以下、本発明の炊飯器に係る一実施例について、添付図面を参照して説明する。
先ず、図1と図2に基づき全体の構成を説明すると、1は米や水などの被炊飯物を収容する有底筒状の内釜である。この内釜1は、熱伝導性のよいアルミニウムを主材とし、フェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体2が外面の側面下部から底部にかけて接合してある。内釜1の側面中央から上部に発熱体2を設けないのは、内釜1の軽量化を図るためである。
炊飯器の外郭をなす本体3は、その上部と上側面部を構成する上枠4と、側底面部を構成する外枠5とを主な構成要素とする。その際、上枠4や外枠5は、PPやABSポリカなどの合成樹脂で形成されている。
上枠4の上面には、ステンレスなどの金属板で形成されたクリーンフレーム6が設けられている。一方、本体3の中央部には、凹状の内釜収容部7が上枠4と一体化で形成されており、内釜収容部7の外周囲には後述する加熱コイル18を除いて、加熱手段を設けない構成としている。内釜収容部7の底部は、PETなどの合成樹脂で形成した内枠8で形成してある。
内釜収容部7の上端にはコードヒータ9を備えてあり、コードヒータ9は熱伝導がよいアルミ板などの金属板部10で覆われている。本実施例では、放熱部となる金属板部10が、後述する蓋体16と本体3との隙間11に対向する位置と、内釜1の側面1Aに対向する位置に備えてあり、これらのコードヒータ9と金属板部10により、発熱手段としてのフランジヒータ12を構成している。
フランジヒータ12には、内釜1の略中央部から外周方向全周に延出させた内釜リング部13の下面13Aが載置し、内釜1が吊られた状態で内釜収容部7に収容される。従って、この状態では内釜1と内釜収容部7の上端における隙間がほとんど無い構成になる。但し、フランジヒータ12の金属板部10の幅を平面視で部分的に狭くし、内釜リング部13の下面13Aとの接触面積を減らすことで、内釜リング部13に部分的な持ち手部14を形成して、内釜リング部13の下面13Aの指での支持を可能にしている。さらに、内釜リング部13の下部に位置する内釜収容部7の段部7Aは、発熱部となるコードヒータ9を覆うように、外形がコードヒータ9と同等以上の大きさに形成される。
フランジヒータ12は、炊飯時と保温時に内釜リング部13および内釜1の側面1Aを加熱すると共に、蓋体16と本体3との隙間11空間及び内釜1と内釜収容部7との隙間15空間に金属板部10から熱放射して、内釜1の冷えを抑制し、加熱により発生する水分が、内釜1の上部内面1Bへ結露するのを防止する構成となっている。
内枠8外面の、発熱体2に対向する内枠8の側面下部と底部には、内釜1を電誘導加熱する加熱手段として、加熱コイル18が配置される。また、内釜1の底部外面にはサーミスタ式の内釜温度センサー19が当接し、これが内釜1の底部温度を検知して、加熱コイル18による内釜1の底部の加熱温度を主に温度管理するようになっている。
そして炊飯時と保温時には、内釜1を加熱手段で加熱するが、保温時は、内釜1の外底面に接触させた内釜温度センサー19の検出温度に応じて、加熱手段となる加熱コイル18を加熱調節し、内釜1を一定温度に保持する。また炊飯後、内釜1内のご飯の温度が保温温度に低下するまで(約100℃→約73℃)、及び保温安定時(約73℃)に、発熱手段となるコードヒータ9を発熱させ、蓋体16と本体3との隙間11空間に金属板部10から熱放射して、隙間11からの外気の侵入による冷えを抑制すると共に、内釜1を加熱する。さらに保温時に、内釜1内のご飯を再加熱するあつあつ再加熱を実行している期間にも内釜1を加熱し、加熱により発生する水分が、内釜1の上部内面1Bへ結露するのを防止する構成になっている。
16は、本体3の上部に回動可能に設けられ、本体3と共に炊飯器の外郭をなす蓋体である。内釜1の上方開口部を覆う蓋体16には、蓋体16の特に後述する内蓋41の温度を検知するサーミスタ式の蓋温度センサー20と、コードヒータなどの蓋加熱手段21が備えてあり、主に蓋加熱手段21による内蓋41の温度管理を行なうようになっている。また、内釜リング部13の上方にあって、内釜1の外側面に対向する蓋体16の内側面部には、蓋加熱手段21とは別のコードヒータ22が備えられている。コードヒータ22は、ステンレスやアルミニウムなどの金属板からなる内蓋リング23にアルミ箔テープなどにより固定され、蓋側面加熱手段としての内蓋リングヒータ24を構成している。
17は、炊飯時と保温時に内釜温度センサー19と蓋温度センサー20の温度検知にて、内釜1の底面、下部側面、及び上部側面への加熱と、蓋体16の下面及び側面への加熱を、それぞれ温度制御して行なうための加熱制御手段である。加熱制御手段17は、内釜温度センサー19や蓋温度センサー20からの検知信号を受信し、加熱手段たる加熱コイル18、フランジヒータ12、内蓋リングヒータ24、蓋加熱手段21を加熱調節するものである。
加熱制御手段17には、加熱コイル18を駆動させる素子25が備え付けられている。加熱コイル18を駆動する素子25は、加熱コイル18の発振と共に加熱される。加熱コイル18を駆動する素子25は使用条件温度を持つので、一定温度以下で駆動させる必要がある。その為、素子25はアルミニウムのような熱伝導性のよい材料で構成された放熱器26に取付けられ、冷却手段たる冷却ファン27から発する風により冷却して、使用条件温度内で駆動するようになっている。冷却ファン27は、加熱制御手段17に取付けられた放熱器26の下方、又は側部に配置されている。
製品となる炊飯器の底部又は側部には、冷却ファン27から発して放熱器26により温かくなった風を外部へ排出する孔40が設けられている。加熱制御手段17は、製品内に収納されるが、内釜1に対してどの位置に配置してもよく、また孔40もどの位置に配置してもよい。しかし、近年製品の小型化設計が求められている背景もあり、加熱制御手段17や冷却ファン27と、風を排出する孔40とは、内釜1を挟んで略反対位置に配置される。
蓋体16の上面部前方には、表示操作ユニット28が設けられる。表示操作ユニット28は、時間や選択した炊飯コ−スを表示するLCD29や、現在の工程を表示するLED(図示せず)の他に、炊飯を開始させたり、炊飯コ−スを選択させたりするスイッチ(図示せず)を、蓋体16の内部に装備した基板32の上部に配置して構成される。
表示操作ユニット28の上方には、ボタン名を表示したりする為に操作パネル33が配置されている。この操作パネル33は、電子部品である上述のLCD29や、LEDや、スイッチや、基板32に、ほこりや水が付着することも防止している。
また操作パネル33にも、基板32上のスイッチとは別のスイッチによる操作手段が設けられており、LCD29の表示に合わせ、直接タッチ操作することが可能となっている。
本実施例では、表示操作ユニット28への操作により炊飯開始を指示すると、内釜1内の米に対する吸水を促進させるために、内釜温度センサー19による内釜1の底部の温度検知に基づいて、加熱コイル18とコードヒータ9で内釜1の底部と側面部をそれぞれ加熱し、約45〜60℃に水温を15〜20分間保持し浸し炊きを行なう。その後、加熱コイル18からの加熱量を増やして内釜1を強加熱し、内釜1内の被炊飯物を沸騰まで加熱する。この沸騰加熱時に、内釜温度センサー19や蓋温度センサー20からの検知温度に基づいて、内釜1の底部温度が90℃以上になり、蓋体16の温度が90℃以上で安定(温度上昇率検知)したら沸騰を検知し、加熱量を低減した沸騰継続加熱にする。この沸騰検知において、内釜温度センサー19と蓋温度センサー20とにより、内釜1の底部および蓋体16がいずれも90℃以上になったことを確認でき、完全に内釜1の内部が沸騰したことを精度よく検知可能になる。
また、内釜1の底部と蓋体16のいずれかが120℃以上の通常ではあり得ない温度になったら異常と判断し、炊飯加熱における加熱量を低減して、全ての動作を停止する切状態にするか、後述するむらしに移行するか、保温を行ない、異常加熱を防止する。また、内釜1の底部と蓋体16のいずれかが90℃以上になって所定時間経過(例えば5分)しているのに、それ以外の内釜1の底部と蓋体16のいずれかが90℃未満の低い温度の場合、内釜温度センサー19と蓋温度センサー20のいずれかが何らかの理由で温度検知精度が悪化している(汚れ、傾き、接触不良など)と判断し、炊飯加熱における加熱量を低減して、全ての動作を停止する切状態にするか、後述するむらしに移行するか、保温を行ない、異常加熱を防止する。
沸騰継続になると、蓋加熱手段21や内蓋リングヒータ24で蓋体16の特に内蓋41への加熱を開始する。蓋体16の加熱は、蓋体16の温度が100〜110℃になるように、蓋温度センサー20の検知温度により管理される。また、内釜1の底部が所定の温度上昇になったら炊き上げを検知し、むらしに以降する。むらし中は蓋体16の温度管理にて、内釜1の上部内面1Bへのつゆ付き防止し、内釜1の底部の温度は、ご飯が焦げない程度に高温を保持(98〜100℃)するように温度管理する。そして、15〜20分のむらしが終了したら、保温に移行する。
保温では、加熱コイル18にて内釜1の底部と側面下部を加熱しながら、蓋加熱手段21にて蓋体16の下面となる内蓋41をご飯の温度よりわずかに高く加熱し、さらに内釜1の側面をフランジヒータ12と内蓋リングヒータ24でご飯が乾燥せず、かつ、つゆが多量に付着しないように温度管理する。内釜1内のご飯は、70〜76℃に温度保持するが、保温時も2つのセンサーが相互に異常に高かったり、低かったりした場合は異常を検知し、異常加熱を防止する。以上の動作を、加熱制御手段17が行うように構成される。
上枠4の後方には、蓋体16と連結するヒンジ部34が設けられる。このヒンジ部34には、ねじりコイルバネ等で形成したヒンジバネ(図示せず)が収納される。蓋体16の前方上面には、蓋開ボタン35が露出状態で配設されており、この蓋開ボタン35を押すと、蓋体16と本体3との係合が解除され、ヒンジ部34を回動中心として蓋体16が自動的に開く構成となっている。
蓋体16は外観部品となる外蓋37と、外蓋37の下方を形成する外蓋カバー38から構成される。外蓋カバー38にはステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属製の放熱板39を設け、放熱板39には蓋加熱手段21を設けてある。蓋加熱手段21はコードヒータなどの電熱式ヒーターでも、電磁誘導加熱式でもよい。
放熱板39の外側には、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属製の内蓋41を設ける。蓋体16の下面を形成する内蓋41の外側には、内釜1と内蓋41の隙間を塞ぐシリコーンゴムやフッ素ゴムなどの弾性部材からなりシール部材となる蓋パッキン42が備えてあり、蓋パッキン42は内釜1の上面1Cに当接している。
内蓋41と蓋パッキン42はパッキンベース43で一体化され、これらの内蓋組立ユニット44が外蓋カバー38の内面に着脱可能に備えられる。
外蓋カバー38の後方には、ヒンジ部34に設けた孔34Aと対向するように、外蓋カバー38にも孔38Aが設けられる。ヒンジ部34に設けられたヒンジシャフト46は、これらの孔34A,38Aを連通することで、本体3と蓋体16とを開閉自在に軸支する。前述のヒンジバネは外蓋カバー38に引掛けられ、蓋体16を常時開方向へ付勢している。
蓋体16の回動中心となるヒンジシャフト46の略反対側には、蓋開ボタン35に連動するクランプ47が配置される。クランプ47はクランプシャフト48で外蓋カバー38に軸支され、クランプシャフト48を中心として回転自在に設けられる。図示しないが、上枠4のヒンジ部34と略反対側には、クランプ47と係合するクランプ受けが設けられる。
クランプ47はステンレス等の金属部品で形成し、本体3の内方に延出する係合部47AはほぼL字形状とする。そうすることで、クランプ47を合成樹脂で構成する場合と比べ、強度の強いクランプ受けとの係合を得ることができる。また炊飯器の正面から見て、クランプ47の中央から左右のほぼ均等位置に係合部47Aを設ける。蓋体16に設けたクランプ47は、クランプシャフト48を中心軸として回転し、本体3に設けたクランプ受けと係合する。このクランプ47とクランプ受けとの係合により、本体3と蓋体16は閉状態を保持している。クランプ受けはステンレス等の金属部品で形成する。そうすることで、クランプ受けを合成樹脂で構成する場合と比べ、強度の強いクランプ47との係合を得ることができる。反対に、蓋体16を開く場合には、蓋開ボタン35を押動操作してクランプ47を逆方向に回転させ、クランプ47とクランプ受けとの係合を解除する。
内蓋組立ユニット44には、内釜1の内圧力を調整する調圧部51が配設される。調圧部51は、調圧弁54と調圧弁ホルダー55と調圧弁カバー56とにより主に構成される。調圧弁54は、耐食性に優れた材料である程度の重量を有する部品であればよく、例えばオーステナイト系のステンレス球で構成される。
調圧弁54は、調圧弁ホルダー55で保持される。調圧弁ホルダー55には、調圧弁54の下方に位置して、内釜1の内部と蓋体16の外部とを連通する調圧孔57を設けてある。つまり、内釜1内の被炊飯物から発生する蒸気は、この調圧孔57を通過すると外気へ放出されることになる。調圧弁54は調圧孔57を塞ぐように保持されており、調圧孔57の開口面積と調圧弁54の重量により、内釜1内の圧力を調整することができる。
調圧弁ホルダー55で調圧弁54を保持し、それらの上方から調圧弁カバー56を被せる。調圧弁ホルダー55を内蓋41の孔41Aに差込み、内蓋41の下側に突出した調圧弁ホルダー55の取付け部を、調圧弁ホルダー支持部材58で保持することにより、内蓋41に装着された調圧部51を構成する。調圧弁カバー56は、調圧弁54の移動範囲を規制するためのもので、調圧孔57から放出する蒸気を蒸気口67に導く複数の孔56Bが設けられている。また内蓋41は、調圧弁ホルダー55と調圧弁カバー56とで挟持されるので、孔41Aは露出しない。
外蓋カバー38には、ソレノイド59を駆動源として可動する調圧フレーム60と調圧パッキン61がそれぞれ配設される。調圧パッキン61は、外蓋カバー38に設けた取付け孔62の内径に嵌合させるのに、凹字形状を成す取付け部63を設けてある。
調圧フレーム60は常時、調圧弁54を押して調圧孔57を開放する位置にあり、内釜1の内部を非加圧状態としている。この時の調圧フレーム60の位置を、第1のフレーム位置とする。こうすることで、蓋体16の開閉時は、内釜1内の負圧の影響を受けることなくスムーズな動作を得られる。なお、調圧フレーム60の調圧弁54を操作する突出した部分を調圧弁操作部64とし、調圧フレーム60の調圧弁操作部64の略反対側には、クランプ動作規制部65を設けておく。第1のフレーム位置では、クランプ47の回動を規制しない位置にクランプ動作規制部65が移動する。
炊飯を開始すると、調圧フレーム60は第1のフレーム位置から第2のフレーム位置へ移動する。この時、調圧フレーム60の調圧弁操作部64は調圧弁54から離れて、調圧弁54の押しを解除し、それにより調圧弁54は調圧孔57を閉塞する。また、調圧フレーム60のクランプ動作規制部65はクランプ47の下方に潜り込む。調圧フレーム60は下方に潜り込まなくても、クランプ47の動作を規制する位置や形状であれば構わない。こうすることで、第2のフレーム位置ではクランプ47の回動が規制され、蓋開ボタン35を押動操作しようとしても、クランプ47とクランプ受けとの係合がロックされるので、蓋体16が開かないようになる。
蓋体16の上面後方部には、炊飯時に内釜1内で発生した蒸気を機外へ排出する蒸気口67が設けられる。炊飯時に内釜1内の被炊飯物から発生する蒸気は、調圧孔57が開放した状態で内蓋41の調圧部51から排出され、蓋体16の内部で外蓋カバー38に設けられた蒸気通路68を通って、蒸気口67から機外へ排出する構成となっている。
蒸気口67は蓋体16から着脱可能に構成されており、シリコーンゴム等の弾性部材により形成された蒸気口パッキン69に挿入することで保持される。蒸気口パッキン69は外蓋37と外蓋カバー38により挟持されることで、外蓋37、外蓋カバー38、及び蒸気口67を密着させ、蓋体16内部への蒸気漏れも防止している。
次に、図2〜図20を併せて参照しながら、調圧部51の構成をより詳しく説明する。
調圧部51は、調圧用の調圧弁54と、調圧弁54を保持する調圧弁ホルダー55と、調圧弁54を覆うドーム状の調圧弁カバー56と、を備えて形成される。
調圧弁ホルダー55は、複数の部品を組み合わせた調圧弁ホルダー組立70として構成される。調圧弁ホルダー組立70は、第1ホルダー71と、第2ホルダー72と、減圧支持部材に相当する第1調圧パッキン73と、シール部材に相当する第2調圧パッキン74と、内釜1内からの圧力が第1調圧パッキン73に直接加わらないように、この第1調圧パッキン73の下方にあって、加圧支持部材に相当する弁支持体75と、第1調圧パッキン73の下面に弁支持体75が当接する方向に、弁支持体75を付勢する弾性体としての調圧弁バネ76と、による複数の部品で構成される。
弁支持体75には、内釜1内の加圧時にボール状の調圧弁54の下面に当接する連通孔75Aが設けられる。この連通孔75Aは、前述した調圧孔57の内蓋41より上部に位置する開口として、内釜1の内部と内蓋41の上部とを連通させる為のもので、連通孔75Aを通過する蒸気が、蒸気口67から外気へ放出されるようになっている。また、第1ホルダー71と第2ホルダー72には、互いを嵌合するための凸状の係合部71Aと凹状の被係合部72Aがそれぞれ設けられている。これらの第1ホルダー71と第2ホルダー72は、前記第1調圧パッキン73や弁支持体75などを保持する保持部材として、内蓋41に設けた孔41Aに装着される。
第1ホルダー71は全体がキャップ状に形成され、その中央部に貫通孔71Bを有し、貫通孔71Bの周辺部71Cと第2ホルダー72の上端部72Bとにより、リング状の第1調圧パッキン73の基部73Aを挟持するようになっている。また、第2ホルダー72は筒状で、その中段部には内蓋41の孔41A周辺の上面に当接するフランジ72Cが形成されると共に、フランジ72Cの下方には、リング状の第2調圧パッキン74を嵌合させる段部72Dが形成される。さらに、第2ホルダー72の内周側には、調圧バネ76の一端部を嵌め込むために、断面L字状の突片72Eが形成される。
調圧弁ホルダー組立70の組立に際しては、まず第2ホルダー72の段部72Dに第2調圧パッキン74を嵌め込み、第2ホルダー72の内周側に調圧バネ76を挟むようにして、弁支持体75を第2ホルダー72の上方から挿入する。次に、弁支持体75および第2ホルダー72の上端部72Bを覆うようにして、第1調圧パッキン73を弁支持体75に載置し、その状態から更に第1調圧パッキン73を挟むようにして、第1ホルダー71を上方から被せ、係合部71Aと被係合部72Aとを互いに嵌合させて、第2ホルダー72に第1ホルダー71を取り付ける。そして、図1に示すように、調圧弁ホルダー組立70を組立てた状態では、内釜1内部に第2ホルダー72の下面と弁支持体75の下面が直接対向し、これらの第2ホルダー72や弁支持体75の上側に配置された第1調圧パッキン73は、内釜1の内部から直接圧力を受けずに済む構造になっている。
このように組立てた調圧弁ホルダー組立70で、内蓋41の上面側に位置する調圧弁54を保持し、上方から調圧弁カバー56を被せることで、調圧部51を構成する。この時、調圧弁ホルダー組立70と調圧弁カバー56との嵌合は、調圧弁カバー56に設けられた凹状の段部56Aが、第2ホルダー72の凸部72Fを通過させ回転後に引き戻すことで、第2ホルダー72の凸部72Fの裏面で係止させている。この状態で、内釜1に対して反対側の内蓋41の上面側から、内蓋41の孔41Aに調圧弁ホルダー組立70を通し、内蓋41を通過した調圧弁ホルダー組立70の下部分で、調圧弁ホルダー支持部材58である第3ホルダー78で調圧弁ホルダー組立70を保持することで、第2調圧パッキン74と調圧弁カバー56を第2ホルダー72と内蓋41で挟持することができる(図5)。
第3ホルダー78の内側面には、回転方向に傾斜面を有する係合凸部78Aが形成され、調圧弁ホルダー組立70を構成する第2ホルダー72の下部外側面にも、同じく回転方向に傾斜面を有する係合凹部72Gが形成される。そして、第3ホルダー78の係合凸部78Aと第2ホルダー72の係合凹部72Gとを回転嵌合にて締結させることにより、第2調圧パッキン74を締め付けることができる。この第3ホルダー78は、約90度の回転で0.6mm前後の締め上げ量で設計することで、調圧部51の組立性とシール性能を両立させている(図6)。
弁支持体75の連通孔75Aの開口面積は、弁支持体75の下側に形成した脚部75Bの内側の、内釜1内から直接圧力を受ける面75Cの面積より小さくなっている。これにより、連通孔75Aの開口面積と調圧弁54との重量により、内釜1内の圧力を調整することができる。
第1調圧パッキン73および第2調圧パッキン74は、何れもシリコーンゴム等の弾性部材で構成する。これにより、特に後述する内釜1内の減圧時には、第1調圧パッキン73の弾性変形により、調圧弁54が当該第1調圧パッキン73に密着し、第1調圧パッキン73における開口部すなわち孔73Bのシール性が向上する。
調圧弁54を動かして蓋体16の密閉度即ち内釜1の内圧を調節するソレノイド59が、蓋体16内部に設けられている。図2に示すソレノイド59の非通電時には、その先端部となる調圧弁操作部64を進出位置に保持し、調圧弁54を連通孔75Aから退避して、内釜1内を非加圧状態にする一方、図3に示すソレノイド59の通電時には、調圧弁操作部64を退避させ、それにより調圧弁54を連通孔75Aに自重で転動させ、連通孔75Aを塞いで内釜1内に圧力を投入する加圧状態にする。
前記内蓋組立ユニット44には、その他に内釜1内の圧力が何らかの要因で設定値以上である異常圧力に昇圧すると開弁して、内釜1の内圧を下げる安全弁81が設けられる。調圧部51および安全弁81は、内蓋41を外蓋カバー38の下側に取り付けたときに、蒸気口67の入口側に臨んで設けられる。そして、内蓋41,蓋パッキン42,調圧部51および安全弁81は、内蓋組立ユニット44の外周に設けたパッキンベース43で一体化され、外蓋カバー38の内面に着脱可能に備えてある。
82は、蓋体16を本体3に閉じた状態で、内釜1内を通常の大気圧よりも低くするために設けた減圧手段である。この減圧手段82は、蓋体16の後部に設けた減圧駆動源としての減圧ポンプ83と、この減圧ポンプ83から内蓋41に設けた孔41Cに至る管状の経路85とにより構成される。また、蓋体16の内部には、経路85の基端部を開閉する開閉手段としての電磁弁86と、この電磁弁86を収容する弁収容体87が設けられる。弁収容体87には、前記内蓋41の孔41Cの周囲に向けて放熱板39から下方に突出した筒状の減圧パッキン(図示せず)が接続される。
内蓋41を含む内蓋組立ユニット44を蓋体16の下面に装着すると、放熱板39に取付けた減圧パッキンが弾性変形しながら内蓋41の上面に密閉当接し、これにより内蓋の孔41Cと減圧ポンプ83とを連通する経路85が形成される。また、内蓋組立ユニット44を装着した状態で蓋体16を閉じると、蓋パッキン42が内釜1に密着して、調圧弁54が連通孔75Aを塞いでいれば、密閉した内釜1と減圧ポンプ83との間が経路85により連通する。この状態から減圧ポンプ83を起動させると、電磁弁86ひいては経路85が開放して、内釜1内の空気が経路85および減圧ポンプ83を通って本体3の外部に排出され、密閉した内釜1内の圧力が低下する。また、内釜1内の圧力が大気圧よりも一定値下がった場合に、電磁弁86ひいては経路85を閉塞して、内釜1内を減圧状態に保っている。さらに、スローリークにより内釜1内の圧力が上昇した場合にも、同様に電磁弁86ひいては経路85を開放し、減圧ポンプ83を起動させて、内釜1内を大気圧よりも低い状態に維持している。
このような内釜1内が大気圧よりも低い状態では、弁支持体75を構成する脚部75Bの内側の空気が内釜1内に吸引され、それに伴い調圧弁54や、この調圧弁54を載置支持する弁支持体75が、調圧バネ76の付勢に抗して下降する。しかし、弁支持体75の連通孔75Aの上端が第1調圧パッキン73の孔73Bの上端よりも低い位置に移動すると、調圧弁54はそれまでの弁支持体75に代わって第1調圧パッキン73に載置され、当該第1調圧パッキン73の孔73Bを塞ぐので、内釜1内の密閉が確保され、減圧を継続して行なえる。
逆に炊飯時などにおいて、内釜1内を大気圧以上に加圧する時には、弁支持体75を構成する脚部75Bの内側が内釜1内から直接圧力を受けるため、調圧弁54の自重に抗して弁支持体75が上昇する。ここで、弁支持体75の連通孔75Aの上端が第1調圧パッキン73の孔73Bの上端よりも高い位置に移動すると、調圧弁54はそれまでの第1調圧パッキン73に代わって弁支持体75に載置され、連通孔75Aを塞ぐと共に、弁支持体75に載置している調圧弁54も、弁支持体75と同様に上昇する。そして、弁支持体75は上昇後、第1調圧パッキン73に当接し、それにより第1調圧パッキン73の孔73Bを通過しようとする蒸気などを遮断して、内釜1内の密閉を保持できる。
図8に示すように、前記調圧部51の下部は内蓋41の孔41Aを通過し、前述の調圧弁ホルダー支持部材58である第3ホルダー78で保持される。この内蓋41の孔41Aは、第2ホルダー72の段部72Dに嵌め込まれた第2調圧パッキン74の内径より内側に形成され、その形状は非円形形状にて形成されている。同様に第2ホルダー72の段部72Dより内側下部には、内蓋41の孔41Aと0.1〜0.2mmの隙間を設けて、同形状で挿入部72Hを形成している。このように、内蓋41の孔41Aに対して、調圧部51の下部に形成した挿入部72Hを非円形形状で嵌め合わせることにより、第3ホルダー78を回転させてその係合凸部78Aを第2ホルダー72の係合凹部72Gに締結する際に、内蓋41と調圧部51との回転ズレを防止することができる。
以上のように、本実施例の炊飯器は、被炊飯物を入れる有底筒状の内釜1と、内釜1を加熱する加熱手段としてのフランジヒータ12や加熱コイル18とを覆う本体3と、内釜1の上方開口部を覆う蓋体16と、を備え、本体3と蓋体16はヒンジ軸となるヒンジシャフト46で軸支され、このヒンジシャフト46を中心にして、蓋体16を本体3に対し開閉自在に設け、またヒンジシャフト46の略反対側には本体3と蓋体16との閉状態を保持する為の係合手段としてクランプ47が設けられ、蓋体16の内側に内釜1内の圧力を調整する調圧部51を有している。そして、調圧部51はシール部材となる第2調圧パッキン74を介して、内釜1に対して反対側である内蓋41の上面側から内蓋41に取付けられ、内蓋41を通過した部分で、調圧弁ホルダー支持部材58により回転方向で締結されている。
この場合、調圧部51を内蓋41の上面側から内蓋に差し込み、内蓋41を通過した調圧部51の下側部分に調圧弁ホルダー支持部材58を回転して締結するだけで、調圧部51が第2調圧パッキン74により内蓋41の上面に密着した状態で、内蓋41に取付け固定され、調圧部51の組立を容易にすることができる。また、内蓋41に対する調圧部51の組立時に、調圧部51を構成する調圧弁ホルダー55や調圧弁カバー56との嵌合部に加わる負荷を軽減して無くすことができるため、調圧部51の耐久性を向上させることができる。
また本実施例において、調圧部51の内蓋41を通過する部分となる挿入部72Hと、調圧部51が挿通する内蓋41の孔41Aは、何れも第2調圧パッキン74が介在する位置より内側で、非円形形状に形成される。
このように、内蓋41の孔41Aと、調圧部51の通過する部分となる挿入部72Hの形状を非円形形状とすることで、お互いの位置決めを確実に行なって、内蓋41と調圧部51との回転ズレを防止することが可能となる。また、第2調圧パッキン74よりも内側で、内蓋41と調圧部51との回り止めを形成することにより、調圧部51のコンパクト化を図ることができる。
次に、調圧弁ホルダー支持部材58に相当する第3ホルダー78のロック機構88について、図9をさらに参照して説明する。
これらの各図において、第2ホルダー72の最下面にはネジ孔89が設けてあり、調節部材としてのネジ90が止められている。この状態から前述のように、第2ホルダー72の段部72Dに第2調圧パッキン74を嵌め込み、第2ホルダー72の内周側に調圧バネ76を挟むようにして、弁支持体75を第2ホルダー72の上方から挿入する。次に、弁支持体75および第2ホルダー72の上端部72Bを覆うようにして、第1調圧パッキン73を弁支持体75に載置し、その状態から更に第1調圧パッキン73を挟むようにして、第1ホルダー71を上方から被せ、係合部71Aと被係合部72Aとを互いに嵌合させて、第2ホルダー72に第1ホルダー71を取り付け、調圧弁ホルダー組立70とする。
次に、調圧弁ホルダー組立70で調圧弁54を保持し、上方から調圧弁カバー56を被せることで、調圧部51を構成する。この時、調圧弁ホルダー組立70と調圧弁カバー56との嵌合は、調圧弁カバー56に設けられた凸状の段部56Aが、第2ホルダー72の溝部72Fを通過させ回転後に引き戻すことで、第2ホルダー72の溝部72Fの裏面で係止させている。この状態で、内蓋41の上面側から内蓋41の孔41Aに調圧弁ホルダー組立70を通し、第3ホルダー78で調圧弁ホルダー組立70を保持することで、第2調圧パッキン74と調圧弁カバー56を第2ホルダー72と内蓋41で挟持することができる。
第3ホルダー78の内側面には、回転方向に傾斜面を有する係合凸部78Aを有しており、同じく回転方向に傾斜面を有する第2ホルダー72の係合凹部72Gと回転嵌合にて締結させることで、第2調圧パッキン74を締め付けて押し潰すことができる。この第3ホルダー78は、約90度の回転で0.6mm前後の締め上げ量で設計することで、調圧部51の組立性とシール性能を両立させている。
第2ホルダー72に形成したネジ孔89の位置は、第2ホルダー72の係合凹部72Gに対して第3ホルダー78を指定した一定の角度まで回転させた後、第3ホルダー78の最下面すなわち内釜1側に設けられた貫通孔91と一致する位置に設けられており、第3ホルダー78の貫通孔91から図示しないビットを差し入れて、第2ホルダー72のネジ孔89に止められているネジ90を緩めることで、第3ホルダー78がネジ90に当接して、第3ホルダー78の逆方向への回転規制を行なうロック機構88を構成している。また、第3ホルダー78の貫通孔91は、ネジ90を緩めるビットが通過する貫通孔91Aと、緩めたネジ90の頭部が収納されるネジ頭収納部91Bにて構成されているため、第3ホルダー78が取付け方向とは逆の方向に回転しないように、ネジ90をある程度緩めても、ネジ90が外れることは無い。
また、図9に示すロック機構88は、第2ホルダー72のネジ孔89に螺合するネジ90を用いて構成されるため、分解時にも第3ホルダー78の回転規制を解除するように、ネジ90をネジ孔89に螺入するだけで、調圧弁51を内蓋41から用意に取り外すことができる。ネジ90は、特殊ネジを使用することで、使用者での分解を抑止することも可能である。
このように本実施例では、調圧弁ホルダー支持部材58に相当する第3ホルダー78が、調圧部51に対して一定の回転角度に締め回されて、調圧部51と内蓋41との間で第2調圧パッキン74を押し潰しており、そこから逆の方向に回転できなくなるように、調圧弁51に取付けられるネジ90と第3ホルダー78とによるロック機構88を設けている。
こうしたロック機構88を備えることで、調圧弁51に対する調圧弁ホルダー支持部材58の緩みを防止することができ、製品として耐久性と信頼性の向上を図ることができる。
図10〜図12は、上述したロック機構88の変形例を示したものである。また、共通の構造については極力説明を省略する。
内蓋41と調圧弁ホルダー支持部材58に相当する第3ホルダー78との間には、第3ホルダー78を回転嵌合による締結後に、第3ホルダー78の緩みや逆回転を防止する固定リングとしてのロックスペーサー95が配置されている。
リング部材としてのロックスペーサー95は、PPなどの合成樹脂により平板のリング形状に形成され、中央には内蓋41の孔41Aと同形状の孔95Aを有する。また、ロックスペーサー95の内釜1側に向かう下面には、第3ホルダー78の回転方向に傾斜面95Bを有して突出した弾性を有するロック片95Cが、所定の間隔で複数配置されている。傾斜面95Bの対面には、第3ホルダー78を回転嵌合する時に、ロック片95Cが撓むための空間95Dが設けられている。また、このロックスペーサー95と対峙する第3ホルダー78のフランジ面78Bには、前記ロック片95Cが嵌り込む凹部78Cが所定の間隔で複数設けられている。
調圧部51を内蓋41に取付ける際に、内蓋41の下面側で第3ホルダー78の係合凸部78Aを第2ホルダー72の係合凹部72Gと係合させて、第3ホルダー78を一定角度回転させることにより、第3ホルダー78のフランジ面78Bが、ロックスペーサー95のロック片95C先端を押し付けながら上昇し、ロック片95Cが第3ホルダー78の凹部78Cに達したところで、ロック片95Cが凹部78Cに入り込むことで、図9や図10で示したものと同様に、第3ホルダー78の逆方向への回転規制を行なうロック機構88’を構成している。
ロックスペーサー95に形成される孔95Aは、内蓋41の孔41Aや第2ホルダー72の挿入部72Hと同形の非円形形状を有しており、第2ホルダー72と内蓋41の回り止めと同様に、第2ホルダー72との回り止めを成している。また、第3ホルダー78を調圧部51に締結した状態では、ロックスペーサー95が内蓋41と第3ホルダー78で挟持されるため、ロックスペーサー95は外周部しか見えない構成としている。
第3ホルダー78のフランジ面78Bには、凹部78Cの下面に貫通孔78Dが設けられており、ここから図示しない工具を差し込んで全てのロック片95Cを押し下げることで、第3ホルダー78の分解を可能にしている。この分解作業は、通常の流通では行わないため、複数のロック片95Cを同時に押し下げることができる専用治具を用いて行なうようにすることで、使用者による分解を防止している。
そしてここでは、第2ホルダー72に事前にネジ止めを行なう必要もなく、第3ホルダー78を締め回すだけで、調圧部51と共にロックスペーサー95を内蓋41に組立てることができ、作業の効率化を図ることができる。また、外観からネジが見えなくなることにより、品位の向上も図ることができる。
なお、本実施例のロック機構88’は、図9で示したネジ止めによるロック機構88と共に組み込むことが可能である。図9には、調圧部51と調圧弁ホルダー支持部材58との間に備えた2つのロック機構88,88’を示しており、何れも調圧弁ホルダー支持部材58を一定の回転角度に締め回して、調圧部51と内蓋41との間で第2調圧パッキン74を押し潰した状態から、調圧弁ホルダー支持部材58が逆の方向に回転できなくなるような構成を備えている。
以上のように、ここでのロック機構88’は、PPなどの合成樹脂により形成された平板のリング形状部材に相当するロックスペーサー95に、ロック片95Cを配置して構成され、このロック片95Cは、調圧弁ホルダー支持部材58を取付ける側に、この調圧弁ホルダー支持部材58の回転方向のみに傾斜面95Bを有して突出形成される。
そのため、調圧弁51に対して調圧弁ホルダー支持部材58を一定の回転角度に締め回すだけで、突出したロック片95Cが調圧弁ホルダー支持部材58に自ずと係合して、調圧弁ホルダー支持部材58の逆の方向への回転を規制するため、調圧弁ホルダー支持部材58の取付けを容易にし、調圧弁51を内蓋41に取付ける際の作業性を向上することができる。
次に、調圧弁ホルダー支持部材58に設けられる目詰まり防止形状について、図13〜図17をさらに参照して詳しく説明する。
図13は、目詰まり防止形状の第1例を示すものである。前述のように、調圧部51の下部は内蓋41の孔41Aを通過し、調圧弁ホルダー支持部材58である第3ホルダー78で保持される。この第3ホルダー78の最下面78E(内釜1の内部空間に対向した面)には、被調理物である米や雑穀類の他、被調理物に含まれる具材などが、炊飯時の蒸気の排出に伴い流出しようとする場合がある。
第2ホルダー72は略筒状であり、その中心に設けた調圧孔57を蒸気が通過する構造である。第3ホルダー78の最下面78Eには、調圧孔57よりも小さな開口面積を有する複数の孔78Fが開いており、それにより調圧部51の閉塞を防止する目詰まり防止形状としてのフィルター形状97を形成している。このフィルター形状97を有する第3ホルダー78で、第2ホルダー72の下部を覆うように構成することで、内釜1内に収容した被調理物等が、炊飯時の蒸気の排出に伴い第2ホルダー72の調圧孔57を通して流出しようとしても、内蓋1の内部に対向するフィルター形状97で堰き止められて、蒸気だけが調圧孔57を通過して機外へ排出され、調圧孔57が塞がれてしまうことを防止している。
以上のように、本実施例の調圧弁ホルダー支持部材58には、調圧部51に形成される調圧孔57の閉塞を防止する目詰まり防止形状として、内蓋1の内部に対向する複数の孔78Fからなるフィルター形状97が形成されている。
これにより、炊飯時の蒸気の排出に伴い第2ホルダー72の調圧孔57を通して流出しようとしても、フィルター形状97により蒸気だけが調圧孔57を通過して機外へ排出される。そのため、調圧部51の閉塞を防いで、使用者に信頼性の高い製品を提供することができる。
図14は、目詰まり防止形状の第2例を示すものである。また、第1例と共通の構造については極力説明を省略する。
同図において、第3ホルダー78に設けられるフィルター形状97は、調圧孔57の底部開口に対向して、中央から外に向かって下降傾斜する内底部97Aを有して形成されている。また、フィルター形状97の側壁97Bや角部97Cには、蒸気や空気が通過するものの、被調理物は通過させない程度の調圧孔57よりも小さな開口面積を有する連通孔97Dを複数個形成している。第3ホルダー78の底部に形成されるフィルター形状97の内底部97Aには、その外周囲に側壁部97Bが直立して形成され、内底部97Aと側壁部97Bとの境界に角部97Cが形成される。
フィルター形状97は、炊飯終了時や保温時に連通孔97Dからフィルター形状97の内部に進入した蒸気が付着し水滴となる。その付着した水滴は、再び連通孔97Dを通って次第に内釜1内のご飯の上に落下を始める。この時、一点に集中して水滴が落下した場合、ご飯が局部的に水分過多となりふやける。しかし本例では、フィルター形状97の側壁97Bや角部97Cのみに連通孔97Dを複数個形成することで、ご飯の上に落下する水滴を分散させている。
また、炊飯開始直後の浸し工程において、減圧手段82により内釜1内を通常の大気圧よりも低くした場合に、内釜1内の気圧を大気圧に戻す必要がある。その場合、調圧部51の調圧孔57を通して内釜1内に一気に空気が流入し、内釜1内の水面に一直線に空気が当たる。その勢いは、水面下にある米にまで到達する。この時、水面下の米に流入した空気が到達することで、米が舞い上がり、内釜1の内壁面や内蓋41の下面に付着する。この状態で炊飯の加熱工程に移行すると、内釜1の内壁面や内蓋41の下面に付着した米は、十分な水分と熱が加わらない為、食には適さない。しかも、内釜1の内部で水面下の米も中央が凹んでしまう為、この状態で炊飯の加熱工程に移行すると、炊上がったご飯の中央は凹んでしまい、見栄えの悪い炊上りになってしまう。
再度、本例でのフィルター形状97について説明すると、中央から外に向かって下降傾斜した内底部97Aには蒸気や空気が通過する連通孔97Dを設けずに、側壁97Bや角部97Cにのみ連通孔97Dを複数個設けている。これにより、調圧部51の調圧孔57を通して連通孔97Dから内釜1内に流入する空気は四方へ放出し、その勢いも分散されるため、米が飛び散ったり、水面下の米が凹んでしまったりすることはない。
以上のように、本例での目詰まり防止形状となるフィルター形状97は、中央から外に向かって傾斜する底部としての内底部97Aと、内底部97Aの外周囲に形成される側壁部97B及び角部97Cとを有し、側壁部97B及び角部97Cにだけ調圧部51の調圧孔57に連通して、蒸気や空気が行き来する連通孔97Dを形成している。
この場合、フィルター形状97を工夫することで、フィルター形状97の内部に付着した蒸気が水滴となっても、連通孔97Dからご飯の上に水滴が分散して落下し、ご飯のふやけを防止することができる。また、調圧部51の調圧孔57を通して、連通孔97Dから内釜1内に流入する空気が、側壁97Bや角部97Cにのみ設けた連通孔97Dを通過する際に四方へ放出し、その勢いも分散されるため、炊上り時のご飯中央の凹みや米粒の飛散防止を図ることができる。
図15及び図16は、目詰まり防止形状の第3例を示すものである。また、第1例や第2例と共通の構造については極力説明を省略する。
これらの各図において、ここでのフィルター形状97は、第3ホルダー78から分離独立したフィルター部材となる調圧フィルター98で構成され、この調圧フィルター98は第3ホルダー78への着脱を自在としている。
調圧フィルター98は、PPなどの合成樹脂によりキャップ状に形成され、第3ホルダー78に回転嵌合にて取付けられる。内釜1の内部に対向する調圧フィルター98の最下面98Aには、下方に向けて延出したつまみ部98Bを有する。このつまみ部98Bは、調圧フィルター98の着脱の際に、指で摘んで使用する。フィルター形状97の特徴として、内底部97Aを中央から外に向かって傾斜する形状にすることや、側壁部97B及び角部97Cにだけ複数の連通孔97Dを設けることは、第2例と同様であり、ここでの説明は重複を避けるため省略する。
キャップ状をなす調圧フィルター98の開口側内周面には、ガイド凸部98Dが形成されている。このガイド凸部98Dは、内蓋41の下面側において、第3ホルダー78のフランジ面78Bから下方に突出する筒部78Gに、調圧フィルター98を被せた後に、その調圧フィルター98を矢印Sの方向に回転させると、筒部78Gの外周側面に形成したガイド凹部78Hに自ずと案内されるようになっており、ガイド部としてのガイド凸部98Dとガイド凹部78Hは、調圧フィルター98の回転取付け時のガイドと、調圧フィルター98の下方向のガタツキの防止を兼ねている。
また、調圧フィルター98を第3ホルダー78に取付ける際の回転完了を知らせるクリック感を付与するため、調圧フィルター98の開口側内周面には、ガイド凸部98Dの他に、突起状のビード部98Eが形成されている。このビード部98Eは、調圧フィルター98の回転取付け時に、第3ホルダー78の筒部78Gの外周側面に、ガイド凹部78Hとは別個に設けられた嵌合凸部78Iを乗り越えることで、クリック感を得ている。しかも、調圧フィルター98の回転方向Sに沿ったビード部98Eの左右は解放したスリット形状とし、それらのスリットの間にビード部98Eを有する弾性片98Fが形成されるため、ビード部98Eが嵌合凸部78Iを乗り越えたところで、ビード部98Eを設けた弾性片98Fの基部98Gが外側へ変形することで、より適切にクリック感を発生させることができる。
上記のように、調圧フィルター98を第3ホルダー78に取付ける際のガイド部となるガイド凸部98D及びガイド凹部78Hと、係合部となるビード部98E及び嵌合凸部78Iを別々に構成し、調圧フィルター98のガタツキを抑制する上下方向とは別の回転方向で、調圧フィルター98を第3ホルダー78に係合させることで、調圧フィルター98のガタツキを抑制する余り、第3ホルダー78との嵌合が強くなり、調圧フィルター98の着脱操作性を悪化させることを防止している。
以上のように、本例での目詰まり防止形状となるフィルター形状97は、調圧弁ホルダー支持部材58となる第3ホルダー78から着脱自在に構成されたフィルター部材としての調圧フィルター98で構成される。
この場合、フィルター形状97を構成する調圧フィルター98を、必要に応じて調圧弁ホルダー支持部材58に着脱できるため、調圧部51の清掃性の向上を図ることができる。
また、調圧フィルター98は回転嵌合で第3ホルダー78に取付けられ、その取付け方向である上下方向とは別な回転方向で第3ホルダー78に係合する係合部を、ビード部98E及び嵌合凸部78Iとして設けている。
これにより、調圧フィルター98のガタツキを抑制する方向に左右されることなく、調圧フィルター98を第3ホルダー78に適切なクリック感で係合させることが可能になり、調圧フィルター98の着脱操作性を改善することができる。
なお、調圧弁ホルダー支持部材58と調圧フィルター98との係合部は、上述したビード部98E及び嵌合凸部78Iに限定されず、例えば一方を凸状とし、他方を凹状にした係合部としてもよい。
図17は、前述の調圧フィルター98と、図10で示したロックスペーサー95との位置関係を示すものである。また、上述したものと共通の構造については極力説明を省略する。
調圧フィルター98の筒部78Gの外周側面には、調圧フィルター41を調圧弁ホルダー支持部材58へ取付ける際に、方向を指示する目印となる突起部98Hが設けてある。この突起部98Hを内蓋41の下面側に記された記号に合わせることで、調圧フィルター41を調圧弁ホルダー支持部材58へ容易に取付けることができる。突起部98Aは三角形状とし、外形が略円形状をなす調圧フィルター98の中心から見て、180度方向に2ヶ所あり、どちらの方向の突起部98Hに合せても、内蓋41側への取付けが可能となっている。
次に、調圧フィルター98を取付ける内蓋41側の構成を説明すると、第3ホルダー78と内蓋41との間には、前述のロックスペーサー95が配置されており、第3ホルダー78を調圧部51に取付けたときの緩みや分解を防止している。このロックスペーサー95には、部分的に外周側へ延出した延出部95Eが形成される。延出部95Eは、内蓋41の下面側で第3ホルダー78を一定角度回転して第2ホルダー72に嵌合させたときに、その表面が外部に露出する部位である。
延出部95Eの表面には、調圧フィルター98の取付け位置を示す例えば「△」の記号95Fと、回転嵌合の完了位置を指示する例えば「○」の記号95Gと、この2つの記号を繋ぎ、第3ホルダー78に対する調圧フィルター98の回転方向、即ちビード部98Eと嵌合凸部78Iとの係合/離脱方向を示す矢印の記号95Hをそれぞれ記している。これらの記号95F,95G,95Hは、調圧フィルター98を第3ホルダー78に回転して着脱する際に、突起部98Hに対向する部位、すなわち本実施例ではロックスペーサー95の延出部95Eに配設されるが、ロックスペーサー95にではなく例えば第3ホルダー78に同様の延出部を設けてもよいし、内蓋41の下面に設けてもよい。
また、調圧フィルター98の突起部95Hの三角形状と、取付け位置を示す「△」の記号95Fの形状とを一致させるのに対し、調圧フィルター98の突起部95Hの三角形状と、回転嵌合の完了位置を指示する「○」の記号95Gの形状とを異ならせることで、調圧フィルター98を第3ホルダー78に取付ける際に、どちらの記号95F,95Gが取付け位置であるのかを迷うことがない。これにより、最初に同じ形状である調圧フィルター98の突起部95Hと、ロックスペーサー95の延出部95Eに配設された記号95Fとを一致させるように、第3ホルダー78のフランジ面78Bから下方に突出する筒部78Gに、調圧フィルター98を迷いなく被せることができ、そこから突起部95Hが別な異なる形状の記号95Hに向かうように、調圧フィルター98を回転させることで、調圧フィルター98を第3ホルダー78へ確実に回転嵌合させることができる。
さらにここでは、延出部95Eを拡大して、取付け位置を示す「△」の記号95Fの近傍に、「つける」などの文言による表記部95Iを併記すると共に、回転嵌合の完了位置を指示する「○」の記号95Gの近傍に、「はずす」などの文言による表記部95Jを併記している。そのため、「△」の記号95Fや「○」の記号95Gが、どのような意味を持つのかを、文言による表記部95I,95Jを視認することで直感的に理解できる。
なお、記号95F,95G,95Hや表記部95I,95Jは、延出部95Eの表面を凸状または凹状にすることで、部品点数を増やすことなく形成される。またここでは、突起部95Hと調圧フィルター98の取付け位置を示す記号95Fを一致させ、回転嵌合の完了位置を指示する記号95Gを異ならせればよく、本例中の「△」や「○」に限定されない。表記部95I,95Jについても、「つける」,「はずす」以外の別な文言を用いて構わない。
以上のように、本例のフィルター部材となる調圧フィルター98には、調圧弁ホルダー支持部材58である第3ホルダー78への取付け時の方向を指示する目印として、例えば三角形状の突起部95Hが設けてある。また、突起部95Hに対向する部位には、調圧フィルター98の取付け位置と、固定位置である回転嵌合の完了位置にそれぞれ異なる記号95F,95Gを付してあり、調圧フィルター98の取付け位置に付した記号95Fは、突起部95Hと一致する形状に形成されるのに対し、調圧フィルター98の固定位置に付した記号95Gは、突起部95Hと異なる形状に形成される。
こうした突起部95Hと記号95F,95Gとの形状の組み合わせにより、調圧フィルター98の取付け位置と固定位置を明確に指示することができ、使用者が迷いなく調圧フィルター98を調圧弁ホルダー支持部材58に着脱させることが可能になる。
また本例では、取付け位置を示す「△」の記号95Fの近傍に、「つける」などの文言による表記部95Iを併記し、回転嵌合の完了位置を指示する「○」の記号95Gの近傍に、「はずす」などの文言による表記部95Jを併記している。そのため、調圧フィルター98の取付け位置と固定位置を、記号95F,95Gに併記される文言による表記部95I,95Jで、より明確に指示することができる。
次に、前述の調圧弁ホルダー55に対する調圧弁カバー56の取付け構造について、既に説明した図5と、図18〜図20を参照して説明する。
調圧弁カバー56は、調圧弁54を含む調圧弁ホルダー55の上部全体を覆うために、下面を開口したドーム状部56Cを有し、ドーム状部56Cの下部は、調圧弁ホルダー組立70となる調圧弁ホルダー55を取り囲んでいる。この調圧弁ホルダー55を構成する第2ホルダー72の外周には、前述の凸部72Fが配設される。ドーム状部56Cの下部内周には、前述した段部56Aの他に、調圧弁ホルダー55の上方から調圧弁カバー56を被せたときに、第2ホルダー72の凸部72Fが通過可能な縦溝56Dが、段部56Aと並んで配置される。
調圧弁ホルダー組立70に調圧弁54を保持した状態で、上方から調圧弁カバー56を被せることで、調圧部51が構成される。ここでは、先ず図5に示すように、調圧弁カバー56の縦溝56Dを第2ホルダー72の凸部72Fに合せた位置から、図18に示すように、第2ホルダー72の凸部72Fが調圧弁カバー56の縦溝56Dを通過して抜け出す位置まで、調圧弁54を載せた調圧弁ホルダー組立70の上方から調圧弁カバー56を差し込んだ後、図19に示すように、第2ホルダー72の凸部72Fが調圧弁カバー56の縦溝56Dに隣接する段部56Aに対向する位置にまで、調圧弁ホルダー組立70に対して調圧弁カバー56を回転させる。その回転後に、今度は調圧弁カバー56の段部56Aに第2ホルダー72の凸部72Fが突き当たる位置まで、調圧弁カバー56を差し込んだ方向とは逆に引き戻すことで、図20に示すように、凸部72Fの裏面に段部56Aの上面が係合し、調圧弁ホルダー組立70と調圧弁カバー56との嵌合固定がなされる。
そしてこの状態で、内釜1に対して反対側の内蓋41の上面側から、内蓋41の孔41Aに調圧弁ホルダー組立70を通し、内蓋41を通過した調圧弁ホルダー組立70の下部分で、調圧弁ホルダー支持部材58である第3ホルダー78で調圧弁ホルダー組立70を保持することで、第2調圧パッキン74と調圧弁カバー56を第2ホルダー72と内蓋41で挟持することができる。
なお本実施例では、第2ホルダー72に設けられた2個の凸部72Fの他に、第1ホルダー71にも同様に2個の凸部71Dが設けられ、これらの凸部71D,72Fに対応して、調圧弁ホルダー56に4個の段部56Aと縦溝56Dが設けられているが、これらの個数や形状などは、実施例中のものに限定されない。第1ホルダー71の凸部71Dも、上述した第2ホルダー72の凸部72Fと同様の手順で、調圧弁ホルダー56の段部56Aに係合する。
こうした調圧弁ホルダー55に対する調圧弁カバー56の組立方法では、第2ホルダー72の凸部72Fが調圧弁カバー56の段部56Aに嵌合するまで、嵌合部となる凸部72Fに掛る負荷が無く、無理な力が加わらない。そのため、無理な爪嵌合により爪部そのものにダメージを与えることも、また爪部に弾性を持たせることもなく、その爪部へのダメージを回避するために、補強部材を追加する必要もない。
以上のように、本実施例の調圧部51は、調圧弁54と、調圧弁54を保持する調圧弁ホルダー55と、調圧弁ホルダー55を上方から覆うように配置される調圧弁カバー56とにより構成され、調圧弁ホルダー55には嵌合部となる第2ホルダー72の凸部72Fが設けられ、調圧弁カバー56には受部となる段部56Aと縦溝56Dが並んで設けられている。そして、調圧弁カバー56を調圧弁ホルダー55に被せると、第2ホルダー72の凸部72Fが調圧弁カバー56の溝部となる縦溝56Dを通過し、そこから調圧弁ホルダー55に対して調圧弁カバー56を回転させて、第2ホルダー72の凸部72Fを調圧弁カバー56の段部56Aに向い合せた後に、調圧弁カバー56を被せた方向と逆に引き戻すと、第2ホルダー72の凸部72Fが調圧弁カバー56の段部56Aと嵌合する構成となっている。
そのため、調圧弁ホルダー55に調圧弁カバー56を組立てる際に、第2ホルダー72の凸部72Fに掛る負荷が無くなり、調圧部51としての耐久性の向上を図ることが可能になる。
次に、調圧弁51と共に内蓋組立ユニット44に設けた安全弁81の特徴を、図21と図22をさらに参照して説明する。
これらの各図において、内釜1内の圧力が設定値以上に上昇すると開弁する安全弁81は、内蓋41に形成した孔41Dの周辺に設けられ、この孔41Dの上面に配置される調圧弁カバー56に全て組み込まれ、ユニット化されている。
調圧弁カバー56には、孔41Dの上側に配置される筒部102が一体に形成され、この筒部102内に開閉保持手段104を設けて安全弁81が構成される。開閉保持手段104は、孔41Dに対向するキャップ部103と、このキャップ部103と共に上下動自在に取付けられる弁体としての開閉体107と、筒部102および開閉体107の間に介在する弾性部材108とを備えており、中空状の筒部102には、内蓋41の孔41Dひいては安全弁81の内部から、蒸気口67に連通する開放部111が開口形成されている。また、内蓋41の孔41Dをキャップ部103で常時塞ぐように、開閉保持手段104を構成する弾性部材108が、開閉体107を一方に付勢するようになっている。
因みに従来の安全弁は、内蓋41の下面から取付けられるベース部材や、内蓋41の孔41Dとの間を水密に封止する環状パッキンや、ベース部材の脱落を防止するロック部材を必要としていたが、本実施例のような構成にすることにより、これらの部材を廃止している。
つまり本実施例では、調圧弁カバー56を含む調圧部51を内蓋41に取付ける際に、内蓋41の下面側で調圧弁ホルダー支持部材58により回転方向で締結されるため、その締結時に調圧弁カバー56と一体にユニット化された安全弁81の筒部102下面が、内蓋41の上面に自ずと密着して、内蓋41に対する調圧部51の組立と安全弁の組立が同時に完了する。したがって、安全弁81の水密封止構造を簡素化することができ、部品点数を削減してコストの抑制を図ることが可能となる。また、予め調圧弁54を保持した調圧弁ホルダー55に、前述の手順で調圧弁カバー56を嵌合させて取付けておき、次いで開閉保持手段104の各部品を筒部102の内部に組み込んだ後に、内蓋41の上面側から第2調圧パッキン74を介して調圧部51を差し込んで、内蓋41を通過した調圧部51の下側部分に調圧弁ホルダー支持部材58を回転して締結するだけで、内蓋41に調圧部51と安全弁81を同時に水密状態で取付けることができる。
以上のように本実施例では、調圧弁ホルダー55に嵌合して取付けられる調圧弁カバー56には、調圧弁カバー56と一体の筒部102に開閉保持手段104を組み込んだ安全弁81の機構が、ユニット化して設けられている。これにより、内蓋41に対する調圧部51の組立と同時に、安全弁81の組立も完了し、部品点数を削減してコストの抑制を図ることが可能となる。
図21に示すように、調圧弁カバー56には、安全弁81の他に開閉弁121も一体に設けられており、これらをユニット化した調圧弁カバー組立とすることで、前組や外注先への組立が可能となり、内蓋組立ユニット44の作業効率を改善している。
図23〜図25をさらに参照して、開閉弁121の機能について説明すると、内蓋41には、調圧部51に対向する孔41Aや、安全弁81に対向する孔41Dとは別な開閉弁121用の孔41Eが設けられ、この孔41Eの上側に調圧弁カバー56と一体の筒部122が形成される。この筒部122の下部には、同じく筒状のスリーブ123が装着され、孔41Eに臨んで上下動する弁開閉手段124が、筒部122およびスリーブ123の内部に収容される。そしてこれらの筒部122と、スリーブ123と、弁開閉手段124とにより、内蓋41の上面側に装着される開閉弁121が構成される。したがって本実施例では、調圧部51および安全弁81の他に、開閉弁121が内蓋41に設けられる。
そして、予め調圧弁54を保持した調圧弁ホルダー55に、前述の手順で調圧弁カバー56を嵌合させて取付けておき、次いで調圧弁カバー56と一体の筒部102に、開閉保持手段104の各部品を組み込み、同じく調圧弁カバー56と一体の筒部122に、スリーブ123や弁開閉手段124の各部品を組み込んでおけば、内蓋41の上面側から第2調圧パッキン74を介して調圧部51を差し込んで、内蓋41を通過した調圧部51の下側部分に調圧弁ホルダー支持部材58を回転して締結するだけで、内蓋41に調圧部51と安全弁81だけでなく開閉弁121も同時に取付けることが可能になる。
弁開閉手段124は、孔41Eに対向するキャップ部125と、キャップ部125と共に上下動自在に取付けられる弁体としての開閉体126と、孔41Eを開ける方向、すなわち上方に開閉体126を付勢する付勢手段としての開閉弁バネ127とを備えており、開閉弁バネ127は、筒部122の内部でスリーブ123と開閉体126との間に配設される。また、開閉体126の上部に臨んで、接触若しくは所定の隙間を有した状態で、蓋体16側に可撓開閉パッキン131が配設される。可撓性開閉パッキン131は、外蓋カバー38に設けられた開閉用シャフト132の動作と連動するようになっている。
開閉用シャフト132と、ソレノイド59の可動部となるプランジャー133との間には、開閉フレーム134と開閉フレーム操作部135がそれぞれ配設される。開閉フレーム134を操作する開閉フレーム操作部135は、調圧弁操作部64と共に調圧フレーム60の中央部に一体化して設けられる。また、外蓋カバー38に設けられた腕片状の開閉フレーム134は、開閉フレーム操作部135に接するカム面134Aを有し、ソレノイド59への通断電によりプランジャー133ひいてはこれに連動する調圧フレーム60が動作し、調圧弁操作部64と共に開閉フレーム操作部135の水平方向の位置が変わることで、開閉フレーム134のカム面134Aを上下に移動させる構成となっている。
開閉フレーム134には、その一端となる開閉用シャフト操作部134Bから1、他端となる傾斜したカム面134Aから2の距離に軸134Cが形成されており、開閉用シャフト132を外蓋カバー38に取付ける開閉用シャフトカバー137と外蓋カバー38で開閉フレーム134を挟持しつつ、軸134Cを基点として、開閉用シャフト操作部134Bとカム面134Aが相反する方向に上下動作する構成となっている。また、支点となる軸134Cからカム面134Aまでの距離と、軸134Cから開閉用シャフト操作部134Bまでの距離の比率を、好ましくは2:1とすることで、開閉用シャフト操作部134Bから開閉弁121に作用する半分の力で、開閉フレーム操作部134のカム面134Aを移動させることができる。
開閉フレーム操作部135は、開閉フレーム134の他端側下面、すなわちカム面134Aに対向して位置しており、プランジャー133ひいてはこれに連動する調圧フレーム60の位置が移動するのに伴い、開閉用シャフト132の上面が接する開閉用シャフト操作部134Bの位置が変わることで、開閉用シャフト132ひいては開閉弁121が上下動するようになっている。
具体的には、図24に示すソレノイド59の非通電状態では、開閉弁121を構成する開閉弁バネ127の弾性力により、開閉体126が開閉用の孔41Eから離れて、開閉体126および開閉用シャフト132が押し上がるように、プランジャー133と共にフレーム59と一体の開閉フレーム操作部135が進出位置に移動する。これにより、開閉弁121が開弁して内蓋1の内部と機外が連通し、内釜1内の負圧が解除される。逆に、図25に示す調圧用ソレノイド5の通電状態では、開閉弁バネ127の弾性力に抗して、開閉フレーム134の開閉用シャフト操作部134Bが、開閉用シャフト132ひいては開閉弁121の開閉体126を押し下げ、それにより開閉体126の下部に装着されたキャップ部125が、内蓋41の孔41Eを閉塞するように、プランジャー133と共にフレーム59と一体の開閉フレーム操作部135が後退位置に移動する。よって、ソレノイド59の通電状態では、蒸気口67に連通する開閉用の孔41Eを開閉弁121が塞いで、内釜1内に圧力を投入できる状態になる。
以上のように本実施例では、調圧弁ホルダー55に嵌合して取付けられる調圧弁カバー56に、内釜1の内部の負圧を解除する開閉弁121の機構が、調圧弁カバー56と一体の筒部122にスリーブ123や弁開閉手段124を組み込んで、ユニット化して設けられる。
これにより、内蓋41に対する調圧部51の組立と同時に、開閉弁121の組立も完了し、内蓋組立ユニット44の作業性を向上して、コストの抑制を図ることができる。
また本実施例は、内釜1の内部を大気圧よりも低くする減圧手段82をさらに備えており、蓋体16の内側に設けられる内蓋41には、内釜1内の圧力を調整する調圧部51と、内釜1の内部の圧力を大気圧に戻す開閉弁121と、を備えた炊飯器において、特に調圧部51の調圧弁54を操作するための調圧操作体となる調圧弁操作部64と、その調圧弁操作部64と連動して、弾性手段となる開閉弁バネ127で常時付勢された開閉弁121を操作する開閉操作体となる開閉フレーム操作部135とを一体に設け、さらに開閉弁121の動作力に対して、開閉フレーム操作部135が移動する際の操作力が好ましくは半分に小さくなるように、開閉フレーム操作部135の水平な移動方向を開閉弁121の垂直な上下の動作方向に変換する変換機構を、開閉フレーム操作部135と開閉弁121の間に、軸134Cを中心に回動する開閉フレーム134として備えている。
この場合、調圧弁操作部64と開閉フレーム操作部135とを連動させる構成とすることで、調圧部51と開閉弁121を共通する1つの駆動源(ソレノイド59)で動作させることができ、コストの低減を図ることが可能となる。また、調圧部51を操作する調圧弁操作部64や、開閉弁121を操作する開閉フレーム操作部135の動きを、開閉フレーム134が別な方向に変換して開閉弁121を動かし、好ましくは軸134Cからカム面134Aまでの距離と、軸134Cから開閉用シャフト操作部134Bまでの距離の比率を2:1にして、開閉弁121を動作させる力に対して、開閉フレーム操作部135を移動させる力が半分に小さくなるような開閉フレーム134を組み込めば、共通する駆動源から調圧弁操作部64と開閉フレーム操作部135に力が分散しても、従来と同等の動作力を開閉弁121に与えることができ、開閉弁121の動作を安定化させることが可能になる。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。