以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。以下の説明に用いる各図面は模式的に示すものであり、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさで示すために、各部材の寸法関係や縮尺等を各構成要素毎に異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、これら各図面に記載された構成要素の数量,構成要素の形状,構成要素の大きさの比率,各構成要素の相対的な位置関係等に関し、図示の形態のみに限定されるものではない。
以下に説明する本発明の各実施形態は、例えば撮像光学系により結像された光学像を、例えばCCD(Charge Coupled Device;電荷結合素子)イメージセンサーやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor;相補性金属酸化膜半導体)型イメージセンサー等の光電変換素子等(以下、撮像素子という)を用いて順次光電変換し、これにより得られた画像信号を所定の形態の画像データ(例えば静止画像又は動画像を表わすデジタル画像データ)として記憶媒体に記録すると共に、この記憶媒体に記録されたデジタル画像データに基いて静止画像又は動画像を再生表示する画像表示装置、例えば液晶表示ディスプレイ(Liquid Crystal Display;LCD)や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL;Organic Electro-Luminescence:OEL)ディスプレイ等を備えて構成された撮像装置、例えばデジタルカメラやビデオカメラ等(以下、単にカメラという)を例示するものである。
なお、本発明を適用し得る撮像装置としてのカメラの形態は、特に限定された形態のものである必要はなく、一般に実用化されている種々のタイプのカメラに対して広く適用し得る。例えば、装置本体に対して撮像光学系を備えたレンズ鏡筒が一体に構成される形態のいわゆるレンズ一体型カメラや、装置本体に対してレンズ鏡筒が着脱自在に配設される形態のいわゆるレンズ交換式カメラ等の既存の形態のカメラのほか、例えば撮像機能及び画像記録機能を実現するための最低限の機能と外部機器との通信機能とを備えた撮像装置(レンズ鏡筒一体式でも交換式でもいずれの形態でも構わない)と、当該撮像装置を含む外部機器との間における通信機能を備えると共に各種の信号処理や制御処理を実行し得る機能を備えた通信制御機器、例えば一般に流通しているタブレット型コンピュータもしくはスマートフォンタイプの携帯電話等とを組み合わせて構築される撮像システム等に対して本発明は適用し得る。
上記撮像システムは、上記通信制御機器に導入したアプリケーションプログラムの作用によって、上記通信制御機器と上記撮像機器との間で相互通信を行なって、上記通信制御機器により上記撮像機器を制御して撮像動作を実行させたり、上記撮像装置により取得された画像データを上記撮像機器から上記制御機器へと通信機能を介して伝送し、上記通信制御機器において各種の信号処理を行ったり、これらの信号処理の結果得られた画像データ等を記録し得るように構成されるものである。
まず、本発明の詳細を説明する前に、本発明が適用される撮像装置(カメラ)の概略構成について、主に図1を用いて以下に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態の撮像装置(カメラ)の主な構成を示すブロック構成図である。なお、図1において、カメラ1の形態は、特に限定せずに図示している。
本実施形態の撮像装置であるカメラ1は、撮像光学系により結像された対象物の光学像を受けて、これを光電変換して画像データを取得し、取得した画像データを記録し、又は画像として表示し得る構成を備えた画像再生記録装置である。
そのために、カメラ1は、図1に示すように、画像処理制御部11と、撮像部12と、通信部13と、記録部14と、操作判定部16と、姿勢センサ17aと、GPS17bと、方位センサ17cと、表示部18と、タッチパネル19等を有して構成されている。
画像処理制御部11は、中央処理装置(CPU)等を含んで構成される電子回路部である。画像処理制御部11は、撮像部12からの画像信号に対して所定の信号処理、例えば色信号生成処理やマトリックス変換処理等の各種のデジタル画像信号処理のほか、画像信号や音声信号等を記録するのに際して符号化処理を施したり、記録部14から記録済みの画像データ,音声データを読み出して復号化処理を施す等の各種の信号処理を行う画像信号処理部としての電子回路部と、当該カメラ1の全体的な動作制御を行う制御部としての電子回路部とを有して構成されている。この画像処理制御部11において実行されるソフトウエアプログラムは、記録部14若しくは別途設けられる不図示のROM(Read Only Memory)等に予め記憶されているものが用いられる。
画像処理制御部11は、表示制御部11aと、構造物輪郭判定部11bと、ガイド表示制御部11cと、死角予測部11dとを含んで構成されている。これら各構成部(11a,11b,11c,11d)等は、本カメラ1において特に用意されるハードウエア回路によって構成してもよいし、または、上記画像処理制御部11によって実行されるソフトウエアプログラムであってもよく、その形態は問わない。
表示制御部11aは、撮像部12によって取得された画像信号に基いて、上記画像処理制御部11によって表示用に生成された画像信号を受けて、これを画像として表示するために表示部18を制御する電子回路部である。
構造物輪郭判定部11bは、撮像部12によって取得された画像信号に基いて、特定の撮像対象物の輪郭部分を判定する電子回路部である。
ガイド表示制御部11cは、所定のタイミングで表示部18の表示画面上に使用者(ユーザ)に対する使用上のアドバイスや警告,告知,報知等のガイド表示を行うための電子回路部である。
死角予測部11dは、上記構造物輪郭判定部11bによる判定結果から、撮像対象としている対象構造物において、カメラ1から死角となる部位又は範囲等を予測する電子回路部である。ここで、死角とは、撮像対象としている対象構造物において、カメラ1のある位置からは見えない部位若しくは範囲である。
上記死角予測部11dは、直方体予測部11eと、撮像面判定部11fとを有している。このうち、直方体予測部11eは、上記構造物輪郭判定部11bによる判定結果に基いて、撮像対象としている対象構造物の形状を予測する構造物形状予測部となる電子回路部である。ここで、構造物形状予測部としての直方体予測部11eは、撮像対象構造物の形状が直方体であることを予測する。
また、撮像面判定部11fは、上記直方体予測部11eにて予測される撮像対象構造物の直方体の各面のうち撮像し得ていない領域、即ち撮像を推奨する領域(具体的には死角部位,死角範囲)として特定して判定するための領域特定部となる電子回路部である。上記構造物の撮像推奨領域は、構造物を構成する直方体の面が露呈していて、撮影可能な状態の部位である。こうした露呈面は、経時変化などをモニタしやすく、のちのちまでに重要な評価項目になるので重要である。
撮像部12は、光学レンズ等の撮像光学系等を含むレンズ鏡筒部(不図示)と、CCD(Charge Coupled Device;電荷結合素子)イメージセンサーやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor;相補性金属酸化膜半導体)型イメージセンサー等の光電変換素子(撮像素子)等を含む電子回路部等によって構成される構成ユニットである。
撮像部12は、レンズ鏡筒部の撮像光学系(不図示)により撮像面に結像される光学像を受けて光電変換処理を行うことにより被写体像を含む静止画像又は動画像の画像信号を取得して、この画像信号を上記画像処理制御部11へと出力するように構成されている。撮像部12は、上記画像処理制御部11によって駆動制御される。つまり、画像処理制御部11は、撮像部12へと駆動信号を出力する一方、上記撮像部12によって取得された画像信号を取り込み、この画像信号に対して上記各種の信号処理を施して、所定の形態の画像データ、例えば静止画像又は動画像を表わすデジタル画像データを生成する。
このようにして生成される画像データには、撮像光学系の画角情報や、撮像時の各種情報(被写体距離情報や露出情報等)等が関連付けられている。これら画像データに関連付けられた各種情報(画像データ関連報)は、画像データファイルに含めて記録される。なお、画像データ関連報としては、上述の形態のほか、画像データに関連付けされた別データファイルとして記録するような形態であってもよい。
通信部13は、例えば無線通信機能によって外部機器(不図示)との間でデータ伝送を行ったり、外部機器(不図示)からの制御信号を受信したり、インターネット等の外部通信回線(不図示)に接続しこれを介して各種の外部データベース(不図示)等との間でデータ通信を行うために設けられる電子回路部である。
記録部14は、所定の形態、例えば半導体メモリカード等の記録媒体(不図示)と、その駆動回路等を含んで構成され、画像処理制御部11の扱う画像データ,音声データ等を記録媒体に記録したり、画像処理制御部11が記録媒体に記録済みの同画像データ,音声データ等を読み出しを行なうための電子回路部である。なお、記録部14としては、カメラ1に対して着脱自在に構成される半導体メモリカード等の記憶媒体(不図示)に対応する形態のもののほか、カメラ1の内部電子基板上に固定される半導体メモリ等を記憶媒体として利用する形態のものとしてもよい。
操作判定部16は、当該カメラ1における各種の操作部材(不図示)に連動した各種スイッチ類、例えばレリーズスイッチ,電源オンオフスイッチ,操作方向選択指示スイッチ,メニュースイッチ,動作モード切り換えスイッチ等のほか、タッチパネル19等から発生した各種の操作指示信号を受信して、使用者(ユーザ)が操作した指示内容を判定する電子回路部である。
操作判定部16は、使用者(ユーザ)による各種操作部材等の操作に応じた指示信号を発生させて、画像処理制御部11へと出力する。これを受けて画像処理制御部11は、入力された指示信号に対応する各種の制御処理を実行する。
姿勢センサ17aは、例えば加速度センサ等を含んで構成される電子回路部である。この姿勢センサ17aは、例えばカメラ1の姿勢状況(撮像画面が縦位置にあるか横位置にあるか、若しくは水平線や垂直線に対する画面の傾き等の状況)や、カメラ1(の撮像光学系の光軸)の仰角状況等のほか、カメラ1自体のブレ状況等を判定するために設けられている。
GPS17bは、全地球測位システム(Global Positioning System;GPS)におけるGPS衛星からの信号を受信して当該カメラ1の位置情報,時刻情報,方位情報等、各種の所定の情報を取得するための電子回路部である。
方位センサ17cは、例えば地磁気を検出して当該カメラ1の向き、具体的には撮像光学系の光学レンズ(撮像素子の撮像面)が向いている方向を検出するための電子回路部であって、いわゆる電子コンパス等が適用される。
表示部18は、当該カメラ1によって生成された画像データ若しくは記録部14に記録済みの画像データに基く画像を表示したり、当該カメラ1における各種の設定画面(メニュー表示等)を表示するための表示パネル、例えば液晶表示ディスプレイ(Liquid Crystal Display;LCD)や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL;Organic Electro-Luminescence:OEL)ディスプレイ等の表示用デバイスと、その駆動回路等を含んで構成される構成ユニットである。
タッチパネル19は、表示部18の表示画面の表面に配置された操作入力パネル等を含んで構成される表示ユニットである。これに対応させて、画像処理制御部11の表示制御部11aは、表示部18の表示画面上に操作用表示等を表示させる制御を行なう。そして、上記タッチパネル19から生じる操作指示信号を受けて画像処理制御部11は、各種の制御を実行する。即ち、上記タッチパネル19は、表示画面中の任意の所望の位置を指定し得る指定操作部として機能する。
このように構成された本実施形態のカメラ1においては、画像処理制御部11,記録部14,表示部18は、撮像部12から出力される画像信号についての各種の処理を行なって、静止画像若しくは動画像についての画像処理を行なう。即ち、画像処理制御部11は、撮像部12からの画像信号に対し所定の信号処理を施して画像信号を順次生成すると同時に、この画像信号を表示制御部11aを介して表示部18へと順次出力する。これを受けて表示部18は、対応する画像を順次表示させることにより、リアルタイムの動画像表示、即ちライブビュー表示が行われる。
また、画像処理制御部11は、撮像部12から受けて処理済みの画像信号について、例えば圧縮処理を施して記録部14へと出力する。これを受けて、記録部14は、不図示の記録媒体に記録する。また、画像処理制御部11は、記録部14の記録媒体に記録済みの画像データを読み出して復号化処理を施した後、表示制御部11aを介して表示部18へと出力する。これを受けて、表示部18は、対応する画像を表示する。
なお、カメラ1の構成においては、上述した以外にも、図1に図示されていない構成ユニット等が多々ある。しかしながら、それらの構成ユニット等については、従来一般に実用化されておりまた広く普及している撮像装置(カメラ)と略同様の構成を有しているものとして、それらの説明は省略する。
次に、上述のように構成された本実施形態のカメラ1を用いて撮像動作を行った際の作用を、図2〜図8を用いて説明する。図2は、本実施形態のカメラ1を用いて撮像動作を行なう際の状況を示す概念図である。図3は、図2の撮像状況下で取得される補助データ(見取り図データ)の表示例である。図4は、図3の補助データ(見取り図データ)取得後の撮像動作を行う際の表示部の表示例である。
まず、図2〜図4を用いて、本実施形態のカメラの作用の概略を説明する。本実施形態のカメラ1を用いて撮像動作を実行する際の状況の例を、例えば図2に示す。図2に示す例は、撮像対象とする構造物若しくは建築物(以下、撮像対象構造物と略記する)の内部において、その撮像対象構造物の建設工事の過程を記録する撮像動作を行う状況を示している。具体的には、図2において、本実施形態のカメラ1を所持する使用者(ユーザ)100が、撮像対象構造物の所定のフロアにおける所定の部屋(以下、撮像対象領域という)200の室内に当該カメラ1を向けて撮像動作を実行しようとしている状況を示している。
この状況において、使用者(ユーザ)100は、まず、これから撮像動作を実行しようとする撮像対象領域200の全体像を二次元画像として撮像する。これにより、カメラ1は、撮像対象領域200の全体像を1つの二次元画像データとして取得する。このとき取得された二次元画像データによって表示される二次元画像は、なるべく広い範囲がカバーされているのが望ましい。そのために、例えば撮像光学系としては、広角系レンズが用いられる。また、全体像の撮像動作を実行する際、撮像光学系のズーム位置を広角側に設定する旨の表示を行うようにしてもよい。さらに、このときの撮像動作時には、カメラ1の姿勢を所定の姿勢に保つのが望ましい。つまり、カメラ1の姿勢を所定の姿勢に保持することによって、矩形状の撮像画面枠(不図示;撮像結果としての画像)の縦辺が垂直方向に、横辺が水平方向に略一致するようにされるのが望ましい。そこで、例えば姿勢センサ17a,方位センサ17c等の検出結果を利用して、水準表示等を表示部18に表示させるようにしてもよい。使用者(ユーザ)は、この表示部18の水準表示等を見ながらカメラ1の姿勢の水平垂直方向を保持するようにカメラ1を維持して撮像する。
なお、図2に示す撮像対象領域200の例は、部屋の入り口に立ったとき、一方(向かって右側)の壁面に沿って所定の間隔をおいて柱R1,R2,R3が配置され、他方(向かって左側)の壁面に沿って所定の間隔をおいて柱L1,L2,L3が配置された室内空間を想定している。この場合において、当該想定例では、柱R1,R2は一面が右側壁201に接して配置されている。柱R3は、二面が右側壁201と奥側壁202に接して配置されているものとする。そして、柱L1,L2,L3は、一面と左側壁203との間に距離D1を置いて配置されている。さらに、柱L3は、上記一面とは異なる他面と奥側壁202との間に距離D2を置いて配置されているものとする。
本実施形態のカメラ1においては、上述したように、撮像対象領域200の全体像の画像データが取得されると、この画像データに基いて、画像処理制御部11において各種の信号処理が行われる。例えば、表示制御部11aは、取得した画像データに対応する表示用の画像処理が行われ、その処理済みの表示用画像データは表示部18へと送られて、当該表示部18の表示画面上に対応する画像を表示する。
また、同時に、構造物輪郭判定部1bは、当該画像データに基く画像処理を実行し、当該画像データによって表される画像内の柱等の各構造物について輪郭部分を判定し、柱等の各構造物の配置を推測して、例えば撮像を補助するための補助データである二次元平面の見取り図データを生成する処理等が実行される。
ここで、補助データとしての見取り図データとは、撮像対象領域200の全体像に基いて、同領域200に含まれる各種構造物(柱等)の形状,位置等に関する各種の情報である。この見取り図データには、例えば撮像対象領域200を俯瞰して表す形態の情報(いわゆる俯瞰見取り図)等のほか、撮像すべきものと予定されている複数の撮像対象物に関する各種の詳細情報等が含まれる。なお、本実施形態のカメラ1によって生成される見取り図データは、撮像対象領域200の全体像を撮像した少なくとも一枚分の画像データのみから生成されるものであるので簡易的なものである。
さらに、構造物輪郭判定部1bの判定結果は、死角予測部11dへと送られる。死角予測部11dは、全体像を撮像した画像データに基いて、上記見取り図データに付加する情報、例えば各構造物の死角部位,死角範囲等に関する上記見取り図データ上の位置情報等を含む撮像ガイド情報等を生成する。ここで、撮像ガイド情報とは、撮像動作を補助するための情報であって、例えば上記全体像の撮像動作以降の個々の撮像動作、即ち上記撮像対象領域200内の個々の構造物を撮像対象とする撮像動作において、必要とする撮像を漏れなく撮像し得るようにガイドする等のための情報である。撮像ガイド情報は、具体的には、例えば現在の撮像位置から死角となる部位,範囲を表示部18に表示するための情報等である。
このようにして見取り図データが生成されると、その見取り図データは、図3に示すような形態で表示部18の表示画面に表示されると同時に、例えば記録部14等の所定の記憶領域に記憶される。
図3においては、表示部18の表示画面の略中央領域に上記見取り図データに基いて生成された矩形状の見取り図画像18aが表示されている形態を示している。このとき、表示部18の表示画面の余白部分には、表示中の画像が「見取り図データ」である旨を示す表示18dと、表示部18の表示画像を切り換えて元に戻ることを示す戻るアイコン18b等が表示されている。
図3に示す見取り図データ画像18aの例では、例えば撮像対象領域200(部屋)の俯瞰見取り図として矩形状領域が表示され、その内部に複数の構造物(本例示では6本の柱R1,R2,R3,L1,L2,L3)と、カメラ1の位置及び方向を示す矢印アイコン18cとが表示されている。さらに、各構造物の一部には、現在のカメラ1の位置から死角であると予想される部位,範囲を太線若しくは色付けした形態で示す死角表示DAが表示されている。この死角表示DAは、図3に示す例では、各構造物の対応する部位,範囲の輪郭を太線で示すことで表している。このように表示される死角表示DAは、個々の構造物を対象とする撮像動作時の撮像ガイド情報となっている。
なお、図3に示す各符号は当該表示を説明するために付しているものであって、実際に表示部18の表示画面に見取り図データが表示されるのに際し、これらの符号は表示されるものではない(後述の図4においても同様である)。
また、図3は、撮影の後ろ側の壁までも、補助されて表示されているが、これは、前方の撮影結果から予想して表示すればよく、背面を撮影するようなカメラの結果を利用してもよく、動画撮影した結果から類推してもよい。また、説明と理解を容易にするために「見取り図」という表記を行っているが、ユーザーが撮影時に参考にできる情報表示であればよく、まさしく図2に示すような実写結果(あるいは、それを強調表示したもの)に拡張現実的にガイド情報を出しても良いし、各構造物やその輪郭線を線画風にして、画像をイラストのようなものに置き換えて表示してもよい。この場合、柱の見える面と、その死角の有無などを含め測定対象が複数表示されていることが重要なので、見取り図とは別に、対象物一覧表示図という表現でもよい。
上記見取り図データ(もしくは、対象物一覧表示図)の生成後、引き続き当該撮像対象領域200の内部において個々の構造物の撮像動作を継続して行う場合、カメラ1の表示部18には、図4に示すような表示がなされる。図4に示す例では、撮像部12によって連続的に取得される画像信号に基く画像を順次表示させるライブビュー(LIVE VIEW)表示領域18eと、上記見取り図データを表示させる見取り図表示領域18fと、上記戻るアイコン18bとを、表示部18の一表示画面内に合わせて表示させる形態を示している。この見取り図表示領域18fも前述のように、対象物一覧表示図であればよく、厳密な意味での「見取り図」である必要はない。つまり、ユーザーが撮影時に参考にできる情報であればよく、実写結果(あるいは、それを強調表示したもの)に拡張現実的にガイド情報を出しても良いし、各構造物やその輪郭線を線画風にして、画像をイラストのようなものに置き換えて表示してもよい。
使用者(ユーザ)100は、撮像対象領域200の空間内を移動しつつ個々の構造物(具体的には個々の柱等)の撮像動作を行うことになるが、その撮像動作の場合において、見取り図データを参照し、最初の全体像の撮像動作で取得できなかった死角部分の画像等を改めて撮像する。ここで、個々の構造物についての撮像が行われた場合には、撮像済みである旨の表示(チェックマーク)を見取り図上に付するようにしてもよい。
このように構成される本実施形態のカメラ1の作用を、図5〜図8を用いて以下に説明する。図5,図6は、本発明の第1の実施形態の撮像装置(カメラ)のカメラ制御処理シーケンスを示すフローチャートである。このうち図5は同カメラ制御処理シーケンスの主体部である撮像モード時の処理シーケンスを示すフローチャートである。図6は同カメラ制御処理シーケンスの一部であって、撮像モード時以外の処理シーケンスを簡略に示すフローチャートである。本実施形態の要旨は、主に撮像モード時にあるものである。したがって、それ以外の動作モード時の作用は、従来のカメラと同様の処理がなされるものとして、図6に示すように簡略化して図示している。
図7は、図5のカメラ制御処理シーケンスのうち死角予想処理(ステップS111)の詳細シーケンスを示すフローチャートである。図8は、本実施形態の撮像装置(カメラ)を用いて撮像動作を行った際に取得される画像データのファイル構造を簡略化して示す概念図である。
図5,図6のカメラ制御処理シーケンスについて以下に説明する。このカメラ制御処理シーケンスも、上述の図2〜図4で説明したと同じ撮像状況を想定している。したがって、以下の説明においては図2〜図4も参照する場合がある。
まず、カメラ1の電源状態がオン状態にあり、カメラ1が起動状態にあるものとする。この場合において、図5のステップS101において、画像処理制御部11の制御部は、カメラ1の動作モードが撮像動作を実行し得る撮像モードに設定されているか否かの確認を行う。ここで、撮像モードに設定されていることが確認された場合には、次のステップS102の処理に進む。また、撮像モードに設定されていない場合には、図6のステップS121の処理に進む(図5,図6の符号A参照)。
ステップS102において、画像処理制御部11は、撮像部12等を制御して画像データを順次取得し(制御部)、取得した画像データを適宜所定の画像処理を施し(画像信号処理部)、表示部18を制御してライブビュー表示処理を開始する(制御部)。その後、ステップS103の処理に進む。
ステップS103において、画像処理制御部11の制御部は、補助データとしての見取り図データが既に存在するか否かの確認を行う。ここで、補助データ(見取り図データ)は、例えばカメラ1に内蔵される一時記憶部若しくは記録部14等に記憶されるものである。この場合において、補助データ(見取り図データ)が既に存在することが確認された場合には、ステップS104の処理に進む。また、この時点において補助データ(見取り図データ)は存在していないことが確認された場合には、ステップS105の処理に進む。
ステップS104において、画像処理制御部11の制御部は、表示制御部11aを介して表示部18を制御して補助データ(見取り図データ)表示処理を実行する。その後、ステップS107の処理に進む。
ここで、補助データ(見取り図データ)表示処理の詳細についての説明は省略するが、概略以下のような処理が行われる。
カメラ1において、補助データ(見取り図データ)を既に保持している場合とは、例えば、上述したように、カメラ1にて取得した画像データに基いて生成し、記録部14等に記録している場合のほか、別の機会に取得済みか若しくは別の装置にて生成済みの補助データ(見取り図データ)を、予め記録部14等に複写記録済みである場合等である。
補助データ(見取り図データ)表示処理においては、これら記録済みの補助データ(見取り図データ)を記録部14等から読み出して、上述説明した図4に示すような表示形態で表示部18を用いて表示させる処理を行う。
この場合において、記録部14等に記録済みの補助データ(見取り図データ)が複数存在することもあり得る。このような場合には、例えばまず記録部14に記録済みの補助データ(見取り図データ)の一覧表示を行った後、その一覧表示の中から所望のデータ項目を使用者(ユーザ)に選択させ、選択された補助データ(見取り図データ)について同様の表示処理(図4の表示形態等)を行うようにすればよい。
上述のステップS103の処理にて、補助データ(見取り図データ)の存在が確認されずにステップS105の処理に進むと、このステップS105において、画像処理制御部11の制御部は、操作判定部16からの信号を監視してユーザー操作の有無を確認する。ここで、ユーザー操作は、使用者(ユーザ)による各種の操作部材等の操作を指す。このユーザー操作がなされることにより、操作に応じた指示信号が発生する。したがって、その指示信号の発生が確認された場合には、ユーザー操作がなされたものとして、ステップS106の処理に進む。また、指示信号の発生が確認されない場合には、ユーザー操作がなされていないものとして、ステップS107の処理に進む。
ステップS106において、画像処理制御部11の制御部は、上述のステップS105の処理において発生したユーザー操作に応じた動作処理を実行する。その後、ステップS107の処理に進む。
ここで、ユーザー操作に応じた動作処理は、各種の操作部材毎に異なる動作処理がある。例えば、動作モード切り換え部材が操作されて別の動作モードへの切り換え信号が発生している場合には所定の動作モード切換処理を行う。また、電源ボタンが操作されてオフ信号が発生している場合には所定の電源オフ処理を行う。そして、撮像動作を開始するための撮像操作、即ちレリーズボタンの押圧操作等によるレリーズ信号が発生している場合には所定のレリーズ処理が実行される。その他、各種の操作部材に応じた動作処理があるが、詳細説明は省略する。
ステップS107において、画像処理制御部11の制御部は、上述のステップS105のユーザー操作が撮像動作を開始するための撮像操作であるか否かの確認を行う。ここで撮像操作である場合には、ステップS108の処理に進む。また、撮像操作ではない場合には、上述のステップS101の処理に戻り、以降同様の処理を繰り返す。
ステップS108において、画像処理制御部11の制御部は、補助データ(見取り図データ)に対する操作がなされたか否かの確認を行う。この状態にあるときには、例えば表示部18に表示中の見取り図データに基く見取り図上の所望の領域に対してタッチパネル19を介して所定のタッチ操作等を行うと、そのタッチ位置に対応する所定領域を撮像対象とするAF処理やAE処理等が実行された後、タッチレリーズ信号が発生して、レリーズ処理が実行され得る。そこで、このステップS108においては、画像処理制御部11の制御部は、タッチパネル19の出力信号を監視する。そして、上記タッチレリーズ信号が確認された場合には、ステップS114の処理に進む。また、上記タッチレリーズ信号が確認されなかった場合には、ステップS109の処理に進む。
ステップS109において、画像処理制御部11の制御部は、撮像部12,表示部18,記録部14等を制御して、通常の撮像処理を実行する。その後、ステップS110の処理に進む。
ステップS110において、画像処理制御部11の制御部は、上述のステップS109の撮像処理が全体像の撮像処理であったか否かの確認を行う。ここで、全体像の撮像処理であった場合には、ステップS111の処理に進む。また、全体像の撮像処理ではなかった場合には、ステップS115の処理に進む。
ステップS111において、画像処理制御部11の制御部は、所定の死角予測処理を実行する。なお、この死角予測処理の詳細は、図7のサブシーケンスにて後述する。
次いで、ステップS112において、画像処理制御部11の制御部は、生成された見取り図データにづいて表示部18に表示される見取り図について、データ記録するか否かの確認を行う。ここで、使用者(ユーザ)は、当該見取り図データの記録を行いたい場合には、例えば操作部材のうちOKボタンの押圧操作を行う。また、記録せずにやり直す等の場合には、その他の操作部材例えば非記録動作を明示的に指示するキャンセルボタン等を操作する。若しくは、何の操作も行わないまま所定の時間の経過を待つことによってもキャンセルすることを指示することもできる。
そのために、制御部は、操作判定部16を監視する。この場合において、OKボタンの指示信号が確認された場合には、ステップS113の処理に進む。また、OKボタン以外の指示信号が確認された場合、若しくは所定の時間操作がなされなかったとき、上述のステップS101の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。
ステップS113において、画像処理制御部11の制御部は、補助データ(見取り図データ)作成処理を実行する。なお、この補助データ(見取り図データ)作成処理の詳細は省略する。その後、上述のステップS101の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。
一方、上述のステップS108の処理にて、上記タッチレリーズ信号が確認されてステップS114の処理に進むと、このステップS114において、画像処理制御部11の制御部は、個々の構造物に対する撮像処理を行った後、見取り図データ上の対応する位置に、その部位が撮像済みである旨の情報を表示する処理を実行する。その後、ステップS115の処理に進む。
ステップS115において、画像処理制御部11の制御部は、上述のステップS114の処理にて取得した撮像結果の画像記録処理を実行する。この画像記録処理においては、取得した画像データに対し、関連する各種の情報を付加し関連付けするといった処理も同時に実行される。ここで、関連する各種の情報としては、一般的な撮像情報のほかに、上記補助データ(見取り図データや全体像の画像データ等を含む)に関する情報等をも含む。この画像記録処理において生成される画像データのデータ構造の例としては、例えば図8等に示すような形態が考えられる。
図8に示すように、画像データファイルには、ファイル番号(No.xxx)情報と、画像データ本体と、各種の画像情報(日時情報,位置情報,撮像条件等の撮像情報)と、画像サムネイルと、全体画像サムネイルと、見取り図サムネイル等の情報を含んで構成される。なお、上記日時情報は、カメラ1の制御部が有する内部時計等から取得した撮像時の日時に関する情報である。上記位置情報は、例えばGPS17bから取得した撮像時のカメラ1の地球上における位置に関する情報、具体的には例えば緯度経度情報等である。上記撮像条件等の撮像情報としては、撮像光学系のレンズ名,焦点距離,絞り値,ホワイトバランス,ISO感度,色空間,動作モード,AEモード,AFモード,シーンタイプ,シリアルナンバー,ドライブモード,解像度,処理アプリケーション等を含む各種情報であって、いわゆるイグジフ(Exif)情報等が相当する。
他方、上述のステップS101の処理にて撮像モードの設定が確認されずに図6のステップS121の処理に進むと(図5,図6の符号A)、この図6のステップS121において、画像処理制御部11の制御部は、現在設定されている動作モードが再生動作を実行し得る再生モードに設定されているか否かの確認を行う。ここで、再生モードに設定されていることが確認された場合には、次のステップS122の処理に進む。また、再生モードに設定されていない場合には、ステップS124の処理に進む。
ステップS122において、画像処理制御部11は、記録部14,表示部18等を制御して所定の画像再生処理を実行する。この画像再生処理の詳細は、従来のカメラ1において行われるものと同様の処理であるものとして、その説明は省略する。その後、ステップS123の処理に進む。
ステップS123において、画像処理制御部11の制御部は、操作判定部16を監視して、再生用画像の変更操作がなされたか否かの確認を行う。ここで、再生画像の変更を指示するために所定の操作部材による変更操作がなされると、所定の変更指示信号が発生する。この変更指示信号が確認されるとステップS125の処理に進む。また、上記変更指示信号が確認されない場合には、図5のステップS101の処理に戻り、以降の処理を繰り返す(リターン)。
上述のステップS123の処理にて、変更指示信号の発生を確認してステップS125の処理に進むと、このステップS125において、画像処理制御部11の制御部は、所定の画像変更処理を実行する。その後、図5のステップS101の処理に戻り、以降の処理を繰り返す(リターン)。
なお、上述のステップS121の処理にて、再生モードに設定されていない(例えば画像通信モードに設定されている)ことが確認されてステップS124の処理に進むと、このステップS124において、画像処理制御部11の制御部は、所定の画像通信処理を実行する。その後、図5のステップS101の処理に戻り、以降の処理を繰り返す(リターン)。
次に、上記死角予測処理(図5のステップS111の処理)の詳細を、図7を用いて以下に説明する。上記構造物の撮像推奨領域の一つに、構造物を構成する直方体の面が露呈していて、撮影可能な状態の部位である。こうした露呈面は、経時変化などをモニタしやすく、のちのちまでに重要な評価項目になるので重要であるが、1回の撮影では死角になることがあり、このような死角部を判定してガイドすることは、非常にユーザーに有益となる。
上述したようにして、図7の死角予測処理シーケンスに移行すると、まず、図7のステップS201において、画像処理制御部11の制御部は、姿勢センサ17a,方位センサ17c等の検出結果を参照しながら、カメラ1の姿勢が水平に保持されているか否かの確認を行う。ここで、カメラ1の姿勢が水平に保持されている(姿勢はOKである)ことが確認された場合には、ステップS203の処理に進む。また、カメラ1の姿勢が水平に保持されていない(姿勢はOKではない)場合には、ステップS202の処理に進む。ここで、水平を重視しているのは、建築物はそれを支える柱が品質に大きく影響するためで、柱が床から垂直に立って重力に逆らって建築物を支えるからである。水平に構えなくとも、水平とか重力方向が分かっていれば、画像が斜めでも、これを元に、柱や床が判定可能である。また、柱以外の構造物に関してガイドを出す場合には、壁などを基準にアーチや梁などを判定してもよいが、このような場合は、必ずしも水平保持をしなくてもよい。
ステップS202において、画像処理制御部11の制御部は、表示制御部11a,ガイド表示制御部11cによって表示部18等を制御して、カメラ1の姿勢を水平に保持すべき旨のアドバイス表示等を行う姿勢アドバイス処理を実行する。その後、ステップS201の処理に戻り、カメラ1の姿勢が水平に保持される状態(姿勢OK)になるまで以降の処理を繰り返す。
ステップS203において、画像処理制御部11の制御部は、構造物輪郭判定部11b等によって、上記全体像を撮像した画像データについての画像信号処理を実行する。この場合における画像信号処理は、例えば画像内において、水平ライン(床や天井の境界を示すライン;図2の符号204,205等参照)を判定し、また、同画像データの画像内において、左端若しくは右端に垂直ラインが存在するか否かの確認を行う。ここで、左右端の垂直ラインは、例えば図2に示す例において、最も奥待った位置にある柱の垂直線を想定している。つまり、左右いずれかの端部の垂直ラインと、床及び天井の境界水平ライン(204,205)とを確認することで、全体像を撮像するのに適切な撮像領域がカバーされているか否かを確認する。具体的には例えば、床及び天井の境界水平ライン(204,205)が含まれており、かつ左右端部の一方の垂直ラインのみである場合には、全体像を撮像し得ないと判定される。この場合には、画角が足りないか若しくは距離が近いことから、ズーム設定をワイド側にするか若しくはカメラ1を持つ使用者(ユーザ)が下がる等によって、より広い領域の撮像を行ない得る。そこで、次のステップS204の処理において、そのようなアドバイスを行う処理を設けている。
即ち、ステップS204において、画像処理制御部11の制御部は、表示制御部11a,ガイド表示制御部11cによって表示部18等を制御して、画角や距離に関するアドバイス処理を実行する。その後、ステップS203の処理に戻る。
ステップS205において、画像処理制御部11の制御部は、構造物輪郭判定部11b等によって、上記全体像の画像データにおいて、垂直ラインが3本近接して存在する領域があるか否かの確認を行う。ここで、3本の垂直ラインが近接して存在する場合とは、例えば図2に示すように、直方体形状の柱を斜め方向から見た場合を想定している。この場合において、3本の垂直ラインが近接して存在する場合には、次のステップS207の処理に進む。また、3本の垂直ラインが近接して存在しない場合には、ステップS206の処理に進む。また、この場合において、例えば直方体形状の柱を真正面から見た場合、垂直ラインは2本しか見えない。このような場合には、例えばカメラ1の位置を左右に移動させれば、垂直ラインが3本近接して存在するように見える可能性がある。そこで、次のステップS206の処理において、その旨のアドバイスを行う処理を設けている。
ステップS206において、画像処理制御部11の制御部は、表示制御部11a,ガイド表示制御部11cによって表示部18等を制御して、左右方向における撮像位置に関するアドバイス処理を実行する。その後、ステップS205の処理に戻る。
ステップS207において、画像処理制御部11の制御部は、上述のステップS205の処理における構造物輪郭判定部11b等による判定の結果を受けて、上記全体像の画像内における直方体を検出する直方体検出処理を行う。直方体検出処理は、直方体形状の柱を検出する処理であって、上記死角予測部11dに含まれる直方体予測部11eによって実行される。
次いで、ステップS208において、画像処理制御部11の制御部は、全体像の画像内における位置,距離に応じて検出した各直方体の配置を推測し、全体像の見取り図化、即ち撮像対象領域200(部屋)を撮像した全体像に基く俯瞰見取り図を生成する。その後、ステップS209の処理に進む。ここでは、「見取り図」と書いたが、ユーザーが撮り忘れしないような表現が可能な画像であれば、実写のままやイラスト表現化された画像でも良い。
ステップS209において、画像処理制御部11の制御部は、上述の処理にて検出した3つの輪郭(3本の垂直ライン)が鋭角で一点に集まっている交点部分、例えば図2において符号L1A,L2A,L3A,R1A,R2A,R3A等によって示す部分が存在するか否かの確認を行う。ここで、3つの輪郭が鋭角で一点に集まっている交点部分が存在する場合には、次のステップS210の処理に進む。また、3つの輪郭が鋭角で一点に集まっている交点部分が存在しない場合には、一連の処理を終了し、元のシーケンスに戻る(リターン)。
ステップS210において、画像処理制御部11の制御部は、上述の処理にて検出された直方体(柱部分)に着目し、当該直方体を構成する輪郭線のうち3つの垂直ラインの輪郭(図2の符号OR1,OL1参照)を除く2つの輪郭(図2の符号OR2,OL2参照)を延長した延長線(図2の符号OR3,OL3,OL4)が垂直輪郭(図2の符号OL1,OR1)及び床面輪郭(図2の符号205)のいずれにも交差するか否かの確認を行う。ここで、上記条件が確認された場合には、ステップS211の処理に進む。その他の場合は、ステップS212の処理に進む。
ステップS211において、画像処理制御部11の制御部は、上記2つの輪郭(図2の符号OR2,OL2参照)の延長線(図2の符号OR3,OL3,OL4)のうち床輪郭205が交差するライン(図2の符号OL2B.OR2B)を含む面(図2の符号AL2,AR2)の背面側を死角部として推測し設定する。その後、一連の処理を終了し、元のシーケンスに戻る(リターン)。上記死角領域は、床や天井以外に当接して生じる輪郭線によって判定するのに限る必要はなく、壁面と当接して生じる輪郭205が交差するラインを含む面を利用すれば、アーチ状の構造物や梁(この場合、必ずしも厳密に直方体である必要はない)などの撮影されなかった側を死角部として推測し設定することが可能となる。こうした応用は、もちろん、本発明のカバーするところである。
一方、ステップS212において、画像処理制御部11の制御部は、上記2つの輪郭(図2の符号OR2,OL2参照)を延長した延長線(図2の符号OR3,OL3,OL4)のうち床面輪郭205に交差するライン(図2の符号OR3,OL4)があるとき、交差する床面輪郭205を含む壁面(符号201,203)に対向する柱の面を死角部として推測し設定する。その後、一連の処理を終了し、元のシーケンスに戻る(リターン)。なお、死角と言っても、隙間が狭すぎて、カメラを構えるスペースがなく、撮影が不可能な死角もあるが、これをガイド表示すると、ユーザーにはストレスになるので、画像上の輪郭の距離などから、撮影可能か否かを判定して、撮影不可能な場合は、ガイド表示がでないように工夫してもよい。図2に示す距離D1,D2の長さなどは輪郭の延長などから類推が可能である。撮影時の焦点距離や対象物のピント合わせ時の距離情報などから、こうした数値は測定可能である。ここで、死角の判定方法を特記したのは、死角領域は、最初の撮影(図2等)では撮影されなかった領域であって、例えば図2のような撮影結果(画像)があったとしても、死角領域が存在していれば、その構造物の全体が正しい工事や塗装の面になっているか否かが、まったく保証できないからである。即ち、死角領域において、例えば工事ミス等があった場合には、この全体画像のみでは、ミスを確認することができず、このようなミスを見逃すと、その後の経時変化などによって同箇所の追跡が出来なくなる場合がある。例えば、工事の過程によっては、内装工事、例えば壁面に対する壁紙の貼着等によって、壁面がふさがってしまう(隠されてしまう)場合があり、後日正しい建築作業(工事)がなされたか否かを後で検証することができず、場合によっては工事のやり直し(内装の除去等)の作業が発生する場合がある。したがって、費用や工期に無駄が生じてしまうことになる。このような理由から、構造物の撮像推奨領域(死角領域)は、上記構造物の光学像を受けて得られた全体画像データにおいて撮影されなかった死角となる撮影可能な構造物の面を含むことは重要である。死角領域というだけあって、見逃しやすいという点からも、撮像補助としてのアドバイスが重要となる。
以上説明したように上記第1の実施形態によれば、撮像対象物の全体像の画像データを取得すると、その全体像の画像データに基いて、補助データとしての見取り図データを生成し得るとともに、その全体像の画像データで得られていない死角部等を予測して表示する等、未撮像部分や撮像方向等を提示して、撮像をガイドする撮像ガイド情報を生成することができる。
大量に取得された一連の画像データをあとで整理する際には、画像データのみで撮像エリアや撮像ポイントを特定することが困難であったが、本実施形態の撮像装置においては、全体像の撮像を行えば、その全体像の画像データに基いて簡単な見取り図を作成することができ、この見取り図データに関連する構造物について、それ以降に撮像される個々の撮像データは、自動的に上記見取り図データに関連付けられるので、例えば後日の画像整理時にも容易に特定が可能となる。したがって、確実かつ正確な画像整理を行うことができる。なお、ここでは、見取り図に表示した後、ガイド情報を表示しているが、死角情報を実写結果に拡張現実表示するような表現方法で、ユーザーにガイド情報を提供してもよい。
[第2の実施形態]
ところで、近年、ラジオコントロール式若しくは自律飛行を行い得る小型無人飛行体(いわゆるドローン等と呼ばれる飛行体)に撮像装置を搭載して飛行させ、上空からの動画像若しくは静止画像を手軽に撮像することができるようになっている。このような技術を利用すれば、例えば自然災害若しくは事故の現場等、人間が容易に入り込めないような地域であっても、上空から撮像を行うことで容易にその全体状況を把握することができると共に、取得した全体像の画像を観察することで個々の部分状況を確認し、必要に応じて、その部分状況に関するさらなる詳細な撮像を行なうことができ、よって詳細状況の確認が可能となっている。
そのような場合においても、例えば全体像の画像データを撮像することにより、簡単な見取り図データを生成し得れば至便である。次に説明する本発明の第2の実施形態は、このような状況を想定した場合の例示である。
図9は、本発明の第2の実施形態の撮像装置(カメラ)を用いて撮像動作を行なう際の状況を示す概念図である。図10は、図9の撮像状況下で取得される補助データ(見取り図データ)の表示例である。
図8に示す例は、例えば建築物300等を含む撮像対象領域(具体的に言えば例えば災害現場若しくは事故現場等)の上空において、撮像装置1を搭載した小型無人飛行体21を飛行させながら、上記撮像装置1の遠隔操作を行って撮像を行う状況を示している。
この場合において、まず、撮像装置1を遠隔操作することによって、当該撮像対象領域における建築物300を含む所定の範囲の全体像を1つの画像データとして取得する。このとき、カメラ1の姿勢は、小型無人飛行体21側の自律飛行制御によってある程度の安定した姿勢を保持させることができる。なお、カメラ1の姿勢制御を完全に行うことができないとしても、取得した画像データにおいて、画像内の直線を基準とし、姿勢センサ17a,方位センサ17c等の検出結果を参照しながら水平垂直を規定するようにしてもよい。なお、図9に示す例では、建造物300は、複数の略立方体形状301,302を組み合わせた構造からなるものとしている。
こうして撮像対象領域の全体像の画像データが取得されると、この画像データに基いて、カメラ1の画像処理制御部11は各種の信号処理を実行し、例えば構造物輪郭判定部11bによって画像内の建造物300の輪郭部分を判定して直方体検出処理を行い、補助データである見取り図データを生成する処理等が実行される。この場合における見取り図データとは、例えば撮像対象領域における建造物の概略的な配置を示す俯瞰見取り図のデータである。また、さらに死角予測部11dによって、上記見取り図データ上に付加する情報、即ち例えば各建造物の死角部位,死角範囲等に関する撮像ガイド情報等を生成する。 このようにして生成された見取り図データは、図10に示すような形態で表示部18の表示画面に表示されると同時に、例えば記録部14等の所定の記憶領域に記憶される。
図10においては、表示部18の表示画面の表示領域全体を用いて、上記見取り図データに基いて生成された見取り図画像18aが表示されている形態を示している。このとき、表示部18の表示画面の一隅部分には、例えば表示中の画像が「見取り図データ」である旨を示す表示18dと、戻るアイコン18bと、全体像を撮像したときのカメラ1の位置及び方向を示す矢印アイコン18c等が表示されている。
また、図10においては、建造物300の一部であって、全体像を撮像したときのカメラ1の位置から死角となる部位,範囲に対し、輪郭線を太線若しくは色付けする手段等によって表示し、符号DAを付している。この部位DAを死角表示というものとする。このように表示される死角表示DAは、当該建造物300を対象として詳細な撮像を行う際の撮像ガイド情報となる。
なお、図10においても、各符号は当該表示を説明するために付しているものであって、実際に表示部18の表示画面に見取り図データが表示されるのに際し、これらの符号が表示されるものではないのは、上述の第1の実施形態における図3,図4と同様である。その他の表示体系や、作用についての細かい点においては、上述の第1の実施形態と略同様である。
このように構成される本実施形態のカメラ1の作用の主な制御処理シーケンスは、上述の第1の実施形態と略同様である。なお、本実施形態においては、死角予測処理の処理シーケンスにおいて若干異なる。したがって、本実施形態のカメラにおける作用のうち上述の第1の実施形態のカメラとは異なる部分についてのみ、以下に説明する。図11は、本発明の第2の実施形態の撮像装置(カメラ)における作用のうち死角予測処理(図5のステップS111の処理に相当する処理)の詳細を示すフローチャートである。
ステップS201,S202の処理は、上述の第1の実施形態(図7参照)と同様である。なお、本実施形態において、ステップS202の姿勢アドバイス処理は、小型無人飛行体21の操縦者に対するアドバイス表示としてもよいし、当該小型無人飛行体21が自律型制御である場合には、当該小型無人飛行体21の制御部へのアドバイス指示制御であってもよい。
ステップS203Aにおいて、画像処理制御部11の制御部は、構造物輪郭判定部11b等によって、上記全体像を撮像した画像データについての画像信号処理を実行する。この場合における画像信号処理は、例えば画像内において、水平ライン(屋上の境界を示すライン;図9参照)を判定し、また、上記判定された水平ラインの左右端に垂直ラインが存在するか否かの確認を行う。ここで、左右端の垂直ラインは、例えば図9に示す例において、建造物300の左右両端の垂直の輪郭線を想定している。つまり、左右端部の垂直ラインと、屋上の境界水平ラインとを確認することで、対象とする建造物300の屋上領域が判定される。ここで、屋上判定がなされない場合には、ステップS204Aの処理に進む。一方、屋上判定がなされた場合、ステップS305の処理に進む。
ステップS204Aにおいて、画像処理制御部11の制御部は、表示制御部11a,ガイド表示制御部11cによって表示部18等を制御して、画角,距離,高度等に関するアドバイス処理を実行する。その後、ステップS203Aの処理に戻る。
ステップS305において、画像処理制御部11の制御部は、屋上輪郭が完結しているか否かを確認する。屋上輪郭が完結しているとは、建造物300において、例えば複数の直方体形状301,302の全ての屋上部分についての検出が行われたか否かの確認である。ここで、屋上輪郭が完結している場合には、次のステップS307の処理に進む。また、屋上輪郭が完結していない場合には、ステップS203Aの処理に戻り、以降の処理を繰り返す。
ステップS307において、画像処理制御部11の制御部は、上述のステップS203Aの処理における構造物輪郭判定部11b等による判定の結果、上記全体像の画像内での直方体検出処理を行う。この場合における直方体検出処理においては、例えばさらに色の均一性も考慮に入れた処理を実行する。
続いて、ステップS308において、画像処理制御部11の制御部は、全体像の画像内における位置,距離に応じて検出した各直方体301,302の配置を推測し、全体像の見取り図化、即ち撮像対象領域を撮像した全体像に基く俯瞰見取り図を生成する。その後、ステップS309の処理に進む。なお、上述のステップS308の処理は、上記第1の実施形態における図7のステップS208と同じ処理である。
続いて、ステップS309において、画像処理制御部11の制御部は、上述の処理にて検出された屋上輪郭を構成する複数の輪郭線のうちの2つの輪郭と上記直方体の1本の垂直ラインとの3つの輪郭(図9の符号OS参照)が鈍角で一点で繋がるか(交わっている交点があるか;図9の符号S1参照)否かの確認を行う。ここで、当該交点(符号S1)が存在する場合には、ステップS310の処理に進む。また、上記交点が存在しない場合には、一連の処理を終了し、元のシーケンスに戻る(リターン)。
ステップS310において、画像処理制御部11の制御部は、上記3つの輪郭(図9の符号OS参照)のうちの垂直ラインの対角(図9の符号S2参照)を含む二面を死角面とする。その後、一連の処理を終了し、元のシーケンスに戻る(リターン)。その他の作用は、上述の第1の実施形態と同様である。
以上説明したように、上記第2の実施形態においても、上述したような状況下、即ち例えばドローン等の小型無人飛行体を用いるような広範囲な撮像領域を対象とした場合においても、上述の第1の実施形態と略同様の効果を得ることができる。
上述の各実施形態で説明した各処理シーケンスは、その性質に反しない限り、手順の変更を許容し得る。したがって、上述の処理シーケンスに対して、例えば各処理ステップの実行順序を変更したり、複数の処理ステップを同時に実行させたり、一連の処理シーケンスを実行する毎に、各処理ステップの順序が異なるようにしてもよい。即ち、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。また、これらの動作フローを構成する各ステップは、発明の本質に影響しない部分については、適宜省略も可能であることは言うまでもない。
また、ここで説明した技術のうち、主にフローチャートで説明した制御や機能は、多くがソフトウエアプログラムにより設定可能であることが多くあり、そのソフトウエアプログラムをコンピュータが読み取り実行することで上述した制御や機能を実現することができる。そのソフトウエアプログラムは、コンピュータプログラム製品として、予め製品製造過程において上記記憶媒体や記憶部等、具体的には例えばフレキシブルディスク,CD−ROM等,不揮発性メモリ等の可搬媒体や、ハードディスク,揮発性メモリ等の記憶媒体に、その全体あるいは一部を記憶又は記録されている電子データである。また、これとは別に、製品出荷時又は可搬媒体或いは通信回線を介して流通又は提供が可能なものである。利用者は、製品出荷後であっても、自ら通信ネットワーク,インターネット等を介して、それらのソフトウエアプログラムをダウンロードしてコンピュータにインストールしたり、あるいは記憶媒体からコンピュータにインストールすることで、動作可能にすることができ、これによって容易に本実施形態の撮像装置を実現することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。