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JP6616675B2 - 作業機械 - Google Patents

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Description

本発明は、作業機械の制御装置に関する。
作業機械における油圧システムの構成は、性能の追求と電子制御技術の導入に伴い複雑化している。油圧システムの構成要素のうち、開閉弁は外部から動作が視認できないため故障の検出が難しい。特許文献1には、圧力と弁の開閉指令の関係に基づく比例弁の簡便な故障診断方法が開示されている。
特開2008−291962号公報
例えば、油圧ショベルの油圧システムのように多数の弁を備える複雑なシステムでは、弁の動きに対してアクチュエータの動作が必ずしも1対1に対応しない。特に、複数のポンプから吐出される圧油を複数の弁を用いて合流させ、1つのアクチュエータを動かすようなシステムでは、特許文献1に記載されている発明を適用しても故障している弁を容易に特定する事ができず、仮に特定できたとしても時間やコストの面で問題がある。
本発明の第1の態様によると、複数のポンプと、複数のアクチュエータと、前記複数のポンプと前記複数のアクチュエータのうち、少なくとも1つのアクチュエータとを接続し、前記アクチュエータへのポンプ吐出油の流れを制御する複数の開閉弁と、通常作業モードと開閉弁診断モードとを切り替える切換スイッチと、オペレータの操作量に基づき前記少なくとも1つのアクチュエータの動作速度を指示する操作レバー、診断対象となるアクチュエータを選択するアクチュエータ選択装置と、前記操作レバーの動作指示に基づき、前記少なくとも1つのアクチュエータの動作を制御する制御装置と、を備える作業機械において、前記制御装置は、前記操作レバーによって指示された前記アクチュエータの動作速度に応じて、前記複数のポンプ前記複数の開閉弁とを駆動制御する動作制御部と、前記開閉弁診断モードが設定されている場合に、前記アクチュエータ選択装置によって選択されたアクチュエータに接続された複数の開閉弁の固着の有無を診断する診断部と、を備え、前記動作制御部は、前記切換スイッチにより前記開閉弁診断モードが設定されている場合に、前記複数の開閉弁のうち、前記アクチュエータ選択装置により選択されたアクチュエータに接続される全ての開閉弁に対し同時に開位置及び閉位置の一方の位置を保つよう指令し、開位置及び閉位置の一方に保たれた前記複数の開閉弁に接続された前記複数のポンプを前記操作レバーの操作量に基づき同時に駆動制御し、前記診断部は、前記複数の開閉弁の入口圧力と出口圧力の差に基づき、前記複数の開閉弁の固着の有無を同時に診断する。
本発明によれば、開閉弁診断モードでは、制御装置が複数の開閉弁を開位置又は閉位置に保ちポンプを駆動し、開閉弁の入口圧力と開閉弁の出口圧力の差に基づき、開閉弁の開固着および閉固着の有無を診断するので、故障している弁の特定を迅速に行うことができる。
油圧ショベルの外観図 油圧ショベルのブーム、アーム、バケット、旋回用の油圧回路図 油圧ショベルのブーム、アーム、バケット、旋回用の油圧回路図 制御装置の構成を機能ブロック図 ポンプ傾転指令値に対する開閉弁前後差圧の一例を示す図 制御信号の伝送路を示す図 通常作業モードにおける、操作レバーの操作量と、ポンプおよび開閉弁の動作状況の対応の1例を示す図 開閉弁の正常時と固着異常時の特徴を示す図 第1の診断モードにおける操作レバーがオペレータにより伸長側に操作された場合における、操作レバーの操作量とポンプおよび開閉弁の動作状況の対応の一例を示す図 第2の診断モードにおける操作レバーがオペレータにより伸長側に操作された場合における、操作レバーの操作量とポンプおよび開閉弁の動作状況の対応の一例を示す図 第3の診断モードにおける操作レバーが1回目にオペレータにより操作された場合における、操作レバーの操作量とポンプおよび開閉弁の動作状況の対応の一例を示す図 第3の診断モードにおける操作レバーが2回目にオペレータにより操作された場合における、操作レバーの操作量とポンプおよび開閉弁の動作状況の対応の一例を示す図 診断部の動作を表すフローチャート 閉固着診断モードにおける処理のフローチャート 開固着診断モードにおける処理のフローチャート 個別診断モードにおける処理のフローチャート
(第1の実施の形態)
以下、図1〜16を参照して、本発明による作業機械の制御装置の第1の実施の形態である油圧ショベルの制御装置を説明する。
図1は、本発明にかかる制御装置を備える油圧ショベル100の外観図である。油圧ショベル100は、左右一対の走行用モータ8a、8bによって駆動する下部走行体8と、下部走行体8の上に設けられ旋回モータ7により駆動される旋回装置7aと、旋回装置7aにより旋回される上部旋回体102とを備える。上部旋回体102は、オペレータが搭乗するキャブ101を備える。
上部旋回体102の前方にはブーム2が接続されており、ブーム2はブームシリンダ1により作動される。ブーム2の前方にはアーム4が接続されており、アーム4はアームシリンダ3によって作動される。アーム4の前方にはバケット6が接続されており、バケット6はバケットシリンダ5によって作動される。キャブ101の内部に収められる機器については、後に図6を用いて説明する。ブーム2、アーム4、およびバケット6は、それぞれの姿勢を検出する角度センサ105a、105b、105cを備える。角度センサ105a〜105cは、回転軸回りの相対角度を検出する。旋回装置7aは、内部に旋回角度を検出する角度センサ105dを備える。
図2は、ブーム2、アーム4、バケット6、上部旋回体を駆動するための油圧回路図、図3は下部走行体8を駆動するための油圧回路図である。図2の右端に示すA〜Dが図3の左端に示すA〜Dとつながっている。
油圧ショベル100は、4つの閉回路ポンプ、すなわち閉回路ポンプ12〜15と、4つの開回路ポンプ、すなわち開回路ポンプ16〜19を備える。油圧ショベル100は、総計32の開閉弁、すなわち開閉弁43a〜d、44a〜d、45a〜d、46a〜d、47a〜d、48a〜d、49a〜d、50a〜dを備える。
以下では、閉回路ポンプ12〜15および開回路ポンプ16〜19をまとめて、ポンプと呼ぶ。また、開閉弁43a〜d、44a〜d、45a〜d、46a〜d、47a〜d、48a〜d、49a〜d、50a〜dをまとめて、開閉弁と呼ぶ。さらに、ブームシリンダ1、アームシリンダ3、バケットシリンダ5、旋回モータ7、および走行用モータ8a、8bをまとめて、アクチュエータと呼ぶ。
ポンプおよび開閉弁は、外部指令に基づき動作する。開閉弁は、初期状態が閉状態であり、初期状態ではアクチュエータに圧油が供給されない。開閉弁が外部指令に基づき開状態となると、アクチュエータに圧油が供給される。
ポンプは、不図示のエンジンにより動力が与えられる。ポンプは、吐出容量が可変式であり、後述する制御装置57により吐出容量を決定する傾転が制御される。傾転が最少の場合にはポンプの吐出容量は最小であり、傾転が100%の場合にポンプの吐出容量が最大となる。以下ではポンプの吐出容量をゼロにすることを、ポンプを停止するともいう。
そして、開閉弁を制御することにより、アクチュエータに1または複数のポンプが吐出した圧油を導入する。たとえば、開閉弁43a、44a、47a、48aを「開」状態に動作させることにより、ブームシリンダ1へ閉回路ポンプ12,13、開回路ポンプ16,17が吐出する圧油を導く。
閉回路ポンプ12〜15は両方向に圧油を吐出することが可能なポンプであるが、ここでは図2の上側のポートから圧油を吐出する場合を例にとって説明する。
閉回路ポンプ12〜15に接続される開閉弁43a〜d、44a〜d、45a〜d、46a〜dには、ポンプから吐出される圧油をアクチュエータへ導く管路(以下、往路)と、アクチュエータから排出される戻り油をポンプに戻す管路(以下、復路)とが接続される。開閉弁43a〜d、44a〜d、45a〜d、46a〜dは、外部指令に応じた開口面積で開閉する。すなわち、外部指令が「開」の場合にはポンプ吐出油が往路からアクチュエータに流入し復路でポンプに戻る。外部指令が「閉」の場合には開閉弁が閉鎖され、ポンプ吐出油はアクチュエータに供給されない。開閉弁43a〜d、44a〜d、45a〜d、46a〜dは、例えばそれぞれ1つの電磁比例弁からなり、外部指令として例えば電流信号により開閉される。開閉弁47a〜d、48a〜d、49a〜d、50a〜dについても同様である。
油圧ショベル100は、開閉弁とポンプとの間にリリーフ弁21〜24、30〜33を、開閉弁とアクチュエータとの間にリリーフ弁37〜39、51、52a、52bを備える。以下、リリーフ弁21〜24、30〜33、37〜39、51、52a、52bをまとめてリリーフ弁と呼ぶ。リリーフ弁には所定のリリーフ圧が設定されており、ライン圧力がリリーフ圧以下に保たれる。
閉回路ポンプ12〜15には、チャージポンプ12a〜15aが併設されている。チャージポンプ12a〜15aは、所定のチャージ圧でラインへ圧油を圧送する。チャージポンプ12a〜15aとラインの間には逆止弁26〜29が設けられ、ライン圧力がチャージ圧よりも低い場合のみ、チャージポンプ12a〜15aが吐出した圧油がラインに流入する。
閉回路ポンプ12の往路側管路には圧力計402aが、復路側管路には圧力計402bが備えられる。閉回路ポンプ13の往路側管路には圧力計404aが、復路側管路には圧力計404bが備えられる。閉回路ポンプ14の往路側管路には圧力計406aが、復路側管路には圧力計406bが備えられる。閉回路ポンプ15の往路側管路には圧力計408aが、復路側管路には圧力計408bが備えられる。開回路ポンプ16の往路側管路には圧力計402cが備えられる。開回路ポンプ17の往路側管路には圧力計404cが備えられる。開回路ポンプ18の往路側管路には圧力計406cが備えられる。開回路ポンプ19の往路側管路には圧力計408cが備えられる。
ブームシリンダ1の往路側管路には圧力計401aが、復路側管路には圧力計401bが備えられる。アームシリンダ3の往路側管路には圧力計403aが、復路側管路には圧力計403bが備えられる。バケットシリンダ5の往路側管路には圧力計405aが、復路側管路には圧力計405bが備えられる。旋回モータ7の往路側管路には圧力計407aが、復路側管路には圧力計407bが備えられる。走行用モータ8a、8bの出入り口管路には圧力計409a〜409dが備えられる。これらの圧力計が検出した圧力は、制御装置57に伝送され、後述する診断に使用される。
(制御装置の構成)
図4は、制御装置57の構成を機能ブロックとして表したブロック図である。制御装置57は、インタフェース57aと、動作制御部57bと、診断部57cと、差圧マップ57dとを備える。
制御装置57は、CPU,ROM,RAM、および信号の入出力インタフェースを備える演算装置である。ROMには後述する動作を実現するプログラム、およびデータが保存される。CPUは、ROMに保存されているプログラムをRAMに展開して実行する。
インタフェース57aは、ポンプ、開閉弁、および圧力計との信号の入出力回路である。
動作制御部57bは、CPUにより実行されるプログラムの1つの機能である。動作制御部57bは、インタフェース57aから入力された信号に基づき所定の演算を行い、インタフェース57aを介してポンプおよび開閉弁に動作指令を出力する。動作制御部57bは、操作レバー56a〜eから信号が入力されていない場合は、いずれの開閉弁にも開指令を出力しないので、アクチュエータとポンプは遮断される。
診断部57cは、CPUにより実行されるプログラムの1つの機能である。診断部57cは、インタフェース57aに入力された信号に基づき所定の演算を行い、開閉弁の診断を行う。
差圧マップ57dは、開閉弁ごと、流量ごとに、開固着時、閉固着時、および正常時における、操作レバーの操作量と開閉弁の前後差圧との関係を示すデータである。差圧マップ57dは、ROMに保存される。差圧マップ57dはルックアップテーブルの形式で保存されてもよいし、関数の形式で保存されてもよい。
図5は、操作レバー操作量と開閉弁の前後差圧との関係を示すデータの一例であり、これらのデータが制御装置57のROMに差圧マップ57dとして保存されている。なお、図5において横軸は制御装置57が出力するポンプ傾転指令値を表し、縦軸は開閉弁の前後差圧を示し、実線が正常時の差圧を示している。制御装置57は、差圧が実線で示される正常値よりも所定値以上低い場合、すなわち差圧が図示一点鎖線の下側の領域にある場合は、その開閉弁が開固着状態にあると判断する。制御装置57は、差圧が実線で示される正常値よりも所定値以上高い場合、すなわち差圧が図示破線の上側の領域にある場合は、その開閉弁が閉固着状態にあると判断する。
(制御信号の伝送路)
図6は、制御装置57と他の機器との間で送受信される制御信号の伝送路、すなわち入出力関係を示す図である。図6の破線で囲まれた範囲内の機器は、キャブ101に収められている。キャブ101に収められている機器には、制御装置57と、入力操作と画像の表示が行えるタッチパネル101bと、モード切替スイッチ101cと、操作レバー56a〜eとが含まれる。
タッチパネル101bは、制御装置57が出力する情報のオペレータへの提示、およびオペレータによる操作指令の制御装置57への出力を行う。制御装置57が出力する情報とは、油圧ショベル100の各種状態の表示、および後述する故障診断実施手順の表示である。オペレータによる操作指令とは、後述する故障診断モードの動作設定を伝える指令である。
モード切替スイッチ101cは、オペレータにより操作され、後述する通常作業モードと故障診断モードとを切換えるスイッチである。モード切替スイッチ101cの操作信号は、制御装置57へ出力される。故障診断モードの詳細な動作は、オペレータによりタッチパネル101bを用いて指定される。
操作レバー56a〜eは、オペレータにより操作され、オペレータによる操作量に比例する大きさの信号を制御装置57に出力する。操作レバー56aはブームシリンダ1の操作に、操作レバー56bはアームシリンダ3の操作に、操作レバー56cはバケットシリンダ5の操作に、操作レバー56dは旋回モータ7の操作に、操作レバー56eは走行用モータ8a、8bの操作に、それぞれ対応する。各操作レバーの操作量に基づき制御装置57に出力される信号の大きさを、以下では0〜100%で表す。以下では、操作レバー56a〜eをまとめて、操作レバーと呼ぶ。
制御装置57は、信号線43wを介して開閉弁43a〜dへ動作指令を出力し、信号線44wを介して開閉弁44a〜dへ動作指令を出力する。詳細な図示は省略するが、信号線45wを介して開閉弁45a〜dへ動作指令を出力し、信号線46wを介して開閉弁46a〜dへ動作指令を出力し、信号線47wを介して開閉弁47a〜dへ動作指令を出力し、信号線48wを介して開閉弁48a〜dへ動作指令を出力し、信号線49wを介して開閉弁49a〜dへ動作指令を出力し、信号線50wを介して開閉弁50a〜dへ動作指令を出力する。
(通常作業モード)
油圧ショベル100を用いて掘削、積込などの作業を行う通常作業モードを説明する。
オペレータによりモード切替スイッチ101cが通常作業モードに設定されると、オペレータによる操作レバー56a〜eの操作に基づき、油圧ショベル100が以下のように動作する。
制御装置57の動作制御部57bは、通常作業モードでは、合計8台のポンプを4つの組、すなわち閉回路ポンプ12と開回路ポンプ16の組、閉回路ポンプ13と開回路ポンプ17の組、閉回路ポンプ14と開回路ポンプ18の組、閉回路ポンプ15と開回路ポンプ19の組、に分けてそれぞれの組ごとに制御する。操作レバーから入力された信号の大きさ、すなわちユーザによる操作レバーの操作量に応じてアクチュエータの動作速度を決定し、その動作速度に必要な圧油を供給する必要最低限の組のポンプの傾転を増加させる。また、対応する開閉弁を開く。動作制御部57bは、操作レバーから受信する信号の大きさが25%未満では1組のポンプのみを選択し、50%未満では2組のポンプのみを選択し、75%未満では3組のポンプを選択し、75%以上では4組、すなわち全てのポンプを選択しる。
動作制御部57bは、操作レバーから受信する信号の大きさが75%未満の場合に、どのアクチュエータにどのポンプを接続するか、すなわちどの開閉弁を動作させるかは、操作性や機器の寿命などを考慮して決定する。したがって、オペレータが同一の操作レバーを操作しても、吐出するポンプおよび動作する開閉弁は一定ではない。
動作の一例として、オペレータがブームシリンダ1を伸長させる際の操作レバー56aの操作量と、ポンプおよび開閉弁の動作との関係を説明する。
図7は、通常作業モードにおける、操作レバー56aの操作量と、ポンプおよび開閉弁の動作状況の対応を示す図である。いずれのグラフも横軸が操作レバー56aの操作量を表しており、上段からポンプ15、19の傾転、ポンプ14、18の傾転、ポンプ13,17の傾転、ポンプ12,16の傾転、開閉弁46a、50aの状態、開閉弁45a、49aの状態、開閉弁44a、48aの状態、開閉弁43a、45aの状態を表す。
制御装置57は、操作レバー56aの操作信号が入力されると、まず閉回路ポンプ12と開回路ポンプ16の傾転を増加させ、閉回路ポンプ12とブームシリンダ1を接続する開閉弁43a、および開回路ポンプ16とブームシリンダ1を接続する開閉弁47aを開状態に動作させる。制御装置57は、入力される信号の大きさが25%に達するまでは、閉回路ポンプ12と開回路ポンプ16の傾転を増加させて、閉回路ポンプ12と開回路ポンプ16の吐出流量を増加させる。
制御装置57は、入力される信号の大きさが25%を超えると、閉回路ポンプ12と開回路ポンプ16を最大の傾転で動作させたまま、新たに閉回路ポンプ13と開回路ポンプ17に動作指令を出力し、閉回路ポンプ13とブームシリンダ1を接続する開閉弁44a、および開回路ポンプ17とブームシリンダ1を接続する開閉弁48aを開状態とする動作指令を出力する。制御装置57は、入力される信号の大きさが50%に達するまでは、入力信号の増加に合わせて閉回路ポンプ13と開回路ポンプ17の傾転を増加させて、閉回路ポンプ13と開回路ポンプ17の吐出流量を増加させる。
制御装置57は、入力される信号の大きさが50%を超えると、閉回路ポンプ12、13と開回路ポンプ16、17を最大の傾転で動作させたまま、新たに閉回路ポンプ14と開回路ポンプ18に動作指令を出力し、閉回路ポンプ14とブームシリンダ1を接続する開閉弁45a、および開回路ポンプ18とブームシリンダ1を接続する開閉弁49aを開状態とする動作指令を出力する。制御装置57は、入力される信号の大きさが75%に達するまでは、入力信号の増加に合わせて閉回路ポンプ14と開回路ポンプ18の傾転を増加させて、閉回路ポンプ14と開回路ポンプ18の吐出流量を増加させる。
制御装置57は、入力される信号の大きさが75%を超えると、閉回路ポンプ12〜14と開回路ポンプ16〜18を最大の傾転で動作させたまま、新たに閉回路ポンプ15と開回路ポンプ19に動作指令を出力し、閉回路ポンプ15とブームシリンダ1を接続する開閉弁46a、および開回路ポンプ19とブームシリンダ1を接続する開閉弁50aを開状態とする動作指令を出力する。制御装置57は、入力される信号の増加にあわせて閉回路ポンプ15と開回路ポンプ19の傾転を増加させて、閉回路ポンプ15と開回路ポンプ19の吐出流量を増加させる。
制御装置57は、ブームシリンダ1を縮退させる信号が操作レバー56aから入力された場合は、閉回路ポンプ12〜15のみを吐出させる。ただし、ブームシリンダ1のボトム側から排出される圧油の流量は、閉回路ポンプ12〜15から供給される流量も多いため、余剰の圧油を比例弁111〜114を通してタンクに排出する必要があるので、開閉弁の制御は伸長させる際と同様である。操作レバー56aから入力される信号の大きさに応じて、接続されるポンプの台数が制御される点は伸長させる際と同様である。このように、通常作業モードは掘削、積込等のショベルが作業現場において通常行う動作に適したポンプとアクチュエータの接続関係となるように開閉弁を制御するモードである。
(故障診断モード)
オペレータによりモード切替スイッチ101cが診断モードに切り替えられると、タッチパネル101bには診断モード、すなわち、閉固着診断モード、開固着診断モード、個別診断モードの何れかを選択する画面が表示される。オペレータがタッチパネル101bを操作し、いずれかの診断モードが選択されるとタッチパネル101bにオペレータへの操作指示が表示される。
いずれのモードにおいても、オペレータがモードを選択しただけではポンプおよび開閉弁に動作指令は出力されない。モード選択後にオペレータによりいずれかの操作レバーが操作されることにより、診断モードの動作が開始される。
以下に説明する第1〜第3の診断モードでは、開閉弁の開固着、および閉固着を検出する。開閉弁が閉鎖された状態で固定される閉固着の検出は、弁が閉じたままの状態では、弁が開いている状態に比べて弁前後の差圧が大きくなる現象を利用する。開閉弁が開放された状態で固定される開固着の検出は、弁が開いたままの状態では、弁が閉じている状態に比べて弁前後の差圧が小さくなる現象を利用する。これらをまとめると図8となる。
図8は、開固着状態および閉固着状態の特徴を示す図である。第1〜第3の診断モードでは、この特徴を利用して開固着および閉固着を診断する。
診断を行う開閉弁の前後差圧は、ポンプ側の圧力計402a〜c、404a〜c、406a〜c、408a〜cおよびアクチュエータ側の圧力計401a〜b、403a〜b、405a〜b、407a〜b、409a〜dが測定する圧力から算出する。本油圧ショベル100のように、ポンプ流量によってアクチュエータ速度を制御するシステムでは、ポンプと開閉弁との間、開閉弁とアクチュエータとの間、いずれも管路圧損分の差圧しか生じない。そのため、ポンプ周辺の圧力とアクチュエータ周辺の圧力との差を開閉弁の前後差圧として評価することができる。
各診断モードの概要、およびオペレータにより選択される状況の想定は、以下のとおりである。第1の診断モードは、あるアクチュエータに接続される複数の開閉弁の閉固着を検出するモードであり、アクチュエータがオペレータが操作したとおりに動作しない場合の使用を想定している。第2の診断モードは、複数の開閉弁の開固着を検出するモードであり、オペレータが操作していないアクチュエータが動作する場合の使用を想定している。第3の診断モードは、特定の開閉弁を対象とした開固着および閉固着を検出するモードであり、診断対象とする開閉弁が明確な場合の使用を想定している。
(閉固着診断モード)
オペレータが第1の診断モードを選択すると、タッチパネル101bには、動作が不良であるアクチュエータを選択する画面が表示される。オペレータがいずれかのアクチュエータを選択すると、タッチパネル101bにはオペレータに周囲の安全確認を促す画面が表示される。次に、オペレータが選択したアクチュエータに対応する操作レバーを、伸長側および縮退側へ操作することを促す画面が表示される。オペレータがその画面表示に従い操作レバーを操作すると、制御装置57は以下の制御を行う。
制御装置57は、操作レバーが伸長側に操作されると全てのポンプの傾転を増加させ、操作レバーが縮退側に操作されると閉回路ポンプ12〜15のポンプの傾転を増加させる。
制御装置57は、オペレータにより操作された操作レバーに対応するアクチュエータへ圧油を導く全ての開閉弁に開指令を送信する。たとえば、ブーム2を操作する操作レバー56aがオペレータにより操作された場合には、各ポンプとブームシリンダ1を接続する、開閉弁43a、44a、45a、46a、47a、48a、49a、50aに開指令を送信する。
図9は、第1の診断モードにおいて操作レバー56aがオペレータにより伸長側に操作された場合における操作レバーの操作量と、ポンプおよび開閉弁の動作状況の対応を示す図である。図9に示す各グラフが示す物理量、および各グラフの縦軸、横軸は図7と同様なので説明を省略する。
制御装置57は、操作レバー56aから信号が入力されると、全てのポンプの傾転を同様に変化させ、いずれのポンプの流量も同等の割合で変化させる。制御装置57は、操作レバー56aから信号が入力されると、開閉弁43a、44a、45a、46a、47a、48a、49a、50aの全てに対して開指令を送信する。操作レバー56aから出力される信号の大きさに対するブームシリンダ1に流入する圧油の量、すなわちブーム2の動作速度は通常作業モードと同様である。
図7に示す通常作業モードと、図9に示す閉固着診断モードを比較すると、同等のレバー操作量に対して、複数のポンプの吐出流量と複数の開閉弁の開閉状態、および当該アクチュエータへ接続されるポンプの数が異なる。すなわち、閉固着診断モードでは、操作レバーから出力される信号に基づき複数のポンプの傾転が同様に制御され、複数の開閉弁が同様に開放される。
制御装置57は、圧力計の出力を評価する。いずれの開閉弁も制御装置57の動作指令に従って正常に動作していれば、ポンプ12〜19の吐出圧、動作させているアクチュエータの圧力、全ての閉回路ポンプ12〜15の吸込圧が同程度となる。
制御装置57は、開閉弁の前後の差圧が差圧マップ57dから導かれる差圧よりも所定値以上大きいか否かを判断する。開閉弁の吐出側の前後の差圧とは、たとえば圧力計401aの測定値と圧力計402aの測定値の差である。差圧が所定値以上大きい場合は、その開閉弁が閉固着であると判断し、タッチパネル101bに差圧が所定値以上であった開閉弁の名称および個所と閉固着である旨を表示する。たとえば、圧力計401aの測定値と圧力計402aの測定値の差が差圧マップ57dから導かれる差圧よりも所定値以上大きい場合は、開閉弁43aの往路側が閉固着していると判断する。たとえば、圧力計401bの測定値と圧力計402bの測定値の差が、差圧マップ57dから導かれる差圧よりも所定値以上大きい場合は、開閉弁43aの復路側が閉固着していると判断する。
制御装置57は、閉固着がある旨を表示した場合は、直ちに交換作業を実施するか否かを問い合わせる表示をタッチパネル101bに表示させる。オペレータにより交換を実施する旨の選択がなされると、油圧ショベル100の油圧回路の動作を停止させる。その後、タッチパネル101bに交換作業が完了したか否かを問い合わせる画面を表示させ、オペレータにより交換完了が選択されると、再び操作レバーの操作を促す画面を表示させる。
以上説明した第1の診断モードでは、図9に示すようにオペレータによる操作レバーにより複数のポンプの傾転が増加し、複数の開閉弁の閉固着を検出できる。すなわち、最低限のポンプ吐出流量、すなわち最低限のアクチュエータの動作速度で、当該アクチュエータとポンプを接続する開閉弁の閉固着の有無を検出できる。上記ではアクチュエータとしてブームシリンダ1を例示したが、アームシリンダ3、バケットシリンダ5、および旋回モータ7も同様に検出できる。
つまり、油圧ショベル100の制御装置57は、いずれのアクチュエータに接続される開閉弁の診断においても、当該アクチュエータを動作させる1自由度の操作中に複数の弁を同時に診断できる。
(開固着診断モード)
オペレータが第2の診断モードを選択すると、タッチパネル101bにはオペレータに周囲の安全確認を促す画面が表示される。次にいずれかの操作レバーの操作を、伸長側および縮退側へ操作することを促す画面が表示される。オペレータがその画面表示に従い操作レバーを操作すると、制御装置57は以下の制御を行う。
制御装置57は、操作レバーが伸長側に操作されると全てのポンプの傾転を同様に増加させ、操作レバーが縮退側に操作されると閉回路ポンプ12〜15のポンプの傾転を同様に増加させる。制御装置57は、本モードではいずれの開閉弁にも動作指令を出力せず、ポンプとアクチュエータを断続させたままとする。
図10は、第2の診断モードにおいて操作レバー56aがオペレータにより伸長側に操作された場合における操作レバーの操作量と、ポンプおよび開閉弁の動作状況の対応を示す図である。図10に示す各グラフが示す物理量、および各グラフの縦軸、横軸は図7と同様なので説明を省略する。
制御装置57は、操作レバー56aから信号が入力されると、全てのポンプの傾転を同様に変化させ、いずれのポンプの流量も同等の割合で変化させる。制御装置57は、操作レバー56aからの信号の有無にかかわらず、開閉弁に動作指令を出力せず全て閉鎖させたままとする。操作レバー56aから出力される信号の大きさに対するブームシリンダ1に流入する圧油の量、すなわちブーム2の動作速度は通常作業モードと同様である。
図7に示す通常作業モードと、図10に示す開固着診断モードを比較すると、レバー操作量に対して、複数のポンプの吐出流量と複数の開閉弁の開閉状態、および当該アクチュエータへ接続されるポンプの数が異なる。すなわち、操作レバーから出力される信号に基づき、複数のポンプの傾転が同様に制御され、複数の開閉弁に対しては閉信号が入力される。
制御装置57は、圧力計の出力を評価する。いずれの開閉弁も制御装置57の動作指令に従って正常に動作しており、いずれの開閉弁も閉状態が維持されていれば、圧力計により測定される圧力の関係は以下のようになる。開閉弁が正常に動作している場合は、ポンプ12〜19の吐出圧はアクチュエータ側の圧力を超え、開回路ポンプ16〜19の吸込圧はチャージ圧を下回る。すなわち、開閉弁が正常に動作している場合は開閉弁の前後の差圧が所定値以上となる。
制御装置57は、開閉弁の前後の差圧が所定値以上であるか否かを判断する。差圧が所定値未満の場合は、その開閉弁が開固着であると判断し、タッチパネル101bに差圧が所定値未満であった開閉弁の名称および個所と開固着である旨を表示する。
制御装置57は、開固着がある旨を表示した場合は、さらに直ちに交換作業を実施するか否かを問い合わせる表示をタッチパネル101bに表示させる。オペレータにより交換を実施する旨の選択がなされると、油圧ショベル100の油圧回路の動作を停止させる。その後、タッチパネル101bに交換作業が完了したか否かを問い合わせる画面を表示させ、オペレータにより交換完了が選択されると、再び操作レバーの操作を促す画面を表示させる。
以上説明した第2の診断モードでは、一度の操作で開閉弁の開固着を検出することができる。
(個別診断モード)
本モードでは、特定の開閉弁の閉固着および開固着を診断するために、オペレータに2回の操作を要求する。
オペレータが第3の診断モードを選択すると、タッチパネル101bには、診断対象とする開閉弁を選択する画面が表示される。タッチパネル101bには、開閉弁の名称を入力する欄を設けてもよいし、図2〜3に示したような油圧回路図を表示してその表示から開閉弁を選択できるようにしてもよいし、開閉弁を特定するポンプとアクチュエータの組み合わせを選択可能にしてもよい。油圧ショベル100が備える開閉弁は、いずれかのポンプといずれかのアクチュエータを接続するので、ポンプとアクチュエータの組み合わせから、開閉弁を特定できるからである。
オペレータがいずれかの開閉弁を選択すると、タッチパネル101bにはオペレータに周囲の安全確認を促す画面が表示される。制御装置57は、オペレータが選択した開閉弁に接続されるポンプおよびアクチュエータを特定する。たとえば、オペレータが開閉弁43aを選択すると、閉回路ポンプ12と、ブームシリンダ1が特定される。
次にタッチパネル101bには、オペレータが選択したアクチュエータに対応する操作レバーの第1回目の操作を促す画面が表示される。オペレータがその画面表示に従い操作レバーを操作すると、制御装置57は以下の制御を行う。制御装置57は、操作レバーから信号が入力されると、対応するポンプの傾転を変化させ、オペレータが選択した開閉弁に開指令を出力する。
図11は、第3の診断モードにおいて故障時の対象として開閉弁4aを選択し、操作レバー56aが1回目にオペレータにより操作された場合における操作レバー56bの操作量と、ポンプおよび開閉弁の動作状況の対応を示す図である。いずれのグラフも横軸が操作レバー56aの操作量を表しており、上段からポンプ12の傾転、ポンプ13〜19の傾転、開閉弁43aの状態、および開閉弁44a〜59aの状態を表す。
制御装置57は、操作レバー56aから信号が入力されると、ポンプ12の傾転を増加させ、ポンプ12の吐出流量を増加させる。制御装置57は、操作レバー56aから信号が入力されると、開閉弁43aに対して開指令を送信する。
次にタッチパネル101bには、オペレータが選択したアクチュエータに対応する操作レバーの第2回目の操作を促す画面が表示される。オペレータがその画面表示に従い操作レバーを操作すると、制御装置57は以下の制御を行う。制御装置57は、操作レバーから信号が入力されると、対応するポンプの傾転を変化させるが、いずれの開閉弁にも開指令を出力せず閉鎖状態を維持させる。
図12は、第3の診断モードにおいて操作レバー56aが2回目にオペレータにより操作された場合における操作レバーの操作量と、ポンプおよび開閉弁の動作状況の対応を示す図である。図12に示す各グラフが示す物理量、および各グラフの縦軸、横軸は図11と同様なので説明を省略する。
制御装置57は、操作レバー56aから信号が入力されると、ポンプ12の傾転を増加させ、ポンプ12の流量を変化させる。いずれの開閉弁にも開指令を出力せず閉鎖状態を維持させる。
制御装置57は、圧力計の出力を評価する。制御装置57は、オペレータにより第1回目の操作が行われた際に測定した圧力を用いて、上述した閉固着診断モードと同様に閉固着を診断する。制御装置57は、オペレータにより第2回目の操作が行われた際に測定した圧力を用いて開固着を診断する。制御装置57は、診断結果をタッチパネル101bに表示する。
制御装置57は、開固着または閉固着がある旨を表示した場合は、さらに直ちに交換作業を実施するか否かを問い合わせる表示をタッチパネル101bに表示させる。オペレータにより交換を実施する旨の選択がなされると、油圧ショベル100の油圧回路の動作を停止させる。その後、タッチパネル101bに交換作業が完了したか否かを問い合わせる画面を表示させ、オペレータにより交換完了が選択されると、再び操作レバーの操作を促す画面を表示させる。
以上説明した第3の診断モードでは、特定の開閉弁を対象として、最低限のポンプおよび開閉弁のみを動作させて、開固着および閉固着を検出できる。
(フローチャート)
以上説明した制御装置57の診断部57cの動作を実現するプログラムを、フローチャートを用いて説明する。
以下で説明する各ステップの実行主体は、制御装置57のCPUである。
オペレータによりモード切替スイッチ101cが診断モードに切り替えられると、図13に示すフローチャートの動作が開始される。
図13は、診断部57cの動作を表すフローチャートである。
ステップS500において、タッチパネル101bに診断モード1〜3を選択可能な画面を表示させステップS501に進む。
ステップS501において、オペレータにより選択された診断モードを判断する。診断モード1が選択されたと判断する場合はステップS502に進んで閉固着診断モードを実行する。診断モード2が選択されたと判断する場合はステップS503に進んで開固着診断モードを実行する。診断モード3が選択されたと判断する場合はステップS504に進んで個別診断モードを実行する。
(閉固着診断モードのサブルーチン)
図14は、図13のステップS502に示す閉固着診断モードの詳細を示すサブルーチンのフローチャートである。
ステップS502aにおいて、タッチパネル101bに動作不良のアクチュエータを選択する旨の表示を出力し、ステップS505に進む。
ステップS505において、オペレータがいずれかのアクチュエータを選択したか否かを判断する。いずれかのアクチュエータを選択したと判断する場合はステップS506に進み、まだアクチュエータを選択していないと判断する場合はステップS505に留まりオペレータの選択を待つ。
ステップS506において、タッチパネル101bに、アクチュエータが動作する可能性があるので周囲の安全確保を要求する旨の表示を出力し、ステップS507に進む。
ステップS507において、タッチパネル101bに、ステップS505においてオペレータが選択したアクチュエータに対応する操作レバーを伸長側および縮退側へ操作することを促す表示を出力し、ステップS508に進む。
ステップS508において、操作レバーから出力される動作指令信号に基づき複数のポンプの傾転を同様に変化させるとともに、複数の開閉弁に開指令を出力する。次にステップS509に進む。
ステップS509において、開閉弁の前後の差圧が差圧マップ57dから導かれる差圧よりも所定値以上大きいか否か、すなわち差圧か過大か否かを判断する。差圧が過大であると判断する場合はステップS510に進み、差圧が過大でないと判断する場合は対処の必要がないため図14に示すサブルーチンの実行を終了する。
ステップS510において、差圧が過大であった開閉弁の表示、および直ちに交換を行うか否かの選択を求める表示を、タッチパネル101bに出力してステップS511に進む。
ステップS511において、オペレータの選択が直ちに交換を行う旨の選択であったか否かを判断する。直ちに交換を行う旨の選択であったと判断する場合はステップS511aに進み、直ちには交換しない旨の選択であったと判断する場合は、図14に示すサブルーチンの実行を終了する。
ステップS511aにおいて、交換作業が終了したら作業終了を通知する入力がほしい旨の表示をタッチパネル101bに出力し、ステップS512に進む。
ステップS512において、オペレータにより交換作業が終了した旨の通知が入力されたか否かを判断する。交換終了の通知が入力されたと判断する場合は、ステップS506に戻り再度診断を行う。交換終了の通知が入力されていないと判断する場合は、ステップS512に留まりオペレータの入力を待つ。
(開固着診断モードのサブルーチン)
図15は、図13のステップS503に示す開固着診断モードの詳細を示すサブルーチンである。一部の処理は図14に示した閉固着診断モードの処理と共通するので、共通する処理には同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS506において、タッチパネル101bに、アクチュエータが動作する可能性があるので周囲の安全確保を要求する旨の表示を出力し、ステップS516に進む。
ステップS516において、タッチパネル101bに、いずれかの操作レバーを伸長側および縮退側へ操作することを促す表示を出力し、ステップS517に進む。
ステップS517において、操作レバーから出力される動作指令信号に基づき複数のポンプの傾転を同様に変化させる。開閉弁には動作指令を出力せず、閉鎖状態を維持させる。次にステップS518に進む。
ステップS518において、全ての開閉弁について、開閉弁の前後の差圧が所定値未満であるか否か、すなわち差圧が過小であったか否かを判断する。全ての開閉弁について開閉弁の前後の差圧が過小ではない場合は図15に示すサブルーチンの実行を終了し、1つでも開閉弁の前後の差圧が過小である場合はステップS519に進む。
ステップS519において、差圧が過小であった開閉弁の表示、および直ちに交換を行うか否かの選択を求める表示を、タッチパネル101bに出力してステップS511に進む。
ステップS511、S511a、S512の処理は図14と同様である。
(個別診断モードのサブルーチン)
図16は、図13のステップS504に示す個別診断モードの詳細を示すサブルーチンである。一部の処理は図14に示した閉固着診断モードの処理と共通するので、共通する処理には同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS520において、タッチパネル101bに、診断対象とする開閉弁を選択してほしい旨の表示を出力し、ステップS521に進む。
ステップS521において、オペレータにより診断対象とする開閉弁が選択されたか否かを判断する。開閉弁が選択されたと判断する場合はステップS506に進み、開閉弁が選択されていないと判断する場合はステップS521に留まりオペレータによる選択を待つ。
ステップS506において、タッチパネル101bに、アクチュエータが動作する可能性があるので周囲の安全確保を要求する旨の表示を出力し、ステップS522に進む。
ステップS522において、タッチパネル101bに、オペレータが選択した開閉弁に対応する操作レバーの操作、すなわち第1回目のレバー操作を促す表示を出力し、ステップS523に進む。
ステップS523において、操作レバーから出力される動作指令信号に基づき複数のポンプの傾転を同様に変化させるとともに、オペレータが選択した開閉弁に開指令を出力する。次にステップS524に進む。
ステップS524において、タッチパネル101bに、オペレータが選択した開閉弁に対応する操作レバーの操作、すなわち第2回目のレバー操作を促す表示を出力し、ステップS525に進む。
ステップS525において、操作レバーから出力される動作指令信号に基づき複数のポンプの傾転を同様に変化させるが開閉弁には動作指令を出力せず、閉鎖状態を維持させる。次にステップS526に進む。
ステップS526において、ステップS523に示す1回目のレバー操作に基づく動作時に、オペレータが選択した開閉弁の差圧が所定値以上、すなわち過大であるか否かを判断する。差圧が過大であると判断する場合はステップS528に進み、差圧が過大ではないと判断する場合はステップS527に進む。
ステップS527において、ステップS525に示す2回目のレバー操作に基づく動作時に、オペレータが選択した開閉弁の差圧が所定値未満、すなわち過小であるか否かを判断する。差圧が過小であると判断する場合はステップS528に進み、差圧が過小ではないと判断する場合は本ルーチンを終了する。
ステップS528において、ステップS526において差圧が過大であると判断した場合は閉固着、ステップS527において差圧が過小であると判断した場合は開固着である旨の表示、および直ちに交換を行うか否かの選択を求める表示を、タッチパネル101bに出力してステップS511に進む。
ステップS511、S511a、S512の処理は図14と同様である。
上述した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)作業機械、すなわち油圧ショベル100の制御装置57は、複数のポンプ、すなわち閉回路ポンプ12〜15および開回路ポンプ16〜19と、少なくとも1つのアクチュエータ、すなわちブームシリンダ1、アームシリンダ3、バケットシリンダ5、旋回モータ7、走行用モータ8a、8bと、複数のポンプと少なくとも1つのアクチュエータとを接続し、アクチュエータへのポンプ吐出油の流れを制御する複数の開閉弁43a〜d、44a〜d、45a〜d、46a〜d、47a〜d、48a〜d、49a〜d、50a〜dと、通常作業モードと開閉弁診断モードとを切り替えるモード切替スイッチ101cと、オペレータの操作量に基づきアクチュエータの動作速度を指示する入力部、すなわち操作レバー56a〜eと、を備える作業機械、すなわち油圧ショベル100に備えられる。油圧ショベル100の制御装置57は、操作レバー56a〜eで支持されたアクチュエータの動作速度に応じて、複数のポンプの吐出容量、および複数の開閉弁の開閉状態を含む制御情報を算出し、ポンプとアクチュエータを駆動制御する動作制御部57bと、開閉弁の故障診断モードが設定されている場合に、開閉弁の入口圧力と開閉弁の出口圧力の差に基づき、開閉弁の開固着および閉固着の有無を診断する診断部57cと、を備える。動作制御部57bは、開閉弁診断モードが設定されている場合に、複数の開閉弁に対し開位置又は閉位置を保つよう指令し、開位置または閉位置に保たれた複数の開閉弁に接続された複数のポンプを入力部の操作量に基づき駆動制御する。
制御装置57をこのように構成したので、故障診断モードでは、動作制御部57bが複数の開閉弁を開位置又は閉位置に保ちポンプを駆動し、診断部57cが開閉弁の入口圧力と開閉弁の出口圧力の差に基づき、開閉弁の開固着および閉固着の有無を診断するので、故障している弁の特定を迅速に行うことができる。
動作制御部57bは、通常作業モードでは、どのアクチュエータにどのポンプを接続するか、すなわちどの開閉弁を動作させるかは、各操作レバーの操作量に基づいて決定する。尚、操作レバーの操作量以外では、操作性や機器の寿命などを考慮して決定するようにしても良い。したがって、通常作業モードではオペレータが同一の操作レバーを操作しても、動作する開閉弁およびポンプは一定ではないため故障している弁の特定が困難である。一方、故障診断モードでは、オペレータの操作に基づき特定の開閉弁およびポンプが決定されるので、故障している弁の特定を迅速に行うことができる。また制御装置57は、オペレータにアクチュエータを伸長側および縮退側へ操作させるので、一方向の流れに対してだけ生じる現象も診断することができる。
(2)動作制御部57bは、モード切替スイッチ101cにより開閉弁診断モードが設定されている場合に、同一のアクチュエータに接続された複数の開閉弁の開閉状態が連動するように制御情報を算出する。
通常作業モードでは、操作レバー56a〜eからの出力により決定されるアクチュエータの動作速度が速くなるほど、アクチュエータに多くのポンプを接続させるために対応する開閉弁に順番に開指令が出力される。すなわち通常作業モードでは、いずれの開閉弁に開指令が出力されているかが明確ではない。
しかし、第1の診断モード、すなわち開固着診断モードでは、動作制御部57bは同一のアクチュエータに接続された複数の開閉弁、たとえばブームシリンダ1に接続された開閉弁43a、44a、45a、46a、47a、48a、49a、50aの開閉状態を連動させて全てに開指令を出力する。そのため、どの開閉弁に開指令が出力されているかが明確であり、閉固着の診断が容易となる。
(3)動作制御部57bは、モード切替スイッチ101cが開閉弁診断モードである場合に、複数のポンプの吐出容量が連動して増加するように制御情報を算出する。
動作制御部57bは、開閉弁診断モードにおいて、オペレータによる操作レバーの操作に応じて複数のポンプの吐出容量を連動して増加させる。そのため、閉固着の診断においては、それらのポンプに接続されている開閉弁を連動して開かせることができ、閉固着の診断が容易となる。開固着の診断においては、開閉弁に開指令を出力せずに閉鎖させたまま複数のポンプの吐出容量を連動して増加させることにより、開固着状態の開閉弁の前後の差圧のみが大きくなるため、開固着の診断が容易となる。
上述した第1の実施の形態を以下のように変形させてもよい。
(変形例1)
油圧回路の構成は、第1の実施の形態において説明した構成に限定されない。
閉回路ポンプ12〜15、および開回路ポンプ16〜19を備えた。しかし、複数種類のポンプを備える必要はなく、閉回路ポンプまたは開回路ポンプを少なくとも2つ備えればよい。
アクチュエータは少なくとも1つを備えればよく、開閉弁、およびポンプは少なくとも2つずつ備えればよい。
(変形例2)
制御装置57は、診断モードにおいて圧力計の検出する圧力等に基づき、開固着および閉固着を検出した。しかし、制御装置57は開固着および閉固着を検出しなくてもよい。すなわち制御装置57は、モード切替スイッチ101cの出力に基づき、操作レバーからの信号に対するモータおよび開閉弁への制御指令を切り換え、圧力計が測定した圧力をタッチパネル101bに出力してもよい。
この場合は、オペレータがタッチパネル101bに表示される圧力を見て、開固着および閉固着の判断を行う。
(変形例3)
制御装置57は、通常作業モードと、第1〜第3診断モードの合計4つのモードとを備えた。しかし制御装置57は、通常作業モードと、少なくとも1つの診断モードを備えればよい。
(変形例4)
制御装置57は、以下に示す第4の診断モードを備えてもよい。
第4の診断モードは、アクチュエータ動作に特段の異変が認知されない状況において、開閉弁の動作が正常であることの確認を目的とするものである。
第4の診断モードでは、制御装置57は、オペレータに操作レバー56a〜dを順番に操作してほしい旨の表示をタッチパネル101bに表示させる。制御装置57は、いずれの操作レバーから操作信号が入力されても、全てのポンプの傾転を同様に変化させる。制御装置57は、操作信号を入力した操作レバーに対応するアクチュエータと接続される開閉弁に開指令を出力する。たとえば、オペレータの操作に基づき操作レバー56aが操作信号を出力した場合は、ブームシリンダ1に接続されている開閉弁43a、44a、45a、46a、47a、48a、49a、50aに開指令を出力する。
制御装置57は、第1の診断モードと同様の手法を用いて、開指令が出力されている開閉弁を対象として閉固着の診断を行う。制御装置57は、第2の診断モードと同様の手法を用いて、開指令が出力されていない開閉弁を対象として開固着の診断を行う。
したがって、オペレータが操作レバー56a〜dを順番に操作することにより、全ての開閉弁について開固着と閉固着の診断が可能である。
(変形例5)
制御装置57は、故障診断モードにおいて馬力制御をおこなってもよい。
故障診断モードでは、ポンプの傾転(吐出容量)は操作レバーの操作量に対応する。そのため、操作レバーが大きく操作されるとエンジンの負荷が増加してエンジンストールの可能性がある。開閉弁の診断には、エンジンへ過負荷を与えるようなレバー操作は不要であるが、仮にそのような操作が行われた場合でも、エンジンストールを防ぐために以下の処理を行う。すなわち、各ポンプの吐出圧と傾転からエンジントルクを算出し、エンジントルクが所定値を上回らないように傾転を一律に抑制する。
馬力制御が有効な場合には、操作レバーの操作量とアクチュエータの速度が一致しないため、オペレータがこの状態を異常と誤認する可能性がある。これを防止するために、制御装置57はさらに以下の処理を行ってもよい。すなわち、制御装置57は、エンジントルクが所定値に達すると、タッチパネル101bにエンジン負荷過大の警告とレバー操作量を抑える指示を表示する。制御装置57は、馬力制御が有効な場合には馬力制御が行われていることをタッチパネル101bに表示する。
(変形例6)
制御装置57は、閉回路ポンプ12〜15に接続された開閉弁の故障診断にあたり、往路および復路の両方について開固着診断、および閉固着診断を行った。しかし、制御装置57は往路および復路のいずれか一方のみについて開固着診断、および閉固着診断を行ってもよい。
(変形例7)
制御装置57は、いずれの故障診断モードにおいても、操作レバーの操作量に対するアクチュエータの動作速度は、通常作業モードと同一に制御した。しかし、安全性を考慮して故障診断モードにおける操作レバーの操作量に対するアクチュエータの動作速度は、通常作業モードよりも低速にしてもよい。
(変形例8)
制御装置57は故障診断モードにおいて、制御装置57が意図しない入力信号が入力された際に、この入力を無視してもよいし、警告を表示してもよい。すなわち、オペレータによる操作レバーの誤操作を無視してもよいし、警告を表示してもよい。
たとえば、第1の診断モードにおいて、特定の操作レバーの操作を促す表示をタッチパネル101bに表示させた後で、オペレータが異なる操作レバーを操作すると、制御装置57は以下の処理を行う。すなわち、制御装置57にその操作信号が入力されても、ポンプおよび開閉弁への操作指令を出力せず、タッチパネル101bに操作する操作レバーが間違っている旨の表示を出力する。
(変形例9)
制御装置57は、第2の診断モードにおいて角度センサ105a〜dの出力を監視し、いずれかの角度センサの値が変化した場合、すなわちいずれかのアクチュエータが動作した場合には、操作レバーから入力される信号の有無にかかわらず、傾転をゼロに戻してもよい。
この変形例9によれば、開閉弁が開固着状態にあり意図せずアクチュエータが動作した場合でも、迅速にアクチュエータの動作を停止させることができる。
(変形例10)
制御装置57は、開固着の診断において、圧力計が検出する圧力の代わりに角度センサ105a〜dが検出する角度を用いて診断を行ってもよい。
開閉弁が開固着の状態となっている場合には、制御装置57が開指令を出力していなくてもポンプが吐出した圧油がアクチュエータに到達してアクチュエータを動作させる。そのため、たとえば制御装置57は、開固着診断モードのステップS518において、アクチュエータの動作の有無を角度センサ105a〜dが検出する角度から判断してもよい。いずれのアクチュエータも動作せず、角度センサ105a〜dが検出する角度に変化がなければ開固着状態にないと判断できる。
(変形例11)
上述した第1の実施の形態では、第2の診断モードにおいてライン圧力を規定しなかった。しかし、ライン圧力をリリーフ圧まで上げて開固着診断を行ってもよい。
すなわち、制御装置57は第2の診断モードにおいて、まず小流量で正常に開閉弁の差圧が生じることを確認した後に、オペレータに操作レバーのさらなる操作を促して、ポンプ吐出圧がリリーフ圧に至るまでポンプ傾転を増加させる。
この変形例11によれば、高圧時にも開閉弁の閉鎖状態が維持されることを確認することができる。
(変形例12)
制御装置57は、第2の診断モードにおいて、ポンプ吐出圧力がリリーフ圧まで上がらとき、往路側の開閉弁が開固着状態にあると判断してもよい。
制御装置57は、第2の診断モードにおいて、ポンプ吸込圧がチャージ圧より下回らないとき、復路側の開閉弁が開固着状態にあると判断してもよい。
(変形例13)
第1の実施の形態では、閉回路ポンプ12〜15には、往路と復路の2つの流路を備える開閉弁43a〜d、44a〜d、45a〜d、46a〜dが接続された。しかし、閉回路ポンプ12〜15に1つの流路を備える開閉弁を接続してもよい。
たとえば、往路と復路を備える開閉弁43aに代えて、1つの流路を備える2つの開閉弁を閉回路ポンプ12に接続してもよい。
(変形例14)
第1の実施の形態では、制御装置57は油圧ショベルに備えられたが、制御装置57を備える作業機械は油圧ショベルに限定されない。制御装置57を備える作業機械は、少なくとも1つのアクチュエータ、少なくとも2つのポンプ、および少なくとも2つの開閉弁を備えればよい。制御装置57を備える作業機械はたとえば、ホイールローダ、ダンプトラックなどである。
(第2の実施の形態)
本発明による作業機械の制御装置の第2の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、複数の開閉弁に共通する部位の故障を考慮する点で、第1の実施の形態と異なる。
第2の実施の形態における油圧ショベル100の構成は、制御装置57のROMに記憶されているプログラム以外は同一である。
(共通する部位の故障)
制御装置57の診断部57cは、第1の実施の形態の機能に加えて、共通する部位の故障を考慮する。
閉回路ポンプ12〜15とアクチュエータを接続する開閉弁43a〜d、44a〜d、45a〜d、46a〜dは、それぞれ1つの電磁弁を有し、ポンプからアクチュエータへの往路と、アクチュエータからポンプへの復路をその電磁弁により連動して開閉させる構造を有する。すなわち、1つの電磁弁で2つの流路を断続させている。そのため開閉弁43aは、往路を断続させる開閉弁43a1と、復路を断続させる開閉弁43a2とを一体化させた弁とみなすことができる。開閉弁43b〜d、44a〜d、45a〜d、46a〜dも同様である。
診断部57cは、1つの電磁弁で開閉される開閉弁の往路および復路が同時に開固着、もしくは閉固着の状態になった場合は、双方で共用する部位である電磁弁、あるいは電磁弁のハーネスに問題があると判断する。この場合は、電磁弁あるいは電磁弁のハーネスの交換を促す指示をタッチパネル101bに表示させる。
診断部57cは、1つの電磁弁で開閉される開閉弁の往路および復路のうち、片方だけが開固着または閉固着の状態であり、もう片方が正常に開閉できる場合は、双方で共用する部位は正常に動作していると判断する。すなわち、電気的な故障ではなく、固着した側の弁体あるいはパイロット回路の構成部品の損傷であると判断する。この場合は、開閉弁を往路復路を含むユニットごと交換を促す指示をタッチパネル101bに表示させる。
(診断部の動作)
診断部57cは、開固着および閉固着の有無を診断した後、すなわち図14のステップS509の後、図15のステップS518の後、図16のステップS527の後で、上記の共通する部位の故障を判断する。そして、故障個所をタッチパネル101bに表示する際に、上記の交換を促す指示も併せて表示する。
上述した第2の実施の形態によれば、第1に実施の形態の作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。
(1)診断部57cは、共通する動作指令系統、すなわち同一の電磁弁、および電磁弁のハーネスからの信号に基づき動作する複数の開閉弁、すなわち開閉弁43a1および開閉弁43a2を対象として、開固着および閉固着の診断の結果に基づき、当該開閉弁と動作指令系統のいずれに問題があるかを判断する。
診断部57cをこのように構成したので、不具合の詳細を明らかにすることができる。さらに、不具合の詳細に基づき、適切な対応策をタッチパネル101bを通してオペレータに提示することができる。
(2)診断部57cは、共通する動作指令系統、すなわち同一の電磁弁、および電磁弁のハーネスからの信号に基づき動作する複数の開閉弁、すなわち開閉弁43a1および開閉弁43a2のいずれも開固着状態または閉固着状態であると診断する場合は動作指令系統に問題があると判断し、共通する動作指令系統からの信号に基づき動作する少なくとも1つの開閉弁が開固着状態または閉固着状態ではないと診断する場合は当該開閉弁に問題があると判断する。
(第2の実施の形態の変形例)
故障が発生することにより複数の開閉弁に影響を与える部位は、電磁弁および電磁弁のハーネスに限定されない。たとえば、制御装置57と開閉弁とを接続する信号線を想定してもよい。
たとえば、制御装置57と開閉弁43a〜dとを接続する信号線43wに断線などの不具合が生じると、開閉弁43a〜dが開固着状態または閉固着状態となる。そのため診断部57cは、開閉弁43a〜dのいずれも開固着状態または閉固着状態であると診断した場合には、開閉弁43a〜dではなく信号線43wに問題があると判断し、その旨をタッチパネル101bを通してオペレータに提示してもよい。
上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。すなわち、以下の作業機械の制御装置も本発明の範囲内に含まれる。
(1)制御装置57の動作制御部57bは、診断部57cにより、複数の開閉弁の中に開固着又は閉固着した開閉弁が有ると診断された場合に、診断部57cにより開固着又は閉固着と診断された開閉弁を開位置又は閉位置に保ち、当該開閉弁に接続されたポンプを操作レバーの操作量に基づき駆動制御する。
1 … ブームシリンダ(アクチュエータ)
3 … アームシリンダ(アクチュエータ)
5 … バケットシリンダ(アクチュエータ)
7 … 旋回モータ(アクチュエータ)
8a … 走行用モータ(アクチュエータ)
8b … 走行用モータ(アクチュエータ)
12〜15 … 閉回路ポンプ(ポンプ)
16〜19 … 開回路ポンプ(ポンプ)
43a〜50d … 開閉弁
56a〜d … 操作レバー(入力部)
57 … 制御装置
57b … 動作制御部
57c … 診断部
100 … 油圧ショベル(作業機械)

Claims (1)

  1. 複数のポンプと、
    複数のアクチュエータと、
    前記複数のポンプと前記複数のアクチュエータのうち、少なくとも1つのアクチュエータとを接続し、前記アクチュエータへのポンプ吐出油の流れを制御する複数の開閉弁と、
    通常作業モードと開閉弁診断モードとを切り替える切換スイッチと、
    オペレータの操作量に基づき前記少なくとも1つのアクチュエータの動作速度を指示する操作レバー
    診断対象となるアクチュエータを選択するアクチュエータ選択装置と、
    前記操作レバーの動作指示に基づき、前記少なくとも1つのアクチュエータの動作を制御する制御装置と、
    を備える作業機械において、
    前記制御装置は、
    前記操作レバーによって指示された前記アクチュエータの動作速度に応じて、前記複数のポンプ前記複数の開閉弁とを駆動制御する動作制御部と、
    前記開閉弁診断モードが設定されている場合に、前記アクチュエータ選択装置によって選択されたアクチュエータに接続された複数の開閉弁の固着の有無を診断する診断部と、を備え、
    前記動作制御部は、前記切換スイッチにより前記開閉弁診断モードが設定されている場合に、前記複数の開閉弁のうち、前記アクチュエータ選択装置により選択されたアクチュエータに接続される全ての開閉弁に対し同時に開位置及び閉位置の一方の位置を保つよう指令し、開位置及び閉位置の一方に保たれた前記複数の開閉弁に接続された前記複数のポンプを前記操作レバーの操作量に基づき同時に駆動制御し、
    前記診断部は、前記複数の開閉弁の入口圧力と出口圧力の差に基づき、前記複数の開閉弁の固着の有無を同時に診断することを特徴とする作業機械。
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