JP6635284B2 - 金型の冷却構造 - Google Patents
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Description
金型本体は、固定側11と可動側12とからなり、両者が合わさった状態の際に形成されるキャビティ13に溶融状態の樹脂が射出され、冷却されて成形品となる。なお、図1では、金型の開閉機構、ガイドピン、スプルー等については図示を省略しているが、それらについては、任意の公知のものを特に制限なく用いることができる。金型本体の固定側11及び可動側12を構成する材料としては、金型に用いられる任意の公知のものを特に制限なく用いることができる。図1では、2枚金型の例について説明しているが、成形品とスプルーを離して形成する3枚金型等であってもよい。金型の大きさやキャビティの形状についても特に制限されない。また、図1では、冷却孔15として、断面に直交する方向に延びるものを、固定側11及び可動側12について各1本だけ模式的に図示して説明しているが、勿論、冷却孔15の本数はこれに制限されず、冷却孔15の径、冷却孔15が延びる方向及び複数の冷却孔15の配置等についても特に制限されない。また、冷却穴16の径及び複数の冷却穴16の配置等についても、冷却孔15の場合と同様、特に制限されない。
インサート部材17の斜視図及び一端側から見た概略図を、それぞれ、図2及び図3に示す。本実施の形態に係る金型の冷却構造に適用されるインサート部材17は、両端が開口した円筒状の形状を有し、両端のそれぞれを起点として、反対側の先端に向かう方向に、互いに対向する2本のスリット18が、軸心方向に平行に形成されている。スリット18の長さは、インサート部材17を2つ以上の部位に分断しないために、インサート部材17の全長よりも短い必要がある。このようなスリット18をインサート部材17の両端側に形成することにより、インサート部材17の全長に亘って径方向への伸縮性を付与することができる。それにより、冷却孔15の径に近い外径を有するインサート部材17を用いた場合にも、装入時にスリット18が形成された部分を径方向に縮小させることにより、冷却孔15への装入が容易になると共に、装入後は弾性により径方向に拡大し、冷却孔15の内壁に密着する。そのため、冷却孔15とインサート部材17との間の空隙の形成を抑制できる。また、スリット18の側面の分だけ表面積が増大すると共に、インサート部材17の内径が冷却孔15の径よりも小さいため、冷却媒体の流速も増大する。これらが相俟って、金型の冷却性能の向上が実現できる。
図1に示すような構造を有する射出成形用金型を用い、冷却孔(16mmφ)及び冷却穴(25mmφ)にインサート部材(アルミニウム合金製、外径:25mm、内径:16mm、長さ:90mm、スリットの本数:一方の先端側に各4本、スリットの幅:2mm、スリットの長さ:60mm)を装入した場合としなかった場合において、冷却口及び冷却穴に冷却媒体(水、温度:40℃、流量:冷却孔1本あたり10L/分)を流しながら射出成型(樹脂の種類:AES、温度:220℃)の際のキャビティ表面の温度の経時変化を測定した。
冷却孔及び冷却穴にインサート部材を装入した場合のキャビティの表面温度と、冷却孔及び冷却穴にインサート部材を装入しなかった場合のキャビティの表面温度の測定結果を図4に示す。図4より明らかなように、インサート部材を装入した場合の温度Taは、インサート部材を装入していない場合の温度Tbよりも低くなっている。例えば、冷却終了温度を63℃(図4中、破線で示した温度)に設定したとすると、インサート部材を装入したことにより、冷却時間が5秒程度短縮するという結果が得られた。
図5は、インサート部材(アルミニウム合金製、外径:25mmφ、内径16mmφ)に形成されるスリット(各先端側に4本:計8本、長さ:60mm)の幅とインサート部材の外径との比率と、冷却孔及び冷却穴壁面の冷却性能との関係を熱流体解析で評価したものである。例としてインサート部材を直径10mmと16mmの冷却孔に装入した場合の同一流量における冷却性能を比較したものである。尚、冷却性能は冷却孔壁面での単位時間あたりの熱交換量を示しており、インサート部材を設置していない場合を1.0としている。スリットの幅が狭すぎると、隣り合うスリット側面に形成される互いの速度境界層が干渉して熱伝達率が低下し、冷却性能が低下する。またこれを解消するためにスリットの幅を広げすぎると、表面積の減少とインサート部材内面の平均流速が低下するため、冷却性能が低下する。冷却性能の観点から、インサート部材に形成されるスリットの幅が、インサート部材の外径の0.02〜0.4倍が適切なスリットの幅であることが確認された。
インサート部材に形成されるスリットの本数による、インサート部材と冷却孔もしくは冷却穴壁面との間の接触熱抵抗を以下の方法で評価を行った。
11:固定側
11a:固定側入れ子
12:可動側
12a:可動側入れ子
13:キャビティ
15:冷却孔
16:冷却穴
17、17a:インサート部材
18、18a:スリット
19:バッフル板
20:ホース固定具
21:ホース
Claims (4)
- 少なくとも一部がキャビティの近傍を通過するように貫通形成された複数の直線状の冷却孔を有する金型本体と、前記冷却孔の少なくとも一部に装入され、両端が開口した直管状のインサート部材を備える金型の冷却構造において、
前記インサート部材は、その外周部が前記金型本体の冷却孔の壁面と密着するように前記冷却孔の少なくとも一部に装入され、前記金型よりも熱伝導率の高い材料からなり、かつ、一方又は双方の先端から、反対側の先端に向かう方向に、複数本のスリットが、前記インサート部材を分断しないように形成されていることを特徴とする金型の冷却構造。 - 前記スリットが、前記インサート部材の軸心方向に平行な方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項1記載の金型の冷却構造。
- 前記インサート部材に形成されるスリットの幅が、前記インサート部材の外径の0.02〜0.4倍であることを特徴とする請求項1又は2記載の金型の冷却構造。
- 前記インサート部材の一方の先端を起点として形成されたスリットの本数が、2本以上8本以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の金型の冷却構造。
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