JP6750843B2 - 液体吐出ヘッド - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献1に開示された発明では、供給口の開口面積が小さいために、圧力室に流れ込む液体の量が少なく、圧力室に液体を充填する時間が長くなってしまう。その結果、液体を吐出した後に圧力室内へ液体を再充填(リフィル)する時間も長くなってしまうため、液体を吐出する間隔を短くすることができない。したがって、吐出周波数を高く設定することが困難であった。
また、液体の吐出が終了してから一定時間が経過すると、圧力室内に残存している液体の揮発成分が蒸発し、圧力室内の液体の粘度が増加する増粘が発生することがある。圧力室内の液体に増粘が発生すると、液体を吐出口から吐出するために必要なエネルギーが増加するため、液体を吐出する際に、液体の吐出速度が低下したり、液体が吐出されない不吐出が発生したりする恐れがある。このため、液体の吐出が終了してから一定時間が経過した後に、液体が再度吐出される際に、吐出速度の低下によって記録媒体上の液体の着弾位置が乱れたり、不吐出によって記録媒体上に液体が着弾しない現象が発生したりする恐れがある。この場合、形成される画像の画質が低下してしまう。さらには、揮発成分が蒸発した液体では、液体内の色材の濃度が変化してしまうため、形成される画像の色味が変化し、画像の画質が低下するという課題もある。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の液体吐出ヘッドの平面図である。図2は、本発明の第1の実施形態の液体吐出ヘッドの断面図である。具体的には、図2(a)は、図1のA−A線に沿った断面図であり、図2(b)は、図1のB−B線に沿った断面図である。
図2に示すように液体吐出ヘッド100では、支持部材1に基板2が積層されている。基板2には、液体を貯留するタンク(不図示)から支持部材1を介して液体が供給される複数の共通液室4と、液体吐出ヘッド100から排出される液体が流れる複数の排出路12とが形成されている。基板2における支持部材1とは反対側の面には、図2(a)に示すように複数の記録素子6が設けられている。記録素子6は、入力された電気信号に応じて、液体を吐出するためのエネルギーを発生させる。記録素子6の種類は特に限定されないが、ここでは、記録素子6は熱エネルギーを発生する電気熱変換素子である。
基板2における支持部材1とは反対側の面には、図2(b)に示すように、複数の共通液室4のそれぞれと連通する複数の供給口2aと、複数の排出路12のそれぞれと連通する排出口9が設けられている。排出口9は、図1および図2では複数設けられているが、実際には少なくとも一つ設けられていればよい。
また、基板2における支持部材1とは反対側の面上には吐出口形成部材3が積層されている。吐出口形成部材3における基板2とは反対側の面は平坦であり、その平坦な面には、図2(a)に示すように、複数の吐出口7が設けられている。図の例では、基板2に形成されている記録素子6と吐出口7とが互いに対向するように、吐出口形成部材3が基板2と接着されている。吐出口7の開口面積は、供給口2aの開口面積よりも小さい。
吐出口形成部材3における基板2との接着面には、複数の圧力室5と共通流路10とを構成する凹部が設けられ、基板2に形成されている供給口2aおよび排出口9は、吐出口形成部材3の凹部と対向している。このため、供給口2aおよび排出口9が吐出口形成部材3によって塞がれることはない。各圧力室5は、記録素子6と吐出口7との間に設けられ、吐出口7から吐出する液体を貯留する。共通流路10は、各供給口2aを、圧力室5を介して排出口9と連通させる。供給口2aは、液体を共通液室4から圧力室5に供給し、排出口9は、圧力室5に供給された液体を、排出路12を介して液体吐出ヘッド100の外部に排出する。
図1に示すように平面的に見た場合、供給口2aは圧力室5と交互に並ぶ列である供給口列21を複数形成する。このとき、記録素子6および吐出口7は圧力室5を挟んで上下に配置されているため、供給口列21では、供給口2aが記録素子6および吐出口7のそれぞれと交互に並んでいる。排出口9は、供給口列21との側方において、共通流路10を挟んで供給口列21と隣接するように配置される。図1の例では、2つの供給口列21に1つの排出口9が対応しており、1つの排出口9はその2つの供給口列21の間に配置され、供給口列21に沿って(本実施形態では、供給口列21と平行に)延在している。
図3は、本発明の第1の実施形態の液体吐出ヘッドの構成および液体の流れを示す平面拡大図である。
記録媒体に形成する画像を示す記録データが液体吐出ヘッド100に入力されると、その記録データに応じて、液体が不図示のタンクから支持部材1を通過して基板2の各共通液室4に供給される。その後、共通液室4に供給された液体は供給口2aを介して吐出口形成部材3の凹部に流入する。凹部に流入した液体は、圧力室5を満たして吐出口7にメニスカスを形成すると共に、供給口2aから共通流路10を通過して排出口9に流れ、さらに排出口9から、排出路12を介して外部に排出される。これにより、吐出口形成部材3の凹部内で、図3の矢印で示すような、供給口2aから排出口9への液体の流れが発生する。なお、排出された液体は、不図示のフィルタによって異物が取り除かれて、不図示のポンプなどにより基板2の共通液室4を介して供給口2aへ再び供給されてもよい。この場合、圧力室5の中の液体は、排出口9と供給口2aとを介して圧力室5と外部との間で循環されることとなる。
供給口2aから排出口9への液体の流れが発生している状態で、記録素子6が記録データに基づいた電気信号に応じて、圧力室5内の液体にエネルギーを伝達させる。これにより、圧力室5内において記録素子6の周辺の液体が加熱されて膜沸騰し、気泡が形成される。この気泡の発泡圧によって、圧力室5内の液体に運動エネルギーが付与され、その液体が吐出口7から液体吐出ヘッド100の外部へと吐出される。圧力室5内の液体が吐出されると、供給口2aから液体が圧力室5に供給される。これにより、圧力室5に液体が再充填されると共に、共通流路10にも液体が流れ、供給口2aから排出口9への液体の流れが維持される。その後、次の電気信号に応じて記録素子6が再び駆動し、圧力室5内の液体が吐出される。
以上の動作が繰り返されて液体が間欠的に吐出され、記録媒体に所望の画像が形成される。画像の形成が完了すると、液体吐出ヘッド100の供給口2aへの液体の供給が停止され、液体の流れが止まる。そして、次の記録データが液体吐出ヘッド100に入力されると、供給口2aへ液体が供給され、液体の流れが再び発生し、上述のように吐出口7から液体が吐出されて、記録媒体に画像が形成される。
これに対して本実施形態の液体吐出ヘッド100では、排出口9が存在するため、圧力室5内の増粘した液体を排出することができる。したがって、例えば、次の記録データが入力された場合、供給口2aから圧力室5に液体が供給され、圧力室5内の増粘した液体が共通流路10を介して排出口9へと流された後に、記録素子6により圧力室5内の液体へエネルギーが与えられる。この場合、エネルギーが与えられた時点では、圧力室5には供給口2aから供給された増粘してない液体が充填されているため、液体は、与えられたエネルギーによって所望の速度で吐出口7から吐出される。このため、液体の吐出速度の低下や不吐出を抑制することが可能になるため、記録される画像の画質の低下を抑制することが可能になる。また、揮発成分が蒸発した液体の吐出も抑制できるため、この観点からも画質の低下を抑制することが可能になる。
また、記録素子6と供給口2aとが交互に配置されているため、記録素子6上の圧力室5と供給口2aとの間の距離が短くなり、液体が圧力室5へ到達する時間を短縮することが可能になる。このため、供給口2aから圧力室5へ液体を再充填するリフィル速度を向上させることが可能になり、その結果、吐出周波数を高く設定することが可能になる。
したがって、本実施形態では、吐出周波数を高く設定しつつ、液体の増粘による画質の低下を抑制することが可能になる。
また、本実施形態では、供給口2aの開口面積が吐出口7の開口面積よりも大きいため、吐出される液体の量より供給される液体の量を多くすることが可能になる。したがって、供給口2aから圧力室5へ液体を再充填するリフィル速度を向上させることが可能になり、その結果、この観点からも、吐出周波数を高く設定することが可能になる。なお、液体内の異物は、例えば、タンクと液体吐出ヘッド100の間の流路に設けられたフィルタ(図示せず)などで除去することができる。
また、本実施形態では、供給口2aから圧力室5へ流入した液体を、共通流路10および排出口9を介して排出することが可能である。このため、圧力室5内の液体が圧力室5の外部との間で循環することが可能になる。
図4は、本発明の第2の実施形態の液体吐出ヘッドの構成と液体の流れを示す平面拡大図である。
図1および図2で示した第1の実施形態では、供給口列21に対して1つの排出口9が対応していたが、図4に示す本実施形態の液体吐出ヘッド100では、供給口列21に対して複数の排出口9が対応している。それらの排出口9は、供給口列21に沿って(本実施形態では、供給口列21と平行に)1列に並んで配置されている。また、図4に示す本実施形態の液体吐出ヘッド100では、供給口2aは、記録素子6と交互に並ぶ第1の領域2a1と、第1の領域2a1の排出口9とは反対側に設けられた第2の領域2a2とを有する。第1の領域2a1の供給口列21と平行な方向の長さは、第2の領域2a2の供給口列21と平行な方向の長さよりも短い。
また、記録素子6上の圧力室5は、供給口列21と垂直な方向において、供給口2aの第2の領域2a2と並んで配置される。このとき、圧力室5の一部と第2の領域2の一部とが供給口列21と垂直な方向において重なっていればよい。なお、他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
以上のように本実施形態では、供給口2aが記録素子6と交互に並ぶ第1の領域2a1と、第1の領域2a1の排出口9とは反対側に設けられた第2の領域2a2とを有している。このため、第2の領域2a2の分だけ、供給口2aの開口面積を大きくすることができる。したがって、吐出される液体の量より供給される液体の量を多くすることが可能になり、その結果、吐出周波数を高く設定することが可能になる。
また、供給口列21とは垂直な方向において、圧力室5が第2の領域2a2と並んでいるため、供給口2aの第2の領域2a2から供給される液体が圧力室5を通過しやすくなる。したがって、液体を圧力室5内へ効率的に供給させることが可能になるため、圧力室5内への液体を再充填するリフィル速度を向上させることが可能になり、その結果、吐出周波数をより高く設定することが可能になる。また、圧力室5内の増粘した液体を効率的に流出させることができるため、液体の吐出速度の低下や不吐出を抑制することが可能になり、その結果、記録される画像の画質の低下を抑制することが可能になる。
図5は、本発明の第3の実施形態の液体吐出ヘッドの構成と液体の流れを示す平面拡大図である。
図5に示す本実施形態の液体吐出ヘッド100では、供給口列21に対して複数の排出口9が対応している。それらの排出口9は、供給口列21に沿って(本実施形態では、供給口列21とは平行に)1列に並んで配置されている。また、図5に示す液体吐出ヘッド100は、供給口列21とその列に対応する排出口9との間に、液体を供給口2aから圧力室5に導くためのガイド部材8を備える。ガイド部材8は、供給口列21と排出口9との間を供給口列21に沿って(本実施形態では、供給口列21とは平行に)延在し、記録素子6の側方に開口部11を有する。本実施形態では、開口部11は、圧力室5と排出口9との間に設けられることになる。開口部11により、圧力室5から共通流路10へ液体を流出させることができる。なお、他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
以上のように本実施形態では、上記のような開口部11を備えるガイド部材8を有するため、供給口2aから供給された液体が開口部11から排出口9へ向かって流れる。このため、液体が圧力室5を経由しやすくなり、開口部11に隣接している圧力室5内に液体を効率的に流入させることが可能になる。このため、供給口2aから圧力室5へ液体を再充填するリフィル速度を向上させることが可能になり、その結果、吐出周波数を高く設定することが可能になる。また、圧力室5内の増粘した液体を効率的に流出させることができるため、液体の吐出速度の低下や不吐出を抑制することが可能になり、その結果、記録される画像の画質の低下を抑制することが可能になる。
図6は、本発明の第4の実施形態の液体吐出ヘッドの構成と液体の流れを示す平面拡大図である。
図6に示す液体吐出ヘッド100は、第3の実施形態と同様に、開口部11が形成されたガイド部材8が設けられている。また、記録素子6および吐出口7は、供給口列21内の供給口のそれぞれの中心を結ぶ中心軸Xよりも開口部11に近い位置に設けられている。なお、他の構成は、第3の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
以上のように本実施形態でも、第3の実施形態と同様に、開口部11を備えるガイド部材8を有するため、圧力室5内に液体を効率的に流入させることが可能になる。また、記録素子6が供給口列21の中心軸Xよりも開口部11に近い位置に形成されているため、圧力室5内の記録素子6の表面を流れる液体の量を多くすることができる。このため、効率的に圧力室5内を吐出可能な状態にすることができるため、吐出周波数を高く設定することが可能になる。また、圧力室5内の増粘した液体を効率的に流出させることができるため、液体の吐出速度の低下や不吐出を抑制することが可能になり、その結果、記録される画像の画質の低下を抑制することが可能になる。
図7は、本発明の第5の実施形態の液体吐出ヘッドの構成と液体の流れを示す平面拡大図である。なお、図7では、互いに異なる排出口9に対応する2つの供給口列21が隣接した箇所が示されている。
図7に示す液体吐出ヘッド100は、第3の実施形態と同様に、開口部11が形成されたガイド部材8が設けられている。また、供給口列21におけるガイド部材8とは反対側の側方には、供給口列21に沿って(本実施形態では、供給口列21とは平行に)延在する圧力室壁5aが備わっている。図7の例では、圧力室壁5aは、圧力室5の側方に配置されているが、供給口2aの側方には配置されていない。また、2つの供給口列21に対する圧力室壁5aが共有化されている。なお、他の構成は、第3の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
以上のように本実施形態でも、第3の実施形態と同様に、開口部11を備えるガイド部材8を有するため、圧力室5内に液体を効率的に流入させることが可能になる。また、圧力室5の排出口9とは反対側の側方には、供給口列21に沿って(本実施形態では、供給口列21とは平行に)延在する圧力室壁5aが設けられている。このため、2つの供給口列21が互いに沿って(本実施形態では、互いに平行に)隣接していても、それらの2つの供給口列21を跨いで互いに隣接する吐出口7の間で振動などを伝達しにくくすることができる。したがって、互いに隣接する吐出口7間の干渉を抑制することが可能になる。
図8に示す液体吐出ヘッドでは、図7の例と比べて、圧力室壁5aの代わりに流路壁5bが設けられている。流路壁5bは、ガイド部材8から供給口2aに向けて、ガイド部材8とは垂直に延在する。また、流路壁5bは、複数あり、複数の流路壁5bのそれぞれは、各供給口2aの直上を通っている。この場合、流路壁5bによって、同じ供給口列21内で互いに隣接する吐出口7の間で振動などを伝達しにくくすることができるため、互いに隣接する吐出口7間の干渉を抑制することが可能になる。
図9は、本発明の第5の実施形態の液体吐出ヘッドの第2の変形例を示す平面拡大図である。
図9に示す液体吐出ヘッドは、図8で示した第1の変形例の構成に加えて、供給口列21におけるガイド部材8とは反対側の側方は、供給口列21に沿って(本実施形態では、供給口列21とは平行に)延在する圧力室壁5aをさらに有する。図9の例では、圧力室壁5aは、圧力室5の側方だけでなく、供給口2aの側方にも配置されている。この場合、供給口列21が互いに沿って(本実施形態では、互いに平行に)隣接していても、それらの供給口列21を跨いで互いに隣接する吐出口7の間で振動などを伝達しにくくすることができる。さらには同じ供給口列21内で互いに隣接する吐出口7の間で振動などを伝達しにくくすることができる。したがって、互いに隣接する吐出口7間の干渉を抑制することが可能になる。
図10は、本発明の第6の実施形態の液体吐出ヘッドの構成と液体の流れを示す平面拡大図である。
図10に示す液体吐出ヘッド100では、排出口9は、少なくとも一対あり、供給口列9はその一対の排出口で挟まれている。本実施形態では、複数の排出口9が供給口列21を挟むよう一対の列を形成する。供給口列21の両側のそれぞれにガイド部材8が設けられている。各ガイド部材8は、供給口列21に沿って(本実施形態では、供給口列21とは平行に)延在し、記録素子6の側方に開口部11を有する。
各ガイド部材8の開口部11(供給口列21の一方の側に設けられるガイド部材8の開口部11と供給口列21の他方の側に設けられるガイド部材8の開口部11)は、互いに異なる流体抵抗値を有している。具体的には、ガイド部材8の供給口列21に垂直な方向の長さをガイド部材8の厚さとすると、各ガイド部材8の厚さが互いに異なる。この場合、厚い方のガイド部材8の開口部11で形成される流路が、薄い方のガイド部材8の開口部11で形成される流路と比べて長くなるため、厚い方のガイド部材8の開口部11の方が薄い方のガイド部材8の開口部11よりも流体抵抗値が高くなる。なお、各ガイド部材8の開口部11の大きさが互いに異なることで、互いに異なる流体抵抗値を有する開口部11を実現してもよい。なお、他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
以上のように本実施形態では、上記のような開口部11を備えるガイド部材を有するため、供給口2aから供給された液体が開口部11から排出口9へ向かって流れる。このため、液体が圧力室5を経由しやすくなり、開口部11に隣接している圧力室5内に液体を効率的に流入させることが可能になる。このため、供給口2aから圧力室5へ液体を再充填するリフィル速度を向上させることが可能になり、その結果、吐出周波数を高く設定することが可能になる。また、圧力室5内の増粘した液体を効率的に流出させることができるため、液体の吐出速度の低下や不吐出を抑制することが可能になり、その結果、記録される画像の画質の低下を抑制することが可能になる。
また、各ガイド部材8が互いに異なる流体抵抗値を有しているため、各ガイド部材8の開口部11のそれぞれから流出される液体の量が変わる。このため、供給口2aから供給される液体の圧力室5内での速度がゼロになるよどみ点が、記録素子6が設けられている圧力室5の中心から、流体抵抗値の小さいガイド部材8側にずれて現れる。この結果、記録素子6上に増粘した液体等が留まることがないため、液体を吐出口から安定して吐出することが可能になる。
図11は、本発明の第7の実施形態の液体吐出ヘッドの構成と液体の流れを示す平面拡大図である。
図11に示す液体吐出ヘッド100は、第6の実施形態と同様に、排出口9は、少なくとも一対あり、供給口列9はその一対の排出口で挟まれている。本実施形態では、複数の排出口9が供給口列21を挟むよう一対の列を形成する。また、供給口列21の両側のそれぞれにガイド部材8が設けられている。各ガイド部材8は、供給口列21に沿って(本実施形態では、供給口列21とは平行に)延在し、記録素子6の側方に開口部11を有する。本実施形態では、各ガイド部材8の開口部11の流体抵抗値は等しい。排出口列9のそれぞれは、互いに異なる負圧で圧力室5に供給された液体を排出する。ここで、互いに異なる負圧は、不図示のポンプなどによって発生される。なお、他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
以上のように本実施形態では、第3の実施形態と同様に、開口部11を備えるガイド部材8を有するため、圧力室5内に液体を効率的に流入させることが可能になる。また、圧力室5内の増粘した液体を効率的に流出させることができるため、液体の吐出速度の低下や不吐出を抑制することが可能になり、その結果、記録される画像の画質の低下を抑制することが可能になる。
さらに供給口列21の両側に設けられている排出口9は、互いに異なる負圧によって液体を排出するため、負圧の大きい排出口列に近い側の開口部11から流出される液体の量が多くなる。このため、供給口2aから供給される液体の圧力室5内での速度がゼロになるよどみ点が、記録素子6が設けられている圧力室5の中心から負圧の大きい排出口列に近い側の開口部11の方にずれて現れる。この結果、記録素子6上に増粘した液体等が留まることがないため、液体を吐出口から安定して吐出することが可能になる。
図12は、本発明の第8の実施形態の液体吐出ヘッドの構成と液体の流れを示す平面拡大図である。
図12に示す液体吐出ヘッド100は、第7の実施形態と同様に、開口部11が形成されたガイド部材8が供給口列21の両側に設けられている。複数の供給口2aは、開口面積の大きい第1の供給口2bと開口面積の小さい第2の供給口2cとを有する。供給口列21において、第1の供給口2bと第2の供給口2cとが交互に配置されている。第1の供給口2bと第2の供給口2cとの間には、圧力室5が設けられている。なお、他の構成は、第7の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
以上のように本実施形態では、第7の実施形態と同様に、開口部11を備えるガイド部材を有するため、圧力室5内に液体を効率的に流入させることが可能になる。また、圧力室5内の増粘した液体を効率的に流出させることができるため、液体の吐出速度の低下や不吐出を抑制することが可能になり、その結果、記録される画像の画質の低下を抑制することが可能になる。
また、開口面積の異なる第1の供給口2bと第2の供給口2cとから液体が供給されることによって、開口面積の大きい第1の供給口2bから、第2の供給口2cに比べて多量の液体が圧力室5内に流れ込む。このため、供給される液体の圧力室5内での速度がゼロになるよどみ点が、記録素子6が設けられている圧力室5の中心から開口面積の小さい供給口2c側にずれて現れる。この結果として、記録素子6上に増粘した液体等が留まることがないため、液体を吐出口から安定して吐出することができる。
図13は、本発明の第1の実施形態の液体吐出ヘッドの平面図であり、供給口、吐出口、圧力室および排出口の位置関係を示す。図14は、液体吐出ヘッドの断面図である。具体的には、図14(a)は、図13のC−C線に沿った断面図であり、図14(b)は、図13のD−D線に沿った断面図である。
図14に示すように、液体吐出ヘッド100では、支持部材1に基板2が積層されている。基板2には、複数の共通液室4と複数の排出路12とが形成されている。基板2における支持部材1とは反対側の面には、図14(a)に示すように、複数の記録素子6が設けられている。また、基板2における支持部材1とは反対側の面には、図14(b)に示すように、複数の供給口2aと複数の排出口9が設けられている。
基板2における支持部材1とは反対側の面上には吐出口形成部材3が積層されている。吐出口形成部材3における基板2とは反対側の面は平坦であり、その平坦な表面には、図14(a)に示すように、複数の吐出口7が設けられている。図の例では、基板2に形成されている記録素子6と吐出口7とが互いに対向するように、吐出口形成部材3が基板2と接着されている。吐出口7の開口面積は、供給口2aの開口面積よりも小さい。
吐出口形成部材3における基板2との接着面には、複数の圧力室5と共通流路10とを構成する凹部が設けられ、基板2の表面に形成されている供給口2aおよび排出口9は、吐出口形成部材3の凹部と対向している。このため、供給口2aおよび排出口9は吐出口形成部材3によって塞がれてはいない。各圧力室5は、記録素子6と吐出口7との間に設けられ、吐出口7から吐出する液体を貯留する。共通流路10は、各供給口2aを、圧力室5を介して排出口9と連通する。供給口2aは、液体を共通液室4から圧力室5に供給し、排出口9は、圧力室5に供給された液体を、排出路12を介して液体吐出ヘッド100の外部に排出する。
図13に示すように平面的に見た場合、供給口2aは圧力室5と交互に並ぶ列である供給口列21を複数形成する。このとき、記録素子6および吐出口7は圧力室5を挟んで上下に配置されているため、供給口列21では、供給口2aが記録素子6および吐出口のそれぞれと交互に並んでいる。また、排出口9は圧力室5と交互に並ぶ列である排出口列91を複数形成する。このとき、記録素子6および吐出口7は圧力室5を挟んで上下に配置されているため、排出口列91では、排出口9が記録素子6および吐出口7のそれぞれと交互に並んでいる。供給口列21および排出口列91は、それらの列に垂直な方向に並んでおり、互いに隣接する供給口列21および排出口列91の間には、共通流路10が設けられている。なお、供給口2aと排出口9とは同じ形状で構成されているため、供給口2aと排出口9とは機能的に入れ替わってもよい。
以下、互いに共通流路10で連通された供給口列21および排出口列91に着目して説明する。供給口列21と排出口列91との間には、供給口列21に沿って(本実施形態では、供給口列21とは平行に)延在するガイド部材(以下、第1のガイド部材8aと称する)が設けられている。第1のガイド部材8aは、供給口列21内の記録素子6の側方に開口部11aを有する。また、排出口列91と供給口列21との間には、排出口列91に沿って(本実施形態では、排出口列91とは平行に)延在する排出側ガイド部材(以下、第2のガイド部材8bと称する)が設けられている。第2のガイド部材8bは、排出口列91内の記録素子6の側方に開口部11bを有する。
供給口列21の第1のガイド部材8aとは反対側の側方には、供給口列21に沿う(本実施形態では、供給口列21と平行に)圧力室壁5a1が設けられる。また、第1のガイド部材8aから供給口2aに向けて、第1のガイド部材8aと垂直な方向に延在する流路壁5b1が設けられる。流路壁5b1は、複数あり、複数の流路壁5b1のそれぞれは、各供給口2aの直上を通っている。
また、排出口列91の第2のガイド部材8bとは反対側の側方に、それらの列に沿う(本実施形態では、それらの列に平行な)排出側圧力室壁5a2が設けられている。また、第2のガイド部材8bから排出口列9に向けて、第2のガイド部材8bと垂直な方向に延在する排出側流路壁5b2が設けられる。また、排出側流路壁5b2は、複数あり、複数の排出側流路壁5b2のそれぞれは、各排出口9の直上を通っている。
また、第1のガイド部材8aおよび第2のガイド部材8bが設けられているため、供給口2aから供給された液体が開口部11から排出口9へ向かって流れる。このため、液体が圧力室5を経由しやすくなり、開口部11に隣接している圧力室5内に液体を効率的に流入させることが可能になる。このため、供給口2aから圧力室5へ液体を再充填するリフィル速度を向上させることが可能になり、その結果、吐出周波数を高く設定することが可能になる。また、圧力室5内の増粘した液体を効率的に流出させることができるため、液体の吐出速度の低下や不吐出を抑制することが可能になり、その結果、記録される画像の画質の低下を抑制することが可能になる。
また、供給口列21および排出口列91のそれぞれに圧力室5が備わっているため、吐出口形成部材3に形成される吐出口7の数を増やすことができる。このため、吐出口7から多数の液体を一斉に吐出することが可能になるため、高精細な画像を形成することが可能になる。
また、圧力室壁5a1、排出側圧力室壁5a2、流路壁5b1および排出側流路壁5b2が設けられているため、互いに隣接する吐出口7の間で振動などを伝達しにくくすることができる。このため、互いに隣接する吐出口7間の干渉を抑制することが可能になる。
図15は、本発明の第9の実施形態の液体吐出ヘッドの変形例を示す平面図である。
図15に示す変形例では、吐出口7は、一定間隔で配置された列を複数形成する。互いに隣接する吐出口列は、その吐出口列と平行な方向に、互いに一定間隔の少なくとも1/4ずれて配置される。この場合、吐出口7の列のずれ幅に応じた解像度を実現することができる。
例えば、各実施形態や変形例の構成を、互いに矛盾しない範囲で組み合わせて使用することができる。一例を挙げると、図15で示したような吐出口列がずれて配置される構成を、図1で示した液体吐出ヘッド100に適用してもよい。
5 圧力室
5a、5a1 圧力室壁
5a2 排出側圧力室壁
5b、5b1 流路壁
5b2 排出側流路壁
6 記録素子
7 吐出口
8 ガイド部材
8a 第1のガイド部材
8b 第2のガイド部材
9 排出口
11 開口部
21 供給口列
91 排出口列
Claims (18)
- 液体を吐出する複数の吐出口と、各吐出口と対向し、当該対向する吐出口から液体を吐出するためのエネルギーを発生させる複数の記録素子と、各吐出口と各記録素子の間に形成され、各吐出口から吐出する液体を貯留する複数の圧力室と、各圧力室に液体を供給する複数の供給口と、各圧力室に供給された液体を排出する排出口とを備え、
前記複数の供給口は、前記記録素子と交互に並ぶ供給口列を形成し、前記排出口は、前記供給口列の側方に配置され、
前記供給口は、前記記録素子と交互に並ぶ第1の領域と、前記第1の領域の前記排出口とは反対側に設けられた第2の領域とを有し、前記第2の領域の前記供給口列と平行な方向の長さは、前記第1の領域の前記供給口列と平行な方向の長さよりも長いことを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 前記圧力室は、前記供給口列とは垂直な方向において、前記第2の領域と並ぶことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
- 液体を吐出する複数の吐出口と、各吐出口と対向し、当該対向する吐出口から液体を吐出するためのエネルギーを発生させる複数の記録素子と、各吐出口と各記録素子の間に形成され、各吐出口から吐出する液体を貯留する複数の圧力室と、各圧力室に液体を供給する複数の供給口と、各圧力室に供給された液体を排出する排出口とを備え、
前記複数の供給口は、前記記録素子と交互に並ぶ供給口列を形成し、前記排出口は、前記供給口列の側方に配置され、
前記複数の供給口は、開口面積が互いに異なる第1の供給口および第2の供給口を含み、
前記第1の供給口および前記第2の供給口が交互に配置されることを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 前記供給口列と前記排出口との間に前記供給口列に沿って延在し、前記記録素子の側方に開口部を有するガイド部材を備えることを特徴とする請求項1ないし3に記載の液体吐出ヘッド。
- 液体を吐出する複数の吐出口と、各吐出口と対向し、当該対向する吐出口から液体を吐出するためのエネルギーを発生させる複数の記録素子と、各吐出口と各記録素子の間に形成され、各吐出口から吐出する液体を貯留する複数の圧力室と、各圧力室に液体を供給する複数の供給口と、各圧力室に供給された液体を排出する排出口とを備え、
前記複数の供給口は、前記記録素子と交互に並ぶ供給口列を形成し、前記排出口は、前記供給口列の側方に配置され、
前記供給口列と前記排出口との間に前記供給口列に沿って延在し、前記記録素子の側方に開口部を有するガイド部材を備え、
前記供給口列の前記ガイド部材とは反対側の側方に前記供給口列に沿って延在する圧力室壁を備えることを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 前記記録素子は、前記供給口列における各供給口の中心を結ぶ中心軸よりも前記開口部に近い位置に設けられることを特徴とする請求項4または5に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記供給口列は、一対の前記排出口で挟まれ、
前記ガイド部材は、前記供給口列の両側のそれぞれに設けられる請求項4に記載の液体吐出ヘッド。 - 液体を吐出する複数の吐出口と、各吐出口と対向し、当該対向する吐出口から液体を吐出するためのエネルギーを発生させる複数の記録素子と、各吐出口と各記録素子の間に形成され、各吐出口から吐出する液体を貯留する複数の圧力室と、各圧力室に液体を供給する複数の供給口と、各圧力室に供給された液体を排出する排出口とを備え、
前記複数の供給口は、前記記録素子と交互に並ぶ供給口列を形成し、前記排出口は、前記供給口列の側方に配置され、
前記供給口列と前記排出口との間に前記供給口列に沿って延在し、前記記録素子の側方に開口部を有するガイド部材を備え、
前記供給口列は、一対の前記排出口で挟まれ、
前記ガイド部材は、前記供給口列の両側のそれぞれに設けられ、
前記供給口列の一方の側に設けられる前記ガイド部材の前記開口部と、前記供給口列の他方の側に設けられる前記ガイド部材の前記開口部は、流体抵抗が互いに異なることを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 前記供給口列の一方の側に設けられる前記ガイド部材と、前記供給口列の他方の側に設けられる前記ガイド部材とは、前記供給口列とは垂直な方向の厚さが互いに異なることを特徴とする請求項8に記載の液体吐出ヘッド。
- 液体を吐出する複数の吐出口と、各吐出口と対向し、当該対向する吐出口から液体を吐出するためのエネルギーを発生させる複数の記録素子と、各吐出口と各記録素子の間に形成され、各吐出口から吐出する液体を貯留する複数の圧力室と、各圧力室に液体を供給する複数の供給口と、各圧力室に供給された液体を排出する排出口とを備え、
前記複数の供給口は、前記記録素子と交互に並ぶ供給口列を形成し、前記排出口は、前記供給口列の側方に配置され、
前記供給口列と前記排出口との間に前記供給口列に沿って延在し、前記記録素子の側方に開口部を有するガイド部材を備え、
前記供給口列は、一対の前記排出口で挟まれ、
前記ガイド部材は、前記供給口列の両側のそれぞれに設けられ、
前記一対の排出口のそれぞれは、互いに異なる負圧で前記圧力室に供給された液体を排出することを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 前記ガイド部材から前記供給口に向けて延在する流路壁を備えることを特徴とする請求項4から10のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記排出口は、一対の前記供給口列で挟まれることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 液体を吐出する複数の吐出口と、各吐出口と対向し、当該対向する吐出口から液体を吐出するためのエネルギーを発生させる複数の記録素子と、各吐出口と各記録素子の間に形成され、各吐出口から吐出する液体を貯留する複数の圧力室と、各圧力室に液体を供給する複数の供給口と、各圧力室に供給された液体を排出する排出口とを備え、
前記複数の供給口は、前記記録素子と交互に並ぶ供給口列を形成し、前記排出口は、前記供給口列の側方に配置され、
複数の前記排出口が他の前記記録素子と交互に並ぶ排出口列を形成し、前記排出口列と前記供給口列とは互いに沿って設けられることを特徴とする記載の液体吐出ヘッド。 - 前記排出口列と前記供給口列との間に前記排出口列に沿って延在し、前記記録素子の側方に開口部を有する排出側ガイド部材を備えることを特徴とする請求項13に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記排出側ガイド部材から前記排出口に向けて延在する排出側流路壁を備えることを特徴とする請求項14に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記排出口列の前記排出側ガイド部材とは反対側の側方に前記排出口列に沿って延在する圧力室壁を備えることを特徴とする請求項14または15に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記複数の吐出口は、各吐出口が一定間隔で配置された吐出口列を複数形成し、互いに隣接する前記吐出口列のそれぞれは、当該吐出口列と平行な方向に、互いに前記一定間隔の少なくとも1/4ずれて配置されることを特徴とする請求項1ないし16のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記圧力室の中の液体は、前記排出口と前記供給口とを介して前記圧力室と外部との間で循環されることを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
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