JP6746848B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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Description
本明細書の説明において、吸収性物品1の着用時とは、吸収性物品1の装着時及び装着後の少なくとも一方をいう。吸収性物品1の長手方向とは、吸収性物品1が着用されたときに着用者の前後に亘る方向であり、図中、符号Yで示す方向である。また、吸収性物品1の幅方向とは、長手方向に対して横又は直交する方向であり、図中、符号Xで示す方向である。さらに、身体側表面とは、吸収体23等の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側に配される面であり、衣類側表面とは、吸収体23等の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。体液とは、尿、血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。さらに、吸収性物品1の用途は、特に限定されるものではなく、一般には、幼児又は成人用を問わず、テープ止めタイプの使い捨ておむつ、パンツタイプの使い捨ておむつ、尿取りパッド、軽失禁パッド、生理用品等であってもよいが、本発明は、パンツタイプの使い捨ておむつと併用される尿取りパッドに好適に適用される。
トップシート21は、体液が吸収体へと移動するような液透過性を備えた基材から形成すればよく、例えば、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布等の不織布、サーマルボンド/スパンボンドを積層した複合不織布等から形成される。また、トップシート21には、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート21には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。さらに、強度及び加工性の点から、トップシート21を構成する不織布1枚あたりの坪量は、13g/m2以上50g/m2以下であることが好ましい。トップシート21の形状としては特に制限はないが、漏れがないように体液を吸収体23へと誘導するために必要とされる、吸収体23を覆う形状であればよい。
図1及び図4に示すように、本発明の吸収性物品1のトップシート21には、身体側最上層のシート211のみに、左右一対の第1の切れ込み213が、吸収性物品1の長手方向に延びる吸収性物品の中心線Aを中心として左右略対称に形成されている。すなわち、本発明の吸収性物品1のトップシート21においては、長手方向に延びる前記吸収性物品の中心線Aより右寄りの部位と、左寄りの部位とに、当該中心線Aを中心として略対称の形状を有する、一対の第1の切れ込み213が形成されている。このため、トップシート21上、幅方向に広がった体液を第1の切れ込み213により形成される開口部215で捕捉することができ、排泄された体液の幅方向端部における横漏れを防止することができる。第1の切れ込み213は、略コの字状の形状を有しているが、2箇所の角部は角丸加工がなされていてもよい。2箇所の角部に角丸加工がなされていることにより、吸収性物品1を着用したときに、角部が着用者の肌に刺激を与えることを防止できる。
図1及び図4に示すように、本発明の吸収性物品1のトップシート21には、身体側最上層のシート211のみに、第2の切れ込み214が設けられていることが好ましい。第2の切れ込み214は、吸収性物品1の長手方向端部から、吸収性物品1の長手方向における寸法の3分の1以下の位置に設けられていることが好ましく、4分の1以下の位置に設けられていることがより好ましい。さらに、第2の切れ込み214は、吸収性物品1のもう一方の長手方向端部から長手方向における寸法の3分の1以下の位置に設けられていてもよい(図示せず)。第2の切れ込み214は、吸収性物品1の長手方向に直交する方向に沿って設けられるとともに、身体側からの平面視で、長手方向中心方向又は長手方向外側方向に向かって開口していることが好ましい。これにより、トップシート21上、長手方向に広がった体液を第2の切れ込み214により形成される開口部で捕捉することができ、排泄された体液の長手方向端部における前後漏れを防止することができる。また、第2の切れ込み214が、長手方向中心方向又は長手方向外側方向に向かって開口していることにより、長手方向に広がる体液を、第2の切れ込み214で捕捉しやすくすることができる。図1及び図4に示すように、第2の切れ込み214は、特に、長手方向中心方向に向かって開口していることが好ましい。
本発明の吸収性物品1においては、第1の切れ込み213及び第2の切れ込み214に加え、身体側最上層のシート211のみに、第3の切れ込み216が、第2の切れ込み214よりも、長手方向中心寄りの位置に設けられていることが好ましい。この第3の切れ込み216は、長手方向に直行する方向に設けられるとともに、略コの字状に形成され、身体側からの平面視で長手方向中心方向又は長手方向外側方向に向かって開口している。そして、第3の切れ込み216及びその開口部の近傍において、身体側最上層のシート211は、下層に位置するシート212に接合されておらず、開口部における身体側最上層のシート211と、下層に位置するシート212とが、吸収性物品1の着用時に離間可能となっていることが好ましい。このような第3の切れ込み216を設けることにより、身体側最上層のシート211に多数の開口部が形成されるため、吸収性物品1に軟便や水様便が排泄された場合であっても、第3の切れ込み216の開口部で体液がより迅速に捕捉され、吸収性物品1に吸収されて、体液の横漏れ等を効果的に防止することができる。第3の切れ込み216は、略コの字状の形状を有しているが、2箇所の角部は角丸加工がなされていてもよい。2箇所の角部に角丸加工がなされていることにより、吸収性物品1を着用したときに、角部が着用者の肌に刺激を与えることを防止できる。
本発明においては、第1の切れ込み213、第2の切れ込み214、及び第3の切れ込み216のそれぞれにおいて、略コの字状の切れ込みの2つの端部を結ぶ直線上に、直線状又は破線状のエンボス部217を設け、第1の切れ込み213、第2の切れ込み214、及び第3の切れ込み216が容易に起立するように構成されていることが好ましい。このような構成を採用することにより、第1の切れ込み213、第2の切れ込み214、及び第3の切れ込み216において、身体側最上層のシート211と、下層に位置するシート212とが離間した状態を、容易に維持することができるため、トップシート21上の体液を、開口部で捕捉することがより容易になる。
バックシート22は、吸収体23が保持している体液が衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成すればよく、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布とを積層した複合シートといった材料から形成される。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、あるいは、スパンボンド/メルトブロー、スパンボンド/メルトブロー/スパンボンドを積層した複合不織布及びこれらの複合材料が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
吸収体23は、基材としての吸収性繊維と、高吸収性ポリマー(SAP)と、を含有することが好ましい。吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュ、吸収紙、親水性不織布等を挙げることができる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプを使用することが好ましい。斯かるフラッフパルプとしては、木材パルプ、合成繊維、ポリマー繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。吸収体23の吸収性繊維は、吸収性能及び肌触りを損なわないよう、100g/m2以上800g/m2以下の坪量とすることが好ましい。
吸収性物品1の製造方法は、周知の方法を採用することができ、例えば、(A)吸収性繊維を高吸収性ポリマーとともに積繊して吸収体マットを作成し、吸収体23を形成する工程、(B)トップシート21と立体ギャザー24をホットメルト系接着剤で固定・一体化する工程、(C)トップシート21、立体ギャザー24、及びバックシート22の内側にホットメルト系接着剤を塗工する工程、(D)集合ドラムにおいて、吸収体23の上部にトップシート21を、吸収体23の下部にバックシート22を配置し、各構成部材を固定・一体化する工程、(E)吸収性物品1の半製品をカッター装置により製品寸法でカットし、個々の吸収性物品1を切り離す工程、を有する製造方法等を挙げることができる。そして、本発明においてトップシート21を積層するに先立って、任意のカッター等により、トップシート21に第1の切れ込み213や第2の切れ込み214を形成しておけばよい。
(吸収体の作製)
パルプシートを粉砕して解繊したフラッフパルプ20gと、高吸収性ポリマー6gとをともに積繊した吸収体マットを準備し、長さ420mm、幅150mmにカットした。この吸収体をトップシート及びバックシートとともに積層するとともに、一対の横漏れ防止用立体ギャザーを形成し、長さ480mm、幅200mmの尿取りパッドを作製し、実施例1のサンプルとした。なお、トップシートとしては、身体側にエアスルー不織布(坪量20g/m2)を2枚と、その下層に8dtexの繊維を用いて調製されたサーマルボンド不織布(30g/m2)を1枚用い、バックシートとしては、通気性ポリエチレンフィルム(坪量35g/m2)を用いるとともに、トップシートのうち、身体側のエアスルー不織布を接合して一体化し、身体側最上層となる一体化したエアスルー不織布のみに、長手方向の寸法が120mm、幅方向の寸法が25mmである、幅方向外側に向かって開口する一対の第1の切れ込み、長手方向の寸法が25mm、幅方向の寸法が80mmである、長手方向中心部に向かって開口する1つの第2の切れ込みを形成するとともに、長手方向の寸法が25mm、幅方向の寸法が45mmである、長手方向中心部に向かって開口する第3の切れ込みを形成した。第1の切れ込み、第2の切れ込み、及び第3の切れ込みにおいて、略コの字状の切れ込みの二つの端部を結ぶ直線上には、直線状のエンボス部を形成するとともに、身体側最上層となる一体化したエアスルー不織布と、その下層となるサーマルボンド不織布とは、第1の切れ込み、第2の切れ込み及び第3の切れ込み、並びにこれらの開口部が離間可能なようにした。得られた尿取りパッドの概要を図1から図3に示す。得られた尿取りパッドの吸収速度、液戻り量を以下に従って測定・評価するとともに、モニターテストの官能評価により、横漏れし難さ、背漏れし難さを評価した。得られた結果を表1に示す。
外径80mmの円柱の中央に内径75mmの穴が開いており、重さ100gとした測定冶具を、トップシートを上に向けた状態で、尿取りパッドの長手方向、かつ幅方向の中央部の上に置き、上部の穴から生理食塩水150mlを投下し、生理食塩水が尿取りパッドに接触した時点から、測定治具中央円内の円周に生理食塩水が完全に吸い込まれるまでを終点として時間を計測し、吸収速度とした。
吸収性物品の中央に生理食塩水300mlを注入し、10分経過後に、あらかじめ重量を測定したろ紙(ADVANTEC社製No.2ろ紙、直径55mm)を注入部の中心に置き、ろ紙の上に687gの錘を載せた(圧力;35gf/cm2)。錘を載せてから1分経過後に、ろ紙の重量を測り、試験前後のろ紙の重量差(g)を液戻り量とした。液戻り量は、N=10サンプルについて行ったものの平均値とした。液戻り量が少ないほど吸収性能に優れる。
20名のパネラーにより、吸収性物品の着用時の尿漏れについて、「尿漏れがある」又は「尿漏れがない」の選択で調査を行い、以下の基準により評価を行った。
◎:「尿漏れがない」が16人以上20人以下のとき
○:「尿漏れがない」が11人以上15人以下のとき
△:「尿漏れがない」が6人以上10人以下のとき
×:「尿漏れがない」がいないか、1人以上5人以下の時
20名のパネラーにより、吸収性物品の着用時の便漏れについて、「便漏れがある」又は「便漏れがない」の選択で調査を行い、以下の基準により評価を行った。
◎:「便漏れがない」が16人以上20人以下のとき
○:「便漏れがない」が11人以上15人以下のとき
△:「便漏れがない」が6人以上10人以下のとき
×:「便漏れがない」がいないか、1人以上5人以下の時
図5に示すように、第1の切れ込み、第2の切れ込み、及び第3の切れ込みを形成しなかった点以外は、実施例1と同様の方法により、尿とりパッドを作製して、比較例1のサンプルとし、実施例1と同一の試験・評価を行った。得られた結果を表1に示す。
21 トップシート
211 身体側最上層のシート
212 下層に位置するシート
213 第1の切れ込み
214 第2の切れ込み
215 第1の切れ込みにより形成される開口部
216 第3の切れ込み
217 エンボス部
22 バックシート
23 吸収体
24 立体ギャザー
24a 立体ギャザー用弾性部材
24b 立体ギャザーシート
A 長手方向に延びる吸収性物品の中心線
Y 長手方向
X 幅方向
Claims (7)
- 液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に配置された吸収体と、を有する吸収性物品であって、
前記トップシートは、2枚以上の液透過性の不織布から構成され、
身体側最上層のシートのみに、左右一対の第1の切れ込みが、前記吸収性物品の長手方向に延びる吸収性物品の中心線を中心に左右略対称に形成されており、
前記第1の切れ込みは、略コの字状に形成され、身体側からの平面視で幅方向中心方向又は幅方向外側方向に向かって開口しており、
前記第1の切れ込み及び開口部の近傍において、前記身体側最上層のシートは、下層に位置するシートに接合されておらず、前記開口部における前記身体側最上層のシートと、前記下層に位置するシートとが、前記吸収性物品の着用時に離間可能であり、
前記第1の切れ込みにおいて、略コの字状の切れ込みの2つの端部を結ぶ直線上に、直線状又は破線状のエンボス部を設け、前記第1の切れ込みが容易に起立するように構成されており、
前記下層に位置するシートが、繊度3dtex以上20dtex以下の繊維を用いたサーマルボンド不織布、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォームのいずれかから形成されたシートである、吸収性物品。 - 前記吸収性物品が幅方向両端部に立体ギャザーを有し、前記第1の切れ込みが、前記立体ギャザーの前記トップシートとの接合部よりも内側に、長手方向に沿って形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の吸収性物品。
- 前記第1の切れ込みの幅方向の寸法が5mm以上50mm以下であり、長手方向の寸法は、幅方向の寸法よりも大きい、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
- 前記第1の切れ込みに加え、前記身体側最上層のシートのみに、第2の切れ込みが、前記吸収性物品の長手方向端部から、前記吸収性物品の長手方向における寸法の3分の1以下の位置に設けられ、
前記第2の切れ込みは、長手方向に直交する方向に設けられるとともに、略コの字状に形成され、身体側からの平面視で長手方向中心方向又は長手方向外側方向に向かって開口しており、
前記第2の切れ込み及び開口部の近傍において、前記身体側最上層のシートは、下層に位置するシートに接合されておらず、前記開口部における前記身体側最上層のシートと、前記下層に位置するシートとが、前記吸収性物品の着用時に離間可能である、請求項1から3のいずれかに記載の吸収性物品。 - 前記第2の切れ込みの長手方向の寸法が5mm以上50mm以下であり、幅方向の寸法は、長手方向の寸法よりも大きい、請求項4に記載の吸収性物品。
- 前記第1の切れ込み、及び前記第2の切れ込みに加え、前記身体側最上層のシートのみに、第3の切れ込みが、前記第2の切れ込みよりも、長手方向中心寄りの位置に設けられ、
前記第3の切れ込みは、長手方向に直行する方向に設けられるとともに、略コの字状に形成され、身体側からの平面視で長手方向中心方向又は長手方向外側方向に向かって開口しており、
前記第3の切れ込み及び開口部の近傍において、前記身体側最上層のシートは、下層に位置するシートに接合されておらず、前記開口部における前記身体側最上層のシートと、前記下層に位置するシートとが、前記吸収性物品の着用時に離間可能である、請求項4又は5に記載の吸収性物品。 - 前記身体側最上層のシートが、2枚の不織布が接合している不織布シートから構成される、請求項1から6のいずれかに記載の吸収性物品。
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