JP6753035B2 - ゴム組成物 - Google Patents
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Description
一方、ラジカル重合ゴムの末端には補強性充填剤と反応する官能基がない。そのために補強性充填剤と反応することがなく、補強性充填剤を細かく分散することができない。また、一般にラジカル重合ゴムの末端はメルカプタンを分子量調節剤として使用するために水素やアルキルチオエーテルの構造になっている。そのために補強性充填剤と作用することがなく、補強性充填剤を微分散することがないために補強性充填剤間の摩擦が大きい状態のゴム組成物となる。また、架橋に関与しない水素やアルキルチオエーテルの構造の末端分子の非可逆的移動によるエネルギーロスによりエネルギーロスの大きいゴムとなりタイヤにした時には燃費性の悪いタイヤになる。
ラジカル重合ゴムにおいても重合体に官能基を導入することで補強性充填剤の分散を良くするとともに、アセトン抽出量を下げる方法が提案されている。(特許第5719881号公報)この方法は極性官能基含有チオール化合物を連鎖移動剤として重合することで官能基と補強性充填剤の作用効果を狙ったものである。実施例ではアセトン抽出量を下げるために炭酸ナトリウム水溶液で数回洗浄濾過を繰り返している。そのため工程が増え、製造方法としてはコストアップになる。また、炭酸ナトリウムなどのアルカリ性のものが残留すると加硫時にスコーチを起こすことがあり好ましくない。
本発明者は鋭意検討を行い、キサントゲン系化合物、スルフェンアミド系化合物、チウラム系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物またはチアゾール系化合物から選ばれた化合物を、少なくとも一種の存在下重合して得られた変性乳化重合ゴム用いることで動的な動きに対してエネルギーロスが小さくなり、このようなゴム組成物をタイヤにすると低燃費性や安全性が改善されることを見出した。
重合時の転化率は60%以下が好ましい。転化率が60%を超えるとゴムの加工性が劣る。
キサントゲン系化合物、スルフェンアミド系化合物、チウラム系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物またはチアゾール系化合物の添加量はモノマー100重量部に対して0.01重量部〜5重量部使用する。使用量が0.01重量部より少ないと効果が小さく、5重量部を超えると未反応物がブリードすることがあり、コストアップになり経済的にも好ましくない。
また、スチレンとブタジエン以外にアミノ基、水酸基、エポキシ基およびアルコキシシラン基を有するモノマーを共重合しても良い。これらのモノマーを少なくとも1種を0.1重量%〜10重量%共重合するとカーボンブラックやシリカとの親和性が向上して充填剤の分散が改善される。
乳化重合により製造されたラテックスは部分的に架橋したものでも良く、部分架橋には芳香族ポリビニル化合物であるジビニルベンゼンや多官能性アクリルモノマーであるエチレングリコールジメタクリレートまたはトリメチロールプロパントリメタクリレートなどを0.01重量%〜2重量%共重することによって達成される。
第2級アミノ基含有モノマーとしてはN−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド,N−メチロールアクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタアクリルアミドなどN−モノ置換(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
第3級アミノ基含有モノマーとしては、例えば、N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジ置換アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ置換アミノ芳香族ビニル化合物およびピリジル基を有するモノマー等が挙げられる。
N,N−ジ置換アミノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
N,N−ジ置換アミノ芳香族ビニル化合物としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチルスチレン、N,N−ジエチルアミノエチルスチレン、N,N−ジプロピルアミノエチルスチレン、N,N−ジオクチルアミノエチルスチレンなどが挙げられる。
ピリジル基を有するモノマーとしては、例えば、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、5−メチル−2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジンなどが挙げられる。これらの中でも、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンおよびこれらの混合物が好ましい。
これらのアミノ基含有モノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの水酸基を有するモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のゴム組成物は、ロール、インターナルミキサー等の混練機を用いて混練りすることができる。成形加工後、加硫を行い、タイヤトレッド,アンダートレッド,カーカス,サイドウォール,ビード部分等のタイヤ用途を始め、防振ゴム,ベルト,ホースその他の工業品等の用途にも用いることができるが、特にタイヤ用ゴムに好適に使用される。
伸展油の流動点は、好ましくは−20〜50℃、より好ましくは−10〜30℃である。この範囲であれば、伸展しやすく、引張特性と低発熱性のバランスに優れたゴム組成物が得られる。伸展油の好適なアロマ炭素含有量(CA%、クルツ分析法)は、好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上であり、また、伸展油の好適なパラフィン炭素含有量(CP%)は、好ましくは55%以下、より好ましくは45%である。CA%が小さすぎたり、CP%が大きすぎたりすると、引張特性が不十分となる。伸展油の中の多環芳香族系化合物の含有量は、好ましくは3%未満である。この含有量は、IP346法(英国のThe Institute Petroleumの検査方法)により測定される。
伸展油の含有量は、ゴム組成物100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは5〜30重量部である。伸展油の含有量がこの範囲にあると、シリカを配合したゴム組成物の粘度が適度となり、かつ引張特性および低発熱性のバランスに優れる。
シリカの一次粒子の粒径は、特に制限されないが、1〜200nmであり、より好ましくは3〜100nmで、特に好ましくは5〜60nmである。シリカの一次粒子の粒径がこの範囲であると、引張特性および低発熱性のバランスに優れる。なお、一次粒子の粒径は、電子顕微鏡や比表面積等で測定できる。
シリカの配合量は、ゴム成分100重量部に対して、1〜120重量部、好ましくは2〜80重量部、特に好ましくは3〜50重量部である。
カーボンブラックの比表面積は、特に制限はないが、窒素吸着比表面積(N2SA)で、好ましくは5〜200m2/g、より好ましくは50〜150m2/g、特に好ましくは80〜130m2/gである。窒素吸着比表面積がこの範囲であると、より引張特性に優れる。また、カーボンブラックのDBP吸着量も、特に制限はないが、好ましくは5〜300ml/100g、より好ましくは50〜200ml/100g、特に好ましくは80〜160ml/100gである。DBP吸着量がこの範囲であると、より引張特性に優れたゴム組成物が得られる。さらに、カーボンブラックとして、特開平5−230290号公報に開示されているセチルトリメチルアンモニウムブロマイドの吸着(CTAB)比表面積が110〜170m2/gであり、24,000psiの圧力で4回繰り返し圧縮を加えた後のDBP(24M4DBP)吸油量が110〜130ml/100gであるハイストラクチャーカーボンブラックを用いることにより、耐摩耗性を改善できる。
カーボンブラックの配合量は、ゴム成分100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは2〜50重量部、特に好ましくは2〜30重量部である。
混練時のスコーチを避けられるので、シランカップリング剤は、一分子中に含有される硫黄が4個以下のものが好ましい。さらに好ましくは硫黄が2個以下のものが好ましい。これらのシランカップリング剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
シランカップリング剤の配合量は、シリカ100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部、特に好ましくは2〜10重量部である。
加硫剤としては、代表的には硫黄を、また、その他に硫黄含有化合物、過酸化物などを挙げることができる。
重合体のムーニー粘度はムーニー粘度計を使用して、100℃で測定した。共重合体中のスチレン単位量はJIS−K6383(屈折率法)に準じて測定した。
ゴム組成物の加硫物作成のための混練りは、最初に加硫剤を含まないゴム組成物の混練(A練り)は森山製作所(株)製のMix−Labo500混練機を用い、充てん率約65%(体積比)、ローター回転数が50rpm、混練り開始温度を90℃で実施した。
A練り後のゴム組成物に加硫剤を配合する混練条件(B練り)は森山製作所(株)製のMix−Labo500混練機を用い、充てん率が約60%(体積比)、ローター回転数が50rpm、混練り開始温度を60℃で実施した。
引張特性は切断時の強力(TB)、モジュラス、破断時延び等をJIS K6251に従って測定した。
粘弾性試験の温度分散は株式会社ユービーエムのRheogel−E4000HPを使用し、測定周波数が10Hz、測定温度が‐50〜80℃、動的ひずみが0.1%、昇温速度が4℃/minで、試験片形状が「幅5mm×長さ40mm×厚さ2mm」のサンプルで測定した。
tanδ(60℃)は小さい程、低発熱性でありタイヤとしての低燃費性に優れる。また、tanδ(0℃)が大きい程、ウエットスキッドレジスタンスが大きく、タイヤとしての制動性に優れる。
実施例と比較例は変性重合体ゴムまたは未変性重合体ゴムを製造し、充填剤およびゴム薬品を混練りした。ゴム組成物をロールによりシート化した後プレスで加熱加硫成形して物性を測定した。
(試験用ゴムの製造)
(変性重合体ゴム製造1(MSBR−1))
撹拌機付き耐圧反応器に水170グラム、脂肪酸石鹸5グラム、スチレン28グラム、ブタジエン72グラム、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド0.3グラムを仕込み、過硫酸カリウム0.3グラムを溶かした水10グラムを注入して45℃で重合を開始した。
一定時間ごとに水溶液の一部を取り出し、固形分を測定し、重合転化率を求めた。重合転化率が53%に達したら、ヒドロキノン3%水溶液を3.5グラム注入して、重合を停止した。重合体安定剤としてイルガノックス1520を0.2グラム加えた。重合したSBRエマルジョンにスチームを吹き込んで未反応モノマーを追い出し、固形分が20%となるように調整した。
合成した変性SBRラテックスに塩化ナトリウム水溶液を加えてクリーム状にした後希硫酸を加えてpH5になるように調整し、凝固させ、クラム状の重合体を得た。得られたクラムに水で洗い、酸を除いた後変性乳化重合SBRゴムを105℃の熱風乾燥器で乾燥し、ムーニー粘度が62でスチレン含量が23.5%の変性乳化重合SBRゴム(MSBR−1)を得た。結果を表1に示した。
変性重合体ゴム製造1のジイソプロピルキサントゲンジスルフィドに分子量調節剤であるt−ドデシルメルカブタン0.03グラムを加えて重合した。重合の停止と後処理は変性重合体ゴム製造1と同様に実施した。ムーニー粘度が55でスチレン含量が23.4%の変性乳化重合SBRゴム(MSBR−2)を得た。結果を表1に示した。
変性重合体ゴム製造1のジイソプロピルキサントゲンジスルフィドをジエチルキサントゲンジスルフィドに変えて重合した。重合の停止と後処理は変性ゴム製造1と同様に実施した。ムーニー粘度が52でスチレン含量が23.5%の変性乳化重合SBRゴム(MSBR−3)を得た。結果を表1に示した。
変性重合体ゴム製造1のモノマーであるスチレンを27.7グラム、ブタジエン71.3グラムとし、ジメチルアミノエチルメタクリレートを1グラム加えて重合した。重合の停止と後処理は変性重合体ゴム製造1と同様に実施した。ムーニー粘度が62でスチレン含量が23.0%の変性乳化重合SBRゴム(MSBR−4)を得た。結果を表1に示した。
変性重合体ゴム製造2のジイソプロピルキサントゲンジスルフィドを添加せず、分子量調節としてt−ドデシルメルカブタンを0.2グラムに添加して重合した。重合の停止と後処理は変性重合体ゴム製造1と同様に実施した。ムーニー粘度が52でスチレン含量が23.5%の未変性乳化重合SBRゴム(SBR−1)を得た。結果を表1に示した。
2リッターのビーカーに水を450グラム加えて、特殊機化工業製TKホモミキサーにより5000rpmで撹拌しながら、カーボンブラック50グラムを徐々に加えて水分散カーボンブラックを調整した。固形分濃度20%の変性重合体ゴム製造1(MSBR−1)ラテックス424グラムにこの水分散カーボンブラックを撹拌下添加した。希硫酸を加えてpHを5に調整することでカーボンブラックと変性重合体ゴムの湿式法ゴム組成物が得られた。
得られたカーボンブラックの混ざったクラムを水で洗い、酸を除いた後、湿式変性カーボンブラックゴム組成物(WMBR−1)を得た。湿式変性カーボンブラックゴム組成物(WMBR−1)を105℃の熱風乾燥器で乾燥し、評価用試料とした。
森山製作所のMix−Labo500の混練機温度を90℃に設定し、回転数10回転で変性重合体ゴム(MSBR−1)に表2ゴム組成物配合処方に従い、シリカ、シランカップリング剤、ポリエチレングリコール、カーボンブラック、芳香族オイル、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤を加えて3分間回転数50回転で混練した。
ゴム配合物を室温まで冷却の後、加硫促進剤と硫黄を加えて1分間混練した。混練物をロールでシートにした後160℃のプレスで加硫した。
実施例1の変性重合体ゴム(MSBR−1)を湿式変性カーボンブラックゴム組成物(WMBR−1)実施例1と同様に混練と加硫を実施した。
Claims (4)
- キサントゲン系化合物、スルフェンアミド系化合物、チウラム系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物またはチアゾール系化合物変性乳化重合スチレンブタジエンゴム100重量部に対してカーボンブラックを1〜100重量部、シリカを1〜120重量部および前記シリカ100重量部に対してシランカップリング剤を1〜20重量部含有するゴム組成物。
- 請求項1の変性乳化重合スチレンブタジエンゴムが、スチレンの重量%が5重量%〜50重量%であり、ブタジエンの重量%が95重量%〜50重量%の変性乳化重合スチレンブタジエンゴムである請求項1に記載のゴム組成物。
- 請求項1の変性乳化重合スチレンブタジエンゴムが変性乳化重合スチレンブタジエンゴム100重量部に対してアミノ基、水酸基、エポキシ基およびアルコキシシラン基を有するモノマーを少なくとも1種を0.1重量部〜10重量部共重合した変性乳化重合スチレンブタジエンゴム組成物。
- 請求項1〜3に記載されたタイヤ用ゴム組成物。
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