実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る空気調和機1の設置環境について説明する。図1は、本実施の形態1に係る空気調和機1の設置環境の一例を示す概略図である。
なお、図1を含む以下の図面では、空気調和機1の冷媒回路、並びに、例えば、圧縮機、放熱器として機能する熱交換器、蒸発器として機能する熱交換器、減圧装置、冷媒流路切替装置、及び油分離器等の冷媒回路を構成する他の構成要素については図示していない。また、以下の図面では各構成部材の寸法の関係及び形状が、実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面では、同一又は類似の部材又は部分には、同一の符号を付すか、又は、符号を付すことを省略している。
図1に示される物件5のように、AC200V又はAC400Vの商用の三相交流電源等の商用交流電源が、直流給電装置等において直流電源2に変換され、物件5の内部の各種機器に直流電力が供給される空気調和機1の設置環境が存在する。このような物件5としては、例えば、多数の電算機を有する電算機室等の永続的な電源供給が必要な設置環境が挙げられる。特に、物件5が多数のサーバシステムを有するデータセンタ等である場合、永続的な電源供給を実現するために、無停電電源装置等の直流電源2にて直流電力に変換される。したがって、物件5は、直流電源2からサーバシステム等の物件5の内部の機器に直流電力が供給されるように構成される。ここで、無停電電源装置は、直流給電装置の一例であり、UPSと略称される場合がある。
一方、空気調和機1には、交流電圧の周波数制御により駆動が制御されるアクチュエータがあるため、現状、空気調和機1には、多くの場合、交流電力の供給源が設けられている。物件5のような空気調和機1の設置環境下においては、交流電力の供給源として、直流電源2から供給される直流電力を交流電力に変換する電力変換装置が配置される。
空気調和機1に電力変換装置を配置した場合、直流電力から交流電力に変換する際に電力損失が発生するため、物件5において、空気調和機1を商用交流電源に直接接続して電力供給する構成とすることも考えられる。しかしながら、直流電源2と商用交流電源とを接続する接続線とは別途に、商用交流電源の引き込み線を設置する必要があり、特別な現地作業が必要となり設置費用がかかるため、現実的ではない。したがって、図1に示すように、直流電源2から電力が供給される物件5においては、サーバシステム以外の機器、例えば、図1で言えば、空気調和機1、照明3等の機器にも直流電源2から電力が供給されるのが一般的である。
データセンタ等の物件5で用いられる空気調和機1は、室内機10と室外機20とを備えるセパレート型の業務用空調設備として構成される。室内機10及び室外機20は、物件5に設置された冷媒配管を介して接続される。また、空気調和機1は、室内機10と室外機20との間に接続され、室外機20から室内機10に電力を供給することが可能な給電線を含む接続ケーブル1aを備える。なお、接続ケーブル1aは、室内機10と室外機20との間で制御情報等の有線通信を行うための通信線を含むように構成してもよい。物件5がデータセンタである場合、室内機10及び室外機20は双方とも、例えば、床置型の機器として構成できる。また、空気調和機1は、物件5の規模に応じて、複数の室内機10と、複数の室外機20とを備える構成にできる。
空気調和機1は、室内機10と室外機20との間に給電線を含む接続ケーブル1aが接続されることにより、室内機10に供給される直流電力に異常があった場合に、室外機20から電力が供給可能な構成にできる。当該構成について、図2を用いて説明する。
図2は、本実施の形態1に係る空気調和機1の運転制御装置8の構成の一部を概略的に例示したブロック図である。空気調和機1は、空気調和機1の運転を制御する複数の運転制御装置8を備える構成にできる。例えば、複数の運転制御装置8は、室内機10の運転を制御する第1運転制御装置30と、室外機20の運転を制御する第2運転制御装置40とを備える構成にできる。
室内機10の第1運転制御装置30は、直流電源2から供給された直流電力を、室内機10の駆動に用いられる直流電力に変換する複数の直流電力変換器12を有している。複数の直流電力変換器12には、スイッチング動作により電力変換を行うように構成された集積回路がそれぞれ内蔵されている。
図2に示すように、複数の直流電力変換器12は、直流電源2から供給された直流電力を、空気調和機1の室内機10に供給可能な直流電力に変換する第1電力変換器12aを有している。図3において後述するが、第1電力変換器12aには、変圧器13aが設けられている。
また、複数の直流電力変換器12は、第1電力変換器12aから供給された直流電力を変換する第2電力変換器12bを有している。また、複数の直流電力変換器12は、第2電力変換器12bから供給された直流電力を変換する第3電力変換器12cを有している。
第1電力変換器12aは、例えば定格電圧13Vの電源として、室内機10を構成する回路又はアクチュエータに直流電力を供給する。第2電力変換器12bは、例えば定格電圧12Vの電源として、室内機10を構成する回路又はアクチュエータに直流電力を供給する。第3電力変換器12cは、例えば定格電圧5Vの電源として、室内機10を構成する回路又はアクチュエータに直流電力を供給する。
室内機10の第1運転制御装置30は、出力される定格電圧の異なる複数の直流電力変換器12を有することにより、室内機10を構成する回路又はアクチュエータに最適な直流電力を提供することができる。
室内機10の第1運転制御装置30は、制御部14と、受電切替部16と、通信部18とを有している。
制御部14は、中央演算装置、メモリ等を備えたマイクロコンピュータ又はマイクロプロセッシングユニットとして構成され、例えば、定格電圧5Vの電源として機能する第3電力変換器12cから直流電力が供給される。制御部14は、集積回路等の電子部品を組み合わせることにより、埋込システムとして構成される。なお、図2を含む以下の図面においては、制御部14の内部構造については図示していない。
制御部14は、室内機10の動作を制御する回路である。制御部14がマイクロコンピュータ又はマイクロプロセッシングユニットとして構成される場合、制御部14が実行する制御処理は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア又はファームウェアは、制御プログラムとして記述される。メモリは、制御プログラムを格納する制御部14の記憶部として構成される。メモリは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリとして構成できる。中央演算装置は、メモリに格納された制御プログラムを読み出して実行することにより、制御処理を実現する演算部として構成される。なお、中央演算装置は「CPU」と略称される。また、中央演算装置は、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、又はプロセッサとも称される。
なお、制御部14は専用のハードウェアとして構成してもよい。制御部14が専用のハードウェアとして構成される場合、制御部14は、例えば、単一回路、複合回路、ASIC、FPGA、又はこれらを組み合わせて構成できる。制御部14は、各々の制御処理を個々のハードウェアで実現できるように構成してもよいし、各々の制御処理を一つのハードウェアで行うように構成してもよい。なお、「ASIC」は特定用途向け集積回路の略称であり、「FPGA」はフィールドプログラマブルゲートアレイの略称である。
また、制御部14は、制御処理の一部を専用のハードウェアで実現し、残余の制御処理をマイクロコンピュータ又はマイクロプロセッシングユニットで実現するように構成してもよい。
受電切替部16は、制御部14から受信した制御信号に応じて、室外機20と直流電源2との間で電力の供給回路を切り替えるスイッチング装置であり、例えばトランジスタを用いて構成される。受電切替部16は、例えば、定格電圧13Vの電源として機能する第1電力変換器12aに接続できるように構成されている。また、受電切替部16は、室外機20から供給された直流電力を第1電力変換器12aに出力する電力変換器を設けた構成にできる。
通信部18は、室外機20の第2運転制御装置40との間で、制御信号等のアナログ信号又はディジタル信号を双方向に送受信する回路である。第1運転制御装置30がシリアル通信、パラレル通信等の有線通信を行う場合は、通信部18は通信線を装着するコネクタポートを有する構成にできる。第1運転制御装置30が有線通信を行う場合は、通信線は、室外機20から室内機10に電力を供給することが可能な給電線とともに、接続ケーブル1aとして構成できる。また、接続ケーブル1aは、給電線のみで構成し、供給電力に制御信号を重畳させて通信を行うように構成してもよい。なお、第1運転制御装置30が赤外線通信等の無線通信を行う場合は、通信部18は無線通信ポートを有する構成にできる。
室外機20の第2運転制御装置40は、送電部21と通信部28とを有する。
送電部21は、例えば、他の空調設備機器、例えば室内機10における電力供給に異常があった場合に、他の空調設備機器に直流電力を供給するバックアップ電源として構成される。送電部21は、例えば、定格電圧30Vの電源として構成される場合、送電部21は、直流電源2から供給された直流電力を定格電圧30Vの直流電力に変換する電力変換器を有するように構成できる。また、送電部21が当該電力変換器を有する場合、当該電力変換器には、変圧器が設けられる。
通信部28は、室内機10の第1運転制御装置30との間で、制御信号等のアナログ信号又はディジタル信号を双方向に送受信する回路である。第2運転制御装置40がシリアル通信、パラレル通信等の有線通信を行う場合は、通信部28は通信線を装着するコネクタポートを有する構成にできる。なお、第2運転制御装置40が赤外線通信等の無線通信を行う場合は、通信部28は無線通信ポートを有する構成にできる。
次に、室内機10の第1運転制御装置30において直流電源2から供給される直流電力の低下が検知された場合における、空気調和機1の受電制御について説明する。以下の説明では、直流電源2から制御部14に電力が供給される受電動作を「通常の給電動作」と称する。
室内機10に供給されている直流電力の低下が検知された場合、制御部14は直流電力を供給する回路を直流電源2から室外機20に切り替えるための制御信号を受電切替部16に送信する。また、制御部14は、室外機20から直流電力を供給するための制御信号を、室内機10の通信部18と室外機20の通信部28を介して、室外機20の送電部21に送信する。受電切替部16は、制御部14からの制御信号を受信して、直流電力が、室外機20の送電部21から接続ケーブル1aを介して第1電力変換器12aに供給されるように、直流電力の供給回路を切り替える。送電部21は、定格電圧30Vの直流電力を接続ケーブル1aを介して受電切替部16に常時供給する。第2電力変換器12bに供給された直流電力は、第2電力変換器12bと第3電力変換器12cとを介して、制御部14に供給される。以上のように、直流電源2から供給される直流電力の低下が検知されたときには、室外機20から接続ケーブル1aを介して制御部14に電力が供給される受電動作に、通常の給電動作から切り替えられる受電制御が行われる。
次に、室内機10の第1運転制御装置30において、直流電源2から供給される直流電力の復旧が検知された場合における、空気調和機1の受電制御について説明する。
室内機10に供給されている直流電力の復旧が検知された場合、制御部14は直流電力を供給する回路を室外機20から直流電源2に切り替えるための制御信号を受電切替部16に送信する。また、制御部14は、室外機20からの直流電力を供給するための制御信号を、室内機10の通信部18と室外機20の通信部28を介して、室外機20の送電部21に送信する。受電切替部16は、制御部14からの制御信号を受信して、直流電力が、直流電源2から第1電力変換器12aを介して第2電力変換器12bに供給されるように、直流電力の供給回路を切り替える。第2電力変換器12bに供給された直流電力は、第3電力変換器12cを介して、制御部14に供給される。以上のように、直流電源2から供給される直流電力の復旧が検知されたときには、室外機20から電力が供給される受電動作から通常の給電動作に切り替えられる受電制御が行われる。
以上のとおり、本実施の形態1の空気調和機1では、直流電源2から室内機10に供給される直流電力の低下が検知された場合に、室外機20から制御部14に直流電力が供給される。また、直流電源2から室内機10に供給される直流電力の復旧が検知された場合には、直流電源2から制御部14に電力が供給される通常の給電動作が行われる。したがって、本実施の形態1の空気調和機1では、直流電源2から室内機10への直流電力の供給が低下した場合であっても、制御部14の制御動作を維持することができるため、空気調和機1の動作の安定性及び信頼性を確保することができる。
なお、上述では、室内機10に供給される直流電力に異常があった場合に、室外機20から室内機10に直流電力が供給されるように構成された空気調和機1の運転制御装置8について説明したが、空気調和機1の運転制御装置8の構成は上述に限定されない。例えば、空気調和機1が複数の室内機10を有する場合には、室内機10に供給される直流電力に異常があった場合に、上述と同様の受電制御によって、室内機10相互間で直流電力が供給できるように空気調和機1の運転制御装置8を構成できる。また、空気調和機1が複数の室外機20を有する場合には、室外機20に供給される直流電力に異常があった場合に、上述と同様の受電制御によって、室外機20相互間で直流電力が供給できるように空気調和機1の運転制御装置8を構成できる。また、室外機20に供給される直流電力に異常があった場合に、上述と同様の受電制御によって、室内機10から室外機20に直流電力が供給できるように空気調和機1の運転制御装置8を構成してもよい。
本発明においては、上述の受電制御が可能な制御部14を有する室内機10又は室外機20は、第1空気調和ユニット100に対応する。また、本発明においては、制御部14に電力の供給が可能な送電部21を有する室内機10又は室外機20は、第2空気調和ユニット200に対応する。
図3は、本実施の形態1に係る空気調和機1の運転制御装置8である、室内機10の第1運転制御装置30の構成の一部を概略的に例示したブロック図である。以下では、図3を用いて、電力低下検知装置50を有する運転制御装置8における、前述した受電制御に係る構成以外について説明する。したがって、図3においては、第1運転制御装置30を構成し、受電制御のみに用いられる受電切替部16及び通信部18については図示を省略している。
室内機10の第1運転制御装置30は、電力制御基板30aと、インバータ基板30bとを備える構成にできる。電力制御基板30aは、第1運転制御装置30の主基板であり、室内機10における電力供給を制御するように構成されている。インバータ基板30bは、室内機10の送風ファン等の各種アクチュエータのインバータ制御を行うように構成されている。電力制御基板30a及びインバータ基板30bは、例えば、室内機10に据え付けられた電気品箱に収容されている。なお、送風ファン等の各種アクチュエータ及び電気品箱については、図3を含む以下の図面には図示していない。また、図3に示すように、電力制御基板30a及びインバータ基板30bは、インバータ基板30bからの排熱による影響等を考慮して、多くの場合、別基板として構成されるが、一体化して構成してももちろんよい。
電力制御基板30aは、上述した制御部14を有している。また、電力制御基板30aは、複数の直流電力変換器12として、上述した第1電力変換器12a、第2電力変換器12b、及び第3電力変換器12cの他に、第4電力変換器12dと第5電力変換器12eとを有している。第4電力変換器12d及び第5電力変換器12eは、直流電源2から供給された直流電力を、空気調和機1の室内機10に供給可能な直流電力に変換する直流電力の供給源である。第4電力変換器12d及び第5電力変換器12eは、例えば定格電圧15Vの電源として、インバータ基板30bに直流電力を供給する。また、図3には示していないが、第4電力変換器12d又は第5電力変換器12eは、電力制御基板30aの回路にも直流電力を供給するように構成できる。
図3に示すように、第1電力変換器12aは、スイッチング回路11aと変圧器13aとを有する絶縁型電力変換器13として構成されている。第4電力変換器12dは、スイッチング回路11dと変圧器13dとを有する絶縁型電力変換器13として構成されている。第5電力変換器12eは、スイッチング回路11eと変圧器13eとを有する絶縁型電力変換器13として構成されている。すなわち、複数の直流電力変換器12は、複数の絶縁型電力変換器13を備えている。絶縁型電力変換器13は、例えば、他励式のフライバックコンバータ又はフォワードコンバータとして構成できる。なお、第2電力変換器12b及び第3電力変換器12cは、チョッパ方式のバックコンバータ等の非絶縁型電力変換器として構成できるが、絶縁型電力変換器13として構成してもよい。
スイッチング回路11a、11d、11eは、スイッチング動作により変圧器13a、13d、13eから出力される供給電力を調整するスイッチング素子として構成できる。スイッチング回路11a、11d、11eのスイッチング素子としては、例えば、バイポーラトランジスタ、酸化金属半導体電界効果トランジスタ、サイリスタ、又は絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ等が用いられる。具体的には、スイッチング回路11a、11d、11eは、例えば、シリコン素子よりバンドギャップが大きい炭化ケイ素素子、窒化ガリウム素子、又はダイヤモンド素子等のワイドバンドギャップ半導体のスイッチング素子として構成できる。ワイドバンドギャップ半導体は、耐電圧性が高く、許容電流密度も高いため、スイッチング回路11a、11d、11eを小型化させることができる。また、ワイドバンドギャップ半導体は電力損失が低いため、絶縁型電力変換器13での電力損失を抑制することができ、室内機10の運転効率を向上させることができる。
図3の一点鎖線Aで示すように、変圧器13aは、スイッチング回路11aを介して、直流電源2からの直流電力が供給される入力部13a1と、空気調和機1の室内機10に供給される直流電力を出力する出力部13a2とを有している。変圧器13aにおいて、出力部13a2は入力部13a1と電気的に絶縁されている。変圧器13dは、直流電源2からの直流電力が供給される入力部13d1と、空気調和機1の室内機10に供給される直流電力を出力する出力部13d2とを有しており、出力部13d2は入力部13d1と電気的に絶縁されている。変圧器13eは、直流電源2からの直流電力が供給される入力部13e1と、空気調和機1の室内機10に供給される直流電力を出力する出力部13e2とを有しており、出力部13e2は入力部13e1と電気的に絶縁されている。ここで、図3の一点鎖線Aを境界とした場合の、変圧器13aの入力部13a1、変圧器13dの入力部13d1、及び変圧器13eの入力部13e1の配置方向は、「一次側」とも称される。また、図3の一点鎖線Aを境界とした場合の、変圧器13aの出力部13a2、変圧器13dの出力部13d2、及び変圧器13eの出力部13e2の配置方向は、「二次側」とも称される。
空気調和機1は、直流電源2等に漏洩遮断器の設置されていない物件5に設置される場合であっても、信頼性及び安全性の確保が必要となる場合がある。本実施の形態1に係る空気調和機1では、出力部13a2、13d2、13e2は、入力部13a1、13d1、13e1と電気的に絶縁されているため、空気調和機1の一次側の漏電等による、空気調和機1の二次側にある制御部14等の損傷が抑制される。また、本実施の形態1に係る空気調和機1では、出力部13a2、13d2、13e2が、入力部13a1、13d1、13e1と絶縁されているため、使用者が触れる可能性のある空気調和機1の二次側部分に高電流が流れる可能性が抑制され、直流電源2と使用者が触れる可能性のある部分との絶縁が確保される。また、空気調和機1における二次側の回路端子等の二次側部分と大地との間で電気回路が形成される、いわゆる地絡が発生した場合であっても、大地に高電流が流れる可能性が抑制される。大地に高電流が流れる可能性が抑制されることによって、空気調和機1に収容される他機器への影響、例えば制御部14等の損傷等が抑制される。したがって、直流電源2から直流電力が供給される直流電力変換器12を絶縁型電力変換器13として構成することにより、空気調和機1の信頼性及び安全性を向上させることができる。
電力制御基板30aは、変圧器13a、13d、13eと並列接続され、直流電源2から電力が供給される電力低下検知装置50を有している。電力低下検知装置50は、直流電源2から室内機10に供給される直流電力が低下しているか否かを検知し、検知結果に応じて制御部14に出力される検知信号を切り換えるように構成される。また、図3の一点鎖線Aで概略的に示すように、電力低下検知装置50においては、制御部14の側の出力側回路50bは、直流電源2の側の入力側回路50aと電気的に絶縁されるように構成される。電力低下検知装置50において出力側回路50bを入力側回路50aと電気的に絶縁することにより、空気調和機1の一次側の漏電等による、空気調和機1の二次側にある制御部14等の損傷が抑制される。また、電力低下検知装置50において出力側回路50bを入力側回路50aと電気的に絶縁することにより、使用者が触れる可能性のある空気調和機1の二次側部分に高電流が流れる可能性が抑制され、直流電源2と使用者が触れる可能性のある部分との絶縁が確保される。また、空気調和機1における二次側の回路端子等の二次側部分と大地との間で電気回路が形成される、いわゆる地絡が発生した場合であっても、大地に高電流が流れる可能性が抑制される。大地に高電流が流れる可能性が抑制されることによって、空気調和機1に収容される他機器への影響、例えば制御部14等の損傷等が抑制される。したがって、電力低下検知装置50において出力側回路50bを入力側回路50aと電気的に絶縁することによって、空気調和機1の信頼性及び安全性を向上させることができる。また、本実施の形態1に係る空気調和機1は、絶縁型電力変換器13と、電力低下検知装置50とを有することにより、空気調和機1の信頼性及び安全性を更に向上させることができる。
図3に示すように、電力制御基板30aは、一端が直流電源2の正極側に接続され、直流電源2から第1運転制御装置30に突入電流が流れるのを防止する突入電流防止回路30cを有する構成にできる。また、図3に示すように、電力制御基板30aは、突入電流防止回路30cの他の一端と、直流電源2の負極側との間に分岐接続されたコンデンサ36を有する構成にできる。図3では、突入電流防止回路30cが矩形の点線領域で示されている。
突入電流防止回路30cは、直流電源2の正極側に接続された突入電流防止抵抗器32と、突入電流防止抵抗器32に並列に接続されたリレースイッチ34とを有している。なお、図3では、突入電流防止回路30cは直流電源2の正極側に接続された構成としたが、直流電源2の負極側に接続された構成としてもよい。また、突入電流防止回路30c及びコンデンサ36は、突入電流防止回路30cの一端をコンデンサ36の一端と直列に接続し、突入電流防止回路30cの他の一端を直流電源2の正極側に分岐接続し、コンデンサ36の他の一端を直流電源2の負極側に分岐接続した構成としてもよい。
突入電流防止抵抗器32には、セメント抵抗器又は巻線抵抗器等が用いられる。突入電流防止抵抗器32は、例えば、複数のセメント抵抗器を直列接続して構成される。
リレースイッチ34は、例えば、電磁継電器、バイポーラトランジスタ、酸化金属半導体電界効果トランジスタ、サイリスタ、又は絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ等のスイッチング素子で構成できる。具体的には、リレースイッチ34は、例えば、シリコン素子よりバンドギャップが大きい炭化ケイ素素子、窒化ガリウム素子、又はダイヤモンド素子等のワイドバンドギャップ半導体のスイッチング素子として構成できる。ワイドバンドギャップ半導体は、耐電圧性が高く、許容電流密度も高いため、リレースイッチ34を小型化させることができる。また、ワイドバンドギャップ半導体は電力損失が低いため、突入電流防止回路30cでの電力損失を抑制することができ、室内機10の運転効率を向上させることができる。
なお、酸化金属半導体電界効果トランジスタはMOSFETと略称される。また、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタはIGBTと略称される。また、シリコン素子はSi素子と略称される。また、炭化ケイ素素子はSiC素子と略称される。また、窒化ガリウム素子はGaN素子と略称される。
コンデンサ36は、直流電源2から供給される直流電力を安定化させて、絶縁型電力変換器13、電力低下検知装置50、及びインバータ基板30bに安定化させた直流電力を供給するための平滑コンデンサである。コンデンサ36としては、例えば、電解コンデンサが用いられるが、フィルムコンデンサを用いることもできる。
突入電流防止回路30cにおける、リレースイッチ34の動作について説明する。
リレースイッチ34が、停止状態、すなわち開放状態である場合、突入電流防止抵抗器32に電流が流れる状態となる。リレースイッチ34が、駆動状態、すなわち閉止状態である場合、突入電流防止抵抗器32の両端がリレースイッチ34によって短絡されるため、突入電流防止抵抗器32に電流が流れない状態となる。すなわち、突入電流防止回路30cでは、リレースイッチ34を切り替えることによって、突入電流防止回路30cから出力される電流を制御することができる。電力制御基板30aにおいては、リレースイッチ34の切り替えは、例えば、制御部14で行われるように構成できる。
室内機10が停止している間は、リレースイッチ34は停止状態、すなわち開放状態で維持されている。すなわち、室内機10の駆動開始時においては、突入電流防止抵抗器32に電流が流れる状態となっている。
室内機10が駆動してから定常運転状態となるまでの過渡運転状態においては、室内機10が停止状態から駆動状態に切り替わるため、直流電源2から室内機10に流れる突入電流が発生する。しかしながら、突入電流防止抵抗器32に電流が流れる状態であるため、突入電流防止回路30cから絶縁型電力変換器13、電力低下検知装置50、及びインバータ基板30bに流れる突入電流のピーク値は、突入電流防止抵抗器32によって低減できる。
室内機10が定常運転状態となった後は、リレースイッチ34は、駆動状態、すなわち閉止状態に切り替えられ、突入電流防止抵抗器32がリレースイッチ34によって短絡される。すなわち、室内機10が定常運転状態となった後は、突入電流防止抵抗器32には電流が流れない状態となる。したがって、室内機10が定常運転状態となった後は、突入電流防止抵抗器32における電力損失を回避することができる。
室内機10が、駆動状態から停止状態に切り替わる場合、リレースイッチ34が、停止状態、すなわち開放状態に切り替えられる。室内機10の駆動停止時においても、直流電源2から室内機10に流れる突入電流が発生する。しかしながら、突入電流防止抵抗器32に電流が流れる状態であるため、突入電流防止回路30cから絶縁型電力変換器13、電力低下検知装置50、及びインバータ基板30bに流れる突入電流のピーク値は、突入電流防止抵抗器32によって低減できる。
以上のことから、電力制御基板30aは、突入電流防止回路30cを有することにより、絶縁型電力変換器13、電力低下検知装置50、及びインバータ基板30b等に突入電流が流れることを回避できるため、空気調和機1の信頼性を向上させることができる。
電力制御基板30aは、インバータ基板30bとの間で制御信号等のアナログ信号又はディジタル信号を双方向にシリアル通信するシリアル通信部19を有している。シリアル通信部19は、受電制御用の通信部18と別個に構成しても、受電制御用の通信部18と一体化して構成してもよい。
インバータ基板30bは、複数の直流電力変換器12と、インバータ制御部15と、インバータ駆動部17と、インバータ装置38とを有している。
インバータ基板30bにおいて、複数の直流電力変換器12は、電力制御基板30aの第4電力変換器12dから供給された直流電力を変換する第6電力変換器12fを有している。また、インバータ基板30bにおいて、複数の直流電力変換器12は、第6電力変換器12fから供給された直流電力を変換する第7電力変換器12gを有している。
第6電力変換器12fは、例えば定格電圧12Vの電源として、室内機10を構成する回路又はアクチュエータに直流電力を供給する。第7電力変換器12gは、例えば定格電圧5Vの電源として、インバータ基板30bに直流電力を供給する。なお、第6電力変換器12f及び第7電力変換器12gは、チョッパ方式のバックコンバータ等の非絶縁型電力変換器として構成できるが、絶縁型電力変換器13として構成してもよい。
インバータ制御部15は、中央演算装置、メモリ等を備えたマイクロコンピュータ又はマイクロプロセッシングユニットとして構成され、例えば、定格電圧5Vの電源として機能する第7電力変換器12gから直流電力が供給される。また、インバータ制御部15は、電力制御基板30aのシリアル通信部19にシリアル接続され、電力制御基板30aの制御部14と、シリアル通信部19を介して、制御信号等のアナログ信号又はディジタル信号を双方向にシリアル通信するように構成される。インバータ制御部15は、集積回路等の電子部品を組み合わせることにより、埋込システムとして構成される。なお、図3を含む以下の図面においては、インバータ制御部15の内部構造については図示していない。
インバータ制御部15は、複数のインバータ装置38を周波数制御する制御回路である。インバータ制御部15がマイクロコンピュータ又はマイクロプロセッシングユニットとして構成される場合、インバータ制御部15が実行する制御処理は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア又はファームウェアは、制御プログラムとして記述される。メモリは、制御プログラムを格納するインバータ制御部15の記憶部として構成される。メモリは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリとして構成できる。中央演算装置は、メモリに格納された制御プログラムを読み出して実行することにより、制御処理を実現する演算部として構成される。
なお、インバータ制御部15は専用のハードウェアとして構成してもよい。インバータ制御部15が専用のハードウェアとして構成される場合、インバータ制御部15は、例えば、単一回路、複合回路、ASIC、FPGA、又はこれらを組み合わせて構成できる。インバータ制御部15は、各々の制御処理を個々のハードウェアで実現できるように構成してもよいし、各々の制御処理を一つのハードウェアで行うように構成してもよい。なお、「ASIC」は特定用途向け集積回路の略称であり、「FPGA」はフィールドプログラマブルゲートアレイの略称である。
また、インバータ制御部15は、制御処理の一部を専用のハードウェアで実現し、残余の制御処理をマイクロコンピュータ又はマイクロプロセッシングユニットで実現するように構成してもよい。
インバータ駆動部17は、インバータ制御部15からの制御信号に基づき、インバータ装置38を周波数制御するためのパルス信号を生成するインバータ駆動回路である。インバータ基板30bは、1以上のインバータ駆動部17を有するように構成でき、例えば、図3に示すように、2つのインバータ駆動部17として、第1インバータ駆動部17aと、第2インバータ駆動部17bとを有する構成にできる。第1インバータ駆動部17aは、定格電圧15Vの電源として機能する電力制御基板30aの第4電力変換器12dから直流電力が供給される。第2インバータ駆動部17bは、定格電圧15Vの電源として機能する電力制御基板30aの第5電力変換器12eから直流電力が供給される。図3においては、第1インバータ駆動部17a及び第2インバータ駆動部17bは、ともに、三相インバータを駆動するパルス信号を生成する三相インバータ駆動回路として構成されているが、該構成に限定されない。例えば、インバータ駆動部17は、単相インバータを駆動するパルス信号を生成する単相インバータ駆動回路として構成してもよい。また、複数のインバータ駆動部17の一部を単相インバータ駆動回路として構成し、複数のインバータ駆動部17の他の一部を三相インバータ駆動回路として構成してもよい。
インバータ装置38は、直流電源2から突入電流防止回路30cを介して供給される直流電力を交流電力に変換する電力変換装置であり、交流電力を供給する交流電源として機能する。インバータ基板30bは、1以上のインバータ装置38を有するように構成でき、例えば、図3に示すように、2つのインバータ装置38として、第1インバータ装置38aと第2インバータ装置38bとを有する構成にできる。第1インバータ装置38aでは、第1インバータ駆動部17aから入力されるパルス信号により、第1インバータ装置38aから出力される交流電力の周波数が制御される。第2インバータ装置38bでは、第2インバータ駆動部17bから入力されるパルス信号により、第2インバータ装置38bから出力される交流電力の周波数が制御される。図3において第1インバータ装置38a及び第2インバータ装置38bは、ともに、三相インバータとして構成されているが、該構成に限定されない。例えば、インバータ装置38は、単相インバータとして構成してもよい。また、複数のインバータ装置38の一部を単相インバータとして構成し、複数のインバータ装置38の他の一部を三相インバータとして構成してもよい。なお、インバータ装置38の内部の回路構成については、図3には示していない。
インバータ装置38が三相インバータとして構成される場合、インバータ装置38の内部回路は、例えば、三相ブリッジ接続された6つのインバータ用スイッチング素子を備える構成にできる。インバータ用スイッチング素子は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタで構成されるが、バイポーラトランジスタ、酸化金属半導体電界効果トランジスタ、又はサイリスタ等のスイッチング素子で構成してもよい。具体的には、インバータ用スイッチング素子は、例えば、シリコン素子よりバンドギャップが大きい炭化ケイ素素子、窒化ガリウム素子、又はダイヤモンド素子等のワイドバンドギャップ半導体のスイッチング素子として構成できる。ワイドバンドギャップ半導体は、耐電圧性が高く、許容電流密度も高いため、インバータ用スイッチング素子を小型化させることができる。また、ワイドバンドギャップ半導体は、耐熱性も高いため、ヒートシンク等のインバータ用の放熱フィンを小型化させることができるため、インバータ装置38を小型化させることができる。また、ワイドバンドギャップ半導体は電力損失が低いため、インバータ装置38での電力損失を抑制することができ、室内機10の運転効率を向上させることができる。
各々のインバータ用スイッチング素子には、インバータ装置38の出力側から逆向きに流れる電流を環流させることにより、インバータ用スイッチング素子を保護するためのインバータ用逆流防止素子が接続されている。インバータ用逆流防止素子としては、例えば、整流ダイオード、ショットキーバリアダイオード等のフライホイールダイオードが用いられる。インバータ用逆流防止素子は、各々のインバータ用スイッチング素子の両端に並列接続される。
また、インバータ装置38は、室内機10の駆動開始時又は駆動停止時における直流電源2からの過渡的な高電圧がインバータ用スイッチング素子に印加されるのを抑制するスナバ回路を有するように構成できる。スナバ回路は、スナバコンデンサ及びスナバ抵抗器が直列接続された抵抗キャパシタンス回路であり、インバータ用スイッチング素子の両端に並列接続される。また、インバータ装置38は、インバータ装置38から流れる電流を検知するためのシャント抵抗器を有する構成にできる。シャント抵抗器は、例えば、インバータ装置38の出力側に直列接続される。なお、抵抗キャパシタンス回路は、RC回路とも略称される。
インバータ装置38の出力側には、室内機10の各種アクチュエータ、例えば送風ファンを駆動するための電動機70が接続されている。室内機10は、1以上の電動機70を有するように構成でき、例えば、図3に示すように、2つの電動機70として、第1電動機70aと、第2電動機70bとを有する構成にできる。第1電動機70aにおいては、第1インバータ装置38aから出力される交流電流により、第1電動機70aの回転周波数が制御される。第2電動機70bにおいては、第2インバータ装置38bから出力される交流電流により、第2電動機70bの回転周波数が制御される。インバータ装置38が三相インバータである場合、電動機70は、交流電動機である三相誘導電動機、又はブラシレス直流電動機として構成される。インバータ装置38が単相インバータである場合は、交流電動機である単相誘導電動機として構成できる。
特に、室内機10の各種アクチュエータを駆動する電動機70として、ブラシレス直流電動機を用いる場合、インバータ駆動部17は、パルス信号としてパルス幅変調信号をインバータ装置38に出力するパルス幅変調インバータ駆動回路として構成される。また、インバータ装置38は、インバータ装置38に入力された直流電圧を、交流電圧であるパルス幅変調電圧に変換して、交流電流であるパルス幅変調電圧を電動機70に出力するパルス幅変調インバータ回路として構成される。なお、パルス幅変調信号はPWM信号、パルス幅変調インバータ駆動回路はPWMインバータ駆動回路、パルス幅変調電圧はPWM電圧、パルス幅変調インバータ回路はPWMインバータ回路とそれぞれ略称される。
以上、室内機10の第1運転制御装置30の構成について説明したが、空気調和機1の運転制御装置8は、いずれも、上述の第1運転制御装置30と同様に構成できる。例えば、室外機20の第2運転制御装置40は、上述の第1運転制御装置30と同様に構成できる。また、空気調和機1が複数の室内機10と複数の室外機20を有する場合であっても、いずれの室内機10及び室外機20においても、運転制御装置8は上述の第1運転制御装置30と同様に構成できる。
次に、運転制御装置8の電力低下検知装置50について図4を用いて説明する。
図4は、本実施の形態1に係る電力低下検知装置50の一例を示す概略図である。電力低下検知装置50は、直流電源2に接続された分圧器52と、分圧器52に接続された第1比較器54aと、第1比較器54aに接続された第1光検出器56aとを備える。図4の一点鎖線Aで概略的に示すように、第1光検出器56aにおいて、電力低下検知装置50の制御部14の側の出力側回路50bは、直流電源2の側の入力側回路50aと電気的に絶縁されている。第1光検出器56aの出力側回路50bの側は、制御部14の第1入力ポート14aに接続されている。
前述したように、直流電源2は、無停電電源装置等として構成される。すなわち、直流電源2は、直流電源システムとして構成されている。直流電源2は、例えば、直流電力を出力する直流電力供給部2aと、接地抵抗回路2bとを有するように構成される。
接地抵抗回路2bは、例えば図4に示すように、第1接地抵抗器2b1と第2接地抵抗器2b2とを有する構成にできる。接地抵抗回路2bでは、第1接地抵抗器2b1の一端と第2接地抵抗器2b2の一端とが直列接続されている。第1接地抵抗器2b1の他の一端は、直流電力供給部2aの正極側に接続されている。第2接地抵抗器2b2の他の一端は、直流電源2の負極側に接続されている。
第1接地抵抗器2b1及び第2接地抵抗器2b2には、例えば、金属皮膜抵抗、酸化金属皮膜抵抗、炭素皮膜抵抗といった固定抵抗器が用いられる。
また、直流電源2は、第1接地抵抗器2b1と第2接地抵抗器2b2との間の接続部が直流電源接地部80に接地するように構成されている。該構成によれば、直流電源2の端子等に使用者が触れた場合、又は、直流電源2の端子等と大地との間に電気回路が形成される、いわゆる地絡が発生した場合であっても、直流電源2から流れる電流は、第2分圧抵抗器52bを介して流れるため、電流の量が制限される。したがって、直流電源2に電力低下検知装置50の安全性及び信頼性を向上させることができる。
分圧器52は、直流電源2から出力された電圧を分圧するように構成されている。分圧器52は、例えば図4に示すように、第1分圧抵抗器52aと第2分圧抵抗器52bとを有する構成にできる。分圧器52は、第1分圧抵抗器52aの一端と第2分圧抵抗器52bの一端とが直列接続されている。第1分圧抵抗器52aの他の一端は、直流電源2の正極側に接続されている。第2分圧抵抗器52bの他の一端は、直流電源2の負極側に接続されている。また、第1分圧抵抗器52aと第2分圧抵抗器52bとの間の接続部は、第1比較器54aの入力側に接続されている。
第1分圧抵抗器52a及び第2分圧抵抗器52bには、金属皮膜抵抗、酸化金属皮膜抵抗、炭素皮膜抵抗といった小型の固定抵抗器が用いられる。第1分圧抵抗器52a及び第2分圧抵抗器52bは、例えば、チップ抵抗器として構成される。
図4に示すように、直流電源2から出力された電圧は、分圧器52によって、第2分圧抵抗器52bの両端に印加される電圧に分圧され、出力電圧Esとして、第1比較器54aに入力される。
第1比較器54aは、分圧器52から出力された出力電圧Esを予め定められた第1基準電圧Eref1と比較して、前記出力電圧Esが第1基準電圧Eref1よりも大きい場合に第1電気信号を第1光検出器56aに出力するように構成される。第1比較器54aは、例えば図4に示すように、第1演算増幅器54a1と、第1基準電圧源54a2を有する構成にできる。図4に示すように、第1演算増幅器54a1の正極側の電源端子には、演算増幅器駆動電源92aが接続され、第1演算増幅器54a1を駆動するための電力が供給される。図4を含む以下の図面では図示しないが、演算増幅器駆動電源92aは、運転制御装置8の一次側に搭載された直流電力変換器12として、例えば、定格電圧15Vの電力を第1演算増幅器54a1に供給するように構成される。また、第1演算増幅器54a1の負極側の電源端子は、直流電源2の負極側に接続されている。
第1演算増幅器54a1は、2つの入力端子と、1つの出力端子とを有し、2つの入力端子間の電位差に応じて出力端子から電気信号を出力する差動増幅回路である。第1演算増幅器54a1の2つの入力端子は、非反転入力端子と、反転入力端子とからなる。非反転入力端子は、分圧器52、すなわち、第1分圧抵抗器52aと第2分圧抵抗器52bとの間の接続部に接続されており、分圧器52から出力された出力電圧Esが印加される。反転入力端子には、第1基準電圧源54a2の正極側が接続されており、第1基準電圧Eref1が印加される。第1演算増幅器54a1は、スイッチング素子を含む集積回路として構成される。
第1基準電圧源54a2は、一定の直流電圧を第1演算増幅器54a1に出力する電圧調整器である。第1基準電圧源54a2の正極は、第1演算増幅器54a1の反転入力端子に接続され、第1基準電圧源54a2の負極は、直流電源2の負極側に接続されている。第1比較器54aでは、第1基準電圧源54a2から第1演算増幅器54a1の反転入力端子に第1基準電圧Eref1が入力される。第1基準電圧源54a2は、例えば、スイッチング素子を含む集積回路として構成できる。スイッチング素子を含む集積回路の例としては、例えばシャントレギュレータが挙げられる。なお、第1基準電圧源54a2は、第1演算増幅器54a1と同一の集積回路上に構成してもよい。
なお、第1比較器54aで用いられるスイッチング素子は、例えば、バイポーラトランジスタ、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ、又は酸化金属半導体電界効果トランジスタ等のスイッチング素子で構成できる。
第1比較器54aでは、分圧器52から出力された出力電圧Esが予め定められた第1基準電圧Eref1と比較され、出力電圧Esが第1基準電圧Eref1よりも大きい場合に、第1電気信号が第1光検出器56aに出力される。
第1光検出器56aは、第1比較器54aに接続され、第1比較器54aから出力された第1電気信号を受信して第1光信号56a1を送信する第1発光器57aと、第1発光器57aからの第1光信号56a1を受信する第1受光器58aとを有するように構成されている。第1光検出器56aにおいて、第1受光器58aは、第1発光器57aと電気的に絶縁されている。第1光検出器56aは、外部からの光を遮断するために、例えば集積回路として構成されている。
図4に示すように、第1発光器57aは、第1発光側抵抗器57a1と、第1発光素子57a2と、第1スイッチング素子57a3と、第1ベース端子抵抗器57a4と、第1端子間抵抗器57a5とを有する構成にできる。第1発光器57aにおいて、第1発光側抵抗器57a1、第1発光素子57a2、及び第1スイッチング素子57a3は直列に接続されている。具体的には、第1発光側抵抗器57a1の一端は、入力側電源90aに接続されている。図4を含む以下の図面では図示しないが、入力側電源90aは、運転制御装置8の一次側に搭載された直流電力変換器12として、例えば、定格電圧15Vの電力を第1発光器57aに供給するように構成される。第1発光側抵抗器57a1の他の一端は、第1発光素子57a2の陽極側に接続されている。第1発光素子57a2の陰極側は、第1スイッチング素子57a3のコレクタ端子に接続されている。第1スイッチング素子57a3のエミッタ端子は、直流電源2の負極側に接続されている。第1ベース端子抵抗器57a4は、第1スイッチング素子57a3のベース端子と、第1比較器54aの出力端子との間に接続されている。第1端子間抵抗器57a5は、第1スイッチング素子57a3のベース端子と、第1ベース端子抵抗器57a4との間に分岐接続され、第1スイッチング素子57a3のエミッタ端子に接続されている。
なお、コレクタ端子は、アノード端子又はドレイン端子と称される場合がある。また、エミッタ端子は、カソード端子又はソース端子等と称される場合がある。また、ベース端子は、ゲート端子等と称される場合がある。
第1発光側抵抗器57a1は、第1発光素子57a2及び第1スイッチング素子57a3に過電流が流れることによる第1発光素子57a2及び第1スイッチング素子57a3の損傷を防ぐための保護抵抗器である。第1ベース端子抵抗器57a4及び第1端子間抵抗器57a5は、第1スイッチング素子57a3に過電流が流れることによる第1スイッチング素子57a3の損傷を防ぐための保護抵抗器である。第1発光側抵抗器57a1、第1ベース端子抵抗器57a4、及び第1端子間抵抗器57a5には、金属皮膜抵抗、酸化金属皮膜抵抗、炭素皮膜抵抗といった小型の固定抵抗器が用いられる。第1発光側抵抗器57a1、第1ベース端子抵抗器57a4、及び第1端子間抵抗器57a5は、例えば、チップ抵抗器として構成される。
第1発光素子57a2は、陽極側から陰極側に順方向に通電された際に第1光信号56a1を送信する半導体素子である。第1発光素子57a2としては、例えば赤外線を発光する赤外発光ダイオード等が用いられる。
第1スイッチング素子57a3は、第1比較器54aから送信された第1電気信号を受信して駆動するように構成されている。第1スイッチング素子57a3は、例えば、バイポーラトランジスタ、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ、又は酸化金属半導体電界効果トランジスタ等のスイッチング素子で構成できる。
図4に示すように、第1受光器58aは、第1受光側抵抗器58a1と、第1受光素子58a2とを有する構成にできる。第1受光器58aにおいて、第1受光側抵抗器58a1及び第1受光素子58a2は直列に接続されている。具体的には、第1受光側抵抗器58a1の一端は、出力側電源95aに接続されている。出力側電源95aは、運転制御装置8の二次側に搭載された直流電力変換器12、例えば、定格電圧5Vの電力を供給する第3電力変換器12cとして構成される。第1受光側抵抗器58a1の他の一端は、第1受光素子58a2の一端に接続されている。第1受光素子58a2の他の一端は、出力側回路基準電位部85aに接続されている。出力側回路基準電位部85aは、例えば、変圧器13aの出力部13a2の負極側に構成することができる。出力側回路基準電位部85aを変圧器13aの出力部13a2の負極側に構成することにより、絶縁破壊が発生した場合であっても、空気調和機1の二次側部分と大地との間で電気回路が形成されることによる、地絡電流の発生を回避できる。また、第1受光側抵抗器58a1と第1受光素子58a2との間の接続部は、制御部14の第1入力ポート14aに接続されている。第1受光器58aは、制御部14の第1入力ポート14aに第1検知信号を送信するように構成されている。
第1受光側抵抗器58a1は、第1受光素子58a2に過電流が流れることによる第1受光素子58a2の損傷を防ぐための保護抵抗器である。また、第1受光側抵抗器58a1は、第1光信号56a1を第1受光素子58a2が受信しないときに、制御部14で検知される第1検知信号が、出力側電源95aの定格電圧とほぼ同一の高電位の信号となるように設けられたプルアップ抵抗器である。第1受光側抵抗器58a1には、金属皮膜抵抗、酸化金属皮膜抵抗、炭素皮膜抵抗といった小型の固定抵抗器が用いられる。第1受光側抵抗器58a1は、例えば、チップ抵抗器として構成される。
第1受光素子58a2は、第1発光素子57a2からの第1光信号56a1を受信して駆動するように構成されたスイッチング素子である。図4に示すように、第1受光素子58a2としては、フォトトランジスタを用いることができる。第1受光素子58a2としてフォトトランジスタを用いた場合、フォトトランジスタのコレクタとベースの接合部が、第1発光素子57a2からの第1光信号56a1を受信する受光部として用いられる。また、第1受光素子58a2としてフォトトランジスタを用いた場合、フォトトランジスタのコレクタ端子が、第1受光側抵抗器58a1に接続され、フォトトランジスタのエミッタ端子が、出力側回路基準電位部85aに接続される。なお、第1受光素子58a2としては、フォトトランジスタの代わりに、シリコン製フォトダイオード等の受光素子を用いてもよい。第1受光素子58a2は、第1発光素子57a2からの第1光信号56a1を受信することにより駆動され、第1受光器58aは、無通電状態から通電状態に切り替わる。
次に、本実施の形態1に係る電力低下検知装置50の動作について、具体例を用いて説明する。
例えば、直流電源2の定格直流電圧が260〜380Vである場合を考える。分圧器52は、第1分圧抵抗器52aの抵抗値が88kΩ、第2分圧抵抗器52bの抵抗値が5kΩとなるように構成したとする。また、第1比較器54aは、第1基準電圧源54a2の第1基準電圧Eref1が14Vとなるように構成したとする。
直流電源2の直流電圧が260Vより大きく、空気調和機1に電力が安定して供給されている場合、分圧器52から出力される出力電圧Esは14V以上となる。直流電源2の定格直流電圧が260Vより大きい場合、第1比較器54aから第1光検出器56aの第1発光器57aに第1電気信号が送信される。第1光検出器56aの第1発光器57aに第1電気信号が送信された場合、第1電気信号により第1発光器57aの第1スイッチング素子57a3が駆動状態となる。第1スイッチング素子57a3が駆動状態の場合、第1発光器57aの第1発光素子57a2が通電されて、第1光信号56a1が、第1発光素子57a2から第1受光器58aの第1受光素子58a2に送信される。第1光信号56a1は、第1受光素子58a2で受信され、第1受光器58aは通電状態となる。したがって、第1受光器58aから制御部14の第1入力ポート14aに入力され、制御部14で検知される第1検知信号は、出力側回路基準電位部85aの電位とほぼ同一の低電位の信号となる。
一方、直流電源2の直流電圧が下限値である260V以下となり、空気調和機1に供給される電力が低下している場合、分圧器52から出力される出力電圧Esは14V未満となる。直流電源2の定格直流電圧が260V以下の場合、第1比較器54aから第1光検出器56aの第1発光器57aに第1電気信号は送信されない。第1光検出器56aの第1発光器57aに第1電気信号が送信されない場合、第1発光器57aの第1スイッチング素子57a3は停止状態となる。第1スイッチング素子57a3が停止状態の場合、第1発光器57aの第1発光素子57a2は通電されないため、第1光信号56a1は、第1発光素子57a2から第1受光器58aの第1受光素子58a2に送信されない。第1光信号56a1が、第1受光素子58a2に送信されない場合、第1受光器58aは無通電状態となる。したがって、第1受光器58aから制御部14の第1入力ポート14aに入力され、制御部14で検知される第1検知信号は、出力側電源95aの定格電圧とほぼ同一の高電位の信号となる。
なお、電力低下検知装置50における、第1分圧抵抗器52aの抵抗値、第2分圧抵抗器52bの抵抗値、及び第1基準電圧Eref1は、上述の例に限られない。例えば、第1分圧抵抗器52aの抵抗値を110kΩ、第2分圧抵抗器52bの抵抗値を20kΩ、第1基準電圧Eref1を40Vとした場合であっても、直流電源2の直流電圧が260V以下であるか否かを検知できる。また、電力低下検知装置50で検知可能な直流電源2の直流電圧は、260Vには限られず、260V以外の電圧であっても、第1分圧抵抗器52aの抵抗値、第2分圧抵抗器52bの抵抗値、及び第1基準電圧Eref1を調整することにより検知できる。
以上のとおり、本実施の形態1の電力低下検知装置50においては、直流電源2から出力される直流電圧が所定の値よりも低下したか否かによって、制御部14に出力する第1検知信号を切り換えることができるため、制御部14で直流電源2の出力電力の低下を検知できる。また、電力低下検知装置50の制御部14の側の出力側回路50bは、直流電源2の側の入力側回路50aと電気的に絶縁されているため、一次側の漏電等による、二次側にある制御部14等の損傷が抑制される。また、電力低下検知装置50において出力側回路50bを入力側回路50aと電気的に絶縁することにより、使用者が触れる可能性のある部分に高電流が流れる可能性が抑制され、直流電源2と使用者が触れる可能性のある部分との絶縁が確保される。したがって、本実施の形態1によれば、直流電源2との絶縁を確保しつつ、直流電源2を監視することが可能となるため、空気調和機1及び運転制御装置8の信頼性及び安全性を確保可能な電力低下検知装置50を提供することができる。
次に、本実施の形態1の運転制御装置8での制御処理の一例について、具体的に説明する。
図5は、直流電源2の電圧と、電動機70の駆動に用いられるインバータ装置38の駆動周波数fとの関係を概略的に示すグラフである。横軸は直流電源2の電圧を示し、縦軸はインバータ装置38の駆動周波数fを示している。
図5で示した直線状の点線は、電動機70の駆動において、理想的な直流電源2の電圧とインバータ装置38の駆動周波数fの関係を示している。点線の上側の領域は、電動機70の駆動電流が増加する領域であり、点線から離れるにしたがって、電動機70の巻線における発熱量が増加し、電動機70の巻線の温度が上昇するため、電動機70の巻線での電力損失が増加する。更に、電動機70の発熱量の増加により、電動機70の周囲温度が上昇した場合には、電動機70の動作が制限される場合がある。
ブラシレス直流電動機等の電動機70の駆動に必要な、直流電源2から出力される直流電圧の範囲が260〜380Vであり、この直流電圧の範囲でのインバータ装置38の駆動周波数fが第1周波数f1である場合を考える。直流電源2から出力される直流電圧が260V以下となった場合、図5に示されるように、電動機70の巻線での電力損失が増加する。例えば、直流電源2が無停電電源装置であり、蓄電池を有しており、直流電源2から出力される直流電圧が260V以下となった場合を考える。この場合、運転制御装置8が直流電圧の低下が直流電源2の蓄電池の容量低下によって発生していると判断し、インバータ装置38の駆動周波数fを第2周波数f2に早めに低下させることができれば、電動機70の長時間の運転継続が可能となる。したがって、図5の実線の折れ線に示すように、運転制御装置8が、直流電源2から出力される直流電圧が260V以下に低下するのを検知し、インバータ装置38の駆動周波数fを第2周波数f2に低下させることができれば、電動機70の巻線での電力損失を抑制し、電動機70の動作が制限されるのを回避できる。
図6は、本実施の形態1に係る運転制御装置8における制御処理の一例を示すフローチャートである。本実施の形態1の運転制御装置8において、制御部14は、空気調和機1の駆動時に、当該制御処理を常時実行するように構成できる。
ステップS11では、制御部14では、分圧器52から出力される出力電圧Esの値が、第1比較器54aの第1基準電圧Eref1の値以下であるか否かが判定される。前述したように、出力電圧Esが第1基準電圧Eref1の値以下である場合、制御部14で検知される第1検知信号は高電位の信号となる。また、出力電圧Esが第1基準電圧Eref1の値より大きい場合、制御部14で検知される第1検知信号は低電位の信号となる。また、前述したように、直流電源2の電圧に低下が見られる場合は、出力電圧Esは第1基準電圧Eref1の値以下となり、直流電源2の電圧が安定して供給されている場合は、出力電圧Esは第1基準電圧Eref1の値より大きくなる。すなわち、ステップS11では、制御部14では、直流電源2の電圧が安定して供給されているか否かを判定することができる。
分圧器52から出力される出力電圧Esの値が、第1基準電圧Eref1の値以下であると判定された場合は、ステップS12において、制御部14では、インバータ装置38の駆動周波数fを、第1周波数f1より小さい第2周波数f2とする制御が行われる。すなわち、ステップS12においては、制御部14では、直流電源2の電圧が低下していることを示す高電位の第1検知信号を受信した場合、インバータ装置38の駆動周波数fを通常の駆動周波数である第1周波数f1より小さい第2周波数f2とする制御が行われる。
分圧器52から出力される出力電圧Esの値が、第1基準電圧Eref1の値より大きいと判定された場合は、ステップS13において、制御部14は、インバータ装置38の駆動周波数fを第1周波数f1とする制御を行う。すなわち、ステップS13においては、制御部14では、直流電源2の電圧が安定していることを示す低電位の第1検知信号を受信した場合、インバータ装置38の駆動周波数fを通常の駆動周波数である第1周波数f1とする制御が行われる。
以上に示すように、本実施の形態1の運転制御装置8の制御部14は、インバータ装置38の駆動周波数fの制御を行うように構成される。また、本実施の形態1の運転制御装置8の制御部14は、分圧器52から出力された出力電圧Esが第1基準電圧Eref1の値よりも大きい場合に、インバータ装置38の駆動周波数fを第1周波数f1とするように構成される。また、本実施の形態1の運転制御装置8の制御部14は、分圧器52から出力された出力電圧Esが第1基準電圧Eref1の値以下となった場合に、インバータ装置38の駆動周波数fを前記第1周波数f1よりも低い第2周波数f2とするように構成される。
上述の構成によれば、直流電源2の電圧が低下した場合であっても、インバータ装置38の駆動周波数fを低下させるように制御することができ、電動機70の巻線の温度上昇を抑えつつ、空気調和機1の運転を継続することが可能となる。
電動機70の駆動電流の増加を回避する保護回路としては、例えば、溶断により駆動電流を遮断するヒューズ式過電流保護器、スイッチング動作により駆動電流を遮断するリセットタイプ過電流保護器、又は電動機70の過熱保護器等が挙げられる。しかしながら、これらの保護回路が動作した場合には、電動機70の駆動が停止されてしまうため、空気調和機1の信頼性が低下するという課題がある。しかしながら、上述の構成によれば、電動機70の巻線の温度上昇を抑えつつ、空気調和機1の運転を継続することが可能となるため、空気調和機1の信頼性を確保することが可能となる。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る運転制御装置8の電力低下検知装置50について、図7を用いて説明する。図7は、本実施の形態2に係る電力低下検知装置50の一例を示す概略図である。なお、直流電源2、分圧器52、第1比較器54a、及び第1光検出器56aの構造は、上述の実施の形態1と同一であるため説明を省略する。
電力低下検知装置50は、分圧器52に第1比較器54aと並列接続される第2比較器54bと、第2比較器54bに接続された第2光検出器56bとを備える。図7の一点鎖線Aで概略的に示すように、第2光検出器56bにおいて、電力低下検知装置50の制御部14の側の出力側回路50bは、直流電源2の側の入力側回路50aと電気的に絶縁されている。第2光検出器56bの出力側回路50bの側は、制御部14の第2入力ポート14bに接続されている。
第1分圧抵抗器52aと第2分圧抵抗器52bとの間の接続部は、第2比較器54bの入力側に接続されている。図7に示すように、直流電源2から出力された電圧は、分圧器52によって分圧され、出力電圧Esとして、第2比較器54bに入力される。
第2比較器54bは、分圧器52から出力された出力電圧Esを予め定められた第2基準電圧Eref2と比較して、前記出力電圧Esが第2基準電圧Eref2よりも大きい場合に第2電気信号を第2光検出器56bに出力するように構成される。第2比較器54bは、例えば図7に示すように、第2演算増幅器54b1と、第2基準電圧源54b2を有する構成にできる。図7に示すように、第2演算増幅器54b1には、演算増幅器駆動電源92bが接続され、第2演算増幅器54b1を駆動するための電力が供給される。図7を含む以下の図面では図示しないが、演算増幅器駆動電源92bは、運転制御装置8の一次側に搭載された直流電力変換器12として、例えば、定格電圧15Vの電力を第2演算増幅器54b1に供給するように構成される。また、第2演算増幅器54b1の負極側の電源端子は、直流電源2の負極側に接続されている。
第2演算増幅器54b1は、2つの入力端子と、1つの出力端子とを有し、2つの入力端子間の電位差に応じて出力端子から電気信号を出力する差動増幅回路である。第2演算増幅器54b1の2つの入力端子は、非反転入力端子と、反転入力端子とからなる。非反転入力端子は、分圧器52、すなわち、第1分圧抵抗器52aと第2分圧抵抗器52bとの間の接続部に接続されており、分圧器52から出力された出力電圧Esが印加される。反転入力端子には、第2基準電圧源54b2の正極側が接続されており、第2基準電圧Eref2が印加される。第2演算増幅器54b1は、スイッチング素子を含む集積回路として構成される。
第2基準電圧源54b2は、一定の直流電圧を第2演算増幅器54b1に出力する電圧調整器である。第2基準電圧源54b2の正極は、第2演算増幅器54b1の反転入力端子に接続され、第2基準電圧源54b2の負極は、直流電源2の負極側に接続されている。第2比較器54bでは、第2基準電圧源54b2から第2演算増幅器54b1の反転入力端子に第2基準電圧Eref2が入力される。第2基準電圧源54b2は、例えば、スイッチング素子を含む集積回路として構成できる。スイッチング素子を含む集積回路の例としては、例えばシャントレギュレータが挙げられる。なお、第2基準電圧源54b2は、第2演算増幅器54b1と同一の集積回路上に構成してもよい。
なお、第2比較器54bで用いられるスイッチング素子は、例えば、バイポーラトランジスタ、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ、又は酸化金属半導体電界効果トランジスタ等のスイッチング素子で構成できる。
第2比較器54bでは、分圧器52から出力された出力電圧Esが予め定められた第2基準電圧Eref2と比較され、出力電圧Esが第2基準電圧Eref2よりも大きい場合に、第2電気信号が第2光検出器56bに出力される。
第2光検出器56bは、第2比較器54bに接続され、第2比較器54bから出力された第2電気信号を受信して第2光信号56b1を送信する第2発光器57bと、第2発光器57bからの第2光信号56b1を受信する第2受光器58bとを有するように構成されている。第2光検出器56bにおいて、第2受光器58bは、第2発光器57bと電気的に絶縁されている。第2光検出器56bは、外部からの光を遮断するために、例えば集積回路として構成されている。
図7に示すように、第2発光器57bは、第2発光側抵抗器57b1と、第2発光素子57b2と、第2スイッチング素子57b3と、第2ベース端子抵抗器57b4と、第2端子間抵抗器57b5とを有する構成にできる。第2発光器57bにおいて、第2発光側抵抗器57b1、第2発光素子57b2、及び第2スイッチング素子57b3は直列に接続されている。具体的には、第2発光側抵抗器57b1の一端は、入力側電源90aに接続されている。図7を含む以下の図面では図示しないが、入力側電源90aは、運転制御装置8の一次側に搭載された直流電力変換器12として、例えば、定格電圧15Vの電力を第2発光器57bに供給するように構成される。第2発光側抵抗器57b1の他の一端は、第2発光素子57b2の陽極側に接続されている。第2発光素子57b2の陰極側は、第2スイッチング素子57b3のコレクタ端子に接続されている。第2スイッチング素子57b3のエミッタ端子は、直流電源2の負極側に接続されている。第2ベース端子抵抗器57b4は、第2スイッチング素子57b3のベース端子と、第2比較器54bの出力端子との間に接続されている。第2端子間抵抗器57b5は、第2スイッチング素子57b3のベース端子と、第2ベース端子抵抗器57b4との間に分岐接続され、第2スイッチング素子57b3のエミッタ端子に接続されている。
なお、コレクタ端子は、アノード端子又はドレイン端子と称される場合がある。また、エミッタ端子は、カソード端子又はソース端子等と称される場合がある。また、ベース端子は、ゲート端子等と称される場合がある。
第2発光側抵抗器57b1は、第2発光素子57b2及び第2スイッチング素子57b3に過電流が流れることによる第2発光素子57b2及び第2スイッチング素子57b3の損傷を防ぐための保護抵抗器である。第2ベース端子抵抗器57b4及び第2端子間抵抗器57b5は、第2スイッチング素子57b3に過電流が流れることによる第2スイッチング素子57b3の損傷を防ぐための保護抵抗器である。第2発光側抵抗器57b1、第2ベース端子抵抗器57b4、及び第2端子間抵抗器57b5には、金属皮膜抵抗、酸化金属皮膜抵抗、炭素皮膜抵抗といった小型の固定抵抗器が用いられる。第2発光側抵抗器57b1、第2ベース端子抵抗器57b4、及び第2端子間抵抗器57b5は、例えば、チップ抵抗器として構成される。
第2発光素子57b2は、陽極側から陰極側に順方向に通電された際に第2光信号56b1を送信する半導体素子である。第2発光素子57b2としては、例えば赤外線を発光する赤外発光ダイオード等が用いられる。
第2スイッチング素子57b3は、第2比較器54bから送信された第2電気信号を受信して駆動するように構成されている。第2スイッチング素子57b3は、例えば、バイポーラトランジスタ、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ、又は酸化金属半導体電界効果トランジスタ等のスイッチング素子で構成できる。
図7に示すように、第2受光器58bは、第2受光側抵抗器58b1と、第2受光素子58b2とを有する構成にできる。第2受光器58bにおいて、第2受光側抵抗器58b1及び第2受光素子58b2は直列に接続されている。具体的には、第2受光側抵抗器58b1の一端は、出力側電源95bに接続されている。出力側電源95bは、運転制御装置8の二次側に搭載された直流電力変換器12、例えば、定格電圧5Vの電力を供給する第3電力変換器12cとして構成される。第2受光側抵抗器58b1の他の一端は、第2受光素子58b2の一端に接続されている。第2受光素子58b2の他の一端は、出力側回路基準電位部85bに接続されている。出力側回路基準電位部85bは、例えば、変圧器13aの出力部13a2の負極側に構成することができる。出力側回路基準電位部85bを変圧器13aの出力部13a2の負極側に構成することにより、絶縁破壊が発生した場合であっても、空気調和機1の二次側部分と大地との間で電気回路が形成されることによる、地絡電流の発生を回避できる。また、第2受光側抵抗器58b1と第2受光素子58b2との間の接続部は、制御部14の第2入力ポート14bに接続されている。第2受光器58bは、制御部14の第2入力ポート14bに第2検知信号を送信するように構成されている。
第2受光側抵抗器58b1は、第2受光素子58b2に過電流が流れることによる第2受光素子58b2の損傷を防ぐための保護抵抗器である。また、第2受光側抵抗器58b1は、第2光信号56b1を第2受光素子58b2が受信しないときに、制御部14で検知される第2検知信号が、出力側電源95bの定格電圧とほぼ同一の高電位の信号となるように設けられたプルアップ抵抗器である。第2受光側抵抗器58b1には、金属皮膜抵抗、酸化金属皮膜抵抗、炭素皮膜抵抗といった小型の固定抵抗器が用いられる。第2受光側抵抗器58b1は、例えば、チップ抵抗器として構成される。
第2受光素子58b2は、第2発光素子57b2からの第2光信号56b1を受信して駆動するように構成されたスイッチング素子である。図7に示すように、第2受光素子58b2としては、フォトトランジスタを用いることができる。第2受光素子58b2としてフォトトランジスタを用いた場合、フォトトランジスタのコレクタとベースの接合部が、第2発光素子57b2からの第2光信号56b1を受信する受光部として用いられる。また、第2受光素子58b2としてフォトトランジスタを用いた場合、フォトトランジスタのコレクタ端子が、第2受光側抵抗器58b1に接続され、フォトトランジスタのエミッタ端子が、出力側回路基準電位部85bに接続される。なお、第2受光素子58b2としては、フォトトランジスタの代わりに、シリコン製フォトダイオード等の受光素子を用いてもよい。第2受光素子58b2は、第2発光素子57b2からの第2光信号56b1を受信することにより駆動され、第2受光器58bは、無通電状態から通電状態に切り替わる。
次に、本実施の形態2に係る電力低下検知装置50の動作について、具体例を用いて説明する。
例えば、直流電源2の定格直流電圧が260〜380Vである場合を考える。分圧器52は、第1分圧抵抗器52aの抵抗値が88kΩ、第2分圧抵抗器52bの抵抗値が5kΩとなるように構成したとする。また、第1比較器54aは、第1基準電圧源54a2の第1基準電圧Eref1が14Vとなるように構成し、第2比較器54bは、第2基準電圧源54b2の第2基準電圧Eref2が5.4Vとなるように構成したとする。
直流電源2の直流電圧が260Vより大きく、空気調和機1に電力が安定して供給されている場合、分圧器52から出力される出力電圧Esは14V以上となる。
直流電源2の定格直流電圧が260Vより大きい場合、第1比較器54aから第1光検出器56aの第1発光器57aに第1電気信号が送信される。第1光検出器56aの第1発光器57aに第1電気信号が送信された場合、第1電気信号により第1発光器57aの第1スイッチング素子57a3は駆動状態となる。第1スイッチング素子57a3が駆動状態の場合、第1発光器57aの第1発光素子57a2が通電されて、第1光信号56a1が、第1発光素子57a2から第1受光器58aの第1受光素子58a2に送信される。第1光信号56a1は、第1受光素子58a2で受信され、第1受光器58aは通電状態となる。したがって、第1受光器58aから制御部14の第1入力ポート14aに入力され、制御部14で検知される第1検知信号は、出力側回路基準電位部85aの電位とほぼ同一の低電位の信号となる。
一方、直流電源2の直流電圧が下限値である260V以下となり、空気調和機1に供給される電力が低下している場合、分圧器52から出力される出力電圧Esは14V未満となる。直流電源2の定格直流電圧が260V以下の場合、第1比較器54aから第1光検出器56aの第1発光器57aに第1電気信号は送信されない。第1光検出器56aの第1発光器57aに第1電気信号が送信されない場合、第1発光器57aの第1スイッチング素子57a3が停止状態となる。第1スイッチング素子57a3が停止状態の場合、第1発光素子57a2は通電されないため、第1光信号56a1は、第1発光素子57a2から第1受光器58aの第1受光素子58a2に送信されない。第1光信号56a1が第1受光素子58a2に送信されない場合、第1受光器58aは無通電状態となる。したがって、第1受光器58aから制御部14の第1入力ポート14aに入力され、制御部14で検知される第1検知信号は、出力側電源95aの定格電圧とほぼ同一の高電位の信号となる。
また、直流電源2の直流電圧が260V以下となった場合であっても、100Vよりも大きい場合、分圧器52から出力される出力電圧Esは5.4V以上となる。
直流電源2の定格直流電圧が100Vより大きい場合、第2比較器54bから第2光検出器56bの第2発光器57bに第2電気信号が送信される。第2光検出器56bの第2発光器57bに第2電気信号が送信された場合、第2電気信号により第2発光器57bの第2スイッチング素子57b3は駆動状態となる。第2スイッチング素子57b3が駆動状態の場合、第2発光器57bの第2発光素子57b2が通電されて、第2光信号56b1が、第2発光素子57b2から第2受光器58bの第2受光素子58b2に送信される。第2光信号56b1は、第2受光素子58b2で受信され、第2受光器58bは通電状態となる。したがって、第2受光器58bから制御部14の第2入力ポート14bに入力され、制御部14で検知される第2検知信号は、出力側回路基準電位部85bの電位とほぼ同一の低電位の信号となる。
一方、直流電源2の直流電圧が下限値である100V以下となった場合、分圧器52から出力される出力電圧Esは5.4V未満となる。直流電源2の定格直流電圧が260V以下の場合、第2比較器54bから第2光検出器56bの第2発光器57bに第2電気信号は送信されない。第2光検出器56bの第2発光器57bに第2電気信号が送信されない場合、第2発光器57bの第2スイッチング素子57b3が停止状態となる。第2スイッチング素子57b3が停止状態の場合、第2発光素子57b2は通電されないため、第2光信号56b1は、第2発光素子57b2から第2受光器58bの第2受光素子58b2に送信されない。第2光信号56b1が第2受光素子58b2に送信されない場合、第2受光器58bは無通電状態となる。したがって、第2受光器58bから制御部14の第2入力ポート14bに入力され、制御部14で検知される第2検知信号は、出力側電源95bの定格電圧とほぼ同一の高電位の信号となる。
なお、電力低下検知装置50における、第1分圧抵抗器52aの抵抗値、第2分圧抵抗器52bの抵抗値、第1基準電圧Eref1、及び第2基準電圧Eref2は、上述の例に限られない。例えば、第1分圧抵抗器52aの抵抗値を110kΩ、第2分圧抵抗器52bの抵抗値を20kΩ、第1基準電圧Eref1を40Vとした場合であっても、直流電源2の直流電圧が260V以下であるか否かを検知できる。また、第2基準電圧Eref2を15.39Vとした場合、直流電源2の直流電圧が100V以下であるか否かを検知できる。また、電力低下検知装置50で検知可能な直流電源2の直流電圧は、260V、100Vには限られない。260V、100V以外の電圧であっても、第1分圧抵抗器52aの抵抗値、第2分圧抵抗器52bの抵抗値、第1基準電圧Eref1、及び第2基準電圧Eref2を調整することにより電力低下検知装置50で検知できる。
以上のとおり、本実施の形態2の電力低下検知装置50においては、直流電源2から出力される直流電圧が所定の値よりも低下したか否かによって、制御部14に出力する第1検知信号及び第2検知信号を切り換えることができる。したがって、制御部14で直流電源2の出力電力の低下を細分化して検知できる。また、電力低下検知装置50の制御部14の側の出力側回路50bは、直流電源2の側の入力側回路50aと電気的に絶縁されているため、一次側の漏電等による、二次側にある制御部14等の損傷が抑制される。また、電力低下検知装置50において出力側回路50bを入力側回路50aと電気的に絶縁することにより、使用者が触れる可能性のある部分に高電流が流れる可能性が抑制され、直流電源2と使用者が触れる可能性のある部分との絶縁が確保される。よって、本実施の形態2によれば、直流電源2との絶縁を確保しつつ、直流電源2を更に細分化して監視することが可能となるため、空気調和機1及び運転制御装置8の更なる信頼性及び安全性を確保可能な電力低下検知装置50を提供することができる。
第1比較器54aの第1基準電圧源54a2及び第2比較器54bの第2基準電圧源54b2の変形例について、図8を用いて説明する。図8は、本実施の形態2に係る電力低下検知装置50の別の一例を示す概略図である。なお、図8の第1基準電圧源54a2及び第2基準電圧源54b2に係る構成以外については、上述の図7と同一であるため説明を省略する。
図8に示すように、第1基準電圧源54a2は、入力側電源90bと直流電源2の負極側との間に直列に接続された、第1基準電圧源正極側抵抗器54a3と、第1基準電圧源負極側抵抗器54a4とを有する分圧回路として構成してもよい。第1基準電圧源正極側抵抗器54a3の一端は、入力側電源90bに接続される。第1基準電圧源正極側抵抗器54a3の他の一端は、第1基準電圧源負極側抵抗器54a4の一端に接続される。第1基準電圧源負極側抵抗器54a4の他の一端は、直流電源2の負極側に接続される。第1基準電圧源正極側抵抗器54a3と、第1基準電圧源負極側抵抗器54a4との間の接続部は、第1演算増幅器54a1の反転入力端子に接続される。図8を含む以下の図面では図示しないが、入力側電源90bは、運転制御装置8の一次側に搭載された直流電力変換器12として、例えば、定格電圧15Vの電力を第1基準電圧源正極側抵抗器54a3及び第1基準電圧源負極側抵抗器54a4に供給するように構成される。第1基準電圧源正極側抵抗器54a3及び第1基準電圧源負極側抵抗器54a4には、金属皮膜抵抗、酸化金属皮膜抵抗、炭素皮膜抵抗といった小型の固定抵抗器が用いられる。第1基準電圧源正極側抵抗器54a3及び第1基準電圧源負極側抵抗器54a4は、例えば、チップ抵抗器として構成される。
例えば、入力側電源90bの定格電圧を15Vとして、第1基準電圧Eref1を14Vとする場合、第1基準電圧源54a2は、第1基準電圧源正極側抵抗器54a3の抵抗値が10kΩ、第1基準電圧源負極側抵抗器54a4の抵抗値が140kΩとなるように構成できる。
また、図8に示すように、第2基準電圧源54b2は、入力側電源90cと直流電源2の負極側との間に直列に接続された、第2基準電圧源正極側抵抗器54b3と、第2基準電圧源負極側抵抗器54b4とを有する分圧回路として構成してもよい。第2基準電圧源正極側抵抗器54b3の一端は、入力側電源90cに接続される。第2基準電圧源正極側抵抗器54b3の他の一端は、第2基準電圧源負極側抵抗器54b4の一端に接続される。第2基準電圧源負極側抵抗器54b4の他の一端は、直流電源2の負極側に接続される。第2基準電圧源正極側抵抗器54b3と、第2基準電圧源負極側抵抗器54b4との間の接続部は、第2演算増幅器54b1の反転入力端子に接続される。図8を含む以下の図面では図示しないが、入力側電源90cは、運転制御装置8の一次側に搭載された直流電力変換器12、例えば、定格電圧15Vの電力を第2基準電圧源正極側抵抗器54b3及び第2基準電圧源負極側抵抗器54b4に供給するように構成される。第2基準電圧源正極側抵抗器54b3及び第2基準電圧源負極側抵抗器54b4には、金属皮膜抵抗、酸化金属皮膜抵抗、炭素皮膜抵抗といった小型の固定抵抗器が用いられる。第2基準電圧源正極側抵抗器54b3及び第2基準電圧源負極側抵抗器54b4は、例えば、チップ抵抗器として構成される。
例えば、入力側電源90cの定格電圧を15Vとして、第2基準電圧Eref2を5.4Vとする場合、第2基準電圧源54b2は、第2基準電圧源正極側抵抗器54b3の抵抗値が160kΩ、第2基準電圧源負極側抵抗器54b4の抵抗値が90kΩとなるように構成できる。
第1基準電圧源54a2及び第2基準電圧源54b2を分圧回路として構成すれば、抵抗器のみの簡単な回路で、第1基準電圧Eref1及び第2基準電圧Eref2を生成できるため、電力低下検知装置50を廉価に製造することができ、電力低下検知装置50の小型化を図ることができる。
第1比較器54a及び第2比較器54bの変形例について、図9を用いて説明する。図9は、本実施の形態2に係る電力低下検知装置50の別の一例を示す概略図である。なお、図9の第1比較器54a及び第2比較器54bに係る構成以外については、上述の図7と同一であるため説明を省略する。
図9に示すように、電力低下検知装置50において、第1比較器54aは第1ツェナーダイオード55aとして構成してもよい。第1比較器54aとして第1ツェナーダイオード55aを用いる場合、第1ツェナーダイオード55aの負極側と分圧器52との間に第1電流制限抵抗器55a1が接続される。第1ツェナーダイオード55aの正極側は第1受光器58aに接続される。第1ツェナーダイオード55aは、第1比較器54aの第1基準電圧Eref1に応じた降伏電圧を有するように構成される。
第1電流制限抵抗器55a1は、第1ツェナーダイオード55aに過電流が流れることによる第1ツェナーダイオード55aの損傷を防ぐための保護抵抗器である。第1電流制限抵抗器55a1には、金属皮膜抵抗、酸化金属皮膜抵抗、炭素皮膜抵抗といった小型の固定抵抗器が用いられる。第1電流制限抵抗器55a1は、例えば、チップ抵抗器として構成される。
第1ツェナーダイオード55aは、例えば、出力電圧Esが14Vを超える場合に、第1電気信号が第1光検出器56aに出力され、出力電圧Esが14V以下の場合に、第1電気信号が第1光検出器56aに出力されないように構成できる。上述の構成の第1ツェナーダイオード55aを用いる場合においては、出力電圧Esが14Vを超える場合に、制御部14で検知される第1検知信号は、出力側回路基準電位部85aの電位とほぼ同一の低電位の信号となる。また、出力電圧Esが14V以下の場合は、制御部14で検知される第1検知信号は、出力側電源95aの定格電圧とほぼ同一の高電位の信号となる。
また、図9に示すように、電力低下検知装置50において、第2比較器54bは第2ツェナーダイオード55bとして構成してもよい。第2比較器54bとして第2ツェナーダイオード55bを用いる場合、第2ツェナーダイオード55bの負極側と分圧器52との間に第2電流制限抵抗器55b1が接続される。第2ツェナーダイオード55bの正極側は第2受光器58bに接続される。第2ツェナーダイオード55bは、第2比較器54bの第2基準電圧Eref2に応じた降伏電圧を有するように構成される。
第2電流制限抵抗器55b1は、第2ツェナーダイオード55bに過電流が流れることによる第2ツェナーダイオード55bの損傷を防ぐための保護抵抗器である。第2電流制限抵抗器55b1には、金属皮膜抵抗、酸化金属皮膜抵抗、炭素皮膜抵抗といった小型の固定抵抗器が用いられる。第2電流制限抵抗器55b1は、例えば、チップ抵抗器として構成される。
第2ツェナーダイオード55bは、例えば、出力電圧Esが5.4Vを超える場合に、第2電気信号が第2光検出器56bに出力され、出力電圧Esが5.4V以下の場合に、第2電気信号が第2光検出器56bに出力されないように構成できる。上述の構成の第2ツェナーダイオード55bを用いる場合においては、出力電圧Esが5.4Vを超える場合に、制御部14で検知される第2検知信号は、出力側回路基準電位部85bの電位とほぼ同一の低電位の信号となる。また、出力電圧Esが5.4V以下の場合は、制御部14で検知される第2検知信号は、出力側電源95bの定格電圧とほぼ同一の高電位の信号となる。
次に、本実施の形態2の運転制御装置8での制御処理の一例について、具体的に説明する。
本実施の形態2では、ブラシレス直流電動機等の電動機70の駆動に必要な、直流電源2から出力される直流電圧の範囲が260〜380Vであり、この直流電圧の範囲でのインバータ装置38の駆動周波数fが第1周波数f1である場合を考える。直流電源2から出力される直流電圧が260V以下となった場合、前述の図5に示されるように、電動機70の巻線での電力損失が増加する。例えば、直流電源2が無停電電源装置であり、蓄電池を有しており、直流電源2から出力される直流電圧が260V以下となった場合を考える。この場合、運転制御装置8が直流電圧の低下が直流電源2の蓄電池の容量低下によって発生していると判断し、インバータ装置38の駆動周波数fを第2周波数f2に早めに低下させることができれば、電動機70の長時間の運転継続が可能となる。したがって、図5の実線の折れ線に示すように、運転制御装置8が、直流電源2から出力される直流電圧が260V以下に低下するのを検知し、インバータ装置38の駆動周波数fを第2周波数f2に低下させることができれば、電動機70の巻線での電力損失を抑制し、電動機70の動作が制限されるのを回避できる。
また、本実施の形態2では、直流電源2から出力される直流電圧の低下により、空気調和機1の動作が不安定となる以下の(1)〜(2)の問題が生じる場合を考える。
(1)直流電圧が87V以下に低下した場合、第1電力変換器12aからの分散電源システムである、第2電力変換器12b及び第3電力変換器12cの定格電圧が確保できなくなる。すなわち、定格電圧12Vの第2電力変換器12b、及び定格電圧5Vの第3電力変換器12cの動作が不安定となる。したがって、第3電力変換器12cから制御部14への電力供給が不安定になる。
(2)直流電圧が75V以下に低下した場合、ブラシレス直流電動機等の電動機70の駆動に必要な電力が確保できなくなり、過電流保護のための動作モードに移行し、場合によっては停止する。
特に、第3電力変換器12cから制御部14への電力供給が不安定となった場合、制御部14が正常に動作せず、空気調和機1の安全性及び信頼性が損なわれる可能性がある。したがって、直流電圧が例えば100V以下になった場合には、前述の図2で説明したように、直流電源2からの電力供給を停止し、送電部21から制御部14への電力の供給を開始し、全アクチュエータの動作を停止し、不揮発データをメモリに保存しつつ復電を待つように制御すれば、制御部14の動作が不安定になるのを回避できる。また、前述のような受電切り替え機能が無い場合においても、Esの値がEref2以下となるのを検知した際に、全アクチュエータの動作を停止し、不揮発データをメモリに保存しつつ復電を待つ制御とすることで、電源電圧低下に伴う不安定な動作を抑止できる。また、その後停電から復電した際にメモリの不揮発データを読み込む事で停止前の条件で運転を再開することが可能となる。
図10は、本実施の形態2に係る運転制御装置8における制御処理の一例を示すフローチャートである。本実施の形態2の運転制御装置8において、制御部14は、通常の給電動作が行われている間に、当該制御処理を実行するように構成できる。また、通常運転時において、インバータ装置38の駆動周波数fは、第1周波数f1であるものとする。
ステップS21では、分圧器52から出力される出力電圧Esの値が、第1比較器54aの第1基準電圧Eref1の値以下であるか否かが判定され、直流電源2の電圧が安定して供給されているか否かを判定する。
分圧器52から出力される出力電圧Esの値が、第1基準電圧Eref1の値以下であると判定された場合は、ステップS22において、制御部14では、インバータ装置38の駆動周波数fを、第1周波数f1より小さい第2周波数f2とする制御が行われる。分圧器52から出力される出力電圧Esの値が、第1基準電圧Eref1の値より大きいと判定された場合は、インバータ装置38の駆動周波数fは、第1周波数f1で維持される。また、通常の給電動作が行われている間、ステップS21の判定処理が繰り返される。
ステップS23では、制御部14では、分圧器52から出力される出力電圧Esの値が、第2比較器54bの第2基準電圧Eref2の値以下であるか否かが判定され、制御部14の駆動に必要な電力が確保できるか否かが判定される。出力電圧Esの値が、第2基準電圧Eref2の値より大きいと判定された場合、ステップS21〜S23の処理が繰り返される。
分圧器52から出力される出力電圧Esの値が、第2基準電圧Eref2の値以下であると判定された場合は、ステップS24において、通常の給電動作、すなわち直流電源2からの電力供給が停止される。また、送電部21から制御部14への電力の供給が開始される。その後、空気調和機1は、通常の給電動作の復旧待ち状態となり、必要に応じて、使用者に対して電圧低下異常が発報される。
以上に示すように、本実施の形態2の運転制御装置8の制御部14は、インバータ装置38の駆動周波数fの制御を行うように構成される。また、本実施の形態2の運転制御装置8の制御部14は、分圧器52から出力された出力電圧Esが第1基準電圧Eref1の値よりも大きい場合に、インバータ装置38の駆動周波数fを第1周波数f1とするように構成される。また、本実施の形態2の運転制御装置8の制御部14は、分圧器52から出力された出力電圧Esが第1基準電圧Eref1の値以下となった場合に、前記インバータ装置38の駆動周波数fを第1周波数f1よりも低い第2周波数f2とするように構成される。また、本実施の形態2の運転制御装置8の制御部14は、分圧器52から出力された出力電圧Esが第2基準電圧Eref2の値以下となった場合に、直流電源2から第1空気調和ユニット100への電力の供給、すなわち通常の給電動作を停止するように構成される。また、本実施の形態2の運転制御装置8の制御部14は、分圧器52から出力された出力電圧Esが第2基準電圧Eref2の値以下となった場合に、送電部21から制御部14への電力の供給を開始するように構成される。
上述の構成によれば、直流電源2の電圧が低下した場合であっても、インバータ装置38の駆動周波数fを低下させるように制御することができ、電動機70の巻線の温度上昇を抑えつつ、空気調和機1の運転を継続することが可能となる。また、上述の構成によれば、直流電源2の電圧が低下した場合であっても、通常の給電動作を停止し、送電部21から制御部14に電力の供給を行うことができる。したがって、上述の構成によれば、制御部14の動作が送電部21からの電力供給により保証されるため、空気調和機1の安全性及び信頼性を確保できる。
なお、空気調和機1の電圧低下を検知する方法としては、母線電圧監視回路で母線電圧の低下を検知する方法がある。しかしながら、母線電圧の低下の情報は、インバータ装置38で用いられるものであるから、母線電圧監視回路はインバータ基板30bに設けられる。したがって、母線電圧の低下の情報はインバータ基板30bのインバータ制御部15で処理されるため、母線電圧の低下の情報を受信してから、制御部14に送信されるまでに、遅延が発生する可能性がある。
一方、上述の構成によれば、制御部14で電圧が低下したことを検知できるため、電圧低下の情報が遅延することはない。したがって、上述の構成によれば、制御部14で電圧が低下したことを検知できることにより、空気調和機1の安全性及び信頼性を向上させることができる。
図11は、本実施の形態2に係る運転制御装置8における制御処理の別の一例を示すフローチャートである。本実施の形態2の運転制御装置8において、制御部14は、送電部21から制御部14への電力の供給時に、直流電源2から第1空気調和ユニット100への電力の供給が開始された場合、当該制御処理を実行するように構成できる。
ステップS31では、制御部14では、分圧器52から出力される出力電圧Esの値が、第2比較器54bの第2基準電圧Eref2の値より大きいか否かが判定され、制御部14の駆動に必要な電力が確保できるか否かが判定される。分圧器52から出力される出力電圧Esの値が、第2基準電圧Eref2の値以下であると判定された場合、出力電圧Esの値が、第2基準電圧Eref2の値より大きいと判定されるまで、ステップS31の判定処理が繰り返される。
分圧器52から出力される出力電圧Esの値が、第2基準電圧Eref2の値より大きいと判定された場合は、ステップS32において、送電部21から制御部14への電力の供給が停止される。また、制御部14では、インバータ装置38の駆動周波数fを、第2周波数f2とする制御が行われる。
ステップS33では、制御部14では、分圧器52から出力される出力電圧Esの値が、第1比較器54aの第1基準電圧Eref1の値より大きいか否かが判定され、直流電源2の電圧が安定して供給されているか否かを判定する。出力電圧Esの値が、第1基準電圧Eref1の値以下であると判定された場合、ステップS31〜S33の処理が繰り返される。
分圧器52から出力される出力電圧Esの値が、第1基準電圧Eref1の値より大きいと判定された場合は、ステップS34において、制御部14では、インバータ装置38の駆動周波数fを、第1周波数f1とする制御が行われる。
以上に示すように、本実施の形態2の運転制御装置8の制御部14は、送電部21から制御部14への電力の供給時に直流電源2から第1空気調和ユニット100への電力の供給が開始された場合に、空気調和機1の駆動を通常運転に戻すように構成される。具体的には、本実施の形態2の運転制御装置8の制御部14は、分圧器52から出力された出力電圧Esが第2基準電圧Eref2の値より大きい場合に、送電部21から制御部14への電力供給を停止するように構成される。また、本実施の形態2の運転制御装置8の制御部14は、インバータ装置38の駆動周波数fを第2周波数f2とするように構成される。また、本実施の形態2の運転制御装置8の制御部14は、分圧器52から出力された出力電圧Esが第1基準電圧Eref1の値よりも大きい場合に、インバータ装置38の駆動周波数fを第1周波数f1とするように構成される。
上述の構成によれば、電圧低下状態からの電力復旧の際に、制御部14及びインバータ装置38への電力供給状態を判定することができるため、制御部14及びインバータ装置38の誤動作等を回避することができる。
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る運転制御装置8の電力低下検知装置50について、図12を用いて説明する。図12は、本実施の形態3に係る電力低下検知装置50の一例を示す概略図である。なお、直流電源2、分圧器52、第1比較器54a、第2比較器54b、第1光検出器56a、及び第2光検出器56bの構造は、上述の実施の形態と同一であるため説明を省略する。
電力低下検知装置50は、分圧器52に第1比較器54a及び前記第2比較器54bと並列接続された第3比較器54cと、第3比較器54cに接続された第3光検出器56cとを備える。図12の一点鎖線Aで概略的に示すように、第3光検出器56cにおいて、電力低下検知装置50の制御部14の側の出力側回路50bは、直流電源2の側の入力側回路50aと電気的に絶縁されている。第3光検出器56cの出力側回路50bの側は、制御部14の第3入力ポート14cに接続されている。
第1分圧抵抗器52aと第2分圧抵抗器52bとの間の接続部は、第3比較器54cの入力側に接続されている。図12に示すように、直流電源2から出力された電圧は、分圧器52によって分圧され、出力電圧Esとして、第3比較器54cに入力される。
第3比較器54cは、分圧器52から出力された出力電圧Esを予め定められた第3基準電圧Eref3と比較して、前記出力電圧Esが第3基準電圧Eref3よりも大きい場合に第3電気信号を第3光検出器56cに出力するように構成される。第3比較器54cは、例えば図12に示すように、第3演算増幅器54c1と、第3基準電圧源54c2を有する構成にできる。図12に示すように、第3演算増幅器54c1には、演算増幅器駆動電源92cが接続され、第3演算増幅器54c1を駆動するための電力が供給される。図12を含む以下の図面では図示しないが、演算増幅器駆動電源92cは、運転制御装置8の一次側に搭載された直流電力変換器12として、例えば、定格電圧15Vの電力を第3演算増幅器54c1に供給するように構成される。また、第3演算増幅器54c1の負極側の電源端子は、直流電源2の負極側に接続されている。
第3演算増幅器54c1は、2つの入力端子と、1つの出力端子とを有し、2つの入力端子間の電位差に応じて出力端子から電気信号を出力する差動増幅回路である。第3演算増幅器54c1の2つの入力端子は、非反転入力端子と、反転入力端子とからなる。非反転入力端子は、分圧器52、すなわち、第1分圧抵抗器52aと第2分圧抵抗器52bとの間の接続部に接続されており、分圧器52から出力された出力電圧Esが印加される。反転入力端子には、第3基準電圧源54c2の正極側が接続されており、第3基準電圧Eref3が印加される。第3演算増幅器54c1は、スイッチング素子を含む集積回路として構成される。
第3基準電圧源54c2は、一定の直流電圧を第3演算増幅器54c1に出力する電圧調整器である。第3基準電圧源54c2の正極は、第3演算増幅器54c1の反転入力端子に接続され、第3基準電圧源54c2の負極は、直流電源2の負極側に接続されている。第3比較器54cでは、第3基準電圧源54c2から第3演算増幅器54c1の反転入力端子に第3基準電圧Eref3が入力される。第3基準電圧源54c2は、例えば、スイッチング素子を含む集積回路として構成できる。スイッチング素子を含む集積回路の例としては、例えばシャントレギュレータが挙げられる。なお、第3基準電圧源54c2は、第3演算増幅器54c1と同一の集積回路上に構成してもよい。
なお、第3比較器54cで用いられるスイッチング素子は、例えば、バイポーラトランジスタ、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ、又は酸化金属半導体電界効果トランジスタ等のスイッチング素子で構成できる。
第3比較器54cでは、分圧器52から出力された出力電圧Esが予め定められた第3基準電圧Eref3と比較され、出力電圧Esが第3基準電圧Eref3よりも小さい場合に、第3電気信号が第3光検出器56cに出力される。
第3光検出器56cは、第3比較器54cに接続され、第3比較器54cから出力された第3電気信号を受信して第3光信号56c1を送信する第3発光器57cと、第3発光器57cからの第3光信号56c1を受信する第3受光器58cとを有するように構成されている。第3光検出器56cにおいて、第3受光器58cは、第3発光器57cと電気的に絶縁されている。第3光検出器56cは、外部からの光を遮断するために、例えば集積回路として構成されている。
図12に示すように、第3発光器57cは、第3発光側抵抗器57c1と、第3発光素子57c2と、第3スイッチング素子57c3と、第3ベース端子抵抗器57c4と、第3端子間抵抗器57c5とを有する構成にできる。第3発光器57cにおいて、第3発光側抵抗器57c1、第3発光素子57c2、及び第3スイッチング素子57c3は直列に接続されている。具体的には、第3発光側抵抗器57c1の一端は、入力側電源90aに接続されている。図12を含む以下の図面では図示しないが、入力側電源90aは、運転制御装置8の一次側に搭載された直流電力変換器12として、例えば、定格電圧15Vの電力を第3発光器57cに供給するように構成される。第3発光側抵抗器57c1の他の一端は、第3発光素子57c2の陽極側に接続されている。第3発光素子57c2の陰極側は、第3スイッチング素子57c3のコレクタ端子に接続されている。第3スイッチング素子57c3のエミッタ端子は、直流電源2の負極側に接続されている。第3ベース端子抵抗器57c4は、第3スイッチング素子57c3のベース端子と、第3比較器54cの出力端子との間に接続されている。第3端子間抵抗器57c5は、第3スイッチング素子57c3のベース端子と、第3ベース端子抵抗器57c4との間に分岐接続され、第3スイッチング素子57c3のエミッタ端子に接続されている。
なお、コレクタ端子は、アノード端子又はドレイン端子と称される場合がある。また、エミッタ端子は、カソード端子又はソース端子等と称される場合がある。また、ベース端子は、ゲート端子等と称される場合がある。
第3発光側抵抗器57c1は、第3発光素子57c2及び第3スイッチング素子57c3に過電流が流れることによる第3発光素子57c2及び第3スイッチング素子57c3の損傷を防ぐための保護抵抗器である。第3ベース端子抵抗器57c4及び第3端子間抵抗器57c5は、第3スイッチング素子57c3に過電流が流れることによる第3スイッチング素子57c3の損傷を防ぐための保護抵抗器である。第3発光側抵抗器57c1、第3ベース端子抵抗器57c4、及び第3端子間抵抗器57c5には、金属皮膜抵抗、酸化金属皮膜抵抗、炭素皮膜抵抗といった小型の固定抵抗器が用いられる。第3発光側抵抗器57c1、第3ベース端子抵抗器57c4、及び第3端子間抵抗器57c5は、例えば、チップ抵抗器として構成される。
第3発光素子57c2は、陽極側から陰極側に順方向に通電された際に第3光信号56c1を送信する半導体素子である。第3発光素子57c2としては、例えば赤外線を発光する赤外発光ダイオード等が用いられる。
第3スイッチング素子57c3は、第3比較器54cから送信された第3電気信号を受信して駆動するように構成されている。第3スイッチング素子57c3は、例えば、バイポーラトランジスタ、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ、又は酸化金属半導体電界効果トランジスタ等のスイッチング素子で構成できる。
図12に示すように、第3受光器58cは、第3受光側抵抗器58c1と、第3受光素子58c2とを有する構成にできる。第3受光器58cにおいて、第3受光側抵抗器58c1及び第3受光素子58c2は直列に接続されている。具体的には、第3受光側抵抗器58c1の一端は、出力側電源95cに接続されている。出力側電源95cは、運転制御装置8の二次側に搭載された直流電力変換器12、例えば、定格電圧5Vの電力を供給する第3電力変換器12cとして構成される。第3受光側抵抗器58c1の他の一端は、第3受光素子58c2の一端に接続されている。第3受光素子58c2の他の一端は、出力側回路基準電位部85cに接続されている。出力側回路基準電位部85cは、例えば、変圧器13aの出力部13a2の負極側に構成することができる。出力側回路基準電位部85cを変圧器13aの出力部13a2の負極側に構成することにより、絶縁破壊が発生した場合であっても、空気調和機1の二次側部分と大地との間で電気回路が形成されることによる、地絡電流の発生を回避できる。また、第3受光側抵抗器58c1と第3受光素子58c2との間の接続部は、制御部14の第3入力ポート14cに接続されている。第3受光器58cは、制御部14の第3入力ポート14cに第3検知信号を送信するように構成されている。
第3受光側抵抗器58c1は、第3受光素子58c2に過電流が流れることによる第3受光素子58c2の損傷を防ぐための保護抵抗器である。また、第3受光側抵抗器58c1は、第3光信号56c1を第3受光素子58c2が受信しないときに、制御部14で検知される第3検知信号が、出力側電源95cの定格電圧とほぼ同一の高電位の信号となるように設けられたプルアップ抵抗器である。第3受光側抵抗器58c1には、金属皮膜抵抗、酸化金属皮膜抵抗、炭素皮膜抵抗といった小型の固定抵抗器が用いられる。第3受光側抵抗器58c1は、例えば、チップ抵抗器として構成される。
第3受光素子58c2は、第3発光素子57c2からの第3光信号56c1を受信して駆動するように構成されたスイッチング素子である。図12に示すように、第3受光素子58c2としては、フォトトランジスタを用いることができる。第3受光素子58c2としてフォトトランジスタを用いた場合、フォトトランジスタのコレクタとベースの接合部が、第3発光素子57c2からの第3光信号56c1を受信する受光部として用いられる。また、第3受光素子58c2としてフォトトランジスタを用いた場合、フォトトランジスタのコレクタ端子が、第3受光側抵抗器58c1に接続され、フォトトランジスタのエミッタ端子が、出力側回路基準電位部85cに接続される。なお、第3受光素子58c2としては、フォトトランジスタの代わりに、シリコン製フォトダイオード等の受光素子を用いてもよい。第3受光素子58c2は、第3発光素子57c2からの第3光信号56c1を受信することにより駆動され、第3受光器58cは、無通電状態から通電状態に切り替わる。
次に、本実施の形態3に係る電力低下検知装置50の動作について、具体例を用いて説明する。
例えば、直流電源2の定格直流電圧が260〜380Vである場合を考える。分圧器52は、第1分圧抵抗器52aの抵抗値が88kΩ、第2分圧抵抗器52bの抵抗値が5kΩとなるように構成したとする。また、第1比較器54aは、第1基準電圧源54a2の第1基準電圧Eref1が14Vとなるように構成したとする。第2比較器54bは、第2基準電圧源54b2の第2基準電圧Eref2が11.82Vとなるように構成したとする。第3比較器54cは、第3基準電圧源54c2の第3基準電圧Eref3が5.4Vとなるように構成したとする。
直流電源2の直流電圧が260Vより大きく、空気調和機1に電力が安定して供給されている場合、分圧器52から出力される出力電圧Esは14V以上となる。
直流電源2の定格直流電圧が260Vより大きい場合、第1比較器54aから第1光検出器56aの第1発光器57aに第1電気信号が送信される。第1光検出器56aの第1発光器57aに第1電気信号が送信された場合、第1電気信号により第1発光器57aの第1スイッチング素子57a3が駆動状態となる。第1スイッチング素子57a3が駆動状態の場合、第1発光器57aの第1発光素子57a2が通電されて、第1光信号56a1が、第1発光素子57a2から第1受光器58aの第1受光素子58a2に送信される。第1光信号56a1は、第1受光素子58a2で受信され、第1受光器58aは通電状態となる。したがって、第1受光器58aから制御部14の第1入力ポート14aに入力され、制御部14で検知される第1検知信号は、出力側回路基準電位部85aの電位とほぼ同一の低電位の信号となる。
一方、直流電源2の直流電圧が下限値である260V以下となり、空気調和機1に供給される電力が低下している場合、分圧器52から出力される出力電圧Esは14V未満となる。直流電源2の定格直流電圧が260V以下の場合、第1比較器54aから第1光検出器56aの第1発光器57aに第1電気信号は送信されない。第1光検出器56aの第1発光器57aに第1電気信号が送信されない場合、第1発光器57aの第1スイッチング素子57a3は停止状態となる。第1スイッチング素子57a3が停止状態の場合、第1発光素子57a2は通電されないため、第1光信号56a1は、第1発光素子57a2から第1受光器58aの第1受光素子58a2に送信されない。第1光信号56a1が第1受光素子58a2に送信されない場合、第1受光器58aは無通電状態となる。したがって、第1受光器58aから制御部14の第1入力ポート14aに入力され、制御部14で検知される第1検知信号は、出力側電源95aの定格電圧とほぼ同一の高電位の信号となる。
また、直流電源2の直流電圧が260V以下となった場合であっても、220Vよりも大きい場合、分圧器52から出力される出力電圧Esは11.82V以上となる。
直流電源2の定格直流電圧が220Vより大きい場合、第2比較器54bから第2光検出器56bの第2発光器57bに第2電気信号が送信される。第2光検出器56bの第2発光器57bに第2電気信号が送信された場合、第2電気信号により第2発光器57bの第2スイッチング素子57b3が駆動状態となる。第2スイッチング素子57b3が駆動状態の場合、第2発光器57bの第2発光素子57b2が通電されて、第2光信号56b1が、第2発光素子57b2から第2受光器58bの第2受光素子58b2に送信される。第2光信号56b1は、第2受光素子58b2で受信され、第2受光器58bは通電状態となる。したがって、第2受光器58bから制御部14の第2入力ポート14bに入力され、制御部14で検知される第2検知信号は、出力側回路基準電位部85bの電位とほぼ同一の低電位の信号となる。
一方、直流電源2の直流電圧が下限値である220V以下となった場合、分圧器52から出力される出力電圧Esは11.82V未満となる。直流電源2の定格直流電圧が220V以下の場合、第2比較器54bから第2光検出器56bの第2発光器57bに第2電気信号は送信されない。第2光検出器56bの第2発光器57bに第2電気信号が送信されない場合、第2発光器57bの第2スイッチング素子57b3は停止状態となる。第2スイッチング素子57b3が停止状態の場合、第2発光素子57b2は通電されないため、第2光信号56b1は、第2発光素子57b2から第2受光器58bの第2受光素子58b2に送信されない。第2光信号56b1が第2受光素子58b2に送信されない場合、第2受光器58bは無通電状態となる。したがって、第2受光器58bから制御部14の第2入力ポート14bに入力され、制御部14で検知される第2検知信号は、出力側電源95bの定格電圧とほぼ同一の高電位の信号となる。
また、直流電源2の直流電圧が220V以下となった場合であっても、100Vよりも大きい場合、分圧器52から出力される出力電圧Esは5.4V以上となる。
直流電源2の定格直流電圧が100Vより大きい場合、第3比較器54cから第3光検出器56cの第3発光器57cに第3電気信号が送信される。第3光検出器56cの第3発光器57cに第3電気信号が送信された場合、第3電気信号により第3発光器57cの第3スイッチング素子57c3が駆動状態となる。第3スイッチング素子57c3が駆動状態の場合、第3発光器57cの第3発光素子57c2が通電されて、第3光信号56c1が、第3発光素子57c2から第3受光器58cの第3受光素子58c2に送信される。第3光信号56c1は、第3受光素子58c2で受信され、第3受光器58cは通電状態となる。したがって、第3受光器58cから制御部14の第3入力ポート14cに入力され、制御部14で検知される第3検知信号は、出力側回路基準電位部85cの電位とほぼ同一の低電位の信号となる。
一方、直流電源2の直流電圧が下限値である100V以下となった場合、分圧器52から出力される出力電圧Esは5.4V未満となる。直流電源2の定格直流電圧が100V以下の場合、第3比較器54cから第3光検出器56cの第3発光器57cに第3電気信号は送信されない。第3光検出器56cの第3発光器57cに第3電気信号が送信されない場合、第3発光器57cの第3スイッチング素子57c3は停止状態となる。第3スイッチング素子57c3が停止状態の場合、第3発光素子57c2は通電されないため、第3光信号56c1は、第3発光素子57c2から第3受光器58cの第3受光素子58c2に送信されない。第3光信号56c1が第3受光素子58c2に送信されない場合、第3受光器58cは無通電状態となる。したがって、第3受光器58cから制御部14の第3入力ポート14cに入力され、制御部14で検知される第3検知信号は、出力側電源95cの定格電圧とほぼ同一の高電位の信号となる。
なお、電力低下検知装置50における、第1分圧抵抗器52aの抵抗値、第2分圧抵抗器52bの抵抗値、第1基準電圧Eref1、及び第2基準電圧Eref2は、上述の例に限られない。例えば、第1分圧抵抗器52aの抵抗値を110kΩ、第2分圧抵抗器52bの抵抗値を20kΩ、第1基準電圧Eref1を40Vとした場合であっても、直流電源2の直流電圧が260V以下であるか否かを検知できる。また、第2基準電圧Eref2を33.84Vとした場合、直流電源2の直流電圧が220V以下であるか否かを検知できる。また、第3基準電圧Eref3を15.39Vとした場合、直流電源2の直流電圧が100V以下であるか否かを検知できる。また、電力低下検知装置50で検知可能な直流電源2の直流電圧は、260V、220V、100Vには限られない。260V、220V、100V以外の電圧であっても、第1分圧抵抗器52aの抵抗値、第2分圧抵抗器52bの抵抗値、第1基準電圧Eref1、第2基準電圧Eref2、及び第3基準電圧Eref3を調整することにより電力低下検知装置50で検知できる。
以上のとおり、本実施の形態3の電力低下検知装置50においては、直流電源2から出力される直流電圧が所定の値よりも低下したか否かによって、制御部14に出力する第1検知信号、第2検知信号、及び第3検知信号を切り換えることができる。したがって、制御部14で直流電源2の出力電力の低下を細分化して検知できる。また、電力低下検知装置50の制御部14の側の出力側回路50bは、直流電源2の側の入力側回路50aと電気的に絶縁されているため、一次側の漏電等による、二次側にある制御部14等の損傷が抑制される。また、電力低下検知装置50において出力側回路50bを入力側回路50aと電気的に絶縁することにより、使用者が触れる可能性のある部分に高電流が流れる可能性が抑制され、直流電源2と使用者が触れる可能性のある部分との絶縁が確保される。よって、本実施の形態3によれば、直流電源2との絶縁を確保しつつ、直流電源2を更に細分化して監視することが可能となるため、空気調和機1及び運転制御装置8の更なる信頼性及び安全性を確保可能な電力低下検知装置50を提供することができる。
次に、本実施の形態3の運転制御装置8での制御処理の一例について、具体的に説明する。
本実施の形態3では、ブラシレス直流電動機等の第1電動機70aの駆動に必要な、直流電源2から出力される直流電圧の範囲が260〜380Vであり、この直流電圧の範囲での第1インバータ装置38aの駆動周波数faが第1周波数f1である場合を考える。直流電源2から出力される直流電圧が260V以下となった場合、前述の図5に示されるように、第1電動機70aの巻線での電力損失が増加する。例えば、直流電源2が無停電電源装置であり、蓄電池を有しており、直流電源2から出力される直流電圧が260V以下となった場合を考える。この場合、運転制御装置8が直流電圧の低下が直流電源2の蓄電池の容量低下によって発生していると判断し、インバータ装置38の駆動周波数fを第2周波数f2に早めに低下させることができれば、電動機70の長時間の運転継続が可能となる。したがって、図5の実線の折れ線に示すように、運転制御装置8が、直流電源2から出力される直流電圧が260V以下に低下するのを検知し、第1インバータ装置38aの駆動周波数faを第2周波数f2に低下させることができれば、第1電動機70aの巻線での電力損失を抑制し、第1電動機70aの動作が制限されるのを回避できる。
また、本実施の形態3では、ブラシレス直流電動機等の第2電動機70bの駆動に必要な、直流電源2から出力される直流電圧の範囲が220〜340Vであり、この直流電圧の範囲での第2インバータ装置38bの駆動周波数fbが第3周波数f3である場合を考える。直流電源2から出力される直流電圧が220V以下となった場合、第2電動機70bの巻線での電力損失が増加する。したがって、直流電源2から出力される直流電圧が220V以下に低下するのを検知し、第2インバータ装置38bの駆動周波数fbを第4周波数f4に低下させることができれば、第2電動機70bの巻線での電力損失を抑制し、第2電動機70bの動作が制限されるのを回避できる。
また、本実施の形態3では、直流電源2から出力される直流電圧の低下により、空気調和機1の動作が不安定となる以下の(1)〜(2)の問題が生じる場合を考える。
(1)直流電圧が87V以下に低下した場合、第1電力変換器12aからの分散電源システムである、第2電力変換器12b及び第3電力変換器12cの定格電圧が確保できなくなる。すなわち、定格電圧12Vの第2電力変換器12b、及び定格電圧5Vの第3電力変換器12cの動作が不安定となる。したがって、第3電力変換器12cから制御部14への電力供給が不安定になる。
(2)直流電圧が75V以下に低下した場合、ブラシレス直流電動機等の電動機70の駆動に必要な電力が確保できなくなり、過電流保護のための動作モードに移行し、場合によっては停止する。
特に、第3電力変換器12cから制御部14への電力供給が不安定となった場合、制御部14が正常に動作せず、空気調和機1の安全性及び信頼性が損なわれる可能性がある。したがって、直流電圧が例えば100V以下になった場合には、前述の図2で説明したように、直流電源2からの電力供給を停止し、送電部21から制御部14への電力の供給を開始し、全アクチュエータの動作を停止し、不揮発データをメモリに保存しつつ復電を待つように制御すれば、制御部14の動作が不安定になるのを回避できる。また、前述のような受電切り替え機能が無い場合においても、Esの値がEref2以下となるのを検知した際に、全アクチュエータの動作を停止し、不揮発データをメモリに保存しつつ復電を待つ制御とすることで、電源電圧低下に伴う不安定な動作を抑止できる。また、その後、停電から復電した際にメモリの不揮発データを読み込む事で停止前の条件で運転を再開することが可能となる。
図13は、本実施の形態3に係る運転制御装置8における制御処理の一例を示すフローチャートである。本実施の形態3の運転制御装置8において、制御部14は、通常の給電動作が行われている間に、当該制御処理を実行するように構成できる。また、通常運転時において、第1インバータ装置38aの駆動周波数faは、第1周波数f1であるものとし、第2インバータ装置38bの駆動周波数fbは、第3周波数f3であるものとする。
ステップS41では、分圧器52から出力される出力電圧Esの値が、第1比較器54aの第1基準電圧Eref1の値以下であるか否かが判定され、直流電源2の電圧が安定して供給されているか否かを判定する。
分圧器52から出力される出力電圧Esの値が、第1基準電圧Eref1の値以下であると判定された場合は、ステップS42において、制御部14では、第1インバータ装置38aの駆動周波数faを、第1周波数f1より小さい第2周波数f2とする制御が行われる。分圧器52から出力される出力電圧Esの値が、第1基準電圧Eref1の値より大きいと判定された場合は、第1インバータ装置38aの駆動周波数faは、第1周波数f1で維持される。また、通常の給電動作が行われている間、ステップS41の判定処理が繰り返される。
ステップS43では、制御部14では、分圧器52から出力される出力電圧Esの値が、第2比較器54bの第2基準電圧Eref2の値以下であるか否かが判定され、第2インバータ装置38bの駆動に必要な電力が確保できるか否かが判定される。出力電圧Esの値が、第2基準電圧Eref2の値より大きいと判定された場合、第2インバータ装置38bの駆動周波数fbは、第3周波数f3で維持され、ステップS41〜S43の処理が繰り返される。
分圧器52から出力される出力電圧Esの値が、第2基準電圧Eref2の値以下であると判定された場合は、ステップS44において、出力電圧Esの値が第1基準電圧Eref1から第2基準電圧Eref2まで低下した電圧低下時間Tが、基準時間T0以上であるか否かが判定される。基準時間T0は、例えば、電圧低下による制御部14の誤動作が生じないように設定される。
電圧低下時間Tが、基準時間T0以上であるであると判定された場合は、ステップS45において、ステップS45において、制御部14では、第2インバータ装置38bの駆動周波数fbを、第3周波数f3より小さい第4周波数f4とする制御が行われる。
ステップS46では、制御部14では、分圧器52から出力される出力電圧Esの値が、第3比較器54cの第3基準電圧Eref3の値以下であるか否かが判定され、制御部14の駆動に必要な電力が確保できるか否かが判定される。出力電圧Esの値が、第3基準電圧Eref3の値より大きいと判定された場合、ステップS41〜S46の処理が繰り返される。
分圧器52から出力される出力電圧Esの値が、第3基準電圧Eref3の値以下であると判定された場合、又は、ステップS44において、電圧低下時間Tが、基準時間T0未満であると判定された場合、ステップS47において、通常の給電動作、すなわち直流電源2からの電力供給が停止される。また、送電部21から制御部14への電力の供給が開始される。その後、空気調和機1は、通常の給電動作の復旧待ち状態となり、必要に応じて、使用者に対して電圧低下異常が発報される。
以上に示すように、本実施の形態3の運転制御装置8の制御部14は、第1インバータ装置38a及び第2インバータ装置38bの周波数制御を行うように構成される。また、本実施の形態3の運転制御装置8の制御部14は、分圧器52から出力された出力電圧Esが第1基準電圧Eref1の値よりも大きい場合に、第1インバータ装置38aの駆動周波数faを第1周波数f1とするように構成される。また、本実施の形態3の運転制御装置8の制御部14は、分圧器52から出力された出力電圧Esが第1基準電圧Eref1の値よりも大きい場合に、第2インバータ装置38bの駆動周波数fbを第3周波数f3とするように構成される。また、本実施の形態3の運転制御装置8の制御部14は、分圧器52から出力された出力電圧Esが第1基準電圧Eref1の値以下となった場合に、第1インバータ装置38aの駆動周波数faを第1周波数f1よりも低い第2周波数f2とするように構成される。また、本実施の形態3の運転制御装置8の制御部14は、分圧器52から出力された出力電圧Esが第2基準電圧Eref2の値以下となった場合に、第2インバータ装置38bの駆動周波数fbを第3周波数f3よりも低い第4周波数f4とするように構成される。また、本実施の形態3の運転制御装置8の制御部14は、分圧器52から出力された出力電圧Esが第3基準電圧Eref3の値以下となった場合に、直流電源2から第1空気調和ユニット100への電力の供給、すなわち通常の給電動作を停止するように構成される。また、本実施の形態3の運転制御装置8の制御部14は、分圧器52から出力された出力電圧Esが第3基準電圧Eref3の値以下となった場合に、送電部21から制御部14への電力の供給を開始するように構成される。
上述の構成によれば、直流電源2の電圧が低下した場合であっても、複数のインバータ装置38の駆動周波数fを低下させるように制御することができ、複数の電動機70の巻線の温度上昇を抑えつつ、空気調和機1の運転を継続することが可能となる。また、上述の構成によれば、直流電源2の電圧が低下した場合であっても、通常の給電動作を停止し、送電部21から制御部14に電力の供給を行うことができる。したがって、上述の構成によれば、制御部14の動作が送電部21からの電力供給により保証されるため、空気調和機1の更なる安全性及び信頼性を確保できる。
また、本実施の形態3の運転制御装置8の制御部14は、電圧低下時間Tが、基準時間T0を超える場合に、直流電源2から第1空気調和ユニット100への電力の供給、すなわち通常の給電動作を停止するように構成される。また、本実施の形態3の運転制御装置8の制御部14は、電圧低下時間Tが、基準時間T0を超える場合に、送電部21から制御部14への電力の供給を開始するように構成される。
上述の構成によれば、直流電源2に急な電圧低下が生じる可能性が予測できるため、制御部14の誤動作を未然に回避することが可能となる。また、なだらかな電圧低下が生じた際には、電動機70の駆動周波数を低くする等、消費電力を抑えた制御に切り替えることにより、長時間運転状態を継続することが可能となる。
実施の形態4.
本発明の実施の形態4に係る運転制御装置8の電力低下検知装置50について、図14を用いて説明する。図14は、本実施の形態4に係る電力低下検知装置50の一例を示す概略図である。
図14では、第1光検出器56aの第1受光器58aにおいて、第1受光素子58a2のエミッタ端子が、制御部14のアナログポート140に接続されている。また、第2光検出器56bの第2受光器58bにおいて、第2受光素子58b2のエミッタ端子が、制御部14のアナログポート140に接続されている。すなわち、第1光検出器56aの出力側及び第2光検出器56bの出力側は、同一のアナログポート140に接続された構成となっている。また、第1受光素子58a2のエミッタ端子及び第2受光素子58b2のエミッタ端子には、アナログポート用分圧抵抗器59の一端が直列接続されている。すなわち、電力低下検知装置50の出力側回路50bにおいては、第1受光器58a及び第2受光器58bが、アナログポート用分圧抵抗器59を介して並列に接続された回路が構成されている。また、アナログポート用分圧抵抗器59の他の一端は、出力側回路基準電位部85dに接続されている。出力側回路基準電位部85dは、例えば、変圧器13aの出力部13a2の負極側に構成することができる。出力側回路基準電位部85dを変圧器13aの出力部13a2の負極側に構成することにより、絶縁破壊が発生した場合であっても、空気調和機1の二次側部分と大地との間で電気回路が形成されることによる、地絡電流の発生を回避できる。以上の構成により、アナログポート140では、アナログポート用分圧抵抗器59の両端に印加されている電圧値が検知され、アナログの検知信号として制御部14に送信される。その他の構造は、上述の実施の形態2と同一であるため、説明は省略する。
直流電源2の定格直流電圧が260〜380Vである場合を考える。分圧器52は、第1分圧抵抗器52aの抵抗値が88kΩ、第2分圧抵抗器52bの抵抗値が5kΩとなるように構成したとする。また、第1比較器54aは、第1基準電圧源54a2の第1基準電圧Eref1が14Vとなるように構成し、第2比較器54bは、第2基準電圧源54b2の第2基準電圧Eref2が5.4Vとなるように構成したとする。また第1受光側抵抗器58a1の抵抗値が、アナログポート用分圧抵抗器59の抵抗値と同一となるように構成したとする。また、第2受光側抵抗器58b1の抵抗値が、アナログポート用分圧抵抗器59の抵抗値の4倍となるように構成したとする。また、出力側電源95a、95bの定格電圧が5Vとなるように構成したとする。
上述の構成の場合、直流電源2の電圧が260Vを超えている場合、アナログポート140で検知される電圧値は2.8Vとなる。また、直流電源2の電圧が260V以下であるが、100Vを超えている場合、アナログポート140で検知される電圧値は1Vとなる。また、直流電源2の電圧が100V以下である場合、アナログポート140で検知される電圧値は0Vとなる。
したがって、上述の構成によれば、制御部14にアナログポート140を1ポート設けるのみで、直流電源2の電源電圧を細分化して監視することができるため、制御部14の小型化を図ることができる。
その他の実施の形態.
本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。例えば、本発明の電力低下検知装置50は、4つ以上の比較器及び光検出器をそれぞれ有する構成としてもよい。
また、上述の実施の形態は、互いに組み合わせることができる。例えば、上述の実施の形態2に記載の比較器の変形例は、他の実施の形態に適用してもよい。