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JP6773981B2 - 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物及びシール材 - Google Patents

室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物及びシール材 Download PDF

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JP6773981B2 JP2017115304A JP2017115304A JP6773981B2 JP 6773981 B2 JP6773981 B2 JP 6773981B2 JP 2017115304 A JP2017115304 A JP 2017115304A JP 2017115304 A JP2017115304 A JP 2017115304A JP 6773981 B2 JP6773981 B2 JP 6773981B2
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Description

本発明は、油面及びマグネシウム合金に対する接着性に優れ、自動車用オートマチックトランスミッションオイルに対する耐薬品性にも優れた硬化物を与えるオルガノポリシロキサン組成物に関する。
自動車のエンジン周辺のシールでは、従来コルク、有機ゴム、アスベストなどで作られた耐油性のガスケット、パッキング材が使用されているが、これらは在庫管理及び作業工程が煩雑であり、更にはそのシール性能にも信頼性がない。そのため、この種の用途には室温硬化型シリコーンゴム組成物の硬化物を利用したFIPG(Formed In Place Gaskets)方式が採用され、作業性、密閉性、耐熱性の面で高い評価が得られている。
従来の室温硬化型オルガノポリシロキサン組成物では、該組成物の硬化物の油面に対する接着性が十分でない。例えばエンジンブロック、オイルパンなどの成形、打ち抜き時に、マシン油、切削油、タービン油などがエンジンブロック、オイルパンなどに不可避的に付着する。また、上記室温硬化型オルガノポリシロキサン組成物がエンジンブロックに施工された後、完全に硬化する前の段階で、エンジンブロックにエンジンオイル等が注入されることもある。またトランスミッション(オートマチックトランスミッション(AT)、連続可変トランスミッション(CVT))では組付け検査後、該トランスミッションの表面がオイルで汚染されることがある。
このように、これらのオイルが、室温硬化型オルガノポリシロキサン組成物とエンジンブロックとの接着面に存在すると、シール材として機能する該組成物の硬化物の接着不良が発生する。この接着不良は、接着面を完全に洗浄することで、ある程度解決できるが、この洗浄にはかなりの時間を費やすため、従来通りエンジンを組み立てることが困難である。
油面に対する接着性がある程度改善された室温硬化型オルガノポリシロキサン組成物が、特開平5−098160号公報(特許文献1)、特開平8−176445号公報(特許文献2)、特開2010−037507号公報(特許文献3)、特許第5266788号公報(特許文献4)、特表2014−532091号公報(特許文献5)に開示されている。
また、近年、AZ−31、AZ−91等に代表されるマグネシウム合金は、軽量高強度、意匠、リサイクル可能という特徴から、携帯電話、パソコン等の情報電子機器、電装部品、自動車オイルパン、インテークマニホールド、ステアリングホイール等の輸送機器部材に多く用いられている。そのため、これらのマグネシウム合金に対して良好な自己接着能を有するマグネシウム合金接着用オルガノポリシロキサン組成物が必要とされている。
マグネシウム合金に対する自己接着能を有するオルガノポリシロキサン組成物が、特表2003−535152号公報(特許文献6)、特許第3818365号公報(特許文献7)、特許第4553110号公報(特許文献8)、特許第4553119号公報(特許文献9)、特許第4766248号公報(特許文献10)に開示されている。
上記特許文献1〜4に記載の組成物は油面接着性に優れるものの、マグネシウム合金に接着できないものであった。更にこれらはいずれも吸油性炭素粉末としてカーボンブラックを充填しているため、外観が黒色になり、色調が暗色系に限定され、シール部位からのオイル滲み、オイル漏れ等を確認することが困難なため、自動車のエンジン周辺のシール材として適用できない。特許文献5に記載の組成物は吸油性炭素粉末を充填していないため色調に自由度があり、油面接着性にも優れるが、マグネシウム合金には接着できない。
一方、特許文献6〜10に記載の組成物はマグネシウム合金に接着するものの、油面接着能を有しない。
更に自動車のエンジン周辺のシール材として用いられる室温硬化性シリコーンゴム組成物は、自動車用オイルに対する耐性を有することが必須である。油による該組成物の硬化物のゴム物性や接着性の低下は、シール部位からのオイル滲み、オイル漏れに繋がる。一般に、自動車用オイルには、極圧添加剤としてリン酸金属塩、亜リン酸金属塩等の酸性添加物が用いられており、その影響により該組成物の硬化物のゴム物性が劣化したり、密着性が低下したりする。そのため、該組成物には、酸性添加物の中和剤として通常、カルシウム、亜鉛、マグネシウム等の酸化物、水酸化物又は炭酸塩が添加されている。しかし、自動車用オイルは、ますます高性能化し、上記酸性添加物が増量されたり、前記の酸化物、水酸化物又は炭酸塩では中和できないイオウ又はモリブデン系化合物が添加されたり、省燃費化を目的として低粘度の基油が用いられたりしているため、前記中和剤を自動車用オイルに添加しただけでは、上記硬化物のゴム物性や接着性の低下を防止することはできない。
この解決策として、特開昭57−076055号公報(特許文献11)、特許第2568406号公報(特許文献12)、特公昭61−023942号公報(特許文献13)では塩基性充填剤の使用が開示されている。また、特許第5902574号公報(特許文献14)、特開2015−067647号公報(特許文献15)では特殊なシランカップリング剤の使用が開示されている。しかし、これらは耐薬品性に優れるものの、上述したマグネシウム合金に対して接着可能な硬化物を与える組成物ではなかった。
特開平5−098160号公報 特開平8−176445号公報 特開2010−037507号公報 特許第5266788号公報 特表2014−532091号公報 特表2003−535152号公報 特許第3818365号公報 特許第4553110号公報 特許第4553119号公報 特許第4766248号公報 特開昭57−076055号公報 特許第2568406号公報 特公昭61−023942号公報 特許第5902574号公報 特開2015−067647号公報
したがって、本発明は、従来の室温硬化型オルガノポリシロキサン組成物では成し得なかった、吸油性炭素粉末としてカーボンブラックを含有しなくても油面及びマグネシウム合金に対する接着性に優れ、オートマチックトランスミッションオイル、特に自動車用オートマチックトランスミッションオイルに対する耐薬品性にも優れた、色調に自由度があるシリコーンゴム硬化物を与えることのできるオルガノポリシロキサン組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、分子鎖両末端が加水分解性基で封鎖されたオルガノポリシロキサンを基油とし、充填剤として重質炭酸カルシウムを使用し、分子中に2個の窒素原子を有する特定分子構造の加水分解性シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物を配合することにより、吸油性炭素粉末としてカーボンブラック等の黒色充填剤を含有しなくても、油面及びマグネシウム合金に対する接着性に優れ、自動車用オートマチックトランスミッションオイルに対する耐薬品性にも優れた、色調に自由度がある(黒色あるいは黒色以外の任意の色調に彩色が可能な)シリコーンゴム硬化物を与える組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、油面及びマグネシウム合金に対する接着性に優れ、オートマチックトランスミッションオイル、特に自動車用オートマチックトランスミッションオイルに対する耐薬品性にも優れた硬化物を与えるオルガノポリシロキサン組成物及びシール材を提供する。
[1]
(A)ケイ素原子に結合した水酸基及び/又は加水分解性シリル基を分子鎖両末端に有し、25℃における粘度が20〜1,000,000mPa・sであるジオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)表面がパラフィンまたは脂肪酸で処理されていてもよい重質炭酸カルシウム:(A)成分100質量部に対して10〜300質量部
(C)(A)成分以外の、ケイ素原子に結合した加水分解性基を分子中に3個以上有する加水分解性シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物:(A)成分100質量部に対して0.1〜40質量部、並びに
(D)(A)成分及び(C)成分以外の、分子中に加水分解性基及び2個の窒素原子を有し、かつ、その内1個の窒素原子が炭素原子数5個以上の二価炭化水素基を介してケイ素原子に結合した加水分解性シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物:(A)成分100質量部に対して0.001〜10質量部
を含有し、かつ、カーボンブラックを含有しない油面接着用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
[2]
(A)ケイ素原子に結合した水酸基及び/又は加水分解性シリル基を分子鎖両末端に有し、25℃における粘度が20〜1,000,000mPa・sであるジオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)表面がパラフィンまたは脂肪酸で処理されていてもよい重質炭酸カルシウム:(A)成分100質量部に対して10〜300質量部、
(C)(A)成分以外の、ケイ素原子に結合した加水分解性基を分子中に3個以上有する加水分解性シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物:(A)成分100質量部に対して0.1〜40質量部、並びに
(D)(A)成分及び(C)成分以外の、分子中に加水分解性基及び2個の窒素原子を有し、かつ、その内1個の窒素原子が炭素原子数5個以上の二価炭化水素基を介してケイ素原子に結合した加水分解性シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物:(A)成分100質量部に対して0.001〜10質量部
を含有し、かつ、カーボンブラックを含有しないマグネシウム合金接着用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。

更に、(E)表面がシラン又はシロキサン系の処理剤で表面処理された酸化亜鉛を(A)成分100質量部に対して10〜200質量部を含有する[1]又は[2]に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。

(D)成分が、下記一般式(1)で示されるシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物である[1]〜[3]のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
(R’O)3-c3 cSi−Z1−NH−Z2−NH2 (1)
(式(1)中、cは、0〜2の整数であり、R’Oは加水分解性基であり、R3は置換又は非置換の一価炭化水素基であり、Z1は炭素原子数5個以上の非置換又は置換の二価炭化水素基であり、Z2は非置換又は置換の二価炭化水素基である。)

(D)成分の一般式(1)において、Z1がCd2d(dは5〜13の整数を示す)で表される二価炭化水素基である[]に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。

(D)成分が、下記一般式(2)で示されるシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物である[1]〜[]のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
(R’O)3-c3 cSi−C816−NH−C24−NH2 (2)
(式(2)中、cは、0〜2の整数であり、R’Oは加水分解性基であり、R3は置換又は非置換の一価炭化水素基である。)

[1]〜[]のいずれかに記載の室温硬化型オルガノポリシロキサン組成物を含む接着剤。

油面及びマグネシウム合金接着用である[]に記載の接着剤。

[1]〜[]のいずれかに記載の室温硬化型オルガノポリシロキサン組成物の硬化物からなるシール材。
10
自動車用である[]のシール材。
本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、油面及びマグネシウム合金に対する接着性に優れ、オートマチックトランスミッションオイル、特に自動車用オートマチックトランスミッションオイルに対する耐薬品性にも優れた、色調に自由度がある硬化物を与えるものである。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
[(A)成分]
(A)成分は、ケイ素原子に結合した水酸基(即ち、シラノール基)及び/又は加水分解性シリル基を分子鎖両末端に有するジオルガノポリシロキサンであり、本発明のオルガノポリシロキサン組成物の主剤(ベースポリマー)である。該ジオルガノポリシロキサンの分子構造は特に制限されるものでなく、直鎖状、分岐鎖状、分岐構造を有する直鎖状のいずれであってもよいが、好ましくは、主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰返しからなり、分子鎖両末端がケイ素原子に結合した水酸基(シラノール基)及び/又は加水分解性シリル基(例えば、ジオルガノヒドロキシシリル基及び/又は1〜3個の加水分解性基を含有するトリオルガノシリル基(ジオルガノアルコキシシリル基、オルガノジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基など))で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサンである。該直鎖状ジオルガノポリシロキサンは、分岐構造を少量有していてもよい。また、該ジオルガノポリシロキサンは分子鎖中(特には、分子鎖両末端のシラノール基及び/又は加水分解性シリル基と主鎖を構成するジオルガノシロキサン単位の繰返し構造との連結部等)にシルアルキレン構造(−SiRSi−)などを有するものであってもよい。前記Rは、炭素原子数1〜20、好ましくは2〜6の二価炭化水素基(例えば、直鎖状又は分岐状のアルキレン基等)である。また、炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、又はシアノ基で置換されているものであってもよい。
該(A)成分のジオルガノポリシロキサンは、25℃における粘度が20〜1,000,000mPa・s、好ましくは100〜300,000mPa・s、更に好ましくは1,000〜200,000mPa・s、特に10,000〜100,000mPa・sであるものがよい。ジオルガノポリシロキサンの粘度が上記下限値(20mPa・s)未満であると、硬化物に十分な機械的特性が得られない場合がある。また、ジオルガノポリシロキサンの粘度が上記上限値(1,000,000mPa・s)超では、作業性が低下するので、好ましくない。
なお、粘度は回転粘度計(例えば、BL型、BH型、BS型、コーンプレート型、レオメータ等)などによって測定した値である。
(A)成分のジオルガノポリシロキサンが有する加水分解性基としては、好ましくは、アルコキシ基又はアルコキシ置換アルコキシ基である。ジオルガノポリシロキサンの各末端に存在する水酸基(シラノール基)及び加水分解性基の数は特に限定されるものでない。好ましくは、末端に水酸基(シラノール基)を有する場合は、分子鎖の両末端に、ケイ素原子に結合する水酸基(即ち、ヒドロキシシリル基又はシラノール基)を一つずつ有するのがよい。また、加水分解性基として末端にアルコキシ基又はアルコキシ置換アルコキシ基を有する場合は、分子鎖の両末端に、ケイ素原子に結合するアルコキシ基(即ち、アルコキシシリル基)又はケイ素原子に結合するアルコキシ置換アルコキシ基(即ち、アルコキシアルコキシシリル基)を、2つ又は3つずつ有する(即ち、ジアルコキシオルガノシリル基又はビス(アルコキシアルコキシ)オルガノシリル基や、トリアルコキシシリル基又はトリス(アルコキシアルコキシ)シリル基として存在する)のがよい。
アルコキシ基としては、炭素原子数1〜10、特に炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基等が挙げられる。
アルコキシ置換アルコキシ基としては、全炭素原子数2〜10、特に全炭素原子数3又は4のアルコキシ置換アルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシメトキシ基が挙げられる。
特に、ジオルガノポリシロキサンの両末端に水酸基(シラノール基)、メトキシ基又はエトキシ基を有するのが好ましい。
水酸基及び加水分解性基以外の、ケイ素原子に結合する有機基としては、置換又は非置換の、炭素原子数1〜18、好ましくは炭素原子数1〜10の一価炭化水素基が挙げられる。該一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの基の炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子又はシアノ基で置換したもの、例えば、トリフルオロプロピル基、クロロプロピル基等のハロゲン化一価炭化水素基;β−シアノエチル基、γ−シアノプロピル基等のシアノアルキル基が例示される。中でもメチル基が好ましい。
上記(A)ジオルガノポリシロキサンとしては、特に下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006773981
上記式(3)中、Rは、互いに独立に、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びオクチル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基;メトキシメチル基、メトキシエチル基、及びエトキシメチル基等の炭素原子数2〜10のアルコキシアルキル基から選択される基である。好ましくは、Rは、水素原子、メチル基、又はエチル基である。Rは、互いに独立に、置換又は非置換の、炭素原子数1〜18、好ましくは炭素原子数1〜10の一価炭化水素基である。該一価炭化水素基としては、上述した水酸基及び加水分解性基以外の有機基が挙げられ、中でもメチル基であることが好ましい。aは0、1又は2である。特に、Rがアルキル基又はアルコキシアルキル基である場合は、aは0又は1であり、Rが水素原子である場合は、aは2であるのがよい。n(又は重合度)は、ジオルガノポリシロキサンの25℃における粘度が、20〜1,000,000mPa・s、好ましくは100〜300,000mPa・s、更に好ましくは1,000〜200,000mPa・s、特に10,000〜100,000mPa・sとなるような数であり、これらの粘度は、通常、nの値(又は重合度)が、約10〜3,000、好ましくは約40〜2,000、より好ましくは約150〜1,500、更に好ましくは約200〜1,000程度に相当するものである。なお、重合度(又は分子量)は、トルエン等を展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析によるポリスチレン換算の質量平均重合度(又は質量平均分子量)等として算出した値である。
上記式(3)中、Yは、互いに独立に、酸素原子、炭素原子数1〜20、好ましくは炭素原子数1〜6の非置換又は置換の二価炭化水素基、又は下記一般式(4)で示される基である。
Figure 0006773981
上記式(4)中、Rは上記式(3)の通りであり、Zは炭素原子数1〜20、好ましくは炭素原子数1〜6の、非置換又は置換の二価炭化水素基である。上記二価炭化水素基(Y又はZ)は直鎖状であっても分岐構造を有していてもよい(例えばメチルエチレン基)が、特にメチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基)、ヘキシレン基(ヘキサメチレン基)等の直鎖アルキレン基が好ましい。中でも、特にエチレン基が好ましい。
特に好ましくは、Yは酸素原子である。
上記(A)成分のジオルガノポリシロキサンは、従来公知の方法で製造することができる。該ジオルガノポリシロキサンは、1種単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。特に、分子鎖両末端にヒドロキシシリル基を有するジオルガノポリシロキサン(即ち、上記式(3)において両末端のRが水素原子であるジオルガノポリシロキサン)を(A)成分100質量部中に10〜100質量部となる量で含有することが好ましく、50〜100質量部となる量で含有することがさらに好ましい。
(A)成分は、本発明の組成物中、25〜75質量%、好ましくは30〜70質量%、より好ましくは35〜65質量%含有する。
[(B)成分]
(B)成分は表面がパラフィンまたは脂肪酸で処理されていてもよい重質炭酸カルシウムである。該(B)成分は、本組成物に良好な耐薬品性、特にオートマチックトランスミッションオイルに対する耐久性を得るために必須のものである。 (B)成分の重質炭酸カルシウムに使用される表面処理剤、すなわちパラフィン、脂肪酸は、特に制限はなく、公知のもの、市販されているものを用いることができる。例えば、パラフィンとしては、固体パラフィン、液体パラフィン等が挙げられ、脂肪酸としては、ラウリン酸、パルチミン酸、オレイン酸、ステアリン酸等が挙げられる。パラフィンまたは脂肪酸の使用量は特に制限はないが、処理前の(B)成分の質量に対して3.0質量%以下(通常、0.1〜3.0質量%)、特に0.2〜2.0質量%であることが好ましい。
(B)成分の配合量は(A)成分100質量部に対して10〜300質量部であり、30〜200質量部であることが好ましい。(B)成分の配合量は(A)成分100質量部に対して、10質量部未満であると薬品に対する耐久性が低下し、300質量部を超えると粘度が高くなり、作業性、吐出性が低下する。(B)成分は1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
[(C)成分]
(C)成分は、(A)成分以外の、ケイ素原子に結合した加水分解性基を分子中に3個以上有する、加水分解性シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物(即ち、残存加水分解性基を分子中に3個以上有するシロキサンオリゴマー等のシロキサン化合物)である。(C)成分は分子中に3個以上存在する加水分解性基が上記(A)成分中の末端シラノール基及び/又は加水分解性シリル基と加水分解・縮合反応して架橋構造を形成する架橋剤(硬化剤)として作用するものである。但し、本発明において、該(C)成分は上記(A)成分及び後述する(D)成分とは異なる化合物とする。特に、(C)成分は、分子中に2官能性のジオルガノシロキサン単位からなる繰返し構造(直鎖状ジオルガノシロキサン構造)を本質的に含有しないものである点において(A)成分と区別されるものである。また、(C)成分は、炭素原子数5個以上の二価炭化水素基を介してケイ素原子に結合した窒素原子を分子中に含有しないものである点において、後述する(D)成分とは明確に区別されるものである。
(C)成分の加水分解性シラン化合物又はその部分加水分解縮合物(即ち、残存加水分解性基を3個以上有するシロキサンオリゴマー等のシロキサン化合物)が有する加水分解性基としては、全炭素原子数1〜10である、アルコキシ基、アルコキシ置換アルコキシ基、アシロキシ基、アルケノキシ基、ケトオキシム基、アミノキシ基、及びアミド基が挙げられる。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基;アセトキシ基、オクタノイルオキシ基等のアシロキシ基;ビニロキシ基、イソプロペノキシ基、1−エチル−2−メチルビニルオキシ基等のアルケノキシ基;ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、メチルイソブチルケトオキシム基等のケトオキシム基;ジメチルアミノキシ基、ジエチルアミノキシ基等のアミノキシ基;N−メチルアセトアミド基、N−エチルアセトアミド基等のアミド基が挙げられる。
(C)成分の加水分解性シラン化合物又はその部分加水分解縮合物(即ち、残存加水分解性基を3個以上有するシロキサンオリゴマー等のシロキサン化合物)は、上記加水分解性基以外の、ケイ素原子に結合する有機基を有していてもよい。このような加水分解性基以外の、ケイ素原子に結合する有機基としては、置換又は非置換の、炭素原子数1〜18、好ましくは炭素原子数1〜10の一価炭化水素基が挙げられる。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの基の炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子又はシアノ基で置換したもの、例えば、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。中でも、置換又は非置換の一価炭化水素基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ビニル基、フェニル基が好ましい。
(C)成分のシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のアルコキシシラン;メチルトリス(ジメチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、エチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(メチルイソブチルケトオキシム)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン等のケトオキシムシラン;メチルトリ(メトキシメトキシ)シラン、エチルトリ(メトキシメトキシ)シラン、ビニルトリ(メトキシメトキシ)シラン、フェニルトリ(メトキシメトキシ)シラン、メチルトリ(エトキシメトキシ)シラン、エチルトリ(エトキシメトキシ)シラン、ビニルトリ(エトキシメトキシ)シラン、フェニルトリ(エトキシメトキシ)シラン、テトラ(メトキシメトキシ)シラン、テトラ(エトキシメトキシ)シラン等のアルコキシ置換アルコキシシラン;メチルトリス(N,N−ジエチルアミノキシ)シラン等のアミノキシシラン;メチルトリス(N−メチルアセトアミド)シラン、メチルトリス(N−ブチルアセトアミド)シラン、メチルトリス(N−シクロヘキシルアセトアミド)シラン等のアミドシラン;メチルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、フェニルトリイソプロペノキシシラン等のアルケノキシシラン;メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のアセトキシシランが挙げられる。
(C)成分として、上記シラン化合物の部分加水分解縮合物(シロキサン化合物)を用いてもよい。該シロキサン化合物の質量平均分子量(又は質量平均重合度)は特に制限されるものでないが、上記シラン化合物が2個〜100個、好ましくは2〜20個重合したオリゴマーであるのが好ましい。該シロキサン化合物は、複数の重合度を有するオリゴマーの混合物であってもよい。
(C)成分は、1種単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(C)成分の量は、(A)成分100質量部に対して0.1〜40質量部であり、好ましくは1〜20質量部である。(C)成分の量が上記下限値(0.1質量部)未満では、硬化性や保存性の低下を招くおそれがある。また、上記上限値(40質量部)を超えると、価格的に不利になるばかりか、硬化物の伸びが低下したり、耐久性の低下を招いたりするおそれがある。特に、(A)成分が、末端に水酸基を有するジオルガノポリシロキサンを含む場合は、(C)成分中の加水分解性基の個数が(A)成分中の水酸基の個数を上回るような量とすることが好ましい。
[(D)成分]
(D)成分は、(A)成分及び(C)成分以外の、分子中に加水分解性基及び2個の窒素原子を有し、かつ、その内1個の窒素原子が炭素原子数5個以上の二価炭化水素基を介してケイ素原子に結合した加水分解性シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物(シロキサンオリゴマー等のシロキサン化合物)である。なお、分子中に2個存在する窒素原子は、通常、ケイ素原子に結合した同一の1価有機基(置換一価炭化水素基)の途中又は末端に存在するものであって、その内、ケイ素原子により近い方の窒素原子が炭素原子数5個以上の二価炭化水素基を介してケイ素原子に結合しているものである。
(D)成分は、本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物(シリコーンゴム)が油面とマグネシウム合金とに対する優れた接着性及び耐薬品性を発現する上で重要な構成成分である。(D)成分は、分子中に2個存在する窒素原子同士が、非置換又は置換の二価炭化水素基(例えば、直鎖状又は分岐状のアルキレン基等)によって窒素原子間が連結されているものが好ましい。
さらに、上記(D)は、下記一般式(1)で示される加水分解性シラン化合物、とりわけ下記一般式(2)で示される加水分解性シラン化合物であると、より好ましい。
(R’O)3−c Si−Z−NH−Z−NH (1)
(R’O)3−c Si−C16−NH−C−NH (2)
上記式(1)及び(2)中、R’Oは、加水分解性基であり、全炭素原子数が1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4である、アルコキシ基、アルコキシ置換アルコキシ基、アシロキシ基、アルケノキシ基、ケトオキシム基、アミノキシ基及びアミド基が挙げられる。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基;メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基;アセトキシ基、オクタノイルオキシ基等のアシロキシ基;ビニロキシ基、アリロキシ基、プロペノキシ基、イソプロペノキシ基、1−エチル−2−メチルビニルオキシ基等のアルケノキシ基;ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、メチルイソブチルケトオキシム基等のケトオキシム基が挙げられる。中でも、アルコキシ基、ケトオキシム基が好ましく、更にアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基もしくはエトキシ基が好ましい。
上記式(1)及び(2)中、Rとしては、置換又は非置換の、炭素原子数1〜18、好ましくは炭素原子数1〜10、より好ましくは炭素原子数1〜6の一価炭化水素基が挙げられる。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの基の炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子又はシアノ基で置換したもの、例えば、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。中でも、置換又は非置換の一価炭化水素基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ビニル基、フェニル基が好ましい。尚、cは、0〜2の整数であり、中でも、0又は1が好ましい。
上記式(1)中、Zは、炭素原子数5個以上、特には炭素原子数5〜13の、非置換又は置換の二価炭化水素基である。上記二価炭化水素基は直鎖状であっても分岐構造を有していてもよいが、アルキレン基であることが好ましく、C2d(dは5〜13の整数を示す)で表される基が好ましく、特にペンチレン基(ペンタメチレン基)、ヘキシレン基(ヘキサメチレン基)、ヘプチレン基(ヘプタメチレン基)、オクチレン基(オクタメチレン基)、ノニレン基(ノナメチレン基)、デシレン基(デカメチレン基)、ウンデシレン基(ウンデカメチレン基)、ドデシレン基(ドデカメチレン基)、トリデシレン基(ドリデカメチレン基)等の直鎖アルキレン基が好ましい。中でも、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基が好ましい。
上記式(1)中、Zは、炭素原子数1〜20、好ましくは炭素原子数1〜6、より好ましくは炭素原子数2〜4の、非置換又は置換の二価炭化水素基である。上記二価炭化水素基は直鎖状であっても分岐構造を有していてもよいが、アルキレン基であることが好ましく、特にメチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基)、ヘキシレン基(ヘキサメチレン基)が好ましい。中でも、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基)が好ましい。
(D)成分の量は、(A)成分100質量部に対して0.001〜10質量部であり、好ましくは0.01〜7質量部であり、さらに好ましくは0.05〜5質量部であり、最も好ましくは0.2〜2質量部である。(D)成分の量が上記下限値(0.001質量部)未満であると、所望の接着性が得られない。また、(C)成分の量が上記上限値(10質量部)を超えると、価格的に不利になるばかりか、組成物の伸びの低下、耐水性の低下又は耐久性の低下を招くおそれがある。
(D)成分のシラン化合物として、上記式(1)で表されるものとしては、例えば、
N−2−(アミノエチル)−5−アミノペンチルトリメトキシシラン、
N−2−(アミノエチル)−6−アミノヘキシルトリメトキシシラン、
N−2−(アミノエチル)−7−アミノヘプチルトリメトキシシラン、
N−2−(アミノエチル)−8−アミノオクチルトリメトキシシラン、
N−2−(アミノエチル)−9−アミノノニルトリメトキシシラン、
N−2−(アミノエチル)−10−アミノデシルトリメトキシシラン、
N−2−(アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、
N−2−(アミノエチル)−12−アミノドデシルトリメトキシシラン、
N−2−(アミノエチル)−13−アミノトリデシルトリメトキシシラン、
N−2−(アミノプロピル)−8−アミノオクチルトリメトキシシラン、
N−2−(アミノブチル)−8−アミノオクチルトリメトキシシラン、及び、これらのシラン化合物において、全部又は一部のメトキシ基がエトキシ基で置換されたものなどが挙げられる。
[(E)成分]
(E)成分は表面がシラン又はシロキサン系の処理剤にて処理された酸化亜鉛であり、本発明の組成物に必要に応じて配合される任意成分である。(E)成分の表面がシラン又はシロキサン系の処理剤にて処理された酸化亜鉛を添加することにより、本発明の組成物に更に良好なマグネシウム接着性と耐薬品性、特にオートマチックトランスミッションオイルに対する良好な耐久物性を付与できる。シラン、シロキサン系の表面処理剤としては、ポリジメチルシロキサン類、環状シロキサン類、アルコキシシラン類等が挙げられる。その中でも特にポリジメチルシロキサン類、より好ましくは両末端メチル基封鎖ポリジメチルシロキサンを表面処理剤として用いることが好ましい。表面処理で用いられる該表面処理剤の量は、酸化亜鉛100質量部に対して0.1〜5質量部であり、0.3〜3質量部であることが好ましい。なお、上記酸化亜鉛の表面処理は、公知の方法によって行うことができる。
(E)成分を配合する場合、その配合量は、(A)成分100質量部に対して10〜200質量部であり、30〜150質量部であることが好ましい。該配合量が(A)成分100質量部に対して、10質量部未満であると、マグネシウム合金に対する良好な接着が得られない場合がある他、薬品に対する耐久物性も低下する場合があり、200質量部を超えると、組成物の粘度が高くなり、作業性、吐出性が低下する場合がある。
[(F)成分]
本発明の組成物には、(F)成分として、必要に応じて硬化触媒が添加される。この硬化触媒としては縮合触媒が好ましく、例えば室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化促進剤として従来から一般的に使用されている縮合触媒、例えばジブチルスズメトキサイド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジオクテート、ジオクチルスズジネオデカノエート、ジメチルスズジメトキサイド、ジメチルスズジアセテート等の有機スズ化合物;テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、ジメトキシチタンジアセチルアセトナート等の有機チタン化合物;ヘキシルアミン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン等のアミン化合物やこれらの塩などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(F)成分を配合する場合には、その配合量は、(A)成分100質量部に対して0.001〜20質量部であり、好ましくは0.005〜5質量部、さらに好ましくは0.01〜2質量部である。(F)成分の配合量が上記下限値(0.001質量部)未満であると、触媒効果が得られない場合があり、また、(F)成分の量が上記上限値(20質量部)を超えると、価格的に不利になるばかりか、組成物の耐久性が低下する場合、あるいは接着性が低下する場合がある。
[その他の成分]
また、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、上記(A)〜(F)成分以外に、樹脂組成物用に一般に知られている添加剤を任意成分としてさらに含有することができる。該添加剤としては、乾式法シリカ(煙霧質シリカなど)、湿式法シリカ(沈降シリカなど)、石英微粉末、ケイソウ土粉末、水酸化アルミニウム粉末、微粒子状アルミナ、マグネシア粉末、及びこれらをシラン類、シラザン類、低重合度ポリシロキサン類等で表面処理した微粉末状の無機質充填剤;顔料、染料、蛍光増白剤等の着色剤;抗菌剤、;防カビ剤、;可塑剤等が挙げられる。
本発明の組成物は、上記(A)〜(D)成分、任意に(E)成分、(F)成分、その他の成分を混合、好ましくは乾燥雰囲気(実質的に湿分の不存在)下において均一に混合することにより製造でき、吸油性炭素粉末としてカーボンブラックを含有しないものである。本明細書において、カーボンブラックとは、工業的に製造されるアセチレンブランクやファーネスブラック等の黒色炭素微粉末のことをいう。
本発明の組成物は、吸油性炭素粉末としてカーボンブラックを含有しなくても、油面及びマグネシウム合金に対する接着性に優れ、自動車用オートマチックトランスミッションオイルに対する耐薬品性にも優れた、色調に自由度があるシリコーンゴム硬化物を与える組成物を得ることができるものである。
本発明の組成物は、室温・大気中で塗布や成形することにより大気中の湿気により硬化するものであり、その硬化条件等は、通常市販されている室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物と同様でよい。
本発明の接着剤は、本発明の組成物を配合して製造される。本発明の接着剤は、自動車等のシール材として好適である。
本発明のシール材は、本発明の組成物を硬化して製造される。本発明のシール材は、(乗用車、オートバイを含む)自動車、飛行機、船舶、などのエンジン周辺のシール材として好適である。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例中の粘度は25℃での測定値を示したものである。
[実施例1〜6、比較例1〜2]
表1に示す配合(質量部)で下記方法により調製して、実施例1〜6及び比較例1〜2の組成物を得た。また、得られた組成物について、下記方法で諸特性を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例1]
25℃における粘度が20,000mPa・sの分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたポリジメチルシロキサン100質量部に、表面が処理されていない重質炭酸カルシウム60質量部と、表面がパラフィンで処理された重質炭酸カルシウム40質量部と、表面がジメチルジクロロシランで処理されたBET比表面積;120m/gの煙霧質シリカ8質量部とを均一になるまで分散混合したのち、ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン7質量部、N−2−(アミノエチル)−8−アミノオクチルトリメトキシシラン1質量部、ジオクチルスズジネオデカノエート0.05質量部を加え減圧下で完全に混合してサンプル1を得た。
[実施例2]
実施例1の表面が処理されていない重質炭酸カルシウムの代わりに表面が両末端トリメチルシロキシ基封鎖直鎖状ジメチルポリシロキサンで処理された酸化亜鉛60質量部を添加した以外は、実施例1と同様の条件にて調製し、サンプル2を得た。
[実施例3]
実施例1のN−2−(アミノエチル)−8−アミノオクチルトリメトキシシランの代わりにN−2−(アミノエチル)−5−アミノペンチルトリメトキシシラン1質量部を添加した以外は、実施例1と同様の条件にて調製し、サンプル3を得た。
[実施例4]
実施例1のN−2−(アミノエチル)−8−アミノオクチルトリメトキシシランの代わりにN−2−(アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン1質量部を添加した以外は、実施例1と同様の条件にて調製し、サンプル4を得た。
[実施例5]
実施例1において、ジオクチスズジネオデカノエート0.05質量部を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の条件にて調製し、サンプル5を得た。
[実施例6]
実施例1において、表面がジメチルジクロロシランで処理されたBET比表面積;120m/gの煙霧質シリカ8質量部を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の条件にて調製し、サンプル6を得た。
[比較例1]
実施例1のN−2−(アミノエチル)−8−アミノオクチルトリメトキシシランの代わりにN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン1質量部を添加した以外は、実施例1と同様の条件にて調製し、サンプル7を得た。
[比較例2]
実施例1のN−2−(アミノエチル)−8−アミノオクチルトリメトキシシランの代わりに3−アミノプロピルトリメトキシシラン1質量部を添加した以外は同様の条件にて調製し、サンプル8を得た。
[評価]
油面接着性を評価するために、トルエンにて洗浄したアルミニウム片(幅25mm、長さ100mm)上にエンジンオイルを5〜7g/mとなるように塗布した後、この上に、上記実施例及び比較例で得られたサンプル(室温硬化型オルガノポリシロキサン組成物)を面積2.5mm、厚さ1mmとなるように塗布し、その上にオートマチックトランスミッションオイルを5〜7g/mとなるように塗布したアルミニウム片(幅25mm、長さ100mm)を被せ、23℃、50%RHで4日間養生して油面剪断接着試験片を作製した。
更に、マグネシウム合金接着性を評価するために、幅25mm、長さ100mmのマグネシウム合金板(AZ−91D)に、上記実施例及び比較例で得られたサンプル(室温硬化型オルガノポリシロキサン組成物)を面積2.5mm、厚さ1mmとなるように塗布し、その上に上記と同じマグネシウム合金板を被せ、23℃、50%RHで4日間養生して剪断接着試験片を作製した。
なお、これら各油面剪断接着試験片及び各剪断接着試験片のそれぞれにおいて、オルガノポリシロキサン組成物の硬化物(シリコーンゴム硬化物)の外観は白色ないし白色様のシリコーンゴム硬化物であった。これらの油面剪断接着試験片及び剪断接着試験片を用いて、JIS K6850に準じて剪断接着力(MPa)と凝集破壊率(%)を決定した。
また、耐薬品性を評価するために、耐オートマチックトランスミッションオイル試験を行った。サンプル1〜8について、2mm厚のシート(幅150mm、長さ150mm)を成型し、23℃、50%RH×5日間養生後、JIS K 6249に規定する方法に準じて硬さ(初期値)を測定した。その後、該シートをオートマチックトランスミッションオイルに120℃で10日間浸漬した後、上記と同様に硬さを測定し、下記式に基づいて硬さ変化を算出した。その結果を表1に示す。
硬さ変化 = 浸漬した後の硬さの測定値 − 硬さの初期値
Figure 0006773981
上記の結果から、本発明の室温硬化型オルガノポリシロキサン組成物である実施例1〜4のサンプル1〜6は、油面接着性及びマグネシウム合金接着性に優れ、且つオートマチックトランスミッションオイルに曝されても硬さ変化が少ない、つまり耐薬品性に優れることが分かった。一方で、本発明の範囲外の組成物である比較例1〜2のサンプル7〜8では、油面接着性、マグネシウム合金接着性の両方が悪く、更にオートマチックトランスミッションオイルに曝されると硬さ変化が大きく、耐薬品性も悪いことが分かった。

Claims (10)

  1. (A)ケイ素原子に結合した水酸基及び/又は加水分解性シリル基を分子鎖両末端に有し、25℃における粘度が20〜1,000,000mPa・sであるジオルガノポリシロキサン:100質量部、
    (B)表面がパラフィンまたは脂肪酸で処理されていてもよい重質炭酸カルシウム:(A)成分100質量部に対して10〜300質量部、
    (C)(A)成分以外の、ケイ素原子に結合した加水分解性基を分子中に3個以上有する加水分解性シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物:(A)成分100質量部に対して0.1〜40質量部、並びに
    (D)(A)成分及び(C)成分以外の、分子中に加水分解性基及び2個の窒素原子を有し、かつ、その内1個の窒素原子が炭素原子数5個以上の二価炭化水素基を介してケイ素原子に結合した加水分解性シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物:(A)成分100質量部に対して0.001〜10質量部
    を含有し、かつ、カーボンブラックを含有しない油面接着用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
  2. (A)ケイ素原子に結合した水酸基及び/又は加水分解性シリル基を分子鎖両末端に有し、25℃における粘度が20〜1,000,000mPa・sであるジオルガノポリシロキサン:100質量部、
    (B)表面がパラフィンまたは脂肪酸で処理されていてもよい重質炭酸カルシウム:(A)成分100質量部に対して10〜300質量部、
    (C)(A)成分以外の、ケイ素原子に結合した加水分解性基を分子中に3個以上有する加水分解性シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物:(A)成分100質量部に対して0.1〜40質量部、並びに
    (D)(A)成分及び(C)成分以外の、分子中に加水分解性基及び2個の窒素原子を有し、かつ、その内1個の窒素原子が炭素原子数5個以上の二価炭化水素基を介してケイ素原子に結合した加水分解性シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物:(A)成分100質量部に対して0.001〜10質量部
    を含有し、かつ、カーボンブラックを含有しないマグネシウム合金接着用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
  3. 更に、(E)表面がシラン又はシロキサン系の処理剤で表面処理された酸化亜鉛を(A)成分100質量部に対して10〜200質量部を含有する請求項1又は2に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
  4. (D)成分が、下記一般式(1)で示されるシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
    (R’O)3-c3 cSi−Z1−NH−Z2−NH2 (1)
    (式(1)中、cは、0〜2の整数であり、R’Oは加水分解性基であり、R3は置換又は非置換の一価炭化水素基であり、Z1は炭素原子数5個以上の非置換又は置換の二価炭化水素基であり、Z2は非置換又は置換の二価炭化水素基である。)
  5. (D)成分の一般式(1)において、Z1がCd2d(dは5〜13の整数を示す)で表される二価炭化水素基である請求項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
  6. (D)成分が、下記一般式(2)で示されるシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物である請求項1〜のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
    (R’O)3-c3 cSi−C816−NH−C24−NH2 (2)
    (式(2)中、cは、0〜2の整数であり、R’Oは加水分解性基であり、R3は置換又は非置換の一価炭化水素基である。)
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の室温硬化型オルガノポリシロキサン組成物を含む接着剤。
  8. 油面及びマグネシウム合金接着用である請求項に記載の接着剤。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の室温硬化型オルガノポリシロキサン組成物の硬化物からなるシール材。
  10. 自動車用である請求項に記載のシール材。
JP2017115304A 2017-06-12 2017-06-12 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物及びシール材 Active JP6773981B2 (ja)

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