以下、図面を参照しながら、X線検出器、X線検出器モジュール及びX線CT装置の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び各図面において、同一の役割を果たす構成要素には同一の符号が付されている。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成例を示す模式的なブロック図である。例えば、図1に示すように、本実施形態に係るX線CT装置100は、ガントリ110、天板120、記憶回路130、入力回路140、ディスプレイ150、及び処理回路160を有する。
ガントリ110は、回転フレーム111と、回転駆動装置112と、フレーム支持機構とを有する回転支持機構を収容する。回転フレーム111には、高電圧発生器113と、X線管114と、X線検出器200と、データ収集装置(Data Acquisition System:DAS)115と、非接触データ伝送装置116とが搭載される。なお、図1では、回転支持機構及びフレーム支持機構については図示を省略している。
回転フレーム111は、フレーム支持機構によって、X線CT装置100に設定された所定の回転軸を中心に回転自在に支持されている。そして、回転フレーム111は、X線管114とX線検出器200とを回転軸を挟んで対向するように支持している。なお、X線CT装置100には、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸からなる装置座標系が設定される。ここで、Z軸は、回転フレーム111の回転軸と一致するように設定され、X軸は、水平方向に沿って設定され、Y軸は、鉛直方向に沿って設定される。
回転駆動装置112は、回転フレーム111の回転を駆動する。例えば、回転駆動装置112は、電動機によって実現される。
高電圧発生器113は、処理回路160による制御のもと、スリップリング117を介してガントリ110の外部から供給される電力により、X線管114に印加する管電圧及びX線管114に供給する管電流を発生する。なお、高電圧発生器113は、ガントリ110の外部に設置されてもよい。その場合には、高電圧発生器113は、スリップリング117を介して、X線管114に管電圧を印加し、X線管114に管電流を供給する。
X線管114は、高電圧発生器113から印加される管電圧及び高電圧発生器113から供給される管電流により、X線の焦点からX線を放射する。X線管114の前面に設けられたX線放射窓には複数のコリメータ板が取り付けられ、各コリメータ板が、X線の焦点から放射されたX線をコーンビーム形(角錐形)に成形する。なお、図1では、X線の照射範囲を破線118で示している。破線118に示すように、X線は、ガントリ110における回転フレーム111の中央周辺に形成された開口部119の内側に照射され、開口部119の内側に配置された被検体を透過してX線検出器200に入射する。
X線検出器200は、X線管114から放射されて、開口部119の内側に配置された被検体を透過したX線を検出する。具体的には、X線検出器200は、X線管114を中心とした円弧状に湾曲した中空の筐体を有しており、筐体の内側に、複数のX線検出器モジュール210と、コリメータ220とを備える。
複数のX線検出器モジュール210は、それぞれ、X線を検出する複数の検出素子を有しており、各検出素子によって検出されたX線の強度分布を示す強度分布データを生成してデータ収集装置115へ出力する。ここで、各X線検出器モジュール210は、X線管114を中心とした円弧の周方向に沿って並べて配置されている。
コリメータ220は、複数の遮蔽板を格子状に配置することで構成され、複数のX線検出器モジュール210に入射するX線から散乱線を除去する。ここで、コリメータ220は、X線管114を中心とした円弧状に形成されており、複数のX線検出器モジュール210におけるX線の入射側に配置されている。
なお、X線検出器200は、間接変換型のX線検出器であってもよいし、直接変換型のX線検出器であってもよい。例えば、間接変換型のX線検出器では、検出素子が、シンチレータと、光電子増倍管等の光センサとから構成され、入射したX線光子がシンチレータによってシンチレータ光に変換され、変換されたシンチレータ光が光センサによって電気信号に変換される。また、直接変換型のX線検出器では、例えば、検出素子が、テルル化カドミウム(CdTe)系の半導体素子で構成され、入射したX線光子が、直接、電気信号に変換される。
データ収集装置115は、X線検出器200から出力されるX線の強度分布データに対して増幅処理やA/D変換処理等を行うことで生データを生成し、生成した生データを非接触データ伝送装置116に出力する。
非接触データ伝送装置116は、磁気信号や光信号等を用いた非接触なデータ伝送方式により、データ収集装置115から出力される生データを処理回路160に出力する。
天板120は、被検体が載置され、図示していない天板駆動装置によってX軸、Y軸及びZ軸それぞれに沿って移動される。天板駆動装置は、処理回路160による制御のもと、ガントリ110に形成された開口部119の内側に天板120を移動する。
記憶回路130は、各種のデータを記憶する。例えば、記憶回路130は、処理回路160によって生成される投影データ医用画像を記憶する。例えば、記憶回路130は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。
入力回路140は、操作者から各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路160に出力する。例えば、入力回路140は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から処理画像を生成する際の画像処理条件等を操作者から受け付ける。例えば、入力回路140は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等により実現される。
ディスプレイ150は、各種の情報を出力する。例えば、ディスプレイ150は、処理回路160によって生成された医用画像や、操作者から各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ150は、液晶パネルやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ等により実現される。
処理回路160は、入力回路140から出力される入力操作の電気信号に応じて、X線CT装置100全体の動作を制御する。例えば、処理回路160は、前処理機能162と、画像生成機能163と、制御機能161とを有する。例えば、処理回路160は、プロセッサにより実現される。
制御機能161は、入力回路140を介して操作者から受け付けた収集条件に基づいて、回転駆動装置112や高電圧発生器113、天板駆動装置等を制御することによって、被検体の投影データを収集する。
前処理機能162は、非接触データ伝送装置116から出力される生データに対して前処理を行うことで投影データを生成し、生成した投影データを記憶回路130に格納する。例えば、前処理機能162は、対数変換処理やオフセット補正処理、チャンネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を行う。
画像生成機能163は、X線検出器200によって検出されたX線に基づいて被検体の医用画像を生成し、生成した医用画像を記憶回路130に格納する。
具体的には、画像生成機能163は、入力回路140から送られる再構成条件に基づいて、前処理機能162によって生成された投影データに対して再構成処理を行うことで、被検体のCT画像を再構成する。例えば、画像生成機能163は、フェルドカンプ法やコーンビーム再構成法等により3次元画像(ボリュームデータ)を再構成する。また、例えば、画像生成機能163は、ファンビーム再構成法やFBP(Filtered Back Projection)法等の逆投影処理により2次元画像(断層画像)を再構成する。
また、画像生成機能163は、入力回路140から送られる画像処理条件に基づいて、CT画像のデータに対して各種の画像処理を行うことで各種の処理画像を生成する。例えば、画像生成機能163は、MPR(Multi Planar Reconstruction)画像や、MIP(Maximum Intensity Projection)画像等の投影画像、ボリュームレンダリング画像等を生成する。
ここで、例えば、処理回路160が有する制御機能161、前処理機能162及び画像生成機能163は、それぞれコンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路130に記録される。処理回路160は、記憶回路130から各プログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各機能に対応するプログラムを読み出した状態の処理回路160は、図1で処理回路160内に示した制御機能161、前処理機能162及び画像生成機能163を有することとなる。
また、図1に示す例では、処理回路160が有する制御機能161、前処理機能162及び画像生成機能163が1つのプロセッサで実現される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、処理回路160が有する各機能は、単一又は複数のプロセッサによって適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路130に保存されたプログラムを読み出し、読み出したプログラムを実行することで機能を実現する。なお、記憶回路130にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し、読み出したプログラムを実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
このような構成のもと、本実施形態に係るX線CT装置100は、X線検出器200に備えられるX線検出器モジュール210の交換作業を容易に行うことができるように構成されている。
なお、前述したように、各X線検出器モジュール210は、X線管114を中心とした円弧の周方向に沿って並べて配置されている。そこで、以下の説明では、X線検出器モジュール210の配置における円弧の径方向を検出器径方向と呼び、周方向を検出器周方向と呼び、検出器径方向及び検出器周方向それぞれに直交する方向を検出器軸方向と呼ぶ。また、検出器径方向において、円弧の中心に近い側を内側、中心から遠い側を外側と呼ぶ。また、以下の説明で参照する各図面では、検出器径方向を矢印R、検出器周方向を矢印C、検出器軸方向を矢印Aで示している。
本実施形態では、X線検出器200に備えられる各X線検出器モジュール210は、複数のX線検出器200の筐体に対して、それぞれ単独で着脱できるように構成されている。具体的には、各X線検出器モジュール210は、X線検出器200の筐体に対して、他のX線検出器モジュール210が取り付けられている状態で、X線検出器軸方向における一方の側から挿抜されることで、筐体に着脱できるように構成されている。ここで、X線検出器モジュール210が交換される際には、X線検出器モジュール210の移動を案内するための棒状の治具が用いられる。この治具は、交換対象のX線検出器モジュール210の両隣に配置されているX線検出器モジュール210に取り付けられる。
図2は、第1の実施形態に係るX線検出器モジュール210の一例を示す模式的な斜視図である。例えば、図2に示すように、本実施形態に係るX線検出器モジュール210は、検出素子211と、支持部材212とを有する。
複数の検出素子211は、被検体を透過したX線を検出する。具体的には、複数の検出素子211は、検出器周方向及び検出器軸方向に沿って2次元に配列されることで、X線を検出する検出面を形成している。ここで、一般的に、検出器軸方向はスライス方向と呼ばれ、検出器周方向はチャンネル方向と呼ばれることもある。
支持部材212は、複数の検出素子211を支持する。具体的には、支持部材212は、略直方体状に形成されており、検出器径方向におけるX線管114と対向する側の面で各検出素子211を支持している。そして、支持部材212は、ネジ等の固定手段によって、X線検出器200の筐体に対して着脱可能に構成されている。
ここで、支持部材212の検出器径方向における両側面には、検出器軸方向に沿って直線状に延在する溝213が形成されている。この溝213は、前述した交換用の治具を取り付けるためのものであり、当該溝213に棒状の治具が取り付けられた際に当該治具の一部が隣に配置されているX線検出器モジュール210の支持部材212の溝213に入り込む深さに形成されている。
また、溝213は、当該溝213の延在方向に直交する断面の形状が、治具の断面の形状の一部と略同じになるように形成されている。後述するように、本実施形態で用いられる治具は、当該治具の長手方向に直交する断面の形状が円形状となるように形成されている。そのため、本実施形態では、溝213は、当該溝213の延在方向に直交する断面の形状が、治具の断面の円形状と略同じ長さの径を有する円弧状となるように形成されている。
また、支持部材212は、検出器軸方向における一方の側面に、溝213に沿って治具が取り付けられた際に当該治具を固定するためのネジが挿嵌されるネジ穴214が設けられている。ここで、ネジ穴214は、支持部材212の検出器軸方向における2つの側面のうち、X線検出器モジュール210の挿抜方向における手前側の側面に設けられている。また、ネジ穴214は、検出器径方向において、溝213と略同じ位置に設けられている。
図3は、第1の実施形態に係る治具300の一例を示す模式的な斜視図である。例えば、図3に示すように、本実施形態で用いられる治具300は、ガイド部310と、取り付け部320とを有する。
ガイド部310は、棒状に形成された部材であり、当該ガイド部310の長手方向に直交する断面の形状が円形状となるように形成されている。例えば、ガイド部310は、X線検出器モジュール210の支持部材212の検出器軸方向における長さより長くなるように形成されている。
取り付け部320は、略直方体形状に形成され、ガイド部310の軸を中心とした半径方向に延出するように設けられている。ここで、取り付け部320の延出方向におけるガイド部310から離れた側の端部には、X線検出器モジュール210の支持部材212に治具300を固定するためのネジが挿通される貫通孔321が設けられている。
そして、治具300がX線検出器モジュール210の支持部材212に取り付けられる際には、支持部材212の溝213にガイド部310が嵌め込まれた状態で、貫通孔321を介して支持部材212のネジ穴214にネジを挿嵌することで、支持部材212に取り付け部320が固定される。
図4及び5は、第1の実施形態に係るX線検出器モジュール210の取り外し工程を示す模式的な図である。図4は、X線検出器200が有する複数のX線検出器モジュール210のうちの3つのX線検出器モジュール210を検出器径方向に見た正面図(一部断面図を含む)である。また、図5は、図4に示すS1−S1線における側面図(一部断面図を含む)である。
例えば、図4に示すように、X線検出器200において、X線検出器モジュール210−1の両隣にX線検出器モジュール210−2及び210−3がそれぞれ配置されており、真ん中に配置されているX線検出器モジュール210−1が取り外し対象であったとする。
この場合には、まず、取り外し対象のX線検出器モジュール210−1の両隣に配置されているX線検出器モジュール210−2及び210−3それぞれに対して、取り外し対象のX線検出器モジュール210−1と対向する側の側面の溝213に治具300が取り付けられる。そして、X線検出器モジュール210−2及び210−3それぞれに対して、治具300の取り付け部320がネジ215によって固定される。その後、取り外し対象のX線検出器モジュール210−1が、X線検出器200の筐体から取り外される。
ここで、前述したように、X線検出器モジュール210の支持部材212に設けられている溝213は、治具300が取り付けられた際に当該治具300の一部が隣に配置されているX線検出器モジュール210の支持部材212の溝213に入り込む深さに形成されている。すなわち、X線検出器モジュール210の支持部材212の溝213に治具300が取り付けられると、治具300のガイド部310の一部が、隣に配置されているX線検出器モジュール210の支持部材212の溝213に入り込むことになる。
そのため、取り外し対象のX線検出器モジュール210−1に対して検出器径方向の外側(図4における下側)に向かうように重力が作用すると、当該X線検出器モジュール210−1の支持部材212に形成されている溝213の検出器径方向における内側(図4における上側)の縁部213aが、両隣のX線検出器モジュール210−2及び210−3それぞれに取り付けられている治具300のガイド部310に当接することになる。
すなわち、言い換えると、各X線検出器モジュール210の支持部材212に設けられる溝213は、検出器周方向において、治具300の幅から、当該溝213が設けられている側面と隣のX線検出器モジュール210の支持部材212に形成されている溝213の検出器径方向における内側の縁部との間の距離を引いた長さより、浅い深さに形成されている。
これにより、取り外し対象のX線検出器モジュール210−1は、隣に配置されているX線検出器モジュール210−2及び210−3それぞれに取り付けられた治具300によって、検出器径方向の外側へ向かう移動が規制されることになる。この結果、取り外し対象のX線検出器モジュール210−1の落下を防ぐことができるようになる。
また、前述したように、治具300のガイド部310は、棒状に形成されており、支持部材212の溝213は、検出器軸方向に沿って直線状に延在するように形成されている。そのため、取り外し対象のX線検出器モジュール210−1の支持部材212の溝213が、隣に配置されているX線検出器モジュール210−2及び210−3に取り付けられた治具300のガイド部310によって、検出器軸方向に摺動可能に支持されることになる。
これにより、例えば、図5の(a)から(b)に示すように、取り外し対象のX線検出器モジュール210−1は、隣に配置されているX線検出器モジュール210−2及び210−3に取り付けられた治具300のガイド部310と摺動することで、検出器径方向の外側(図5における下側)へ向かう移動が規制されつつ、検出器軸方向に案内されることになる。この結果、取り外し対象のX線検出器モジュール210−1を検出器径方向に沿って安定した状態で移動できるようになる。また、直線状に形成されたガイド部310によって支持部材212が支持されるため、支持部材212が検出器軸方向に細長く形成されている場合に、検出素子211の重みによって支持部材212に生じるたわみを抑えることができるようになる。
一方、X線検出器モジュール210が取り付けられる場合には、まず、当該X線検出器モジュール210が取り付けられる箇所の両隣に配置されている取り付け済みのX線検出器モジュール210それぞれに対して、取り付け対象のX線検出器モジュール210が配置される側の側面の溝213に治具300が取り付けられる。
その後、取り付け対象のX線検出器モジュール210が、図4に示す取り外し対象のX線検出器モジュール210−1と同様に、支持部材212に形成されている溝213の検出器径方向における内側の縁部213aが両隣のX線検出器モジュール210それぞれに取り付けられている治具300のガイド部310に当接した状態で、両隣のX線検出器モジュール210の間に挿入される。
その後、取り付け対象のX線検出器モジュール210は、例えば、図5の(b)から(a)に示すように、両隣のX線検出器モジュール210それぞれに取り付けられている治具300によって、検出器径方向の外側へ向かう移動が規制されつつ、検出器軸方向に案内されながら、検出器軸方向に沿って取り外し時とは逆の向きに移動される。そして、取り付け対象のX線検出器モジュール210は、取り付け済みの他のX線検出器モジュール210と同じ位置まで移動された後に、X線検出器200の筐体に取り付けられる。
このように、X線検出器モジュール210が取り付けられる場合も、両隣のX線検出器モジュール210それぞれに取り付けられている治具300によって、取り付け対象のX線検出器モジュール210が、検出器径方向の外側へ向かう移動が規制されつつ、検出器軸方向に案内されることになる。この結果、取り付け対象のX線検出器モジュール210の落下を防ぐとともに、取り付け対象のX線検出器モジュール210を検出器径方向に沿って安定した状態で移動できるようになる。
上述したように、第1の実施形態によれば、取り外し又は取り付け対象のX線検出器モジュール210の落下を防ぐとともに、取り外し又は取り付け対象のX線検出器モジュール210を検出器径方向に沿って安定した状態で移動できるようになる。したがって、第1の実施形態によれば、X線検出器モジュール210の交換作業を容易に行うことができるようになる。
以上、第1の実施形態について説明したが、本願が開示するX線検出器、X線検出器モジュール及びX線CT装置の実施形態はこれに限られない。そこで、以下では、本願が開示するX線検出器、X線検出器モジュール及びX線CT装置の他の実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態に係るX線CT装置は、図1に示したX線CT装置100と同じ構成要素を備えるが、X線検出器モジュール及び治具の一部が異なる。そのため、以下では、各実施形態にかかるX線検出器モジュールについて、第1の実施形態とは異なる点を中心に説明することとし、第1の実施形態と重複する内容については説明を省略する。
(第2の実施形態)
まず、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、X線検出器モジュールの支持部材に形成される溝が、当該溝の延在方向に直交する断面の形状が、治具の断面の円形状と略同じ長さの径を有する2つの円弧それぞれの一端を当該溝の幅方向に沿った直線で連結した形状となるように形成されている点で、第1の実施形態と異なる。
図6は、第2の実施形態に係るX線検出器モジュールの一例を示す模式的な斜視図である。例えば、図6に示すように、本実施形態に係るX線検出器モジュール1210では、支持部材1212に設けられた溝1213が、当該溝1213の延在方向に直交する断面の形状が、治具300の断面の円形状と略同じ長さの径を有する2つの円弧それぞれの一端を当該溝1213の幅方向に沿った直線で連結した形状となるように形成されている。すなわち、本実施形態では、検出器径方向において、支持部材1212に設けられた溝1213の幅が、治具300の幅より大きくなっている。
そして、本実施形態では、治具300の取り付け部320を固定するためのネジ穴1214が、検出器径方向において、溝1213内の検出器径方向における外側の端部と略同じ位置に設けられている。これにより、治具300が、溝1213内の検出器径方向における外側の端部に取り付けられることになる。
図7及び8は、第2の実施形態に係るX線検出器モジュール1210の取り外し工程を示す模式的な図である。図7は、X線検出器200が有する複数のX線検出器モジュール1210のうちの3つのX線検出器モジュール1210を検出器径方向に見た正面図(一部断面図を含む)である。また、図8は、図7に示すS2−S2線における側面図(一部断面図を含む)である。
例えば、図7の(a)に示すように、X線検出器200において、X線検出器モジュール1210−1の両隣にX線検出器モジュール1210−2及び1210−3がそれぞれ配置されており、真ん中に配置されているX線検出器モジュール1210−1が取り外し対象であったとする。
この場合には、まず、取り外し対象のX線検出器モジュール1210−1の両隣に配置されているX線検出器モジュール1210−2及び1210−3それぞれに対して、取り外し対象のX線検出器モジュール1210−1と対向する側の側面の溝1213に治具300が取り付けられる。そして、X線検出器モジュール1210−2及び1210−3それぞれに対して、治具300の取り付け部320がネジ215によって固定される。その後、取り外し対象のX線検出器モジュール1210−1が、X線検出器200の筐体から取り外される。
ここで、前述したように、本実施形態では、治具300が、溝1213内の検出器径方向における外側の端部に取り付けられる。そのため、取り外し対象のX線検出器モジュール1210−1に対して検出器径方向の外側(図7における下側)に向かうように重力が作用すると、例えば、図7の(b)に示すように、X線検出器モジュール1210−1が自重によって検出器径方向の外側へ移動されることになる。
そして、本実施形態でも、X線検出器モジュール1210の支持部材1212に設けられている溝1213は、治具300が取り付けられた際に当該治具300の一部が隣に配置されているX線検出器モジュール1210の支持部材1212の溝1213に入り込む深さに形成されている。すなわち、X線検出器モジュール1210の支持部材1212の溝1213に治具300が取り付けられると、治具300のガイド部310の一部が、隣に配置されているX線検出器モジュール1210の支持部材1212の溝1213に入り込むことになる。
そのため、取り外し対象のX線検出器モジュール1210−1は、検出器径方向の外側へ移動された後に、当該X線検出器モジュール1210−1の支持部材1212に形成されている溝1213の検出器径方向における内側(図7における上側)の縁部1213aが、両隣のX線検出器モジュール1210−2及び1210−3それぞれに取り付けられている治具300のガイド部310に当接することになる。
これにより、取り外し対象のX線検出器モジュール1210−1は、隣に配置されているX線検出器モジュール1210−2及び1210−3それぞれに取り付けられた治具300によって、検出器径方向の外側へ向かう移動が規制されることになる。この結果、取り外し対象のX線検出器モジュール1210−1の落下を防ぐことができるようになる。
また、本実施形態でも、治具300のガイド部310は、棒状に形成されており、支持部材1212の溝1213は、検出器軸方向に沿って直線状に延在するように形成されている。そのため、取り外し対象のX線検出器モジュール1210−1の支持部材1212の溝1213が、隣に配置されているX線検出器モジュール1210−2及び1210−3に取り付けられた治具300のガイド部310によって、検出器軸方向に摺動可能に支持されることになる。
これにより、例えば、図8の(a)から(c)に示すように、取り外し対象のX線検出器モジュール1210−1は、支持部材1212に形成されている溝1213の検出器径方向における内側の縁部1213aが治具300のガイド部310に当接するまで検出器径方向の外側(図5における下側)へ移動された後に、隣に配置されているX線検出器モジュール1210−2及び1210−3に取り付けられた治具300のガイド部310と摺動することで、検出器径方向の外側(図5における下側)へ向かう移動が規制されつつ、検出器軸方向に案内されることになる。この結果、取り外し対象のX線検出器モジュール1210−1を検出器径方向に沿って安定した状態で移動できるようになる。
ここで、例えば、図1に示したように、各X線検出器モジュール1210は円弧の周方向に沿って並べて配置されているため、検出器径方向の外側に向かうにつれて、隣に配置されているX線検出器モジュール1210との間隔が広くなる。そのため、本実施形態のように、X線検出器モジュール1210が、検出器径方向の外側へ移動された後に、検出器軸方向に案内されることによって、隣に配置されているX線検出器モジュール1210との間のクリアランスを確保しつつ、取り外し対象のX線検出器モジュール1210を移動できるようになる。これにより、取り外し対象のX線検出器モジュール1210が、移動時に、隣に配置されているX線検出器モジュール1210に干渉することを抑制できるようになる。
一方、X線検出器モジュール1210が取り付けられる場合には、まず、当該X線検出器モジュール1210が取り付けられる箇所の両隣に配置されている取り付け済みのX線検出器モジュール1210それぞれに対して、取り付け対象のX線検出器モジュール1210が配置される側の側面の溝1213に治具300が取り付けられる。
その後、取り付け対象のX線検出器モジュール1210が、図7の(b)に示す取り外し対象のX線検出器モジュール1210−1と同様に、支持部材1212に形成されている溝1213の検出器径方向における内側の縁部1213aが両隣のX線検出器モジュール1210それぞれに取り付けられている治具300のガイド部310に当接した状態で、両隣のX線検出器モジュール1210の間に挿入される。
その後、取り付け対象のX線検出器モジュール1210は、例えば、図8の(c)から(b)に示すように、両隣のX線検出器モジュール1210それぞれに取り付けられている治具300によって、検出器径方向の外側へ向かう移動が規制されつつ、検出器軸方向に案内されながら、検出器軸方向に沿って取り外し時とは逆の向きに移動される。そして、取り付け対象のX線検出器モジュール1210は、取り付け済みの他のX線検出器モジュール1210と同じ位置まで移動された後に、例えば、図8の(b)から(a)に示すように、検出器径方向の内側(図8における上側)へ移動されて、X線検出器200の筐体に取り付けられる。
このように、X線検出器モジュール1210が取り付けられる場合も、両隣のX線検出器モジュール1210それぞれに取り付けられている治具300によって、取り付け対象のX線検出器モジュール1210が、検出器径方向の外側へ向かう移動が規制されつつ、検出器軸方向に案内されることになる。この結果、取り付け対象のX線検出器モジュール1210の落下を防ぐとともに、取り付け対象のX線検出器モジュール1210を検出器径方向に沿って安定した状態で移動できるようになる。また、X線検出器モジュール1210が、検出器軸方向に案内された後に、検出器径方向の内側へ移動されることによって、隣に配置されているX線検出器モジュール1210との間のクリアランスを確保しつつ、取り付け対象のX線検出器モジュール1210を移動できるようになる。これにより、取り付け対象のX線検出器モジュール1210が、移動時に、隣に配置されているX線検出器モジュール1210に干渉することを抑制できるようになる。
上述したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、隣に配置されているX線検出器モジュール1210との間のクリアランスを確保しつつ、取り外し又は取り付け対象のX線検出器モジュール1210を移動できるようになる。したがって、第2の実施形態によれば、X線検出器モジュール1210の交換作業をより容易に行うことができるようになる。
なお、上述した第1及び第2の実施形態で用いられる治具は、図3に示した治具300に限られない。例えば、図3に示した治具300では、ガイド部310の端部に設けられた取り付け部320が、X線検出器モジュールの挿抜方向における支持部材の手前側の側面に固定される。これに対し、例えば、治具は、X線検出器モジュールの挿抜方向における奥側で、X線検出器200の筐体に固定されてもよい。
図9は、第1及び第2の実施形態に係る治具の他の例を示す模式的な斜視図である。例えば、図9に示すように、治具1300は、図3に示した治具300と同様に、断面が円形状となる棒状に形成されたガイド部1310を有している。ここで、図9に示す治具1300では、取り付け部320の替わりに、X線検出器モジュールの挿抜方向におけるガイド部1310の奥側の端部に、ネジ1320が形成されている。
そして、図9に示す治具1300がX線検出器モジュールの支持部材に取り付けられる際には、支持部材の溝にガイド部1310が嵌め込まれた状態で、ガイド部1310に形成されたネジ1320が、X線検出器モジュールの挿抜方向における奥側で、X線検出器200の筐体に形成されているネジ穴に挿嵌されて固定される。すなわち、この例の場合には、X線検出器モジュールの支持部材には、治具を取り付けるためのネジ穴が設けられなくてもよい。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、治具が、棒状に形成された第1の平板部に対して棒状に形成された第2の平板部を垂設した形状に形成されており、X線検出器モジュールの支持部材に形成される溝が、治具の第1の平板部と略同じ幅を有し、かつ、底面が平面状となるように形成されている点で、第1の実施形態と異なる。
図10は、第3の実施形態に係るX線検出器モジュールの一例を示す模式的な斜視図である。例えば、図10に示すように、本実施形態に係るX線検出器モジュール2210では、支持部材2212に設けられた溝2213の幅が、後述する治具の第1の平板部と略同じ幅を有し、かつ、底面が平面状となるように形成されている。
図11は、第3の実施形態に係る治具2300の一例を示す模式的な斜視図である。例えば、図11に示すように、本実施形態では、治具2300のガイド部2310が、棒状に形成された第1の平板部2311に対して棒状に形成された第2の平板部2312を垂設した形状に形成されている。例えば、ガイド部2310は、第1の平板部2311の短手方向の端部に第2の平板部2312を垂設した形状に形成されている。例えば、ガイド部2310は、当該治具2300の長手方向に直交する断面の形状がL字形状となるように形成されている。
そして、本実施形態では、治具2300が、ガイド部2310の第1の平板部2311が支持部材2212に形成された溝2213の底面と面接触するように、溝2213に取り付けられる。また、治具2300は、第2の平板部2312が溝2213内の検出器径方向における外側の端部に配置されるように取り付けられる。
図12及び13は、第3の実施形態に係るX線検出器モジュール2210の取り外し工程を示す模式的な図である。図12は、X線検出器200が有する複数のX線検出器モジュール2210のうちの3つのX線検出器モジュール2210を検出器径方向に見た正面図(一部断面図を含む)である。また、図13は、図12に示すS3−S3線における側面図(一部断面図を含む)である。
例えば、図12の(a)に示すように、X線検出器200において、X線検出器モジュール2210−1の両隣にX線検出器モジュール2210−2及び2210−3がそれぞれ配置されており、真ん中に配置されているX線検出器モジュール2210−1が取り外し対象であったとする。
この場合には、まず、取り外し対象のX線検出器モジュール2210−1の両隣に配置されているX線検出器モジュール2210−2及び2210−3それぞれに対して、取り外し対象のX線検出器モジュール2210−1と対向する側の側面の溝2213に治具2300が取り付けられる。そして、X線検出器モジュール2210−2及び2210−3それぞれに対して、治具2300の取り付け部320がネジ215によって固定される。その後、取り外し対象のX線検出器モジュール2210−1が、X線検出器200の筐体から取り外される。
ここで、前述したように、本実施形態では、治具2300が、ガイド部2310の第1の平板部2311が支持部材2212に形成された溝2213の底面と面接触するように、溝2213に取り付けられる。また、本実施形態では、治具2300が、第2の平板部2312が溝2213内の検出器径方向における外側の端部に配置されるように取り付けられる。そのため、取り外し対象のX線検出器モジュール2210−1に対して検出器径方向の外側(図12における下側)に向かうように重力が作用すると、例えば、図12の(b)に示すように、X線検出器モジュール2210−1が自重によって検出器径方向の外側へ移動されることになる。
そして、本実施形態でも、X線検出器モジュール2210の支持部材2212に設けられている溝2213は、治具2300が取り付けられた際に当該治具2300の一部が隣に配置されているX線検出器モジュール2210の支持部材2212の溝2213に入り込む深さに形成されている。すなわち、本実施形態では、X線検出器モジュール2210の支持部材2212の溝2213に治具2300が取り付けられると、治具2300のガイド部2310の第2の平板部2312の一部が、隣に配置されているX線検出器モジュール2210の支持部材2212の溝2213に入り込むことになる。
そのため、取り外し対象のX線検出器モジュール2210−1は、検出器径方向の外側へ移動された後に、当該X線検出器モジュール2210−1の支持部材2212に形成されている溝2213の検出器径方向における内側(図12における上側)の縁部2213aが、両隣のX線検出器モジュール2210−2及び2210−3それぞれに取り付けられている治具2300のガイド部2310の第2の平板部2312に当接することになる。
これにより、取り外し対象のX線検出器モジュール2210−1は、隣に配置されているX線検出器モジュール2210−2及び2210−3それぞれに取り付けられた治具2300によって、検出器径方向の外側へ向かう移動が規制されることになる。この結果、取り外し対象のX線検出器モジュール2210−1の落下を防ぐことができるようになる。
また、本実施形態でも、治具2300のガイド部2310は、棒状に形成されており、支持部材2212の溝2213は、検出器軸方向に沿って直線状に延在するように形成されている。そのため、取り外し対象のX線検出器モジュール2210−1の支持部材2212の溝2213が、隣に配置されているX線検出器モジュール2210−2及び2210−3に取り付けられた治具2300のガイド部2310によって、検出器軸方向に摺動可能に支持されることになる。
これにより、例えば、図13の(a)から(c)に示すように、取り外し対象のX線検出器モジュール2210−1は、支持部材2212に形成されている溝2213の検出器径方向における内側の縁部2213aが治具2300のガイド部2310の第2の平板部2312に当接するまで検出器径方向の外側(図13における下側)へ移動された後に、隣に配置されているX線検出器モジュール2210−2及び2210−3に取り付けられた治具2300のガイド部2310と摺動することで、検出器径方向の外側(図13における下側)へ向かう移動が規制されつつ、検出器軸方向に案内されることになる。この結果、取り外し対象のX線検出器モジュール2210−1を検出器径方向に沿って安定した状態で移動できるようになる。
したがって、第2の実施形態と同様に、隣に配置されているX線検出器モジュール2210との間のクリアランスを確保しつつ、取り外し対象のX線検出器モジュール2210を移動できるようになる。これにより、取り外し対象のX線検出器モジュール2210が、移動時に、隣に配置されているX線検出器モジュール2210に干渉することを抑制できるようになる。
さらに、本実施形態では、治具2300が、ガイド部2310の第1の平板部2311が支持部材2212に形成された溝2213の底面と面接触するように、溝2213に取り付けられるので、溝2213内で治具2300の位置が安定する。この結果、取り外し対象のX線検出器モジュール2210−1をより安定した状態で移動できるようになる。
一方、X線検出器モジュール2210が取り付けられる場合には、まず、当該X線検出器モジュール2210が取り付けられる箇所の両隣に配置されている取り付け済みのX線検出器モジュール2210それぞれに対して、取り付け対象のX線検出器モジュール2210が配置される側の側面の溝2213に治具2300が取り付けられる。
その後、取り付け対象のX線検出器モジュール2210が、図12の(b)に示す取り外し対象のX線検出器モジュール2210−1と同様に、支持部材2212に形成されている溝2213の検出器径方向における内側の縁部2213aが両隣のX線検出器モジュール2210それぞれに取り付けられている治具2300のガイド部2310の第2の平板部材2312に当接した状態で、両隣のX線検出器モジュール2210の間に挿入される。
その後、取り付け対象のX線検出器モジュール2210は、例えば、図13の(c)から(b)に示すように、両隣のX線検出器モジュール2210それぞれに取り付けられている治具2300によって、検出器径方向の外側へ向かう移動が規制されつつ、検出器軸方向に案内されながら、検出器軸方向に沿って取り外し時とは逆の向きに移動される。そして、取り付け対象のX線検出器モジュール2210は、取り付け済みの他のX線検出器モジュール2210と同じ位置まで移動された後に、例えば、図13の(b)から(a)に示すように、検出器径方向の内側(図13における上側)へ移動されて、X線検出器200の筐体に取り付けられる。
このように、X線検出器モジュール2210が取り付けられる場合も、両隣のX線検出器モジュール2210それぞれに取り付けられている治具2300によって、取り付け対象のX線検出器モジュール2210が、検出器径方向の外側へ向かう移動が規制されつつ、検出器軸方向に案内されることになる。この結果、取り付け対象のX線検出器モジュール2210の落下を防ぐとともに、取り付け対象のX線検出器モジュール2210を検出器径方向に沿って安定した状態で移動できるようになる。また、X線検出器モジュール2210が、検出器軸方向に案内された後に、検出器径方向の内側へ移動されることによって、隣に配置されているX線検出器モジュール2210との間のクリアランスを確保しつつ、取り付け対象のX線検出器モジュール2210を移動できるようになる。これにより、取り付け対象のX線検出器モジュール2210が、移動時に、隣に配置されているX線検出器モジュール2210に干渉することを抑制できるようになる。さらに、治具2300が、ガイド部2310の第1の平板部2311が支持部材2212に形成された溝2213の底面と面接触するように、溝2213に取り付けられるので、溝2213内で治具2300の位置が安定し、取り付け対象のX線検出器モジュール2210をより安定した状態で移動できるようになる。
上述したように、第3の実施形態によれば、第1及び第2の実施形態と同様の効果が得られるとともに、溝2213内で治具2300の位置が安定するため、取り外し又は取り付け対象のX線検出器モジュール2210をより安定した状態で移動できるようになる。したがって、第3の実施形態によれば、X線検出器モジュール2210の交換作業をさらに容易に行うことができるようになる。
なお、上述した第3の実施形態では、治具2300のガイド部2310が、第1の平板部2311の短手方向の端部に第2の平板部2312を垂設した形状に形成されている場合の例について説明したが、治具2300の形状はこれに限られない。例えば、第1の平板部2311の短手方向の略中央に第2の平板部2312を垂設した形状に形成されていてもよい。すなわち、この場合には、ガイド部2310は、当該治具2300の長手方向に直交する断面の形状がT字形状となるように形成されている。この例では、第1の平板部2311に対する第2の平板部2312の位置を第1の平板部2311の短手方向にずらすことによって、交換対象のX線検出器モジュール2210を検出器径方向に移動させる量を調整できるようになる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、上述した第3の実施形態の変形例であり、治具が、当該治具の長手方向における一方の端部から当該治具の幅方向に突出するように設けられた突出部を有している点で、第3の実施形態と異なる。なお、本実施形態では、第3の実施形態と重複する内容については説明を省略する。
図14は、第4の実施形態に係るX線検出器モジュールの一例を示す模式的な斜視図である。例えば、図14に示すように、本実施形態に係るX線検出器モジュール2210では、支持部材2212に設けられた溝2213の幅が、図11に示した治具2300のガイド部2310の第1の平板部2311と略同じ幅を有し、かつ、底面が平面状となるように形成されている。
図14は、第4の実施形態に係る治具3300の一例を示す模式的な斜視図である。例えば、図14に示すように、本実施形態では、治具3300が、突出部3330をさらに有する。突出部3330は、治具3300の長手方向における一方の端部から当該治具3300の幅方向に突出するように設けられる。また、突出部3330は、治具3300の当該一方の端部から突端までの長さが、X線検出器モジュール2210の支持部材2212に形成された溝2213の幅と同じ長さを有している。
そして、本実施形態では、突出部3330が、隣に配置されているX線検出器モジュール2210が移動される際に、当該X線検出器モジュール2210の支持部材2212の溝2213と嵌合して、当該X線検出器モジュール2210の検出器径方向への移動を規制する。
図15及び16は、第4の実施形態に係るX線検出器モジュール2210の取り外し工程を示す模式的な図である。図15は、X線検出器200が有する複数のX線検出器モジュール2210のうちの3つのX線検出器モジュール2210を検出器径方向に見た正面図(一部断面図を含む)である。また、図16は、図15に示すS4−S4線における側面図(一部断面図を含む)である。
例えば、図15の(a)に示すように、X線検出器200において、X線検出器モジュール2210−1の両隣にX線検出器モジュール2210−2及び2210−3がそれぞれ配置されており、真ん中に配置されているX線検出器モジュール2210−1が取り外し対象であったとする。
この場合には、図12の(a)に示した例と同様に、取り外し対象のX線検出器モジュール2210−1の両隣に配置されているX線検出器モジュール2210−2及び2210−3それぞれに治具2300が取り付けられる。そして、図12の(b)に示した例と同様に、例えば、図15の(b)に示すように、X線検出器モジュール2210−1が自重によって検出器径方向の外側へ移動されることになる。
そして、図12の(b)に示した例と同様に、取り外し対象のX線検出器モジュール2210−1は、当該X線検出器モジュール2210−1の支持部材1212に形成されている溝2213の検出器径方向における内側の縁部2213aが、両隣のX線検出器モジュール2210−2及び2210−3それぞれに取り付けられている治具2300のガイド部2310の第2の平板部2312に当接するまで、検出器径方向の外側へ移動される。
ここで、前述したように、本実施形態では、治具3300が、治具3300の長手方向における一方の端部から当該治具3300の幅方向に突出する突出部3330を有しており、当該突出部3330は、治具3300の当該一方の端部から突端までの長さが、X線検出器モジュール2210の支持部材2212に形成された溝2213の幅と同じ長さを有している。
そのため、例えば、図15の(b)に示すように、取り外し対象のX線検出器モジュール2210−1が、溝2213の検出器径方向における内側の縁部2213aが治具2300のガイド部2310の第2の平板部2312に当接するまで検出器径方向の外側へ移動した際には、検出器径方向において、溝2213と突出部3330とが、それぞれの端部の位置を揃えて同じ位置に配置されることになる。
これにより、例えば、図16の(a)から(c)に示すように、取り外し対象のX線検出器モジュール2210−1は、検出器径方向の外側(図16における下側)へ移動された後に、検出器軸方向に移動されると、支持部材2212の溝2213が治具3300に設けられた突出部3330と嵌合して、取り外し対象のX線検出器モジュール2210−1の検出器径方向への移動が規制されることになる。
この結果、取り外し対象のX線検出器モジュール2210が移動される際の検出器径方向へのブレを抑制することができるようになり、取り外し対象のX線検出器モジュール2210をさらに安定した状態で移動できるようになる。
一方、X線検出器モジュール2210が取り付けられる場合にも、例えば、図16の(c)から(b)に示すように、両隣のX線検出器モジュール2210それぞれに取り付けられている治具3300の突出部3330を取り付け対象のX線検出器モジュール2210の溝2213に嵌合させながら当該X線検出器モジュール2210を移動することで、取り付け対象のX線検出器モジュール2210が移動される際の検出器径方向へのブレが抑えられるため、取り外し対象のX線検出器モジュール2210をさらに安定した状態で移動できるようになる。
上述したように、第4の実施形態によれば、第1〜第3の実施形態と同様の効果が得られるとともに、治具3300の突出部3330によって取り外し又は取り付け対象のX線検出器モジュール2210が移動される際の検出器径方向へのブレが抑えられるので、取り外し又は取り付け対象のX線検出器モジュール2210をさらに安定した状態で移動できるようになる。したがって、第4の実施形態によれば、X線検出器モジュール2210の交換作業をさらに容易に行うことができるようになる。
なお、上述した実施形態では、治具の取り付け部が、X線検出器モジュールの挿抜方向における支持部材の手前側の側面に固定される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、治具は、X線検出器モジュールの挿抜方向における手前側で取付け部が支持部材に固定されるとともに、さらに、挿抜方向における奥側で、X線検出器200の筐体にネジ等の固定手段によって固定されるように構成されていてもよい。これにより、X線検出器モジュールの支持部材により強固に治具を取り付けることができるようになり、取り外し又は取り付け対象のX線検出器モジュールをより安定した状態で移動できるようになる。
また、上述した実施形態では、X線CT装置100において、複数のX線検出器モジュールに対して、1つのデータ収集装置115が備えられる場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、データ収集装置115がX線検出器モジュールと同じ数に分割されて、分割されたデータ収集装置が各X線検出器モジュールに備えられていてもよい。その場合には、X線検出器モジュールと分割されたデータ収集装置とが1つの一体化されたユニットとして交換される。
また、上述した実施形態では、X線CT装置100において、複数のX線検出器モジュールに対して、1つのコリメータ220が備えられる場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、コリメータ220がX線検出器モジュールと同じ数に分割されて、分割されたコリメータが各X線検出器モジュールに備えられていてもよい。その場合には、X線検出器モジュールとコリメータとが1つのユニットとして交換される。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、X線検出器モジュールの交換作業を容易に行うことができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。