以下、本発明の例である各実施形態について図面を用いて説明する。
<第一実施形態>
図1は、本実施形態に係る電気信号生成装置100および波動出力パッド200の構成の一例を示したブロック図である。電気信号生成装置100と波動出力パッド200とは、銅線ケーブルなどで相互に電気的に接続されており、電気信号生成装置100で生成された電気信号は波動出力パッド200で所定種類の波動に変換されて出力される。なお、波動の種類には、電流、音波および電磁波などがある。なお、電気信号生成装置100および波動出力パッド200は、一体として構成されていても良く、バッテリーを用いてより小型に形成されていても良い。また、電気信号生成装置100は、外部装置からの制御を受け付けて、所定情報(例えば、後述の波形マスター情報など)の登録内容を変更する機能部を有していても良い。ここでは、電気信号生成装置100および波動出力パッド200の基本的な機能および構成を例示している。
電気信号生成装置100は、波動出力パッド200で所定種類の波動に変換される電気信号を生成する装置である。具体的には、電気信号生成装置100は、低周波(例えば0.2Hz〜10KHz、好ましくは0.3Hz〜3KHz、より好ましくは0.5Hz〜1.2KHz、以下「基底波」という)信号の波形と、高周波(例えば1KHz〜20KHz、好ましくは3KHz〜15KHz、より好ましくは4KHz〜12KHz、音声や楽器の場合は100Hz〜20KHzの帯域、または、これらの混成音、以下「高調波」という)信号の波形とを合成した合成波の電気信号を生成する。なお、高周波の周波数は、低周波の周波数の5倍以上(音声や楽器の場合は、高強度の振幅部分の周期による周波数)であり、例えば10〜2000倍、好ましくは100〜1000倍、より好ましくは300〜700倍または10〜100倍、30〜300倍、50〜500倍であっても良い。なお、低周波が例えば1KHz以上の場合は高調波を付加しないようにしても良い。また、例えば、5KHz〜10KHz(変動幅は、±20Hz以内)のいずれかの固定周波数の高調波を合成波とすることで電気刺激を軽減させると共に、低周波刺激(例えば、筋肉、腱などに対する刺激)と高調波刺激(例えば、内臓や細胞組織などに対する刺激)が同時に加わり、両方の効果を上げるようにしても良い。また、例えば音声の場合は音声周波数帯100Hz〜8KHzの音をそのまま合成波としても良い。また、電気信号生成装置100は、かかる電気信号を波動出力パッド200に伝送し、波動出力パッド200を介して所望の波形形状を示す波動を人体に伝搬させる。
このような電気信号生成装置100は、図示するように、入力受付部110と、表示部120と、設定情報登録部130と、入出力部140と、記憶部150と、制御部160とを有している。
入力受付部110は、電気信号生成装置100および波動出力パッド200を利用するユーザからの入力を受け付ける機能部である。具体的には、入力受付部110は、電気信号生成装置100が備えるタッチパネルやハードスイッチといった入力装置を介して、波動種類、治療目的、波動の強さおよび施術の所要時間などの入力を受け付ける。
表示部120は、電気信号生成装置100が備える表示装置(ディスプレイ)に表示する画面情報を生成する機能部である。
図2は、ディスプレイに表示された画面情報の一例を示した図である。図示するように、表示部120は、治療に関する設定情報153の入力を受け付けるメニュー画面400の画面情報を生成し、ディスプレイに表示する。なお、メニュー画面400は、複数の設定項目を有している。例えば、「1.前回の選択で開始する」という項目は、前回設定した設定情報153を用いて治療を行う際に選択される項目である。また、「2.目的で選ぶ」は、表示領域410に表示されている複数の治療目的のいずれかを設定する際に選択される項目である。例えば、「2.目的で選ぶ」が選択されると、「1.治癒」、「2.改善」、「3.健康」、「4.増強」、「5.その他」といった治療目的を選択できるようになる。
また、治療目的のいずれかが選択されると、より詳細な治療目的の設定項目が選択可能に表示される。例えば、「1.治癒」が選択されると、表示領域には、損傷(皮膚)、損傷(筋肉)、損傷(骨)、病原菌、ウィルス性といったより詳細な治療目的が表示される。なお、「2.改善」には、例えば胃腸、高血圧、貧血、糖尿病といったより詳細な治療目的がある。また、「3.健康」には、例えば筋肉のコリの改善からの健康増進、ストレスの改善からの健康増進、血行の改善からの健康増進といったより詳細な治療目的(例えば、施術目的、刺激目的などと表現しても良い。)がある。また、「4.増強」には、例えば腹筋に刺激を与えて筋肉を増強、ハムストリングに刺激を与えて筋肉を増強といったより詳細な治療目的がある。なお、「5.その他」は、例えばテストモードが割り当ており、一定の周波数と強度によってユーザの身体の感じ方をチェックする波動が出力され、使い始めの使用感を確認したり、体調チェックや外部音声による入力強度のテストに用いられる。
また、「3.強度」は、波動出力パッド200から出力される波動の波形の強さの形式を設定する際に選択される項目である。例えば、「3.強度」が選択されると、「ハード」、「ミディアム」、「ソフト」、「超ソフト」といった所定の強度レベルを設定できるようになる。
また、ステータス表示領域420には、経過時間および所要時間と、現在強度および選択強度および停止中など所定のステータスが表示される。経過時間は、施術開始からの経過時間を示している。所要時間は、1回当たりの治療にかかる時間を示している。なお、所要時間は、選択された治療目的に応じて予め決まっているが、図示しない表示項目からユーザ自身が設定したものであっても良い。
現在強度は、現時点における波動の出力強度を示している。選択強度は、設定されている治療目的に対応付けられている強度を示している。通常、施術開始直後は弱い強度から始まり、徐々に強度が強くなっていくため、現時点における強度が現在強度として表示される。停止中は、現在、波動出力パッド200からの波動の出力が停止されているか否かを示している。
また、メニュー画面400には、治療を開始する際に押下される「START」ボタン430と、治療を停止する際に押下される「STOP」ボタン440と、選択する項目や設定する時間などを操作するボタン(プラスボタンおよびマイナスボタン)450が表示されている。使用を一時停止する際は、STOPボタンを押して停止中とする。停止中は、表示を点滅させたり表示音が鳴るようにしても良い。また、一時停止させる専用の一時停止ボタンを設けても良い。また、一時停止後の再開は、STARTボタンを押すことで再開するように制御しても良いし、専用の再開ボタンを設けても良い。また、使用状態をリセットするためのリセットボタンを設けても良い。
なお、図示しないものの、ディスプレイには、これらの項目以外にも様々な情報が表示されている。例えば、波動出力パッド200から出力される波動の種類を設定するための項目や、複数の波動あるいは複数の治療目的を組み合わせる設定を行うための項目など、様々な設定項目が表示されている。
設定情報登録部130は、設定情報を登録する機能部である。具体的には、設定情報登録部130は、メニュー画面400を介してユーザが選択した波動種類や治療目的などを登録した設定情報153を生成し、記憶部150に格納する。なお、ユーザが設定および変更できる範囲を少なくし、安全性を高めると同時に簡易性を高めるために、予め記憶部150内に所定の設定値を登録した設定情報を記憶しておいても良い。
記憶部150は、様々な情報を格納する機能部である。具体的には、記憶部150は、治療目的ID情報151と、波形マスター情報152と、設定情報153とを有している。
治療目的ID情報151は、治療目的と、治療目的ごと対応付けられているIDとを有している。治療目的ID情報151は、例えば「治癒−損傷(皮膚)」という治療目的と、「001」というIDとが対応付けられた情報を有している。
図3は、波形マスター情報152の一例を示した図である。波形マスター情報152は、治療目的に応じた様々な波形形状の電気信号を生成するための情報が登録されている。具体的には、波形マスター情報152は、治療目的ID152aと、治療名称152bと、組み合わせエントリー152cの順番に応じて予め設定されている複数の基底波周波数152dと、各々の基底波周波数152dに対応付けられている高調波周波数152eおよび波形なまり152fと、が対応付けられたレコードを有している。
治療目的ID152aは、治療目的を識別する情報であって、治療目的ID情報151のIDと共通の情報である。治療名称152bは、治療の名称を示す情報であって、メニュー画面に治療名称として表示される。また、治療種類に応じて複数の組み合わせエントリーが対応付けられている。ここで、組み合わせエントリーは、治療種類に応じてどのような周波数および波形の電気信号を組み合わせて施術するのかを定義した情報である。具体的には、各々の組み合わせエントリーには、治療ごとに予め設定されている基底波および高調波の周波数および波形形状を決定する波形なまりに関する情報が登録されている。このような各組み合わせエントリーの情報は、例えば1周期分の波形を生成するための情報である。すなわち、組み合わせエントリーの番号(1〜n)ごとに、各々異なる1周期分(例えば、同一の場合もある)の波形を生成するための基底波および高調波の周波数と、波形なまりに関する情報が登録されている。なお、各組み合わせエントリーの情報に基づいて生成された波形をどの順番で組み合わせ、各々の波形を何周期分生成するのか、といった情報は、例えば治療種類に応じた組み合わせパターンが予め記憶部150に記憶されていても良く、ユーザによってメニュー画面を介して設定されても良い。あるいは、施術の開始から時間経過に従って組み合わせエントリーの「1」番目から「n」番目まで順に制御部160によって読み込まれ、各組み合わせエントリーに登録されている情報に基づいた電気信号の波形が形成されても良い。
また、基底波周波数152dは、基底波(低周波)の周波数を示す情報である。また。高調波周波数152eは、高調波(高周波)の周波数を示す情報であって、波形種類(例えば、矩形波、波型波、三角波など)が対応付けられている(図示せず)。なお、高調波の出力強度は、波形なまりの登録値に基づき調整される。波形なまりは高調波の出力に対する割合を示した設定値(変化係数)を持っており、基底波の各波形中の一波形に対する波形位置に応じた高調波の出力強度を変化させる。なお、ここでは、波形なまりの設定値(変化係数)は各組み合わせエントリーの高調波ごとに設定されているが、治療目的IDごとに1つ、すなわち各組み合わせエントリーに共通の1つの設定値が設定されていても良く、あるいは更に簡易的に全ての治療目的IDに共通の1つの設定値が設定されていても良い。
なお、基底波は基本的に矩形波であり、高調波は、矩形波や波型波、三角波などである。また、これらの波形は、出力強度(例えば、電圧)の値が0である基準線の上下に分かれて各々形成される。そのため、上側の基底波といった場合は、基準線の上側に位置する基底波のことを指し、下側の基底波といった場合は、基準線の下側に位置する基底波のことを指すものとする。また、基底波出力強度および高調波出力強度の上端といった場合は、基準線から遠い側(出力強度の絶対値が大きい側)の波形端部であり、下端といった場合は基準線に近い側(出力強度の絶対値が小さい側)の波形端部であるものとする。
また、合成波において、基底波に合成される高調波の合成位置は、基底波の上限値と高調波の下限値に基づき決定される。例えば、基底波の上限値と高調波の下限値とが同じ場合には、基底波の上端に高調波の下端が位置するように合成され、基底波の上限値よりも高調波の下限値が基準値に近い値の場合には、基底波の上端と高調波の下端が一部重なって合成されることになる。
波形なまり152fは、合成波における波形なまりを形成するための情報である。具体的には、波形なまりは、「位置」と、各位置における高調波の出力強度(上限値および下限値)の割合を示す「変化係数(%)」とが対応付けられて登録されている。なお、位置は、1周期あたりの波形の位置を示す情報である。1周期あたりの波形の位置に応じて高調波の出力強度の割合が変化係数によって決定されるため、波形なまり152fに登録された情報に基づいて合成波の波形なまりの形状が決定される。なお、波形なまり152fには、高調波の出力強度の割合に加えて、基底波の出力強度(上限値および下限値)の割合を示す値が登録されていても良い。
このような波形マスター情報152は、治療目的に応じた電気信号の生成に用いられる。
設定情報153は、メニュー画面400を介してユーザが入力した治療に関する設定情報153である。設定情報153には、例えば波動種類(それらの組み合わせを含む)、治療目的、強度、所要時間などが登録されている。
図1に戻って説明する。制御部160は、電気信号生成装置100および波動出力パッド200の動作を制御する機能部である。具体的には、制御部160は、合成波生成部161と、調整変換部162と、電気信号出力部163とを有している。
合成波生成部161は、基底波および高調波を合成した合成波を生成する機能部である。具体的には、合成波生成部161は、治療目的と、強度と、所要時間とを設定情報153から特定する。また、合成波生成部161は、治療目的ID情報151を用いて設定された治療目的のIDを特定し、かかるIDが対応付けられたレコードを波形マスター情報152から特定する。また、合成波生成部161は、特定したレコードに登録されている情報に基づいて、基底波および高調波を合成した所定単位(例えば、1周期分、半周期分、または2〜10周期分)の合成波をデジタル信号として生成する。より具体的には、合成波生成部161は、波形マスター情報152を用いて、組み合わせエントリーごとに、基底波および高調波の周波数に基づき特定される基底波および高調波の1周期分の基底波および高調波の合成波をデジタル信号として生成する。
調整変換部162は、合成波生成部161が組み合わせエントリーごとに生成した所定周期分の合成波を組み合わせ、かつ、出力強度を調整した一連のデジタル信号を生成する機能部である。具体的には、調整変換部162は、記憶部内の所定情報(図示せず)を用いて、治療目的に応じた所定の組み合わせ順序となるように組み合わせエントリーごとに生成した合成波同士を組み合わせた一連の波形を生成する。また、調整変換部162は、設定情報に含まれている施術の所要時間に基づいて、生成した一連の波形を構成する各々の合成波を何周期分生成するかを決定する。また、調整変換部162は、設定情報153に含まれる強度に基づいて、合成波の出力強度を調整する。このようにして、基底波および高調波を組み合わせた一連の合成波のデジタル信号が生成される。
図4〜7は各々、電気信号生成装置100で生成された合成波の一例を示した図である。なお、図4〜7は、ある1つの組み合わせエントリーに係る合成波の一部を例示している。図4の合成波は、矩形の基底波501と、基底波の上端に位置する矩形の高調波502とで構成されている。
なお、h1は、基底波501の出力強度の上限値と基準値の差により定まり、h2は、基底波501の出力強度の下限値と基準値との差により定まる。いずれの出力強度も、メニュー画面を介してユーザが入力した強度に基づき設定されるか、あるいは治療目的ごとに予め設定された設定値が記憶部150に格納され、それを用いて設定される。また、h3は、高調波502の出力強度の上限値および下限値の差によって定まり、高調波502の深度を表している。なお、h1(またはh2)+h3=h4とした場合、h4に対する高調波502の深度h3の取り得る範囲は0〜100%であって、基底波の上端に高調波を合成する場合には30%〜70%である。また、例えば、音声などをダイレクトに載せるときや低周波筋肉刺激を主目的とする場合は、かかる深度h3を100%に近づける(h4の長さに近づける)ことで、高調波のみに近い出力を得られる。
また、図5に示す合成波は、基底波(上限値および下限値がほぼ0)501と、基底波501に比べて著しく深度が深い矩形の高調波502とから構成され、高調波502が立ち上がる側の上端に波形なまり503が形成されている。このような波形なまり503は、波形マスター情報152において、高調波502が立ち上がる位置Pに相当する1周期あたりの波形の「位置」に対応付けられている「変化係数(上限値)」の値が100(%)未満(例えば、80)から徐々に100(%)に近づく値が登録されていることに基づく。なお、d1は、波形なまり503の深度であり、その位置(本例では、高調波の立ち上がる側)を波形なまり503の分布とする。また、h1(またはh2)+h3=h4とした場合、h4に対する波形なまり503の深度d1の取り得る範囲は0〜100%であって、好ましくは30%〜50%である。
また、図6に示す合成波は、矩形の基底波501と、基底波501の上端に位置する矩形の高調波502とで構成され、高調波502の上端510と下端520にアーチ状の波形なまりが形成されている。高調波502の1周期あたりの深度h3(高調波の出力強度の上限値および下限値の差分)は一定であり、波形なまりの形状は、1周期あたりの波形の「位置」に対応付けられている変化係数(上限値および下限値)の値に基づき形成されたものである。なお、d2は波形なまりの深度である。なお、高調波502の下端520のアーチ状の波形なまりは、上端510のアーチと同じ形状であっても良く、あるいは、h3n:波形の立ち上がり位置における高調波の下端から、波形なまりが形成されている上端までの長さ、h4n:波形の立ち上がり位置における基底波の下端から、波形なまりが形成された高調波の上端までの長さ、h3m:波形なまりが形成されている高調波の下端から上端までの長さ、h4m=基底波の下端から高調波の上端までの長さ、とした場合に、h3n/h4n=h3m/h4m=所望の深度(例えば、50%)という関係が成立するように形成されても良い。また、このような関係を満たすように、波形なまりが形成されている高調波の長さh3nを算出しても良い。
また、メニューの「3.強度」は、波形深度や波形なまりに対する指定を示す。例えば、強度のハードが選択された時には、波形深度が0から10%であり、ミディアムの場合は10〜20%、ソフトの場合は20〜40%、超ソフトの場合は40〜60%となり、波形なまりについては、ハードが選択された時には、基底周波数の波形の先頭と終端でのなまりが0〜10%、ミディアムの場合は10〜20%、ソフトの場合は20〜40%、超ソフトの場合は40〜60%とするなどである。また、ここで波形深度、波形なまりの片方を対象にしても、これらを組み合わせても良い。
ここでは4種類に分類したが、値で連続的に設定、調整しても良いものである。
また、図7に示す合成波は、矩形の基底波501と、基底波501の上端に位置する矩形の高調波502とで構成され、高調波の上端510にアーチ状の波形なまりが形成されている。このような波形なまりの形状は、図6の合成波と同様、1周期あたりの波形の「位置」に対応付けられている変化係数(上限値)の値に基づき形成されたものである。なお、d3は波形なまりの深度である。
このように、波形なまりを持たせることで、低刺激を実現することができる。特に低周波(例えば1Hz〜120Hz)において改善ができる。これにより、低い刺激で長時間の施術が可能になり、効果が期待できる。
図1に戻って説明する。電気信号出力部163は、デジタル信号をアナログ信号に変換し、入出力部140を介して、合成波のアナログ信号を波動出力パッド200に出力する機能部である。具体的には、電気信号出力部163は、合成波生成部161および調整変換部162によって生成された合成波のデジタル信号をアナログ信号に変換する。また、電気信号出力部163は、設定情報153を用いて設定されている波動種類を特定し、入出力部140を介して、特定した種類の波動作用部を有する波動出力パッド200に合成波の波形を示すアナログ信号を出力する。
以上、電気信号生成装置100の機能構成について説明した。
次に、電気信号生成装置100のハードウェア構成について説明する。
図8は、電気信号生成装置100のハードウェア構成の一例を示した図である。図示するように、電気信号生成装置100は、入力装置601と、表示装置602と、演算装置603と、主記憶装置604と、補助記憶装置605と、合成波発生器606と、入出力インターフェイス607と、これらの装置を相互に電気的に接続するバス608とを有している。
入力装置601は、タッチパネルやテンキーなどのハードキーである。表示装置602は、例えば液晶ディスプレイや有機ディスプレイなどである。表示装置602には、例えば波動出力パッド200に電気信号が出力されていることを視覚的に表示するために、出力強度がアナログ表示される。このような表示のために、電気信号生成装置100は、電流計あるいは電圧計(いずれも図示せず)が内蔵されている。これにより、ユーザは、電気信号が波動出力パッド200に出力されているか否かを目視でき、電気信号生成装置100の起動や停止中を確認することができる。また、例えば出力強度の値、波動出力パッド200の使用状態(例えば、人体への貼り付き面積、剥がれ状態、肌との密着の状態など)を表示装置602に表示しても良い。これは、波動出力パッド200への通電状態に基づき検知することができる。電気信号生成装置100は、このような検知を行う機能を有した機能部を備えていても良い。
演算装置603は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。主記憶装置604は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリ装置である。補助記憶装置605は、デジタル情報を記憶可能ないわゆるハードディスク(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)あるいはフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置である。
合成波発生器606は、基底波と高調波とを合成し、所望の波形形状をした合成波の電気信号を発生させる信号発生器(パルスジェネレータ)である。
入出力インターフェイス607は、波動出力パッド200や外部音声の入力装置300を電気的に接続する接続端子である。
以上、電気信号生成装置100のハードウェア構成について説明した。
このような電気信号生成装置100の入力受付部110、表示部120および設定情報登録部130は、演算装置603に処理を行わせるプログラムによって実現される。このプログラムは、主記憶装置604あるいは補助記憶装置605に記憶され、プログラムの実行にあたって主記憶装置604上にロードされ、演算装置603により実行される。また、合成波生成部161は、合成波発生器606により実現される。また、記憶部150は、主記憶装置604または補助記憶装置605あるいはこれらの組合せにより実現される。また、調整変換部162および入出力部140は、入出力インターフェイス607により実現される。
入出力インターフェイス607による合成出力信号は、例えばデジタル信号で得た合成波信号をアナログ変換する。また、さらに、例えば、増幅回路で増幅し電圧を最大で60V付近に上げることで、信号を得ることができる。また、この際、電流量の過大流出を防止するため、電流制限ダイオード(例えば30mA以下、好ましくは10mA以下)などで電流量を制限し安全性を高める構成とする。この際、例えば両極性方向に対して設けることができる。さらに、例えば、電流制限ダイオードを直列に設けることで、より安全性を高めることができる。また、マイクロカレント治療(繊維芽細胞の活性化や打撲捻挫などの回復)においては、200μA以下、好ましくは50μA以下、より好ましくは30μAの制限を設けることができる。安全性を高めるために電圧制限として、例えば、12.5V以下とする制限を加えても良い。
また、電気信号生成装置100の上記の各構成、機能、処理部および処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良い。
次に、波動出力パッド200について説明する。
図9(a)、(b)は、波動出力パッド200の一例を示した図である。波動出力パッド200は、人体に貼り付けて使用される可撓性の導電パッド201から形成されている。また、波動出力パッド200は、電流波動作用部210と、音波波動作用部220と、電磁波波動作用部230と、各作用部と電気信号生成装置100とを電気的に接続する個々の接続線202とを有している。図9(a)は、電流波動作用部210と音波波動作用部220とを備えた波動出力パッド200を示している。図9(b)は、音波波動作用部220と電磁波波動作用部230とを備えた波動出力パッド200を示している。なお、図示しないが、1つの波動出力パッド200が、電流波動作用部210、音波波動作用部220および電磁波波動作用部230の全てを備えていても良い。以下では、電流波動作用部210、音波波動作用部220および電磁波波動作用部230の全てを備えている波動出力パッド200を用いた場合を想定して説明する。また、波動出力パッド200の大きさは、例えば縦5cm〜10cm、横3cm〜6cm、厚み2mm〜10mm(電源取り入れ部の盛り上がり部を除く)である。
(電流波動作用部)
電流波動作用部210は、電気信号生成装置100から出力された電気信号に基づいて、波動出力パッド200が貼り付けられた身体に微弱電流(マイクロカレント)を通電させる作用部である。具体的には、電流波動作用部210は、電気信号生成装置100に接続されている接続線202と、人体に接する電極部203とを有している。電極部203は、導電パッド201の表面に重ねて貼り付けられている。また、電極部203は、その表面積を2等分する基準線(図示せず)を中心に片側半分が正極(または負極)となっており、他方側半分が負極(または正極)となっている。なお、電極部203の表面には、導電性のゲル(ジェル)が塗布、または、貼り付けされている。接続線202を介して電気信号生成装置100からの電気信号が電流波動作用部210に入力すると、合成波の波形を示す微弱電流に変換され、電極部203を介して人体に出力される。導電部のゲルは貼り付け機能があるが、より確実に貼り付けるために、波動出力パッド200を別テープ材で張り付けても良い。図示しないが、例えば、小型の電気信号生成装置100と電池を波動出力パッド200に搭載して施術部に貼り付けても良い。波動出力パッド200の上部からテープで全体や一部を覆う様に装着しても良い。また、無線装置(例えばブルートゥース)と通電機能と波動出力パッド200と電池を組み合わせて、別体の電気信号生成装置100からの信号を無線で受け取り、波動出力パッド200に通電する仕組みとしても良い。さらに電池は充電式や、太陽光発電としても良い。
なお、波動出力パッド200は、複数枚から構成されていても良い。例えば、波動出力パッド200は、2枚1組で構成され、一方の側に設けられた導電パッド201の表面には正極の電極部203が貼り付けられている。また、他方の側に設けられた導電パッド201の表面には負極の電極部203が貼り付けられている。このような波動出力パッド200は、正極側の導電パッド201を有する第1の波動出力パッド200と、負極側の導電パッド201を有する第2の波動出力パッド200とで患部付近を挟み込むようにして人体に貼り付けることで、合成波の波形を示す微弱電流を患部に流すことができる。
また、電流波動の波動出力パッド200は、上記以外のものに限られない。図10は、電極の位置が移動(以後中心軸回転型と記載)する波動出力パッド200の第1の例を示した図である。かかる波動出力パッド200は、円の中心に配置されている電極(電極9)と、円周に沿って配置されている複数の電極(電極1〜8)とを有する電流波動作用部210と、各電極と電気信号生成装置100の入出力部140とを電気的に接続する接続線202とを有している。なお、各電極の極性は、電気信号を波動出力パッド200に出力する電気信号出力部163により制御される。
波動出力パッド200は、時間経過に従って電極の位置を移動させることで、人体に微弱電流を流す通電位置や通電方向を移動(変化)させることができる。図11(a)は、電極の移動タイミングに関する第1の例を示した図である。かかる移動タイミングは、電極9を負極とし、陽極を時間経過に従って電極1から電極8に次々と移動させる。これにより、通電位置は、時間経過に従って左回りに変化する。
図11(b)は、電極の移動タイミングに関する第2の例を示した図(以後フラッシュ回転型と記載)である。この移動タイミングは、電極9の極性を時間経過に従って陰極と陽極とが交互になるようにし、電極9とは反対の極性を時間経過に従って電極1から電極8に次々と移動させる。これにより、通電位置が時間経過に従って左回りに変化すると共に、通電方向も電極1〜8の移動に伴って交互に変化する。
図11(c)は、電極の移動タイミングに関する第3の例を示した図(周囲回転型)である。この移動タイミングは、対向する位置にある電極(例えば、電極1と電極5)を異なる極性(電極1が陽極の時、電極5を負極)とし、その関係性を維持しながら陽極および負極を左回りに次々と移動させる。これにより、通電位置が時間経過に従って左回りに変化し、あるタイミング(電極8が陽極となった次のタイミング)で通電方向が変化する。ここでは、左回りを基本にしているが、右回りとしても良く、定期的に回転を変えても良い。手で擦る場合、一般的に左回りが効果があるとも言われているが、部位や性別により効果ある回転方向が変わるとも言われている。回転タイミングは、一周0.5秒から8秒、好ましくは1秒から5秒が良い。これらは、手で撫でる手当効果に近い効果が得られる。また、ここでは、例えば電極1から電極2、電極2から電極3へと順にプラス(+)が移動する場合、例えば、電極2に移った時には電極1にも1/2程度の+の電荷を掛け、電極3にも1/2程度の+の電荷を掛けて、電極3に+の電位が移った時には電極2には1/2程度の+の電荷を掛け、電極1の電荷を0とする様に、各電極に回転するように徐々に電圧を上げ、徐々に電圧を下げていく仕組み(ソフト変化形式)をとする。ここでの説明は、移動電極と移動電極の前後にのみ電位をかけているが、移動電極の前々、後の後と言った様に複数まで少ない電位をかけても良い。また、前だけ、後ろだけに電位をかけても良く、これらの組合せを設けても良いものである。
図12(a)は、電極の移動タイミングに関する第4の例を示した図(全体反転型)である。この移動タイミングは、電極1〜8において、隣り合う電極(例えば、電極1と電極2、電極2と電極3など)を異なる極性(電極1が陽極の時に電極2を陰極、電極2が陰極の時に電極3を陽極)とし、その関係性を維持しながら同時に通電させ、次のタイミングで各電極の極性を入れ替える(電極1、3等を陰極にし、電極2を陽極にする)。これにより、時間経過によっても通電位置は変化せず、通電方向が変化する。
図12(b)は、電極の移動タイミングに関する第5の例を示した図(全体中心反転型)である。この移動タイミングは、電極1〜8を同じ極性とし、電極9を異なる極性として、その関係性を維持しながら同時に通電させ、次のタイミングで電極1〜8の極性と電極9の極性を入れ替える。これにより、時間経過によっても通電位置は変化せず、通電方向が変化する。
なお、電極の移動方向や移動タイミングは上記の例に限られるものではなく、通電位置が右回りに回転するように電極の移動タイミングを変化させても良い。また、複数の波動出力パッド200を使用して、双方の波動出力パッド200の電流作用部で患部を挟み込み、両電流作用部間に電流が流れるように電極1〜9を制御しても良い。また、この場合も、通電位置および通電方向が変化するようにしても良い。また、電極1から4に正電極、電極5から8に負電極として、交互に入れ替えても良い。また、波動出力パッド200の形状は円形に限られず、楕円形であっても良く、さらには、例えば、半円形状で電極1から電極5までで構成されても良い。これらは主に、患部の上部に中心を配置し、患部を取り囲む様に電流を流し、変化させることで、治癒を促すことが考えられる。
図13(a)は、電極の位置が移動する波動出力パッド200の第2の例を示した図である。図示するように、波動出力パッド200は、横並びに配置された電極1〜電極Xを有する電流波動作用部210と、各電極と電気信号生成装置100の入出力部140とを電気的に接続する接続線(図示せず)とを有している。なお、各電極の極性は、電気信号を波動出力パッド200に出力する電気信号出力部163により制御される。
電流波動作用部210は、隣り合ういずれか2つの電極が異なる極性となるようにし、その関係性を維持しながら陽極および負極が右方向あるいは左方向に移動する。これにより、通電位置が時間経過に従って右方向あるいは左方向に移動する。なお、間に単数または複数の電極を挟んだ両端の2つの電極が異なる極性となるようにし、その関係性を維持しながら陽極および負極を移動させるようにしても良い。
図13(b)は、電極の位置が移動する波動出力パッド200の第3の例を示した図である。図示するように、波動出力パッド200は、上列の横並びの電極1(上)〜電極X(上)と、下列の横並びの電極1(下)〜電極X(下)とが上下に配置されている電流波動作用部210と、各電極と電気信号生成装置100の入出力部140とを電気的に接続する接続線(図示せず)とを有している。なお、各電極の極性は、電気信号を波動出力パッド200に出力する電気信号出力部163により制御される。
電流波動作用部210は、上列および下列の電極において、隣り合ういずれか2つの電極が異なる極性となるようにし、かつ、相互に向き合う上列の電極と下列の電極とが異なる極性となるようにして、その関係性を維持しながら陽極および負極が右方向あるいは左方向に移動する。この場合、上列と下列とで同じ方向に移動させても良いし、異なる方向に移動させても良い。あるいは、電極1(上)から電極X(上)までの隣り合う電極および電極1(下)から電極X(下)までの隣り合う電極が相互に異なる極性となるようにし、かつ、相互に向き合う上列の電極と下列の電極とが異なる極性となるようにして同時に通電させても良い。例えば、筋肉をリラックスする方法として筋弛緩法があり、筋弛緩法とは、「筋肉を意図的に緊張させてから緩める」ことで、心と身体をリラックスさせる方法である。また、石灰化した筋肉を指圧する方法として緩消法があり、筋肉の中の石灰化した成分を細分化して血流に流す方法などがある。ここで、例えば、筋肉の筋方向を図13(a)や(b)の図横方向に配し、筋肉の筋方向に電荷を変化して加えることで、筋肉内の老廃物を筋肉の収縮や血管の収縮を利用して細分化や分解、流動化して血流により流しだすことが期待出来る。この際、同一箇所を(1)「数回(例えば、3から8回)2秒前後(例えば、1秒から4秒)電荷を与え(間をあけず例えば、5秒から20秒の連続した時間としても良い)」、(2)「2秒前後(例えば、1秒から5秒)電荷与えるのを停止」し、(3)「隣の電極に移り」、(1)と(2)を行う、そして、次の電極に移り、また、(1)と(2)を行う、ことで電極の移動を繰り返すことにより老廃物の排出を促す。電極の位置の移動は例えば電極が1,2,3,4,5と連続しているとき、電極3の後、4、2、5、1の様に横に広がる動きなどでも良い。その他、上記図11、図12に示した方法に準じた電荷のかけ方でも良い。
図13(c)は、電極の位置が移動する波動出力パッド200の第4の例を示した図である。図示するように、波動出力パッド200は、横並びの電極1〜電極Xと、その上下に配置され電極1から電極Xまでの長さを有する帯状電極と、を有する電流波動作用部210と、各電極と電気信号生成装置100の入出力部140とを電気的に接続する接続線(図示せず)とを有している。なお、各電極の極性は、電気信号を波動出力パッド200に出力する電気信号出力部163により制御される。
電流波動作用部210は、隣り合ういずれか2つの電極が異なる極性となるようにし、その関係性を維持しながら陽極および負極が右方向あるいは左方向に移動する。また、帯状電極は、上側と下側とで異なる極性となるようにする。
(音波波動作用部)
音波波動作用部220は、電気信号生成装置100から出力された電気信号に基づいて、波動出力パッド200が貼り付けられた身体に音波波動を伝搬させる作用部である。具体的には、音波波動作用部220は、電気信号生成装置100に接続されている接続線202と、音波を発生させる音波発生部(図示せず)とを有している。音波発生部は、接続線202を介して電気信号生成装置100から入力された電気信号が流れるコイル(図示せず)と、コイルに接続されている振動板とを備えた小型のスピーカ構造をしている。音波発生部は、電気信号がコイルに流れることにより振動板が振動し、合成波の波形を示す音波波動を発生させる。
(電磁波波動作用部)
電磁波波動作用部230は、電気信号生成装置100から出力された電気信号に基づいて、波動出力パッド200が貼り付けられた身体に電磁波波動を伝搬させる作用部である。具体的には、電磁波波動作用部230は、電気信号生成装置100に接続されている接続線202と、電磁波を発生させる電磁波発生部とを有している。電磁波発生部は、接続線202を介して電気信号生成装置100から入力された電気信号が流れるコイル231で構成されている。コイル231は、波動出力パッド200の外周を周回するように設けられている。電磁波発生部は、コイル231に電気信号が流れることにより、電場および地場を生じさせ、合成波の波形を示す電磁波を発生させる。
以上、波動出力パッド200について説明した。
[動作の説明]
設定情報登録部130は、入力受付部110を介して、表示装置602に表示されたメニュー画面400を介して設定に関する情報の入力を受け付けると、かかる入力情報を登録した設定情報153を生成し記憶部150に格納する。
また、入力受付部110は、図示しないメニュー画面400を介して設定情報153のいずれかが選択され、スタートボタンの押下を受け付けると、合成波生成部161に合成波の生成を指示する。合成波生成部161は、選択された設定情報153を記憶部150から特定し、特定した設定情報153を用いて基底波および高調波を合成した合成波の電気信号を生成する。
また、電気信号出力部163は、波動種類を設定情報153から特定すると、生成された電気信号を出力する対象の波動作用部を特定し、かかる波動作用部に電気信号を出力する。波動作用部は、電気信号が入力されると、これを対応する種類の波動に変換し、波動出力パッド200に接する人体に伝搬させる。
このような電気信号生成装置100によれば、治療目的に応じて人体に作用させる波動の波形を制御し、多くの人がより満足した治療を受けられる波形の波動を生成することができる。また、このような波動出力パッド200によれば、電流、音波および電磁波といった各種の波動を人体に直接作用させることができる。その結果、疲労回復や疾病の治癒などの効果を期待することができる。異なる種類の波動を同じタイミングで人体に作用させることもできる。そのため、一種類の波動を単発的に作用させる場合に比べて、より大きな作用効果を期待することができる。
<第二実施形態>
前述の第一実施形態に係る電気信号生成装置100は、低周波の矩形波である基底波の上端に高周波の矩形波である高調波を合成し、高調波の出力強度を制御して波形なまりを形成した合成波の電気信号を生成したが、本発明はこれに限定されるものではない。第二実施形態に係る電気信号生成装置100の合成波生成部161は、基底波に波形なまりを形成し、その上端形状に沿わせて高調波の出力強度の上限値を調整した合成波を生成する。
図14は、基底波に形成した波形なまりの一例を示した図である。このような基底波の波形なまりは、例えば波形マスター情報152の波形なまり152fに基底波の位置および上限値および下限値に対応する変化係数が対応付けられて登録されているか、あるいは別な情報(例えば、テーブル情報)として、基底波周波数テーブル(基底波周波数に対し、波形なまり情報が対応付けされて、さらに、基底周波数テーブルには基底波周波数に対し、高調波周波数情報が設定されていても良い)に同様の設定形式で設定がされていることを前提とする。図14は、高調波の設定がない場合を例示している。なお、基底波の波形なまりの形成方法は、高調波の波形なまりの形成方法と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、基底波には必ずしも高調波が合成される設定となっていなくても良く、例えば波形マスター情報152の高調波周波数が0の状態は高調波の合成がないことを示している。
合成波生成部161は、例えば波形マスター情報152に登録されている波形なまり152fの情報に基づいて、図示する様々な形状の波形なまりを基底波に形成することができる。
図15(a)は、基底波の上端形状に合わせて高調波を合成した合成波の第1の一例を示した図である。図示するように、合成波生成部161は、波形マスター情報152を用いて基底波に波形なまりを形成する。また、合成波生成部161は、波形なまりが形成されている基底波の上端形状に沿うように高調波の上限値を調整した合成波を生成する。なお、基底波および高調波のいずれも途切れることなく連続している。
図15(b)は、基底波の上端形状に合わせて高調波を合成した合成波の第2の例を示した図である。合成波生成部161は、図示するように、波形の立ち上がりから基底波の上端までと、波形の立ち下がりから基準値までと、を高調波で構成されるように基底波および高調波を合成する。このような合成波は、高調波の上限値が基底波の上限値に達した時点で高調波が途切れて基底波のみとなる。
このような合成波の波形を示す電気信号によっても、多くの人がより満足した治療を受けられる波動を生成することができる。
<第三実施形態>
第三実施形態に係る電気信号生成装置100は、高調波に外部音声を使用した合成波の波形を示す電気信号を生成し、波動出力パッド200の音波波動作用部220に出力する。なお、外部音声は、外部音声の入力装置300であるマイクロフォンあるいは録音済みデータ(記憶メモリ上にあるデータ)を介して取得して音声情報を用いる。なお、音声情報は、例えば施術時にマイクロフォンを介して集音したユーザの音声を用いても良く、あるいは予め録音された音声を用いても良い。
図16は、人間の発する母音(「あ」、「い」、「う」、「え」、「お」)の各波形を示した図である。合成波生成部161は、外部音声として、例えばマイクロフォンからユーザの発する母音(例えば、「効くー」という音声を伸ばした時の「ウ」や、「効けー」という音声を伸ばした時の「エ」など)の波形や、例えば「効けー」という母音以外も含む全体音を高調波として基底波に合成する。具体的には、合成波生成部161は、母音の波形を基底波の上端あるいは母音の波形の上限値を基底波の上端形状に沿わせた合成波を生成(例えば、高調波の深度の設定値を使用しても良い)し、入出力部140を介して、音波波動作用部220を有する波動出力パッド200に出力する。
図17(a)は、音声(ここでは、母音を例とする)の波形を基底波の上端に合成した合成波の波形の一例を示した図である。図17(b)は、音声(母音)の波形の上限値を基底波の上端形状に沿わせた合成波の波形の一例を示した図である。なお、合成波生成部161は、音声による高調波のみの波形を生成しても良い。あるいは、合成波生成部161は、基底波の形状に合わせる際や所望の波形形状となるように音声による高調波の振幅を圧縮したり引き伸ばしても良い。
このような合成波の波形を示す電気信号によっても、多くの人がより満足した治療を受けられる波動を生成することができる。
また、音声は、基音と基音よりも周波数の高い上音から構成され、上音の中に基音の周波数の整数倍に相当する倍音(および倍音よりも高い周波数成分である高次倍音)という周波数成分がある。電気信号出力部163は、この倍音の波形を含む母音の高周波を示す波形の電気信号を音波波動作用部220に出力しても良く、倍音の波形を示す電気信号を母音の高調波を示す波形の電気信号と共に音波波動作用部220に出力しても良い。なお、倍音の成分は、治療を受ける人の音声から抽出されても良く、倍音の成分として予め記憶部150に格納されているものを用いても良い。
このような音声波動を出力させることにより、施術において癒し効果が高まることが期待できる。
図18は、波動出力パッド200の他の一例を示した図である。図示するように、波動出力パッド200は、電流波動作用部210と、音波波動作用部220と、電磁波波動作用部230とを備え、電磁波波動作用部230には、音波波動作用部220に接続されている接続線202を延長して接続した共通配線の構成になっている。また、電磁波波動作用部230は、電磁石250により形成されている。接続線202により電磁石250に電流(電気のアナログ信号)が流れると、電磁石250から電磁波が出力される。
<その他の変形例>
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、様々な変形例が可能である。例えば、設定された施術の所要時間内に電気信号を出力しないインターバル時間を設けても良い。また、施術の開始時と、インターバル時間への移行時と、施術への復帰時と、施術の終了時に電気信号の出力強度を緩やかに変化させても良い。図19は、インターバル時間を設け、状況に応じて出力強度を緩やかに変化させた波形を示す図である。
具体的には、電気信号出力部163は、施術を繰り返し行う。例えば、1クールは所定時間(例えば、3分間、好ましくは2分以内)行った後に所定時間(例えば、20秒、好ましくは30秒以上)のインターバル時間T1を設け、その後に次の組み合わせエントリーに対応する合成波を示した波動の出力を行い、設定されている組み合わせたエントリー分を繰り返し出力制御する。なお、組み合わせエントリー数は、例えば1〜約30を設定できる。なお、このような組み合わせエントリーの数(1〜n)は、治療目的に対応付けて予め波形マスター情報152で定義されていれば良い。
また、施術の開始時T2と、インターバル時間への移行時T3と、施術への復帰時T4と、施術の終了時(図示せず)に電気信号の出力強度を緩やかに変化させても良い。例えば、合成波生成部161は、施術の開始時T2とインターバル時間から施術への復帰時T4は、電気信号の出力強度を徐々に強くした合成波を生成し、インターバル時間への移行時T3と施術の終了時には電気信号の出力強度を徐々に弱くした合成波を生成する。
このようなインターバル時間を設けることにより、ユーザが施術で疲れを感じ難くすることができ、多くの人により満足した治療を受けさせることに寄与することができる。
また、状況に応じて出力強度を緩やかに変化させることで、ユーザをより満足させることができる。特に、施術の開始時やインターバル時間からの復帰時に出力強度を徐々に強くすることで、人体で感じる波動の刺激を軽減させることができる。また、インターバル時間への移行時や施術の終了時に出力強度を徐々に弱くすることで、丁寧な施術の印象を与えることができる。
なお、図19に示す波形は、基底波に波形なまりを形成し、高調波の上限値を基底波の上端形状に沿わせることで形成することができる。また、基底波を正弦波やそれに近似的な波形としても良い。
なお、電気信号生成装置100は、波形のデジタル信号を施術の経過時間に追従してリアルタイムに生成し、それをアナログ信号に変換して出力しても良い。あるいは、電気信号生成装置100は、組み合わせエントリーごとに所定周期分(例えば、1周期分)の合成波のデジタル信号を生成して記憶部150などに記憶しておき、必要に応じて記憶部150から取り出し、それらを所望の並び順に組み合わせ、要求される出力強度および時間長さを調整し、そのデジタル信号をアナログ信号に変換して出力しても良い。あるいは、電気信号生成装置100は、施術の開始から終了まで全体のデジタル信号を予め生成して記憶部150などに記憶しておき、施術時にそれを読み出して使用するようにしても良い。また、その際、合成波発生器606、および入出力インターフェイス607は指定された一連のデジタル信号をメモリより読み取りをアナログ信号に変換出力する役割となる。
全体の大きな流れとして、入出力インターフェイス607による合成出力信号は、基底波周波数に高調波深度と波形なまりの変化係数から高調波の値を求め、施術の開始から終了の増減値、そしてインターバル時間を含めた1クール分に対応して出力強度をタイムテーブルにデジタル値として求め、合成電気信号としてアナログ変換し指定された強度に従い出力される。高調波深度や深度分布、波形なまりの分布、1クールの強度の変化を分布化したデータは、各テーブルに設定された値を参照すると共に、メニューから入力された、または、内部設定された波形強度(例えば、ハード、ベーシック、ミディアム、ソフト)に対応して使用エントリーが異なるようにすることができる。ここでは、1クール分の出力タイムテーブルにデジタル値を先に求め、次に1クール分の出力を行っている。また、ここで、インターバルタイマー時間を含めなくとも良い。また、タイムテーブルを設けず直接、出力値を求めながら出力を同時に行っても良い。
また、複数種類の波動を同時または時間差を設けて人体に作用させても良い。図20は、異なる波動種類の出力タイミングの一例を示した図である。この例では、電流波動と音波波動を同時に出力し、その後インターバル時間を挟んで、電磁波波動を出力した様子を示している。
このような施術方法によれば、異なる種類の波動を人体に作用させることができるため、より有効な治療効果を期待することができる。
また、前述の実施形態に係る基底波は矩形波を用いたが、本発明はこれに限定されず、基底波を正弦波としても良い。図21は、正弦波の基底波に音波を合成した合成波の一例を示した図である。
このような波形の電気信号に基づく波動を人体に作用させた場合でも、多くの人がより満足した治療を受けられる波動を生成できる。
また、各種波動は、所定の位相差を設けて出力しても良い。図22は、位相差を設けて出力された波動の波形の一例を示した図である。図示するように、一方の電気信号の1周期分の波長を1.0とした場合、他方の電気信号の始点が、0.1〜0.9の範囲に含まれるようにずらした位相差Wを設ける。すなわち、2つ以上ある電気信号同士の波長を、1周期分の波長に対して10%〜90%の範囲でずらした位相差Wが設けられる。位相差Wは、波長同士を30%〜80%の範囲でずらすのが好ましい。あるいは、位相差Wは、波長同士を10%〜50%の範囲でずらすのが好ましい。なお、位相差は、電気信号出力部163により制御される。
このように、位相差を設けて出力された波動を人体に作用させた場合も、多くの人がより満足した治療を受けられる波動を生成でき、治療効果を期待することができる。
例えば、19、21、61、73、96、124Hzといった低周波の周波数では、弱い電圧でも身体にはきつく感じられる場合がある。一方で、このような低周波に高調波成分として3KHzや5KHz、10KHzを約20%〜60%の高調波深度で高調波を合成した合成波により施術することで、人が感じるきつさを改善させる効果が期待される。また、波形なまりを合成波の立ち上がりまたは立ち下がりの両方または一方に20%以上入れることにより、より楽に施術を受けさせることができる。なお、施術において、1クールの組み合わせエントリーの組み合わせ順序は、治療目的IDに対応付けられている組み合わせエントリーの中で基底波周波数が低い順から組み合わせることは言うまでもない。また、例えば腰痛などの施術において、効果が見込める基底周波数の組み合わせは人によって異なることが考えられる。これは、インターネット回線などのネットワークを経由して波形形成のためのデータをダウンロードする機能を設けることで柔軟に対応することができる。人に応じて効果が見込める周波数のデータの内容を調整できるからである。
また、緊急対応(今までに無い症状などの発生)を考慮した場合、応急処置として、基底波周波数を僅かに変化(例えば、治療目的IDごとの基底波周波数を1Hzごとに上げるまたは下げる)させて調整することで、その効果をテストする機能が電気信号生成装置100に設けられていても良い。
また、前述の通り、リアルタイムにデジタル信号の波形を生成し、リアルタイムにそれをアナログ信号に変換して出力しても良いが、事前に基底波周波数に高調波や波形深度、波形なまりが合成され、それらの出力強度や時間長さなどが調整変換されたデジタル信号のパターンをメモリ上に格納しておくことで、そのデータを雛形的に用いて以後の施術においてアナログ信号を生成するようにしても良い。
また、例えば電気信号生成装置100を治療目的(治療対象)に応じた専用器としても良く、その場合、電源をONにするとプリセットされたプリセット情報(施術内容を記憶し、プリセットされた情報)を読み込み、かかるプリセット情報に基づく施術が開始されるようにしても良い。これにより簡易版として安価で、操作性の良いものが可能となる。また、例えば、持病持ちのような一定の症状に対する繰り返し対応の利便性が良くなる。また、電気信号生成装置100は、出力強度、波形深度、波形なまりなどのバリエーションをユーザが適宜選択できるようにしても良い。また、電気信号生成装置100は、所定周波数(例えば、16Hzと21Hz)による施術を少数(例えば、1クールや2クール)で終了するような簡易な組み合わせをユーザが選択できるようにしても良い。また、電気信号生成装置100は、前回の施術が所定周期(16Hzと21Hz)のみであった場合、今回の施術はその続きの周波数(例えば、61Hz、73Hz)から再開する機能が設けられていても良い。
また、例えば電気信号生成装置100の電気信号出力部163は、図10および13に示す波動出力パッド200において、主として電荷を掛ける第1の電極部(例えば、図10の電極5、図13(a)〜(c)の電極5)には前記基底波のみの波形から生成された電気信号を出力し、前記第1の電極部に隣接する第2の電極部(例えば、図10の電極6、図13(a)〜(c)の電極6)および第3の電極部(例えば、図10の電極4、図13(a)〜(c)の電極4)に対しては、前記基底波および前記高調波を合成した前記合成波を用いて生成した電気信号を出力することで、前記第1の電極部よりも前記第2の電極部および前記第3の電極部から前記人体に与えられる刺激を弱め、前記電極部の穏やかな移動の印象を与える
ことを特徴とする電気信号生成装置。
また、電気信号生成装置100は、外部装置からの制御を受け付けて、所定情報(例えば、後述の波形マスター情報など)の登録内容を変更する機能部を有していても良い。具体的には、電気信号生成装置100は、外部装置からの制御指示を受け付ける通信部と、指示内容に応じて波形マスター情報152などの登録情報の内容を変更する変更部とを有している。変更部は、通信部を介して外部装置から制御指示を受け付けて、指示内容に応じて高調波の深度、波形なまりおよびインターバル時間などに関する設定情報あるいは登録情報を変更する。例えば、これら高調波の深度などの変更は、波形マスター情報152に登録されている値を変更することで実現される。
なお、前述の電流波動、音波波動および電磁波波動は、同時に人体に作用するように出力されても良く、各々のタイミングがずれるように出力されても良い。