[第1実施形態の概要]
第1実施形態に係る制御装置は、送電装置から受電装置に対して磁界共鳴方式で送電する送電システムで用いる。制御装置は、送電対象の受電装置が検知された状態で前記送電装置の送電電力を制御する送電状態と、前記送電対象の受電装置が検知されていない状態で前記送電装置の送電電力を制御するテスト送電状態とを制御する電力制御部を備える。
第1実施形態では、テスト送電状態を導入することによって、受電装置に対する送電が行われるため、受電装置の電力状態に依存せずに、送電対象の受電装置を検知することができる。
[第1実施形態]
(送電システム)
以下において、第1実施形態に係る送電システムについて説明する。図1は、第1実施形態に係る送電システム100を示す図である。図2は、第1実施形態に係る送電装置10を示す図である。図3は、第1実施形態に係る受電装置20を示す図である。
図1に示すように、送電システム100は、送電装置10及び受電装置20を備えており、送電装置10から受電装置20に対して磁界共鳴方式で送電するシステムである。図1では、1つの受電装置20が例示されているが、複数の受電装置20が送電システム100に設けられていてもよい。受電装置20は、例えば、部屋内の各位置に設けられるセンサ類(人感センサ、温度センサ、照度センサ)を有しており、送電装置10から受電する電力によって動作する。送電装置10は、例えば、各センサ類に電力を供給するために、部屋の天井や床下等に埋め込まれる。
第1実施形態において、送電システム100は、特に限定されるものではないが、需要家の電力を制御するEMS(Energy Management System)を有していてもよい。EMSとしては、HEMS(Home Energy Management System)、ビルに設けられるBEMS(Building Energy Management System)、工場に設けられるFEMS(Factory Energy Management System)、店舗に設けられるSEMS(Store Energy Management System)等が挙げられる。
図2に示すように、送電装置10は、送電側共振器11と、送電モジュール12と、通信モジュール13とを有する。
送電側共振器11は、特定周波数で共振するように調整された共振器である。具体的には、図2に示すように、送電側共振器11は、コンデンサC及びインダクタンスL(コイル)によって構成される。例えば、コンデンサCの容量を調整することによって、送電側共振器11の共振周波数を特定周波数に調整することができる。
送電モジュール12は、電力を送出するモジュールである。具体的には、図2に示すように、送電モジュール12は、商用電源に直接的に接続されるか、若しくは、ACアダプタを介して商用電源に接続される。
ここで、送電モジュール12が商用電源に直接的に接続される場合には、送電モジュール12は、コンバータ12A及びインバータ12Bを有する。コンバータ12A及びインバータ12Bは、特定周波数の交流電力を生成する。このようなケースでは、コンバータ12Aは、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換し、インバータ12Bは、コンバータ12Aから出力される直流電力を特定周波数の交流電力に変換する。
一方で、送電モジュール12がACアダプタを介して商用電源に接続される場合には、送電モジュール12は、インバータ12Bのみを有する。インバータ12Bは、特定周波数の交流電力を生成する。このようなケースでは、インバータ12Bは、コンバータ12Aから出力される直流電力を特定周波数の交流電力に変換する。
これらのケースにおいては、送電装置10の送電電力の大きさは、インバータ12Bから出力される交流電力の大きさによって決定される。
通信モジュール13は、受電装置20と通信を行うモジュールである。通信モジュール13は、上述したEMSと通信を行ってもよい。具体的には、通信モジュール13は、通信部13Aと、制御部13Bとを有する。
通信部13Aは、無線又は有線で受電装置20と接続されており、受電装置20に対して信号を送信し、受電装置20から信号を受信する。例えば、後述するように、通信部13Aは、受電装置20を探索するためのサーチ信号を送信する。通信部13Aは、受電装置20の種類を特定するための情報の送信を要求する情報要求を送信する。一方で、通信部13Aは、受電装置20の認証IDを受信する。認証IDは、サーチ信号に応じて受電装置20から返信される。通信部13Aは、受電装置20の種類を特定するための情報を受信する。受電装置20の種類を特定するための情報は、情報要求に応じて受電装置20から返信される。
制御部13Bは、送電モジュール12及び通信モジュール13を制御する。例えば、制御部13Bは、後述する図4に示す各状態において、受電装置20の送電電力を制御する。言い換えると、第1実施形態において、制御部13Bは、送電対象の受電装置20が検知された状態で送電装置10の送電電力を制御する送電状態(後述する送電状態及び間欠送電状態)と、送電対象の受電装置20が検知されていない状態で送電装置10の送電電力を制御するテスト送電状態とを制御する電力制御部を構成する。また、制御部13Bは、通信部13Aによって取得された情報に基づいて、送電装置10の送電電力を制御する。なお、制御部13Bは、通信モジュール13に備えられる代わりに、送電モジュール12に備えられていてもよい。また、制御部13Bは、通信モジュール13及び送電モジュール12とは別の制御装置に設けられていてもよく、制御装置が通信モジュール13及び送電モジュール12を制御してもよい。
ここで、送電対象の受電装置20は、送電装置10(制御装置)によって認証された受電装置20であることが好ましい。従って、送電対象の受電装置20の数は、送電装置10(制御装置)によって認証された受電装置20の数であることが好ましい。
ここで、制御部13Bは、送電対象の受電装置20が蓄電ユニットを有していない場合に、連続的に送電するように送電装置10の送電を制御することが好ましい。一方で、制御部13Bは、送電対象の受電装置20が蓄電ユニットを有する場合に、間欠的に送電するように送電装置10の送電を制御することが好ましい。制御部13Bは、蓄電ユニットを有していない受電装置20及び蓄電ユニットを有する受電装置20が混在する場合に、連続送電及び間欠送電を組み合わせてもよい。
制御部13Bは、間欠的に送電するように送電装置10の送電を制御している場合において、送電対象の受電装置20の数及び送電対象の受電装置20の種類の少なくとも1つに基づいて、送電間隔を制御する。例えば、制御部13Bは、送電対象の受電装置20の数が多いほど、送電間隔を短縮する。或いは、制御部13Bは、送電対象の受電装置20の最大受電電力が大きいほど、送電間隔を短縮する。
送電対象の受電装置20の種類は、送電対象の受電装置20の最大受電電力、送電対象の受電装置20が蓄電ユニットを有するか否か、又は、送電対象の受電装置20が有する蓄電ユニットの容量を示す情報によって特定されることが好ましい。ここで、受電電力とは、受電装置が送電装置から受電する電力を意味し、最大受電電力とは、受電装置が送電装置から受電する最大の電力を意味する。なお、ここで、受電装置20の種類を特定するパラメータとして、送電対象の受電装置20の最大受電電力を挙げたが、これに限られず、受電装置20が所定の制御を実行するのに必要な電力、すなわち、必要受電電力であってもよい。
例えば、制御部13Bは、送電対象の受電装置20の数が多いほど、送電装置10の送電電力を増大する。ここで、送電電力とは、送電装置から送出される電力を意味する。或いは、制御部13Bは、送電対象の受電装置20の最大受電電力が大きいほど、送電装置10の送電電力を増大する。
ここで、制御部13Bは、送電対象の受電装置20が蓄電ユニットを有していない場合に、連続的に送電するように送電装置10の送電電力を制御することが好ましい。一方で、制御部13Bは、送電対象の受電装置20が蓄電ユニットを有する場合に、間欠的に送電するように送電装置10の送電電力を制御することが好ましい。制御部13Bは、蓄電ユニットを有していない受電装置20及び蓄電ユニットを有する受電装置20が混在する場合に、連続送電及び間欠送電を組み合わせてもよい。
制御部13Bは、間欠的に送電するように送電装置10の送電電力を制御している場合において、送電対象の受電装置20の数及び送電対象の受電装置20の種類の少なくとも1つに基づいて、送電間隔を制御する。例えば、制御部13Bは、送電対象の受電装置20の数が多いほど、送電間隔を短縮する。或いは、制御部13Bは、送電対象の受電装置20の最大受電電力が大きいほど、送電間隔を短縮する。
図1に示すように、受電装置20は、受電側共振器21と、受電モジュール22と、通信モジュール23とを有する。
受電側共振器21は、特定周波数で共振するように調整された共振器である。具体的には、図3に示すように、受電側共振器21は、コンデンサC及びインダクタンスL(コイル)によって構成される。例えば、コンデンサCの容量を調整することによって、受電側共振器21の共振周波数を特定周波数に調整することができる。
受電モジュール22は、電力を受けるモジュールである。具体的には、図3に示すように、受電モジュール22は、整流回路22Aと、DC/DCコンバータ22Bと、負荷22Cと、蓄電ユニット22Dとを有する。
整流回路22Aは、受電側共振器21から供給される直流電力を交流電力に変換する。DC/DCコンバータ22Bは、整流回路22Aから供給される電力の昇圧変換又は降圧変換を行う。負荷22Cは、送電装置10によって送電され、DC/DCコンバータ22Bから供給される電力によって動作するものであり、例えば、上述したセンサ類である。蓄電ユニット22Dは、送電装置10によって送電され、整流回路22Aから供給される電力を蓄積する。蓄電ユニット22Dは、例えば、電気二重層キャパシタや二次電池等である。
図3においては、受電モジュール22が蓄電ユニット22Dを有するケースを例示しているが、実施形態は、これに限定されるものではない。すなわち、受電モジュール22は、蓄電ユニット22Dを有していなくてもよい。
通信モジュール23は、送電装置10と通信を行うモジュールである。通信モジュール23は、上述したEMSと通信を行ってもよい。通信モジュール23は、送電装置10から受電する電力によって動作することに留意すべきである。具体的には、通信モジュール23は、通信部23Aと、制御部23Bとを有する。
通信部23Aは、無線又は有線で送電装置10と接続されており、送電装置10に対して信号を送信し、送電装置10から信号を受信する。例えば、後述するように、通信部23Aは、受電装置20を探索するためのサーチ信号を受信する。通信部23Aは、受電装置20の種類を特定するための情報の送信を要求する情報要求を受信する。一方で、通信部23Aは、サーチ信号に応じて、受電装置20の認証IDを送信する。通信部23Aは、情報要求に応じて、受電装置20の種類を特定するための情報を送信する。
制御部23Bは、受電モジュール22及び通信モジュール23を制御する。例えば、制御部23Bは、DC/DCコンバータ22Bの制御によって、適切な電力を負荷22Cに供給する。或いは、制御部13Bは、EMSから受信する指示に応じて、負荷22Cを制御する。
(送電装置の状態遷移)
以下において、第1実施形態に係る送電装置の状態遷移について説明する。図4は、第1実施形態に係る送電装置10の状態遷移を示す図である。
図4に示すように、送電装置10の状態としては、停止状態、待機状態、送電状態、間欠送電状態、テスト送電状態が挙げられる。
停止状態は、送電を完全に停止している状態である。詳細には、停止状態は、送電装置10が起動されていない状態である。
待機状態は、送電を行っていないが、送電準備が整った状態である。待機状態は、送電対象の受電装置20が検知されていない状態であり、送電装置10の電源が起動された状態である。
送電状態は、送電対象の受電装置20に対して、連続的に送電する状態である。送電状態は、例えば、蓄電ユニットを有していない送電対象の受電装置20のみが検知された場合に、連続的に送電する状態である。ここで、送電状態は、送電対象の受電装置20が検知されている状態で送電装置10の送電電力を制御する状態であることに留意すべきである。
間欠送電状態は、送電対象の受電装置20に対して、間欠的に送電する状態である。間欠送電状態は、例えば、蓄電ユニットを有する送電対象の受電装置20のみが検知された場合に、間欠的に送電する状態である。なお、図4では、間欠送電状態は、送電状態と別々に定義されているが、間欠送電状態は、送電状態の一部であると考えてもよい。ここで、間欠送電状態は、送電対象の受電装置20が検知されている状態で送電装置10の送電電力を制御する状態であることに留意すべきである。
テスト送電状態は、送電対象の受電装置20が検知されていない状態で送電を行う状態である。詳細には、テスト送電状態は、受電装置20の通信モジュール23が通信を行うために必要な電力を供給することによって、受電装置20から信号(例えば、上述した認証ID等)を返信できるように、送電を行う状態である。ここで、テスト送電状態は、送電対象の受電装置20が検知されていない状態で送電装置10の送電電力を制御する状態であることに留意すべきである。
なお、テスト送電状態における送電方法は、送電状態における送電方法及び間欠送電状態における送電方法と異なっていてもよい。例えば、テスト送電状態における送電方法は、送電を行う送電区間と送電を行わない非送電区間とを繰り返す方法である。テスト送電状態における送電区間は、間欠送電状態における送電区間よりも長いことが好ましい。或いは、テスト送電状態における送電方法は、送電状態及び間欠送電状態における送電電力よりも小さい送電電力を連続的に送電する方法であってもよい。
停止状態から待機状態に遷移するトリガAは、例えば、送電装置10を起動する事象(送電装置10の電源を投入する事象)である。待機状態から停止状態に遷移するトリガBは、例えば、送電装置10の電源を切断する事象の発生である。待機状態を維持するトリガCは、送電対象の受電装置20が検知されない事象の発生である。
待機状態から送電状態に遷移するトリガDは、蓄電ユニットを有していない送電対象の受電装置20が検知される事象の発生である。送電状態から待機状態に遷移するトリガEは、検知されていた送電対象の受電装置20の全てが検知されなくなる事象の発生である。或いは、トリガEは、送電対象の受電装置20の全てから送電停止が要求される事象の発生である。
待機状態から間欠送電状態に遷移するトリガFは、蓄電ユニットを有する送電対象の受電装置20が検知される事象の発生である。間欠送電状態から待機状態に遷移するトリガGは、検知されていた送電対象の受電装置20の全てが検知されなくなる事象の発生である。或いは、トリガGは、送電対象の受電装置20の全てから送電停止が要求される事象の発生である。
待機状態からテスト送電状態に遷移するトリガHは、停止状態から待機状態に遷移する事象の発生である。すなわち、トリガHは、トリガAと同様に、送電装置10を起動する事象(送電装置10の電源を投入する事象)の発生である。つまり、停止状態から送電装置10を起動した場合、待機状態に遷移し、その直後にテスト送電状態に遷移する。なお、停止状態から待機状態を経由せずにテスト送電状態に直接遷移してもよい。或いは、トリガHは、送電装置10が送電を行っていない状態(待機状態)が一定期間に亘って継続する事象の発生である。或いは、トリガHは、ユーザ操作である。テスト送電状態から待機状態に遷移するトリガIは、テスト送電状態が一定期間に亘って継続する事象の発生である。或いは、トリガIは、サーチ信号に対する応答信号(例えば、認証ID、カテゴリ情報)を受電装置20から受信する事象の発生である。また、テスト状態から、待機状態を経由せずに直接、送電状態に遷移してもよい。また、テスト状態から送電状態への遷移のトリガは、受電装置20から認証IDを受信し、認証に成功した場合若しくは認証に成功後にカテゴリ情報を受信した場合であってもよい。ここで、認証に成功したとは、例えば、受信した認証IDが予め記憶した認証IDと一致したことを指す。
(受電装置の種類)
以下において、第1実施形態に係る受電装置の種類について説明する。図5は、第1実施形態に係る受電装置20の種類を説明するための図である。
図5に示すように、受電装置20は、複数のカテゴリ(例えば、カテゴリ1〜5)に分類されている。各カテゴリには、最大受電電力及びアプリケーションの例が対応付けられている。
このように、受電装置20を予め複数のカテゴリに分類しておくことによって、受電装置20から送電装置10に対して、受電装置20のカテゴリを通知するだけで、受電装置20の種類を通知することができる。このような観点から、受電装置20の種類を特定するための情報は、受電装置20のカテゴリを識別する情報(カテゴリ情報)であればよい。
送電対象の受電装置20の種類は、上述したように、送電対象の受電装置20の最大受電電力、送電対象の受電装置20が蓄電ユニットを有するか否か、又は、送電対象の受電装置20が有する蓄電ユニットの容量を示す情報によって特定されることが好ましい。従って、カテゴリは、これらの情報と対応付けられていることが好ましい。
なお、送電装置10が複数の受電装置20を検出し、それぞれのカテゴリ情報から算出される最大受電電力が最大送電電力を超える場合には、エラーとして送電を停止する。または、最大受電電力から所定値加算した電力が最大送電電力を超える場合にも、エラーとして送電を停止してもよい。または、エラーとして送電を停止する代わりに、最大送電電力で送電を行ってもよい。
(送電方法)
以下において、第1実施形態に係る送電方法について説明する。図6〜図8は、第1実施形態に係る送電方法を示すシーケンス図である。
第1に、蓄電ユニットを有していない受電装置Aに送電するケースについて、図6を参照しながら説明する。受電装置Aは、受電装置20の一例である。
図6に示すように、ステップS10において、受電装置Aは、負荷22Cの動作を開始するために信号受信待機状態に遷移する。信号受信待機状態は、送電装置10から送信される信号の受信を待機している状態である。ここで、受電装置Aは、通信を行うために必要な電力を保持しており、送電装置10と通信を行う準備が整っている必要がある。例えば、送電装置10がテスト送電状態であり、通信を行うために必要な電力が受電装置Aに送電され、受電装置Aが送電された電力を蓄電している状態か若しくは受電装置Aが送電された電力を継続して受電している状態である。
ステップS11において、送電装置10は、受電装置20を探索するためのサーチ信号を送信する。ステップS11は、テスト送電状態において行われる。
ステップS12において、受電装置Aは、受電装置Aの認証IDを送電装置10に送信する。送電装置10は、予め記憶された認証IDと受電装置Aから受信する認証IDとが一致する場合に、送電対象の受電装置20として受電装置Aを認証する。
ステップS13において、送電装置10は、受電装置Aの種類を特定するための情報の送信を要求する情報要求を受電装置Aに送信する。
ステップS14において、受電装置Aは、受電装置Aの種類を特定するための情報を送電装置10に送信する。例えば、受電装置Aの種類を特定するための情報は、図5に示すカテゴリを識別するカテゴリ情報である。
ステップS15において、送電装置10は、ステップS14で受信する情報(例えば、カテゴリ情報)に応じて送電を開始する。ここで、送電装置10が送電する電力は、ステップS14で受信する情報(例えば、カテゴリ情報)に応じた電力であってもよい。ここでは、受電装置Aの種類を特定するための情報から受電装置Aが蓄電ユニットを有していないことが判明するため、送電装置10は、連続的に送電するように送電を制御する。すなわち、送電装置10は、待機状態から送電状態に遷移する。
ステップS16において、受電装置Aは、負荷22Cの動作を停止するために、信号受信待機状態を解除する。
ステップS17において、送電装置10は、受電装置20を探索するためのサーチ信号を送信する。ステップS17における送電装置10によるサーチ信号の送信は、例えば、送電が行われている送電区間に行われる。
ステップS18において、送電装置10は、サーチ信号に対する返信がないまま、サーチ信号を送信してから一定期間が経過したことを検出する。この場合、送電装置10は、受電装置Aが受電を停止しており、他の受電装置も存在しないと判断し、送電電力の送電を停止する。すなわち、送電装置10は、送電状態から待機状態に遷移する。
第2に、蓄電ユニットを有する受電装置Bに送電するケースについて、図7を参照しながら説明する。受電装置Bは、受電装置20の一例である。
図7に示すように、ステップS20において、受電装置Bは、負荷22Cの動作を開始するために信号受信待機状態に遷移する。ここで、受電装置Bは、通信を行うために必要な電力を保持しており、送電装置10と通信を行う準備が整っている必要がある。例えば、送電装置10がテスト送電状態であり、通信を行うために必要な電力が受電装置Bに送電されている。或いは、受電装置Bは、蓄電ユニットに蓄積された電力によって、通信を行うために必要な電力を賄ってもよい。
ステップS21において、送電装置10は、受電装置20を探索するためのサーチ信号を送信する。ステップS21において、送電装置10は、例えば、テスト送電状態であってもよい。
ステップS22において、受電装置Bは、受電装置Bの認証IDを送電装置10に送信する。送電装置10は、予め記憶された認証IDと受電装置Bから受信する認証IDとが一致する場合に、送電対象の受電装置20として受電装置Bを認証する。このことを認証に成功したとする。
ステップS23において、送電装置10は、受電装置Bの種類を特定するための情報の送信を要求する情報要求を受電装置Bに送信する。
ステップS24において、受電装置Bは、受電装置Bの種類を特定するための情報を送電装置10に送信する。例えば、受電装置Bの種類を特定するための情報は、図5に示すカテゴリを識別するカテゴリ情報である。
ステップS25において、送電装置10は、ステップS24で受信する情報(例えば、カテゴリ情報)に応じて、送電装置10の送電を開始する。ここで、送電装置10が送電する電力は、ステップS24で受信する受電装置Bの種類を特定する情報に応じた電力であってもよい。ここでは、受電装置Bの種類を特定するための情報から受電装置Bが蓄電ユニットを有することが判明するため、送電装置10は、間欠的に送電するように送電装置10の送電を開始する。すなわち、送電装置10は、待機状態から間欠送電状態に遷移する。
ステップS26において、受電装置Bは、負荷22Cの動作を停止するために信号受信待機状態を解除する。
ステップS27において、送電装置10は、受電装置20を探索するためのサーチ信号を送信する。ステップS27における送電装置10によるサーチ信号の送信は、例えば、送電が行われている送電区間に行われる。
ステップS28において、送電装置10は、サーチ信号に対する返信がないまま、サーチ信号を送信してから一定期間が経過したことを検出する。送電装置10は、送電を停止する。すなわち、送電装置10は、間欠送電状態から待機状態に遷移する。
第3に、蓄電ユニットを有していない受電装置A及び蓄電ユニットを有する受電装置Bに送電するケースについて、図8を参照しながら説明する。受電装置A及び受電装置Bは、受電装置20の一例である。図8に示す動作は、基本的には、図6,7に示す動作の組合せである。
図8に示すように、ステップS30において、受電装置Aは、負荷22Cの動作を開始するために信号受信待機状態に遷移する。ここで、受電装置Aは、通信を行うために必要な電力を保持しており、送電装置10と通信を行う準備が整っている必要がある。例えば、送電装置10がテスト送電状態であり、通信を行うために必要な電力が受電装置Aに送電されている。
ステップS31において、送電装置10は、受電装置20を探索するためのサーチ信号を送信する。ステップS31における送電装置10によるサーチ信号の送信は、テスト送電状態において行われる。
ステップS32において、受電装置Aは、受電装置Aの認証IDを送電装置10に送信する。送電装置10は、予め記憶された認証IDと受電装置Aから受信する認証IDとが一致する場合に、送電対象の受電装置20として受電装置Aを認証する。一方で、受電装置Bは、信号受信待機状態に遷移していないため、認証IDを送信しない。
ステップS33において、送電装置10は、受電装置Aの種類を特定するための情報の送信を要求する情報要求を受電装置Aに送信する。
ステップS34において、受電装置Aは、受電装置Aの種類を特定するための情報を送電装置10に送信する。例えば、受電装置Aの種類を特定するための情報は、図5に示すカテゴリを識別するカテゴリ情報である。
ステップS35において、送電装置10は、ステップS34で受信する情報(例えば、カテゴリ情報)に応じて、送電装置10の送電を開始する。ここで、送電装置10が送電する電力は、ステップS34で受信する受電装置Aの種類を特定する情報に応じた電力であってもよい。ここでは、送電装置10は、受電装置Aに対して連続的に送電する。
ステップS36において、受電装置Bは、負荷22Cの動作を開始するために信号受信待機状態に遷移する。ここで、受電装置Bは、通信を行うために必要な電力を保持しており、送電装置10と通信を行う準備が整っている必要がある。例えば、送電装置10がテスト送電状態であり、通信を行うために必要な電力が受電装置Bに送電されている。或いは、受電装置Bは、蓄電ユニットに蓄積された電力によって、通信を行うために必要な電力を賄ってもよい。
ステップS37において、送電装置10は、受電装置20を探索するためのサーチ信号を送信する。
ステップS38において、受電装置Aは、受電装置Aの認証IDを送電装置10に送信する。受電装置Bは、受電装置Bの認証IDを送電装置10に送信する。
ステップS39において、送電装置10は、受電装置Aの種類を特定するための情報の送信を要求する情報要求を受電装置Aに送信する。送電装置10は、受電装置Bの種類を特定するための情報の送信を要求する情報要求を受電装置Bに送信する。
ステップS40において、受電装置Aは、受電装置Aの種類を特定するための情報を送電装置10に送信する。受電装置Bは、受電装置Bの種類を特定するための情報を送電装置10に送信する。例えば、受電装置A及び受電装置Bの種類を特定するための情報は、図5に示すカテゴリを識別するカテゴリ情報である。
ここで、受電装置Aは既に認証済みであるため、ステップS39における受電装置Aに対する情報要求の送信及びステップS40における受電装置Aからのカテゴリ情報の送信は省略されてもよい。
ステップS41において、送電装置10は、ステップS40で受信する情報(例えば、カテゴリ情報)に応じて、送電装置10の送電を制御する。すなわち、送電装置10は、送電パターンを変更する。ここでは、送電装置10は、送電電力一定での連続的な送電から、受電装置Aに対応する送電電力で送電する状態と、受電装置Bに対応する送電電力を受電装置Aに対応する送電電力に上乗せさせた送電電力送電する状態とを交互に繰り返すように送電パターンを変更する。なお、このとき、受電装置Bは、送電装置10が受電装置Bに対応する送電電力を受電装置Aに対応する送電電力に上乗せさせた送電電力で送電するタイミングでは共振状態となり、送電装置が受電装置Aに対応する送電電力で送電するタイミングでは非共振状態となってもよい。
これによって、送電装置10は、受電装置A及び受電装置Bが存在する場合に応じた適切な送電を行うことができる。
ステップS42において、受電装置Bは、負荷22Cの動作を停止するために信号受信待機状態を解除する。
ステップS43において、送電装置10は、受電装置20を探索するためのサーチ信号を送信する。
ステップS44において、受電装置Aは、受電装置Aの認証IDを送電装置10に送信する。送電装置10は、予め記憶された認証IDと受電装置Aから受信する認証IDとが一致する場合に、送電対象の受電装置20として受電装置Aを認証する。一方で、受電装置Bは、信号受信待機状態に遷移していないため、認証IDを送信しない。
ステップS45において、送電装置10は、受電装置Aの種類を特定するための情報の送信を要求する情報要求を受電装置Aに送信する。
ステップS46において、受電装置Aは、受電装置Aの種類を特定するための情報を送電装置10に送信する。例えば、受電装置Aの種類を特定するための情報は、図5に示すカテゴリを識別するカテゴリ情報である。
ステップS47において、送電装置10は、ステップS46で受信する情報(例えば、カテゴリ情報)に応じて、送電装置10の送電を制御する。すなわち、送電装置10は、送電パターンを変更する。ここでは、送電装置10は、受電装置Aに対応する送電電力で連続的に送電しつつ、受電装置Bに対応する送電電力を受電装置Aに対応する送電電力に上乗せさせた送電電力で間欠的に送電する状態から、受電装置Aに対応する送電電力で連続的に送電する状態とするよう、送電パターンを変更する。
(作用及び効果)
第1実施形態では、テスト送電状態を導入することによって、受電装置20に対する送電が行われるため、受電装置20の電力状態に依存せずに、送電対象の受電装置20を検知することができる。
詳細には、送電装置10は、テスト送電状態において、受電装置20を探索するためのサーチ信号を送信することによって、受電装置20は、サーチ信号を受信することができ、サーチ信号に応じて認証IDを送信することができる。これによって、送電装置10は、認証IDに基づいて、受電装置20の認証を行うことができ、送電対象の受電装置20を検知することができる。
[第2実施形態の概要]
送電装置は、送電装置の周囲に存在する受電装置を把握していないことが考えられる。或いは、送電装置は、送電装置の周囲に存在する受電装置を把握していても、受電装置の受電状態を把握していないことが考えられる。
このようなケースにおいて、受電装置に対する送電を送電装置が継続しても、受電装置に対する送電を適切に行うことができない可能性が考えられる。例えば、送電装置の周囲に受電装置が存在しない場合に、受電装置に対する送電を行っても、送電装置の送電が無駄になる。或いは、受電装置が受電できない状態である場合に、受電装置に対する送電を行っても、送電装置の送電が無駄になる。
これに対して、第2実施形態に係る制御装置は、送電装置から受電装置に対して磁界共鳴方式で送電する送電システムで用いる。制御装置は、送電対象の受電装置が検知された状態で前記送電装置の送電電力を制御する送電状態と、前記送電対象の受電装置に対する送電準備が整った状態で前記送電装置の送電電力の送電を待機する待機状態とを制御する電力制御部を備える。前記電力制御部は、所定トリガに応じて、前記送電状態から前記待機状態に遷移することが好ましい。
第2実施形態では、電力制御部は、所定トリガに応じて、送電状態から待機状態に遷移する。すなわち、待機状態の導入によって、受電装置に対する送電を適切に行うことができる。
[第2実施形態]
以下において、第2実施形態について説明する。以下においては、第1実施形態に対する相違点について主として説明する。
具体的には、第1実施形態では、制御部13Bは、送電対象の受電装置20が検知された状態で送電装置10の送電電力を制御する送電状態(後述する送電状態及び間欠送電状態)と、送電対象の受電装置20が検知されていない状態で送電装置10の送電電力を制御するテスト送電状態とを制御する電力制御部を構成する。
これに対して、第2実施形態では、制御部13Bは、送電対象の受電装置20の数及び送電対象の受電装置20の種類の少なくとも1つに基づいて、送電装置10の送電電力を制御する電力制御部を構成する。
(送電状態から待機状態への遷移)
以下において、送電状態から待機状態への遷移の詳細について説明する。上述したように、送電状態から待機状態に遷移するトリガEは、検知されていた送電対象の受電装置20の全てが検知されなくなる事象の発生である。送電対象の受電装置20を検知する手法としては、例えば、以下に示す方法が考えられる。
第1に、トリガEは、サーチ信号を送信してから一定期間内にサーチ信号に対する応答信号(例えば、認証ID)を受信できない事象の発生である。なお、サーチ信号の送信は定期的に行われることに留意すべきである。
第2に、送電対象の受電装置20は、認証済みの受電装置20であり、受電装置20の認証処理を行ってから一定期間が経過した場合に、受電装置20の認証期限が切れる。すなわち、トリガEは、受電装置20の全ての認証期限が切れる事象の発生である。なお、受電装置20の認証処理は定期的に行われることに留意すべきである。
第3に、上述した制御部13Bは、図9に示すように、送電状態において、基準電力(Wref)で送電するように送電装置10の送電電力を制御する。トリガEは、送電装置10の送電電力が基準電力(Wref)よりも小さい停止閾値(Wer)を下回る事象の発生である。このようなケースでは、送電装置10は、送電状態において送電装置10の送電電力を定期的に計測することに留意すべきである。
ここで、基準電力(Wref)は、送電対象の受電装置20が存在しない状態において、送電装置10の送電電力を予め測定することによって取得される。基準電力(Wref)は、送電対象の受電装置20の数及び送電対象の受電装置20の種類の少なくとも1つに対して予め対応付けられていることが好ましい。但し、基準電力(Wref)は、固定値であってもよい。停止閾値(Wer)は、例えば、基準電力(Wref)の10%である。
第4に、上述した制御部13Bは、図9に示すように、送電状態において、基準電力(Wref)を送電するように送電装置10の送電電力を制御する。制御部13Bは、送電状態において、送電装置10の送電電力が基準電力(Wref)よりも小さい調整閾値(Wth)を下回った場合に、送電装置10の共振周波数を調整する。例えば、制御部13Bは、コンデンサCの容量を調整することによって、送電装置10の送電電力が調整閾値(Wth)を超えるように、送電側共振器11の共振周波数を調整する。トリガEは、送電装置10の送電電力が調整閾値(Wth)よりも小さい停止閾値(Wer)を下回る事象の発生である。このようなケースでは、送電装置10は、送電状態において送電装置10の送電電力を定期的に計測することに留意すべきである。調整閾値(Wth)は、例えば、基準電力(Wref)の90%である。
(作用及び効果)
第2実施形態では、制御部13Bは、所定トリガ(上述したトリガE)に応じて、送電状態から待機状態に遷移する。すなわち、適切なトリガで待機状態へ遷移することによって、受電装置に対する送電を適切に行うことができる。
[第3実施形態の概要]
送電装置は、送電装置の周囲に存在する受電装置を把握していないことが考えられる。或いは、送電装置は、送電装置の周囲に存在する受電装置を把握していても、動作中の受電装置を把握していないことが考えられる。或いは、送電装置は、新たに設置された受電装置を把握できないことが考えられる。
従って、送電装置は、送電対象の受電装置を探索するためのサーチ信号を送信し、受電装置から返信された情報によって、送電対象の受電装置を検知することが好ましい。
しかしながら、コンデンサや二次電池などの蓄電ユニットを受電装置が有していない場合には、送電装置から電力が送電されなければ、受電装置が情報を送信することができない。また、コンデンサや二次電池などの蓄電ユニットを受電装置が有していても、蓄電ユニットに蓄積された電力が通信に必要な電力を賄えない場合には、送電装置から電力が送電されなければ、受電装置が情報を送信することができない。
このように、受電装置の電力不足に起因して、受電装置が通信を行うことができないケースがあり、送電対象の受電装置を検知することができない可能性がある。
これに対して、第3実施形態に係る制御装置は、送電装置から受電装置に対して磁界共鳴方式で電力を送電する送電システムで用いる。制御装置は、送電対象の受電装置に対する送電準備が整った状態で前記送電装置の送電を待機する待機状態と、前記送電対象の受電装置が検知されていない状態で前記送電装置が間欠的に送電するサーチ送電状態とを制御する電力制御部を備える。前記電力制御部は、所定トリガに応じて、前記待機状態から前記サーチ送電状態に遷移する。
第3実施形態では、サーチ送電状態を導入することによって、受電装置に対する送電が行われるため、受電装置の電力状態に依存せずに、送電対象の受電装置を検知することができる。
[第3実施形態]
以下において、第3実施形態について説明する。以下においては、第1実施形態に対する相違点について主として説明する。
具体的には、第1実施形態では、制御部13Bは、送電対象の受電装置20が検知された状態で送電装置10の送電電力を制御する送電状態(後述する送電状態及び間欠送電状態)と、送電対象の受電装置20が検知されていない状態で送電装置10の送電電力を制御するテスト送電状態とを制御する電力制御部を構成する。
これに対して、第3実施形態では、制御部13Bは、送電対象の受電装置20の数及び送電対象の受電装置20の種類の少なくとも1つに基づいて、送電装置10の送電電力を制御する電力制御部を構成する。
(送電装置の状態遷移)
以下において、第3実施形態に係る送電装置の状態遷移について説明する。図10は、第3実施形態に係る送電装置10の状態遷移を示す図である。
図10に示すように、送電装置10の状態としては、図4に示す状態(停止状態、待機状態、送電状態、間欠送電状態、テスト送電状態)に加えて、サーチ送電状態が挙げられる。
サーチ送電状態は、送電対象の受電装置20が検知されていない状態で送電を行う状態である。詳細には、サーチ送電状態は、受電装置20の通信モジュール23が通信を行うために必要な電力を供給することによって、受電装置20から信号(例えば、上述した認証ID等)を返信できるように、送電電力の送電を行う状態である。なお、送電装置10は、サーチ送電状態において、通信部13Aによって、受電装置20を探索するためのサーチ信号を送信してもよい。また、受電装置20は、サーチ送電状態に遷移し、送電を開始した後、所定時間経過したらサーチ信号の送信を開始するようにしてもよい。
なお、サーチ送電状態における送電方法は、送電状態における送電方法、間欠送電状態における送電方法と異なっていてもよい。例えば、サーチ送電状態における送電方法は、テスト送電状態と同様に、送電を行う送電区間と送電を行わない非送電区間とを繰り返す方法である。サーチ送電状態における送電区間は、間欠送電状態における送電区間よりも長いことが好ましい。
第3実施形態において、送電対象の受電装置20が検知されていない状態が継続する時間が長いほど、サーチ送電状態において、送電装置10が送電する間欠周期(すなわち、時間的に隣接する送電区間の間隔あるいは非送電区間の区間長)が長いことが好ましい。或いは、送電対象の受電装置20が検知されていない状態が継続する時間に応じて、サーチ送電状態における送電区間を変更してもよい。
第3実施形態において、制御部13Bは、送電状態の場合、基準電力(Wref)で送電するように送電装置10の送電電力を制御する。このような前提下において、制御部13Bは、サーチ送電状態において、基準電力よりも小さい電力(例えば、基準電力(Wref)の40%の電力)で送電するように送電装置10の送電電力を制御することが好ましい。或いは、制御部13Bは、サーチ送電状態において、サーチ送電状態に遷移する直前の送電状態で用いていた基準電力(Wref)で送電するように送電装置10の送電電力を制御してもよい。ここで、基準電力(Wref)とは、送電装置10の最大送電電力であってもよい。最大送電電力とは、送電装置10が送電することのできる最大の電力である。
待機状態からサーチ送電状態に遷移するトリガJは、待機状態が一定期間に亘って継続する事象の発生である。サーチ送電状態から待機状態に遷移するトリガKは、サーチ送電状態が一定期間に亘って継続する事象の発生である。或いは、トリガKは、サーチ信号に対する応答信号(例えば、認証ID、カテゴリ情報)を受電装置20から受信する事象の発生である。なお、送電装置10は、待機状態からサーチ送電状態に遷移した場合、受電装置20を探索するためのサーチ信号の送信を開始し、サーチ送電状態から待機状態に遷移した場合、サーチ信号の送信を停止してもよい。
なお、前述の説明では、サーチ送電状態が、待機状態及びテスト送電状態とは異なる状態であることを前提としたが、これに限られず、例えば、サーチ送電状態は、待機状態若しくはテスト送電状態の一態様としてそれぞれの状態に含まれることとしてもよい。
(作用及び効果)
第3実施形態では、サーチ送電状態を導入することによって、受電装置20に対する送電が行われるため、受電装置20の電力状態に依存せずに、送電対象の受電装置20を検知することができる。
[第4実施形態の概要]
磁界共鳴方式の利用シーンとしては、1つの送電装置から複数の受電装置に対して無線で送電する利用シーンが考えられる。
しかしながら、上述した技術では、受電装置から電力増大要求を受信しない場合に、送電装置の送電電力を漸減することによって、省電力化を図ることが検討されているに過ぎない。
従って、1つの送電装置から複数の受電装置に対して無線で送電する利用シーンにおいて、送電装置の送電電力を適切に制御する上で、様々な改善の余地がある。
これに対して、第4実施形態に係る制御装置は、送電装置から受電装置に対して磁界共鳴方式で送電する送電システムで用いる。制御装置は、送電対象の受電装置の数及び前記送電対象の受電装置の種類の少なくとも1つに基づいて、前記送電装置の送電電力を制御する電力制御部を備える。前記送電対象の受電装置は、前記制御装置によって認証された受電装置である。
第4実施形態では、電力制御部は、送電対象の受電装置の数及び送電対象の受電装置の種類の少なくとも1つに基づいて、送電装置の送電電力を制御する。従って、1つの送電装置から複数の受電装置に対して無線で送電する利用シーンにおいて、送電装置の送電電力を適切に制御することができる。
[第4実施形態]
以下において、第4実施形態について説明する。以下においては、第1実施形態に対する相違点について主として説明する。
具体的には、第1実施形態では、制御部13Bは、送電対象の受電装置20が検知された状態で送電装置10の送電電力を制御する送電状態(後述する送電状態及び間欠送電状態)と、送電対象の受電装置20が検知されていない状態で送電装置10の送電電力を制御するテスト送電状態とを制御する電力制御部を構成する。
これに対して、第4実施形態では、制御部13Bは、送電対象の受電装置20の数及び送電対象の受電装置20の種類の少なくとも1つに基づいて、送電装置10の送電電力を制御する電力制御部を構成する。
(作用及び効果)
第4実施形態では、送電装置10の制御部13Bは、送電対象の受電装置20の数及び送電対象の受電装置20の種類の少なくとも1つに基づいて、送電装置10の送電電力を制御する。従って、1つの送電装置10から複数の受電装置20に対して無線で送電する利用シーンにおいて、送電装置10の送電電力を適切に制御することができる。
[変更例]
以下において、第4実施形態の変更例について説明する。以下においては、第4実施形態に対する相違点について主として説明する。
第4実施形態では特に触れていないが、変更例では、受電装置20は、送電の開始を要求する開始要求及び送電の停止を要求する停止要求を送電装置10に送信する機能を有する。
(送電方法)
以下において、変更例に係る送電方法について説明する。図11は、変更例に係る送電方法を示すシーケンス図である。ここでは、蓄電ユニットを有する受電装置C及び受電装置Dに送電するケースについて例示する。また、蓄電ユニットを有する受電装置に対しても、間欠的な送電ではなくて、連続的な送電を行うケースについて例示する。
図11に示すように、ステップS50において、受電装置Cは、負荷22Cの動作を開始するために信号受信待機状態に遷移する。ここで、受電装置Cは、蓄電ユニットに蓄積された電力によって、通信を行うために必要な電力を賄う。
ステップS51において、送電装置10は、受電装置20を探索するためのサーチ信号を送信する。
ステップS52において、受電装置Cは、受電装置Cの認証IDを送電装置10に送信する。送電装置10は、予め記憶された認証IDと受電装置Cから受信する認証IDとが一致する場合に、送電対象の受電装置20として受電装置Cを認証する。一方で、受電装置Dは、待機状態に遷移していないため、認証IDを送信しない。
ステップS53において、受電装置Cは、送電の開始を要求する開始要求を送電装置10に送信する。開始要求は、受電装置Cが希望する受電電力を示す情報が含まれることが好ましい。
ステップS54において、送電装置10は、受電装置Cから受信する開始要求に応じて、受電装置Cに対する送電を開始する。
ステップS55において、受電装置Dは、負荷22Cの動作を開始するために待機状態に遷移する。ここで、受電装置Dは、蓄電ユニットに蓄積された電力によって、通信を行うために必要な電力を賄う。
ステップS56において、送電装置10は、受電装置20を探索するためのサーチ信号を送信する。
ステップS57において、受電装置Cは、受電装置Cの認証IDを送電装置10に送信する。受電装置Dは、受電装置Dの認証IDを送電装置10に送信する。
ステップS58において、受電装置Cは、送電の停止を要求する停止要求を送電装置10に送信する。
ステップS59において、送電装置10は、受電装置Cから受信する停止要求に応じて、受電装置Cに対する送電を停止する。
ステップS60において、受電装置Dは、送電の開始を要求する開始要求を送電装置10に送信する。開始要求は、受電装置Dが希望する受電電力を示す情報が含まれることが好ましい。
ステップS61において、送電装置10は、受電装置Dから受信する開始要求に応じて、受電装置Dに対する送電を開始する。
ステップS62において、受電装置Cは、送電の開始を要求する開始要求を送電装置10に送信する。開始要求は、受電装置Cが希望する受電電力を示す情報が含まれることが好ましい。
ステップS63において、送電装置10は、受電装置Cから受信する開始要求に応じて、受電装置Dに対する送電に加えて、受電装置Cに対する送電を開始する。つまり、送電装置10は、受電装置Dに対応する電力に、受電装置Cに対応する電力を加えた電力で送電する。
ステップS64において、受電装置Dは、送電の停止を要求する停止要求を送電装置10に送信する。
ステップS65において、送電装置10は、受電装置Dから受信する停止要求に応じて、受電装置Dに対する送電を停止する。但し、送電装置10は、受電装置Cに対する送電を継続する。
ステップS66において、受電装置Cは、送電の停止を要求する停止要求を送電装置10に送信する。
ステップS67において、送電装置10は、受電装置Cから受信する停止要求に応じて、受電装置Cに対する送電を停止する。
続いて、受電装置20が送電開始要求及び送電停止要求を発生するタイミングについて、図12を参照しながら説明する。
図12に示すように、受電装置20は、蓄電ユニット22Dに蓄電された電力を監視する。受電装置20は、蓄電ユニット22Dに蓄電された電力が第1閾値を下回った場合に、送電の開始を要求する開始要求を送電装置10に送信する。一方で、受電装置20は、蓄電ユニット22Dに蓄電された電力が第2閾値を上回った場合に、送電の停止を要求する停止要求を送電装置10に送信する。
ここで、第1閾値は、蓄電ユニット22Dの充電を開始すべき閾値である。蓄電ユニット22Dが電気二重層キャパシタである場合には、第1閾値は、キャパシタ充電開始電圧である。第2閾値は、蓄電ユニット22Dの充電を完了すべき閾値であり、第1閾値よりも大きな値である。蓄電ユニット22Dが電気二重層キャパシタである場合には、第2閾値は、キャパシタ充電終了電圧である。
ここで、受電装置20は、蓄電ユニット22Dに蓄電された電力が第1閾値(例えば、キャパシタ充電開始電圧)を下回った場合に、非共振状態から共振状態に遷移することが好ましい。受電装置20は、蓄電ユニット22Dに蓄電された電力が第2閾値(例えば、キャパシタ充電終了電圧)を上回った場合に、共振状態から非共振状態に遷移することが好ましい。共振状態は、送電装置10から発生される磁場に共振可能な状態であって、非共振状態は、送電装置10から発生される磁場に共振不可能な状態である。
[第5実施形態の概要]
磁界共鳴方式では、送電装置の共振器及び受電装置の共振器が共振していれば、受電装置に対する給電の必要がなくても、送電装置から受電装置に対して送電される。すなわち、受電装置が送信電力を受電するか否かを任意に切り替えることができない。
これに対して、第5実施形態に係る制御装置は、送電装置から受電装置に対して磁界共鳴方式で送電する送電システムで用いる。制御装置は、前記受電装置の共振器が前記送電装置から発生される磁場に対して共振可能な共振状態と、前記受電装置の共振器が前記送電装置から発生される磁場に対して共振しない非共振状態との間で、前記受電装置の共振器の状態を制御する共振制御部を備える。
第5実施形態では、共振状態及び非共振状態の導入によって、受電装置が送信電力を受電するか否かを任意に切り替えることができる。
[第5実施形態]
以下において、第5実施形態について説明する。以下においては、第1実施形態に対する相違点について主として説明する。
具体的には、第1実施形態では、制御部13Bは、送電対象の受電装置20が検知された状態で送電装置10の送電電力を制御する送電状態(後述する送電状態及び間欠送電状態)と、送電対象の受電装置20が検知されていない状態で送電装置10の送電電力を制御するテスト送電状態とを制御する電力制御部を構成する。
これに対して、第5実施形態では、制御部13Bは、送電対象の受電装置20の数及び送電対象の受電装置20の種類の少なくとも1つに基づいて、送電装置10の送電電力を制御する。
また、第5実施形態において、制御部23Bは、受電装置20の共振器の共振周波数が送電装置10の共振器の共振周波数と一致する共振状態と、受電装置20の共振器の共振周波数が送電装置10の共振器の共振周波数と一致しない非共振状態との間で、受電側共振器21の状態を制御する共振制御部を構成する。言い換えると、共振状態は、送電装置10から発生される磁場に共振可能な状態であって、非共振状態は、送電装置10から発生される磁場に共振不可能な状態である。受電装置20の共振器が共振状態である場合には、受電装置20の共振器が送電装置10の共振器から発生される磁場に共振することによって、受電装置20は、送電装置10から供給される電力を受けることができる。一方で、受電装置20の共振器が非共振状態である場合には、受電装置20の共振器が送電装置10の共振器から発生される磁場に共振しないため、受電装置20は、送電装置10から供給される電力を受けることができない。例えば、制御部23Bは、コンデンサCの容量を調整することによって、受電側共振器21の共振周波数を調整し、共振状態と非共振状態との間で受電側共振器21の状態を制御する。
第1に、制御部23Bは、ユーザ操作に応じて、共振状態から非共振状態に受電側共振器21の状態を遷移させてもよい。同様に、制御部23Bは、ユーザ操作に応じて、非共振状態から共振状態に受電側共振器21の状態を遷移させてもよい。
第2に、制御部23Bは、EMSから受信する指示に応じて、受電側共振器21の共振状態を制御してもよい。このようなケースにおいて、EMSは、複数の受電装置20の受電状態を管理しており、第2受電装置の受電状態に応じて、第1受電装置の共振器の状態の遷移を指示する。例えば、EMSは、第2受電装置の受電電力が所定閾値を下回った場合に、第1受電装置に対して、共振状態から非共振状態に遷移するように指示する。なお、EMSに限られず、他の制御装置であってもよい。
第3に、制御部23Bが第1受電装置に設けられる場合において、制御部23Bは、第2受電装置の受電状態に応じて、第1受電装置の共振器の状態を制御してもよい。例えば、制御部23Bは、第2受電装置の受電電力が所定閾値を下回った場合に、第1受電装置に対して、共振状態から非共振状態に受電側共振器21の状態を遷移させる。なお、制御部23Bは第1受電装置と別体で構成されていてもよい。
第4に、制御部23Bは、蓄電ユニット22Dに蓄電された電力の量に応じて、受電装置20の共振器の状態を制御してもよい。例えば、制御部23Bは、蓄電ユニット22Dに蓄電された電力の量が所定の閾値を下回ると、非共振状態から共振状態に受電側共振器21の状態を遷移させる。
(送電方法)
以下において、第5実施形態に係る送電方法について説明する。第5実施形態では、以下の点を除いて、上述した図6〜図8の動作と同様であることに留意すべきである。
具体的には、図6のステップS10において、受電装置Aは、現在の状態が非共振状態である場合には、非共振状態からから共振状態に遷移することに留意すべきである。
図7のステップS20において、受電装置Bは、現在の状態が非共振状態である場合には、非共振状態から共振状態に遷移することに留意すべきである。
図7のステップS26において、受電装置Bは、共振状態から非共振状態に遷移してもよい。
図8のステップS30において、受電装置Aは、現在の状態が非共振状態である場合には、非共振状態からから共振状態に遷移することに留意すべきである。
図8のステップS36において、受電装置Bは、現在の状態が非共振状態である場合には、非共振状態からから共振状態に遷移することに留意すべきである。
図8のステップS42において、受電装置Bは、負荷22Cの動作を停止するために信号受信待機状態を解除する。受電装置Bは、共振状態から非共振状態に遷移してもよい。
(作用及び効果)
第5実施形態では、共振状態及び非共振状態の導入によって、受電装置20が送信電力を受電するか否かを任意に切り替えることができる。
[第6実施形態の概要]
送電装置の送電電力が一定に保たれていても、受電装置の数が増大するケース又は受電装置の消費電力が変動するケースでは、受電装置の受電電力が不足することが考えられる。一方で、送電装置の送電電力を常に最大電力に設定すると、送電装置の送電電力が過剰になり、送電装置の送電電力が無駄になってしまう。さらには、受電装置の要求に応じて送電装置の送電電力を逐一制御することも考えられるが、送電装置の送電電力の制御が煩雑である。
これに対して、第6実施形態に係る制御装置は、送電装置から受電装置に対して磁界共鳴方式で送電する送電システムで用いる。制御装置は、第1電力量で送電する第1送電状態と、前記第1電力量よりも大きい第2電力量で送電する第2送電状態とを制御する電力制御部を備える。
第6実施形態では、電力制御部は、第1送電状態及び第2送電状態において、送電電力量を段階的に制御するため、送電装置の送電電力を適切かつ簡易に制御することができる。
[第6実施形態]
以下において、第6実施形態について説明する。以下においては、第1実施形態に対する相違点について主として説明する。
具体的には、第1実施形態では、制御部13Bは、送電対象の受電装置20が検知された状態で送電装置10の送電電力を制御する送電状態(後述する送電状態及び間欠送電状態)と、送電対象の受電装置20が検知されていない状態で送電装置10の送電電力を制御するテスト送電状態とを制御する電力制御部を構成する。
これに対して、第6実施形態では、制御部13Bは、送電対象の受電装置20の数及び送電対象の受電装置20の種類の少なくとも1つに基づいて、送電装置10の送電電力を制御する電力制御部を構成する。
ここで、送電対象の受電装置20は、送電装置10(制御装置)によって認証された受電装置20であることが好ましい。従って、送電対象の受電装置20の数は、送電装置10(制御装置)によって認証された受電装置20の数であることが好ましい。
(送電装置の状態遷移)
以下において、第6実施形態に係る送電装置の状態遷移について説明する。図13は、第6実施形態に係る送電装置10の状態遷移を示す図である。
図13に示すように、送電装置10の状態としては、停止状態、待機状態、第1送電状態、第1間欠送電状態、テスト送電状態、第2送電状態、第2間欠送電状態が挙げられる。
停止状態は、送電を完全に停止している状態である。詳細には、停止状態は、送電装置10が起動されていない状態である。
待機状態は、送電を行っていないが、送電準備が整った状態である。待機状態は、送電対象の受電装置20が検知されていない状態であり、送電装置10の電源が起動された状態である。
第1送電状態は、送電対象の受電装置20に対して、第1電力で連続的に送電する状態である。第1送電状態は、例えば、蓄電ユニットを有していない送電対象の受電装置20のみが検知された場合に、送電電力を連続的に送電する状態である。第1送電状態は、単位時間当たりの送電電力量として第1電力量で送電する第1送電状態である。
第1間欠送電状態は、送電対象の受電装置20に対して、第1頻度で間欠的に送電する状態である。第1間欠送電状態は、例えば、蓄電ユニットを有する送電対象の受電装置20のみが検知された場合に、第1頻度で間欠的に送電する状態である。なお、図13では、第1間欠送電状態は、第1送電状態と別々に定義されているが、第1間欠送電状態は、単位時間当たりの送電電力量として第1電力量で送電する第1送電状態の一部であると考えてもよい。
テスト送電状態は、送電対象の受電装置20が検知されていない状態で送電電力の送電を行う状態である。詳細には、テスト送電状態は、受電装置20の通信モジュール23が通信を行うために必要な電力を送電することによって、受電装置20から信号(例えば、上述した認証ID等)を返信できるように、送電電力の送電を行う状態である。
なお、テスト送電状態における送電方法は、送電状態における送電方法及び間欠送電状態における送電方法と異なっていてもよい。例えば、テスト送電状態における送電方法は、送電を行う送電区間と送電を行わない非送電区間とを繰り返す方法である。テスト送電状態における送電区間は、間欠送電状態における送電区間よりも長いことが好ましい。或いは、テスト送電状態における送電方法は、送電状態及び間欠送電状態における送電電力よりも小さい送電電力を連続的に送電する方法であってもよい。
第2送電状態は、送電対象の受電装置20に対して、第1電力よりも大きい第2電力で連続的に送電する状態である。第2送電状態は、例えば、蓄電ユニットを有していない送電対象の受電装置20のみが検知された場合に、連続的に送電する状態である。第2送電状態は、単位時間当たりの送電電力量として第1電力量よりも大きい第2電力量で送電する第2送電状態である。
第2間欠送電状態は、送電対象の受電装置20に対して、第1頻度よりも高い第2頻度で間欠的に送電する状態である。第2間欠送電状態は、例えば、蓄電ユニットを有する送電対象の受電装置20のみが検知された場合に、第2頻度で間欠的に送電する状態である。なお、図13では、第2間欠送電状態は、第2送電状態と別々に定義されているが、第2間欠送電状態は、単位時間当たりの送電電力量として第1電力量よりも大きい第2電力量を送電する第2送電状態の一態様であると考えてもよい。
停止状態から待機状態に遷移するトリガAは、例えば、送電装置10を起動する事象(送電装置10の電源を投入する事象)である。待機状態から停止状態に遷移するトリガBは、例えば、送電装置10の電源を切断する事象の発生である。待機状態を維持するトリガCは、送電対象の受電装置20が検知されない事象の発生である。
待機状態から第1送電状態に遷移するトリガDは、蓄電ユニットを有していない送電対象の受電装置20が検知される事象の発生である。第6実施形態では、トリガDの条件は、例えば、送電対象の受電装置20が所定数以下である場合に満たされる。或いは、トリガDの条件は、例えば、消費電力の変動量が所定値よりも大きいアプリケーション(負荷)を有する(使用する)受電装置20が送電対象の受電装置20として含まれない場合に満たされる。第1送電状態から待機状態に遷移するトリガEは、検知されていた送電対象の受電装置20の全てが検知されなくなる事象の発生である。或いは、トリガEは、送電対象の受電装置20の全てから送電停止が要求される事象の発生である。
待機状態から第1間欠送電状態に遷移するトリガFは、蓄電ユニットを有する送電対象の受電装置20が検知される事象の発生である。第6実施形態では、トリガFの条件は、例えば、送電対象の受電装置20が所定数以下である場合に満たされる。或いは、トリガFの条件は、例えば、消費電力の変動量が所定値よりも大きいアプリケーション(負荷)を有する(使用する)受電装置20が送電対象の受電装置20として含まれない場合に満たされる。第1間欠送電状態から待機状態に遷移するトリガGは、検知されていた送電対象の受電装置20の全てが検知されなくなる事象の発生である。或いは、トリガGは、送電対象の受電装置20の全てから送電停止が要求される事象の発生である。
待機状態からテスト送電状態に遷移するトリガHは、停止状態から待機状態に遷移する事象の発生である。すなわち、トリガHは、トリガAと同様に、送電装置10を起動する事象(送電装置10の電源を投入する事象)の発生である。つまり、停止状態から送電装置10を起動した場合、待機状態に遷移し、その直後にテスト送電状態に遷移する。なお、停止状態から待機状態を経由せずにテスト送電状態に直接遷移してもよい。或いは、トリガHは、送電装置10が送電を行っていない状態(待機状態)が一定期間に亘って継続する事象の発生である。或いは、トリガHは、ユーザ操作である。テスト送電状態から待機状態に遷移するトリガIは、テスト送電状態が一定期間に亘って継続する事象の発生である。或いは、トリガIは、サーチ信号に対する応答信号(例えば、認証ID、カテゴリ情報)を受電装置20から受信する事象の発生である。また、テスト状態から、待機状態を経由せずに直接、送電状態に遷移してもよい。また、テスト状態から送電状態への遷移のトリガは、受電装置20から認証IDを受信し、認証に成功した場合若しくは認証に成功後にカテゴリ情報を受信した場合であってもよい。ここで、認証に成功したとは、例えば、受信した認証IDが予め記憶した認証IDと一致したことを指す。
待機状態から第2送電状態に遷移するトリガJは、蓄電ユニットを有していない送電対象の受電装置20が検知される事象の発生である。第6実施形態では、トリガJの条件は、例えば、送電対象の受電装置20が所定数よりも多い場合に満たされる。或いは、トリガJの条件は、例えば、消費電力の変動量が所定値よりも大きいアプリケーションを有する受電装置20が送電対象の受電装置20として含まれる場合に満たされる。第2送電状態から待機状態に遷移するトリガKは、検知されていた送電対象の受電装置20の全てが検知されなくなる事象の発生である。或いは、トリガKは、送電対象の受電装置20の全てから送電停止が要求される事象の発生である。
待機状態から第2間欠送電状態に遷移するトリガLは、蓄電ユニットを有する送電対象の受電装置20が検知される事象の発生である。第6実施形態では、トリガLの条件は、例えば、送電対象の受電装置20が所定数よりも大きい場合に満たされる。或いは、トリガLの条件は、例えば、消費電力の変動量が所定値よりも大きいアプリケーションを有する受電装置20が送電対象の受電装置20として含まれる場合に満たされる。第2間欠送電状態から待機状態に遷移するトリガMは、検知されていた送電対象の受電装置20の全てが検知されなくなる事象の発生である。或いは、トリガMは、送電対象の受電装置20の全てから送電停止が要求される事象の発生である。
図13においては、待機状態と第2送電状態との間の状態遷移について例示しているが、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、送電装置10の送電状態は、第1送電状態と第2送電状態との間で遷移してもよい。第1送電状態から第2送電状態に遷移するトリガは、送電対象の受電装置20が所定数よりも大きい事象、或いは、消費電力の変動量が所定値よりも大きいアプリケーションを有する受電装置20が送電対象の受電装置20として含まれる事象の発生である。一方で、第2送電状態から第1送電状態に遷移するトリガは、送電対象の受電装置20が所定数以下である事象、或いは、消費電力の変動量が所定値よりも大きいアプリケーションを有する受電装置20が送電対象の受電装置20として含まれない事象の発生である。
同様に、図13においては、待機状態と第2間欠送電状態との間の状態遷移について例示しているが、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、送電装置10の間欠送電状態は、第1間欠送電状態と第2間欠送電状態との間で遷移してもよい。第1間欠送電状態から第2間欠送電状態に遷移するトリガは、送電対象の受電装置20が所定数よりも大きい事象、或いは、消費電力の変動量が所定値よりも大きいアプリケーションを有する受電装置20が送電対象の受電装置20として含まれる事象の発生である。一方で、第2間欠送電状態から第1間欠送電状態に遷移するトリガは、送電対象の受電装置20が所定数以下である事象、或いは、消費電力の変動量が所定値よりも大きいアプリケーションを有する受電装置20が送電対象の受電装置20として含まれない事象の発生である。
第1送電状態(又は、第1間欠送電状態)から第2送電状態(又は、第2間欠送電状態)へ遷移するトリガN(又は、トリガP)は、受電装置20から消費電力の高いアプリを実行する要求を受信する事象の発生、受電装置20が高負荷状態へ遷移する旨の要求を受信する事象の発生である。第2送電状態(又は、第2間欠送電状態)から第1送電状態(又は、第1間欠送電状態)へ遷移するトリガO(又は、トリガQ)は、受電装置20から消費電力の高いアプリの実行が終了した旨の通知を受信する事象の発生、受電装置20から高負荷状態から受電状態(低負荷状態)へ遷移する旨の通知を受信する事象の発生である。
なお、上述した図8に示す例において、受電装置Aに対して適用される送電状態は、第1送電状態であってもよく、第2送電状態であってもよい。同様に、受電装置Bに対して適用される間欠送電状態は、第1間欠送電状態であってもよく、第2間欠送電状態であってもよい。
(作用及び効果)
第6実施形態では、制御部13Bは、第1送電状態及び第2送電状態において、単位時間当たりの送電電力量を段階的に制御するため、送電装置の送電電力を適切かつ簡易に制御することができる。
[変更例]
以下において、第6実施形態の変更例について説明する。以下においては、第6実施形態に対する相違点について主として説明する。具体的には、変更例では、受電装置の状態遷移について主として説明する。
(受電装置の状態遷移)
以下において、変更例に係る受電装置の状態遷移について説明する。図14は、変更例に係る受電装置20の状態遷移を示す図である。
図14に示すように、受電装置20の状態としては、停止状態、待機状態、第1受電状態、第2受電状態が挙げられる。
停止状態は、受電を完全に停止している状態である。詳細には、停止状態は、受電装置20の共振器の共振周波数が送電装置10の共振器の共振周波数と一致しない状態であり、これ以降、この状態を非共振状態とも呼ぶ。非共振状態は、送電装置10から発生される磁場に共振不可能な状態である。受電装置20の共振器が非共振状態である場合には、受電装置20の共振器が送電装置10の共振器から発生される磁場に共振しないため、受電装置20は、送電装置10から供給される電力を受けることができない。
待機状態は、受電を行っていないが、受電準備が整った状態である。待機状態は、受電装置20の共振器の共振周波数が送電装置10の共振器の共振周波数と一致する状態であり、これ以降、この状態を共振状態とも呼ぶ。共振状態は、送電装置10から発生される磁場に共振可能な状態である。受電装置20の共振器が共振状態である場合には、受電装置20の共振器が送電装置10の共振器から発生される磁場に共振することによって、受電装置20は、送電装置10から供給される電力を受けることができる。
第1受電状態は、所定閾値よりも小さい電力で受電する状態である。例えば、第1受電状態では、所定閾値よりも小さい消費電力のアプリケーション(負荷22C)を駆動する状態である。例えば、受電装置20が第1受電状態である場合には、送電装置10は、上述した第1送電状態(又は、第1間欠送電状態)で動作する。第1受電状態は、上述した低負荷状態の一例である。
第2受電状態は、所定閾値よりも大きい電力で受電する状態である。例えば、第2受電状態では、所定閾値よりも大きい消費電力のアプリケーション(負荷22C)を駆動する状態である。例えば、受電装置20が第2受電状態である場合には、送電装置10は、上述した第2送電状態(又は、第2間欠送電状態)で動作する。第2受電状態は、上述した高負荷状態の一例である。
停止状態から待機状態に遷移するトリガX1は、例えば、受電装置20を起動する事象の発生である。また、トリガX1は、受電装置20の受電動作を終了するトリガであってもよい。このような場合に、受電装置20(制御部23B)は、トリガX1に応じて、コンデンサCの容量を調整することによって、受電側共振器21の共振周波数を調整し、共振状態に遷移する。待機状態から停止状態に遷移するトリガX2は、例えば、受電装置20の電源を切断する事象の発生である。また、トリガX2は、受電装置20の受電動作を開始するトリガであってもよい。このような場合に、受電装置20(制御部23B)は、トリガX2に応じて、コンデンサCの容量を調整することによって、受電側共振器21の共振周波数を調整し、非共振状態に遷移する。
待機状態から第1受電状態に遷移するトリガY1は、例えば、所定閾値よりも小さい消費電力のアプリケーション(負荷22C)を起動する事象の発生である。第1受電状態から待機状態に遷移するトリガY2は、例えば、所定閾値よりも小さい消費電力のアプリケーション(負荷22C)を終了する事象の発生である。受電装置20は、トリガY1又はトリガY2の検知に応じて、トリガY1又はトリガY2を検知した旨を送電装置10に送信することが好ましい。
第1受電状態から第2受電状態に遷移するトリガZ1は、例えば、所定閾値よりも大きい消費電力のアプリケーション(負荷22C)を起動する事象の発生である。第2受電状態から第1受電状態に遷移するトリガZ2は、例えば、所定閾値よりも大きい消費電力のアプリケーション(負荷22C)を終了する事象の発生である。受電装置20は、トリガZ1又はトリガZ2の検知に応じて、トリガZ1又はトリガZ2を検知した旨を送電装置10に送信することが好ましい。
また、待機状態から上記トリガZ1及びトリガZ2の事象が発生した場合には、第1受電状態を経由せずに第2受電状態に直接遷移してもよい。
ここで、第1受電状態から第2受電状態に遷移する場合には、送電装置10又はEMS等の許可が必要であることが好ましい。第2受電状態から第1受電状態に遷移する場合には、送電装置10又はEMS等の許可が不要であってもよい。
[第7実施形態の概要]
無線電力伝送方式の利用に関するガイドラインには、送電装置と受電装置との距離が所定距離以内である場合に限り、送電装置からの送電が認められることが規定されている。このような事情に鑑みて、送電装置と受電装置との間の距離を把握し、必要に応じて送電装置の電力伝送を停止させる技術が求められている。
しかしながら、送電装置と受電装置との間の距離を把握するためには、例えばGPS又は超音波センサ等を設ける必要があり、装置の大規模化又はコスト増加等を引き起こすおそれがある。
これに対して、第7実施形態に係る制御装置は、送電装置から受電装置に対して磁界共鳴方式で送電する送電システムで用いる。制御装置は、前記送電装置の送電電圧又は前記受電装置の受電電圧を取得する制御部を備える。前記制御部は、前記取得した送電電圧が、前記送電装置の最大電力伝送効率に対応する送電電圧閾値を上回った場合、又は、前記取得した受電電圧が、前記送電装置と前記受電装置との間の許容最大距離に対応する受電電圧閾値を下回った場合に、前記送電装置の電力伝送を停止させる。
第7実施形態では、制御装置が、送電電圧が送電電圧閾値を上回った場合、又は、受電電圧が受電電圧閾値を下回った場合に、送電装置の電力伝送を停止させる。これにより、装置の大規模化又はコスト増加等を引き起こすことなく、必要に応じて送電装置の電力伝送を停止させることができる。
[第7実施形態]
(送電システム)
以下において、第7実施形態に係る送電システムについて説明する。図15は、第7実施形態に係る送電システム100を示す図である。図16は、第7実施形態に係る送電装置10を示す図である。図17は、第7実施形態に係る受電装置20を示す図である。
図15に示すように、送電システム100は、送電装置10及び受電装置20を備えており、送電装置10から受電装置20に対して磁界共鳴方式で送電するシステムである。図15では、1つの受電装置20が例示されているが、複数の受電装置20が送電システム100に設けられていてもよい。受電装置20は、送電装置10によって伝送される電力によって動作する負荷を含む。受電装置20は、例えば、部屋内の各位置に設けられるセンサ類(人感センサ、温度センサ、照度センサ)であってもよく、あるいは、リモコン、スマートフォン、又はタブレット端末等の持ち運び可能な機器であってもよい。送電装置10は、受電装置20に電力を伝送するために、例えば、部屋の天井や床下等に埋め込まれる。送電装置10は、PTU(Power Transmiting Unit)と称されることもあり、受電装置20は、PRU(Power Receiving Unit)と称されることもある。
第7実施形態において、送電システム100は、需要家の電力を制御する制御装置の一例であるEMS(Energy Management System)30をさらに備える。EMS30としては、家庭に設けられるHEMS(Home Energy Management System)、ビルに設けられるBEMS(Building Energy Management System)、工場に設けられるFEMS(Factory Energy Management System)、店舗に設けられるSEMS(Store Energy Management System)等が挙げられる。
図15に示すように、送電装置10は、送電側共振器11と、送電モジュール12と、通信モジュール13とを有する。
送電側共振器11は、特定周波数で共振するように調整された共振器である。具体的には、図16に示すように、送電側共振器11は、コンデンサC及びインダクタンスL(コイル)によって構成される。例えば、コンデンサCの容量を調整することによって、送電側共振器11の共振周波数を特定周波数に調整することができる。
送電側共振器11は、インダクタンスLにおける電圧を検出する電圧計11Aをさらに有する。電圧計11Aによって検出された電圧値を、以下、送電装置10の送電電圧という。
送電モジュール12は、電力を伝送するモジュールである。具体的には、図16に示すように、送電モジュール12は、発振回路12C及び電源12Dを有する。発振回路12Cは、インバーター又は発振子を使って、電源12Dから供給された交流電力の周波数を所望の周波数に調整し、共振周波数を作りだす回路である。
通信モジュール13は、受電装置20と通信を行うモジュールである。通信モジュール13は、上述したEMS30と通信を行う。具体的には、通信モジュール13は、通信部13Aと、制御部13Bとを有する。
通信部13Aは、無線又は有線で受電装置20と接続されており、受電装置20及びEMS30に対して信号を送信し、受電装置20及びEMS30から信号を受信する。例えば、通信部13Aは、受電装置20を探索するためのサーチ信号を送信する。通信部13Aは、受電装置20の種類を特定するための情報の送信を要求する情報要求を送信する。一方で、通信部13Aは、受電装置20の認証IDを受信する。認証IDは、サーチ信号に応じて受電装置20から返信される。通信部13Aは、受電装置20の種類を特定するための情報を受信する。受電装置20の種類を特定するための情報は、情報要求に応じて受電装置20から返信される。
通信部13Aは、送電装置10の送電電圧をEMS30に送信する。また、通信部13Aは、受電装置20から、受電装置20が受信した信号の受信信号強度を示す情報を、受電装置20から受信する。通信部13Aは、受電装置20が受信した信号の受信信号強度を示す情報を、EMS30に送信する。
制御部13Bは、送電モジュール12及び通信モジュール13を制御する。例えば、制御部13Bは、送電装置10の送電電力を制御する。具体的には、制御部13Bは、通信部13Aによって取得された情報に基づいて、電源12Dを制御することによって、送電装置10の送電電力を制御する。
ここで、電力伝送対象の受電装置20は、送電装置10によって認証された受電装置20であることが好ましい。従って、電力伝送対象の受電装置20の数は、送電装置10によって認証された受電装置20の数であることが好ましい。
電力伝送対象の受電装置20の種類は、電力伝送対象の受電装置20の受電電力、電力伝送対象の受電装置20が蓄電ユニットを有するか否か、又は、電力伝送対象の受電装置20が有する蓄電ユニットの容量を示す情報によって特定されることが好ましい。
例えば、制御部13Bは、電力伝送対象の受電装置20の数が多いほど、送電装置10の送電電力を増大する。或いは、制御部13Bは、電力伝送対象の受電装置20の受電電力が大きいほど、送電装置10の送電電力を増大する。
図15に示すように、受電装置20は、受電側共振器21と、受電モジュール22と、通信モジュール23とを有する。
受電側共振器21は、特定周波数で共振するように調整された共振器である。具体的には、図17に示すように、受電側共振器21は、コンデンサC及びインダクタンスL(コイル)によって構成される。例えば、コンデンサCの容量を調整することによって、受電側共振器21の共振周波数を特定周波数に調整することができる。
受電側共振器21は、インダクタンスLにおける電圧を検出する電圧計21Aをさらに有する。電圧計21Aによって検出された電圧値を、以下、受電装置20の受電電圧という。
受電モジュール22は、電力を受電するモジュールである。具体的には、図17に示すように、受電モジュール22は、整流回路22Aと、DC/DCコンバータ22Bと、負荷22Cと、蓄電ユニット22Dとを有する。
整流回路22Aは、受電側共振器21から伝送される交流電力を直流電力に変換する。DC/DCコンバータ22Bは、整流回路22Aから伝送される電力の昇圧変換又は降圧変換を行う。負荷22Cは、送電装置10によって伝送される電力によって動作するものであり、例えば、センサ類又は通信機器である。
蓄電ユニット22Dは、蓄電池22Eと電圧計22Fとを有する。蓄電池22Eは、送電装置10によって伝送される電力を蓄積する。蓄電池22Eは、例えば、電気二重層キャパシタや二次電池等である。電圧計22Fは、蓄電池22Eの電圧を検出する。
図17においては、受電モジュール22が蓄電ユニット22Dを有するケースを例示しているが、実施形態は、これに限定されるものではない。すなわち、受電モジュール22は、蓄電ユニット22Dを有していなくてもよい。
通信モジュール23は、送電装置10及びEMS30と通信を行うモジュールである。通信モジュール23は、送電装置10によって伝送される電力によって動作することに留意すべきである。具体的には、通信モジュール23は、通信部23Aと、制御部23Bとを有する。
通信部23Aは、無線又は有線で送電装置10と接続されており、送電装置10及びEMS30に対して信号を送信し、送電装置10及びEMS30から信号を受信する。例えば、後述するように、通信部23Aは、受電装置20を探索するためのサーチ信号を受信する。通信部23Aは、受電装置20の種類を特定するための情報の送信を要求する情報要求を受信する。一方で、通信部23Aは、サーチ信号に応じて、受電装置20の認証IDを送信する。通信部23Aは、情報要求に応じて、受電装置20の種類を特定するための情報を送信する。
通信部23Aは、受電装置20の受電電圧をEMS30に送信する。また、通信部23Aは、送信装置10から受信した信号の受信信号強度を示す情報を、送信装置10に送信する。通信部23Aは、送信装置10から受信した信号の受信信号強度を示す情報を、EMS30に送信する。
制御部23Bは、受電モジュール22及び通信モジュール23を制御する。例えば、制御部23Bは、DC/DCコンバータ22Bの制御によって、適切な電力を負荷22Cに供給する。或いは、制御部23Bは、EMS30から受信する指示に応じて、負荷22Cを制御する。
図15に示すように、EMS30は、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを有する。
通信部31は、無線又は有線で送電装置10と接続されており、送電装置10に対して信号を送信し、送電装置10から信号を受信する。また、通信部31は、無線又は有線で受電装置20と接続されており、受電装置20に対して信号を送信し、受電装置20から信号を受信する。
記憶部32は、通信部31を介して取得した情報を記憶する。
第7実施形態において、制御部33は、受電装置20の受電電圧を取得する。また、制御部33は、受電装置20が送電装置10から受信した信号の受信信号強度を取得する。具体的には、通信部31が、受電装置20の受電電圧を示す信号及び受信信号強度を示す信号を受信し、制御部33は、通信部31から受電装置20の受電電圧及び受信信号強度を取得する。
第7実施形態において、制御部33は、前記取得した受電電圧が、前記送電装置と前記受電装置との間の許容最大距離に対応する受電電圧閾値を下回った場合に、前記送電装置の電力伝送を停止させる。
(適用シーン)
以下において、第7実施形態に係る送電システム100の適用シーンについて説明する。図18は、第7実施形態に係る送電システム100の適用シーンを示す図である。
図18に示すように、第7実施形態において、送電システム100は、送電装置10と、EMS30と、リモコン210と、スマートフォン220と、タブレット端末230とを備える。リモコン210、スマートフォン220及びタブレット端末230は、受電装置20の例であり、送電装置10から磁界共鳴方式で伝送された電力によって動作する。
ここで、リモコン210、スマートフォン220及びタブレット端末230は、持ち運び可能な機器であり、送電装置10との間の距離が一定ではないことに留意すべきである。
無線電力伝送方式の利用に関するガイドラインには、安全対策の観点から、送電装置10と受電装置20との間の距離(電力伝送距離)が設計仕様以内である場合に限り、送電装置10からの電力の伝送が認められることが規定されている。
そこで、受電装置20(リモコン210、スマートフォン220及びタブレット端末230)が移動したことにより、電力伝送距離が、例えば、送電装置10の機能の設定毎に規定された許容最大距離を上回った場合、ガイドラインを準用すれば、送電装置10の電力伝送を停止させることが望ましい。ただし、電力伝送距離の測定には、例えばGPS又は超音波センサ等が必要となるため、第7実施形態では、以下に説明するように、受電装置20の受電電圧に基づいて電力伝送距離を推定する。
図19(a)は、第7実施形態に係る電力伝送距離と電力伝送効率との関係を示す図である。磁界共鳴方式では、送電装置10と受電装置20との間の距離(電力伝送距離)に応じて電力伝送効率が変化する。ここで、電力伝送効率は、送電装置10の送電電力に対する受電装置20の受電電力の比率をいう。電力伝送距離は、送電側共振器11と受電側共振器21との間の距離をいう。
送電装置10と受電装置20との間の距離が所定距離である場合に、送電側共振器11と受電側共振器21との磁気的結合度が最適となり、最大電力伝送効率が得られる。最大電力伝送効率は、送電装置10の機能の設定に応じて定められる。以下、最大電力伝送効率が得られる場合における電力伝送距離の最小値をD1、最大値をD2とする。
電力伝送距離がD1よりも短い場合には、送電側共振器11と受電側共振器21との磁気的結合度が過大となり、電力伝送効率は閾値を若干下回る。また、電力伝送距離がD2よりも長くなると、送電側共振器11と受電側共振器21との磁気的結合度が弱まることにより、電力伝送効率が低下する。やがて、電力伝送距離が製品仕様で定められた許容最大距離を上回ると、受電装置20の受電電力はゼロに近くなる。ここで、製品仕様で定められた許容最大距離をDmaxとする。Dmaxは、送電装置10の機能の設定に応じて定められる。
図19(b)は、電力伝送距離と、送電装置10の送電電力及び受電装置20の受電電圧との関係を示す図である。図19(b)に示すように、送電装置10の送電電力は、電力伝送距離が長くなるに従って大きくなる。反対に、受電装置20の受電電力は、電力伝送距離が長くなるに従って小さくなる。ここで、電力伝送距離がD1,D2の場合の送電電圧を、それぞれVt1,Vt2とする。電力伝送距離がDmaxの場合の受電電圧を、Vr1とする。
つまり、受電装置20を送電装置10から遠ざけていくと、電圧計11Aの検出値は上昇を続ける。電圧計11Aの検出値がVt1を上回ると、電力伝送距離がD1を上回り、最大電力伝送効率が得られることが推定される。その後、電圧計11Aの検出値がVt2を上回ると、電力伝送距離がD2を上回り、電力伝送効率が最大電力伝送効率よりも低くなったことが推定される。
反対に、受電装置20を送電装置10から遠ざけていくと、電圧計21Aの検出値は低下し続ける。電圧計21Aの検出値がVr1を下回ったとき、電力伝送距離がDmaxより長くなり、電力伝送距離が許容最大距離を上回ったことが推定される。
(制御方法)
以下において、第7実施形態に係る制御方法について説明する。図20は、第7実施形態に係る制御方法を示すフロー図である。ここで、受電装置20は、持ち運び可能な機器、例えば、図18に示すリモコン210、スマートフォン220及びタブレット端末230のいずれかであり、送電装置10との間でサーチ信号及び認証IDの送受信が予め行われ、電力伝送対象の受電装置20として認証されているものとする。
図20に示すように、ステップS110において、EMS30は、受電装置20の受電電圧毎の電力伝送距離を取得する。
ステップS120において、EMS30は、許容最大距離に対応する受電電圧閾値を設定する。受電電圧閾値は、電力伝送距離が許容最大距離である場合の受電電圧であり、図19(b)における電圧値Vr1に相当する。
ステップS130において、EMS30は、受電電圧を取得する。具体的には、EMS30は、受電装置20から受電電圧を示す情報を受信することにより、受電電圧を取得する。
ステップS140において、EMS30は、取得した受電電圧が、受電電圧閾値(電圧値Vr1)を下回るか否かを判定する。判定結果がYESの場合、EMS30は、ステップS150の処理に進む。ステップS150において、EMS30は、送電装置10の電力伝送を停止させる。一方、判定結果がNOの場合、EMS30は、処理を終了し、送電装置10の電力伝送を継続させる。
以上説明したように、第7実施形態では、EMS30は、受電装置20の受電電圧に基づいて電力伝送距離を推定し、受電装置20の受電電圧が受電電圧閾値を下回った場合、電力伝送距離が許容最大距離Dmaxを上回ったと判断して、送電装置10の電力伝送を停止させる。これにより、電力伝送距離が製品仕様で定められた許容最大距離を上回った場合、送電装置10の電力伝送を停止させることができる。
また、第7実施形態において、EMS30は、受電装置20が送電装置10から受信した信号の受信信号強度を、電力伝送距離の推定に用いてもよい。すなわち、EMS30は、は、取得した受電電圧が受電電圧閾値(電圧値Vr1)を下回り、かつ、受電装置20から取得した受信信号強度が、許容最大距離に対応する受信信号強度を下回った場合に、送電装置10の電力伝送を停止させてもよい。電力伝送距離の推定に、受電電圧と受信信号強度とを併用することにより、より推定精度を高め、必要に応じて確実に送電装置10の電力伝送を停止させることができる。
[変更例]
以下、第7実施形態の変更例に係る制御方法について説明する。図21は、第7実施形態の変更例に係る制御方法を示すフロー図である。ここでは、第7実施形態との共通部分については説明を適宜省略し、第7実施形態との相違点を中心に説明する。
第7実施形態では、受電装置20の受電電圧に基づいて電力伝送距離を推定したが、変更例では、送電装置10の送電電圧に基づいて電力伝送距離を推定する。
図21に示すように、ステップS210において、EMS30は、送電電圧毎の電力伝送効率を取得する。
ステップS220において、EMS30は、最大電力伝送効率に対応する閾値を設定する。具体的には、EMS30は、送電装置10の初期電力伝送時における送電電圧を送電電圧閾値として設定する。送電装置の初期電力伝送時における送電電圧は、電力伝送対象の受電装置20が検知されていない状態で電力伝送を行う場合の送電電圧であり、図19(b)におけるVt2に相当する。
ステップS230において、EMS30は、送電電圧を取得する。具体的には、EMS30は、送電装置10から送電電圧を示す情報を受信することにより、送電電圧を取得する。
ステップS240において、EMS30は、取得した送電電圧が送電電圧閾値(電圧値Vt2)を上回るか否かを判定する。判定結果がYESの場合、EMS30は、ステップS250の処理に進む。ステップS250において、EMS30は、送電装置10の電力伝送を停止させる。一方、判定結果がNOの場合、EMS30は、処理を終了し、送電装置10の電力伝送を継続させる。
以上説明したように、変更例では、EMS30は、送電装置10の送電電圧に基づいて電力伝送距離を推定し、送電装置10の送電電圧が送電電圧閾値を上回った場合、電力伝送距離がD2を上回り、電力伝送効率が最大電力伝送効率よりも低くなったと判断して、送電装置10の電力伝送を停止させる。これにより、電力伝送効率が最大電力伝送効率よりも低くなった場合、送電装置10の電力伝送を停止させることができる。
また、変更例において、EMS30は、受電装置20が送電装置10から受信した信号の受信信号強度を、電力伝送距離の推定に用いてもよい。すなわち、EMS30は、は、取得した送電電圧が送電電圧閾値(電圧値Vt2)を上回り、かつ、受電装置20から取得した受信信号強度が、距離D2に対応する受信信号強度を下回った場合に、送電装置10の電力伝送を停止させてもよい。電力伝送距離の推定に、送電電圧と受信信号強度とを併用することにより、より推定精度を高め、必要に応じて確実に送電装置10の電力伝送を停止させることができる。
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
実施形態では、送電装置10と受電装置20との間の通信は、通信モジュール(通信モジュール13及び通信モジュール23)を用いて行われる。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、送電装置10と受電装置20との間の通信は、送電モジュール12及び受電モジュール22を用いて行われてもよい(インバンド通信)。
実施形態では、送電装置10の送電電力を制御する電力制御部が送電装置10に設けられるケースについて例示した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。送電装置10の送電電力を制御する電力制御部は、HEMS等のEMSに設けられていてもよい。
第2実施形態では、送電状態から待機状態に遷移するトリガEは、検知されていた送電対象の受電装置20の全てが検知されなくなる事象の発生である。しかしながら、第2実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、トリガEは、送電状態において、送電装置10を構成する部品(例えば、コンデンサC又はインダクタンスL)の温度が所定閾値を上回る事象であってもよい。或いは、受電装置20が受電する電力量を示す受電電力情報を送電装置10が受信することを前提として、トリガEは、受電電力情報が所定閾値(例えば、基準電力(Wref)の10%)を下回る事象の発生である。或いは、トリガEは、受電電力情報が所定閾値を下回る場合において、送電装置10の送電電力が上昇しても、受電電力情報が所定閾値を下回る状態が解消しない事象の発生である。また、受電装置は、受電電力が所定の電力よりも小さい場合に、異常である旨の情報を送電装置10に送信し、当該情報を受信した送電装置10は、送電状態から停止状態へ遷移してもよい。なお、送電装置10は、当該情報を受信した場合には、警告を報知してもよい。
第2実施形態では、送電状態から待機状態に遷移するトリガEについて主として説明した。しかしながら、間欠送電状態から待機状態に遷移するトリガFについても、トリガEと同様の事象であってもよい。
第5実施形態では、受電側共振器21の共振状態を制御する共振制御部が受電装置20に設けられるケースについて例示した。しかしながら、第5実施形態は、これに限定されるものではない。受電側共振器21の共振状態を制御する共振制御部は、HEMS等のEMSに設けられていてもよい。
第6実施形態では、単位時間当たりの送電電力量を2段階で制御するケースについて例示した。しかしながら、第6実施形態は、これに限定されるものではない。単位時間当たりの送電電力量は、3段階以上の段階で制御されてもよい。
第6実施形態では、第1送電状態及び第2送電状態が別々な状態として設けられているが、第6実施形態は、これに限定されるものではなない。第1送電状態及び第2送電状態は、送電状態の一部を構成する状態であってもよい。同様に、第6実施形態では、第1間欠送電状態及び第2間欠送電状態が別々な状態として設けられているが、第6実施形態は、これに限定されるものではなない。第1間欠送電状態及び第2間欠送電状態は、間欠送電状態の一部を構成する状態であってもよい。
第7実施形態では、送電装置10の送電電力を制御する制御部がEMS30に設けられるケースについて例示した。しかしながら、第7実施形態は、これに限定されるものではない。送電装置10の送電電力を制御する制御部は、例えば、送電装置10の通信モジュール(制御部13B)に設けられていてもよい。
実施形態では特に触れていないが、送電装置10及び受電装置20が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体であってもよい。
或いは、送電装置10及び受電装置20が行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ及びメモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサによって構成されるチップが提供されてもよい。
なお、日本国特許出願第2013−223741(2013年10月28日出願)、日本国特許出願第2013−223742(2013年10月28日出願)、日本国特許出願第2013−223749(2013年10月28日出願)、日本国特許出願第2013−223750(2013年10月28日出願)、日本国特許出願第2013−223751(2013年10月28日出願)、日本国特許出願第2013−223763(2013年10月28日出願)、日本国特許出願第2013−223201(2013年10月28日出願)の全内容が、参照により、本願明細書に組み込まれている。