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JP6741965B2 - ケラチン増加作用を呈するデヒドロレチノール誘導体 - Google Patents

ケラチン増加作用を呈するデヒドロレチノール誘導体 Download PDF

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Description

この発明はケラチン増加作用を呈するデヒドロレチノール誘導体に関するものである。
ケラチンは細胞内骨格を形成するタンパク質であるとともに、皮膚や血管などの組織を構成する硬質のタンパク質であり、骨や皮膚の組織の維持に重要な働きを担っている。また、ケラチンは上皮細胞刺激と細胞の再生により体内で生合成される。
皮膚に含有されるケラチンは角質の保護、上皮細胞の配列に関与し、美容的には皮膚の皮丘や皮溝の整列や配列にも影響することから、シワや皮膚のたるみとの関係が強い。また、毛髪の維持のためにもケラチンの維持や増加は必須である。
さらに、角質化しない上皮細胞においてもケラチンは組織の構成タンパク質として重要な役割を果たしており、上皮組織のシート状構造はケラチン繊維によって機械的強度を保っている。ケラチンの増加をもたらす安全性の高い天然物が望まれている。
例えば、ケラチン繊維の保護剤としての複素環式第4級ポリアンモニウムポリマーの用途及び化粧品用組成物がある(例えば、特許文献1参照)。しかし、その利用範囲は限定的であり、皮膚細胞に直接作用するような強い作用は示されていない。
特許第3823025号
既存の植物エキスや化学物質によるケラチン増加作用は軽度であり、産業上への利用が限定されるという課題がある。
また、化学合成された物質では安全性に問題があり、利用が限られている。
そこで、副作用が弱く優れたケラチン増加作用を呈する天然物が望まれている。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は下記の式(1)示されるケラチン増加作用を呈するデヒドロレチノール誘導体に関するものである。
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載のデヒドロレチノール誘導体によれば、副作用が少ないケラチン増加作用を呈する天然物が得られる。
以下、この発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
ケラチン産生作用を呈するデヒドロレチノール誘導体とは以下の式(1)で示される構造からなる。
ここに示したデヒドロレチノール誘導体は人の皮膚細胞や毛髪細胞に直接作用してケラチン産生を増加させる。その作用には皮膚の上皮細胞の増殖とケラチン産生酵素の誘導が関与している。
このデヒドロレチノール誘導体はヒドロキシレチノールとL―システインから構成される。分子式はC26H38O3N2S2であり、炭素26個、水素38個、酸素3個、窒素2個及びイオウ2個から構成されている。つまり、ヒドロキシレチノール1分子にL―システインが2分子結合している。
このデヒドロレチノール誘導体はレチノールとシステインから有機化学的に合成することができ、標準品として構造解析の目的で利用できる。また、ダイヤイオン(三菱化学(株)社製)及びXAD−2またはXAD−4(ロームアンドハース社製)、セファデックスLH−20(アマシャムファルマシア社製)、イオン交換担体IRA−410(ロームアンドハース社製)、逆相担体DM1020T(富士シリシア社製)により精製され、純度95%以上の精製品を得ることができる。
この構造は核磁気共鳴装置(例えば、NMR、ブルカー製)により、CD3OD中における1H−NMRと13C−NMRの解析を行うことにより解析される。600MHzの1H−NMR解析により、1.469、1.514、1.661、1.887、1.955、2.079、2.102、2.124、2.192、2.215、2.305、2.407、2.565、2.599、2.644、2.667、2.712、2.893、3.040、3.254、3.367、3.763、4.023、4.068、5.119、6.147、6.283、7.006及び7.379ppmにピークが認められる。
さらに、CD3OD中13C−NMRの解析により、23.0、26.7、27.1、27.3、28.7、30.0、34.1、39.9、41.6、46.7、49.4、51.6、55.3、58.8、71.8、72.6、78.8、129.6、135.1、141.0、142.5及び176.2ppmにピークが認められる。
デヒドロレチノールとはカロテノイドの一種であり、抗酸化作用や視神経に対する働きがあり、皮膚に対しても細胞の増殖と維持に働く天然物である。自然界ではデヒドロレチノールはレチノールから酵素により産生され、生体内で分解され、排泄されることから安全性が高い。また、体内や環境中での蓄積性は認められず、環境への安全性も高い。
ここで示したデヒドロレチノール誘導体はデヒドロレチノールの水酸基とL−システインのカルボキシル基がエステル結合している。また、イオン化しやすいことから皮膚への吸収や腸管からの吸収にも優れている。また、このデヒドロレチノール誘導体にはケラチンの構成成分となるL―システインが存在するため、ケラチンの原料としても有用である。
さらに、このデヒドロレチノール誘導体は皮膚の上皮細胞の上皮細胞増殖因子の受容体を活性化する。活性化の方法は感度の向上であり、いわゆる、ハイパーセンシティビティであり、酵素の活性中心に働き、触媒としての感受性を高める。
このデヒドロレチノール誘導体の過剰量は肝臓や腎臓に存在している非特異的なエステラーゼにより分解され、デヒドロレチノールとL―システインに分解される。
デヒドロレチノールとL―システインはいずれも天然界に存在しており、安全性も確認されていることから、このデヒドロレチノール誘導体の安全性は高い。
また、このデヒドロレチノール誘導体は脂肪に蓄積されることはなく、濃縮もされない。
さらに、このデヒドロレチノール誘導体は皮膚の上皮細胞や毛母細胞を増殖させ、ケラチンの産生を増加させる他にも、血流の改善作用、デトックス作用、排泄作用及び代謝活性化作用を有する。
このデヒドロレチノール誘導体の製造方法としては、有機化学的に合成する方法の他に、キャビアや野菜類、藻類を発酵して得ることが可能である。
このうち、キャビアには豊富なレチノールが含有され、さらに、皮膚細胞や毛母細胞の増殖を促進する上皮細胞増殖因子が含有されていることから好ましい。キャビアとは学名Acipenser medirostrisであるチョウザメの卵である。塩漬けされた状態でもレチノールには影響しないことから、塩漬けされたキャビアでも利用できる。
この発酵の工程は納豆菌、紅麹菌を添加して発酵させる工程からなる。
次に納豆菌と紅麹菌により発酵される。すなわち、清浄な発酵タンクにキャビア、コメヌカ、納豆菌と紅麹菌を添加し、好気下で発酵される。
原料となるコメヌカは、日本産、中国産、アメリカ産、ロシア産などいずれの産地の玄米から得られるコメヌカでも利用できるが、トレーサビリティーが確実であり、生産者が明確である日本産が好ましい。このうち、有機栽培や無農薬で栽培された玄米由来のコメヌカは有害な農薬や金属を含有しないことから、さらに好ましい。
コメヌカは使用に際して、株式会社奈良機械製作所製の自由ミル、スーパー自由ミル、サンプルミル、ゴブリン、スーパークリーンミル、マイクロス、減圧乾燥機として東洋理工製の小型減圧乾燥機、株式会社マツイ製の小型減圧伝熱式乾燥機DPTH−40、エーキューエム九州テクノス株式会社製のクリーンドライVD−7、VD−20、中山技術研究所製DM−6などの粉砕機で粉砕される。この粉砕により発酵の工程が効率的に進行しやすいことから好ましい。
用いる納豆菌は学名Bacillus subtilisで日本では納豆の製造や食品加工に汎用され、食経験が豊富で有用な食用菌である。沖縄や鹿児島などの日本産、中国や台湾の東南アジア原産の菌種が用いられる。このうち、納豆本舗製の納豆菌は高い発酵性を呈することから好ましい。
用いる紅麹菌は、学名Monascaceaeで、食経験が豊富で有用な食用菌である。沖縄や鹿児島などの日本産、中国や台湾の東南アジア原産の菌種が用いられる。このうち、紅麹本舗製の紅麹菌は高い発酵性を呈することから好ましい。
前記の発酵に関するそれぞれの添加量は、キャビア1重量に対し、コメヌカは0.4〜5重量、納豆菌は0.002〜0.04重量、紅麹菌は0.001〜0.05重量が好ましい。納豆菌と紅麹菌は発酵される前に、前培養することは、発酵の初発時間を短縮し、発酵時間が短縮されることから好ましい。
前記の発酵は清浄な培養用タンクで実施され、滅菌された水道水により前記の材料を混合することは好ましい。
また、この発酵は、35〜48℃に加温され、発酵は4日間から14日間行われる。
発酵後、90℃程度の加温により納豆菌と紅麹菌が死滅し、発酵が停止される。この発酵の工程によってデヒドロレチノールが遊離される。次いで、コメヌカからはヒドロキシプロリンが遊離される。
前記の発酵により生成された発酵物は含水エタノールで抽出されることは、生成物を効率良く回収でき、次の工程が実施しやすいことから、好ましい。また、得られた発酵物を超音波破砕処理することは、生成物が分離しやすいことから、好ましい。また、凍結乾燥などにより、濃縮することは、以下の工程が短時間に実施できることから好ましい。
前記の発酵物を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
例えば、分離用担体または樹脂により分離され、分取されることは好ましい。分離用担体または樹脂としては、表面が後述のようにコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。0.1〜300μmの粒度を有するものが好ましく、粒度が細かい程、精度の高い分離が行なわれるが、分離時間が長い欠点がある。
例えば、逆相担体または樹脂として表面が疎水性化合物でコーティングされたものは、疎水性の高い物質の分離に利用される。陽イオン物質でコーティングされたものは陰イオン性に荷電した物質の分離に適している。また、陰イオン物質でコーティングされたものは陽イオン性に荷電した物質の分離に適している。特異的な抗体をコーティングした場合には、特異的な物質のみを分離するアフィニティ担体または樹脂として利用される。
アフィニティ担体または樹脂は、抗原抗体反応を利用して抗原の特異的な調製に利用される。分配性担体または樹脂は、シリカゲル(メルク社製)等のように、物質と分離用溶媒の間の分配係数に差異がある場合、それらの物質の単離に利用される。
これらのうち、製造コストを低減することができる点から、吸着性担体または樹脂、分配性担体または樹脂、分子篩用担体または樹脂及びイオン交換担体または樹脂が好ましい。さらに、分離用溶媒に対して分配係数の差異が大きい点から、逆相担体または樹脂及び分配性担体または樹脂はより好ましい。
分離用溶媒として有機溶媒を用いる場合には、有機溶媒に耐性を有する担体または樹脂が用いられる。また、医薬品製造または食品製造に利用される担体または樹脂は好ましい。
これらの点から吸着性担体としてダイヤイオン(HP−20型またはHP21型、三菱化学(株)社製)及びXAD−2またはXAD−4(ロームアンドハース社製)、分子篩用担体としてセファデックスLH−20(アマシャムファルマシア社製)、分配用担体としてシリカゲル、イオン交換担体としてIRA−410(ロームアンドハース社製)、逆相担体としてDM1020T(富士シリシア社製)がより好ましい。
これらのうち、ダイヤイオンHP−20型、セファデックスLH−20及びDM1020Tはさらに好ましい。
得られた抽出物は、分離前に分離用担体または樹脂を膨潤化させるための溶媒に溶解される。その量は、分離効率の点から抽出物の重量に対して1〜35倍量が好ましく、4〜25倍量がより好ましい。分離の温度としては物質の安定性の点から4〜30℃が好ましく、10〜25℃がより好ましい。
分離用溶媒には、水、または、水を含有する低級アルコール、親水性溶媒、親油性溶媒が用いられる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが用いられるが、食用として利用されているエタノールが好ましい。
セファデックスLH−20を用いる場合、分離用溶媒には低級アルコールが好ましい。シリカゲルを用いる場合、分離用溶媒にはクロロホルム、メタノール、酢酸またはそれらの混合液が好ましい。
ダイヤイオンHP−20型及びDM1020Tを用いる場合、分離用溶媒はメタノール、エタノール等の低級アルコールまたは低級アルコールと水の混合液が好ましい。
また、活性を含む画分を採取して乾燥または真空乾燥により溶媒を除去し、粉末または濃縮液として得ることは溶媒による影響を除外できることから、好ましい。
また、最終抽出を食用油や化粧料に用いる油脂で実施することは、得られる活性部分が油の中で安定に維持することから好ましい。例えば、大豆油、米ぬか油、グレープシード油、オリーブ油、ホホバ油で抽出することは好ましい。
医薬品として注射剤または経口剤または塗布剤などの非経口剤として利用され、医薬部外品としては、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、石鹸、塗布剤、ゲル剤、歯磨き粉等に配合されて利用される。
経口剤としては錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤、ドリンク剤等が挙げられる。前記の錠剤及びカプセル剤に混和される場合には、結合剤、賦形剤、膨化剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤等とともに用いることができる。前記の錠剤は、シェラックまたは砂糖で被覆することもできる。
また、前記のカプセル剤の場合には、上記の材料にさらに油脂等の素材を含有させることができる。前記のシロップ剤及びドリンク剤の場合には、甘味剤、防腐剤、色素香味剤等を添加することができる。
非経口剤としては、軟膏剤、クリーム剤、水剤等の外用剤の他に、注射剤が挙げられる。外用剤の基材としては、ワセリン、パラフィン、油脂類、ラノリン、マクロゴールド等が用いられ、通常の方法によって軟膏剤やクリーム剤等とすることができる。
注射剤には、液剤があり、その他、凍結乾燥剤がある。これは使用時、注射用蒸留水や生理食塩液等に無菌的に溶解して用いられる。
食品製剤として美容を目的とした美容食品、美容を目的とした食品、肝臓細胞の維持を目的とした滋養強壮剤などに利用される。また、保健機能食品として、栄養機能食品や特定保健用食品に利用することは好ましい。
得られた食品製剤をイヌやネコなどのペットや家畜動物に利用する場合、皮膚の健康を維持する目的として、飼料やサプリメントとして利用される。
化粧料として常法に従って界面活性化剤、溶剤、増粘剤、賦形剤等とともに用いることができる。例えば、クリーム、毛髪用ジェル、洗顔剤、美容液、化粧水等の形態とすることができ、ケラチン産生を促進する化粧料となる。化粧料の形態は任意であり、溶液状、クリーム状、ペースト状、ゲル状、ジェル状、固形状または粉末状として用いることができる。
また、植物活性化剤として植物の骨格を形成するケラチンを増加させる機序により植物を元気に活性化させる用途にも使用できる。豆類、穀物、米類、根菜類や花にも使用でき、植物のケラチンを増加させて収穫高や品質を高め、植物の生育と寿命を高める。切り花の保持にも利用できる。
以下、前記実施形態を実施例及び試験例を用いて具体的に説明する。なお、これらは一例であり、素材、原料や検体の違いに応じて常識の範囲内で条件を変更させることが可能である。
岡山県産の養殖チョウザメより採取されたキャビアを購入して用いた。この450gをミキサーで攪拌した。
得られたキャビア懸濁液を清浄な発酵タンク(大脇エンジニア製、150kg容量)に入れた。
秋田県産の減農薬栽培玄米より得られた米糠1.1kgを購入し、水道水9Lに懸濁した。この米糠懸濁液をオートクレーブ(トミー精巧製、SR−240)に入れて121℃で滅菌した。
滅菌後、冷却した米糠液を発酵タンクに移し、納豆本舗製の納豆菌8g及紅麹菌10gを添加し、37℃で4日間発酵させた。
発酵液を91℃の加温槽に入れて14分間加温し、滅菌させた。これを冷却後、ろ過してろ液8.1Lを得た。これをデヒドロレチノール誘導体含有エキスとした。使用まで、4℃に保管した。
前述のデヒドロレチノール誘導体含有エキスの4Lに5%エタノール含有精製水3Lを添加し、ダイヤイオンHP−20型(三菱化学製)200gを4%エタノール液に懸濁して充填したカラムに供した。
これに3Lの4%エタノール液を添加して清浄し、さらに、40%エタノール液を2L添加して目的とするデヒドロレチノール誘導体を溶出させた。精製されたデヒドロレチノール誘導体を減圧蒸留により、エタノール部分を除去し、水溶液とした。さらに、この精製工程を3回繰り返し、97.3%の純度を示すデヒドロレチノール誘導体の検体1とした。この検体1はHPLCによる分析で単一ピークを呈した。
以下にデヒドロレチノール誘導体の同定試験について説明する。
(試験例1)
上記のように得られた実施例1のデヒドロレチノール誘導体である検体1を精製エタノールに溶解し、質量分析器付き高速液体クロマトグラフィ(HPLC、島津製作所)で分析し、さらに、核磁気共鳴装置(NMR、ブルカー製)で解析した。
その結果、CD3OD中における600MHzの1H−NMR解析により、1.469、1.514、1.661、1.887、1.955、2.079、2.102、2.124、2.192、2.215、2.305、2.407、2.565、2.599、2.644、2.667、2.712、2.893、3.040、3.254、3.367、3.763、4.023、4.068、5.119、6.147、6.283、7.006及び7.379ppmにピークが認められた。
さらに、CD3OD中13C−NMRの解析により、23.0、26.7、27.1、27.3、28.7、30.0、34.1、39.9、41.6、46.7、49.4、51.6、55.3、58.8、71.8、72.6、78.8、129.6、135.1、141.0、142.5及び176.2ppmにピークが認められた。
以下に、13C−NMRの解析結果のチャートを示した。(横軸単位はppm、縦軸単位はピーク強度を示す。)
つまり、実施例1の検体は有機化学的に合成し精製された標準品と同一の分析結果を示した。目的とするデヒドロレチノール誘導と同定された。
以下に、ヒト皮膚上皮細胞を用いた確認試験について述べる。
(試験例2)
クラボウ株式会社より購入したヒト皮膚上皮細胞を用いた。培養液としては、5%牛胎児血清含有MEM培地(Sigma製)を用いて培養した、1000個の細胞を35mm培養シャーレに播種し、5%炭酸ガス下、37℃で培養した。これに、前記の実施例1で得られた検体1及び対照として皮膚上皮細胞成長因子(EGF)を0.1mg/mlの最終濃度で添加した。これを48時間培養した。EGFは皮膚の上皮細胞を増殖させ、ケラチンを産生させる生理物質として利用されている。細胞を剥離後、細胞数を計数した。なお、シャーレは5枚を用いてその平均値を算出した。
その結果、検体1の0.1mg/mlの添加により皮膚の上皮細胞数が溶媒対照群に比して平均値として255%に増加した。また、ケラチン量をELISAキット(和光純薬製)により定量した結果、溶媒対照群に比して平均値で344%になった。
また、対照としたEGFでは細胞数が対照群に比して181%となった。また、産生されたケラチン量は210%となり、検体1の方がケラチン量の増加に優れていた。
一方、安全性試験の一環として人工皮膚であるEpiSkin(SkinEthic社製)を用いた皮膚刺激性実験では、検体1の添加により刺激性は認められず、安全性が確認された。なお、この方法は細胞を用いる皮膚刺激性試験評価法として動物を使用しない方法として確立されている。
以下に、シソ種子と大豆種子を用いた植物活性化剤としての確認試験について述べる。
(試験例3)
長野県産のシソ種子と大豆種子を購入して用いた。シソ種子と大豆種子を検体1の1000倍希釈水溶液を十分に浸したガーゼを敷いたバットに置いた。これを30℃の培養器に入れて7日間培養し、芽の伸展を測定した。10個の種子の平均値を求めた。溶媒対照として水道水のみを用いた。同時に、対照にはHB−101(株式会社フローラ製)の1000倍液に浸して培養した。
その結果、シソ種子の芽は、溶媒対照を100%とした場合、検体1に浸した場合、146%、HB−101に浸漬した場合では131%となった。大豆種子では検体1に浸した場合、溶媒対照に比して150%と伸展した。一方、HB−101に浸漬した場合では溶媒対照の126%となった。これらの結果から検体1はHB−101よりも優れた植物活性化作用を呈すると結論された。
本発明で得られるデヒドロレチノール誘導体はケラチン産生作用を示し、かつ、副作用が少ないことから、国民のQOLを改善し、健康な労働人口を増加させ、かつ、医療費を削減できる。
本発明で得られるデヒドロレチノール誘導体はケラチンを産生し皮膚細胞を改善する作用を有することから、化粧料としてアトピーや皮膚トラブルに悩む方の改善に貢献し、化粧料業界の発展に寄与する。
本発明で得られるデヒドロレチノール誘導体は食品としても利用できることから、食品業界の発展に寄与する。
本発明で得られるデヒドロレチノール誘導体は植物活性剤として植物の伸展と成長、結実と収穫量を増加させ、砂漠の緑化対策や農業分野にも利用される。

Claims (1)

  1. 下記の式(1)で示されるケラチン産生作用を呈するデヒドロレチノール誘導体。

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