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JP6749189B2 - 組成分析方法および組成分析システム - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、組成分析方法および組成分析システムに関する。
半導体素子の微細化、およびその構造の複雑化に伴って、元素の組成の僅かな変動が素子特性の変化をもたらす場合がある。そのため、設計した組成で半導体装置を製造する重要性が高まっている。そこで、半導体装置の構造を評価するために、微小領域での組成分析が求められている。
特開2004−22318号公報
微小領域での組成分析を行うことができる組成分析方法および組成分析システムを提供する。
本実施形態に係る組成分析方法は、試料にイオンビームを照射し、イオンビームの照射によって薄くなった試料の特定位置に向けて電子ビームを照射し、電子ビームの照射によって試料で発生したX線の強度を検出し、イオンビームの照射、電子ビームの照射、およびX線の強度検出を繰り返した結果に基づいて、試料に含まれる元素の組成を分析する。
第1実施形態に係る組成分析システムの概略的な構成を示す模式図である。 第1実施形態に係る組成分析システムの組成分析動作の手順を示すフローチャートである。 イオンビームの照射を繰り返したときの試料の形状変化を示す模式図である。 外挿法を説明するためのグラフである。 第2実施形態に係る組成分析システムの概略的な構成を示す模式図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る組成分析システムの概略的な構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施形態に係る組成分析システム1は、イオンビーム照射装置10と、電子ビーム照射装置20と、X線検出器30と、電子検出器40、50、60と、分析制御装置70と、を備える。組成分析システム1では、分析制御装置70以外の構成要素は、チャンバー80内に配置されている。
イオンビーム照射装置10は、試料100の側方からこの試料100にイオンビームR1を照射する。イオンビームR1の照射によって、試料100は削られる。そのため、試料100の厚さtは薄くなる。
本実施形態では、試料100はステージ(不図示)の上に載置されている。また、試料100は、例えば半導体素子である。この半導体素子には、酸窒化膜、金属電極膜、誘電体膜等の薄膜が設けられている。本実施形態では、元素の組成分析の対象領域は、このような薄膜内の微小領域に設定される。
電子ビーム照射装置20は、例えば、試料100の上方から試料100へ電子ビームR2を照射し、透過電子顕微鏡の機能を有する。本実施形態では、電子ビーム照射装置20は、イオンビーム照射装置10のイオンビームによって薄くなった試料100の特定位置へ向けて電子ビームR2を照射する。この特定位置は、上記微小領域内の位置である。電子ビームR2の照射によって、試料100ではX線R3が発生する。
X線検出器30は、試料100の上方でX線R3の強度を検出する。その後、X線検出器30は、検出結果を分析制御装置70へ出力する。X線検出器30で検出されたX線R3の強度は元素の量に、X線R3のエネルギーは元素の種類に対応している。
電子検出器40は、試料100の上方で、イオンビームR1の照射によって試料100から放出された電子を検出する。電子検出器40の検出結果によれば、試料100へのイオンビームR1の照射結果を把握することができる。すなわち、電子検出器40を用いることによって、試料100に対するイオンビームR1の照射位置を決めることができる。
電子検出器50は、試料100の下方に配置され、電子ビームR2の照射時に試料100を透過した電子、より具体的にはある角度範囲で散乱した電子波を検出する。本実施形態では、電子検出器50の形状は環状である。そのため、電子検出器50の検出結果によれば、重元素および軽元素を検出することができる。
電子検出器60は、環状の電子検出器50の内部空間を通じて試料100に対向可能な位置に配置されている。電子検出器60も、電子ビームR2の照射時に試料100を透過した電子を検出する。検出された電子に基づく画像を形成することによって、試料100の構造を把握することができる。
分析制御装置70は、例えば、制御部71と、分析部72と、記憶部73と、表示部74と、を有する。分析制御装置70は、例えばパーソナルコンピュータで構成される。
制御部71は、イオンビーム照射装置10、電子ビーム照射装置20、X線検出器30、および電子検出器40〜60を制御する。分析部72は、X線検出器30で検出されたX線R3の強度に基づいて試料100の微小領域における元素の組成を分析する。制御部71および分析部72は、例えば、所定のプログラムに従って動作するCPU(Central Processing Unit)を用いて構成される。
記憶部73は、種々のデータを格納する。このデータには、例えばX線検出器30の検出データが含まれる。記憶部73は、例えば半導体メモリを用いて構成される。表示部74は、分析部72の分析結果を表示する。表示部74は、例えば液晶ディスプレイを用いて構成される。
以下、本実施形態に係る組成分析システム1の組成分析動作の手順について説明する。図2は、組成分析システム1の組成分析動作の手順を示すフローチャートである。
まず、制御部71が、試料100に対するイオンビームR1の照射位置を決定する(ステップS11)。換言すると、ステップS11では、制御部71は、試料100とイオンビーム照射装置10との相対位置を決定する。
次に、イオンビーム照射装置10が、制御部71の制御に基づいて試料100にイオンビームR1を照射する(ステップS12)。これにり、試料100の厚さtは減少する。また、ステップS12では、電子検出器40は、試料100から放出された電子を検出する。
次に、電子ビーム照射装置20が、試料100の特定位置へ向けて電子ビームR2を照射する(ステップS13)。ステップS13では、制御部71は、試料100に対する電子ビームR2の照射位置を、イオンビームR1の照射によって薄くなった領域内に設定する。このとき、制御部71は、電子検出器40の検出結果に基づいて電子ビームR2の照射位置を調整してもよい。
次に、X線検出器30が、制御部71の制御に基づいて電子ビームR2の照射によって試料100で発生したX線R3の強度を検出する(ステップS14)。さらに、X線検出器30は、検出データを分析制御装置70へ出力する。この検出データは、記憶部73に格納される。
なお、ステップS14では、電子検出器50および電子検出器60が、制御部71の制御に基づいて電子ビームR2の照射によって試料100を透過した電子波を検出する。この検出データも記憶部73に格納される。
次に、制御部71は、X線検出器30によるX線R3強度の検出回数が予め設定された回数に達したか否か判断する(ステップS15)。検出回数が設定回数に達していない場合、制御部71は、イオンビーム照射装置10、電子ビーム照射装置20、およびX線検出器30を制御することによって、上述したステップS11〜S14を順次に繰り返させる。
図3は、イオンビームR1の照射を繰り返したときの試料100の形状変化を示す模式図である。イオンビーム照射装置10が、試料100にイオンビームR1の照射を繰り返すと、試料100の厚さtは段階的に減少する。このとき、制御部71がイオンビーム照射装置10の位置または試料100の位置を調整した後に、イオンビームR1は照射される。
イオンビームR1の照射によって試料100の厚さtが減少するたびに、電子ビーム照射装置20は、試料100に向けて電子ビームR2を照射する。このとき、試料100の平面上における照射位置は、前回の平面上における照射位置と同じである。電子ビーム照射装置20が電子ビームR2を照射するたびに、X線検出器30は、X線R3の強度を検出して分析制御装置70へ出力する。その結果、分析制御装置70の記憶部73には、試料100における微小領域の厚さtを変化させたときのX線R3の強度の検出データが格納される。
その後、検出回数が設定回数に達すると、分析制御装置70の分析部72が、記憶部73に格納された検出データに基づいて元素の組成を分析する(ステップS16)。分析部72は、外挿法を用いて元素の組成を分析する。以下、図4のグラフを参照して外挿法について説明する。
ここで、試料100は元素Aおよび元素Bより構成される場合を仮定する。図4では、横軸は試料100の厚さtを示す。縦軸は、任意の元素AのX線強度IAと任意の元素BのX線強度IBとの強度比を常用対数に変換したLog(IB/IA)を示す。
分析部72は、まず、記憶部73に格納された検出データを用いてLog(IB/IA)を計算する。これにより、図4のプロットP1〜P3に示すように、試料100の厚さtとLog(IB/IA)を対応付けた数値データが算出される。
次に、分析部72は、上記数値データを、例えば最小二乗法で近似することによって近似直線Lの式を算出する。そして、分析部72は、近似直線Lの切片P0を求める。切片P0の値が、吸収補正されたX線強度比に相当する。このX線強度比を用いることによって、試料100の微小領域における元素Aと元素Bの組成を高精度に分析することができる。
分析部72の分析が終了すると、表示部74が、その分析結果を表示する。表示部74は、例えば、図4に示すグラフや、切片P0の値(吸収補正されたX線強度比)を表示する。ただし、表示部74の表示形態は、特に制限されない。
なお、上述した外挿法を用いたX線強度比は、試料100に厚さがそれぞれ異なる領域を予め形成し、各領域のX線の強度を検出する方法によっても求めることができる。しかし、この方法では、広範な検出領域が必要になるので、微小領域での組成分析ができない。
一方、上述した本実施形態によれば、イオンビームR1の照射によって試料100の厚さtを段階的に減少させ、その都度、電子ビームR2を試料100の平面上における同じ位置へ照射して、試料100から放出されたX線R3の強度を検出する。そのため、試料100に厚さがそれぞれ異なる領域を予め形成しなくても、試料100の厚さに対応したX線強度を検出できる。これにより、微小領域で元素の組成を分析できるようになる。
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る組成分析システムの概略的な構成を示す模式図である。図5では、第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
第1実施形態に係る組成分析システム1では、イオンビーム照射装置10、電子ビーム照射装置20、およびX線検出器30が、チャンバー80内に配置される。そのため、イオンビームR1の照射と、電子ビームR2の照射と、X線R3の強度検出とが、同じ場所で行われる。
一方、本実施形態に係る組成分析システム2では、図5に示すように、イオンビーム照射装置10はチャンバー81内に配置されるのに対し、電子ビーム照射装置20、X線検出器30、および電子検出器40〜60はチャンバー82内に配置される。そのため、イオンビームR1の照射はチャンバー81内で行われ、電子ビームR2の照射およびX線R3の強度検出はチャンバー82内で行われる。
また、本実施形態では、搬送機構90が、制御部71の制御に基づいて、試料100をチャンバー81とチャンバー82との間で搬送する。具体的には、イオンビームR1の照射が終了すると、搬送機構90は、試料100をチャンバー81からチャンバー82へ搬送する。
続いて、電子ビームR2の照射およびX線R3の強度検出が終了すると、搬送機構90は、試料100をチャンバー82からチャンバー81へ戻す。このようにして、イオンビームR1の照射と、電子ビームR2の照射およびX線R3の強度検出とが、異なる場所で繰り返される。なお、作業者が試料100を運ぶ形態であってもよい。
以上説明した本実施形態でも、第1実施形態と同様に、イオンビームR1の照射によって試料100の厚さtを段階的に減少させ、その都度、電子ビームR2を試料100の平面上における同じ位置へ照射して、試料100から放出されたX線R3の強度を検出できる。これにより、微小領域で元素の組成を分析できるようになる。
本実施形態によれば、例えば、加工装置(イオンビーム照射装置10)と、計測装置(電子ビーム照射装置20、X線検出器30)とを同じチャンバー内に設置するのが困難な場合であっても、微小領域で元素の組成を分析できる。
なお、第1実施形態および第2実施形態において、電子ビーム照射装置20に対して、凹レンズと凸レンズとを組み合わせた球面収差補正技術を適用してもよい。この場合、試料100における電子ビームR2の照射領域がより小さくなる。そのため、分析エリアをさらに微小化することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
10 イオンビーム照射装置、20 電子ビーム照射装置、30 X線検出器、70 分析制御装置

Claims (6)

  1. 試料にイオンビームを照射し、
    前記イオンビームの照射によって薄くなった前記試料の特定位置に向けて電子ビームを照射し、
    前記電子ビームの照射によって前記試料で発生したX線の強度であって、第1元素の第1強度および第2元素の第2強度を少なくとも含む強度を検出し、
    前記イオンビームの照射、前記電子ビームの照射および前記X線の強度検出を、前記X線の検出回数が設定回数に達するまで繰り返し、
    前記第1強度と前記第2強度の強度比を常用対数に変換した計算値を算出し、
    外挿法を用いて、前記計算値と前記試料の厚さとの関係に基づく近似直線を算出し、
    前記厚さがゼロである前記近似直線の切片を算出し、
    前記切片を用いて組成分析することを含み、
    前記第1元素の前記第1強度をIA、前記第2元素の前記第2強度をIBとしたとき、前記計算値はLog(IB/IA)である、組成分析方法。
  2. 前記イオンビームの照射と、前記電子ビームの照射および前記X線の強度検出とを同じチャンバーで行う、請求項1に記載の組成分析方法。
  3. 前記イオンビームの照射と、前記電子ビームの照射および前記X線の強度検出とを異なるチャンバーで行う、請求項1に記載の組成分析方法。
  4. 前記試料の側方から前記イオンビームを照射し、前記試料の上方から前記電子ビームを照射する、請求項1からのいずれかに記載の組成分析方法。
  5. 前記電子ビームの照射時に前記試料を透過した電子も検出する、請求項1からのいずれかに記載の組成分析方法。
  6. 試料にイオンビームを照射するイオンビーム照射装置と、
    前記イオンビームの照射によって薄くなった前記試料の特定位置に向けて電子ビームを照射する電子ビーム照射装置と、
    前記電子ビームの照射によって前記試料で発生したX線の強度を検出するX線検出器と、
    前記試料に前記イオンビームを照射し、前記特定位置に向けて電子ビームを照射し、前記電子ビームの照射によって前記試料で発生したX線の強度であって、第1元素の第1強度および第2元素の第2強度を少なくとも含む強度を検出することを繰り返すように、前記イオンビーム照射装置、前記電子ビーム照射装置、および前記X線検出器を制御し、かつ、前記第1強度と前記第2強度の強度比を常用対数に変換した計算値を算出し、外挿法を用いて、前記計算値と前記試料の厚さとの関係に基づく近似直線を算出し、前記厚さがゼロである前記近似直線の切片を算出し、前記切片を用いて組成分析する分析制御装置と、
    を備え
    前記第1元素の前記第1強度をIA、前記第2元素の前記第2強度をIBとしたとき、前記計算値はLog(IB/IA)である組成分析システム。
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