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JP6748108B2 - 芳香性化合物の製造 - Google Patents

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JP6748108B2 JP2017552934A JP2017552934A JP6748108B2 JP 6748108 B2 JP6748108 B2 JP 6748108B2 JP 2017552934 A JP2017552934 A JP 2017552934A JP 2017552934 A JP2017552934 A JP 2017552934A JP 6748108 B2 JP6748108 B2 JP 6748108B2
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Description

本分野は、テルペン類、例えば(+)−セドロールおよび(−)−ツヨプセンを製造するための方法において使用される核酸、酵素、ベクターおよび細胞に関する。
背景技術
テルペン類は、ほとんどの生物(微生物、動物および植物)において見られる。これらの化合物は、イソプレン単位と呼ばれる5つの炭素単位から構成され、それらの構造中に存在するこうした単位の数によって分類される。例えばモノテルペン類、セスキテルペン類およびジテルペン類は、それぞれ10個、15個および20個の炭素原子を含むテルペン類である。例えばセスキテルペン類は、植物界において広範に見られる。多くのセスキテルペン分子は、それらのフレーバー特性およびフレグランス特性ならびにそれらの美容作用、薬効および抗菌作用が知られている。非常に多くのセスキテルペン系炭化水素およびセスキテルペノイド類が、すでに同定されている。
生合成によるテルペン類の製造には、テルペン合成酵素と呼ばれる酵素が関与する。セスキテルペン合成酵素は植物界に存在しており、ファルネシルピロリン酸(FPP)基質を使用するが、こうした合成酵素は様々な生成物プロファイルを示す。セスキテルペン合成酵素をコードする遺伝子およびcDNAのクローニングならびに対応する組換え酵素の特性決定は、すでに行われている。
現状での(+)−セドロール供給源は、セダー油を含む針葉樹類である。現状での(−)−ツヨプセン供給源は、例えばジュニペルス・セドゥルス(Juniperus cedrus)およびツヨプシス・ドラブラタ(Thujopsis dolabrata)のような針葉樹類である。
概要
本明細書では、(+)−セドロール合成酵素もしくは(−)−ツヨプセン合成酵素を含む、ジュニペルス・バージニアナ(Juniperus virginiana)、プラチクラドゥス・オリエンタリス(Platycladus orientalis)「ビバリーエンシス(Beverleyensis)」またはプラチクラドゥス・オリエンタリス(Platycladus orientalis)からの単離物が提供される。
さらに本明細書では、(+)−セドロール合成酵素もしくは(−)−ツヨプセン合成酵素をコードする、ジュニペルス・バージニアナ(Juniperus virginiana)、プラチクラドゥス・オリエンタリス(Platycladus orientalis)「ビバリーエンシス(Beverleyensis)」またはプラチクラドゥス・オリエンタリス(Platycladus orientalis)からの単離された核酸分子が提供される。
さらに本明細書では、(+)−セドロールまたは(−)−ツヨプセンの製造方法であって、
a. 非環式ファルネシル二リン酸(FPP)前駆体を、(+)−セドロール合成酵素活性および(−)−ツヨプセン合成酵素活性からなる群から選択される活性を有するポリペプチドと接触させて、(+)−セドロールおよび(−)−ツヨプセンからなる群から選択される化合物を生成すること、ここで前記ポリペプチドは、
i. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択されるポリペプチドに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%および/もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
ii. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列
を含むものとする、ならびに、
b. 必要に応じて(+)−セドロールおよび/または(−)−ツヨプセンを単離するが、但し、前記ポリペプチドが、
i. 配列番号1、配列番号2、配列番号3および配列番号13からなる群から選択される配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%および/もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
ii. 配列番号1、配列番号2、配列番号3および配列番号13からなる群から選択されるアミノ酸配列
を含む場合には、前記生成される化合物は(+)−セドロールであって、(−)−ツヨプセンは存在しないものとする
を含む方法が提供される。
さらに本明細書では、
a) 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択されるポリペプチドに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%および/もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
b) 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列
を含むポリペプチドも提供される。
さらに本明細書では、上記のポリペプチドをコードする核酸も提供される。
さらに本明細書では、
a. 配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18および配列番号19からなる群から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%および/もしくは少なくとも99%類似しているかもしくは少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%および/もしくは少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列、または
b. 配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18および配列番号19からなる群から選択されるヌクレオチド配列
を含む核酸も提供される。
図1に、ジュニペルス・バージニアナ(Juniperus virginiana)の実生(1〜2年齢)の地上部および地下部のGCMS分析を示す。(+)−セドロールのピークが示されている。 図2に、4種の異なるJ.バージニアナ(J.virginiana)セスキテルペン合成酵素JvCP1206−4、JvCP1206−3、JV1206−6およびJvCP1206−5によりインビトロアッセイにおいて生成されたセスキテルペン混合物のGCMS分析を示す。(+)−セドロールおよび(−)−ツヨプセンと一致するピークが示されている。 図3に、4種の異なるJ.バージニアナ(J.virginiana)セスキテルペン合成酵素JvCP1206−4、JvCP1206−3、JV1206−6およびJvCP1206−5を発現するように操作された細菌細胞によりインビボで生成されたセスキテルペン混合物のGCMS分析を示す。(+)−セドロールおよび(−)−ツヨプセンと一致するピークが示されている。 図4に、組換えJ.バージニアナ(J.virginiana)セスキテルペン合成酵素により生成された(+)−セドロールおよび(−)−ツヨプセンの構造を示す。 図5に、P.オリエンタリス(P.orientalis)「ビバリーエンシス(Beverleyensis)」の葉のジクロロメタン抽出物のGC/MSクロマトグラムを示す(セスキテルペン類に関する領域のみ表示する)。矢印は、(+)−セドロールのピークを表す。 図6に、図5における(+)−セドロールのピークの質量スペクトルを示す。 図7に、P.オリエンタリス(P.orientalis)の葉のジクロロメタン抽出物のGC/MSクロマトグラムを示す(セスキテルペン類に関する領域のみ表示する)。矢印は、(−)−ツヨプセンのピークを表す。 図8に、図7における(−)−ツヨプセンのピークの質量スペクトルを示す。 図9に、大腸菌(E.coli)でのPorB1の発現実験のGC/MSクロマトグラムを示す(セスキテルペンに関する領域のみ示す)。矢印は、(+)−セドロールのピークを表す。 図10に、図9における(+)−セドロールのピークの質量スペクトルを示す。 図11に、大腸菌(E.coli)でのPor2−3−5発現実験のGC/MSクロマトグラムを示す(セスキテルペンに関する領域のみ表示する)。矢印は、(−)−ツヨプセンのピークを表す。 図12に、図11における(−)−ツヨプセンのピークの質量スペクトルを示す。
詳細な説明
本明細書中の記載および付属の特許請求の範囲に関して、「または」の使用は、別段の記載がない限り「および/または」を意味する。同様に、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(includes)」および「含む(including)」は互換的であり、限定を意図するものではない。
さらに、様々な実施形態の記述において「含む(comprising)」なる用語が用いられる場合には、いくつかの特定の事例において一実施形態を「本質的に〜からなる」または「〜からなる」なる用語を用いて代替的に記述できることが当業者には理解されるものと考えられることが理解されるべきである。
一実施形態において、本明細書で提供される方法は、
(+)−セドロール合成酵素活性または(−)−ツヨプセン合成酵素活性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いて宿主細胞または非ヒト宿主生物を形質転換させるステップであって、ここで前記ポリペプチドは、
a. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択されるポリペプチドに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%および/もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
b. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列
を含むものとするステップと、
前記ポリペプチドの生成を可能にする条件下で前記宿主細胞または前記宿主生物を培養するステップと
を含む。
別の実施形態において、本明細書で提供される方法は、FPPを生成する能力を有し、かつポリペプチドを発現するように形質転換された非ヒト宿主生物または非ヒト宿主細胞を、(+)−セドロールまたは(−)−ツヨプセンの生成を促進する条件下で培養することをさらに含み、ここで前記ポリペプチドは、
a. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択される配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%および/もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
b. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列
を含む。
別の実施形態において、本明細書では、本明細書に記載の核酸を含む発現ベクターが提供される。
別の実施形態において、本明細書では、本明細書に記載の少なくとも1つの核酸を保有するように形質転換されており、その結果、本明細書に記載の少なくとも1種のポリペプチドを異種発現または過剰発現する、非ヒト宿主生物または非ヒト宿主細胞が提供される。
一実施形態において、本明細書で提供される非ヒト宿主生物は、植物、原核生物または真菌である。
一実施形態において、本明細書で提供される非ヒト宿主は、微生物であり、特に細菌または酵母である。
一実施形態において、本明細書で提供される非ヒト生物は、大腸菌(E.coli)であり、前記酵母は、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。
一実施形態において、本明細書で提供される非ヒト生物は、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。
一実施形態において、前記細胞は、原核細胞である。
別の実施形態において、前記細胞は、細菌細胞である。
一実施形態において、前記細胞は、真核細胞である。
一実施形態において、前記真核細胞は、酵母細胞または植物細胞である。
別の実施形態において、本明細書で提供される方法は、前記(+)−セドロールを、化学的合成もしくは生化学的合成または双方の組合せを用いて処理して誘導体を生成することをさらに含む。
別の実施形態において、本明細書で提供される方法は、前記(+)−セドロールを少なくとも1つの酵素と接触させて(+)−セドロール誘導体を生成することをさらに含む。
別の実施形態において、本明細書で提供される方法は、化学的合成もしくは生化学的合成または双方の組合せを用いて前記(−)−ツヨプセンを(−)−ツヨプセン誘導体へと転化させることを含む。
別の実施形態において、本明細書で提供される方法は、前記(−)−ツヨプセンと少なくとも1つの酵素とを接触させてツヨプセン誘導体を生成することをさらに含む。
本明細書で提供される実施例において詳述するような酵素アッセイを行うことにより、ポリペプチド(例えば(+)−セドロール合成酵素および/または(−)−ツヨプセン合成酵素)が特定のセスキテルペンの合成を触媒する能力を容易に確認することができる。
ポリペプチドには、切断型(truncated)ポリペプチドも包含されることが意図されるが、但し、該切断型ポリペプチドが、それらの(+)−セドロール合成酵素活性および/またはそれらの(−)−ツヨプセン合成酵素活性を保持することを条件とする。
本明細書において以下で意図される通り、本明細書に記載の配列を改変することにより得られるヌクレオチド配列は、例えば欠失、挿入または置換のようないずれかの種類の変異を導入することにより、当技術分野で知られているいずれかの方法を用いて得ることができる。このような方法の例については、変異体ポリペプチドおよびそれらの調製方法に関連する説明の部で挙げる。
2つのペプチド配列間または2つのヌクレオチド配列間の同一性のパーセンテージは、これら2つの配列のアライメントを生成した際にこれら2つの配列において同一であるアミノ酸残基またはヌクレオチド残基の数と相関関係にある。同一の残基とは、2つの配列中でアライメントの所与の位置で同一である残基と定義される。配列同一性のパーセンテージは、本明細書で使用する場合に、最適アライメントから2つの配列間で同一である残基の数を最短の配列中の残基の総数で除し、これに100を乗じることにより算出される。最適アライメントとは、同一性のパーセンテージが可能な限り高いアライメントである。最適アライメントを得るために、アライメントの1つ以上の位置において一方または両方の配列にギャップを導入してもよい。その場合これらのギャップは、配列同一性のパーセンテージの算出に際して、同一でない残基として考慮される。アミノ酸または核酸の配列同一性のパーセンテージを求めることを目的としたアライメントは、コンピュータプログラムを使用して様々な方法で達成されることができ、例えばワールド・ワイド・ウェブ上で入手可能な公開されたコンピュータプログラムを使用して達成されることができる。好ましくは、国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information、NCBI)よりhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/bl2seq/wblast2.cgiで入手可能なデフォルトのパラメータに設定されたブラスト(BLAST)プログラム(Tatiana et al, FEMS Microbiol Lett., 1999, 174:247−250, 1999)を用いて、ペプチド配列またはヌクレオチド配列の最適アライメントを得ることができ、また配列同一性のパーセンテージを算出することができる。
使用される略語
bp 塩基対
kb キロベース
DNA デオキシリボ核酸
cDNA 相補的DNA
DTT ジチオトレイトール
FPP ファルネシルピロリン酸
GC ガスクロマトグラフ
IPTG イソプロピル−D−チオガラクトピラノシド
LB 溶原性ブロス
MS 質量分析計
MVA メバロン酸
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
RNA リボ核酸
mRNA メッセンジャーRNA
miRNA マイクロRNA
siRNA 低分子干渉RNA
rRNA リボソームRNA
tRNA トランスファーRNA。
定義
「ポリペプチド」なる用語は、アミノ酸残基が例えば少なくとも15個、少なくとも30個、少なくとも50個、逐次重合したもののアミノ酸配列を意味する。本明細書で提供されるいくつかの実施形態において、ポリペプチドは、酵素であるアミノ酸配列、またはそれらの断片もしくは変異体を含む。
「単離された」ポリペプチドなる用語は、組換え、生化学的方法および合成方法を含む当技術分野で知られているいずれかの方法またはそうした方法の組合せ物によってその天然の環境から取り出されるアミノ酸配列を指す。
「タンパク質」なる用語は、アミノ酸が共有ペプチド結合により結合している任意の長さのアミノ酸配列を意味し、これには、天然に存在するものであるかそれとも合成されたものであるかにかかわらず、オリゴペプチド、ペプチド、ポリペプチドおよび全長タンパク質が含まれる。
「(+)−セドロール合成酵素」、「(−)−ツヨプセン合成酵素」、「(+)−セドロール合成酵素活性」、「(−)−ツヨプセン合成酵素活性」、「(+)−セドロール合成酵素タンパク質」および「(−)−ツヨプセン合成酵素タンパク質」なる用語は、ファルネシル二リン酸(FPP)を(+)−セドロールまたは(−)−ツヨプセンに転化する能力を有する酵素を指す。
「生物学的機能」、「機能」、「生物活性」または「活性」なる用語は、FPPからの(+)−セドロールおよび(−)−ツヨプセンの形成を(+)−セドロール合成酵素および(−)−ツヨプセン合成酵素が触媒する能力を指す。
「核酸配列」、「核酸」および「ポリヌクレオチド」なる用語は互換的に用いられ、これらはヌクレオチド配列を意味する。核酸配列は、1本鎖デオキシリボヌクレオチドであってもよいし2本鎖デオキシリボヌクレオチドであってもよく、また任意の長さのリボヌクレオチドであってもよく、これには、遺伝子のコード配列、遺伝子の非コード配列、エクソン、イントロン、センス相補配列、アンチセンス相補配列、ゲノムDNA、cDNA、miRNA、siRNA、mRNA、rRNA、tRNA、組換え核酸配列、天然に存在するDNAおよび/またはRNA配列を単離および精製したもの、合成DNA配列、合成RNA配列、断片、プライマーならびに核酸プローブが含まれる。当業者は、RNAの核酸配列はDNA配列と同一ではあるが、但し、チミン(T)がウラシル(U)に置き換わっているという相違点があることを認識している。
「単離された核酸」または「単離された核酸配列」とは、核酸または核酸配列が天然に存在するのとは異なる状況にある核酸または核酸配列と定義される。本明細書において核酸に適用される場合の「天然に存在する」なる用語は、自然に存在する細胞中に見出される核酸を指す。例えば、自然の供給源から単離することができる生物であって実験室内で人間によって意図的に改変されたものではない生物中に存在する核酸配列、例えばそうした生物の細胞中に存在する核酸配列は、天然に存在するものである。
「組換え核酸配列」とは、実験室的方法(分子クローニング)を使用して2つ以上の供給源から遺伝物質を合わせることによって生じる核酸配列であり、これによって、天然には存在せず、こうした方法を用いなければ生物有機体中に見出されることはないであろう核酸配列が生じる。
「組換えDNA技術」とは、例えばLaboratory Manuals, Weigel and Glazebrook編, 2002 Cold Spring Harbor Lab PressおよびSambrook et al., 1989 Cold Spring Harbor, NY: Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載されているような、組換え核酸配列を生成するための分子生物学的手法を指す。
「遺伝子」なる用語は、適切な調節領域、例えばプロモーターに作動可能に連結されてRNA分子、例えば細胞内のmRNAに転写される領域を含むDNA配列を意味する。したがって遺伝子は、作動可能に連結されたいくつかの配列を含むことができ、例えばプロモーター、例えば翻訳開始に関与する配列を含む5’リーダー配列、cDNAもしくはゲノムDNAのコード領域、イントロン、エクソンおよび/または例えば転写終結部位を含む3’非翻訳配列を含むことができる。
「キメラ遺伝子」とは、ある種において通常は本来見出されることのない如何なる遺伝子をも指し、特に、核酸配列の、本来はお互いに結合していない部分が1つまたは複数存在する遺伝子を指す。例えばプロモーターは、転写される領域の一部もしくはすべてまたは他の調節領域と、本来は結合していない。「キメラ遺伝子」なる用語には、プロモーター配列または転写調節配列が、1つもしくは複数のコード配列またはアンチセンス配列、すなわちセンス鎖の逆相補配列、または逆方向反復配列(センスおよびアンチセンス、それによりRNA転写産物が転写の際に2本鎖RNAを形成する)に作動可能に連結された発現構築物が含まれると理解される。「キメラ遺伝子」なる用語には、1つまたは複数のコード配列の複数の部分を組み合わせて新たな遺伝子を生成することによって得られた遺伝子も含まれる。
「3’UTR」あるいは「3’非翻訳配列」(「3’非翻訳領域」あるいは「3’末端」とも呼ぶ)は、例えば転写終結部位および(すべてではないが大半の真核生物のmRNAにおいて)AAUAAAのようなポリアデニル化シグナルを含む遺伝子のコード配列の下流に見出される核酸配列またはその変異体を指す。転写終結後に、mRNA転写産物をポリアデニル化シグナルの下流で切断することができ、また、翻訳部位、例えば細胞質へのmRNAの輸送に関与するポリ(A)尾部を付加することができる。
「遺伝子の発現」は、遺伝子の転写およびmRNAからタンパク質への翻訳を含む。過剰発現とは、トランスジェニック細胞またはトランスジェニック生物におけるmRNA、ポリペプチドおよび/または酵素活性のレベルにより測定される遺伝子産物の生成が、非形質転換細胞または遺伝的背景が類似した生物における生成のレベルを上回ることを指す。
本明細書で使用する場合の「発現ベクター」とは、外来DNAまたは外因性DNAを宿主細胞に送達するための分子生物学的方法および組換えDNA技術を用いて操作された核酸分子を意味する。発現ベクターは典型的には、ヌクレオチド配列の適切な転写に必要な配列を含む。コード領域は、通常は目的のタンパク質をコードするが、RNA、例えばアンチセンスRNA、siRNAなどをコードすることもできる。
本明細書で使用される場合の「発現ベクター」としては、これに限定されるものではないが例えば、ウイルスベクター、バクテリオファージおよびプラスミドを含む任意の線状または環状の組換えベクターが挙げられる。当業者は、発現系に応じて適切なベクターを選択することができる。一実施形態において、発現ベクターは、転写、翻訳、開始および終結を制御する少なくとも1つの調節配列、例えば転写のプロモーター、オペレーターもしくはエンハンサーまたはmRNAリボソーム結合部位に作動可能に連結された本明細書中の一実施形態の核酸を含み、これは、必要に応じて少なくとも1つの選択マーカーを含む。調節配列が本明細書中の実施形態の核酸に機能的に結合している場合、ヌクレオチド配列は、「作動可能に連結されて」いる。「調節配列」とは、本明細書中の一実施形態の核酸配列の発現レベルを決定するとともに、該調節配列に作動可能に連結された核酸配列の転写速度を調節し得る核酸配列を指す。調節配列には、プロモーター、エンハンサー、転写因子、プロモーターエレメントなどが含まれる。
「プロモーター」とは、適切な転写に必要なRNAポリメラーゼおよび他の因子の結合部位を提供することによってコード配列の発現を制御する核酸配列を指し、こうした結合部位としては、これらに限定されるものではないが例えば、転写因子結合部位、リプレッサータンパク質結合部位およびアクチベータータンパク質結合部位が挙げられる。プロモーターなる用語の意味には、「プロモーター調節配列」なる用語も含まれる。プロモーター調節配列は、結合するコード核酸配列の転写、RNAプロセシングまたは安定性に影響を及ぼし得る上流および下流のエレメントを含み得る。プロモーターは、天然由来の配列および合成配列を含む。コード核酸配列は通常は、転写開始部位で開始する転写の方向でプロモーターの下流に位置する。
「構成的プロモーター」なる用語は、調節されていないプロモーターであって、それに機能的に連結する核酸配列の連続的な転写を可能にするプロモーターを指す。
本明細書中で使用する場合に、「作動可能に連結された」なる用語は、機能的関係におけるポリヌクレオチドエレメントの連結を指す。核酸が他の核酸配列と機能的な関係にある場合、この核酸は「作動可能に連結されて」いる。例えば、プロモーターまたは転写調節配列がコード配列の転写に影響を及ぼす場合には、プロモーターまたは転写調節配列はコード配列に作動可能に連結されている。作動可能に連結された、とは、連結されるDNA配列が典型的には隣接していることを意味する。プロモーター配列に結合したヌクレオチド配列は、形質転換すべき宿主生物または宿主細胞、例えば植物細胞、細菌細胞または酵母細胞と同種起源のものであってもよいし、異種起源のものであってもよい。配列はまた、完全に合成のものであってもよいし、部分的に合成のものであってもよい。起源にかかわらず、プロモーター配列と結合する核酸配列は、それに連結するプロモーターの特性に応じて発現するかまたは沈黙することになる。結合する核酸は、常に生物全体で、または特定の時点で、または特定の組織、細胞もしくは細胞コンパートメントにおいて発現もしくは抑制されることが望ましいタンパク質をコードすることができる。そのようなヌクレオチド配列は特に、それを用いて改変もしくは形質転換される宿主細胞または宿主生物に望ましい表現型形質を付与するタンパク質をコードする。より具体的には、結合するヌクレオチド配列によって、生物において(+)−セドロール合成酵素および/または(−)−ツヨプセン合成酵素が生成される。特にこのヌクレオチド配列は、(+)−セドロール合成酵素および/または(−)−ツヨプセン合成酵素をコードする。
「標的ペプチド」とは、タンパク質またはポリペプチドを、細胞内小器官、すなわちミトコンドリアもしくはプラスチドまたは細胞外空間(分泌シグナルペプチド)に向かわせるアミノ酸配列を指す。標的ペプチドをコードする核酸配列を、タンパク質またはポリペプチドのアミノ末端、例えばN末端をコードする核酸配列に融合させることもできるし、これを用いて標的となる天然のポリペプチドを置換することもできる。
「プライマー」なる用語は、鋳型核酸配列にハイブリダイズしかつ鋳型に相補的な核酸配列の重合に使用される、短い核酸配列を指す。
本明細書で使用する場合に、「宿主細胞」または「形質転換細胞」なる用語は、少なくとも1つの核酸分子、例えば所望のタンパク質をコードする組換え遺伝子もしくは核酸配列を保有するように改変された細胞(または生物)を指し、これによって、形質転換の際に(+)−セドロールおよび/または(−)−ツヨプセンの生成に有用な(+)−セドロール合成酵素タンパク質または(−)−ツヨプセン合成酵素タンパク質が得られる。宿主細胞は特に、細菌細胞、真菌細胞または植物細胞である。宿主細胞は、該宿主細胞の核ゲノムまたはオルガネラゲノムに組み込まれた組換え遺伝子を含み得る。あるいは、宿主は、組換え遺伝子を染色体外に含むことができる。相同配列には、オーソロガス配列またはパラログ配列が含まれる。系統発生方法、配列類似性およびハイブリダイゼーション方法を含むオーソログまたはパラログの同定方法は、当技術分野で知られており、また本明細書に記載されている。
パラログは、類似の配列および類似の機能を有する2つ以上の遺伝子を生じる遺伝子複製から生じる。パラログは典型的には、一緒になってクラスタを形成し、関連する種内での、例えば関連する植物種内での遺伝子の重複により形成される。パラログは、ペアワイズのブラスト(Blast)分析を用いて、または遺伝子ファミリーの系統発生解析の際にクラスタル(CLUSTAL)のようなプログラムを使用して、類似の遺伝子の群において見出される。パラログにおいては、関連する遺伝子内の配列に特有のものであってかつ類似の遺伝子機能を有するコンセンサス配列を同定することができる。
オーソログまたはオーソロガス配列は、共通の祖先の子孫である種において見出されるため、これらは互いに類似した配列である。例えば、共通の祖先を有する植物種は、類似の配列および機能を有する酵素を多く含むことが知られている。当業者は例えば、クラスタル(CLUSTAL)プログラムまたはブラスト(BLAST)プログラムを使用してある種の遺伝子ファミリーについての系統樹を構築することによって、オーソロガス配列を同定し、かつオーソログの機能を予測することができる。
「選択マーカー」なる用語は、発現時に該選択マーカーを含む1つまたは複数の細胞を選択するために使用することができる任意の遺伝子を指す。選択マーカーの例を以下に記載する。当業者には、様々な抗生物質、殺菌剤、栄養要求性選択マーカーまたは除草剤の選択マーカーが様々な標的種に適用可能であることが理解されよう。
「生物」なる用語は、任意の非ヒト多細胞生物または非ヒト単細胞生物を指し、例えば植物または微生物を指す。特に微生物とは、細菌、酵母、藻類または真菌である。
「植物」なる用語は、植物細胞を含むことと互換的に用いられ、これには、植物プロトプラスト、植物組織、再生植物を生じる植物細胞組織培養物、または植物の一部、または植物器官、例えば根、茎、葉、花、花粉、胚珠、胚、果実などが含まれる。本明細書中の一実施形態の方法を実施するためには、いずれの植物を使用することもできる。
非環状ピロリン酸、例えばFPPとインビトロで接触させるべきポリペプチドは、タンパク質または酵素の標準的な抽出技術を使用して、それを発現する任意の生物からの抽出によって得ることができる。宿主生物が、本明細書中の一実施形態のポリペプチドを培養用培地に放出する単細胞生物または細胞である場合には、例えば遠心分離を行い、次いで必要に応じて洗浄ステップを行い、そして適切な緩衝液中に再懸濁させることによって、ポリペプチドを培養用培地から容易に回収することができる。生物または細胞がその細胞内にポリペプチドを蓄積する場合、これらの細胞を破壊または溶解させ、さらには細胞溶解物からポリペプチドを抽出することによって、ポリペプチドを得ることができる。
次いで、単離された形態か、または他のタンパク質と一緒での、例えば培養された細胞または培養された微生物から得られた粗タンパク質抽出物における、(+)−セドロール合成酵素活性および/または(−)−ツヨプセン合成酵素活性を有するポリペプチドを、至適pHの緩衝液に懸濁させることができる。適切であれば、酵素活性を最適化するために、塩、DTT、無機カチオンおよび他の種類の酵素補因子を加えることができる。このポリペプチドの懸濁液に前駆体FPPを加えることができ、これをその後、例えば15℃〜40℃の、特に25℃〜35℃の、より具体的には30℃の最適な温度でインキュベートする。インキュベーション後、必要に応じてこの溶液からポリペプチドを除去した後に、生成された(+)−セドロールおよび/または(−)−ツヨプセンを、このインキュベートされた溶液から、例えば溶媒抽出および蒸留のような標準的な分離手法によって単離することができる。
別の特定の実施形態によれば、上記実施形態のいずれかの方法がインビボで行われる。一態様において、一実施形態は、FPPを生成する能力を有し、かつ少なくとも1種のポリペプチドを発現するように形質転換された非ヒト宿主生物または非ヒト宿主細胞を、(+)−セドロールおよび/または(−)−ツヨプセンの生成を促進する条件下で培養することを含み、ここで前記ポリペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択される配列に対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ(+)−セドロール合成酵素活性および/または(−)−ツヨプセン合成酵素活性を有する。
より具体的な一実施形態によれば、本方法は、ポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸を用いて、FPPを生成する能力を有する非ヒト生物または非ヒト細胞を形質転換させることをさらに含み、ここで前記ポリペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択される配列に対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ(+)−セドロール合成酵素活性および/または(−)−ツヨプセン合成酵素活性を有するものとし、その結果、前記生物は、前記ポリペプチドを発現する。
本明細書で提供されるこれらの実施形態は、ポリペプチドを予め単離することなくインビボで本方法を実施することができるため、特に有利である。この反応は、前記ポリペプチドを発現するように形質転換された生物または細胞の内部で直に生じる。
より具体的な一実施形態によれば、本明細書中で使用される少なくとも1つの核酸は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18もしくは配列番号19またはそれらの相補体を改変することにより得られたヌクレオチド配列を含む。
生物または細胞は、ポリペプチドを「発現する」ことを意図しているが、但しこの生物または細胞は、このポリペプチドをコードする核酸を保有するように形質転換されており、この核酸がmRNAに転写されて、このポリペプチドがこの宿主生物または宿主細胞において見出される。「発現する」なる用語は、「異種発現」および「過剰発現」を包含し、後者は、mRNA、ポリペプチドおよび/または酵素活性のレベルが、非形質転換生物または非形質転換細胞において測定されるものよりも高いことを指す。非ヒト宿主生物または非ヒト宿主細胞を形質転換させるための適切な方法のより詳細な説明については、本明細書の、そのような形質転換された非ヒト宿主生物または非ヒト宿主細胞に向けた部分において後述する。
特定の生物または細胞は、これがFPPを天然に生成する場合か、またはこれがFPPを天然には生成しないが本明細書に記載の核酸での形質転換の前にもしくは前記核酸と一緒になってFPPを生成するように形質転換される場合に、「FPPを生成する能力を有する」ことが意図される。天然に存在する生物もしくは細胞よりも多くの量のFPPが生成されるように形質転換された生物または細胞も、「FPPを生成する能力を有する生物または細胞」に包含される。生物、例えば微生物がFPPを生成するように該生物を形質転換させる方法は、当技術分野ですでに知られている。
本明細書中の一実施形態をインビボで実施するために、宿主生物または宿主細胞を、(+)−セドロール合成酵素および/または(−)−ツヨプセン合成酵素の生成を促進する条件下で培養する。したがって、宿主がトランスジェニック植物である場合には、最適な成長条件、例えば光、水および栄養素の最適な条件が提供される。宿主が単細胞生物である場合には、(+)−セドロール合成酵素および/または(−)−ツヨプセン合成酵素の生成を促進する条件は、宿主の培養用培地に好適な補因子の添加を含むことができる。さらに、(+)−セドロール合成酵素活性および/または(−)−ツヨプセン合成酵素活性が最大限となるように培養用培地を選択することができる。最適な培養条件については、以下の実施例においてより詳細に記載する。
本明細書中の一実施形態の方法をインビボで実施するのに適した非ヒト宿主生物は、任意の非ヒト多細胞生物であってよく、また任意の非ヒト単細胞生物であってもよい。特定の一実施形態において、本明細書中の一実施形態をインビボで実施するのに使用される非ヒト宿主生物は、植物、原核生物または真菌である。いずれの植物を使用することも、いずれの原核生物を使用することもでき、またいずれの真菌を使用することもできる。特に有用な植物は、テルペン類を天然で多量に生成する植物である。より具体的な一実施形態において、本明細書中の一実施形態の方法をインビボで実施するのに使用される非ヒト宿主生物は、微生物である。任意の微生物を使用することができるが、さらにより具体的な一実施形態によれば、前記微生物は、細菌または酵母である。最も具体的には、前記細菌は、大腸菌(E.coli)であり、前記酵母は、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。
これらの生物の中には、天然ではFPPを生成しないかまたは少量しか生成しないものがある。本明細書中の一実施形態の方法の実施に適するものとなるようにするためには、これらの生物を、前記前駆体が生成されるように、または前記前駆体がより多量に生成されるように、形質転換しなければならない。上述したように、これらの生物を、上記の実施形態のいずれかにより上記の核酸で改変させる前に形質転換させることもできるし、こうした改変と同時に形質転換させることもできる。
本明細書中の一実施形態の方法をインビボで実施するための宿主としては、完全な生物の代わりに、単離された高等真核細胞を使用することもできる。いずれの非ヒト細胞も適切な真核細胞であり得るが、適切な真核細胞は特に、植物細胞または真菌細胞である。
別の特定の実施形態において、ポリペプチドは、
c. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択されるポリペプチドに対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%および/もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
d. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列
を含む。
別の特定の実施形態によれば、本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて使用されるもしくは本明細書に記載の核酸によりコードされる、(+)−セドロール合成酵素活性および/または(−)−ツヨプセン合成酵素活性を有する少なくとも1種のポリペプチドは、遺伝子操作により得られた配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13または配列番号14の変異体であるアミノ酸配列を含むが、但し、前記変異体は、その(+)−セドロール合成酵素活性および/またはその(−)−ツヨプセン合成酵素活性を保持するものとする。
本明細書で使用する場合に、ポリペプチドとは、本明細書において同定されるアミノ酸配列を包含するポリペプチド断片またはペプチド断片および切断型ポリペプチドまたは変異体ポリペプチドを意図したものであるが、但し、これらは、それらの上記の(+)−セドロール合成酵素活性および/またはその(−)−ツヨプセン合成酵素活性を保持するとともに、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13または配列番号14の対応する断片と、少なくとも所定のパーセンテージの同一性を共有するものとする。
本明細書に記載のポリペプチドの断片は、本明細書に記載のポリペプチドアミノ酸配列の例えば少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%を含むことができる。
変異体ポリペプチドの例としては、代替的なmRNAスプライシング事象からまたは本明細書に記載のポリペプチドのタンパク質分解切断から生じる、天然に存在するタンパク質が挙げられる。タンパク質分解に起因するバリエーションとしては例えば、本明細書中の一実施形態のポリペプチドから1つまたは複数の末端アミノ酸をタンパク質分解により除去することに起因する、様々な種類の宿主細胞における発現時のN末端またはC末端における差異が挙げられる。以下に記載する、本明細書中の一実施形態の核酸の天然のまたは人工的な変異により得られる核酸によりコードされるポリペプチドも、本明細書中の一実施形態に包含される。
アミノ終端側末端およびカルボキシル終端側末端での付加的なペプチド配列の融合から生じるポリペプチド変異体も、本明細書中の一実施形態の方法において使用することができる。特にこのような融合によってポリペプチドの発現を増強することができ、またこのような融合はタンパク質の精製に有用である場合があり、またこのような融合によって所望の環境または所望の発現系におけるポリペプチドの酵素活性を向上させることができる。そのような付加的なペプチド配列は、例えばシグナルペプチドであってもよい。したがって、他のオリゴペプチドもしくはポリペプチドとの融合により得られるような変異体ポリペプチドおよび/またはシグナルペプチドに結合しているような変異体ポリペプチドを用いた方法も、本明細書に包含される。テルペン生合成経路からの別のタンパク質のような別の機能性タンパク質との融合から生じるポリペプチドも、本明細書中の一実施形態の方法において有利に使用することができる。
特定の一実施形態によれば、ポリペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択される配列に対して少なくとも70%、具体的には少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、さらにより具体的には少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
特定の一実施形態によれば、ポリペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択される配列に対して少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、さらにより具体的には少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
もう1つの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択される配列に対して少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、さらにより具体的には少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
特定の一実施形態によれば、ポリペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択される配列に対して少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、さらにより具体的には少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
特定の一実施形態によれば、ポリペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、さらにより具体的には少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
特定の一実施形態によれば、ポリペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択される配列に対して少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、さらにより具体的には少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
特定の一実施形態によれば、ポリペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択される配列に対して少なくとも98%、さらにより具体的には少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
特定の一実施形態によれば、ポリペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択される配列に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
特定の一実施形態によれば、ポリペプチドは、配列番号1に対して少なくとも70%、具体的には少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、さらにより具体的には少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
特定の一実施形態によれば、ポリペプチドは、配列番号2に対して少なくとも70%、具体的には少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、さらにより具体的には少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
特定の一実施形態によれば、ポリペプチドは、配列番号3に対して少なくとも70%、具体的には少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、さらにより具体的には少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
特定の一実施形態によれば、ポリペプチドは、配列番号4に対して少なくとも70%、具体的には少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、さらにより具体的には少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
特定の一実施形態によれば、ポリペプチドは、配列番号13に対して少なくとも70%、具体的には少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、さらにより具体的には少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
特定の一実施形態によれば、ポリペプチドは、配列番号14に対して少なくとも70%、具体的には少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、さらにより具体的には少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
一態様において、(+)−セドロール合成酵素活性および/または(−)−ツヨプセン合成酵素活性を有するポリペプチドを本明細書に記載のようにFPPと接触させる際に、該ポリペプチドは、(+)−セドロール生成物または(−)−ツヨプセン生成物に対して特定の選択率を有することができる。本明細書で使用する場合の(+)−セドロール生成物または(−)−ツヨプセン生成物に対する選択率とは、セスキテルペン生成物の全量に対する(+)−セドロール生成物または(−)−ツヨプセン生成物の生成量を指し、これは典型的にはパーセンテージで表される。選択率は、特定の遺伝子発現系、例えば大腸菌(E.coli)発現系に対して与えられることができる。
一態様において、ポリペプチドは、主要なセスキテルペン生成物として(+)−セドロールを生成し得る。例えばポリペプチドは、約70〜90%、例えば70%以上、72%以上、73%以上、74%以上、75%以上、78%以上、79%以上、82%以上、84%以上、86%以上または88%以上の、(+)−セドロールに対する選択率を有し得る。そのような選択率を、例えば本実施例に記載されるような大腸菌(E.coli)発現系において得ることができる。一態様において、ポリペプチドは、(−)−ツヨプセンの非存在下で(+)−セドロールを生成し得る。
一態様において、ポリペプチドは、主要なセスキテルペン生成物として(−)−ツヨプセンを生成し得る。例えばポリペプチドは、約15〜60%、例えば18%以上、20%以上、25%以上、26%以上、30%以上、35%以上、40%以上、44%以上、45%以上、50%以上、53%以上、55%以上または57%以上の、(−)−ツヨプセン生成物に対する選択率を有し得る。そのような選択率を、例えば本実施例に記載されるような大腸菌(E.coli)発現系において得ることができる。一態様において、ポリペプチドは、(+)−セドロールの非存在下で(−)−ツヨプセンを生成することができ、また(−)−ツヨプセンに加えて(+)−セドロールを生成することもできるが、但しこの(+)−セドロールの生成は少量である。
一態様において、
(i) 配列番号1、配列番号2、配列番号3および配列番号13からなる群から選択される配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%および/もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
(ii) 配列番号1、配列番号2、配列番号3および配列番号13からなる群から選択されるアミノ酸配列
を含む本明細書に記載のポリペプチドは、主要なセスキテルペン生成物として(+)−セドロールを生成し、かつ本明細書で上述した(+)−セドロールに対する選択率を有することができる。そのようなポリペプチドは、(−)−ツヨプセンの非存在下で(+)−セドロールを生成し得る。
例えば、配列番号13のアミノ酸配列を有する本明細書に記載のPorB1ポリペプチドは、大腸菌(E.coli)発現系において(−)−ツヨプセンの非存在下で、(+)−セドロールに対する約88%の選択率を達成することができる。例えば、配列番号1のアミノ酸配列を有する本明細書に記載のJvCP1206−4ポリペプチドは、大腸菌(E.coli)発現系において(−)−ツヨプセンの非存在下で、(+)−セドロールに対する約75%の選択率を達成することができる。例えば、配列番号3のアミノ酸配列を有する本明細書に記載のJvCP1206−6ポリペプチドは、大腸菌(E.coli)発現系において(−)−ツヨプセンの非存在下で、(+)−セドロールに対する約84%の選択率を達成することができる。
一態様において、
(i) 配列番号4および配列番号14からなる群から選択される配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%および/もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
(ii) 配列番号4および配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列
を含む本明細書に記載のポリペプチドは、主要なセスキテルペン生成物として(−)−ツヨプセンを生成し、かつ本明細書で上述した(−)−ツヨプセンに対する選択率を有することができる。そのようなポリペプチドは、例えば(+)−セドロールの非存在下で(−)−ツヨプセンを生成することができ、また(−)−ツヨプセンに加えて(+)−セドロールを生成することもできるが、但しこの(+)−セドロールの生成は少量である。
例えば、配列番号14のアミノ酸配列を有する本明細書に記載のPor2−3−5ポリペプチドは、大腸菌(E.coli)発現系において、(−)−ツヨプセンに対する約57%の選択率を達成することができる。例えば、配列番号4のアミノ酸配列を有する本明細書に記載のJvCP1206−5ポリペプチドは、大腸菌(E.coli)発現系において、(−)−ツヨプセンに対する約26%の選択率を達成することができる。
上述したように、本明細書中の一実施形態のポリペプチドをコードする核酸は、本方法をインビボで実施する際に使用することを意図して非ヒト宿主生物または非ヒト宿主細胞を改変するのに有用な手段である。
したがって本明細書では、上記実施形態のいずれかによるポリペプチドをコードする核酸も提供される。
特定の一実施形態によれば、核酸は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18もしくは配列番号19またはそれらの相補体からなる群から選択される配列に対して少なくとも70%、具体的には少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、具体的には少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
特定の一実施形態によれば、核酸は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18もしくは配列番号19またはそれらの相補体からなる群から選択される配列に対して少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、より具体的には少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
特定の一実施形態によれば、核酸は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18もしくは配列番号19またはそれらの相補体からなる群から選択される配列に対して少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、より具体的には少なくとも98%、さらにより具体的には少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
特定の一実施形態によれば、核酸は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18もしくは配列番号19またはそれらの相補体からなる群から選択される配列に対して少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、より具体的には少なくとも98%、さらにより具体的には少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
特定の一実施形態によれば、核酸は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18もしくは配列番号19またはそれらの相補体からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、より具体的には少なくとも98%、さらにより具体的には少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
特定の一実施形態によれば、核酸は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18もしくは配列番号19またはそれらの相補体からなる群から選択される配列に対して少なくとも95%、より具体的には少なくとも98%、さらにより具体的には少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
特定の一実施形態によれば、核酸は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18もしくは配列番号19またはそれらの相補体からなる群から選択される配列に対して少なくとも98%、さらにより具体的には少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
特定の一実施形態によれば、核酸は、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18もしくは配列番号19またはそれらの相補体からなる群から選択される配列に対して少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
特定の一実施形態によれば、核酸は、配列番号5またはその相補体に対して少なくとも70%、具体的には少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、具体的には少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
特定の一実施形態によれば、核酸は、配列番号6またはその相補体に対して少なくとも70%、具体的には少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、具体的には少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
特定の一実施形態によれば、核酸は、配列番号7またはその相補体に対して少なくとも70%、具体的には少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、具体的には少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
特定の一実施形態によれば、核酸は、配列番号8またはその相補体に対して少なくとも70%、具体的には少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、具体的には少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
特定の一実施形態によれば、核酸は、配列番号9またはその相補体に対して少なくとも70%、具体的には少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、具体的には少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
特定の一実施形態によれば、核酸は、配列番号10またはその相補体に対して少なくとも70%、具体的には少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、具体的には少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
特定の一実施形態によれば、核酸は、配列番号11またはその相補体に対して少なくとも70%、具体的には少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、具体的には少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
特定の一実施形態によれば、核酸は、配列番号12またはその相補体に対して少なくとも70%、具体的には少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、具体的には少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
特定の一実施形態によれば、核酸は、配列番号15またはその相補体に対して少なくとも70%、具体的には少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、具体的には少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
特定の一実施形態によれば、核酸は、配列番号16またはその相補体に対して少なくとも70%、具体的には少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、具体的には少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
特定の一実施形態によれば、核酸は、配列番号17またはその相補体に対して少なくとも70%、具体的には少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、具体的には少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
特定の一実施形態によれば、核酸は、配列番号18またはその相補体に対して少なくとも70%、具体的には少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、具体的には少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
特定の一実施形態によれば、核酸は、配列番号19またはその相補体に対して少なくとも70%、具体的には少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、具体的には少なくとも85%、具体的には少なくとも90%、具体的には少なくとも95%、具体的には少なくとも98%、具体的には少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
本明細書中の一実施形態の核酸は、1本鎖または2本鎖のいずれかの形態のデオキシリボヌクレオチドポリマーまたはリボヌクレオチドポリマー(DNAおよび/またはRNA)を含むものとして定義されることができる。「ヌクレオチド配列」なる用語はまた、別個の断片の形態での、もしくはより大きな核酸の構成要素としての、ポリヌクレオチド分子またはオリゴヌクレオチド分子を含むと理解されるべきである。本明細書中の一実施形態の核酸には、特定の単離されたヌクレオチド配列も包含され、これには例えば、混入している内因性物質を実質的に含まないものが挙げられる。本明細書中の一実施形態の核酸は切断型であってもよいが、但しこれは、上記の通り本明細書に包含されるポリペプチドをコードするものとする。
一実施形態において、本明細書中の一実施形態の核酸は、植物、例えばジュニペルス・ビギニアナ(Juniperus viginiana)、プラチクラドゥス・オリエンタリス(Platycladus orientalis)「ビバリーエンシス(Beverleyensis)」またはプラチクラドゥス・オリエンタリス(Platycladus orientalis)または他の種において天然に存在することもあり、また配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18もしくは配列番号19またはそれらの相補体の改変により得ることもできる。
変異は、これらの核酸のいずれの種類の変異であってもよく、例えば点変異、欠失変異、挿入変異および/またはフレームシフト変異であることができる。特定の発現系に変異体核酸のヌクレオチド配列を適合させるために、該変異体核酸を調製することができる。例えば、細菌発現系は、アミノ酸が特定のコドンによってコードされる場合により効率的にポリペプチドを発現することが知られている。
遺伝暗号の縮重ゆえに、複数のコドンが同一のアミノ酸配列をコードすることができ、複数の核酸配列が同一のタンパク質またはポリペプチドをコードすることができ、ここで、これらのDNA配列は、いずれも本明細書中の一実施形態に包含される。適切であれば、(+)−セドロール合成酵素および/または(−)−ツヨプセン合成酵素をコードする核酸配列を、宿主細胞中での発現が増大するように最適化することもできる。例えば、発現を向上させるために宿主による特定のコドンを用いて、本明細書中の一実施形態のヌクレオチドを合成することができる。
本明細書中の一実施形態の方法をインビボで実施するのに適した、宿主生物または宿主細胞を形質転換させるための他の重要な手段は、本明細書中の一実施形態のいずれかの実施形態による核酸を含む発現ベクターである。したがって本明細書では、そのようなベクターも提供される。
本明細書で提供される発現ベクターを、遺伝的に形質転換された宿主生物および/または宿主細胞を調製するための方法において、本明細書中の一実施形態の核酸を保有する宿主生物および/または宿主細胞において、ならびに以下に開示される(+)−セドロール合成酵素活性および(−)−ツヨプセン合成酵素活性を有するポリペプチドを作製するための方法において、使用することができる。
本明細書中の一実施形態の少なくとも1つの核酸を保有して、本明細書中の一実施形態の少なくとも1種のポリペプチドを異種発現または過剰発現するように形質転換された組換え非ヒト宿主生物および組換え非ヒト宿主細胞も、本明細書中の一実施形態の方法を実施するための極めて有用な手段である。したがって本明細書では、そのような非ヒト宿主生物および非ヒト宿主細胞も提供される。
上記実施形態のいずれかによる核酸を使用して、非ヒト宿主生物および非ヒト宿主細胞を形質転換させることができ、発現されるポリペプチドは、上記ポリペプチドのいずれかであることができる。
本明細書中の一実施形態の非ヒト宿主生物は、いずれの非ヒト多細胞生物であってもよいし、いずれの非ヒト単細胞生物であってもよい。特定の一実施形態において、非ヒト宿主生物は、植物、原核生物または真菌である。いずれの植物も、いずれの原核生物も、またいずれの真菌も、本明細書で提供される方法により形質転換されるのに適している。特に有用な植物は、テルペン類を天然に多量に生成する植物である。
より具体的な一実施形態において、非ヒト宿主生物は、微生物である。いずれの微生物も本明細書での使用に適しているが、さらにより具体的な一実施形態によれば、前記微生物は、細菌または酵母である。最も具体的には、前記細菌は、大腸菌(E.coli)であり、前記酵母は、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。
完全な生物の代わりに、単離された高等真核細胞を形質転換させることもできる。高等真核細胞とは、本明細書では、酵母細胞を除く任意の非ヒト真核細胞を意味する。特定の高等真核細胞は、植物細胞または真菌細胞である。
変異体は、本明細書中の一実施形態のポリペプチドの骨格に共有結合によりまたは共有結合によらずに結合した修飾基が結合している点で、本明細書中の一実施形態のポリペプチドと相違することもある。変異体には、導入されたN結合型もしくはO結合型グリコシル化部位および/またはシステイン残基の付加という点で本明細書に記載のポリペプチドと異なるポリペプチドも含まれる。当業者であれば、アミノ酸配列の改変および生物学的活性の保存の方法を認識しているであろう。
いずれの(+)−セドロール合成酵素および/もしくは(−)−ツヨプセン合成酵素のタンパク質、変異体もしくは断片の機能または活性も、種々の方法を用いて決定することができる。例えば、植物細胞、細菌細胞もしくは酵母細胞における一過性または安定な過剰発現を用いて、タンパク質が活性を有するか否か、すなわちタンパク質がFPP前駆体から(+)−セドロールおよび/または(−)−ツヨプセンを生成するか否かを試験することができる。(+)−セドロール合成酵素活性および/または(−)−ツヨプセン合成酵素活性を、本明細書で提供される実施例に記載のアッセイのように微生物発現系において評価することもできる。
本明細書中の一実施形態では、インビトロまたはインビボのいずれかでFPP前駆体を本明細書中の一実施形態のポリペプチドと接触させることにより(+)−セドロールおよび/または(−)−ツヨプセンを生成するための方法において使用することができる本明細書中の一実施形態のポリペプチドが提供される。
本明細書では、本明細書で提供されるポリペプチドまたは変異体ポリペプチドをコードする、単離された、組換えのまたは合成のポリヌクレオチドも提供される。
本明細書で提供される実施形態には、これらに限定されるものではないが例えばcDNA配列、ゲノムDNA配列およびゲノムRNA配列が挙げられる。したがって、(+)−セドロール合成酵素および/もしくは(−)−ツヨプセン合成酵素またはそれらの変異体をコードするいずれの核酸配列をも、本明細書では(+)−セドロール合成酵素および/または(−)−ツヨプセン合成酵素をコードする配列と呼ぶ。
本明細書中の一実施形態のポリヌクレオチドを含む遺伝子を、付属の配列表に見られるような利用可能なヌクレオチド配列の情報に基づいて当技術分野で知られている方法によりクローニングすることができることは、当業者に自明である。こうした方法には例えば、そうした遺伝子のフランキング配列であって、一方がセンス方向で生成されてセンス鎖の合成を開始し、他方が逆相補的に作成されてアンチセンス鎖を生成するものを表すDNAプライマーの設計が含まれる。そのような実験を実施するためには、ポリメラーゼ連鎖反応に使用されるような熱安定性DNAポリメラーゼが一般に使用される。あるいは、遺伝子を表すDNA配列を化学的に合成し、次いでこれをDNAベクター分子に導入し、このDNAベクター分子を、例えば適合性を示す細菌、例えば大腸菌(E.coli)により増幅させることもできる。
本明細書では、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18または配列番号19の変異により得られる核酸配列が提供されるが、こうした変異を、ルーチン作業により生じさせることができる。これらのDNA配列に、1つもしくは複数のヌクレオチドの変異、欠失、挿入および/または置換を導入することができることは、当業者に自明である。
本明細書中の一実施形態による変異体DNA配列の機能を試験するために、目的の配列を、選択マーカーまたはスクリーニングマーカーの遺伝子に作動可能に連結させ、プロトプラストを用いたまたは安定的に形質転換された植物における一過性発現アッセイでレポーター遺伝子の発現を試験する。当業者には、発現を駆動し得るDNA配列がモジュールとして構築されることが理解されよう。したがって、より短いDNA断片からの発現レベルと最も長い断片からの発現レベルとが異なっていてもよいし、より短いDNA断片からの発現レベル同士が互いに異なっていてもよい。さらに本明細書では、(+)−セドロール合成酵素タンパク質および/または(−)−ツヨプセン合成酵素タンパク質をコードする核酸配列の機能的等価物、すなわち、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18または配列番号19の核酸配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列も提供される。
当業者であれば、(本明細書中の定義の節で明らかにされた)他の生物および他の方法で相同配列を同定して、相同配列間の配列同一性のパーセンテージを求める方法を認識しているであろう。
本明細書で提供されるもう1つの実施形態では、宿主細胞における遺伝子発現を変更するための方法が提供される。例えば、本明細書中の一実施形態のポリヌクレオチドを、宿主細胞または宿主生物において特定の状況において(例えば昆虫刺咬の後に、または特定の温度に曝された際に)増強または過剰発現または誘導することができる。
本明細書で提供されるポリヌクレオチドの発現を変更することによって、「異所性発現」も生じる。この「異所性発現」とは、変更された生物における、および対照生物、すなわち野生型生物における、異なる発現パターンである。発現の変更は、本明細書中の一実施形態のポリペプチドと外因性もしくは内因性のモジュレーターとの相互作用から生じるか、または該ポリペプチドの化学修飾の結果として生じる。この用語は、本明細書中の一実施形態のポリヌクレオチドの変更された発現パターンであって、検出レベル未満に変更されるかまたは活性が完全に抑制されるように変更される発現パターンを指す。
一実施形態において、(+)−セドロール合成酵素および/または(−)−ツヨプセン合成酵素をコードするいくつかの核酸配列が、単一の宿主において、特に異なるプロモーターの制御下で共発現される。あるいは、(+)−セドロール合成酵素タンパク質および/または(−)−ツヨプセン合成酵素タンパク質をコードするいくつかの核酸配列は、単一の形質転換ベクター上に存在することもできるし、別個のベクターを用いてかつ双方のキメラ遺伝子を含む形質転換体を選択して同時に共形質転換(同時形質転換)されることもできる。
(+)−セドロール合成酵素タンパク質および/または(−)−ツヨプセン合成酵素タンパク質をコードする本明細書中の一実施形態の核酸配列を、発現ベクターに挿入しかつ/または発現ベクターに挿入されるキメラ遺伝子に含ませることにより、宿主細胞または宿主生物において(+)−セドロール合成酵素タンパク質および/または(−)−ツヨプセン合成酵素タンパク質を生成することができる。宿主細胞のゲノムに導入遺伝子を挿入するためのベクターは、当技術分野において周知であり、これには例えば、プラスミド、ウイルス、コスミドおよび人工染色体が挙げられる。キメラ遺伝子を挿入するバイナリーベクターまたは同時組込みベクターも、宿主細胞の形質転換に使用される。
本明細書で提供される一実施形態では、(+)−セドロール合成酵素および/もしくは(−)−ツヨプセン合成酵素をコードする核酸を含む組換え発現ベクターか、または(+)−セドロール合成酵素および/もしくは(−)−ツヨプセン合成酵素をコードしかつ例えばプロモーター配列のような結合する核酸配列に作動可能に連結された核酸配列を含むキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクターが提供される。
あるいは、プロモーター配列はベクター内にすでに存在してもよく、その結果、転写すべき核酸配列が、プロモーター配列の下流でベクターに挿入される。ベクターは典型的には、複製起点、マルチクローニングサイトおよび選択マーカーを有するように設計される。
一態様において、(+)−セドロールおよび(−)−ツヨプセンを、合成酵素生成物から精製することができる。
本明細書に記載の方法のいずれかにより生成される(+)−セドロールおよび(−)−ツヨプセンを、これらに限定されるものではないが例えば、炭化水素類、エステル類、アミド類、グリコシド類、エーテル類、エポキシド類、アルデヒド類、ケトン類、アルコール類、ジオール類、アセタール類またはケタール類のような誘導体に転化させることができる。
(+)−セドロール誘導体および(−)−ツヨプセン誘導体を、これらに限定されるものではないが例えば、酸化、還元、アルキル化、アシル化、脱水および/または転位のような化学的方法により得ることができる。(+)−セドロールおよび(−)−ツヨプセンの化学的転化の例は、Charles S. Cell. A Fragrant Introduction to Terpenoid Chemistry. The royal Society of chemistry, 2003. p.163−172;G. Ohloff, W. Pickenhagen, P. Kraft. Scent and Chemistry − The Molecular World of Odors, Verlag Helvetica Chimica Acta, Zurich, 2011, p.172−174;米国特許第007615525号明細書(US 007615525);米国特許出願公開第20120077722号明細書(US 20120077722);米国特許第3845132号明細書(US 3845132)または国際公開第2005083045号(WO 2005083045)において見ることができる。
あるいは、生化学的方法を用いて、(+)−セドロールまたは(−)−ツヨプセンと、これらに限定されるものではないが例えば、オキシドレダクターゼ、モノオキシゲナーゼ、ジオキシゲナーゼ、トランスフェラーゼのような酵素とを接触させることにより、(+)−セドロール誘導体および(−)−ツヨプセン誘導体を得ることもできる。こうした生化学的転化を、単離された酵素を用いてインビトロで行うこともできるし、完全細胞を使用してインビボで行うこともできる。例えば、(+)−セドロールおよび(−)−ツヨプセンを生成する同一の宿主生物または宿主細胞を、誘導体の生成に必要な酵素を発現するように操作することができる。(+)−セドロールおよび(−)−ツヨプセンの生化学的転化の例を、Abraham, W. R., P. Washausen, and K. Kieslich. 1987. Z. Naturforsch. 42c, 414−419 ; Takigawa H., Kubota H., Sonohara H., Okuda M., Tanaka S., Fujikura Y. and Ito S. Novel. 1993, Environ Microbiol. 59(5), 1336−1341 ; Lamare, V., J. D. Fourneron, and R. Furstoss. 1987, Tetrahedron Lett. 28, 6269−6272 ; Lamare, V., and R. Furstoss. 1990, Tetrahedron 46. 4109−132 ; Sakamaki H1, Kitanaka S, Chai W, Hayashida Y, Takagi Y, Horiuchi CA. 2001. J. Nat. Prod. 64(5). 630−631において見ることができる。
さらに本明細書では、表Iに記載の化合物から選択される(+)−セドロール誘導体が提供される。
Figure 0006748108
さらに本明細書では、表2に記載の化合物から選択される(−)−ツヨプセン誘導体が提供される。
Figure 0006748108
また本明細書では、本明細書に記載の方法により生成される(+)−セドロールおよび(−)−ツヨプセンまたはそれらの誘導体を含む生成物も提供される。
以下の実施例は単なる例示であり、特許請求の範囲を限定することを意図するものではなく、また本明細書で提供される実施形態を限定することを意図するものでもない。
例1
ジュニペルス・バージニアナ(Juniperus virginiana)植物材料および根のトランスクリプトーム配列決定
ジュニペルス・バージニアナ(Juniperus virginiana)の種子を、B&T World SEEDS(Aigues−Vives、フランス国)より入手した。種子を0.5Lのポット内の土壌中で直接発芽させた。1〜2年齢の植物を、代謝産物およびトランスクリプトームの解析における組成の解析のために採取した。これらの植物をポットから取り出し、根を水道水ですすいだ。
地上部と根を分離し、これらを液体窒素で凍結させた。これらの組織を、まずワーリングブレンダー(Waring Blender(Waring Laboratory、米国トリントン))を用いて液体窒素中で粗く細断し、次いで乳鉢および乳棒を用いて粉砕して微粉末にした。地上部のサンプルおよび地下部のサンプルを、過剰のMTBE(メチル−t−ブチルエーテル)で抽出し、これをGCMSで分析した。この分析を、アジレント(Agilent)5975質量検出器に接続されたアジレント(Agilent)6890シリーズGCシステムで行った。このGCは、30m DB−1msキャピラリーカラム(Agilent)による0.25mmの内径を備えていた。キャリアガスは、1mL/分の一定流量のHeであった。初期オーブン温度は50℃(1分間保持)であり、次いで10℃/分の勾配で300℃に達した。生成物の同定は、質量スペクトルおよび保持指標と、基準となる標準物質および内部データベースとの比較に基づいていた。この分析から、セドロールは根にしか存在しておらず、地上部には存在しないことが判明した(図1)。
したがって、トランスクリプトーム解析のために、J.バージニアナ(J.virginiana)植物の根を採取した。Kolosovaら(Kolosova N, Miller B, Ralph S, Ellis BE, Douglas C, Ritland K, and Bohlmann J, Isolation of high−quality RNA from gymnosperm and angiosperm trees. J. Biotechniques, 36(5), 821−4, 2004)に記載の手法にしたがって全RNAを抽出したが、但し以下の変更を加えた。粉砕組織1gに対して体積10mlの抽出緩衝液を使用し、この抽出緩衝液にPVP(ポリビニルピロリドン、Sigma−Aldrich)2%(w/v)を補充した。CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド、Sigma−Aldrich)抽出のために、核酸ペレットをTE緩衝液(10mM Tris−HCl、pH8、1mM EDTA)2ml中に再懸濁させ、この抽出を、5M NaCl 2mlおよび10% CTAB 1mlで行った。イソプロパノールにより沈殿させるために、この核酸ペレットをTE 500μl中に溶解させた。最終的なRNAペレットを、滅菌蒸留水中に再懸濁させた。
この根のトランスクリプトームについて、イルミナ(Illumina)Total RNA−Seq技術およびイルミナ(Illumina)HiSeq 2000シーケンサーを用いて配列決定を行った。2×100bpのペアリードを、合計で1620万生成した。これらのリードを、ベルベットデノボ(Velvet de novo)ゲノムアセンブラ(http://www.ebi.ac.uk/〜zerbino/velvet/)およびオアシス(Oases)ソフトウェア(http://www.ebi.ac.uk/〜zerbino/oases/)を用いてアセンブルした。合計で、1’241bpの平均サイズを有する46’644のコンティグ(contig)をアセンブルした。これらのコンティグを、tBlastnアルゴリズム(Altschul et al, J. Mol. Biol. 215, 403−410, 1990)を使用し、かつクエリーとして既知のセスキテルペン合成酵素のアミノ酸配列を用いて検索した。この手法によって、異なるテルペン合成酵素をコードする138の配列を検出することができた。このデータをさらにソートした後、17の完全長配列を、既知のセスキテルペン合成酵素とのそれらのアミノ酸配列相同性に基づいて保持した。
例2
J.バージニアナ(J.virginiana)セスキテルペン合成酵素の機能発現
選択された、テルペンをコードしていると推定される配列のコドン最適化版をインビトロで合成し、これらをpJ411発現プラスミド(DNA2.0、Menlo Park、米国CA)内でクローニングした。J.バージニアナ(J.virginiana)テルペン合成酵素の異種発現を、KRX E.coli細胞(Promega)内で行った。形質転換細胞の単一のコロニーを使用して、これをLB培地5mlに接種した。37℃で5〜6時間インキュベーションした後、これらの培養物を20℃のインキュベーターに移し、1時間放置して平衡化させた。次いで、1mM IPTGおよび0.2%ラムノースを加えることによりこのタンパク質の発現を誘導し、この培養物を20℃で一晩インキュベートした。翌日、これらの細胞を遠心分離によって回収し、0.1体積のpH7の50mM MOPSOおよび10%グリセロール中に再懸濁させ、音波処理により溶解させた。これらの抽出物を遠心分離(20,000gで30分間)により清澄させ、可溶性タンパク質を含む上清を、さらなる実験に使用した。
この組換えタンパク質を含む粗製大腸菌(E.coli)タンパク質抽出物を、酵素活性の特性決定に使用した。これらのアッセイを、2mLのpH7の50mM MOPSO、10%グリセロール、1mM DTT、10mM MgCl中で、10〜100μM ファルネシル二リン酸(FPP、Sigma)および粗製タンパク質0.1〜0.5mgの存在下で行った。これらの試験管を30℃で12〜24時間インキュベートし、同体積のペンタンで2回抽出した。窒素フラックス下で濃縮させた後、これらの抽出物をGCおよびGC−MSにより分析し、対照タンパク質を用いたアッセイからの抽出物と比較した。これらの酵素によって形成された生成物の分析を、例1に記載したようにGCMSにより行った。これらの条件で、4種の組換えテルペン合成酵素は、いくつかの他のセスキテルペン生成物に加えてセドロールを生成する。したがって、JvCP1206−3、JvCP1206−4およびJvCP1206−6は、セスキテルペンの混合物を生成し、この混合物のうちセドロールは、生成される総セスキテルペン化合物の少なくとも70〜80%を占める。JvCP1206−5酵素は、(−)−ツヨプセンが主要な生成物であって、セドロールが総セスキテルペン化合物の10%を占める混合物を生成した(図2)。
例3
操作された細胞においてインビボで(+)−セドロールおよび(−)−ツヨプセンを生成するための、組換えJ.バージニアナ(J.virginiana)セスキテルペン合成酵素の使用
異種の細胞におけるインビボでのセドロールおよびツヨプセンの生成を評価するために、大腸菌(E.coli)細胞を、例2で同定した4種のJ.バージニアナ(J.virginiana)セスキテルペン合成酵素のうちの1種を含むpJ411(pJ411−JvCP1206−4、pJ411−JvCP1206−3、pJ411−JvCP1206−6およびpJ411−JvCP1206−5)プラスミドで形質転換し、内因性FPPのプールからのセスキテルペン類の生成を評価した。これらの細胞の生産性を高めるために、異種のFPP合成酵素と、異種のメバロン酸(MVA)経路全体からの酵素とを、同一の細胞内で発現させた。FPP合成酵素遺伝子とMVA経路全体の遺伝子とを含む発現プラスミドの構築は、国際公開第2013064411号(WO 2013064411)の特許またはSchalk et al(2013)J. Am. Chem. Soc. 134, 18900−18903に記載されている。簡潔に述べると、メバロン酸経路全体の酵素をコードする遺伝子から構成される2つのオペロンを含む発現プラスミドを調製した。大腸菌(E.coli)アセトアセチル−CoAチオラーゼ(atoB)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)HMG−CoA合成酵素(mvaS)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)HMG−CoA還元酵素(mvaA)およびサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)FPP合成酵素(ERG20)遺伝子からなる第1の合成オペロンを、インビトロで合成し(DNA2.0、Menlo Park、米国CA)、これをNcoI−BamHIで消化したpACYCDuet−1ベクター(Invitrogen)にライゲーションして、pACYC−29258を得た。メバロン酸キナーゼ(MvaK1)、ホスホメバロン酸キナーゼ(MvaK2)、メバロン酸二リン酸デカルボキシラーゼ(MvaD)およびイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ(idi)を含む第2のオペロンを、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)(ATCC BAA−334)のゲノムDNAから増幅し、これをpACYC−29258の第2のマルチクローニングサイトにライゲーションして、プラスミドpACYC−29258−4506を得た。したがってこのプラスミドは、アセチル補酵素AからFPPへと至る生合成経路のすべての酵素をコードする遺伝子を含む。
プラスミドpACYC−29258−4506と、プラスミドpJ411−JvCP1206−4、pJ411−JvCP1206−3、pJ411−JvCP1206−6またはpJ411−JvCP1206−5のいずれかとを用いて、KRX E.coli細胞(Promega)を同時形質転換させた。形質転換細胞を、カルベニシリン(50μg/ml)およびクロラムフェニコール(34μg/ml)LBアガロースプレート上で選択した。単一のコロニーを使用して、同一の抗生物質を補充したLB液体培地5mLに接種した。この培養物を、37℃で一晩インキュベートした。翌日、同一の抗生物質を補充したTB培地2mLに、この一晩培養物0.2mLを接種した。37℃で6時間インキュベーションした後、この培養物を28℃に冷却し、0.1mM IPTGおよび0.2%ラムノースを各試験管に加えた。これらの培養物を、28℃で48時間インキュベートした。次に、これらの培養物を2倍体積のMTBEで2回抽出し、有機相を濃縮して500μLとし、例1で上述したようにGC−MSにより分析した。
このインビボ条件において、4種のセスキテルペン合成酵素によって、インビトロアッセイと同一の(+)−セドロールの比率を有するセスキテルペンの混合物が生成され、JvCP1206−3、JvCP1206−4およびJvCP1206−6については(+)−セドロールは70〜80%であり、JvCP1206−5については(+)−セドロールは10%であった(図3)。JvCP1206−5を用いた場合、生成されたセスキテルペンの混合物中での主要な生成物は、(−)−ツヨプセンであった。
これらの操作された大腸菌(E.coli)細胞を用いて、より大きい(1L)培養物を使用して、これらの酵素により生成されるより多量のセスキテルペン生成物混合物を生成した。この生成物混合物から、シリカゲルカラム上のフラッシュクロマトグラフィーにより(+)−セドロールを精製した。NMR分析による構造の確認に十分な量を得た。旋光度を、ブルカーアバンス(Bruker Avance)500MHz分光計を使用して測定した。[α] 20の値=+10.6°(0.85%、CHCl)は文献の記載と一致しており、これにより(+)−セドロールの生成が確認された。
例4
4種のJ.バージニアナ(J.virginiana)セドロール合成酵素の配列比較
クラスタルW(ClustalW)のプログラムを用いて、4種のJ.バージニアナ(J.virginiana)セドロール合成酵素のアミノ酸配列を整列させ、このアライメントから配列同一性を推定した。
これら4種のセドロール合成酵素間の配列同一性を、以下の表に示す。
Figure 0006748108
例5
シダーウッド植物材料の調達および葉のトランスクリプトーム配列決定
プラチクラドゥス・オリエンタリス(Platycladus orientalis)「ビバリーエンシス(Beverleyensis)」およびプラチクラドゥス・オリエンタリス(Platycladus orientalis)植物材料を、中国浙江省のHangzhouより収集した。P.オリエンタリス(P.orientalis)「ビバリーエンシス(Beverleyensis)」(サンプルID:PNLI20141232)およびP.オリエンタリス(P.orientalis)(サンプルID:PNLI20141243)が(+)−セドロールおよび(−)−ツヨプセンを含むか否かを確認するために、それらの新鮮な葉を、それぞれ化学分析のためにジクロロメタンで抽出した。これらの抽出物をGC/MSにより分析し、GC/MS分析のパラメータを以下に記載した:5975シリーズの質量分析計に接続された、DB1−msカラム30m×0.25mm×膜厚0.25μmを備えたアジレント(Agilent)6890シリーズGCシステム(P/N 122−0132、J&W scientific Inc.、カリフォルニア州フォルサム)を用いた。キャリアガスは、0.7mL/分の一定流量のヘリウムであった。注入は、インジェクター温度を250℃に設定した状態でのスプリット(1:25)モードであった。オーブン温度を、50℃から(5分間保持されて)5℃/分で300℃に達し、次いで50℃/分で340℃に達して3分間保持されるようにプログラムした。生成物の同定は、質量スペクトルおよび保持指標に基づいていた。GC/MS分析から、P.オリエンタリス(P.orientalis)「ビバリーエンシス(Beverleyensis)」の葉は、その揮発性セスキテルペン全体中に37%の(+)−セドロールを含む(図5および図6)のに対して、P.オリエンタリス(P.orientalis)の葉は、その揮発性セスキテルペン全体中に11%の(−)−ツヨプセンを含む(図7および図8)ことが明らかになった。
P.オリエンタリス(P.orientalis)「ビバリーエンシス(Beverleyensis)」およびP.オリエンタリス(P.orientalis)の新鮮な葉を使用して、トランスクリプトーム解析を行った。RNeasy Plant Mini Kit(Qiagen、ドイツ連邦共和国)を使用して、全RNAを抽出した。これらの全RNAサンプルを、イルミナ(Illumina)(NEB、米国)用NEBNext(登録商標)UltraTM RNA Library Prep KitおよびTruSeq PE Cluster Kit(Illumina、米国)を用いて処理し、次いでイルミナ(Illumina)HiSeq 2500シーケンサーを用いて配列決定を行った。P.オリエンタリス(P.orientalis)「ビバリーエンシス(Beverleyensis)」およびP.オリエンタリス(P.orientalis)のそれぞれについて、2×150bpのペアエンドリードを1700万および2260万の量で生成させた。これらのP.オリエンタリス(P.orientalis)「ビバリーエンシス(Beverleyensis)」およびP.オリエンタリス(P.orientalis)からのリードをそれぞれ、トリニティ(Trinity)(http://trinityrnaseq.sf.net/)ソフトウェアを用いてアセンブルした。P.オリエンタリス(P.orientalis)「ビバリーエンシス(Beverleyensis)」およびP.オリエンタリス(P.orientalis)からそれぞれ、1564bpのN50を有する58300のユニジーンと、1602bpのN50を有する62252のユニジーンとが得られた。これらのユニジーンに対して、インタープロスキャン(InterProScan)ソフトウェア(http://www.ebi.ac.uk/Tools/pfa/iprscan/)によりアノテーションを行った。従来技術からの(+)−セドロール合成酵素および(−)−ツヨプセン合成酵素の配列を使用して、P.オリエンタリス(P.orientalis)「ビバリーエンシス(Beverleyensis)」およびP.オリエンタリス(P.orientalis)からの潜在的な(+)−セドロール合成酵素および(−)−ツヨプセン合成酵素を検索した。この手法により、各々の種に対して2種の新たな推定セスキテルペン合成酵素配列が判明し、これらは、P.オリエンタリス(P.orientalis)「ビバリーエンシス(Beverleyensis)」からのPorB1と、P.オリエンタリス(P.orientalis)からのPor2−3−5であった。PorB1およびPor2−3−5の酵素活性を、例6に記載したように評価した。
例6
PorB1およびPor2−3−5の機能発現および特性決定
RNeasy Plant Mini Kit(Qiagen、ドイツ連邦共和国)により抽出した全RNAを、まずSMARTer(商標)RACE cDNA Amplification Kit(Clontech)を用いてcDNAに逆転写し、次いで、この生成物を遺伝子クローニングの鋳型として使用した。フォワードプライマー(5’−TTTAAGTGCTTCTGCGATG−3’(配列番号20))およびリバースプライマー(5’−ACATCTAGGTTTGTGCCTT−3’(配列番号21))を使用することにより、P.オリエンタリス(P.orientalis)「ビバリーエンシス(Beverleyensis)」のcDNAからPorB1を増幅した。Por2−3−5は不適切にアセンブルされると考えられたため、遺伝子特異的リバースプライマー(5’−ATCGCCATCTCCAGTGTG−3’(配列番号22))をSMARTer(商標)RACE cDNA Amplification Kit(Clontech)により提供されるUniversal Primer A Mixと併用してPor2−3−5の5’末端配列をクローニングし、ここから全長クローニングのためのフォワードプライマーを設計した。その後、フォワードプライマー(5’−CTTTAGTGCTTCTGTGATG−3’(配列番号23))およびリバースプライマー(5’−CATACAAGTTTGTGCCTCA−3’(配列番号24))を使用することにより、P.オリエンタリス(P.orientalis)のcDNAからPor2−3−5を増幅した。大腸菌(E.coli)の遺伝コドン出現頻度にしたがうことによりPorB1およびPor2−3−5の配列を最適化し、かつこれらを合成した。制限部位NdeIをPorB1およびPor2−3−5の双方の5’末端に付加し、一方でKpnIを3’末端に付加した。大腸菌(E.coli)における後続の発現のために、PorB1およびPor2−3−5を、pJ401(DNA2.0)プラスミドかまたはpETDuet−1(Novagen)プラスミドのいずれかにサブクローニングした。
KRX E.coli細胞(Promega)を、異種のメバロン酸経路をコードする遺伝子を含むプラスミドpACYC/ScMVAと、プラスミドpJ401−PorB1、pETDuet−PorB1、pJ401−Por2−3−5およびpETDuet−Por2−3−5のそれぞれとで同時形質転換させた。pACYC/ScMVAプラスミドを構築するために、本出願人らは、8つの生合成遺伝子を、「上流」メバロン酸(MVA)経路および「下流」メバロン酸(MVA)経路と呼ばれる2つの合成オペロンに分割した。上流MVA経路として、本出願人らは、atoBによりコードされる大腸菌(E.coli)からのアセトアセチル−CoAチオラーゼと、HMG−CoA合成酵素と、ERG13およびERG19のそれぞれによりコードされるサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)からのHMG−CoA還元酵素の切断型版と、からなる合成オペロンを作出した。このオペロンは、一次代謝産物アセチル−CoAを(R)−メバロン酸へと転化する。「下流」メバロン酸経路として、本出願人らは、メバロン酸キナーゼ(ERG12、S.セレビシエ(S.cerevisiae))、ホスホメバロン酸キナーゼ(ERG8、S.セレビシエ(S.cerevisiae))、ホスホメバロン酸デカルボキシラーゼ(MVD1、S.セレビシエ(S.cerevisiae))、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ(idi、大腸菌(E.coli))およびファルネシルピロリン酸(FPP)合成酵素(IspA、大腸菌(E.coli))をコードする第2の合成オペロンを作出した。最後に、S.セレビシエ(S.cerevisiae)からの第2のFPP合成酵素(ERG20)を上流経路オペロンに導入して、イソプレノイドC5単位(IPPおよびDMAPP)からファルネシルピロリン酸(FPP)への転化を改善させた。バクテリオファージT7プロモーター(pACYCDuet−1、Invitrogen)の制御下で低コピー発現プラスミドのマルチクローニング部位のうちの1つに、各オペロンをサブクローニングした。
これらの同時形質転換細胞を、カナマイシン(最終濃度50μg/mL)およびクロラムフェニコール(最終濃度34μg/mL)を含むLB寒天プレート上で選択した。単一のコロニーを使用して、同一の抗生物質およびグルコース(最終濃度0.4%w/v)を補充した5mLのLB液体培地に接種し、その上にデカン500μlを重ねた。培養物を37℃で一晩インキュベートし、200rpmで振盪した。翌日、同一の抗生物質およびグリセロール(最終濃度6%w/v)を補充したTB培地2mLにこの一晩培養物0.3mLを接種し、その上にデカン200μlを重ねた。37℃で6時間インキュベーションし、200rpmで振盪した後、この培養物を1時間かけて25℃に冷却し、各試験管にIPTG(最終濃度0.1M)およびラムノース(最終濃度0.02%w/v)を加えた。これらの培養物を25℃でさらに48時間インキュベートし、180rpmで振盪した。次に、これらの培養物を同体積のMTBEで抽出し、2mg/mLのイソロンギホレン50μlを内部標準物質として加えてから、これらのサンプルをGC/MSにより分析した。GC/MS分析では、例5に記載したのと同一の系を使用した。キャリアガスは、1.0mL/分の一定流量のヘリウムであった。注入は、インジェクター温度を250℃に設定した状態でのスプリットレスモードであった。オーブン温度を、80℃から10℃/分で220℃に達し、次いで30℃/分で280℃に達して1分間保持されるようにプログラムした。生成物の同定は、質量スペクトルおよび保持指標に基づいていた。GC/MS分析から、PorB1が(+)−セドロールを主要な生成物として78%〜88%の選択率で生成し(図9および図10)、Por2−3−5が(−)−ツヨプセンを主要な生成物として45%〜55%の選択率で生成した(図11および図12)ことが明らかになった。
例7
セドロール合成酵素の配列比較
クラスタルW(ClustalW)のプログラムを用いて、PorB1およびPor2−3−5のアミノ酸配列ならびに4種のJ.バージニアナ(J.virginiana)セドロール合成酵素のアミノ酸配列を整列させ、このアライメントから配列同一性を推定した。これらの合成酵素間の配列同一性を、以下の表に示す。
Figure 0006748108
配列表
Figure 0006748108
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Claims (19)

  1. (+)−セドロールおよび/または(−)−ツヨプセンの製造方法であって、
    a. 非環式ファルネシル二リン酸(FPP)前駆体を、(+)−セドロール合成酵素活性および(−)−ツヨプセン合成酵素活性からなる群から選択される活性を有するポリペプチドと接触させて、(+)−セドロールおよび(−)−ツヨプセンからなる群から選択される化合物を生成すること、ここで前記ポリペプチドは、
    i. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択されるポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
    ii. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列
    を含むものとする、ならびに、
    b. 必要に応じて(+)−セドロールおよび/または(−)−ツヨプセンを単離すること、を含む方法。
  2. (+)−セドロール活性および/または(−)−ツヨプセン活性を有するポリペプチドをコードする核酸を用いて宿主細胞または非ヒト宿主生物を形質転換させること、ここで前記ポリペプチドは、
    a. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択されるポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
    b. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列
    を含むものとする、ならびに、
    前記ポリペプチドの生成を可能にする条件下で前記宿主細胞または前記非ヒト宿主生物を培養すること、
    を含む、請求項1記載の方法。
  3. FPPを生成する能力を有し、かつポリペプチドを発現するように形質転換された非ヒト宿主生物または非ヒト宿主細胞を、(+)−セドロールおよび/または(−)−ツヨプセンの生成を促進する条件下で培養することをさらに含み、ここで前記ポリペプチドは、
    a. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
    b. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列
    を含む、請求項1記載の方法。
  4. 前記細胞が原核細胞、細菌細胞または真核細胞である、請求項3記載の方法。
  5. 前記真核細胞が酵母細胞または植物細胞である、請求項4記載の方法。
  6. 前記(+)−セドロールを化学的合成もしくは生化学的合成または双方の組合せを用いて処理して、誘導体を生成することをさらに含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  7. 前記(+)−セドロールを少なくとも1つの酵素と接触させて、(+)−セドロール誘導体を生成することをさらに含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  8. 化学的合成もしくは生化学的合成または双方の組合せを用いて前記(−)−ツヨプセンを(−)−ツヨプセン誘導体へと転化させることをさらに含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  9. 前記(−)−ツヨプセンと少なくとも1つの酵素とを接触させてツヨプセン誘導体を生成することをさらに含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  10. a. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択されるポリペプチドに対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
    b. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号13および配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列
    を含む単離されたポリペプチド。
  11. 請求項10記載のポリペプチドをコードする核酸。
  12. a. 配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18および配列番号19からなる群から選択されるヌクレオチド配列と少なくとも90%類似しているか、もしくは少なくとも9%同一であるヌクレオチド配列、または
    b. 配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18および配列番号19からなる群から選択されるヌクレオチド配列
    を含む、請求項11記載の核酸。
  13. 請求項11または12記載の核酸を含む、発現ベクター。
  14. a.請求項11もしくは12記載の少なくとも1つの核酸、または、
    b.請求項13記載の発現ベクター
    を保有するように形質転換されており、その結果、請求項10記載の少なくとも1種のポリペプチドを異種発現または過剰発現する、非ヒト宿主生物または非ヒト宿主細胞。
  15. 植物、植物細胞、原核生物、微生物、真菌細胞、または真菌である、請求項14記載の非ヒト宿主生物または非ヒト宿主細胞。
  16. 前記微生物が、細菌または酵母である、請求項15記載の非ヒト宿主生物または非ヒト宿主細胞。
  17. 前記細菌が、大腸菌(E.coli)であり、前記酵母が、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である、請求項16記載の非ヒト宿主生物または非ヒト宿主細胞。
  18. 前記ポリペプチドが、
    a. 配列番号1、配列番号2、配列番号3または配列番号13に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
    b. 配列番号1、配列番号2、配列番号3または配列番号13を含むアミノ酸配列
    を含み、生成される主要なセスキテルペン化合物は(+)−セドロールである、請求項1記載の方法。
  19. 前記ポリペプチドが、
    a. 配列番号4または配列番号14に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または
    b. 配列番号4または配列番号14を含むアミノ酸配列
    を含み、生成される主要なセスキテルペン化合物は(−)−ツヨプセンである、請求項1記載の方法。
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