刻t6において紙種決定器200に判定指示信号を出力する。なお、所定時間T5は、時刻t6が時刻t4から所定時間T4が経過した時刻t5よりも後の時刻であり、記録媒体の先端が搬送ローラ307のニップ部に到達するタイミングよりも前の時刻となるように設定される。所定時間T4は、予め設定されたモータの制御シーケンスに基づいて設定される。
図17は、本実施形態における紙種決定器200の構成の例を示すブロック図である。図17に示すように、本実施形態における紙種決定器200には、座標変換器511から出力された電流値iqを異なるタイミングで取得して、当該電流値iqと電流値iqを取得した時刻tとを対応させて複数個記憶するメモリ200aが設けられている。また、紙種決定器200には、メモリ200aに記憶されている電流値iqを直線近似し、直線近似された式に基づいて電流値iqの総和Σiqを決定する総和決定器200dが設けられている。なお、電流値iqの総和(積分値)は、図16において、時刻t5から時刻t6までの期間における直線近似された線と横軸(時刻tを示す軸)とで囲まれる面積に対応する。
総和決定器200dは、判定指示信号が入力されると、時刻t5から時刻t6までの期間にメモリ200aに記憶された全ての電流値iqを直線近似し、直線近似された式に基づいて時刻t5から時刻t6までの期間における電流値iqの総和Σiqを決定する。
図18は、本実施形態における、紙種と電流値iqの総和Σiqとの対応関係を示すテーブル図である。図17に示すように、総和決定器200dは、図18に示すテーブル200eを有する。
総和決定器200d(紙種決定器200)は、図18に示すように、総和Σiqが8〜12Aの範囲内の値である場合は、紙種決定器200は搬送されている記録媒体の種類が普通紙であると決定する。また、総和Σiqが15〜20Aの範囲内の値である場合は、紙種決定器200は搬送されている記録媒体の種類が厚紙であると決定する。即ち、紙種決定器200は総和Σiqが8〜12Aの範囲内の値(第1の値)である場合は記録媒体が普通紙(第1のシート)であると決定し、総和Σiqが15〜20Aの範囲内の値(第2の値)である場合は記録媒体が普通紙よりも剛度が大きい厚紙(第2のシート)であると決定する。紙種決定器200は、決定した紙種の情報をCPU151aに出力する。なお、本実施形態においては、メモリ200aは、紙種決定器200が決定した紙種の情報をCPU151aに出力すると、記憶していた電流値iqを削除する。また、紙種と総和Σiqとの対応関係は、予め実験等によって決定された値である。
図19は、紙種を決定する方法を説明するフローチャートである。以下、図19を用いて、本実施形態における紙種の決定方法について説明する。このフローチャートの処理は、CPU151aによって実行される。
まず、CPU151aからモータ制御装置157にenable信号‘H’が出力されると、モータ制御装置157はCPU151aから出力される指令に基づいてモータ509の制御を開始する。
そして、S401において、シートセンサ331が記録媒体Pの先端を検知すると、CPU151aは処理をS402に進める。
S402において、シートセンサ331が記録媒体Pの先端を検知してから所定時間T5が経過すると、S403において、CPU151aは、紙種決定器200に判定指示信号を出力する。
その後、S404において、総和決定器200dは、メモリ200aに記憶されている、時刻t5から時刻t6までの期間の電流値iqを直線近似し、直線近似された式に基づいて時刻t5から時刻t6までの期間における電流値iqの総和Σiqを決定する。
そして、S405において、紙種決定器200は、総和Σiqに基づいて紙種を決定し、CPU151aに紙種の情報を出力する。
[紙種に基づく画像形成装置の制御]
次に、紙種決定器200から出力された紙種の情報に基づいて、CPU151aが行う動作について説明する。
図20は、紙種決定器200から出力された紙種の情報に基づいてCPU151aが設定値を設定する方法を説明するフローチャートである。以下、図20を用いて、本実施形態における設定値の設定方法について説明する。このフローチャートの処理は、CPU151aによって実行される。
S501からS503までの処理は、図10におけるS201からS203までの処理と同様であるため、説明を省略する。また、S504及びS505の処理は、図10におけるS206及びS207の処理と同様であるため、説明を省略する。
S506において、画像形成装置100はRAM151cに記憶されている設定値に基づいて記録媒体に画像形成を行い、CPU151aは、処理をS507に進める。
また、S504において、ユーザによって設定された紙種と紙種決定器200によって決定された紙種とが一致する場合は、S508において、画像形成装置100はRAM151cに記憶されている設定値に基づいて記録媒体に画像形成を行い、CPU151aは、処理をS507に進める。
以降、画像形成ジョブが完了するまで、CPU151aは、上述した処理を繰り返し行う。
以上のように、本実施形態においては、屈曲した搬送路を記録媒体が搬送され、当該記録媒体が屈曲した搬送路において撓む期間における電流値iqに基づいて紙種が決定される。具体的には、記録媒体が屈曲した搬送路を通過する期間における電流値iqの総和に基づいて紙種が決定される。この結果、シートの種類を判別するセンサを用いずにシートの種類を判別することができる。この結果、画像形成装置が大型化したりコストが増大したりすることを抑制することができる。
また、記録媒体の搬送が停止されることなく、紙種決定器200によって決定された紙種とユーザによって設定された紙種とが比較される。そして、ユーザによって設定された紙種と紙種決定器200によって決定された紙種とが一致しない場合は、CPU151aは、紙種決定器200によって決定された紙種の情報に基づいて、RAM151cに記憶されている設定値を更新する。また、ユーザによって設定された紙種と紙種決定器200によって決定された紙種とが一致する場合は、CPU151aは、設定値を変更しない。このように、画像形成装置100は、記録媒体の搬送を停止せずに、設定値が紙種に適した値に設定されている状態で画像形成を行うことができる。この結果、記録媒体の搬送が停止されてしまうことに起因して画像形成が遅くなってしまうことを抑制することができる。また、転写電圧の不足によって画質が劣化したり、定着温度の不足によってトナーが剥がれてしまったりすることを抑制することができる。なお、設定値には、シートを搬送する搬送速度も含まれ、例えば、厚紙の場合の搬送速度は普通紙の場合の搬送速度よりも遅い。
以上のように、第1実施形態乃至第3実施形態では、隣接する搬送ローラにおいて、上流側の搬送ローラによって搬送され、下流側の搬送ローラによって搬送されていないシートが撓んだ状態における電流値iqに基づいて、シートの種類が判別される。
本実施形態のように、記録媒体が給紙された後の最初に当該記録媒体が屈曲した搬送路を通過するときに紙種が決定されることによって、CPU151aは記録媒体の搬送を停止することなく設定値の変更を行うことができる。
また、本実施形態では、記録媒体が屈曲した搬送路を通過するときに紙種が決定される場合、記録媒体の先端が搬送ローラ330のニップ部を通過してから搬送ローラ307のニップ部に到達するまでの期間における電流値iqに基づいて紙種が決定される。これは、記録媒体が搬送ローラ307によって搬送されるようになると記録媒体に生じる弾性力が小さくなり、モータM1の回転子にかかる負荷トルクが小さくなる可能性があるからである。
なお、本実施形態では、総和決定器200dは、時刻t5から時刻t6までの期間における電流値iqの総和Σiqを決定したが、この限りではない。例えば、総和決定器200dは、時刻t5から時刻t6までの期間のうちの所定期間における電流値iqの総和Σiqを決定する構成であればよい。
また、本実施形態において説明した構成、即ち、総和Σiqに基づいて紙種が決定される構成が、斜行補正が行われる期間に適用されてもよい。
また、第1実施形態において説明した所定のタイミングにおける電流値iqに基づいて紙種が決定される構成が、屈曲した搬送路を通過する記録媒体の種類を決定する方法に適用されてもよい。また、第2実施形態において説明した電流値iqの変化量に基づいて紙種が決定される構成が、屈曲した搬送路を通過す記録媒体の種類を決定する方法に適用されてもよい。
なお、第1実施形態乃至第3実施形態における紙種の情報には、シートの坪量等の情報が含まれる。
また、第1実施形態乃至第3実施形態においては、紙種決定器200が紙種の決定を行ったが、前述した紙種の決定はCPU151が行っても良い。即ち、紙種決定器200の機能をCPU151aが有している構成であっても良い。
なお、第1実施形態及び第2実施形態においては、記録媒体の先端がレジストレーションローラ308のニップ部に当接することによって記録媒体の斜行補正が行われたが、これに限定されるものではない。例えば、記録媒体の搬送方向に対して、レジストレーションローラ308よりも上流側で且つシートセンサ328よりも下流側に、又は転写位置よりも上流側で且つレジストレーションローラ308よりも下流側に、記録媒体の先端が当接する当接部材としてのシャッタが設けられる。そして、シャッタに記録媒体の先端が当接し、前述した方法で記録媒体の斜行補正が行われる。その後、プレレジストレーションローラ308がトナー像にタイミングを合わせて記録媒体を転写位置へ搬送する際に、シャッタが退避するような構成であっても良い。
また、第1実施形態及び第2実施形態においては、電流値iqに基づいて紙種の決定が行われたが、回転子にかかる負荷トルクTmが用いられても良い。即ち、式(10)に基づいてq軸電流値から負荷トルクTmが決定され、負荷トルクTmに基づいて紙種の決定が行われても良い。また、負荷トルクTmが決定される際には、例えば、電流値iqの代わりに回転子の回転位相θと指令位相θ_refとの偏差から負荷トルク値Tmが決定されても良い。また、負荷トルク値Tmと電流値iqとの関係を示すテーブルが予めROM151b等に保存され、当該テーブルに基づいて電流値iqに対応する負荷トルク値TmがROM151bから読み出されても良い。
なお、第1実施形態乃至第3実施形態においては、プレレジストレーションローラ327を駆動するモータとしてステッピングモータが用いられているが、DCモータ等の他のモータであっても良い。また、モータは2相モータである場合に限らず、3相モータ等の他のモータであっても本実施形態を適用することができる。
また、第1実施形態乃至第3実施形態においては、回転子として永久磁石が用いられているが、これに限定されるものではない。
また、第1実施形態乃至第3実施形態においては、ユーザによって設定された紙種と紙種決定器200によって決定された紙種とが一致しない場合、CPU151aは、紙種決定器200によって決定された紙種に基づいて設定値を設定したがこの限りではない。例えば、ユーザによって設定された紙種と紙種決定器200によって決定された紙種とが一致しない場合、設定する紙種を変更するようにCPU151aが操作部152に設けられた表示部を介してユーザに通知する構成であっても良い。この結果、ユーザが紙種の設定を変更し、CPU151aはユーザによって変更された紙種に基づいて設定値を設定する。その結果、画像形成装置100は設定値が紙種に適した値に設定されている状態で画像形成を行うことができる。即ち、転写電圧の不足によって画質が劣化したり、定着温度の不足によってトナーが剥がれてしまったりすることを抑制することができる。また、例えば、電流値iq、変化量Δiq及び総和Σiqがテーブルに格納されている情報に該当しない場合、設定した紙種を確認するようにCPU151aが操作部152に設けられた表示部を介してユーザに通知する構成であっても良い。なお、電流値iqがテーブルに格納されている情報に該当しない場合とは、例えば、電流値iqが1.5Aである場合などである(図8参照)。また、変化量Δiqがテーブルに格納されている情報に該当しない場合とは、例えば、電流値Δiqが15Aである場合などである(図13参照)。また、総和Σiqがテーブルに格納されている情報に該当しない場合とは、例えば、総和Σiqが25Aである場合などである(図18参照)。
また、第1実施形態乃至第3実施形態におけるベクトル制御では、位相フィードバック制御を行うことによってモータを制御しているが、これに限定されるものではない。例えば、回転子402の回転速度ωをフィードバックしてモータを制御する構成であっても良い。具体的には、図21に示すように、モータ制御装置内部に速度決定器514を設け、速度決定器514が位相決定器513から出力された回転位相θの時間変化に基づいて回転速度ωを決定する。なお、速度の決定には、以下の式(11)が用いられるものとする。
ω=dθ/dt (11)
そして、CPU151aは回転子の目標速度を表す指令速度ω_refを出力する。更に、モータ制御装置内部に速度制御器500を設け、速度制御器500が回転速度ωと指令速度ω_refとの偏差が小さくなるように、q軸電流指令値iq_ref及びd軸電流指令値id_refを生成して出力する構成とする。このような速度フィードバック制御を行うことによって、モータを制御する構成であっても良い。