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JP6776000B2 - 二色成形品および二色成形品の製造方法 - Google Patents

二色成形品および二色成形品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、二色成形品に関する。
従来、射出成形の一方法として、1次成形品を形成した後に、その周囲に2次成形品を形成することで二色成形品を作製する技術が知られている。二色成形の技術は、例えば、車両のヘッドランプ等の灯具の透光カバーを作製する際に用いられている(特許文献1参照)。
特開2014−176974号公報
ところで、二色成形において、2次成形品の形状によっては、金型により形成されるキャビティ内に溶融樹脂が流れ込むと、金型内に存在していたガスが金型外にうまく排出できずに気泡として残存する場合がある。その結果、2次成形品の一部に欠肉が生じたり、閉じ込められた気泡が断熱圧縮されて高温となり、いわゆるガス焼けと呼ばれる外観不良が発生したりする。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、二色成形品における外観不良を低減する技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の二色成形品は、所定形状の第1樹脂部と、第1樹脂部と少なくとも一部が重なるように接している第2樹脂部と、を備える二色成形品であって、第2樹脂部は、第1樹脂部と重なるように接している積層領域と、積層領域に連なり、表側および裏側に第1樹脂部が積層されていない単層領域と、を有する。単層領域は、積層領域に隣接する隣接領域の厚みよりも薄い薄肉部を有する。薄肉部は、隣接領域を挟んで積層領域と反対側に設けられている。
この態様によると、積層領域における気泡の混入や欠肉が抑制された二色成形品を実現できる。
薄肉部と隣接領域との間に段差が設けられていてもよい。これにより、積層領域における気泡の混入や欠肉が更に抑制された二色成形品を実現できる。
単層領域は、薄肉部の内側に凹溝が設けられていてもよい。
薄肉部は、ウェルドラインを有してもよい。これにより、複数のゲートから樹脂を射出する金型を用いた場合であっても、積層領域よりも後に薄肉部に溶融樹脂が充填されることで、ガスが積層領域に閉じ込められにくくなる。その結果、積層領域における気泡の混入や欠肉が抑制された二色成形品を実現できる。
第1樹脂部は、透明樹脂からなる1次成形品であってもよい。
第1樹脂部は、車両灯具用カバーの透光部であり、第2樹脂部は、有色樹脂からなってもよい。これにより、透明な第1樹脂部を介して第2樹脂部が見えるような、意匠性を考慮した車両用灯具カバーにおいて、積層領域における気泡の混入が抑制されているため、ガス焼けによる外観不良を低減できる。
本発明の別の態様は、二色成形品の製造方法である。この方法は、第1コア金型およびキャビティ金型により形成された第1キャビティ内に第1の樹脂材料を射出し、所定形状の第1樹脂部を形成する第1工程と、第1樹脂部をキャビティ金型の内部に配置した状態で、該第1樹脂部の少なくとも一部が露出するように、第1コア金型とは形状が異なる第2コア金型とキャビティ金型とを型締めし、第2コア金型およびキャビティ金型により形成された第2キャビティ内に第2の樹脂材料を射出し、第1樹脂部の少なくとも一部と接合する第2樹脂部を形成する第2工程と、を含む。第2コア金型およびキャビティ金型は、第2キャビティ内に第2の樹脂材料が射出された場合に、該第2の樹脂材料が第1樹脂部に近い部分から充填されるように、第2の樹脂材料の流動を局所的に遅くさせる流動抵抗部を形成するように構成されている。
この態様によると、積層領域における気泡の混入や欠肉が抑制された二色成形品を実現できる。
第2コア金型およびキャビティ金型は、複数のゲートが設けられていてもよい。第2キャビティは、第1樹脂部と第2樹脂部とが接合する領域が複数のゲートを結ぶ流路の途中となるように構成された形状であってもよい。これにより、第2キャビティに複数のゲートから樹脂を射出した場合であっても、積層領域よりも後に薄肉部に溶融樹脂が充填されることで、ガスが積層領域に閉じ込められにくくなる。その結果、積層領域における気泡の混入や欠肉が抑制された二色成形品を実現できる。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、二色成形品における外観不良を低減できる。
本実施の形態に係る二色成形品を、車体前部に設けられているヘッドランプの前面カバーに適用した車両の外観斜視図である。 本実施の形態に係る透光カバーの概略正面図である。 射出成形方法に用いる金型を示す側断面図である。 射出成形方法により射出成形される二色成形品を示す側断面図である。 図5(a)、図5(b)は、参考例に係る射出成形方法を示す工程図である。 図6(a)、図6(b)は、参考例に係る射出成形方法を示す工程図である。 図7(a)、図7(b)は、参考例に係る射出成形方法を示す工程図である。 図8(a)、図8(b)は、参考例に係る射出成形方法を示す工程図である。 図9(a)は、参考例に係る二色成形品における1次成形品である第1樹脂部と2次成形品である第2樹脂部との境界近傍の断面の概略構成を示す要部斜視図、図9(b)は、図9(a)に示す第1樹脂部と第2樹脂部との境界近傍の断面図である。 図9(b)のA−A断面における溶融樹脂の流れを模式的に示した図である。 図11(a)は、図2に示す透光カバーのB領域の概略構成を示す模式図、図11(b)は、図11(a)に示す第1樹脂部と第2樹脂部との境界近傍のC−C断面図である。 本実施の形態に係る二色成形品の製造方法に用いる2次コア側金型の一例を示す正面図である。 図11(b)のC−C断面における溶融樹脂の流れを模式的に示した図である。 図14(a)は、変形例1に係る二色成形品の要部断面図、図14(b)は、変形例2に係る二色成形品の要部断面図、図14(c)は、変形例3に係る二色成形品の要部断面図である。 変形例4に係る二色成形品の要部の概略構成を示す模式図である。 変形例5に係る二色成形品の概略構成を示す要部斜視図である。 変形例6に係る二色成形品の要部断面図である。
以下、図面等を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
図1は、本実施の形態に係る二色成形品を、車体前部に設けられているヘッドランプの前面カバーに適用した車両の外観斜視図である。図2は、本実施の形態に係る透光カバー104の概略正面図である。図1に示すとおり、車両100の車体102の前部に左右のヘッドランプHLが配設されている。ヘッドランプHLは、主としてランプボディ(不図示)と透光カバー104とで構成されている。ランプボディは、前面を開口した容器状の部材であり、このランプボディの前面開口に透光カバー104が装着されている。なお、ランプ内部のランプユニットやリフレクタ等の構成は公知であり説明を省略する。
透光カバー104は、本実施の形態に係る二色成形品であり、後述する方法により製造されたものである。詳述すると、透光カバー104は、無色透明な透光樹脂で成形された透光樹脂部106と、この透光樹脂部106の外縁の少なくとも一部において厚み方向に積層された黒色樹脂108と、が一体成形されたものである。本実施の形態では、透光樹脂部106が第1樹脂部を構成し、黒色樹脂108が第2樹脂部を構成している。
透光樹脂部106は、車両100の車体102の前部曲面に連続されるようにランプ前方に向けて凸状に湾曲されたほぼ均一な厚みの板状に形成されており、ランプユニットから出射される光を透光して車両100の前方領域に照射することが可能とされている。この透光樹脂部106は本実施の形態における第1樹脂部に相当する。同様に黒色樹脂108は、本実施の形態に係る第2樹脂部に相当する。
次に、二色成形品の製造方法および金型の参考例について説明する。
図3は、射出成形方法に用いる金型50を示す側断面図である。また、図4は、射出成形方法により射出成形される二色成形品10を示す側断面図である。
はじめに、二色成形品10の構成について説明する。図4に示すように、二色成形品10は、図1で示したヘッドランプ等の車両用灯具の透光カバー104として用いることができるものであって、前面部10Aとこの前面部10Aの外周縁から後方へ向けて延びる周面部10Bとを備えている。その際、周面部10Bには、その後端位置から外周側へ向けて延びるフランジ部10Baおよびその後面から後方へ突出する環状突起部10Bbが形成されている。
二色成形品10は、1次成形品12の周囲に2次成形品14が配置された構成となっている。その際、1次成形品12は透明の樹脂部材で構成されており、2次成形品14は不透明(具体的には黒色)の樹脂部材で構成されている。
これら1次成形品12および2次成形品14は、周面部10Bにおいて1次成形品12を外周側に位置させた状態で部分的に重ね合わされた構成となっている。その際、1次成形品12の後端面12cは、周面部10Bにおける車両前後方向の中間部分に位置している。そして、この1次成形品12の外周面(すなわち周面部10Bにおいて1次成形品12が位置する部分の外表面)12aには、複数の凹部12bが形成されている(これについては後述する)。
次に、金型50の構成について説明する。図3に示すように、この金型50は、いわゆる対向方式の二色成形用金型として構成されている。
すなわち、この金型50は、水平方向に延びるX軸上において互いに向き合った状態で配置された1次コア側金型52および2次コア側金型54と、これら1次コア側金型52および2次コア側金型54の間においてX軸と直交して鉛直方向に延びるY軸回りに回転可能に配置された回転部材56と、Y軸に関して互いに背中合わせの状態で回転部材56に固定された同一形状の1対のキャビティ側金型58A、58Bと、1次コア側金型52を支持する可動盤62および2次コア側金型54を支持する固定盤64とを備えている。
その際、回転部材56は固定盤64に対してX軸方向に移動し得るようになっており、また、可動盤62は回転部材56に対してX軸方向に移動し得るようになっている。なお、図3においては、これらの相対移動の方向を矢印で示している。
金型50においては、型締めにより当接した1次コア側金型52と第1のキャビティ側金型58Aとの間に形成される1次空間部C1に、可動盤62に支持された加熱シリンダ66から供給される透明の樹脂材料を射出するとともに、型締めにより当接した2次コア側金型54と第2のキャビティ側金型58Bとの間に形成される2次空間部C2に、固定盤64に支持された加熱シリンダ68から供給される黒色の樹脂材料を射出するようになっている。
金型50には、各キャビティ側金型58A、58Bの複数箇所に油圧シリンダ70が配置されている。その際、これら複数の油圧シリンダ70は、そのプランジャ72を各キャビティ側金型58A、58Bの内周面に向けるようにして、その周方向に所定間隔をおいて配置されている。そしてこれにより、これら各油圧シリンダ70は、そのプランジャ72をX軸と直交する方向から1次空間部C1に突出させ得る構成となっている。
次に、参考例に係る射出成形方法について説明する。図5(a)乃至図8(b)は、参考例に係る射出成形方法を示す工程図である。
はじめに、図5(a)に示すように、1次コア側金型52および2次コア側金型54と1対のキャビティ側金型58A、58Bとを型締めする。その際、1次コア側金型52側のキャビティ側金型58Aに配置された各油圧シリンダ70のプランジャ72を1次空間部C1に突出させる。一方、2次コア側金型54側のキャビティ側金型58Bに配置された各油圧シリンダ70のプランジャ72は2次空間部C2から退去させた状態にしておく。そしてこの状態で、図5(b)に示すように、加熱シリンダ66から供給される透明の樹脂材料を1次空間部C1に射出して1次成形品12を成形する。
この1次成形品12には、金型開閉方向と直交する方向から複数のプランジャ72が係合した状態となっているが、図4に示すように、これら複数のプランジャ72が係合した部分の跡として、1次成形品12の外周面12aに複数の凹部12bが形成されることとなる。
次に、図6(a)に示すように、1次コア側金型52および2次コア側金型54と1対のキャビティ側金型58A、58Bとを型開きする。このとき、1次成形品12は、1次空間部C1に射出された樹脂材料の収縮作用によって1次コア側金型52に貼り付こうとするが、この1次成形品12には金型開閉方向と直交する方向からプランジャ72が係合しているため、1次コア側金型52とキャビティ側金型58Aとを型開きしたとき、1次成形品12はキャビティ側金型58Aに保持されたまま1次コア側金型52から離脱する。そしてこの状態で、図6(b)に示すように、回転部材56をY軸回りに180°回転させる。このとき、回転部材56に保持された1次成形品12には遠心力が作用するが、この1次成形品12にはプランジャ72が係合しているため、キャビティ側金型58Aに保持されたままの状態が維持される。
次に、図7(a)に示すように、1次コア側金型52および2次コア側金型54と1対のキャビティ側金型58A、58Bとを型締めする。そしてこの状態で、図7(b)に示すように、加熱シリンダ68から供給される黒色の樹脂材料を、2次空間部C2における1次成形品12以外の部分に射出して2次成形品14を成形する。これにより、1次成形品12と2次成形品14とが一体化されてなる二色成形品10を完成させる。
次に、図8(a)に示すように、2次コア側金型54側のキャビティ側金型58Aに配置された各油圧シリンダ70のプランジャ72を2次空間部C2から退去させた後、1次コア側金型52および2次コア側金型54と1対のキャビティ側金型58A、58Bとを型開きする。このとき、1次成形品12にはプランジャ72が係合していないので、型開きの際、二色成形品10は2次コア側金型54に貼り付いた状態となる。そしてこの状態で、図8(b)に示すように、二色成形品10を取り出す。この取り出しは、図示しない押し出しピンによって2次コア側金型54に貼り付いた二色成形品10を押し出して、図示しない取出し機で掴むことによって行う。
本願発明者らは、上述の方法を始め従来の射出成形によって二色成形品を製造した場合に潜む問題点を発見し、それを改善する技術を考案した。図9(a)は、参考例に係る二色成形品における1次成形品である第1樹脂部22と2次成形品である第2樹脂部24との境界近傍の断面の概略構成を示す要部斜視図、図9(b)は、図9(a)に示す第1樹脂部22と第2樹脂部24との境界近傍の断面図である。
二色成形品20は、所定形状の第1樹脂部22と、第1樹脂部22と少なくとも一部が重なるように接している第2樹脂部24と、を備える。第2樹脂部24は、第1樹脂部22と重なるように接している積層領域R1と、積層領域R1に連なり、表側および裏側に第1樹脂部22が積層されていない単層領域R2と、を有する。
このような構成の二色成形品20においては、図9(a)、図9(b)に示す断面近傍にウェルドラインが形成されるような構成の金型を用いると、気泡が混入した状態で第2樹脂部24が固まる場合がある。図10は、図9(b)のA−A断面における溶融樹脂の流れを模式的に示した図である。
溶融樹脂は、流れる空間が厚い方が(広い方が)圧力損失が低いため流動が早くなる傾向にある。そのため、図9(b)に示す積層領域R1のような厚みが小さい領域では、相対的に流動が遅くなる。一方、図9(b)に示す単層領域R2のような厚みが大きい領域では、相対的に流動が速くなる。そのため、図10に示すように、複数の方向から溶融樹脂26が流れてくると、単層領域R2の流動が速く、はじめに合流してウェルドライン28が形成される。その時点で、積層領域R1の流動は比較的遅いため、射出成形の際のガス(エア)Gが金型内に残存した状態で徐々にウェルドライン28が第1樹脂部22に向かって形成される。その結果、ガスGが金型から抜けられず、気泡や第2樹脂部24の欠肉として残存する。
このような気泡や欠肉は、第1樹脂部22が透明樹脂の場合に外部から識別できるため、外観不良の一因となりうる。
そこで、本願発明者らは、第2樹脂部の単層領域の形状を工夫することで上述のような外観不良の発生を抑制する技術に想到した。
図11(a)は、図2に示す透光カバー104のB領域の概略構成を示す模式図、図11(b)は、図11(a)に示す第1樹脂部30と第2樹脂部32との境界近傍のC−C断面図である。
本実施の形態に係る透光カバー104は、所定形状の透明な第1樹脂部30と、第1樹脂部30と少なくとも一部が重なるように接している第2樹脂部32と、を備える。第2樹脂部32は、第1樹脂部30と重なるように接している積層領域R1と、積層領域R1に連なり、表側および裏側に第1樹脂部30が積層されていない単層領域R2と、を有する。単層領域R2は、積層領域R1に隣接する隣接領域R3の厚みよりも薄い薄肉領域R4を有する。薄肉領域R4は、隣接領域R3を挟んで積層領域R1と反対側に設けられている。
このような構成の透光カバー104においては、図11(a)、図11(b)に示す断面近傍にウェルドラインが形成されるような構成の金型を用いても、気泡が混入した状態で第2樹脂部24が固まるといった現象を低減できる。図12は、本実施の形態に係る二色成形品の製造方法に用いる2次コア側金型54の一例を示す正面図である。
図12に示すように、本実施の形態に係る二色成形品の製造方法では、2つ以上の複数のゲート34が2次コア側金型54に設けられている。なお、キャビティ側金型58A、キャビティ側金型58Bのそれぞれに複数のゲートが設けられていてもよい。あるいは、2次コア側金型54に一つ以上のゲート、キャビティ側金型58A、キャビティ側金型58Bのそれぞれに一つ以上のゲートが設けられていてもよい。
図13は、図11(b)のC−C断面における溶融樹脂の流れを模式的に示した図である。
前述のように、溶融樹脂は、流れる空間が厚い方が流動が早くなる。そのため、図11(b)に示す薄肉領域R4のような厚みが小さい領域では、相対的に流動が遅くなる。一方、図11(b)に示す単層領域R2のうち隣接領域R3のような厚みが大きい領域では、相対的に流動が速くなる。このように、溶融樹脂の流動が早くなる領域を第1樹脂部30に近い側に設けることで、図13に示すように、複数の方向から溶融樹脂26が流れてくると、隣接領域R3の流動が速く、はじめに合流してウェルドライン28が形成される。その時点で、薄肉領域R4の流動は比較的遅いため、射出成形の際のガス(エア)Gが第1樹脂部30から離れる方向に排出され、徐々にウェルドライン28が第1樹脂部30から薄肉領域R4に向かって形成される。その結果、ガスGが第1樹脂部30と第2樹脂部32との境界に留まらず、金型から排出されやすくなるため、気泡や第2樹脂部32の欠肉として残存しにくくなる。これにより、積層領域R1における気泡の混入や欠肉が抑制された二色成形品を実現できる。
本実施の形態に係る薄肉領域R4の厚みt4は、隣接領域R3の厚みt3よりも小さければよいが、より好ましくは、t4<0.5×t3であるとよい。これにより、薄肉領域R4が溶融樹脂で充填されるタイミングを更に遅らせることができるため、積層領域R1における気泡の混入や欠肉が更に抑制された二色成形品を実現できる。
本実施の形態に係る透光カバー104においては、積層領域R1の厚みt1は、1〜4mm程度である。また、単層領域R2のうち隣接領域R3の厚みt3は2〜8mm程度である。また、薄肉領域R4の厚みt4は1〜3mm程度である。
なお 本実施の形態に係る透光カバー104の少なくとも一部の領域では、薄肉領域R4と隣接領域R3との間に段差36が設けられている。これにより、積層領域R1における気泡の混入や欠肉が更に抑制された二色成形品を実現できる。また、本実施の形態に係る単層領域R2は、薄肉領域R4の内側に凹溝38が設けられている。凹溝38の幅W1は、30±20mm程度である。
薄肉領域R4は、薄肉化する箇所の厚みt4が薄いほど、幅W1が広いほど流動抵抗部として効果があるが、薄肉領域自体へ溶融樹脂が流入しにくくなることで欠肉しやすくなる可能性もある。そこで、凹溝38の幅W1を上述の範囲とし、薄肉領域R4の厚みt4を上述の範囲とすることで調整可能である。また、凹溝38の幅W1を上述の範囲より極端に狭くした場合は、薄肉領域R4の厚みt4を上述の範囲よりも極端に薄くすることで調整してもよい。あるいは、凹溝38の幅W1を上述の範囲より極端に広くした場合は、薄肉領域R4の厚みt4を上述の範囲よりも厚くすることで調整してもよい。
また、図11(a)に示すように、第1樹脂部30の下面30aから薄肉領域R4がはじまる位置までの高さhは少ないほど上述の気泡等防止の効果があるが、第1樹脂部30側から透けて見える第2樹脂部32の形状に伴う見映えを考慮して、例えば3〜10mm程度にするとよい。
また、本実施の形態に係る薄肉領域R4は、ウェルドライン28を有している。これにより、複数のゲート34から樹脂を射出する金型を用いた場合であっても、積層領域R1よりも後に薄肉領域R4に溶融樹脂が充填されることで、ガスが積層領域R1に閉じ込められにくくなる。その結果、積層領域R1における気泡の混入や欠肉が抑制された二色成形品を実現できる。
前述のように、本実施の形態に係る第1樹脂部30は、車両灯具用カバーの透光部であり、第2樹脂部32は、有色樹脂からなっている。これにより、透明な第1樹脂部30を介して第2樹脂部32が見えるような、意匠性を考慮した車両用の透光カバー104において、積層領域R1における気泡の混入が抑制されているため、ガス焼けによる外観不良を低減できる。
次に、本実施の形態に係る二色成形品の製造方法を図5(a)乃至図8(b)を用いて説明する。この方法は、1次コア側金型52およびキャビティ側金型58Aにより形成された1次空間部(第1キャビティ)C1内に透明の樹脂材料を射出し、所定形状の1次成形品12を形成する第1工程と、1次成形品12をキャビティ側金型58Aの内部に配置した状態で、1次成形品12の少なくとも一部が露出するように、1次コア側金型52とは形状が異なる2次コア側金型54とキャビティ側金型58Aとを型締めし、2次コア側金型54およびキャビティ側金型58Aにより形成された2次空間部(第2キャビティ)C2内に黒色の樹脂材料を射出し、1次成形品12の少なくとも一部と接合する2次成形品14を形成する第2工程と、を含む。2次コア側金型54およびキャビティ側金型58A,58Bは、2次空間部C2内に黒色の樹脂材料が射出された場合に、黒色の樹脂材料が1次成形品12に近い部分から充填されるように、黒色の樹脂材料の流動を局所的に遅くさせる流動抵抗部を形成するように構成されている。流動抵抗部は、例えば、2次成形品14の薄肉部を形成する部分、換言すると、金型を型締めした状態の2次空間部C2において局所的に突き出ている部分である。これにより、積層領域R1における気泡の混入や欠肉が抑制された二色成形品を実現できる。
また、前述のように、2次コア側金型54、および、キャビティ側金型58Aまたはキャビティ側金型58Bは、複数のゲートが設けられている。そして、2次空間部C2は、1次成形品12(第1樹脂部30)と2次成形品14(第2樹脂部32)とが接合する領域が複数のゲート34を結ぶ流路の途中(図12に示す領域B’)となるように構成された形状である。これにより、2次空間部C2に複数のゲートから樹脂を射出した場合であっても、積層領域R1よりも後に薄肉領域R4に溶融樹脂が充填されることで、ガスGが積層領域R1に閉じ込められにくくなる。その結果、積層領域R1における気泡の混入や欠肉が抑制された二色成形品を実現できる。
(変形例)
図14(a)は、変形例1に係る二色成形品の要部断面図、図14(b)は、変形例2に係る二色成形品の要部断面図、図14(c)は、変形例3に係る二色成形品の要部断面図である。
変形例1に係る二色成形品40は、積層領域R1の厚みt1が3〜7mmと厚くなっており、薄肉領域R4の厚みt4が2〜6mm程度である。
変形例2に係る二色成形品42は、積層領域R1の厚みt1、隣接領域R3の厚みt3、および、薄肉領域R4の厚みt4が上述の実施の形態に係る透光カバー104と同じ程度である。しかしながら、隣接領域R3から薄肉領域R4に移行していく際の厚みの変化が不連続でなく(段差でなく)、連続的である(角がR加工されている)。これにより、成形不具合を低減できる。
変形例3に係る二色成形品44は、その内側において、積層領域R1から単層領域R2までが連続した平面S1で構成されている。
図15は、変形例4に係る二色成形品の要部の概略構成を示す模式図である。変形例4に係る二色成形品46は、図11(a)に示した透光カバー104の凹溝38の形状と比較して、凹溝48の形状が異なる点が主な相違点である。凹溝48は、曲面で構成されており、第1樹脂部30に近づくにつれて深さがなだらかに浅くなる形状である。
また、凹溝48の幅W1も第1樹脂部30に近づくにつれてなだらかに狭くなる形状である。凹溝48の幅W1は、40±20mm程度である。第1樹脂部30の下面30aから薄肉領域R4がはじまる位置までの高さhは3mm程度である。
このような形状の凹溝48を二色成形品46に設けることで、薄肉領域R4の端面48aの形状がなだらかになり、第1樹脂部30側から透けて見える第2樹脂部32の形状を目立ちにくくできる。
図16は、変形例5に係る二色成形品49の概略構成を示す要部斜視図である。二色成形品49は、図11(a)に示す透光カバー104とほぼ同様の形状であるが、積層領域R1における第2樹脂部32の一部が二色成形品49の外側まで露呈している露呈部51が形成されている。これにより、仮に積層領域R1においてガスが滞留しそうな状況であっても、露呈部51を経由してガスを薄肉領域R4に向けて誘導できる。
図17は、変形例6に係る二色成形品80の要部断面図である。変形例6に係る二色成形品80は、内側(裏側)において積層領域R1から単層領域R2へ連続する垂直な平面32aを有する第2樹脂部32を備える。また、二色成形品80は、外側(表側)において隣接領域R3に傾斜面32bが形成されている。そして、隣接領域R3の厚みt3は、積層領域R1側から薄肉領域R4側に向かって連続的に減少するように変化している。
以上、本発明を実施の形態や各変形例をもとに説明した。この実施の形態や各変形例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
C1 1次空間部、 R1 積層領域、 C2 2次空間部、 R2 単層領域、 R3 隣接領域、 R4 薄肉領域、 10 二色成形品、 12 1次成形品、 14 2次成形品、 20 二色成形品、 22 第1樹脂部、 24 第2樹脂部、 26 溶融樹脂、 28 ウェルドライン、 30 第1樹脂部、 32 第2樹脂部、 34 ゲート、 36 段差、 38 凹溝、 40,42,44,46 二色成形品、 48 凹溝、 48a 端面、 49 二色成形品、 50 金型、 51 露呈部、 52 1次コア側金型、 54 2次コア側金型、 58A,58B キャビティ側金型、 100 車両、 102 車体、 104 透光カバー、 106 透光樹脂部、 108 黒色樹脂。

Claims (6)

  1. 所定形状の第1樹脂部と、前記第1樹脂部と少なくとも一部が重なるように接している第2樹脂部と、を備える二色成形品であって、
    前記第2樹脂部は、前記第1樹脂部と重なるように接している積層領域と、前記積層領域に連なり、表側および裏側に前記第1樹脂部が積層されていない単層領域と、を有し、
    前記単層領域は、前記積層領域に隣接する隣接領域の厚みよりも薄い薄肉部を有し、
    前記薄肉部は、前記隣接領域を挟んで前記積層領域と反対側に設けられており、かつ、前記薄肉部の厚みよりも厚い領域に囲まれていることを特徴とする二色成形品。
  2. 前記薄肉部と前記隣接領域との間に段差が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の二色成形品。
  3. 前記薄肉部は、ウェルドラインを有することを特徴とする請求項1または2に記載の二色成形品。
  4. 前記第1樹脂部は、車両灯具用カバーの透光部であり、
    前記第2樹脂部は、有色樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の二色成形品。
  5. 第1コア金型およびキャビティ金型により形成された第1キャビティ内に第1の樹脂材料を射出し、所定形状の第1樹脂部を形成する第1工程と、
    前記第1樹脂部を前記キャビティ金型の内部に配置した状態で、該第1樹脂部の少なくとも一部が露出するように、前記第1コア金型とは形状が異なる第2コア金型と前記キャビティ金型とを型締めし、第2コア金型およびキャビティ金型により形成された第2キャビティ内に第2の樹脂材料を射出し、前記第1樹脂部の少なくとも一部と接合する第2樹脂部を形成する第2工程と、を含み、
    前記第2コア金型および前記キャビティ金型は、前記第2キャビティ内に前記第2の樹脂材料が射出された場合に、該第2の樹脂材料が第1樹脂部に近い部分から充填されるように、第2の樹脂材料の流動を局所的に遅くさせる流動抵抗部を形成するように構成されている、
    ことを特徴とする二色成形品の製造方法。
  6. 前記第2コア金型および前記キャビティ金型は、複数のゲートが設けられており、
    前記第2キャビティは、前記第1樹脂部と前記第2樹脂部とが接合する領域が前記複数のゲートを結ぶ流路の途中となるように構成された形状である、
    ことを特徴とする請求項5に記載の二色成形品の製造方法。
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