JP6759147B2 - シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
このように、揮発性のドーパント不純物が高濃度に添加されることによって有転位化が発生し易いため、所望のシリコン単結晶を得ることが困難であった。
特許文献1には、シリコン単結晶の肩部成長工程において、Arガスを整流するガス整流筒の下端と、シリコン融液の自由液面との間の距離寸法を30mm超として、シリコン単結晶の肩部成長を行なう方法が示されている。また、肩部成長工程におけるガス整流筒の下端とシリコン融液の自由液面との間の距離寸法を、胴部成長工程における前記距離寸法よりも大きくすることが好ましいことが示されている。
本発明者らは、前記技術的課題を解決するために、シリコン単結晶の有転位化が発生する原因について鋭意研究した。その結果、特許文献1に記載されたシリコン単結晶の製造方法にあっては、Arガスを整流するガス整流筒の下端と、シリコン融液の自由液面との間の距離寸法が固定された距離寸法(30mm超)になされていることが、有転位化を十分に低減できない原因であることを知見した。
即ち、シリコン単結晶のネック部〜肩部の育成(クラウン育成)過程において、シリコン単結晶とシリコン融液との固液界面の形状が変化し、またネック部〜肩部(クラウン)の形状が変化するが、特許文献1に記載されたシリコン単結晶の製造方法にあっては、固定された距離寸法(30mm超)になされており、それが有転位化の原因であることを究明した。
しかしながら、成長初期工程(ネック部〜肩部)におけるシリコン単結晶の有転位化の影響を受けて、直胴部での有転位化が誘発され、シリコン単結晶の有転位化を抑制できないことを、本発明者らは知見した。
そして、輻射シールドとシリコン融液の表面との距離寸法の可変範囲について鋭意研究し、本発明を完成するに至った。
前記クラウン育成工程での距離寸法が30mm未満では、クラウンの外表面近傍のドーパント濃度の揺らぎが大きくなり有転位化し易く、前記距離寸法が50mmを超える場合では、チャンバ内のパージ用不活性ガスによる整流化が弱くなり、固化したドーパントに起因する付着物の落下によって、クラウンの有転位化が発生し易く、好ましくない。
より好ましくは、クラウン育成工程にあっては、輻射シールド下端からシリコン融液の表面までの距離寸法が30〜40mmの範囲内である。
前記距離寸法が15mm未満の場合、シリコン融液の表面位置の変動により、輻射シールドが融液界面に接触する危険があり、シリコン単結晶の温度勾配への影響が大きくなり、好ましくない。
一方、前記距離寸法が50mmを超える場合には、チャンバ内のパージガス用不活性ガスによる整流化が弱くなり、固化したドーパントに起因する付着物の落下による有転位化が多くなるため、好ましくない。
好ましくは、胴部育成工程における輻射シールド下端からシリコン融液の表面までの距離寸法は、15〜40mmである。
このように、クラウン育成開始時点の前記距離寸法を10mm〜20mmの範囲内で徐々に拡げるため、シリコン単結晶とシリコン融液との固液界面の形状変化、クラウンの形状変化を考慮した最適な距離寸法とすることができ、クラウンの有転位化を抑制することができる。
前記距離寸法が10mm未満、前記距離寸法が20mmを超える場合には、クラウンに転位が発生し、好ましくない。
尚、前記距離寸法を10〜20mm拡げる際、一定速度で連続的に行うのが好ましい。
ここで、前記距離寸法が20mm未満、前記距離寸法が35mmを超える場合には、直胴部に転位が発生し、好ましくない。
尚、前記距離寸法を20〜35mm狭める際、一定速度で連続的に行うのが好ましい。
シリコン単結晶育成中のチャンバの内圧を200〜300Torrに制御するのは、シリコン単結晶の外表面からの揮発性ドーパントの蒸発をできるだけ少なくするためである。前記内圧が200Torr未満の場合には、結晶表面付近のドーパント濃度の揺らぎが大きくなり成長縞の曲率が不均一となり、有転位化し易くなるため、好ましくない。
一方、前記チャンバの内圧が300Torrを超える場合には、揮発したドーパントに起因する付着物が、チャンバ内のガス流速が低下することで整流作用が弱くなり、前記付着物の落下による有転位化が発生するため、好ましくない。
即ち、直胴部育成終了前の直胴部が200mm育成されるまでに、クラウン育成終了時点の前記距離寸法を20〜35mmの範囲内で狭め、距離寸法をクラウン育成開始時点の距離寸法とするのが好ましい。
前記直胴部の育成が200mmを越えた以降の育成では、クラウン育成開始時の距離寸法より大きな距離寸法になされていると、シリコン単結晶の引上速度が低下し、良好な品質のシリコン単結晶が得られないため好ましくない。
このように、種結晶の回転数を25〜30rpmから、成長に伴い種結晶の回転数を徐々に下げ、クラウン育成が終了する時点には10〜14rpmまで下げることにより、クラウン育成における成長縞の不均一を回避でき、有転位化を抑制することができる。
また、直胴部育成工程におけるルツボの回転数を1〜3rpmとすることにより、シリコン単結晶面内の濃度分布をより均一にすることがで、有転位化を抑制することができる。
この製造装置1は、円筒形状のチャンバ(チャンバ)2と、チャンバ2内に設けられたルツボ3と、ルツボ3に装填された原料シリコンを溶融するカーボンヒータ4とを有している。このルツボ3は、内側が石英ガラスルツボ3a、外側が黒鉛ルツボ3bで構成されている。
この輻射シールド7が設けられることにより、上方からルツボ3内に供給されたパージ用不活性ガス(Arガス)Gは、輻射シールド7とシリコン融液Mの表面との隙間を通って、ルツボ3外に流れ、最終的にチャンバ2外(チャンバ外)に排出される。
そして、ワイヤ8の先端に種結晶Pが取り付けられ、シリコン単結晶Cを育成しながら引上げるようになされている。
したがって、ガス供給口からチャンバ2内に供給されたパージ用不活性ガス(Arガス)Gは、排気ポンプによって、輻射シールド7とシリコン融液Mの表面との隙間を通って、ルツボ外に流れ、最終的にチャンバ2外(チャンバ外)に排出される。
この輻射シールド7は、図示しない昇降装置によりシリコン融液Mの表面M1と輻射シールド7の下端7dの間の距離寸法(間隔)Xを可変できるように構成されている。即ち、シリコン単結晶の製造工程において、この輻射シールド7を昇降させ、シリコン融液Mの表面M1と輻射シールドの下端7dの距離寸法(間隔)Xを最適値になすことができる。
前記ルツボ3を昇降させる場合には、昇降によってシリコン融液Mの表面M1が揺れ、シリコン融液Mの表面M1の表面位置が変動し、シリコン単結晶の径に変動をきたす虞がある。
一方、輻射シールド7を昇降させる場合には、昇降によってシリコン融液Mの表面M1が揺れることがないため、シリコン単結晶の径に変動をきたす虞がなく、好ましい。
また、輻射シールド7は、輻射シールド7に取付けられたワイヤをモータでドラムに巻上げ、ワイヤをドラムから引出すことにより、容易に昇降させることができる。しかも、輻射シールド7の昇降動作を滑らかに、連続的に行うことができる。
本発明にかかる製造方法は、ウエハの抵抗値が0.01Ω・cm以下のN型シリコン単結晶を製造(育成)する際に、揮発性の高い砒素、アンチモン、又はリンをドーパントとして使用するシリコン単結晶の製造方法であり、歩留低下の最大要因となるシリコン単結晶の有転位化を低減するものである。
尚、下記に説明する製造方法にあっては、輻射シールド7を昇降させる場合について説明するが、本発明は特にこれに限定されるものでなく、ルツボ3を昇降させても良い。
次に、多結晶シリコン原料の溶融が完了した後、シリコン融液の表面温度を融点の1420℃まで降温調整し、揮発性の高い砒素、アンチモン、又はリンのドーパントを添加する。その後、ワイヤ8で吊り下げた種結晶Pをシリコン融液Mに浸漬し、馴染ませてシリコン単結晶の育成を開始し、シリコンインゴット(シリコン単結晶)を引き上げる。
前記シリコンインゴット(シリコン単結晶)は、ネック育成工程、クラウン育成工程、直胴部育成工程、テール育成工程を経て、引上げられる(製造される)。
一方、距離寸法X(間隙)が50mm以下としたのは、前記距離寸法Xが50mm以上では、パージ用不活性ガス(Arガス)による整流化が弱くなり、揮発したドーパントがチャンバ内に付着し、これが固化した付着物がクラウンに落下することにより、クラウンの有転位化が発生する虞があるからである。
尚、前記クラウンの育成開始時点では、クラウンの形状が小さいことを考慮すると、輻射シールド7下端7dからシリコン融液Mの表面M1までの距離寸法Xが30〜40mmとするのが好ましい。
前記クラウンの育成開始時点における距離寸法Xが30〜40mmに設定されている場合には、前記距離寸法Xを10mm〜20mmの範囲内で増加(上昇)させた場合にも、輻射シールド7は、シリコン融液Mの表面M1までの距離寸法Xは30〜50mmの範囲内におくことができる。
尚、前記距離寸法を10mm〜20mmの範囲内で徐々に増加(上昇)させる際、一定速度で連続的に行うのが好ましい。
前記距離寸法が10mm未満の場合には、クラウンの形状変化に対応しきれず、クラウン表面のドーパントの揺らぎが生じ、有転位化を抑制できないため、好ましくない。
また、前記距離寸法が20mmを超える場合には、クラウンの形状変化以上の隙間が形成されるため、付着物がクラウンに落下することにより、クラウンの有転位化が発生する虞があり、好ましくない。
即ち、輻射シールド7は、シリコン融液Mの表面M1までの距離寸法Xは、15〜50mmの範囲内で移動が制限される。
特に、直胴部の育成工程にあっては、前記距離寸法Xは15〜40mmの範囲内が好ましく、輻射シールド7の移動が前記15〜40mmの範囲内に制限されるのがより望ましい。
尚、チャンバ内圧が200〜300Torrの場合、Gap15mmが下限の適切な値である。
好ましくは、直胴育成工程では、前記距離寸法Xは15〜40mmになされるのが良い。
そのため、直胴部育成工程では、クラウン育成工程で拡げられた前記距離寸法Xを直胴部の育成開始から直胴終了至る間に徐々に狭める。
ここで、前記距離寸法が20mm未満の場合には、結晶育成の温度勾配を充分大きくできないため、組成的過冷却による有転位化が起こり易くなり、好ましくない。
また、前記距離寸法が35mmを超える場合には、結晶育成の温度勾配が小さく、組成的過冷却による有転位が発生し易いため、好ましくない。
尚、前記距離寸法を20mm〜35mmの範囲内で徐々に狭める(下降)させる際、一定速度で連続的に行うのが好ましい。
直胴部育成工程での距離寸法Xの狭め方は、直胴部育成開始から直胴部育成終了に至る間、好ましくは直胴部の育成開始から直胴部が200mm育成されるまでに狭めるのが好ましい。
一方、直胴部の育成長さが200mm未満の場合には、クラウンの育成開始時の距離寸法Xより距離寸法Xが大きくても、シリコン単結晶化による潜熱が比較的逃げやすいため、必要な引上げ速度を得ることができ、良好な品質のシリコン単結晶を得ることができる。
シリコン単結晶の製造工程(クラウン育成工程、直胴部育成工程)におけるチャンバの内圧は、200〜300Torrに制御される。チャンバの内圧を200〜300Torrとするのは、シリコン単結晶の外表面からの揮発性ドーパントの蒸発をできるだけ少なくするためである。
一方、チャンバの内圧が300Torrを超える場合には、揮発したドーパントに起因した付着物が、パージ用不活性ガスの流速が低下することで整流作用が弱くなり、前記付着物の落下による有転位化が発生する。そのため、チャンバの内圧は300Torr以下が好ましい。
具体的は、クラウン育成工程において、ルツボ回転数を1〜3rpmとし、クラウン育成開始の結晶回転数を25〜30rpmとし、その後、クラウン育成終了までに種結晶の回転数を10〜14rpmに減少させる。そして、直胴部育成工程において、ルツボ回転数を1〜3rpmとし、種結晶の回転数を10〜14rpmになして、シリコン単結晶を引き上げる。
そのため、成長縞の不均一を回避するために、クラウン育成の早い段階で結晶回転数を25〜30rpmに調整し、成長に伴い種結晶Pの回転数を徐々に下げ、クラウン育成が終了するころには10〜14rpmまで下げることが望ましい。
また、直胴部育成工程においても、前記成長縞の不均一を回避するため、種結晶Pの回転数は10〜14rpmが維持されながら、シリコン単結晶Cの引上げがなされる。
このシリコン単結晶の製造では、Φ24インチの石英ルツボに150kgの多結晶シリコン原料をチャージし、高濃度のリンをドープして、固化率80%で0.9mΩ・cmを狙ってシリコン単結晶を育成(製造)した。
シリコン単結晶を育成する条件としては、製造装置のチャンバの内圧を250Torr一定とし、クラウン育成中の種結晶の回転速度をクラウンの育成開始時で27rpmとし、クラウン育成中に徐々に下げき、最終的に12rpmまで下げた。そして、直胴部育成工程においても、種結晶の回転数を10〜14rpmが維持した。尚、クラウンの育成工程及び直胴育成工程におけるルツボ3の回転数は1〜3rpmとした。
このシリコン単結晶の無転位率は、シリコン単結晶育成中の炉内監視で有転位化したかを目視で判断して測定した。
実施例1では、図3に示すように、クラウンの育成開始時は輻射シールド下端からシリコン融液の表面までの距離寸法Xを30mmとしている。その後、距離寸法を徐々に拡げ、クラウン育成終了時には、前記距離寸法を10mm拡げ、40mmとしている。そして、直胴部の育成開始時の距離寸法Xの40mmから距離寸法を徐々に狭め、直胴部の200mm育成までに前記距離寸法Xを25mm狭め、15mmとしている。
尚、図3中の○は無転位率80%以上を示す。△は無転位率50〜80%、×は無転位率50%未満であることを示している。したがって、最適な距離寸法条件は、クラウンも直胴部も○で示す範囲である。
比較例1の場合は、クラウンは無転位であったが、直胴部育成工程で距離寸法Xが53mmとやや広い状態で育成を開始したため、結晶が変形し易くなり、直胴部に転位が発生した。
比較例2の場合は、クラウンは無転位であったが、直胴部育成工程で、距離寸法Xを10mmと狭くしたため、パージ用の不活性ガス(Arガス)の流速が早くなり、シリコン融液の表面に揺らぎが生じ、直胴部の無転位率が低下した(有転位化が増えた)。
比較例4の場合には、クラウンでの距離寸法を25mm一定としているため、クラウンの無転位率が50%〜80%と低かった(有転位化が高かった)。更にこの状態で直胴部を育成したため、直胴部の無転位率は50%未満と低かった。
比較例6の場合には、クラウン育成工程及び直胴部育成工程の距離寸法Xが大きく、直胴部の無転位率は50%未満と低かった。
2 チャンバ(炉)
3 ルツボ
4 カーボンヒータ
7 輻射シールド
7d 輻射シールドの下端
C シリコン単結晶
G パージ用不活性ガス
M シリコン融液
M1 シリコン融液の表面
P 種結晶
X 輻射シールドの下端とシリコン融液の表面との間の距離寸法
Claims (5)
- 砒素、アンチモン、又はリンを含有するN型の低抵抗シリコン単結晶の製造方法において、
クラウン育成工程での輻射シールド下端からシリコン融液の表面までの距離寸法を30〜50mmの範囲内に、かつ直胴部育成工程での輻射シールド下端からシリコン融液の表面までの距離寸法を15〜50mmの範囲内になすと共に、
前記クラウン育成工程におけるクラウン育成開始からクラウン育成終了までに、クラウン育成開始時点の前記距離寸法を10mm〜20mmの範囲内で徐々に拡げ、更に、前記直胴部育成工程における直胴部育成開始から直胴部育成終了に至る間に、クラウン育成終了時点の前記距離寸法を20〜35mmの範囲内で狭めることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。 - 前記クラウン育成工程及び前記直胴部育成工程における、シリコン単結晶の製造装置のチャンバ内圧が200〜300Torrになされていることを特徴とする請求項1記載のシリコン単結晶の製造方法。
- 前記直胴部育成工程において、
直胴部が200mm育成されるまでに、前記距離寸法をクラウン育成開始時点の距離寸法まで狭めることを特徴とする請求項1または請求項2記載のシリコン単結晶の製造方法。 - クラウン育成工程において、ルツボの回転数を1〜3rpmとし、クラウン育成開始の種結晶回転数を、前記ルツボの回転方向と逆方向に25〜30rpmとし、その後、クラウン育成終了までに種結晶の回転数を10〜14rpmに減少させ、
直胴部育成工程において、ルツボ回転数を1〜3rpmとし、種結晶回転数を10〜14rpmになすことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のシリコン単結晶の製造方法。 - シリコン単結晶の直径が6インチ以上8インチ以下である請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のシリコン単結晶の製造方法。
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