(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態による乗客重量均一化支援装置1を含む乗客重量均一化支援システムSの構成を示すブロック図である。乗客重量均一化支援システムSは、乗客重量均一化支援装置1と、線路に沿って走行する鉄道の列車3と、列車3が停車する駅5A,5B,5C,…と、通信ネットワーク7とを備える。
なお、駅5A,5B,5C,…の各々には、順に「A駅」,「B駅」,「C駅」,…という駅名が付与されており、以下の説明では、符号「5A」,「5B」,「5C」,…を用いるとともに、「A駅」,「B駅」,「C駅」,…の駅名を示す情報も用いて記載する。
図1において、B駅からA駅に向かう方向が上り方向であり、B駅からC駅に向かう方向が下り方向であるとする。図1に示す列車3は、下り方向、すなわちB駅に向かう方向に進行しているものとする。また、列車3は、各々の列車3に対して予め定められる運行経路を、各々の列車3に対して予め定められる時刻表に示される時刻にしたがって走行する。
(列車の構成)
図2は、列車3の構成を示すブロック図である。列車3は、例えば、3つの車両30−1,30−2,30−3が連結された連結車両であり、車両30−1,30−2,30−3の各々は、重量センサ31−1,31−2,31−3を備えている。重量センサ31−1,31−2,31−3は、内部に記憶領域を備えており、各々が設置されている車両30−1,30−2,30−3を識別する車両識別情報を予め記憶する。例えば、車両識別情報として、車両30−1,30−2,30−2の各々に「1号車」、「2号車」、「3号車」の車両番号が付与されている場合、各々の内部の記憶領域は、当該車両番号を予め記憶する。
また、重量センサ31−1,31−2,31−3は、車両30−1,30−2,30−3の床に埋め込まれている板バネに接続されており、当該板バネの上に載っている乗客の合計重量値、すなわち、車両30−1,30−2,30−3の各々に乗車している乗客の合計重量値を測定し、車両乗客重量値として出力する。また、重量センサ31−1,31−2,31−3は、車両乗客重量値を出力する際に、各々の内部の記憶領域が記憶する車両識別情報を付加して出力する。
車両30−1は、更に、計時装置33、位置検出装置34、及び情報送信装置35を備える。計時装置33は、情報送信装置35に接続されており、例えば、カレンダ機能付きの時計であり、要求を受けると、要求を受けた時点での年、月、日、時刻を含むタイムスタンプ情報を出力する。
位置検出装置34は、情報送信装置35に接続されており、例えば、列車3が走行する経路の情報を含む地図情報と、GPS(Global Positioning System)とを備えている。位置検出装置34は、要求を受けると、要求を受けた時点での位置を示す位置情報と、地図情報とに基づいて、列車3が停車中の駅、または、列車3が走行している駅と駅の間の区間のいずれかを示す地点情報を出力する。例えば、列車3が、B駅に停車している場合、または、B駅の近傍に存在している場合「B駅」の地点情報を出力し、A駅とB駅の間に存在している場合、「A−B」の地点情報を出力する。
情報送信装置35は、重量センサ31−1,31−2,31−3と接続しており、重量センサ31−1,31−2,31−3の各々が測定して出力する車両識別情報が付加された車両乗客重量値の情報を収集する。また、情報送信装置35は、内部に記憶領域を備えており、当該内部の記憶領域は、予め列車3の列車情報を記憶する。
ここで、列車情報とは、列車名と、上り方向か下り方向かを示す方向の情報と、出発時刻とを含む情報であり、列車名が特定されることにより、経由する駅を特定する経路が特定される。これに、方向を加えることで、経路における進行方向が特定され、運行経路が定められることになる。また、出発時刻とは、列車3ごとに予め定められる時刻表おいて、予め定められる運行経路における始発駅を出発する時刻である。一例として、図1に示す列車3には、「α」の列車名が付与されており、情報送信装置35の内部の記憶領域は、列車名「α」、方向「下り方向」、出発時刻「10:00:00」の情報を予め記憶しているものとする。
また、情報送信装置35は、内部にタイマを備えており、一定の周期、例えば、1分ごとに、重量センサ31−1,31−2,32−3から収集した車両識別情報が付加された車両乗客重量値と、計時装置33に要求して取得したタイムスタンプ情報と、位置検出装置34に要求して取得した地点情報と、内部の記憶領域が記憶する列車情報とを含む車両乗客重量情報を生成する。また、情報送信装置35は、通信ネットワーク7と無線によって接続されており、生成した車両乗客重量情報を乗客重量均一化支援装置1に送信する。
(駅の構成)
図3は、駅5A,5B,5C,…の構成を説明するための図であり、図3では、一例として駅5B、すなわちB駅の構成を示している。B駅は、プラットホーム50Bと、重量センサ52B−1U,52B−2U,52B−3Uと、情報送受信装置53Bと、計時装置54Bと、表示装置55Bとを備える。
プラットホーム50Bにおいて、下り方向の列車3が停車した場合の車両30−1,30−2,30−3の出入口の位置に対応した乗客の乗降スペース51B−1D,51B−2D,51B−3Dの領域が予め定められている。
重量センサ52B−1D,52B−2D,52B−3Dは、乗降スペース51B−1D,51B−2D,51B−3Dに埋め込まれている板バネに接続されており、当該板バネの上に載っている乗客の合計重量値を測定し、乗降スペース乗客重量値として出力する。また、重量センサ52B−1D,52B−2D,52B−3Dは、内部に記憶領域を備えており、各々が接続する乗降スペース51B−1D,51B−2D,51B−3Dを識別する乗降スペース識別情報を予め記憶する。
例えば、乗降スペース51B−1D,51B−2D,51B−3Dには、下り方向の列車3が停車する。すなわち、乗降スペース51B−1Dには、列車3の「1号車」の車両番号が付与された車両30−1が停車し、乗降スペース51B−2Dには、「2号車」の車両番号が付与された車両30−2が停車し、乗降スペース51B−3Dには、「3号車」の車両番号が付与された車両30−3が停車する。
そのため、乗降スペース51B−1D,51B−2D,51B−3Dの各々に、例えば、車両識別情報に方向の情報を付加した「下り方向:1号車」、「下り方向:2号車」、「下り方向:3号車」の乗降スペース識別情報が予め付与される。重量センサ52B−1D,52B−2D,52B−3Dの各々の内部の記憶領域は、当該乗降スペース識別情報号を予め記憶する。重量センサ52B−1D,52B−2D,52B−3Dは、乗降スペース乗客重量値を出力する際、各々の内部の記憶領域が記憶する乗降スペース識別情報を付加して出力する。
計時装置54Bは、情報送受信装置53Bに接続されており、例えば、カレンダ機能付きの時計であり、要求を受けると、要求を受けた時点での年、月、日、時刻を含むタイムスタンプ情報を出力する。表示装置55Bは、例えば、液晶ディスプレイであり、プラットホーム50Bで待機している乗客が画面を見ることができる位置に配置されている。また、表示装置55Bは、情報送受信装置53Bに接続されており、情報送受信装置53Bが出力する画像情報を表示する。
情報送受信装置53Bは、重量センサ52B−1D,52B−2D,52B−3Dと接続しており、重量センサ52B−1D,52B−2D,52B−3Dの各々が測定して出力する乗降スペース識別情報が付加された乗降スペース乗客重量値を収集する。また、情報送受信装置53Bは、内部に記憶領域を備えており、当該内部の記憶領域は、情報送受信装置53Bが設置されている駅名の情報、例えば、「B駅」の情報を予め記憶する。
また、情報送受信装置53Bは、内部にタイマを備えており、一定の周期、例えば、1分ごとに、重量センサ52B−1D,52B−2D,52B−3Dから収集した乗降スペース識別情報が付加された乗降スペース乗客重量値と、計時装置54Bに要求して取得したタイムスタンプ情報と、内部の記憶領域が記憶する駅名の情報とを含む乗降スペース乗客重量情報を生成する。
また、情報送受信装置53Bは、通信ネットワーク7と無線によって接続されており、生成した乗降スペース乗客重量情報を乗客重量均一化支援装置1に送信する。また、情報送受信装置53Bは、通信ネットワーク7を介して情報送受信装置53Bから画像情報を受信し、受信した画像情報を表示装置55Bに出力する。
なお、図3では、下り方向の列車3に対応する乗降スペース51B−1D,51B−2D,51B−3Dのみを示しているが、上り方向の列車3を待機する乗客と、下り方向の列車3を待機する乗客の重量を分けて測定するために、プラットホーム50Bには、上り方向の乗降スペースも別に設けられている。図3に示していない上り方向の列車3が停車する乗降スペースを表す場合、乗降スペース51B−1U,51B−2U,51B−3Uとして示すものとする。
上り方向の乗降スペース51B−1U,51B−2U,51B−3Uの各々にも、下り方向の重量センサ52B−1D,52B−2D,52B−3Dと同様の構成の重量センサ52B−1U,52B−2U,52B−3Uが接続されている。
重量センサ52B−1U,52B−2U,52B−3Uの各々は、乗降スペース51B−1U,51B−2U,51B−3Uの乗降スペース乗客重量値を測定する。また、重量センサ52B−1U,52B−2U,52B−3Uの各々の内部の記憶領域は、乗降スペース識別情報として「上り方向:1号車」、「上り方向:2号車」、「上り方向:3号車」を予め記憶する。また、重量センサ52B−1U,52B−2U,52B−3Uの各々は、乗降スペース乗客重量値を出力する際、乗降スペース乗客重量値に各々の内部の記憶領域が記憶する乗降スペース識別情報を付加して情報送受信装置53Bに出力する。
なお、図1に示す、B駅以外のA駅、C駅等の他の駅も、B駅と同様の構成をしており、以下の説明において、例えば、B駅の情報送受信装置53Bに対応する、A駅の情報送受信装置を示す場合、符号に含まれる英文字「B」を対応する英文字「A」に替えて、情報送受信装置53Aとして示すものとする。
(乗客重量均一化支援装置の構成)
図4は、乗客重量均一化支援装置1の構成を示すブロック図である。乗客重量均一化支援装置1は、送受信部10、情報取得部11、車両乗客重量記憶部12、乗降スペース乗客重量記憶部13、逆分布算出部14、及び出力部15を備える。
送受信部10は、通信ネットワーク7に、有線または無線で接続され、列車3の情報送信装置35が送信する車両乗客重量情報を、通信ネットワーク7を介して受信する。また、送受信部10は、A駅、B駅、C駅,…に備えられている情報送受信装置53A,53B,53C,…から通信ネットワーク7を介して乗降スペース乗客重量情報を受信する。また、送受信部10は、情報送受信装置53A,53B,53C,…に対して通信ネットワーク7を介して画像情報を送信する。
情報取得部11は、送受信部10が列車3の情報送信装置35から逐次受信する車両乗客重量情報を取り込み、取り込んだ車両乗客重量情報を車両乗客重量記憶部12に書き込んで記憶させる。また、情報取得部11は、送受信部10が情報送受信装置53A,53B,53C,…から逐次受信する乗降スペース乗客重量情報を取り込み、取り込んだ乗降スペース乗客重量情報を乗降スペース乗客重量記憶部13に書き込んで記憶させる。
また、情報取得部11は、新たな車両乗客重量情報を取り込んで、車両乗客重量記憶部12に書き込んだ際、当該車両乗客重量情報に含まれる列車情報の列車名の情報を含む情報取得通知を逆分布算出部14に出力する。
逆分布算出部14は、車両乗客重量記憶部12が逐次記憶する車両乗客重量値の直近の情報と、乗降スペース乗客重量記憶部13が逐次記憶する乗降スペース乗客重量値の直近の情報とに基づいて、列車3が次に停車する駅5A,5B,5C,…における乗降スペース乗客重量値を考慮した車両乗客重量値の逆分布を算出する。
出力部15は、逆分布算出部14が算出した車両乗客重量値の逆分布に基づいて、列車3が次に到着する駅5A,5B,5C,…において待機する乗客の分布を示す画像情報を生成する。また、出力部15は、生成した画像情報を、送受信部10を通じて駅5A,5B,5C,…の情報送受信装置53A,53B,53Bに送信し、画像情報を表示装置55A,55B,55Cに表示させる。
(車両乗客重量記憶部のデータ構成)
車両乗客重量記憶部12は、図5に示すデータ構成となっており、「列車名」、「出発時刻」、「方向」、「地点」、「タイムスタンプ」、「車両乗客重量」の項目を有する。「車両乗客重量」の項目は、更に、「1号車」,「2号車」,「3号車」,…の車両識別情報のサブ項目に分かれている。車両乗客重量記憶部12は、図5に示すデータ構成のテーブルを列車名ごとに有しており、図5は、列車名が「α」のテーブルとなる。
情報取得部11は、車両乗客重量記憶部12に対して以下の手順で車両乗客重量情報の書き込みを行う。情報取得部11は、取り込んだ車両乗客重量情報に含まれる列車情報の内容、すなわち列車名の情報、出発時刻の情報、方向の情報を参照する。
情報取得部11は、参照した列車名の情報に基づいて、対応する車両乗客重量記憶部12のテーブルを検出し、検出したテーブルの先頭行に新たなレコードを生成する。情報取得部11は、生成した新たなレコードの「列車名」、「出発時刻」、「方向」の項目に、参照した列車情報に含まれる情報を書き込み、「タイムスタンプ」の項目に、車両乗客重量情報に含まれるタイムスタンプの情報を書き込む。
情報取得部11は、車両乗客重量情報に含まれる車両乗客重量値に付加されている車両識別情報を参照する。情報取得部11は、参照した車両識別情報に対応する「車両乗客重量」のサブ項目、すなわち「1号車」,「2号車」,「3号車」,…の項目に対して、当該車両識別情報に対応する車両乗客重量値を、例えば「kg」の単位で書き込む。
上述したように、情報取得部11は、直近のレコードが先頭行のレコードになるように、新たなレコードを生成する。したがって、図5の例では、レコード105が直近のレコードであり、レコード104,103,…の順に、より過去の時刻におけるレコードとなる。
図5に示すレコード100は、出発時刻が「10:00:00」であって、方向が「下り方向」の列車名「α」の列車3が、2018年3月2日の10:06:00にA駅とB駅の間を走行している際の車両乗客重量値を示しているレコードとなる。当該列車3が、その後、B駅に向かって走行し、B駅で停車して、B駅を出発してC駅に向かって走行している際に情報取得部11が逐次レコード101,102,103,104,105を書き込んでいく。
したがって、図5に示す車両乗客重量記憶部12のテーブルは、列車名が「α」の列車3における1分ごとの車両30−1,30−2,30−3の車両乗客重量値の変化を示すことになる。例えば、レコード100と、レコード101を参照すると、3号車の重量値が「450kg」から「400kg」に減少しており、2号車の重量値が「750kg」から「800kg」に増加している。このことから、A駅とB駅の間を走行中の列車3において、3号車から2号車に50kgに相当する乗客の移動があったことが分かる。
また、レコード102〜104は、B駅に列車3が到着した際の乗客の乗り降りによる重量の変化を示しており、その前後のレコード101と、レコード105を含めて参照することにより、B駅に列車3が停車することにより乗降した乗客の重量の変化を把握することができる。
(乗降スペース乗客重量記憶部のデータ構成)
乗降スペース乗客重量記憶部13は、図6に示すデータ構成となっており、「駅名」、「方向」、「タイムスタンプ」、「乗降スペース乗客重量」の項目を有する。「乗降スペース乗客重量」の項目は、更に、「1号車」,「2号車」,「3号車」,…のサブ項目、すなわち乗降スペース識別情報に含まれる車両識別情報のサブ項目に分けられている。乗降スペース乗客重量記憶部13は、図6に示すデータ構成のテーブルを駅名と方向の組ごとに有しており、図6は、駅名が「B駅」で方向が「下り方向」のテーブルとなる。
情報取得部11は、乗降スペース乗客重量記憶部13に対して以下の手順で乗降スペース乗客重量情報の書き込みを行う。情報取得部11は、取り込んだ乗降スペース乗客重量情報に含まれる駅名の情報を参照し、乗降スペース乗客重量記憶部13において、参照した駅名の情報に対応する上り方向と下り方向の2つのテーブルを検出する。
情報取得部11は、取り込んだ乗降スペース乗客重量情報に含まれる乗降スペース乗客重量値を1つずつ選択し、選択した乗降スペース乗客重量値に付与されている乗降スペース識別情報を参照する。情報取得部11は、参照した乗降スペース識別情報が、例えば、「下り方向:1号車」である場合、検出した2つのテーブルの中の下り方向のテーブルの先頭行に新たなレコードを生成する。
情報取得部11は、生成したレコードの「駅名」と「タイムスタンプ」の項目に、取り込んだ乗降スペース乗客重量情報に含まれる駅名の情報とタイムスタンプ情報を書き込み、「方向」の項目に「下り方向」の情報を書き込む。情報取得部11は、生成したレコードにおける、参照した乗降スペース識別情報の後半の車両識別情報に対応する「乗降スペース乗客重量」の「1号車」のサブ項目に対して、選択した乗降スペース乗客重量値を、例えば「kg」の単位で書き込む。
このようにして、情報取得部11が、乗降スペース乗客重量情報に含まれる上り方向と下り方向の乗降スペース乗客重量値の情報を分類しつつ、分類した乗降スペース乗客重量値を上り方向と下り方向のテーブルに対して書き込んでいく。
上述したように、情報取得部11は、直近のレコードが先頭行のレコードになるように、新たなレコードを生成する。したがって、図6の例では、レコード205が直近のレコードであり、レコード204,203,…の順に、より過去の時刻におけるレコードとなる。
乗降スペース乗客重量記憶部13の各々のテーブルを参照することで、ある特定の駅における上り方向、または、下り方向の乗降スペースにおける1分ごとの乗客の重量の変化を把握することができる。図6に示す例では、B駅の下り方向の乗降スペース51B−1D,51B−2D,51B−3Dにおける1分ごとの乗客の重量の変化を把握することができる。
例えば、図6に示すレコード202と図5のレコード102は、共に、2018年3月2日の10時8分前後のレコードであり、10時8分頃に、列車名「α」の列車3がB駅に到着して、乗客の降車が始まっていることが分かる。このレコード202と、その前のレコード201を参照することにより、列車3が、B駅に到着することにより、乗降スペース51B−1D,51B−2D,51B−3Dにおいて、降車した乗客分の重量値が一時的に増加していることを把握することができる。
その後、待機していた乗客が列車3に乗り込んでしまい、降車した乗客は、乗降スペース51B−1D,51B−2D,51B−3Dから離れて行ってしまうため、重量値は、急激に減少することがレコード204より把握することができる。
(第1実施形態の乗客重量均一化支援装置による処理)
次に、図7から図10を参照しつつ、第1実施形態の乗客重量均一化支援装置1による処理について説明する。図7は、第1実施形態の乗客重量均一化支援装置1の逆分布算出部14及び出力部15による処理の流れを示すフローチャートである。
上述したように、情報取得部11は、新たな車両乗客重量情報を取り込んで車両乗客重量記憶部12に書き込みを行うと、その都度、当該車両乗客重量情報に含まれる列車情報の列車名の情報を含む情報取得通知を逆分布算出部14に対して出力する(ステップSa1)。
逆分布算出部14は、情報取得部11が出力する情報取得通知を取り込み、情報取得通知に含まれる列車名の情報を参照し、参照した列車名に対応するテーブルを車両乗客重量記憶部12から検出して、先頭行のレコードを参照する。
例えば、列車3が、図1に示すように、A駅を出発してB駅に到着する少し前の状態である場合、逆分布算出部14が検出するレコードの先頭行は、例えば、「タイムスタンプ」の項目が「2018/3/2、10:07:00」の図5に示すレコード101となる。以下、逆分布算出部14が、先頭行のレコードとしてレコード101を参照したことを前提として説明する。
逆分布算出部14は、参照したレコード101の「車両乗客重量」のサブ項目、すなわち「1号車」、「2号車」、「3号車」の項目に書き込まれている車両乗客重量値を読み出し、読み出した車両乗客重量値の合計値を算出する(ステップSa2)。
逆分布算出部14は、参照したレコード101の「方向」の項目の情報である「下り方向」と、「地点」の項目の情報である「A−B」とを参照し、次に停車する駅がB駅であることを検出する。逆分布算出部14は、B駅の下り方向に対応するテーブルを乗降スペース乗客重量記憶部13から検出し、検出したレコードの先頭行のレコードを参照する。ここでは、タイムスタンプ情報が「2018/3/2、10:06:50」のレコード201が先頭行に存在しているとする。
逆分布算出部14は、レコード201の「乗降スペース乗客重量」のサブ項目、すなわち「1号車」、「2号車」、「3号車」のサブ項目に書き込まれている乗降スペース乗客重量値を読み出し、読み出した乗降スペース乗客重量値の合計値を算出する(ステップSa3)。
逆分布算出部14は、ステップSa2において算出した車両乗客重量値の合計値と、ステップSa3において算出した乗降スペース乗客重量値の合計値とを加算し、加算した値を列車3の車両数で除算して予定平均車両乗客重量値を算出する(ステップSa4)。
逆分布算出部14は、算出した予定平均車両乗客重量値から、レコード101の「車両乗客重量」の「1号車」、「2号車」、「3号車」のサブ項目から読み出した車両乗客重量値を減算し、減算した値を車両30−1,30−2,30−3の順番に並べて、車両乗客重量値の逆分布を算出する(ステップSa5)。
ステップSa4とステップSa5の演算を式にすると、次式(1)として表すことができる。
車両乗客重量値の逆分布=(車両乗客重量値の合計値+乗降スペース乗客重量値の合計値)/車両数−(各車両乗客重量値)・・・(1)
以下に、レコード101と、レコード201とに基づいて、車両乗客重量値の逆分布を具体的に算出する。図5のレコード101において破線で示したように、「1号車」、「2号車」、「3号車」の車両乗客重量値は、「500kg,800kg,400kg」となるため、合計値は、「500+800+400=1700kg」となる。図6のレコード201において破線で示したように、「1号車」、「2号車」、「3号車」の乗降スペース乗客重量値は、「300kg,300kg,400kg」となるため、合計値は、「300+300+400=1000kg」となる。
車両乗客重量値の合計値と、乗降スペース乗客重量値の合計値とを加算すると、「1700+1000=2700kg」となる。列車3の車両数は「3」であるため、予定平均車両乗客重量値は、「2700/3=900kg」となる。予定平均車両乗客重量値の「900kg」から、車両乗客重量値の各々、すなわち「500kg」、「800kg」、「400kg」を減算すると、「400kg」、「100kg」、「500kg」となる。この「400kg,100kg,500kg」の分布が、車両乗客重量値の分布である「500kg,800kg,400kg」の分布の逆分布となる。
逆分布算出部14は、算出した逆分布の情報に対して、次の停車駅の駅名の情報と方向の情報を付加して出力部15に出力する。ここでは、「B駅」の駅名の情報と、「下り方向」の方向の情報を付加したとする。出力部15は、逆分布算出部14が出力した逆分布の情報と、駅名の情報と、方向の情報とに基づいて、例えば、図8に示す画像情報300を生成する。出力部15は、送受信部10を通じて、逆分布の情報に付加されている駅名の情報である「B駅」に対応する情報送受信装置53Bに生成した画像情報300を送信する(ステップSa6)。
情報送受信装置53Bは、画像情報300を受信し、受信した画像情報300を表示装置55Bに出力する。表示装置55Bは、画像情報300を画面に表示する。
図9は、図5の車両乗客重量記憶部12のレコード101の車両乗客重量値をグラフ化した図面であり、車両30−1,30−2,30−3の各々の車両乗客重量値が、「500kg,800kg,400kg」であるため、破線で示した形状は、上に凸の形状になる。これに対して、図8に示す破線で示した形状は、下に凸の形状になっており、2つの形状は、図面の横方向をY軸とした場合、Y軸に対して線対称の関係にある形状となっている。そのため、図8に示す分布は、図9に示す車両乗客重量値の分布の逆分布を示すことになる。
例えば、B駅の駅員やB駅で待機している乗客が、表示装置55Bの画面に表示された画像情報300を参照して、B駅のその時点での乗降スペース51B−1D,51B−2D,51B−3Dの乗客の人数を目視で確認し、画像情報300のグラフと見比べたとする。図6に示すレコード201に示すように、乗降スペース51B−1D,51B−2D,51B−3Dの各々の乗降スペース乗客重量値は「300kg,300kg,400kg」である。そのため、乗降スペース51B−1D,51B−2D,51B−3Dの各々には、5〜6人の大人が並んでいることが想定される。
画像情報300のグラフは、B駅の駅員やB駅で待機している乗客に対して、乗降スペース51B−2Dに乗客が並び過ぎていることに気付きを起こさせる。そして、B駅の駅員に対して当該気付きを起こさせることにより、乗降スペース51B−2Dに並んでいる乗客を、他の乗降スペース51B−1D,51B−3Dに移動させるように促す行為をB駅の駅員に起こさせることにもなる。また、B駅の乗降スペース51B−2Dに並んでいる乗客に気付きを起こさせた場合、乗客が自ら他の乗降スペース51B−1D,51B−3Dに移動することになる。その結果、車両30−1,30−2,30−3に乗るために待機している乗客の分布を変化させることができ、乗客が乗車した後の各車両30−1,30−2,30−3の乗客の重量の均一化を行うことが可能となる。
なお、上記の第1実施形態の構成において、出力部15が、図8に示す画像情報300に替えて、図10に示す画像情報301を生成するようにしてもよい。図10に示す画像情報301は、車両乗客重量値の逆分布である「400kg、100kg、500kg」から図6のレコード201に示す乗降スペース乗客重量値である「300kg,300kg,400kg」を減算して得られた「100kg,−200kg,100kg」の重量値を示すグラフを含んだ画像情報である。
図10に示す画像情報301のグラフは、待機乗客の過不足重量値の分布を示している。例えば、画像情報301に示すグラフを参照したB駅の下り方向の乗降スペース51B−2Dで待機している乗客は、自らが並んでいる乗降スペース51B−2Dは、「−200kg」となっているため、既に200kg超過しているということを知ることができる。換言すると、乗降スペース51B−2Dで待機している乗客は、到着する列車3の車両30−2に乗車すると非常に混雑することを列車3に乗車する前に知ることができる。更に、画像情報301のグラフは、乗降スペース51B−1D,51B−3Dの各々が、「100kg」の余裕があることを示している。そのため、当該グラフを示すことにより、乗降スペース51B−2Dで待機している乗客に対して、乗降スペース51B−1D,51B−3Dに移動することを促すことができる。また、画像情報301のグラフは、B駅の駅員に対して、画像情報301のグラフと同様の気付きを起こさせることにもなる。
上記の第1実施形態の構成により、乗客重量均一化支援装置1において、車両乗客重量記憶部12は、列車3に乗車する乗客の車両30−1,30−2,30−3ごとの合計重量値を車両乗客重量値として、車両30−1,30−2,30−3ごとに記憶する。逆分布算出部14は、車両乗客重量記憶部12から車両30−1,30−2,30−3ごとの車両乗客重量値を読み出し、読み出した車両乗客重量値によって示される分布の逆分布を算出する。出力部15は、逆分布算出部14が算出する逆分布を、列車3が次に停車する停車駅における車両30−1,30−2,30−3ごとの乗降スペースに待機させる乗客の分布として出力する。算出した逆分布を乗客や駅員に提示することにより、乗車するために待機している乗客の分布を変えることになり、それにより、乗車後の車両ごとの乗客の重量の均一化を行うことが可能となる。
また、第1実施形態の乗客重量均一化支援装置1は、乗降スペース乗客重量記憶部13を備えており、乗降スペース乗客重量記憶部13は、停車駅の乗降スペース51B−1D,51B−2D,51B−3Dの各々において待機する乗客の合計重量値を乗降スペース乗客重量値として乗降スペースごとに記憶する。逆分布算出部14は、列車3の車両30−1,30−2,30−3ごとの車両乗客重量値と、列車3が次に停車する停車駅の車両30−1,30−2,30−3ごとの乗降スペースの乗降スペース乗客重量値とを加算し、加算した値を列車の車両数で除算して予定平均車両乗客重量値を算出し、算出した予定平均車両乗客重量値から、車両30−1,30−2,30−3ごとの車両乗客重量値の各々を減算して得られる複数の減算値を、車両30−1,30−2,30−3ごとに並べて示す分布を、逆分布とする。これにより、車両乗客重量値の分布の逆分布を算出することができ、算出した逆分布を乗客や駅員に提示することにより、乗車するために待機している乗客の分布を変えることになり、それにより、乗車後の車両ごとの乗客の重量の均一化を行うことが可能となる。
また、第1実施形態の乗客重量均一化支援装置1において、逆分布算出部14は、直近の車両乗客重量値と、乗降スペース乗客重量値とに基づいて車両乗客重量値の分布の逆分布を逐次算出しているため、より最新の状況を示す情報を乗客や駅員に逐次提供することが可能となる。
なお、上記の第1実施形態の図7の処理において、ステップSa2,Sa3の処理の順は入れ替わってもよい。
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態の乗客重量均一化支援装置1bの構成を示すブロック図である。第2実施形態において、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、以下、異なる構成について説明する。
乗客重量均一化支援装置1bは、送受信部10、情報取得部11、車両乗客重量記憶部12、乗降スペース乗客重量記憶部13、逆分布算出部14b、及び出力部15を備える。乗客重量均一化支援装置1bにおいて、逆分布算出部14bは、乗降スペース乗客重量記憶部13が記憶する乗降スペース乗客重量値を参照することなく、車両乗客重量記憶部12が記憶する車両乗客重量値のみに基づいて、車両乗客重量値の逆分布を算出する。
(第2実施形態の乗客重量均一化支援装置による処理)
次に、図12及び図13を参照しつつ、第2実施形態の乗客重量均一化支援装置1bによる処理について説明する。図12は、第2実施形態の乗客重量均一化支援装置1bの逆分布算出部14b及び出力部15による処理の流れを示すフローチャートである。
情報取得部11は、新たな車両乗客重量情報を取り込んで車両乗客重量記憶部12に書き込みを行うと、その都度、当該車両乗客重量情報に含まれる列車情報の列車名の情報を含む情報取得通知を逆分布算出部14bに対して出力する(ステップSb1)。
逆分布算出部14bは、情報取得部11が出力する情報取得通知を取り込み、情報取得通知に含まれる列車名の情報を参照し、参照した列車名に対応するテーブルを車両乗客重量記憶部12から検出して、先頭行のレコードを参照する。ここでは、第1実施形態と同様に、逆分布算出部14bが、先頭行のレコードとして図5に示すレコード101を参照したとして説明する。
逆分布算出部14bは、参照したレコード101の「車両乗客重量」のサブ項目、すなわち「1号車」、「2号車」、「3号車」のサブ項目に書き込まれている車両乗客重量値を読み出し、読み出した車両乗客重量値の最大値を検出する。ここでは、最大値として、「2号車」の項目の「800kg」を検出する。逆分布算出部14bは、検出した最大値から、車両乗客重量値の各々である「500kg,800kg,400kg」を減算して、複数の減算値である「300kg,0kg,400kg」を算出する。この分布が、図9に示した車両乗客重量値の分布の逆分布となる(ステップSb2)。
逆分布算出部14bは、算出した逆分布を、少なくとも比の最小値が「1」以上であって整数値で示される比で示すため、任意の一定値を加えて、比の形式で逆分布を示す。例えば、「100kg」を加算すると、「400kg,100kg,500kg」となり、「4:1:5」という比で示した逆分布となる(ステップSb3)。
逆分布算出部14bは、比で示した逆分布の情報に対して、次の停車駅の駅名の情報と方向の情報を付加して出力部15に出力する。ここでは、「B駅」の駅名の情報と、「下り方向」の方向の情報を付加したとする。出力部15は、逆分布算出部14bが出力した比で示した逆分布の情報と、駅名の情報と、方向の情報とに基づいて、例えば、図13に示す画像情報302を生成する。出力部15は、送受信部10を通じて、逆分布の情報に付加されている駅名の情報、すなわちB駅の情報送受信装置53Bに生成した画像情報302を送信する(ステップSb4)。
情報送受信装置53Bは、画像情報302を受信し、受信した画像情報302を表示装置55Bに出力する。表示装置55Bは、画像情報302を画面に表示する。
図13の画像情報302において破線で示した形状は、図8に示した画像情報300の破線の形状と同様に、下に凸の形状となっており、図面の横方向をY軸とした場合、図9に示した車両乗客重量値の分布の形状と、Y軸に対して線対称の関係にある形状となっている。そのため、図13に示す分布は、図9に示す車両乗客重量値の分布の逆分布を示すことになる。
第1実施形態の画像情報300のグラフと同様に、画像情報302のグラフは、B駅の駅員やB駅で待機している乗客に対して、乗降スペース51B−2Dに乗客が並び過ぎていることに気付きを起こさせる。そして、B駅の駅員に対して当該気付きを起こさせることにより、乗降スペース51B−2Dに並んでいる乗客を、他の乗降スペース51B−1D,51B−3Dに移動させるように促す行為をB駅の駅員に起こさせることにもなる。また、B駅の乗降スペース51B−2Dに並んでいる乗客に気付きを起こさせた場合、乗客が自ら他の乗降スペース51B−1D,51B−3Dに移動することになる。その結果、車両30−1,30−2,30−3に乗るために待機している乗客の分布を変化させることができ、乗客が乗車した後の各車両30−1,30−2,30−3の乗客の重量の均一化を行うことが可能となる。
なお、逆分布算出部14bは、乗降スペース乗客重量記憶部13が記憶する列車3がB駅に到着した際の乗降スペース乗客重量値、すなわち図6に示すレコード201の乗降スペース乗客重量値に基づいて、算出した「4:1:5」の比を乗降スペース乗客重量値に反映した逆分布を算出するようにしてもよい。具体的には、逆分布算出部14は、レコード201の乗降スペース乗客重量値の合計値を「300kg+300kg+400kg=1000kg」として算出し、算出した「1000kg」を「4:1:5」の比で分配して「400kg,100kg,500kg」の逆分布を算出することになる。この場合、算出した逆分布は、第1実施形態の逆分布算出部14bが算出した図8に示す逆分布と同じになる。
また、逆分布算出部14bが、ステップSb3において加える一定値は、任意の値であるため、例えば、過去の経験に基づく一定値を加えてもよい。例えば、「500kg」を加算して、「800kg,500kg,900kg」とし、「8:5:9」の比を逆分布として算出してもよい。ただし、例えば、「7000kg」といった大きな値を加えて「7300,7000,7400」とし「73:70:74」という比を算出することは、車両30−1,30−2,30−3の積載乗客重量の上限値から妥当な値にならない場合もあるため、一定値の加算後の値が、予め定められる上限値となる場合には、判定処理によって、一定値が不適切であることをエラーとして通知するようにしてもよい。
上記の第2実施形態の構成により、乗客重量均一化支援装置1bにおいて、逆分布算出部14bは、車両乗客重量値の最大値から、車両30−1,30−2,30−3ごとの車両乗客重量値の各々を減算して得られる複数の減算値の各々に任意に定められる一定値を加算して得られる複数の値を、車両30−1,30−2,30−3ごとに並べて比で示す分布を、逆分布とする。これにより、乗降スペースにおける乗客重量値がなくても、車両乗客重量値の分布の逆分布を算出することができ、算出した逆分布を乗客や駅員に提示することにより、乗車するために待機している乗客の分布を変えることになり、それにより、乗車後の車両ごとの乗客の重量の均一化を行うことが可能となる。
また、第2実施形態の乗客重量均一化支援装置1bにおいて、逆分布算出部14bは、直近の車両乗客重量値に基づいて車両乗客重量値の分布の逆分布を逐次算出しているため、より最新の状況を示す情報を乗客や駅員に逐次提供することが可能となる。
なお、上記の第1及び第2実施形態では、車両乗客重量記憶部12は、過去の情報も含めて車両乗客重量情報を蓄積するようにしているが、列車名ごとの各テーブルが、最新の車両乗客重量情報のみを記憶するようにしてもよい。また、上記の第1実施形態の乗降スペース乗客重量記憶部13についても、過去の情報を蓄積せず、各テーブルが、最新の乗降スペース乗客重量情報のみを記憶するようにしてもよい。
また、第2実施形態おける乗客重量均一化支援システムの構成は、図1に示した乗客重量均一化支援システムSの乗客重量均一化支援装置1のみが、乗客重量均一化支援装置1bに置き換えられた構成である。
また、第2実施形態において、逆分布算出部14bは、乗降スペース乗客重量記憶部13を参照しないため乗降スペース乗客重量情報に関連する構成を備えなくてもよい。すなわち、図3に示した、駅5Bの重量センサ52−1D,52−2D,…、及び計時装置54Bは、なくてもよく、情報送受信装置53Bは、画像情報を受信して表示装置55Bに画像情報を出力する構成のみを備えるようにしてもよい。また、乗客重量均一化支援装置1bは、乗降スペース乗客重量記憶部13を備えなくてもよく、その場合、情報取得部11も乗降スペース乗客重量情報を取り込んで乗降スペース乗客重量記憶部13に書き込む処理を行わない構成となる。
(第3実施形態)
図14は、第3実施形態の乗客重量均一化支援装置1cの構成を示すブロック図である。第3実施形態において、第1及び第2実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、以下、異なる構成について説明する。なお、第3実施形態おける乗客重量均一化支援システムの構成は、図1に示した乗客重量均一化支援システムSの乗客重量均一化支援装置1のみが、乗客重量均一化支援装置1cに置き換えられた構成である。
乗客重量均一化支援装置1cは、送受信部10、情報取得部11、車両乗客重量記憶部12、乗降スペース乗客重量記憶部13、逆分布算出部14c、出力部15、降車乗客重量算出部16、乗客重量履歴記憶部17、降車乗客重量予測部18、及び降車乗客重量記憶部19を備える。
逆分布算出部14cは、車両乗客重量値と、乗降スペース乗客重量値とに加えて、駅5A,5B,5C,…において降車する乗客の重量値を考慮した乗客降車後の車両乗客重量値の逆分布を算出する。また、逆分布算出部14cは、駅名の情報と列車情報と含む予測値算出要求を降車乗客重量予測部18に出力する。
降車乗客重量算出部16は、乗客重量履歴記憶部17が記憶する車両乗客重量値に関する履歴情報に基づいて、降車乗客重量値を算出し、算出した降車乗客重量値を降車乗客重量記憶部19に書き込んで記憶させる。
降車乗客重量予測部18は、逆分布算出部14cから予測値算出要求を受けて、降車乗客重量記憶部19が記憶する降車乗客重量値の中から予測値算出要求に含まれる列車情報に対応する降車乗客重量値を検出する。また、降車乗客重量予測部18は、検出した降車乗客重量値に基づいて、逆分布算出部14cが出力する予測値算出要求に含まれる駅名の情報に対応する駅5A,5B,5C,…の降車乗客重量の予測値を算出して逆分布算出部14cに出力する。
(乗客重量履歴記憶部のデータ構成)
乗客重量履歴記憶部17は、図15に示すデータ構成となっており、「日付」、「列車名」、「出発時刻」、「方向」、「車両番号」、「車両乗客重量」の項目を有しており、「車両乗客重量」の項目は、更に、地点情報で示されるサブ項目、例えば、「A駅」,「A−B」,「B駅」等の項目を有している。
乗客重量履歴記憶部17が記憶する車両乗客重量値に関する履歴情報は、例えば、1日における全ての列車3の運行が終了するタイミングで車両乗客重量記憶部12が記憶する情報から生成される。車両乗客重量値に関する履歴情報の生成及び乗客重量履歴記憶部17への書き込みは、外部の装置が車両乗客重量記憶部12の車両乗客重量値を参照して行うようにしてもよいし、乗客重量均一化支援装置1cの内部に備える機能部が行ってもよい。
例えば、図15に示すレコード400,401,402は、車両乗客重量記憶部12が記憶するレコードにおいて、「タイムスタンプ」の日付の情報が「2018/3/1」であって、「列車名」が「α」、「出発時刻」が「10:00:00」、「方向」が「下り方向」の複数のレコード(以下、生成元レコードという)に基づいて生成されたレコードである。
そのため、レコード400,401,403の「列車名」、「出発時刻」、「方向」の項目の各々には、「α」、「10:00:00」、「下り方向」の情報が書き込まれる。また、レコード400,401,403の「日付」の項目には、生成元レコードの日付、すなわち生成元レコードのタイムスタンプ情報の日付の情報である「2018/3/1」が書き込まれる。
レコード400は、生成元レコードの「車両乗客情報」の項目の「1号車」の項目に記憶されている車両乗客重量値に基づいて生成される。レコード401,402も同様に、それぞれ、生成元レコードの「車両乗客情報」の項目の「2号車」,「3号車」の項目に記憶されている車両乗客重量値に基づいて生成される。
乗客重量履歴記憶部17の「車両乗客重量」のサブ項目が、「A駅」,「B駅」等の駅名を示す項目である場合と、「A−B」,「B−C」等の区間を示す項目である場合とで、項目に書き込まれる車両乗客重量代表値に違いがある。
「車両乗客重量」のサブ項目が「A駅」,「B駅」等の駅名を示す項目の場合、当該駅に列車3が停車している間のレコードにおける車両乗客重量値の最小値が車両乗客重量代表値として書き込まれる。例えば、図5に示す車両乗客重量記憶部12において、列車3がB駅に停車している際のレコードは、レコード102,103,104になる。この3つのレコード102〜104の中で、「1号車」の項目の車両乗客重量値が最小になっているレコードはレコード103となる。したがって、レコード400の「車両乗客重量」の項目の「B駅」の項目には、当該車両乗客重量値の最小値の「250kg」が書き込まれることになる。
同様に、レコード401,402の「車両乗客重量」の項目の「B駅」の項目の各々には、レコード102〜104の中で最小値となる「300kg」,「150kg」が書き込まれることになる。
これに対して、「車両乗客重量」のサブ項目が「A−B」,「B−C」等の区間を示す項目の場合、当該駅に列車3が当該区間を走行している間の全てのレコードの車両乗客重量値の代表値が車両乗客重量代表値として書き込まれる。代表値としては、全てのレコードの車両乗客重量の平均値、最頻値、中央値、最大値、最小値等のいずれかが適用される。
このようにして、乗客重量履歴記憶部17には、1日前の車両乗客重量値に関する履歴情報が日々書き込まれて、車両乗客重量値に関する履歴情報が蓄積されていくことになる。
(降車乗客重量記憶部のデータ構成)
降車乗客重量記憶部19は、図17に示すデータ構成となっており、「日付」、「列車名」、「出発時刻」、「方向」、「車両番号」、「降車乗客重量」の項目を有しており、「降車乗客重量」の項目は、更に、駅名の地点情報で示される複数のサブ項目を有している。
降車乗客重量算出部16は、例えば、1日における全ての列車3の運行が終了して乗客重量履歴記憶部17が全ての車両乗客重量値に関する履歴情報の記憶を完了した後に、乗客重量履歴記憶部17を参照して、降車乗客重量値の算出を行う処理を行う。
すなわち、降車乗客重量算出部16は、乗客重量履歴記憶部17が記憶するレコードを1つずつ選択し、選択したレコードの「車両乗客重量」の地点情報が駅になっている項目の車両乗客重量代表値と、当該駅の直前の区間における車両乗客重量代表値とを読み出し、駅の直前の区間における車両乗客重量代表値から、「車両乗客重量」の地点情報が駅になっている項目の車両乗客重量代表値を減算する。
図15を例として、具体的に説明する。図15における「車両乗客重量」の地点情報は、下り方向の場合、始発駅が左端になり、左端から順に右方向に並ぶことになる。これに対して、上り方向の場合、始発駅が右端になり、右端から順に左方向に終着駅まで並ぶことになる。そのため、降車乗客重量算出部16は、選択したレコードの「方向」の項目の情報を参照して、参照していく順番を定める。
「方向」の情報が下り方向の場合、降車乗客重量算出部16は、「車両乗客情報」の左端の始発駅から順に降車乗客重量値を算出していく。B駅の降車乗客重量値を算出する場合、「B駅」の直前の区間は、「A−B」となるため、「A−B」の項目の車両乗客重代表値から、「B駅」の項目の車両乗客重量代表値を減算して降車乗客重量値を算出することになる。
これに対して、「方向」の項目の情報が、上り方向の場合、降車乗客重量算出部16は、「車両乗客情報」の右端から順に降車乗客重量値を算出していく。B駅の降車乗客重量値を算出する場合、「B駅」の直前の区間は、「B−C」となるため、「B−C」の項目の車両乗客重代表値から、「B駅」の項目の車両乗客重量代表値を減算して降車乗客重量値を算出することになる。
例えば、降車乗客重量算出部16が乗客重量履歴記憶部17のレコード400を選択した場合、始発駅を示すサブ項目には、乗客が乗車していない最小値「0kg」が記憶されており、直前の区間は存在しないため、降車乗客重量値を「0kg」として算出する。降車乗客重量算出部16は、図17に示すように、降車乗客重量記憶部19に新たなレコード500を生成し、生成したレコード500の「日付」、「列車名」、「出発時刻」、「方向」、「車両番号」の項目に、レコード400の「日付」、「列車名」、「出発時刻」、「方向」、「車両番号」の項目の情報を書き込む。降車乗客重量算出部16は、生成したレコード500の「降車乗客重量」のサブ項目のうち始発駅を示す項目に「0kg」を書き込む。
降車乗客重量算出部16は、始発駅から順に降車乗客重量値を算出し、レコード400の「B駅」の降車乗客重量値を算出する場合、「B駅」の項目の車両乗客重量代表値の「250kg」と、直前の「A−B」の項目の車両乗客重量代表値の「520kg」とを読み出す。
図16は、降車乗客重量算出部16が読み出した「250kg」と「520kg」の関係を示すグラフである。当該グラフが示すように、降車乗客重量算出部16が読み出した2つの車両乗客重量代表値の差を算出することにより、B駅で降車した乗客の重量値、すなわち降車乗客重量値を算出することができる。降車乗客重量算出部16は、「A−B」の項目の「520kg」から「B駅」の項目の「250kg」を減算して、B駅での「1号車」の降車乗客重量値として「270kg」を算出する。降車乗客重量算出部16は、生成したレコード500の「降車乗客重量」の「B駅」の項目に算出した「270kg」を書き込む。
同様にして、降車乗客重量算出部16は、全ての駅5A,5B,5C、…について、降車乗客重量値を算出し、算出した降車乗客重量値をレコード500の「降車乗客重量」の項目における対応する駅5A,5B,5C、…のサブ項目に書き込む。また、降車乗客重量算出部16は、「2号車」,「3号車」に対応するレコード501,502を生成して、各々の降車乗客重量値として「490kg」、「290kg」を算出し、算出した降車乗客重量値を降車乗客重量記憶部19の対応する項目に書き込む。
降車乗客重量算出部16は、乗客重量履歴記憶部17が記憶する全てのレコード、すなわち全ての列車3について、全ての駅5A,5B,5C,…ごとの降車乗客重量値を算出し、算出した降車乗客重量値を降車乗客重量記憶部19に書き込む。これにより、降車乗客重量記憶部19が、全ての降車乗客重量値を記憶することになる。
(第3実施形態の乗客重量均一化支援装置による処理)
次に、図18から図20を参照しつつ、第3実施形態の乗客重量均一化支援装置1cによる処理について説明する。図18は、第3実施形態の乗客重量均一化支援装置1cの逆分布算出部14c及び出力部15による処理の流れを示すフローチャートである。
情報取得部11は、新たな車両乗客重量情報を取り込んで車両乗客重量記憶部12に書き込みを行うと、その都度、当該車両乗客重量情報に含まれる列車情報の列車名の情報を含む情報取得通知を逆分布算出部14cに対して出力する(ステップSc1)。
逆分布算出部14cは、情報取得部11が出力する情報取得通知を取り込み、情報取得通知に含まれる列車名の情報を参照し、参照した列車名に対応するテーブルを車両乗客重量記憶部12から検出して、先頭行のレコードを参照する。ここでは、第1実施形態と同様に、逆分布算出部14cが、先頭行のレコードとして図5に示すレコード101を参照したとして説明する。
逆分布算出部14cは、参照したレコード101の「車両乗客重量」のサブ項目、すなわち「1号車」、「2号車」、「3号車」の項目に書き込まれている車両乗客重量値を読み出し、読み出した車両乗客重量値の合計値を算出する(ステップSc2)。
逆分布算出部14cは、参照したレコード101の「方向」の項目の情報である「下り方向」と、「地点」の項目の情報である「A−B」とを参照し、次に停車する駅がB駅であることを検出する。逆分布算出部14cは、B駅の下り方向に対応するテーブルを乗降スペース乗客重量記憶部13から検出し、検出したレコードの先頭行のレコードを参照する。ここでは、タイムスタンプ情報が「2018/3/2、10:06:50」のレコード201が先頭行に存在しているとする。
逆分布算出部14cは、レコード201の「乗降スペース乗客重量」のサブ項目、すなわち「1号車」、「2号車」、「3号車」のサブ項目に書き込まれている乗降スペース乗客重量値を読み出し、読み出した乗降スペース乗客重量値の合計値を算出する(ステップSc3)。
逆分布算出部14cは、レコード101の列車情報、すなわち列車名「α」、出発時刻「10:00:00」、方向「下り方向」の情報と、検出した「B駅」の情報とを含む予測値算出要求を降車乗客重量予測部18に出力する。降車乗客重量予測部18は、降車乗客重量記憶部19の「列車名」、「出発時刻」、「方向」の項目の内容を参照し、予測値算出要求に含まれる列車情報と同一の内容になっているレコード400,401,402を含む全てのレコードを検出する。
降車乗客重量予測部18は、検出した全てのレコードにおいて、「車両番号」が「1号車」の「降車乗客重量」の項目における、予測算出要求に含まれる「B駅」に対応するサブ項目の降車乗客重量値を読み出す。降車乗客重量予測部18は、例えば、読み出した降車乗客重量値の平均値を算出し、算出した平均値に車両識別情報、すなわち「1号車」の情報を付加して、「B駅」の「1号車」についての降車乗客重量の予測値として逆分布算出部14cに出力する。
降車乗客重量予測部18は、「車両番号」が「2号車」及び「3号車」のレコードに基づいて、「1号車」と同様に、「2号車」及び「3号車」の「B駅」の降車乗客重量の予測値を算出し、算出した降車乗客重量の予測値に車両識別情報を付加して逆分布算出部14cに出力する(ステップSc4)。
逆分布算出部14cは、降車乗客重量予測部18が出力する降車乗客重量の予測値の合計値を算出する。逆分布算出部14cは、ステップSc2において算出した車両乗客重量値の合計値から降車乗客重量の予測値の合計値を減算した減算値を算出する。逆分布算出部14cは、算出した減算値と、ステップSc3において算出した乗降スペース乗客重量値の合計値とを加算し、加算した値を列車3の車両数で除算して予定平均車両乗客重量値を算出する(ステップSc5)。
逆分布算出部14cは、レコード101の「車両乗客重量」の「1号車」のサブ項目から読み出した車両乗客重量値から、「1号車」に対応する降車乗客重量の予測値を減算して乗客が降車した後の車両乗客重量値を算出する。逆分布算出部14cは、算出した予定平均車両乗客重量値から、算出した「1号車」についての乗客降車後の車両乗客重量値を減算して、「1号車」に対応する逆分布の値を算出する。逆分布算出部14cは、「2号車」、「3号車」についても、「1号車」と同様に、「2号車」、「3号車」に対応する逆分布の値を算出する(ステップSc6)。
ステップSc5とステップSc6の演算を式にすると、次式(2)として表すことができる。
乗客降車後の車両乗客重量値の逆分布=((車両乗客重量値の合計値−降車乗客重量の予測値の合計値)+乗降スペース乗客重量値の合計値))/車両数−(各車両の車両乗客重量値−各車両の降車乗客重量の予測値)・・・(2)
降車乗客重量予測部18が検出した全てのレコードに基づいて、降車乗客重量値の平均値を算出することにより得られた降車乗客重量の予測値が、「1号車」、「2号車」、「3号車」のそれぞれについて「100kg,300kg,200kg」であるとする。この場合に、レコード101と、レコード201とを用いて具体的に乗客降車後の車両乗客重量値の逆分布を算出する例について説明する。
図5に示すレコード101より、車両乗客重量値の合計値は、「500+800+400=1700kg」となる。降車乗客重量の予測値の合計値は、「100+300+200=600kg」となる。車両乗客重量値の合計値から降車乗客重量の予測値の合計値を減算すると「1700−600=1100kg」となる。
図6に示すレコード201より乗降スペース乗客重量値の合計値は、「300+300+400=1000kg」となる。車両乗客重量値の合計値から降車乗客重量の予測値の合計値を減算した減算値と、乗降スペース乗客重量値の合計値とを加算すると、「1100+1000=2100kg」となる。列車3の車両数は「3」であるため、予定平均車両乗客重量値は、「2100/3=700kg」となる。
レコード101の「1号車」、「2号車」、「3号車」の車両乗客重量値の各々から対応する降車乗客重量の予測値を減算すると、それぞれ「500−100=400kg」、「800−300=500kg」、「400−200=200kg」となる。この「400kg,500kg,200kg」が、乗客降車後の車両乗客重量値の分布となる。
予定平均車両乗客重量値の「700kg」から、「1号車」、「2号車」、「3号車」の各々に対応する「400kg」、「500kg」、「200kg」を減算すると、「300kg」、「200kg」、「500kg」となる。この「300kg,200kg,500kg」の分布が、乗客降車後の車両乗客重量値の分布である「400kg,500kg,200kg」の分布の逆分布となる。
逆分布算出部14cは、算出した逆分布の情報に対して、次の停車駅の駅名の情報と方向の情報を付加して出力部15に出力する。ここでは、「B駅」の駅名の情報と、「下り方向」の方向の情報を付加したとする。出力部15は、逆分布算出部14cが出力した逆分布の情報と、駅名の情報と、方向の情報とに基づいて、例えば、図19に示す画像情報303を生成する。出力部15は、送受信部10を通じて、逆分布の情報に付加されている駅名の情報に対応する駅、すなわちB駅の情報送受信装置53Bに生成した画像情報303を送信する(ステップSc7)。
情報送受信装置53Bは、画像情報303を受信し、受信した画像情報303を表示装置55Bに出力する。表示装置55Bは、画像情報303を画面に表示する。
図20は、レコード101の車両乗客重量値から降車乗客重量の予測値を減算した減算値、すなわち乗客降車後の車両乗客重量値をグラフ化した図面である。上述したように、減算値は「400kg,500kg,200kg」であるため破線で示した形状は、上に凸の形状になる。これに対して、図19に示す破線で示した形状は、下に凸の形状となっており、2つの形状は、図面の横方向をY軸とした場合、Y軸に対して線対称の関係にある形状となっている。そのため、図19に示す分布は、図20に示す乗客降車後の車両乗客重量値の分布の逆分布を示すことになる。
例えば、B駅の駅員やB駅で待機している乗客が、表示装置55Bの画面に表示された画像情報303を参照して、B駅のその時点での乗降スペース51B−1D,51B−2D,51B−3Dの乗客の人数を目視で確認し、画像情報300のグラフと見比べたとする。図6に示すレコード201に示すように、乗降スペース51B−1D,51B−2D,51B−3Dの各々の乗降スペース乗客重量値は「300kg,300kg,400kg」である。そのため、乗降スペース51B−1D,51B−2D,51B−3Dの各々には、5〜6人の大人が並んでいることが想定される。
画像情報303のグラフは、B駅の駅員やB駅で待機している乗客に対して、乗降スペース51B−2Dに並んでいる乗客が多く、乗降スペース51B−3Dに並んでいる乗客が少ないことに気付きを起こさせる。そして、B駅の駅員に対して当該気付きを起こさせることにより、乗降スペース51B−2Dに並んでいる乗客を、乗降スペース51B−3Dに移動させるように促す行為をB駅の駅員に起こさせることにもなる。また、B駅の乗降スペース51B−2Dに並んでいる乗客に気付きを起こさせた場合、乗客が自ら乗降スペース51B−3Dに移動することになる。その結果、車両30−1,30−2,30−3に乗るために待機している乗客の分布を変化させることができ、乗客が乗車した後の各車両30−1,30−2,30−3の乗客の重量の均一化を行うことが可能となる。
なお、上記の第3実施形態の構成において、出力部15が、図19に示す画像情報303に替えて、図21に示す画像情報304を生成するようにしてもよい。図20に示す画像情報304は、乗客降車後の車両乗客重量値の逆分布である「300kg,200kg,500kg」から図6のレコード201に示す乗降スペース乗客重量値である「300kg,300kg,400kg」を減算して得られた「0kg,−100kg,100kg」の重量値を示すグラフを含んだ画像情報である。
図21に示す画像情報304のグラフは、待機乗客の過不足重量値の分布を示している。例えば、画像情報304に示すグラフを参照したB駅の下り方向の乗降スペース51B−2Dで待機している乗客は、自らが並んでいる乗降スペース51B−2Dは、「−100kg」となっているため、既に100kg超過しているということを知ることができる。換言すると、乗降スペース51B−2Dで待機している乗客は、到着する列車3の車両30−2に乗車すると非常に混雑することを列車3に乗車する前に知ることができる。更に、画像情報304のグラフは、乗降スペース51B−3Dが、「100kg」の余裕があることを示している。そのため、当該グラフを示すことにより、乗降スペース51B−2Dで待機している乗客に対して、乗降スペース51B−3Dに移動することを促すことができる。また、画像情報304のグラフは、B駅の駅員に対して、画像情報303のグラフと同様の気付きを起こさせることにもなる。
上記の第3実施形態の構成により、乗客重量均一化支援装置1cにおいて、降車乗客重量記憶部19は、乗降スペース51B−1D,51B−2D,51B−3Dにおいて降車した乗客の合計重量値を降車乗客重量値として、乗降スペース51B−1D,51B−2D,51B−3Dに対応する車両30−1,30−2,30−3ごとに記憶する。降車乗客重量予測部18は、降車乗客重量記憶部19が記憶する車両30−1,30−2,30−3ごとの降車乗客重量値に基づいて、列車が停車駅に到着した際の車両30−1,30−2,30−3ごとの降車乗客重量の予測値を算出する。逆分布算出部14cは、車両乗客重量値と、降車乗客重量予測部18が算出する車両30−1,30−2,30−3ごとの降車乗客重量の予測値と、乗降スペース乗客重量値とに基づいて、逆分布を算出する。これにより、停車駅で降車する乗客の重量を考慮して、より正確に車両乗客重量値の分布の逆分布を算出することができ、算出した逆分布を乗客や駅員に提示することにより、乗車するために待機している乗客の分布を変えることになり、それにより、乗客が乗降後の車両ごとの乗客の重量の均一化を行うことが可能となる。
なお、上記の第3実施形態の図18の処理において、ステップSc2,Sc3,Sc4の処理の順は入れ替わってもよい。
(第3実施形態の他の構成例)
また、上記の第3実施形態の構成において、降車乗客重量予測部18は、ステップSc4において、検出した全てのレコードの降車乗客重量値の平均値を予測値として算出するようにしているが、本発明の構成は、当該実施の形態に限られない。例えば、第3実施形態の乗客重量均一化支援装置1cを、図22に示すような乗客重量均一化支援装置1dに置き換えてもよい。
乗客重量均一化支援装置1dは、乗客重量均一化支援装置1cが備える構成に加えて、更に、異常情報記憶部20を備えており、降車乗客重量予測部18に替えて降車乗客重量予測部18dを備える。
異常情報記憶部20は、図23に示すデータ構成を有しており、「異常発生日」、「異常発生時刻」、「異常収束時刻」、「地点」、「方向」、「遅延列車名」、「異常種別」等の項目を有する。「異常発生日」の項目には、異常が発生した時の日付の情報が書き込まれる。「異常発生時刻」の項目には、異常が発生した時の時刻の情報が書き込まれる。「異常収束時刻」の項目には、異常が収束した時の時刻の情報が書き込まれる。「地点」の項目には、異常が発生した区間や駅の情報が書き込まれる。「方向」の項目には、上り方向、または、下り方向のいずれにおいて異常が発生したのかを示す方向の情報が書き込まれる。「遅延列車名」の項目には、異常によって遅延が発生した列車3の列車名の情報が書き込まれる。「異常種別」の項目には、異常の種別を示す情報、例えば、信号故障、暴風雨等の情報が書き込まれる。
降車乗客重量予測部18dは、逆分布算出部14cから予測値算出要求を受けて、降車乗客重量記憶部19の「列車名」、「出発時刻」、「方向」の項目の内容を参照し、予測値算出要求に含まれる列車情報と同一の内容になっている全てのレコードを検出する。降車乗客重量予測部18dは、検出したレコードの「日付」、「列車名」、「方向」の項目の内容と、異常情報記憶部20の「異常発生日」、「遅延列車名」、「方向」の項目の内容との一致性に基づいて、検出したレコードが異常が発生していた日のレコードであるか否かを判定する。
降車乗客重量予測部18dは、判定の結果に基づいて、検出したレコードから、異常が発生していた日のレコードを除いて、残りのレコードに含まれる降車乗客重量値の平均値を予測値として算出する。これにより、異常が発生していた日のレコードを除外することができるため、より正確な降車乗客重量の予測値を算出することができる。
また、降車乗客重量予測部18dは、検出したレコードの「日付」、「列車名」、「方向」の項目の内容と、異常情報記憶部20の「異常発生日」、「遅延列車名」、「方向」の項目の内容との一致性に加えて、更に、検出したレコードの「出発時刻」の項目の内容と、異常情報記憶部20の「異常発生時刻」、「異常収束時刻」の項目の内容とに基づいて、検出したレコードが異常が発生していた時間帯のレコードであるか否かを判定するようにしてもよい。例えば、「出発時刻」の項目の時刻から一定の時間を加えた時刻までの間に、「異常発生時刻」の項目と「異常収束時刻」の項目によって示される時間が含まれているか、または、重なっている場合、当該レコードを異常が発生した時間帯のレコードであると判定するようにしてもよい。このようにすることで、更に、正確な降車乗客重量の予測値を算出することができる。
なお、逆分布算出部14cが処理対象とする車両乗客重量記憶部12のレコードが、異常が発生している場合のレコードであれば、降車乗客重量予測部18dは、判定結果に基づいて、逆に、異常が発生していた際のレコードのみを用いて降車乗客重量値の平均値を予測値として算出するようにしてもよい。これにより、異常が発生していた際のレコードに基づいて、異常発生時における正確な降車乗客重量の予測値を算出することができる。
また、上記の第3実施形態の構成において、降車乗客重量予測部18は、より正確な降車乗客重量の予測値を算出するために、以下のようにして、検出するレコードを絞り込むようにしてもよい。
例えば、逆分布算出部14cが、レコード101について処理を行う場合、予測値算出要求に対して、レコード101に含まれるタイムスタンプ情報の年月日の情報を更に加えて降車乗客重量予測部18に出力する。降車乗客重量予測部18は、例えば、内部にカレンダ情報を用いて曜日を検出する計時手段を備えており、当該計時手段により、予測値算出要求に含まれるタイムスタンプ情報の年月日の曜日を検出し、例えば、過去数カ月の同一曜日の日付を検出する。降車乗客重量予測部18は、降車乗客重量記憶部19から、予測値算出要求に含まれる列車情報に一致し、かつ検出した日付に一致するレコードを検出する。そして、降車乗客重量予測部18は、検出したレコードに基づいて、降車乗客重量の予測値を算出するようにしてもよい。このようにすることで、同一曜日における降車乗客重量値の傾向を踏まえた予測値を算出することができる。
また、絞り込む対象は、列車情報が一致するレコードであって同一曜日のレコードに限られない。鉄道等では、平日と、休日とで時刻表を分けていることが多く、時刻表が一致するか否かによって、降車乗客重量の傾向が異なることが想定される。そのため、絞り込む対象として、予測値算出要求に含まれるタイムスタンプ情報の年月日が平日を示していれば、列車情報が一致するレコードであって平日のレコードを検出し、予測値算出要求に含まれるタイムスタンプ情報の年月日が休日を示していれば、列車情報が一致するレコードであって休日のレコードを検出するようにしてもよい。これにより、平日、または、休日の各々において同一の運行経路及び同一の時刻表で走行していた列車3の降車乗客重量値の傾向を踏まえた予測値を算出することができる。
また、降車乗客重量予測部18は、予測値算出要求に含まれる列車情報の「列車名」、「方向」、「出発時刻」の情報の全てが一致する全てのレコードではなく、「出発時刻」が示す時刻と時間帯が一致する出発時刻を含むレコードを検出するようにしてもよい。例えば、予測値算出要求の「出発時刻」の情報が、午前の時刻を示しているのであれば、出発時刻が午前の全てのレコードを検出し、予測値算出要求の「出発時刻」の情報が、午後の時刻を示しているのであれば、出発時刻が午後の全てのレコードを検出するようにしてもよい。また、降車乗客重量予測部18は、予測値算出要求の「出発時刻」の前後1時間程度の時間帯に出発時刻が含まれる全てのレコードを検出するようにしてもよい。
また、降車乗客重量予測部18は、予測値算出要求に含まれる列車情報の「出発時刻」を参照せずに、「列車名」と「方向」の項目が一致する全てのレコードを検出するようにしてもよい。
また、上記の第3実施形態の降車乗客重量の予測値を用いる構成を、第2実施形態に適用するようにしてもよい。第2実施形態に示した例に適用する場合には、逆分布算出部14bは、参照した車両乗客重量記憶部12のレコードの「車両乗客重量」の「1号車」、「2号車」、「3号車」のサブ項目に書き込まれている車両乗客重量値の各々から、対応する車両30−1,30−2,30−3ごとの降車乗客重量の予測値を減算し、減算により得られた3つの減算値に基づいて逆分布を算出することになる。
例えば、図5のレコード101の「500kg,800kg,400kg」に、第3実施形態において降車乗客重量予測部18が算出した降車乗客重量の予測値「100kg,300kg,200kg」を適用すると、「400kg,500kg,200kg」となる。逆分布算出部14bは、「400kg,500kg,200kg」に基づいて逆分布を「100kg,0kg,300kg」算出し、例えば、任意の一定値を「100kg」とした場合には、「2:1:4」の比を算出することができる。
(第4実施形態)
図24は、第4実施形態の乗客重量均一化支援装置1eの構成を示すブロック図である。第4実施形態において、第1、第2及び第3実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、以下、異なる構成について説明する。なお、第4実施形態おける乗客重量均一化支援システムの構成は、図1に示した乗客重量均一化支援システムSの乗客重量均一化支援装置1のみが、乗客重量均一化支援装置1eに置き換えられた構成である。
乗客重量均一化支援装置1eは、送受信部10、情報取得部11e、車両乗客重量記憶部12、乗降スペース乗客重量記憶部13、逆分布算出部14e、出力部15、乗客重量履歴記憶部17、車両乗客重量予測部21、及び運行予定情報記憶部22を備える。
情報取得部11eは、情報取得部11と同様の構成を備えているが、情報取得部11eは、新たな車両乗客重量情報を取り込んで車両乗客重量記憶部12に書き込んだ際、当該車両乗客重量情報に含まれる列車情報の列車名の情報を含む情報取得通知を逆分布算出部14に出力しない構成となっている。
逆分布算出部14eは、内部にタイマと、要求を受けた時点での年月日時刻のタイムスタンプ情報を出力する計時手段とを備える。また、逆分布算出部14eは、車両乗客重量予測部21が算出する車両乗客重量の予測値と、乗降スペース乗客重量記憶部13が逐次記憶する乗降スペース乗客重量値の直近の情報とに基づいて、列車3が次に停車する駅5A,5B,5C,…における乗降スペース乗客重量値を考慮した車両乗客重量の予測値の逆分布を算出する。
車両乗客重量予測部21は、乗客重量履歴記憶部17が記憶する車両乗客重量に関する履歴情報に基づいて、車両乗客重量の予測値を算出する。運行予定情報記憶部22は、全ての列車3の運行予定の情報、例えば、年月日ごとの全ての列車3の列車情報と、当該列車3の時刻表の情報を予め記憶する。
(第4実施形態の乗客重量均一化支援装置による処理)
図25は、第4実施形態の乗客重量均一化支援装置1eの逆分布算出部14e、出力部15、及び車両乗客重量予測部21による処理の流れを示すフローチャートである。
乗客重量均一化支援装置1eが起動すると、逆分布算出部14eは、内部に備えるタイマを起動する。例えば、タイマが1分で満了するように起動する(ステップSe1)。
逆分布算出部14eは、タイマが満了すると、内部に備える計時手段に要求して、要求した時点での年月日時刻のタイムスタンプ情報を取得する(ステップSe2)。逆分布算出部14eは、運行予定情報記憶部22を参照し、取得したタイムスタンプ情報に基づいて、次の停車駅に到着するまで一定時間内、例えば、5分以内の全ての列車3の列車情報を検出する(ステップSe3)。逆分布算出部14eは、検出した列車情報と、次の停車駅の駅名の情報との組み合わせの全てについて、ステップSe4からSe9の処理を繰り返し行う(ループLe1s)。
逆分布算出部14eは、列車情報と、次の停車駅の駅名の情報とを含む予測値算出要求を車両乗客重量予測部21に出力する(ステップSe4)。車両乗客重量予測部21は、乗客重量履歴記憶部17を参照し、予測値算出要求に含まれる列車情報の「列車名」、「方向」、「出発時刻」の項目の内容に一致する全てのレコードを検出する。車両乗客重量予測部21は、検出したレコードの「車両乗客重量」のサブ項目が、次の停車駅の駅名の情報の直前の区間となっている項目の車両乗客重量代表値と、当該車両乗客重量代表値に対応する「車両番号」の項目の内容とを読み出す。
例えば、予測値算出要求に含まれる列車情報が列車名「α」、出発時刻「10:00:00」、方向「下り方向」であり、駅名の情報が「B駅」であるとする。この場合、下り方向の場合のB駅の直前の区間は「A−B」であるため、車両乗客重量予測部21は、例えば、図15に示すレコード400から「A−B」の項目の車両乗客重量代表値「520kg」と、当該車両乗客重量代表値に対応する「車両番号」の項目の「1号車」とを読み出して取り込む。レコード401,402からも同様にして読み出すことにより、車両乗客重量予測部21は、「1号車、520kg」、「2号車、790kg」、「3号車、440kg」の情報を取り込むことになる。
レコード400,401,402以外に、異なる日付について、該当する複数のレコードが存在する場合、車両乗客重量予測部21は、該当する全てのレコードを検出する。車両乗客重量予測部21は、検出した全てのレコードから車両番号が一致するレコードを選択し、選択したレコードの「A−B」の項目の車両乗客重量代表値の平均値を算出して予測値とする。車両乗客重量予測部21は、算出した車両乗客重量の予測値に対応する車両識別情報を付加して予測値を出力する。逆分布算出部14eは、車両乗客重量予測部21が出力する車両識別情報が付加された車両乗客重量の予測値を取り込み、取り込んだ車両乗客重量の予測値の合計値を算出する(ステップSe5)。
逆分布算出部14eは、乗降スペース乗客重量記憶部13を参照し、「駅名」の項目が、次の停車駅の駅名の情報に一致し、「方向」が、列車情報に含まれる方向の情報の一致するレコードであって、取得したタイムスタンプ情報が示す年月日時刻に最も近いレコードを検出する。逆分布算出部14eは、検出した乗降スペース乗客重量記憶部13のレコードに含まれる乗降スペース乗客重量値の合計値を算出する(ステップSe6)。
逆分布算出部14eは、ステップSe5において算出した車両乗客重量の予測値の合計値と、ステップSe6において算出した乗降スペース乗客重量値の合計値とを加算し、加算した値を列車3の車両数で除算して予定平均車両乗客重量値を算出する(ステップSe7)。
逆分布算出部14eは、算出した予定平均車両乗客重量値から、車両乗客重量の予測値の各々を減算し、減算した値を車両30−1,30−2,30−3の順番に並べて、車両乗客重量の予測値の逆分布を算出する(ステップSe8)。
逆分布算出部14eは、算出した逆分布の情報に対して、次の停車駅の駅名の情報と方向の情報を付加して出力部15に出力する。出力部15は、逆分布算出部14eが出力した逆分布の情報と、次の停車駅の駅名の情報と、方向の情報とに基づいて、画像情報を生成する。出力部15は、送受信部10を通じて、逆分布の情報に付加されている次の停車駅の駅名の情報に対応する駅5A,5B,5C,…の情報送受信装置53A,53B,53C,…に生成した画像情報を送信する(ステップSe9)。逆分布算出部14eは、検出した列車情報と、次の停車駅の駅名の情報との組み合わせの全てについて、ステップSe4からSe9の処理が終了すると(ループLe1e)、処理をステップSe1に戻し、再びタイマを起動する。
上記の第4実施形態により、乗客重量均一化支援装置1eにおいて、車両乗客重量予測部21は、走行済みの列車3から得られた車両30−1,30−2,30−3ごとの車両乗客重量値に基づいて、逆分布算出部14eが逆分布の算出対象とする列車3の車両30−1,30−2,30−3ごとの車両乗客重量の予測値を算出する。逆分布算出部14eは、車両乗客重量予測部21が算出する車両30−1,30−2,30−3ごとの車両乗客重量の予測値に基づいて、逆分布を算出する。これにより、例えば、列車3との通信状態の不具合等があり、列車3から車両乗客重量情報を受信することができない場合であっても、過去の車両乗客重量値の情報に基づいて、車両乗客重量の予測値を算出することができる。そのため、算出した車両乗客重量の予測値に基づいて、車両乗客重量値の分布の逆分布を算出することができ、算出した逆分布を乗客や駅員に提示することにより、乗車するために待機している乗客の分布を変えることになり、それにより、乗車後の車両ごとの乗客の重量の均一化を行うことが可能となる。
また、乗客重量履歴記憶部17に十分な量の車両乗客重量に関する履歴情報が記憶されているのであれば、図2に示す構成の列車3に限らず、重量センサ31−1,31−2,31−3、位置検出装置34、計時装置33、及び情報送信装置35を備えない一般的な構成の列車を対象として、逆分布の算出を行うことが可能となる。
なお、乗客重量均一化支援装置1eが、更に、図22で示した異常情報記憶部20を備えて、車両乗客重量予測部21が、乗客重量履歴記憶部17から検出したレコードから、異常情報記憶部20が記憶する情報に基づいて、異常が発生している際のレコードを除いて、車両乗客重量の予測値を算出するようにしてもよい。これにより、異常が発生していた際のレコードを除外することができるため、より正確な車両乗客重量の予測値を算出することができる。また、逆分布の算出対象の列車3が、例えば、異常により遅延している場合等には、車両乗客重量予測部21は、逆に、異常が発生していた際のレコードのみを用いて車両乗客重量の予測値を算出するようにしてもよい。これにより、異常が発生していた際のレコードに基づいて、異常発生時の正確な車両乗客重量の予測値を算出することができる。
また、車両乗客重量予測部21は、より正確な車両乗客重量の予測値を算出するために、以下のようにして、検出するレコードを絞り込むようにしてもよい。
例えば、逆分布算出部14eが、取得したタイムスタンプ情報の年月日の情報を更に加えて予測値算出要求を車両乗客重量予測部21に出力する。車両乗客重量予測部21は、例えば、内部にカレンダ情報を用いて曜日を検出する計時手段を備えており、当該計時手段により、予測値算出要求に含まれるタイムスタンプ情報の年月日の曜日を検出し、例えば、過去数カ月の同一曜日の日付を検出する。車両乗客重量予測部21は、乗客重量履歴記憶部17から、予測値算出要求に含まれる列車情報と一致し、かつ検出した日付に一致するレコードを検出する。そして、車両乗客重量予測部21は、検出したレコードに基づいて、例えば、レコードに含まれる車両乗客重量代表値に基づいて予測値を算出するようにしてもよい。このようにすることで、同一曜日における車両乗客重量値の傾向を踏まえた予測値を算出することができる。
また、絞り込む対象は、列車情報が一致するレコードであって同一曜日のレコードに限られない。鉄道等では、平日と、休日とで時刻表を分けていることが多く、時刻表が一致するか否かによって、車両乗客重量の傾向が異なることが想定される。そのため、絞り込む対象として、予測値算出要求に含まれるタイムスタンプ情報の年月日が平日を示していれば、列車情報が一致するレコードであって、かつ平日のレコードを検出し、予測値算出要求に含まれるタイムスタンプ情報の年月日が休日を示していれば、列車情報が一致するレコードであって、かつ休日のレコードを検出するようにしてもよい。これにより、平日、または、休日の各々において同一の運行経路及び同一の時刻表で走行していた列車3の車両乗客重量値の傾向を踏まえた予測値を算出することができる。
また、車両乗客重量予測部21は、予測値算出要求に含まれる列車情報の「列車名」、「方向」、「出発時刻」の情報の全てが一致する全てのレコードではなく、「出発時刻」が示す時刻と時間帯が一致する出発時刻を含むレコードを検出するようにしてもよい。例えば、予測値算出要求の「出発時刻」の情報が、午前の時刻を示しているのであれば、出発時刻が午前の全てのレコードを検出し、予測値算出要求の「出発時刻」の情報が、午後の時刻を示しているのであれば、出発時刻が午後の全てのレコードを検出するようにしてもよい。また、車両乗客重量予測部21は、予測値算出要求の「出発時刻」の前後1時間程度の時間帯に出発時刻が含まれる全てのレコードを検出するようにしてもよい。
また、車両乗客重量予測部21は、予測値算出要求に含まれる列車情報の「出発時刻」を参照せずに、「列車名」と「方向」の項目が一致する全てのレコードを検出するようにしてもよい。
また、上記の乗客重量均一化支援装置1eでは、車両乗客重量予測部21は、乗客重量履歴記憶部17を参照して車両乗客重量の予測値を算出するようにしているが、本発明の構成は、当該実施の形態に限られない。車両乗客重量予測部21は、車両乗客重量記憶部12に記憶されている車両乗客重量情報に基づいて車両乗客重量の予測値を予測するようにしてもよい。
車両乗客重量記憶部12を用いる場合、車両乗客重量予測部21は、列車情報の一致に加えて、更に、車両乗客重量記憶部12の「タイムスタンプ」の項目に含まれる時刻の情報を参照して車両乗客重量記憶部12から検出するレコードを絞り込むようにしてもよい。例えば、車両乗客重量予測部21は、逆分布算出部14eが取得するタイムスタンプ情報が示す時刻の前後1時間程度の時間帯の範囲の時刻が、車両乗客重量記憶部12の「タイムスタンプ」の項目のタイムスタンプ情報に示されているレコードを検出するようにしてもよい。
また、車両乗客重量予測部21と同様に、乗降スペース乗客重量の予測値を算出する乗降スペース乗客重量予測部を備えて、車両乗客重量値と同様に、乗降スペース乗客重量記憶部13が記憶する乗降スペース乗客重量情報に基づいて、乗降スペース乗客重量値を予測するようにしてもよい。
また、上記の第3及び第4実施形態の構成等では、降車乗客重量予測部18,18d、車両乗客重量予測部21は、予測値として平均値を算出するようにしているが、平均値以外の代表値、例えば、最頻値、中央値、最大値、最小値等の他の代表値を算出するようにしてもよい。
また、上記の第4実施形態の図25の処理において、ステップSe4及びSe5の前に、ステップSe6の処理を行うようにしてもよい。
(上記の実施形態の他の構成例)
上記の第1から第4実施形態では、列車3において、図2に示したように重量センサ31−1,31−2,31−3が車両乗客重量値を測定する構成となっていた。また、駅5A,5B,5C,…においても、例えば、駅5Bの場合、重量センサ52B−1D,52B−2D,52B−2Dが、乗降スペース乗客重量値を測定する構成となっていた。これに対して、実際に測定した重量値を用いるのではなく、画像情報から重量値を推定する構成を適用するようにしてもよい。
例えば、図4に示した第1実施形態の乗客重量均一化支援装置1に替えて、図26に示す乗客重量均一化支援装置1fを適用する。乗客重量均一化支援装置1fは、乗客重量均一化支援装置1が備える構成に加えて、更に、乗客重量推定部23を備えており、情報取得部11に替えて情報取得部11fを備える。
乗客重量推定部23は、内部に記憶領域を備えており、当該内部の記憶領域は、例えば、車両30−1,…に乗車している乗客、または、乗降スペース51B−1D,…において待機している乗客を撮影した画像情報と、当該画像情報が撮影された際の画像情報内に撮影されている乗客の合計重量値との相関関係を示す情報を予め記憶する。また、乗客重量推定部23は、画像情報を取り込み、取り込んだ画像情報と、内部の記憶領域が記憶する相関関係を示す情報とに基づいて、当該画像情報において撮影されている乗客の合計重量値を推定して出力する。
また、図2に示した列車3に替えて、図27に示す列車3fを適用する。列車3fは、車両30f−1,30f−2,30f−3を備えており、車両30f−1,30f−2,30f−3は、列車3の各車両30−1,30−2,30−3が備える重量センサ31−1,31−2,31−3と情報送信装置35に替えて、カメラ36−1,36−2,36−3と情報送信装置35fを備える。
また、図3に示した駅5Bの構成に替えて、図28に示す駅5fBの構成を適用する。駅5fBは、駅5Bにおける重量センサ52B−1D,52B−2D,52B−2Dと情報送受信装置53Bに替えて、カメラ56B−1D,56B−2D,56B−3Dと情報送受信装置53fBを備える構成である。
列車3fにおけるカメラ36−1,36−2,36−3の各々は、車両30f−1,30f−2,30f−3の車内の乗客を撮影して画像情報を生成し、生成した画像情報に予め内部に記憶する車両識別情報を付加して情報送信装置35fに出力する。情報送信装置35fは、車両識別情報が付加された画像情報と、タイムスタンプ情報と、地点情報と、列車情報とを含む車両乗客重量情報を生成し、生成した車両乗客重量情報を乗客重量均一化支援装置1fに送信する。
駅5fBにおけるカメラ56B−1D,56B−2D,56B−3Dの各々は、乗降スペース51B−1D,51B−2D,51B−3Dにおいて待機する乗客を撮影して画像情報を生成し、生成した画像情報に予め内部に記憶する乗降スペース識別情報を付加して情報送受信装置53fBに送信する。情報送受信装置53fBは、乗降スペース識別情報が付加された画像情報と、タイムスタンプ情報と、駅名の情報とを含む乗降スペース乗客重量情報を生成し、生成した乗降スペース乗客重量情報を乗客重量均一化支援装置1fに送信する。
乗客重量均一化支援装置1fの情報取得部11fは、送受信部10を通じて車両乗客重量情報を受信すると、車両乗客重量情報に含まれる画像情報を乗客重量推定部23に出力する。乗客重量推定部23は、画像情報を受けると、当該画像情報に撮影されている乗客の合計重量値を推定し、推定した乗客の合計重量値を車両乗客重量値として情報取得部11fに出力する。情報取得部11fは、車両乗客重量情報に含まれる全ての画像情報に対応する車両乗客重量値を乗客重量推定部23から受けると、車両乗客重量情報の画像情報を、対応する車両乗客重量値に置き換えて、車両乗客重量記憶部12に書き込んで記憶させる。
また、情報取得部11fは、送受信部10を通じて乗降スペース乗客重量情報を受信すると、乗降スペース乗客重量情報に含まれる画像情報を乗客重量推定部23に出力する。乗客重量推定部23は、画像情報を受けると、当該画像情報に撮影されている乗客の合計重量値を推定し、推定した乗客の合計重量値を乗降スペース乗客重量値として情報取得部11fに出力する。情報取得部11fは、乗降スペース乗客重量情報に含まれる全ての画像情報に対応する乗降スペース乗客重量値を乗客重量推定部23から受けると、乗降スペース乗客重量情報の画像情報を、対応する乗降スペース乗客重量値に置き換えて、乗降スペース乗客重量記憶部13に書き込んで記憶させる。
上記の構成により、カメラ36−1,36−2,36−3,56B−1D,56B−2D,56B−3Dが撮影した画像情報に基づいて重量値を算出することができることから、重量センサ31−1,31−2,31−3,52B−1D,52B−2D,52B−2Dを設置することができない場所であっても、乗客の合計重量値を求めることができる。そのため、乗客重量均一化支援システムSの適用範囲を広げることが可能となる。
なお、重量センサ31−1,31−2,31−3と、重量センサ52B−1D,52B−2D,52B−2Dと、カメラ36−1,36−2,36−3と、カメラ56B−1D,56B−2D,56B−3Dとを併用してもよい。そのため、駅5A,5B,5C,…の構成はそのままとして、全ての列車3を列車3fに置き換えてもよいし、列車3の構成はそのままとして、全ての駅5A,5B,5C,…の構成のみを駅5fA,5fB,5fC,…に置き換えてもよいし、複数存在する列車3のうちのいずれかを列車3fに置き換えてもよいし、複数存在する駅5A,5B,5C,…のうちいずれかを駅5fA,5fB,5fC,…の構成を置き換えるようにしてもよい。
なお、上記の第1から第4実施形態の構成等において、運行中の列車3,3fの台数は、複数であることを前提としているが、少なくとも1台存在していればよい。
また、上記の第1から第4実施形態の構成等では、列車3,3fの車両数は、3車両としてとしているが、2車両以上の複数の車両数であれば、どのような車両数であってもよい。
また、図1に示した駅5A,5B,5C,…は、いずれも始発駅と終着駅以外の駅であるとしており、最小構成としては、駅5A,5B,5C,…の数は1つでもよく、1つの場合、列車3が停車する駅の構成は、始発駅、中間の停車駅、終着駅の3つの駅の構成となる。
また、上記の第1から第4実施形態の構成等では、列車3,3fの情報送信装置35,35fの内部の記憶領域が、列車情報を予め記憶するとしているが、終着駅に到着するごとに、列車情報を書き換えて更新する必要がある。そのため、情報送信装置35,35fが、外部のサーバ装置に記憶されている運行予定情報を記憶するデータベース等に接続して、最新の列車情報を取得するようにしてもよい。
また、上記の第1から第4実施形態の構成等では、列車3,3fの情報送信装置35,35fは、列車3,3fの位置情報を位置検出装置34から取得する構成としているが、例えば、外部のサーバ装置に記憶されている運行予定情報を記憶するデータベース等に接続して、運行予定情報と、計時装置33から取得したタイムスタンプ情報とに基づいて、タイムスタンプ情報に対応する列車3,3fの地点を検出するようにしてもよい。このようにすることで、例えば、位置検出装置34のGPSに不具合が生じた場合であっても、GPSよりも精度は低くなるものの列車3,3fの地点を検出することが可能となる。
また、上記の第1から第4実施形態の構成等では、列車3,3fの位置検出装置34は、要求を受けると、GPSから取得した位置を示す位置情報と、地図情報とに基づいて、停車している駅の駅名、または、駅の間の区間のいずれかを示す地点情報を出力するようにしている。これに加えて、位置検出装置34が、外部のサーバ装置に記憶されている運行予定情報を記憶するデータベース等に接続して、列車3,3fが急行列車等の場合に通過する駅を検出し、例えば、B駅には停車せず、次に停車する駅がC駅なのであれば、列車3,3fが、B駅の近傍に存在している場合であっても、地点情報として「B駅」を出力せず、「A−C」として出力することにより、通過駅のある列車3,3fにも適用することが可能となる。
また、上記の第1から第4実施形態の構成等では、鉄道の列車3、3fを対象としているが、各々の車両が、乗客が乗降するドアを備えた車両を連結した連結バス等の他の連結車両に適用してもよい。
また、上記の第1から第4実施形態の構成等では、逆分布算出部14,14b,14cは、情報取得部11,11fからの新たな車両乗客重量情報を取得したことを通知する情報取得通知を契機として処理を開始しており、逆分布算出部14eは、内部のタイマの満了を契機として処理を開始しているが、本発明の構成は、当該実施の形態に限られない。例えば、情報取得部11,11e,11fが、新たな乗降スペース乗客重量情報の取得したタイミングで情報取得通知を出力するようにしてもよい。ただし、この場合、乗降スペース乗客重量情報には、列車情報が含まれていないため、情報取得部11,11fは、駅名の情報に基づいて、例えば、外部のサーバ装置に記憶されている運行予定情報を記憶するデータベース等に接続して、当該駅に次に停車する列車3,3fの列車情報を検出する等の手段を備える必要がある。また、逆分布算出部14,14b,14cが処理を開始するタイミングとして、逆分布算出部14eのように内部に備えるタイマが満了するタイミングで処理を開始するようにしてもよい。
また、上記の第1から第4実施形態の構成等では、情報送信装置35,35f、及び情報送受信装置53A,B,C,…,53fA,53fB,53fC,…が内部に備えるタイマは、1分ごとに満了するようにしているが、1分に限られるものではなく、より短い時間や、より長い時間としてもよく、また、列車3,3fごとにタイマの値が異なっていてもよく、駅5A,5B,5C,…,5fA,5fB,5fC,…ごとにタイマの値が異なっていてもよい。
また、上記の第1から第4実施形態の構成等では、駅5A,5B,5C,…に設置する表示装置55A,55B,55C,…として、例えば、液晶ディスプレイであるとしているが、本発明の構成は、当該実施の形態に限られない。例えば、乗客や駅員が携帯するスマートフォンやタブレット等の携帯端末の画面に表示するようにしてもよい。また、液晶ディスプレイの設置場所として、上り方向と下り方向の乗客のそれぞれ見やすい場所に設置するために、上り方向と下り方向の液晶ディスプレイを分けて設置するようにしてもよい。また、プラットホーム50A,50B,50C,…に、乗降スペースごとのホームドアが設置されている場合、各ホームドアに液晶ディスプレイを設置するようにしてもよい。また、ホームドアごとの液晶ディスプレイに画像情報300,301,302,303、304を表示する場合、当該ホームドアの位置に対応する箇所のグラフの色を、他のグラフとは別の色で強調して表示するなどして分かりやすくするようにしてもよい。
また、上記の第1から第4実施形態の構成等では、算出した逆分布に基づく画像情報300,301,302,303,304を、駅員や乗客に提示するとしているが、例えば、インターネットを経由して公開して、駅員や乗客以外に提供するようにしてもよい。
上述した実施形態における乗客重量均一化支援装置1,1b,1c,1d,1e,1fをコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。