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JP6633161B1 - 正極活物質、及び、その製造方法、並びに、正極、及びリチウムイオン電池 - Google Patents

正極活物質、及び、その製造方法、並びに、正極、及びリチウムイオン電池 Download PDF

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Abstract

【課題】全固体LIBにおける電池特性を改善するための、新たなハイニッケル正極活物質の提供。【解決手段】正極活物質であって、前記正極活物質は、粒子と被覆層とを含み、前記粒子の組成は以下の式で表され、LiaNibCocMndOe(ここで、1.0≦a≦1.05、0.8≦b≦0.9、1.8≦e≦2.2、b+c+d=1)、前記被覆層の組成は、LiとNbの酸化物で表され、前記正極活物質の比表面積と、Nb含有量とが、以下の関係を満たす、正極活物質。0.25≦Y/X≦0.60(X=比表面積(m2/g)、Y=Nb含有量(重量%))【選択図】なし

Description

本開示は、正極活物質、及び、その製造方法、並びに、正極、及びリチウムイオン電池に関する。より具体的には、ニッケルを含有する正極活物質、及び、その製造方法、並びに、正極、及びリチウムイオン電池に関する。
現在のリチウムイオン二次電池は、電解液を用いる物が多い。この電解液は可燃性であるため発火のリスクが比較的高い。このため、代替品として、固体電解質を用いた全固体リチウムイオン二次電池(以下、全固体LIBと略す)の開発が各社にて進められている。
この全固体LIBは、電解液を用いる従来のリチウムイオン二次電池に比べて、上記の発火の危険性が少なくなる。その反面、リチウムイオンの伝導が粒子内および粒子間を通して行われるため、開発当初より安定動作に関する懸念が指摘されていた。
上記問題に対するアプローチとして、以下の手段が挙げられる:
(1)電極中に固体電解質を3割程度混合する、
(2)正極活物質粒子または正極活物質薄膜の界面にLi化合物を被覆する、
(3)より高いリチウムイオン伝導率を有する固体電解質を採用する。
こうしたアプローチにより、従来のリチウムイオン二次電池と同様な安定動作の実現に近づきつつある。
上記アプローチ(2)に関連して、特許文献1では、LiCoO2粉末粒子表面上へLiNbO3被覆層を設けることを開示している。更に、該文献では、その手段として、湿式法(Nb等を含むアルコキシド溶液を用いる方法)を開示している。また、特許文献2〜3では、被覆する手段として乾式法(バレルスパッタリング法)を開示している。
特許第4982866号公報 特開2007−5073号公報 特許第6102859号公報
活物質の観点から、上記(2)のアプローチは、全固体LIBでの出力特性を向上させるのに非常に重要な技術となる可能性がある。例えば、特許文献1においてLiCoO2の表面をLiNbO3で被覆した材料が開示されている。これにより、LiCoO2および固体電解質材料の間の界面抵抗を低減させ、電池の高出力化が図れる。しかし、それでも従来の電解液を使用したリチウムイオン二次電池の容量に匹敵する容量は得られていない。
更に容量を上げる目的で、公知のLiCoO2やLiNi1/3Co1/3Mn1/32に代えて、容量の大きい物質を正極活物質として採用することが考えられている。より具体的には、LiNi0.8Co0.1Mn0.12などのNi/(Ni+Co+Mn)モル比が0.8以上の物質(以下、ハイニッケルと略す)を正極活物質として採用することが考えられている。
ハイニッケル正極活物質は、電解液を用いる従来のリチウムイオン二次電池では、使用しづらいとみなされてきた。この理由として、スラリー作製時のゲル化が発生することや、上記の電解液やリチウム塩との相性が悪い点が挙げられる。しかし、全固体LIBでは、上述した問題点は回避できると予想される。そこで、これらのハイニッケル正極活物質を全固体LIBへ採用することにより、従来のリチウムイオン二次電池に匹敵する電池特性を確保できる期待が高まっていた。
そこで、発明者は、ハイニッケル正極活物質に、上記アプローチ(2)の方法を試してみた。より具体的には、発明者は、乾式被覆法を試してみた。しかし、結果として電池の容量自体は向上するものの、それでも、従来のリチウムイオン二次電池に匹敵する電池特性を確保することができなかった。発明者は、この原因を以下のように考えた。
一部の乾式被覆法では、被覆材となるLiNbO3粒子をサブミクロンサイズまでしか小さくできない。このことが原因となって、被覆量が少ない場合はLiNbO3をアイランド状にしか被覆しない(つまり、部分的な被覆となる)。従って、被覆されていない箇所において、被覆粒子と電解質とが直接接触してしまうことになる。一方で、被覆量を多くした場合、ほぼ全面コーティングがされるが、被覆層が厚くなり過ぎてしまう。被覆層が厚くなり過ぎてしまうと、Liイオンの移動が阻害されてしまう。このような被覆層の厚い材料を正極活物質として用いた場合、全固体LIBは、従来のリチウムイオン二次電池に比べて半分程度の容量しかない。
このように、正極活物質は多くの改良の余地が残されている。そこで、本開示は、LiとNbの酸化物、好ましくはLiNbO3で被覆した新たなハイニッケル正極活物質を提供すること、以って全固体LIBにおける電池特性の改善を達成することを目的とする。
上記試行錯誤の結果から、本発明者は以下のように考えた。即ち、完全に被覆された状態(又はこれに近い状態)を確保しながらも、できる限り被覆層を薄くすることで、上記の問題を解消できる可能性がある。そこで、均一な被覆が可能なバレルスパッタ法を採用し、諸条件を検討した結果、所望の被覆層を実現できることを見出した。
上記知見に基づいて完成した発明は、一側面において以下の発明を包含する。
(発明1)
正極活物質であって、
前記正極活物質は、粒子と被覆層とを含み、
前記粒子の組成は以下の式で表され、
LiaNibCocMnde
(ここで、
1.0≦a≦1.05、
0.8≦b≦0.9、
1.8≦e≦2.2、
b+c+d=1)
前記被覆層の組成は、LiとNbの酸化物で表され、
前記正極活物質の比表面積と、Nb含有量とが、以下の関係を満たす、正極活物質。
0.25≦Y/X≦0.60(X=比表面積(m2/g)、Y=Nb含有量(重量%))
(発明2)
発明1に記載の正極活物質であって、前記粒子のD50が2〜12μmである、正極活物質。
(発明3)
発明1又は2に記載の正極活物質であって、以下の組成条件を満たす、正極活物質。
0.05≦c≦0.19、
0.01≦d≦0.1
(発明4)
発明1〜3いずれか1つに記載の正極活物質であって、前記正極活物質の被覆層の厚みが4nm以下である、正極活物質。
(発明5)
発明1〜4いずれか1つに記載の正極活物質であって、前記Nb含有量が0.5重量%以下である、正極活物質。
(発明6)
発明1〜5いずれか1つに記載の正極活物質を製造するための方法であって、
以下の組成の化合物の原料を混合して、700℃〜800℃の温度で12〜24時間焼成し、焼成体を得る工程と、
LiaNibCocMnde
(前記式において、
1.0≦a≦1.05、
0.8≦b≦0.9、
1.8≦e≦2.2、
b+c+d=1)
前記焼成体を粉砕して粒子を得る工程と、
前記粒子をLiとNbの酸化物で被覆する工程と、
を含み、
前記被覆する工程が、酸素分圧30at%以下でバレルスパッタ法により被覆することを含む、該方法。
(発明7)
発明6に記載の方法であって、前記被覆する工程が、1〜4時間バレルスパッタ法により被覆することを含む、該方法。
(発明8)
発明1〜5いずれか1つに記載の正極活物質を含むリチウムイオン電池用正極。
(発明9)
発明8のリチウムイオン電池用正極を含むリチウムイオン電池。
一側面において、正極活物質は、比表面積とNb含有量とが特定の関係を有する。これにより、全固体LIBにおける電池特性の改善を実現できる。
以下、本開示の発明を実施するための具体的な実施形態について説明する。以下の説明は、本開示の発明の理解を促進するためのものである。即ち、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
1.正極活物質の特性
本開示は、一実施形態において、ハイニッケル正極活物質に関する。前記ハイニッケル正極活物質は、粒子と、該粒子を被覆する被覆層とを含むことができる。前記粒子は、以下の組成で表されるLi複合化合物であってもよい。
LiaNibCocMnde
(ここで、
1.0≦a≦1.05、
0.8≦b≦0.9、
1.8≦e≦2.2、
b+c+d=1)
更なる一実施形態において、上記組成式中のCo及びMnの存在比は、下記の通りであってもよい。
0.05≦c≦0.19、
0.01≦d≦0.1、
更なる一実施形態において、上記組成式中の酸素の存在比eは2であってもよい。
また、前記被覆層は、LiとNbの酸化物を含んでもよく、より好ましくはLiNbO3で表される化合物を含んでもよい。これにより、上述したように、固体電解質と活物質との間の界面抵抗を減少させることができる。
一実施形態において、被覆層を備えた正極活物質の比表面積は、1m2/g以下、好ましくは、0.9m2/g以下である。1m2/g以下であることにより、二次粒子の表面の凹凸が抑制され、緻密な粒子が形成されたものとみなすことができる。結果として、容量を向上させたリチウムイオン電池の形成が可能となる。比表面積の下限値については特に限定されないが、典型的には、0.1m2/g以上である。
なお、本明細書における、比表面積は、以下の手順で測定した値を指す:
・対象物質を150℃で2時間脱気
・カンタクローム社製のMonosorbにて、吸着ガスとしてHe70at%−N230at%混合ガスを使用し、BET法(1点法)にて測定する。
一実施形態において、被覆層を備えた正極活物質の粒径は、D50が2〜12μm、より好ましくは、2.5〜10.5μmであってもよい。上記範囲とすることで、容量を向上させることができる。
なお、本明細書における、D50は、以下の手順で測定した値を指す:日機装株式会社製のマイクロトラックMT3000EX IIによるレーザー回折法で測定した粒度分布における50%径(メジアン径:頻度の累積が50%となる粒子径)。
一実施形態において、被覆層の厚さは4nm以下、好ましくは3nm以下である。これにより、Liイオンの移動阻害等の悪影響を回避できる。下限値は、特に限定されないが、典型的には1nm以上であり、好ましくは2nm以上である。なお、被覆層の厚さは、走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いた元素マッピング分析及びライン分析により測定することができる。
一実施形態において、正極活物質に全体(例えば、粒子の組成が上述したLiaNibCocMndeであり、且つ被覆層の組成がLiとNbの酸化物(好ましくはLiNbO3)である場合、Li、Ni、Mn、Co、O及びNbの合計を100wt%とする)に対するNb含有量は0.5重量%以下であり、好ましくは、0.39重量%以下であり、更に好ましくは0.35重量%以下である。下限値は、特に限定されないが、好ましくは、0.09重量%以上であり、更に好ましくは0.15重量%以上である。なお、Nb含有量はICP発光分光分析により測定可能である。
一実施形態において、正極活物質の比表面積と、Nb濃度とは、以下の関係を充足することができる。
0.25≦Y/X≦0.60(X=比表面積(m2/g)、Y=Nb含有量(重量%))
上記Y/Xの値の上限値は、好ましくは、0.55以下であり、更に好ましくは、0.45以下である。上記Y/Xの値の下限値は、好ましくは、0.27以上であり、更に好ましくは、0.30以上である。
比率Y/Xの値を上記範囲とすることにより、容量を向上させることができる。上記式中の比表面積は、上述したBET法により測定した値を指す。
上記関係式の技術的意義を以下説明する。
まず、被覆層が薄いとLiの移動阻害が低くなる等の理由から、被覆層は薄いことが好ましい。一方で、被覆層を薄くし過ぎると、粒子を完全に(又はこれに近い状態まで)覆うことができず、粒子と電解質が直接接触してしまい、望ましくない。従って、完全に(又はこれに近い状態まで)被覆する一方で、被覆層を極力薄くする必要がある。
同一の粒径において、完全に(又はこれに近い状態まで)被覆された場合と部分的に被覆された場合とを比較すると、被覆層の成分であるNb濃度に差が生じる。即ち、部分的に被覆された場合の方が、Nb濃度が小さい。
しかし、実際には様々な粒径が存在するため、必ずしもNb濃度の大小だけで、両者(完全(又はこれに近い状態まで)に被覆された場合と部分的に被覆された場合)を判別できるわけではない。例えば、同程度被覆された場合であっても、粒径が大きくなれば、Nb濃度は小さくなる。そこで、比表面積とNb濃度とを組み合わせたパラメータを採用する。これにより、粒径が大きくなることでNb濃度が小さい場合と、部分的に被覆されたことでNb濃度が小さい場合とを区別することができる。
即ち、粒径が大きくなることでNb濃度が小さくなる場合、比表面積も同時に小さくなるので、両者の比をとることでオフセットできる。一方で、部分的に被覆されたことでNb濃度が小さい場合は、こうしたオフセットは起こらず、両者の比は小さくなる。
一方で、同一の粒径において、被覆層が薄い場合と厚い場合とを比較すると、被覆層が厚い方が、Nb濃度が大きい。
しかし、実際には様々な粒径が存在するため、必ずしもNb濃度の大小だけで、両者(被覆が厚い場合と被覆層が薄い場合)を判別できるわけではない。例えば、同程度の厚さの被覆層であっても、粒径が小さい場合の方が、相対的にNb濃度が高くなってしまう。そこで、比表面積とNb濃度とを組み合わせたパラメータを採用する。これにより、被覆層が厚くなることでNb濃度が大きくなる場合と、粒径が小さいことでNb濃度が大きくなる場合とを区別することができる。
即ち、粒径が小さくなることでNb濃度が大きくなる場合、比表面積も同時に大きくなるので、両者の比をとることでオフセットできる。一方で、被覆層が厚くなることでNb濃度が大きい場合は、こうしたオフセットは起こらず、両者の比は大きくなる。
2.正極活物質の製造方法
2−1.Li複合化合物粒子の製造方法
本開示の一実施形態に係るリチウムイオン電池用正極活物質の製造方法としては、まず、Ni組成がモル比で0.8以上であるNi・Co・Mnの三元系複合水酸化物、又は、Ni・Co・Mnとの三元系複合水酸化物の前駆体を準備する。次に、当該複合水酸化物に、Li源(炭酸Li、水酸化Li等)を、各原料の混合割合を調整してヘンシェルミキサー等で乾式混合した後、700℃〜800℃の温度で12〜24時間焼成することで、焼成体(正極活物質)を得る。その後、必要であれば、焼成体を、例えば、パルベライザー等を用いて解砕することにより正極活物質の粉体を得る。
本発明の更なる一実施形態において、上記焼成温度(700℃〜800℃)は、組成に応じて適宜調整することが好ましい。より具体的には、Niの比率に応じて、焼成温度を調整することが好ましい。本発明では、上述のようにNiの比率bを0.8〜0.9の範囲で規定している。例えば、当該範囲でNiの比率が比較的低い場合には、焼成温度を高めに設定し、Niの比率が比較的高い場合には、焼成温度を低めに設定することが好ましい。
2−2.被覆方法
一実施形態において、上記粉体は、更にLiとNbの酸化物(より好ましくはLiNbO3)で被覆することができる。被覆方法には湿式法と乾式法が含まれるが、当該実施形態では、乾式法、より具体的にはバレルスパッタ法を採用する。
例えば、LiNbO3ターゲット材を使用し、出力を300〜700Wの条件下でバレルスパッタを行うことができる。
バレルスパッタを実施する際の酸素分圧は特に限定されないが、30at%以下であってもよい。酸素の存在により、酸素欠損の発生を抑制できる。例えば、酸素欠損が生じると空孔が形成される。これにより、電気伝導性が向上していまい、正極活物質の化学ポテンシャルが被覆層を通して固体電解質に印加される。結果として、被覆層と固体電解質の界面に高抵抗層が生じてしまう懸念がある。酸素分圧の下限値は特に限定されないが、典型的には0vol%以上であってもよい。
所望の比表面積とNb含有量との関係を実現する観点から、バレルスパッタを実施する時間を適切に調節することが好ましい。実施時間が長すぎると、被覆層が厚くなりすぎてしまう。一方で、実施時間が短すぎると、粒子を完全(又はこれに近い状態まで)に被覆することができず、部分的に被覆された状態となる。典型的には、実施時間は1h〜4hである。下限値について、好ましくは、実施時間は1.5h以上である。上限値については、3h以下が好ましい。
実施時間は、他の要素を考慮しながら適宜調節することが好ましい。例えば、Ni、Co、Mnを全体としたNiのモル比率が、低い場合(例えばNi/(Ni+Co+Mn)≒0.8の場合)、実施時間は上記範囲内で相対的に長い時間にすることが好ましい。一方で、Ni、Co、Mnを全体としたNiのモル比率が、高い場合(例えばNi/(Ni+Co+Mn)≒0.9の場合)、実施時間は上記範囲内で相対的に短い時間にすることが好ましい。
3.リチウムイオン電池用正極及びリチウムイオン電池
このようにして得られたリチウムイオン電池用正極活物質を利用し、公知の手段に従い、リチウムイオン電池用正極を製造することができる。更には、前記正極を用いて、公知の手段に従い、リチウムイオン電池を作製することができる。
被覆前の粒子の平均粒子径D50、及び比表面積については、上述の手法で評価した。また、電池の特性については以下のように評価した。
−電池特性の評価(電解液系電池)−
正極活物質と、導電材と、バインダーを90:5:5の割合で秤量し、バインダーを有機溶媒(N−メチルピロリドン)に溶解したものに、正極活物質と導電材とを混合してスラリー化し、Al箔上に塗布して乾燥後にプレスして正極とした。続いて、対極をLiとした評価用の2032型コインセルを作製し、電解液に1M−LiPF6をEC−DMC(1:1)に溶解したものを用いて、放電レート0.05Cで得られた初期容量(25℃、充電上限電圧:4.3V、放電下限電圧:3.0V)を測定した。
−電池特性の評価(全固体電池)−
固体電解質としてLi2S−P25(75:25mol%)ガラスセラミックスを使用し、以下の要領でセルを作製した。
(1)正極活物質、電解質、アセチレンブラックを60:35:5の重量比となるように秤量、
(2)上記(1)の合材粉末を乳鉢で混合(全量で約50mg)、
(3)適量の電解質を冶具に入れプレス、
(4)上記(2)で作製した適量の合材を冶具に入れ、プレス、
(5)上部を固定して反転させ下パンチを外す、
(6)負極のLi−In箔を冶具に入れて下部を固定、
(7)加圧ネジで最終固定してシール用袋ナットを締める。
このセルを用いて放電レート0.05Cで得られた初期容量(25℃、充電上限電圧:3.7V、放電下限電圧:2.5V)にて測定した。セルは市販(宝泉製)で販売されているKP−SolidCellとなる。
・コア粒子
市販の硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸マンガンを水溶液として、Ni、Co、Mnのモル比率が、表1の通りになるように混合し、十分撹拌しながらアルカリ(水酸化ナトリウム)溶液と共沈反応させ、ろ過、洗浄を実施した。反応方法は常法に従って実施した。その後、NiとCoとMnの合計に対するLiのモル比(Li/(Ni+Co+Mn))が1.02となるように、上記共沈反応物を水酸化リチウム1水和物と混合し、ローラーハースキルンで表1の条件で焼成し(焼成時間24時間)、ロールミルとパルべライザーを用いて粒子径(D50)が表1の通りになるように解砕し、コア粒子の粉末(リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物)を得た。
・乾式被覆(バレルスパッタ)
上記コア粒子をバレルスパッタ用の装置(機器名:ユーテック社製)のバレル内に配置した。ターゲット金属として、LiNbO3を配置した。反応性ガスとして、酸素(O2)を表1に示す分圧でバレル内に導入した。バレルを揺動させ、上記コア粒子を攪拌させ、同時にターゲット金属とバレルとの間に表1に示す出力で印加した。
被覆後の膜厚及び放電容量等を上述方法により測定した。また、Nbの含有量を、ICP発光分光分析(日立ハイテクサイエンス社製、型番SPS5520のICP−OE)により測定した。結果を表1に示す。
実施例1〜12の被覆後の活物質は、いずれもY/Xが0.25〜0.60の範囲内となっていた。そして、全固体電池としての電池特性の評価結果において、対応する比較例よりも優れていた。
比較例1〜7は、いずれもY/Xが0.25〜0.60の範囲外となっていた。
比較例1はY/Xが大きくなっており、正極活物質の被覆層が厚すぎる状態となった。そして、組成及び粒径が同じである実施例2と比べると、電池特性が劣っていた。
比較例2はY/Xが小さくなっており、正極活物質の被覆層が不十分(担持)な状態となった。そして、組成及び粒径が同じである実施例2と比べると、電池特性が劣っていた。
比較例3はY/Xが大きくなっており、正極活物質の被覆層が厚すぎる状態となった。そして、組成及び粒径が同じである実施例5と比べると、電池特性が劣っていた。
比較例4はY/Xが小さくなっており、正極活物質の被覆層が不十分な状態となった。そして、組成及び粒径が同じである実施例5と比べると、電池特性が劣っていた。
比較例5はY/Xが大きくなっており、正極活物質の被覆層が厚すぎる状態となった。そして、組成及び粒径が同じである実施例8と比べると、全固体セルにおいては、電池特性が劣っていた。
比較例6はY/Xが小さくなっており、正極活物質の被覆層が不十分な状態となった。そして、組成及び粒径が同じである実施例8と比べると、電池特性が劣っていた。
比較例7はY/Xが大きくなっており、正極活物質の被覆層が厚すぎる状態となった。そして、組成及び粒径が同じである実施例11と比べると、電池特性が劣っていた。
以上、本開示の発明の具体的な実施形態について説明してきた。上記実施形態は、具体例に過ぎず、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、特記しない限り、上述の実施形態の1つに開示された技術的特徴は、他の実施形態に提供することができる。また、特記しない限り、特定の方法については、一部の工程を他の工程の順序と入れ替えることも可能であり、特定の2つの工程の間に更なる工程を追加してもよい。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定される。

Claims (9)

  1. 正極活物質であって、
    前記正極活物質は、粒子と被覆層とを含み、
    前記粒子の組成は以下の式で表され、
    LiaNibCocMnde
    (ここで、
    1.0≦a≦1.05、
    0.8≦b≦0.9、
    1.8≦e≦2.2、
    b+c+d=1)
    前記被覆層の組成は、LiとNbの酸化物で表され、
    前記正極活物質の比表面積と、Nb含有量とが、以下の関係を満たす、正極活物質。
    0.25≦Y/X≦0.60(X=比表面積(m2/g)、Y=Nb含有量(重量%))
  2. 請求項1に記載の正極活物質であって、前記粒子のD50が2〜12μmである、正極活物質。
  3. 請求項1又は2に記載の正極活物質であって、以下の組成条件を満たす、正極活物質。
    0.05≦c≦0.19、
    0.01≦d≦0.1
  4. 請求項1〜3いずれか1項に記載の正極活物質であって、前記正極活物質の被覆層の厚みが4nm以下である、正極活物質。
  5. 請求項1〜4いずれか1項に記載の正極活物質であって、前記Nb含有量が0.5重量%以下である、正極活物質。
  6. 請求項1〜5いずれか1項に記載の正極活物質を製造するための方法であって、
    以下の組成の化合物の原料を混合して、700℃〜800℃の温度で12〜24時間焼成し、焼成体を得る工程と、
    LiaNibCocMnde
    (前記式において、
    1.0≦a≦1.05、
    0.8≦b≦0.9、
    1.8≦e≦2.2、
    b+c+d=1)
    前記焼成体を粉砕して粒子を得る工程と、
    前記粒子をLiとNbの酸化物で被覆する工程と、
    を含み、
    前記被覆する工程が、酸素分圧30at%以下でバレルスパッタ法により被覆することを含む、該方法。
  7. 請求項6に記載の方法であって、前記被覆する工程が、1〜4時間バレルスパッタ法により被覆することを含む、該方法。
  8. 請求項1〜5いずれか1項に記載の正極活物質を含むリチウムイオン電池用正極。
  9. 請求項8のリチウムイオン電池用正極を含むリチウムイオン電池。
JP2018172689A 2018-09-14 2018-09-14 正極活物質、及び、その製造方法、並びに、正極、及びリチウムイオン電池 Active JP6633161B1 (ja)

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