望ましくは、非熟練者又は更には患者が容易に使用及び適用することができると同時に、所望されるかつ/又は必要とされる適正なフィット性の提供を容易にし、これにより、望ましい圧迫の均一性の提供を容易にする、非包帯型及び非ストッキング型の圧迫装置に対する必要性が依然として存在する。
本発明の一態様では、使用者の四肢を実質的に被覆するためのスリーブを備える、使用者の四肢に圧迫を適用するための圧迫システムであって、スリーブは、外側表面、内側表面、上縁部、下縁部、及び2つの横方向側縁部を有し、第1の横方向側縁部から第2の横方向側縁部への横断方向において、スリーブが、第1の横方向側領域、中央領域、及び第2の横方向側領域を有し、スリーブの第1の横方向側領域には、スリーブの上縁部と下縁部との間に連続して複数の締結バンドが提供され、第2の横方向側領域は、それがトリミング可能であるように構成及び配置されており、システムが、2次閉鎖要素を更に備え、閉鎖要素が、第2の横方向側領域に解放可能に取り付け可能であり、閉鎖要素には、長さ方向に延在する単一の細長いフラップの対、又は長さ方向に連続して延在する複数のフラップ対のいずれかが更に提供され、細長いフラップ対又は該当する場合には複数のフラップ対が、内側フラップに重なる外側フラップを各々含み、外側フラップが長手方向又は実質的に長手方向軸の周囲で、かつ内側フラップに対して、ヒンジ運動を行うことが可能であるように、少なくとも外側フラップが、内側フラップに対して移動可能であり、内側及び外側フラップの対向する内側表面が、スリーブの少なくとも第2の横方向側領域の内側及び外側表面にそれぞれ解放可能に係合するように適応された機械的締結要素を備える、圧迫システムが提供される。
説明を分かりやすくするため、使用者の四肢への圧迫システムの適用後には、スリーブの横断方向は、周方向ともなるという点は認識されるべきである。更に、使用者の四肢への圧迫システムの平面整合的適用後には、2次閉鎖要素は、スリーブの第2の横方向側縁部に沿って、フラップ対(複数を含む)を通じて固定される。この点に関し、第2の横方向側領域は、トリミング可能であるように構成及び配置されているため、第2の横方向側領域が圧迫システムの適用及び/又は使用中にトリミングされる場合、2次閉鎖要素は、トリミング後に形成された第2の横方向側縁部に沿って、スリーブに固定される。これに対して、第2の横方向側領域がトリミングされない場合、すなわち、圧迫システムがそのまま使用される場合には、2次閉鎖要素は、最初に提供された状態のスリーブの第2の横方向側縁部に沿って固定される。最後に、使用者の四肢への圧迫システムの平面整合的適用後、2次閉鎖要素はまた、締結バンドを介してスリーブに固定される。
驚くべきことに、解放可能に締結することができる一連の締結バンドを使用して開閉することができるスリーブ様衣類を使用中に提供するシステムであって、該システムが、トリミング可能な(第2の)横方向側領域を含むスリーブ構成要素及び反対の(第1の)横方向側領域上に(例えば、解放可能若しくは固定的に)取り付けられるか又はそれと一体的である締結バンドと、長さ方向に連続して延在する1個の細長いフラップ又は複数のフラップ対を含む2次閉鎖要素と、を備え、外側フラップが、内側フラップに対してヒンジ運動し、フラップ対(複数を含む)の内側表面が、トリミング可能な横方向側領域の内側及び外側表面と解放可能に係合して、スリーブの第2の横方向側領域に沿って、2次閉鎖要素を、例えば、クランプ様の様態で(例えば、V字形又はU字形又はC字形クランプのようにして)固定するように適応された機械的締結要素を含むシステムを提供することによって、使用及び適用が容易な圧迫システムを提供することが可能であり、該システムを適用する人物は、圧迫システムを着用する特定の人物に対する良好な解剖学的フィットを有利にかつ速やかに提供することができ、これにより、必要とされる及び/又は所望される圧迫の提供を容易にすることが見出されている。
例えば、本明細書に記載される圧迫システムは、以下のようにして使用することができる:第1の工程では、各締結バンドを、2次閉鎖要素と解放可能に締結することができ、次いで、2次閉鎖要素をバンドを介して、望ましくは、後の工程での締め付けを可能とする位置で、スリーブに取り付ける。この時点で、スリーブの第2の横方向側領域は、2次閉鎖要素の各フラップと同様、自由であり、取り付けられておらず、外側フラップ(複数を含む)は、ヒンジ運動において、内側フラップ(複数を含む)から離れて、既に移動されているか、又は移動され、そのため、内側フラップの内側表面を露出させる。次の工程では、2次閉鎖要素システムを、治療される使用者の四肢に沿って位置付け、スリーブを、具体的には、スリーブの取り付けられた側から取り付けられていない側に向かって四肢の周囲に巻き、選択された状態及びフィット(例えば、折れ、皺、又は隙間なく)で、スリーブが四肢を被覆するようにスリーブの一部、具体的には第2の横方向側領域の一部を2次閉鎖要素上の内側フラップ(複数を含む)の内側表面上に配置することにより、スリーブの内側表面が内側フラップ(複数を含む)の内側表面に提供された機械的締結要素と解放可能に係合する。スリーブは、四肢の周囲にスリーブの所望のフィッティングが達成されるまで、内側フラップ(複数を含む)上の機械的締結要素から繰り返し係脱して再係合することができるという点が認識されよう。四肢の周囲にスリーブの所望のフィットが達成されると、該当する場合には、内側フラップ(複数を含む)の内側表面を越えて(例えば、スリーブの中央部分の遠位に)延在する、スリーブ(1)のいずれの余分なかつ係合していない材料も、例えば、ハサミでトリミングすることができる。この後、次いで、外側フラップ(複数を含む)を、スリーブの外側表面の一部(具体的には、その内側表面が内側フラップ(複数を含む)と係合したスリーブの部分、より具体的には、その内側表面が内側フラップ(複数を含む)と係合したスリーブの第2の横方向側領域の部分)と接触するようにヒンジ運動で移動させることができ、そのため、外側フラップ(複数を含む)の内側表面に提供された機械的締結要素が、スリーブの外側表面の部分と解放可能に係合し、これにより、スリーブの第2の横方向側領域に沿った2次閉鎖要素の固定が完了する。この時点で、2次閉鎖要素は、スリーブのそれぞれの第2の横方向側領域上にクランプされた構成のフラップを介して、で、スリーブに、並びに、締結バンドを介して、スリーブの第1の横方向側領域に取り付けられる。この時点ではまた、望ましくは、スリーブは、最終的に必要とされる、かつ/又は所望のレベルの圧迫を提供するための締め付けられたフィット状態ではなく、形状一致したフィットで着座している。更に、フラップを介したスリーブ上への閉鎖要素のサイズ合わせ操作及び取り付け後、締結バンドは、好ましくは、締結を外して再位置付けすることにより、使用者の四肢の周囲にスリーブを締め付けて、所望のレベルの圧迫を提供し、次いで、再締結する。実際、実際、所望されるように、圧迫のレベルが必要とされる、かつ/又は所望されるものよりも低くなる程度にまで、四肢の体積が低減される場合(例えば、効果的な圧迫療法による浮腫低減の結果として)、圧迫システムを再締め付けするか、又は必要であれば、スリーブ構成要素を更にトリミングして、システムを再適用することができるという点は認識されるべきである。
好ましくは、フラップの内側表面上に提供された機械的締結要素は、オス締結要素、具体的には、フックファスナー、マッシュルーム形ファスナー、ステム形ファスナー、カップ形ファスナー、T字形ファスナー、ピン形ファスナー、及びこれらの混合物からなる群から選択されるオス締結要素を備えることができる。上で言及されるように、締結要素は、スリーブの少なくとも第2の横方向側領域の内側及び外側表面に係合するように選択される。サイズ合わせの自由度及び汎用性を高くするためには、第2の横方向側領域の内側及び外側表面に加えて、中央領域の内側及び外側表面にも係合するように、締結要素を選択することが有利となり得る。スリーブのそれぞれの領域(複数を含む)の内側及び外側表面は、機械的(例えば、オス)締結要素又は特定の種類(複数を含む)の機械的(例えば、オス)締結要素によって係合させることができる構造を有することができ、かつ/又は、機械的(例えば、オス)締結要素又は特定の種類(複数を含む)の機械的(例えば、オス)締結要素によって係合させるように適応される構造が提供されてよい(例えば、ループ係合材料がラミネートされる)という点は認識されよう。スリーブのそれぞれの領域(複数を含む)の内側及び外側表面の構造が、同じであっても異なっていてもよいという点は認識されよう。また、内側及び外側フラップの内側表面上に提供された機械的(例えば、オス)締結要素も、同じであっても異なっていてもよい。内側及び外側フラップ上に異なる機械的(例えば、オス)締結要素を提供することが有利であることが見出されている。
スリーブの少なくとも第2の横方向側領域(具体的には、少なくともの第2の横方向側領域及び中央領域)の内側表面及び内側フラップの内側表面の機械的(具体的にはオス)締結要素は、サイズ合わせ及びトリミング工程を容易にし、これらの工程中のスリーブ材料の滑りを最小化するように、十分なせん断強度、例えば、各材料について5cmの試料幅及び2cmの重複部分を使用して、EN13780に従って測定される際、少なくとも2N/cm2のせん断強度を提供するように構成及び配置することが有利であることが見出されている。更に、サイズ合わせ工程中に、所望のフィットが得られるまで、取り付け、分離、及び取り付けの操作の繰り返しを容易にするためには、上記の表面間の剥離強度は、比較的低い、例えば、各材料について5cmの試料幅を使用して、EN 12242に従って測定される際、0.6N/cm未満、より好ましくは0.3N/cm以下であることが有利であることが見出されている。この点に関し、内側フラップがスリーブの背後で使用者に向かって位置付けられているために使用中に不用意に取れてしまうことが事実上ないため、低い剥離強度は、圧迫療法における圧迫システムの使用の点で不利にはならないことが認識されている。
スリーブの少なくとも第2の横方向側領域(具体的には、少なくともの第2の横方向側領域及び中央領域)の外側表面及び外側フラップの内側表面の機械的(具体的には、オス)締結要素は、使用中のスリーブ材料の滑りを最小化するために、比較的高いせん断強度、例えば、各材料について5cmの試料幅及び2cmの重複部分を使用して、EN13780に従って測定される際、少なくとも7N/cm2のせん断強度を提供するように構成及び配置することが有利であることが見出されている。更に、上記の表面間の剥離強度は、しっかりとした締結を容易にし、かつ使用中に外側フラップが不用意に浮いて分離することを最小限に抑えるために、比較的高いことが有利であり、例えば、各材料について5cmの試料幅を使用して、EN 12242に従って測定される際、少なくとも0.6N/cm2の剥離強度であることが有利であることが見出されている。外側フラップの不用意な浮き及び分離は、外側フラップ又は複数の外側フラップに付随したロック要素又は一連のロック要素を閉鎖要素に更に提供することによって更に最小化することができ、前記ロック要素(複数を含む)及び外側フラップ(複数を含む)は、使用中に、閉鎖要素が各フラップを介してスリーブに取り付けられる際に、ロック要素(複数を含む)を外側フラップ(複数を含む)上、具体的には、外側フラップ(複数を含む)の外側表面上にクランプ、例えば、機械的にクランプすることができるように構成及び配置される。例えば、圧迫システムを再フィッティングかつ/又は再適用するために、使用者又は介護者による外側フラップの意図的な解放可能な分離及び再取り付けを容易にするためには、望ましくは、剥離強度は、最大10N/cmであり、より望ましくは、最大5N/cmである。
好ましくは、閉鎖要素は、長手方向に延在する1つ以上の細長い補強材を含む。望ましくは、閉鎖要素は、スペーサー布地及び/又は発泡材(具体的には、形状記憶発泡材、より具体的には、高密度形状記憶発泡材)を備える。更に望ましくは、閉鎖要素は、少なくとも1層、具体的には、2層以上の、スペーサー布地、発泡材、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む多層構造を備える。取り付けられたいずれの構造的要素(例えばフラップ、リング、ストラップ)も除いた閉鎖要素は、好ましくは、2mm〜12mm(端点を含む)の厚さ、具体的には3mm〜8mm(端点を含む)の厚さを有し得る。縫い目、該当する場合には補強材、及び取り付けられたあらゆる構造的要素(例えば、フラップ、リング、ストラップ)のない領域において、閉鎖要素は、好ましくは、200Paの試験圧力を使用して、ISO 9237:1995に従って測定される際、40cm/s以上、より好ましくは80cm/s以上、更により好ましくは120cm/s以上、最も好ましくは160cm/s以上の空気透過率を有する。20cm2の試験面積が、典型的に測定される。空気透過率の単位は、厳密に言えば、体積/面積・時間(cm3/(cm2・秒))であることは認識されるはずであるが、TexTest Instruments(チューリッヒ)により供給されるAir Permeability Testerなどの試験装置は、測定された空気透過率の値をしばしばcm/sの単位で表示する。加えて、又は代替的に、縫い目及びフラップのない、また該当する場合には他の追加的な構造的要素(例えば、リング、ストラップ、又は補強材)のない領域において、閉鎖要素は、好ましくは、ISO 15106の第1部に従って測定される際、1000g/(m2×24h)以上、より好ましくは1500g/(m2×24h)以上、更により好ましくは2000g/(m2×24h)以上、最も好ましくは2500g/(m2×24h)以上の水蒸気透過速度を有する。
望ましくは、2次閉鎖要素は、舌として構成される。閉鎖要素は、好ましくは、使用中に閉鎖要素がフラップを介してスリーブに取り付けられ、各締結バンドが締められる際に、閉鎖要素がスリーブの第1及び第2の横方向側縁部に隣接して略中心に位置付けられ、かつ第1及び第2の横方向縁部に沿って延在するように、構成され、かつスリーブに対して配置され、これにより、2次閉鎖要素は、使用者と、スリーブの第1及び第2の横方向縁部間で画定される開口部との間に位置することになる。
例えば、2次閉鎖要素がフラップを介してスリーブに予め取り付けられている場合のような圧迫システムの通常の使用(すなわち、圧迫の提供に向けた)では、締結バンドは、好ましくは、第1の横方向側縁部がスリーブの第2の横方向縁部に向かって引き寄せられるように引っ張ることにより、四肢の周囲にスリーブが締め付けられ、次いで締結バンドを締結することでスリーブが使用者の四肢の周囲に拘束される。より好ましくは、この操作では、スリーブの2つの横方向縁部は、互いに向かって引き寄せられるが、重なり合うことはない。
締結バンドは、締結バンドがスリーブの実質的に横断方向において、スリーブの第1の横方向側縁部から外側に延在するように、スリーブの第1の横方向側領域と一体的であってもよく、又は各締結バンドは、近位端部分を備えてもよく、前記近位端部分は、バンドが第1の横方向側縁部を越えてスリーブの実質的に横断方向において延在するように、スリーブの第1の横方向側領域に解放可能又は固定的に取り付けられる。第1の代替例に関しては、スリーブの第1の横方向側縁部は、締結バンドの間に位置し、該当する場合には最も上及び/又は最も下の締結バンドの隣のスリーブの第1の横方向側領域の外側縁部、及びスリーブの第1の横方向側領域と締結バンドとの間の境界に沿って、延伸しているものと理解される。望ましくは、第1の横方向側縁部を越えて延在する締結バンドの部分は、少なくとも3cm、具体的には少なくとも6cmのスリーブの横断方向に対する幅を有する。加えて、又は代替的に、好ましくは、第1の横方向側縁部を越えて延在する締結バンドの部分は、最大25cmのスリーブの横断方向に対する幅を有する。近位端部分を含む実施形態では、望ましくは、締結バンドの近位端部分は互いに接続される、かつ/又は一体的である。
好ましくは、各締結バンドは、遠位端部分を備え、各バンドは、その遠位端部分がスリーブの中央部分から離れて位置付けられた状態で、スリーブの実質的に横断方向に延在する。近位端部分及び遠位端部分の両方を含む締結バンドを含む実施形態では、締結バンドは、それらの間に内側バンド部分を含むことができる。同様に、スリーブと一体的である締結バンドを含む実施形態では、遠位端部分とスリーブ部分との間に内側バンド部分が存在し得る。望ましくは、締結バンドの少なくとも遠位端部分は、少なくとも1cm、具体的には少なくとも2cm、より具体的には少なくとも3cmのスリーブの横断方向に対する高さを有する。加えて、又は代替的に、好ましくは、締結バンドの少なくとも遠位端部分は、最大10cm、具体的には最大8cm、より具体的に最大6cmのスリーブの横断方向に対する高さを有する。
好ましくは、各締結バンドの遠位端部分は、機械的締結要素、具体的にはオス締結要素、より具体的には、フックファスナー、マッシュルーム形ファスナー、ステム形ファスナー、カップ形ファスナー、T字形ファスナー、ピン形ファスナー、及びこれらの混合物からなる群から選択されるオス締結要素を有する。
締結バンドは、2次閉鎖要素に提供された、具体的には、2次閉鎖要素の外側表面上に提供された、適切な相補的係合構造上に直接締結することができる。例えば、各締結バンドは、典型的に、第1の主面及び第2の主面を有し、第1の主面は、内側に(着用者に向かって)面し、第2の主面は、外側に(着用者から離れて)面し、遠位端部分の機械的締結要素は、遠位端部分の第1の主面上に好ましく提供することができる。望ましくは、2次閉鎖要素の外側表面は、締結バンドの遠位端部分の第1の主面上の機械的締結要素によって係合されるように適応されている構造を有するか又は該構造が提供される。かかる実施形態では、好ましくは、フラップ対、又は該当する場合には複数のフラップ対が、締結バンドに対する係合構造の一方の側に長さ方向に延在する。2次閉鎖要素が各フラップを介して第2の横方向側縁部に取り付けられる際、望ましくは、締結バンドに対する係合構造は、第2の横方向側縁部の遠位に位置する。好ましい実施形態では、外側フラップ又は該当する場合には複数の外側フラップの各々のヒンジ運動の軸は、締結バンドに対する係合構造に対して近位に位置付けられる。このように、外側フラップ(複数を含む)がヒンジ運動において移動されるとき、前記係合構造に向かって内側フラップ(複数を含む)から離れて移動し、そのため、係合構造との衝突及び/又は干渉を最小化しつつ、スリーブのその後の位置付け及び取り付けを容易にする。
又は、代替的に、かつ好ましくは、2次閉鎖要素、具体的にはその外側表面には、複数のリングを連続して提供されもよく、これにより、閉鎖要素がスリーブに取り付けられる際、締結バンドに対向してリングが配置される。かかる実施形態では、好ましくは、フラップ対又は該当する場合には複数のフラップ対が、一連のリングの一方の側に長さ方向に延在する。この場合もやはり、リングとの衝突及び/又は干渉を最小化しながらスリーブの位置付け及び取り付けを容易にするため、外側フラップ又は該当する場合には複数の外側フラップのヒンジ運動の軸は、一連のリングの近位に位置付けられる。加えて、又は代替的に、かかる実施形態の一連のリングは、使用時に閉鎖要素がスリーブの第2の横方向側縁部に沿ってスリーブに取り付けられる際に、一連のリングが第2の横方向側縁部の遠位に配置されるように、構成及び配置される。リングを含む好ましい実施形態では、望ましくは、締結バンド及びリングは、使用時にバンドをリングに通し、次いで、それ自体の上に折り返すことができるように構成及び配置されており、これにより、スリーブの第1の横方向側縁部が、各リングに向かって引き寄せられ、スリーブが、使用者の四肢の周囲に締め付けられ、次いで、締結されると、スリーブが使用者の四肢の周囲に拘束される。
上で言及されるように、各締結バンドは、典型的に、第1の主面及び第2の主面を有し、第1の主面は、内側に面し、第2の主面は、外側に面し、好ましくは、遠位端部分の機械的締結要素は、遠位端部分の第2の主面に提供される。望ましくは、スリーブの少なくとも第1の横方向側領域の外側表面は、締結バンドの遠位端部分の第2の主面上の機械的締結要素によって係合されるように適応されている構造を有するか又は該構造が提供される。近位端部分を有する締結バンドを有する実施形態に加えて、又はそれとは代替的に、好ましくは、近位端部分は、スリーブの第1の横方向側領域の外側表面に取り付けられ、バンドの近位端部分の第2の主面は、締結バンドの遠位端部分の第2の主面上の機械的締結要素によって係合されるように適応されている構造を有するか又は該構造が提供される。
スリーブの少なくとも第1の横方向側領域の外側表面が、各締結バンドの遠位端部分の第2の主面上に提供された機械的締結(例えば、オス)要素によって係合されるように適応された構造を有するか又は該構造が提供される場合には、締結バンドの遠位端部分の第2の主面及び外側フラップ(複数を含む)の内側表面の両方に、同じ又は同等の機械的(例えば、オス)締結要素を使用することが有利であり得るという点は認識されよう。加えて、又は代替的に、好ましくは、第1及び第2の横方向側領域の外側表面、具体的には、中央領域並びに第1及び第2の横方向側領域の外側表面は、外側フラップ(複数を含む)の内側表面、及び締結バンドの遠位端部分の第2の主面上に提供された機械的締結要素の両方によって係合されるように適応されている構造を有するか又は該構造が提供される。スリーブの3つの領域すべてが構造的に同じであり、3つの領域間に識別可能な境界が存在しない実施形態では、3つの領域の連続した結合領域に関して、第2の横方向側領域は、第2の横方向側縁部に隣接した接合領域の1/3、第1の横方向側領域は、第1の横方向側縁部に隣接した接合領域の1/3、及び、中央領域は、その間に位置する接合領域の1/3として大まかに理解される。
伸長の程度及び均一な圧迫の提供に向けた評価を容易にする、望ましい視覚的指標を提供するためには、各リングに対して、ストラップを提供することが有利であることが見出されており、ストラップの一方の端は、閉鎖要素(具体的には、その外側表面)に接続され、他方の端は、リングを保持し、前記ストラップは、スリーブに対する実質的に横断方向において、閉鎖要素とリングとの間に延在し、かつ前記ストラップの少なくとも一部は、少なくとも横断方向に伸展可能であり、前記伸展可能部分は、少なくとも横断方向に弾性を有する材料を含み、伸展可能部分がその非伸展状態にある場合には、外側に隆起した材料のループが外部に向かって存在し、使用中に、閉鎖要素がスリーブに取り付けられてスリーブの横断方向に張力が提供される場合に、伸展可能部分が横断方向に伸展してループが平坦化するように構成及び配置される。
ASTM D4848−98(2012)及びBS EN 14704−1:2005によれば、弾性とは、変形を引き起こす力が取り除かれた後、材料がすぐにその元のサイズ及び形状を回復する傾向がある材料の性質のことである。
伸展可能なストラップ部分を含む実施形態では、伸展可能なストラップ部分がまったく伸長していないか又は部分的にのみ伸長している場合、外側に面したループは、完全に隆起するか、又は部分的にのみ平坦化されているためにそのように目に見え、伸展可能なストラップ部分が完全に伸長している場合には、外側に面したループは消失する(すなわち、外側に隆起した材料のループがなくなる程度にまで平坦化する)。かかる視覚的指標は、ループが完全に平坦化する(したがって消失する)と、伸長が完全となり、したがって、十分な圧迫の指標が存在するため、適用中に有利である。更に、本システムの上縁部と下縁部との間、すなわち、2次閉鎖要素の上縁部と下縁部との間に連続して提供される複数のリングのストラップにかかるループ表示構成を提供することにより、伸長の程度、ひいてはスリーブの上縁部と下縁部との間のスリーブのそれぞれの高さにおける圧迫フィットの視覚的指標を有することが可能であり、これにより、所望される及び/又は必要とされる場合に、個々の締結バンドの締め付けの程度を調節することで、圧迫システム及びそのスリーブによって被覆された使用者の四肢の部分に対する望ましい圧迫フィットを容易になり、これにより均一な圧迫を容易にする。かかるループ表示構成はまた、使用者が圧迫システムを適用している間においても、好ましくは有用である。例えば、実際、所望されるように、例えば、効果的な圧迫療法による浮腫の軽減の結果として四肢の体積が低減した場合には、システム及び伸展可能なストラップ部分にかかる張力の程度が低減し、それまで平坦化されていたループが外側にはっきりとしたひだとなり、張力の低下の程度に応じて、完全に隆起するか又は幾分平坦化されたループを形成することにより、システムを再締め付けする及び/又は再適用するべきであるという指標を提供する。
本発明の上記の概要は、本発明のそれぞれの開示される実施形態又はすべての実施を説明することを目的とするものではない。以下の説明は、例示的な実施形態をより詳細に例示するものである。また、更なる実施形態を従属請求項に記載する。本出願の全体を通じて複数の箇所で実施例のリストによって指針が提供されているが、これらの実施例は、個々に、また異なる組み合わせで使用することができる。いずれの場合も、記載されるリストは、あくまで代表的な群としてのみの役割を果たすものであって、排他的なリストとして解釈するべきではない。
本発明は、本明細書に述べられる本発明の、特定の、好適な、望ましい、好適な、有利な、かつ好ましい態様のすべての組み合わせを網羅していることを理解されたい。
図1は、使用者の四肢の部分を実質的に被覆するためのスリーブ(1)と、2次閉鎖要素(5)とを備える、圧迫システム(100)の例示的な一実施形態の外側の平面図を示し、図2は、2次閉鎖要素の断面図を示している。スリーブは、外側表面(3)、内側表面(4、図1では付番せず)、上縁部(7)、及び下縁部(8)を含む。該装置が四肢に使用される際、典型的に、内側表面(4)が着用者/使用者に向かって配置され(以下において、「内側」という用語は、一般的には、着用者/使用者に向かって配置されたものを指し、「外側」は、着用者/使用者から離れて配置されたものを指す)、上縁部は、使用者の胴体に向かって配置され、下縁部は、使用者の胴体から離れて配置され、上縁部及び下縁部の両方は、本質的に横断方向であり、適用後には、四肢の周囲に本質的に周方向に配置されることになる。図1から理解されるように、スリーブは、その上縁部からその下縁部にまで延在する2つの横方向側縁部(9、10)を含む。第1の横方向側縁部(9)から第2の横方向側縁部(10)に向かう横断方向において、スリーブは、第1の横方向側領域(13)、中央領域(14)、及び第2の横方向側領域(15)を備える。図1の例示的な実施形態に示されるように、中央領域及び第2の横方向側領域は、構造的に同じであってよい。代替的な実施形態では、例えば、図13に示される例示的な圧迫システム(100)に見られるように、中央領域及び第2の横方向側領域は、構造的に異なっていてもよく、スリーブ(1)の第2の横方向側領域(15)の外側表面(3)には、2次閉鎖要素(5)上に提供された外側フラップ(51)上に提供される機械的締結要素(61)に係合することができる構造を有する、追加の材料層(例えば、ループ係合材料)(28)が提供、具体的には、ラミネートされている。図13のスリーブの断面図を提供する図14も参照されたい。他の代替的な実施形態では、スリーブの外側表面全体に、2次閉鎖要素の外側フラップ(複数を含む)上に提供される機械的締結要素に係合することができる構造を有する材料(例えば、ループ係合材料)を提供(例えば、ラミネート)してもよい。図1に示される例示的な実施形態に戻ると、中央領域及び第2の横方向側領域は、構造的に同じであるため、2つの領域間に識別可能な境界はないということが理解されよう。2つの領域の連続領域、すなわち、接合領域に関し、以下では、第2の横方向側領域(15)は、第2の横方向側縁部(10)に隣接した接合領域の半分として概ね理解され、中央領域は、第1の横方向側領域に隣接した接合領域の半分として概ね理解される。第2の横方向側領域(15)が、締結バンド、係合構造といったような構造的要素を有さず、したがってトリミングすることができるように構成及び配置されているのに対して、スリーブの第1の横方向側領域(13)には複数の締結バンド(2)がスリーブの上縁部と下縁部との間に連続に提供されており、バンドはこの例示的な実施形態では、スリーブの第1の横方向側領域の外側表面に固定的に取り付けられている(例えば、縫い付けられている)。
スリーブは、例えば図1に示されるように平らに広げて置かれた場合、実質的に長方形、又は実質的に台形若しくは不規則な形状を有し得る。例えば、本明細書に示される(例えば図1に)例示的な実施形態のスリーブは、実質的に台形の形状を有している。使用者の四肢の部分への最適なフィットを容易にするため、スリーブの上縁部及び/又は下縁部は好ましくわずかに湾曲していてよく、具体的には、上縁部はわずかに凸状であり、通常は使用者の胴体から離れて位置付けられる下縁部はわずかに凹状又は凸状であってよい。これに代えるか又はこれに加えて、横方向側縁部の一方又は両方がわずかに湾曲していてもよく、具体的にはわずかに凸状とすることができる。これにより、発達したふくらはぎへのフィッティングが容易となり得る。使用時には、圧迫装置が使用者のリムに適用される際、スリーブは実質的に円筒状、筒状、又は切頭円錐状の形状を有する。使用後、使用者の四肢から圧迫システムを外した後、スリーブを広げておいた場合に完全に平坦にはならない場合がある点に留意されたい。
スリーブ、具体的にはその中央領域は、圧迫を適用する使用に好適な材料で好ましく構成することができる。かかる材料は当該技術分野では周知のものであり、JUXTA−CURESの商品名で販売される圧迫製品に使用されている材料、又は3M FUTUROの商品名で販売される「Handgelenk Schiene」(手首固定具/副木)に使用されている材料が挙げられる。好適であり得る他の材料としては、米国特許第5,385,036号に記載されるもののようなスペーサー布地が挙げられる。好適なスペーサー布地の例としては、ゲーリング・トリコット社(Gehring-Tricot Corporation)(11530,ニューヨーク州ガーデンシティー、米国)よりSHR755 D3及びSHR775 D3の商品名で販売されるスペーサー布地が挙げられる。使用される好ましい材料は、四肢の形状に容易に適応させることができるように曲げ剛性が低く、かつ伸縮性を有する一方で、同時に、四肢に所望の圧迫が提供されるように張力下で容易に伸びないものである。より好ましくは、スリーブの少なくとも中央領域(更により好ましくはスリーブの中央領域と第2の横方向側領域、最も好ましくはスリーブの中央領域と第1及び第2の横方向側領域)は、弾性を有し、かつ例えばDIN 61632:2009に従って測定した場合に10N/cm幅の荷重下で少なくともスリーブの横断方向への最大伸長率が0%超〜60%であるような材料で構成される。本明細書では、かかる材料は、「短伸長性材料」と称される。教科書であるFoeldi’s Textbook of Lymphology,2nd Edition,を参照すると、圧迫包帯の伸展性、すなわち、弾性には、短伸長性(10N/cm幅の荷重下での最大伸長量が60%以下、すなわち、0%超〜60%以下であるもの)、中伸長性(60〜140%)、及び長伸長性(140%超)があり、これに対応して非弾性包帯は伸長量が0(すなわち、0%)であるものとして理解される。着用時の快適性のために、かかる材料は、望ましくは空気透過性であり、より望ましくは、ISO 9237−1995の試験に従い、200Paの試験圧力を用いて測定した場合に少なくとも20cm/秒、より望ましくは少なくとも60cm/秒、更により望ましくは少なくとも100cm/秒、最も望ましくは少なくとも200cm/秒の空気透過率を有するか、かつ/又はISO 9237−1995の試験に従い、200Paの試験圧力を用いて測定した場合に水蒸気を有するものである。加えて、又は代替的に、スリーブ材料は、ISO 15106の第1部に従って測定した場合に、好ましくは1000g/(m2×24h)以上、より好ましくは1500g/(m2×24h)以上、更により好ましくは2000g/(m2×24h)以上、最も好ましくは2500g/(m2×24h)以上の水蒸気透過速度を有するものである。
スリーブには、長さ方向に延在する1つ以上の補強材を配設することにより、スリーブの形状の維持を容易にし、かつ/又は局所圧力分布を向上させることができ、具体的には、スリーブが垂直方向に潰れるか又は滑り落ちようとする傾向を最小化することができる。補強材は例えば、スリーブの横断方向に対して限定された幅を有するワイヤ、棒状要素、格子、又はパッドの形で配設することができる。例えばスリーブの上縁部と下縁部との間に長さ方向に延在する細長い補強材を、第1の横方向側領域に、具体的には第1の横方向縁部に隣接して提供することができる。補強材は、例えば金属又は熱成形可能な熱可塑性材料(例えばポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル(例えば3M SCOTCHCAST(商標)熱可塑性材料72362))を含む熱可塑性材料で形成することができる。5mmよりも大きい幅を有する補強材では、通気性を与えるために補強材に穿孔部を提供することが好ましい場合もある。設計及び/又は固定の目的で、補強材を布地のポケット内に配設し、次いでこれをスリーブの適切な部分(複数を含む)に取り付けるか、又は代わりに、補強材をスリーブの適切な部分(複数を含む)の表面に位置付け、次いでこれを、スリーブのそれぞれの部分(複数を含む)に縫い付けられるか又はラミネートされる布地のシートによって完全に被覆することができる。
言及されるように、トリミング可能な第2の横方向側領域を本明細書に述べられる他の要素と組み合わせて提供することにより、良好かつ個別化された解剖学的フィット性の提供を容易にし、これにより、その特定の使用者にとって必要とされる、かつ/又は所望される圧迫の提供を容易にする。本明細書に述べられる圧迫システムのスリーブは、四肢のサイズの差(例えば、脚に対する腕)、及び特定の四肢のサイズの一般的な差に対応するように異なるサイズで提供することができる。本明細書に述べられる圧迫システムは、ふくらはぎを含む下肢に使用するのに特に適している。これに関し、成人の下肢の長さが約20cm〜50cmの範囲であり得ることを考慮すると、潜在的使用者の潜在的な関連する長さの80%を被覆することをやはり目的として、例えば低、平均、高の3つの高さサイズを提供することが可能である。更に、かつより重要な点として、リンパ浮腫に離間するそれらの人物を含む成人下肢のサイズが、足首の外周で約130〜420mm、その最も幅広の点の外周で280〜650mmの範囲であり得る点を考慮すると、潜在的使用者の潜在的な関連する外周サイズの80%を被覆することを目的として、例えばXS、S、M、L、XL、XXL、XXXLの7つの標準的な幅サイズで圧迫システムを提供することが可能であり、残りの20%については特別注文によって提供することができる。スリーブの第2の横方向側領域がトリミング可能であるように構成されている本明細書に述べられる圧迫システムの適用は、潜在的使用者の潜在的な関連する外周サイズの80%を被覆するための標準サイズの数を減らすことが可能であるという点でも有利である。例えば、7つのサイズを提供する代わりに、上記に示したM、XL、及びXXXLのサイズに対応する3つのサイズを提供することが可能であり、その場合、圧迫システムを使用者の四肢に適用する使用者又は介護者が、スリーブの幅をより小さなサイズへと容易に調節することができる(例えばXLからLに)。更に、上で言及されるように、圧迫療法が有効であり(そうあるべくして)、四肢の外周が大幅に小さくなる場合、使用者又は介護者がスリーブの幅を更により小さいサイズへと容易に再調節することができる(例えばLからMに)。図1に示される例示的な実施形態では、締結バンドは第1の横方向側領域に固定的に取り付けられている。サイズ合わせに関して、特に通常は特別注文によって提供される必要のある上記に述べた「残りの20%」に関して更なる自由度又は柔軟性を容易にするため、代替的な実施形態では、締結バンドをスリーブの第1の横方向側領域に解放可能に取り付け可能であってもよく、その場合、スリーブの第1の横方向側領域もトリミング可能であるように構成及び配置することができる。かかる実施形態では、本明細書に述べられる圧迫システムは、例えばロールの形のスリーブ材料を、適切な一連の締結バンドと2次閉鎖要素とを含む1以上のセットとともに含むシステムとして好ましく提供することも想到される。
図1の例示的な実施形態に戻ると、各締結バンドは、内側バンド部分(23)により連結された近位端部分(22)と遠位端部分(24)とを備える。図1に示される例示的な実施形態では、近位端部分(22)は、スリーブの第1の横方向側領域(13)に固定的に(例えば接着剤、接着、又は縫い付けにより)取り付けられている。締結バンド(2)は、その遠位端部分(24)がスリーブの中央部分(14)から離れて位置付けられるようにして、スリーブの実質的に横断方向に各バンドが延在するようにスリーブに取り付けられている(この場合では固定的に取り付けられているが代替的な実施形態では解放可能に取り付けられる)。例示的な実施形態では、締結バンドの近位端部分は、締結バンドの組をスリーブ上に組み付けることを容易とし、かつ/又はスリーブに対する締結バンドの取り付けの固さを高めるために、互いに架橋され得る、及び/又は一体的であり得ることが分かる。各バンドは、その延ばされた構成では、内側に面した第1の主面(34、図1では付番されていない)及び外側に面した第2の主面(33)を有しており、この例示的な実施形態では、バンドの近位端部分が第1の横方向側領域(13)の外側表面(3)に取り付けられているため、締結バンドの幅にわたった第1の主面がスリーブの外側表面に向かって配置され、第2の主面はスリーブの外側表面から離れて配置されていることが理解できる。バンドの遠位端部分(24)の第2の主面(33)は、機械的(例えばオス)締結要素(25)を有している。図に示される例示的な実施形態では、締結バンドの近位端部分(22)の第2の主面は、前記機械的(例えばオス)締結要素が係合するように適応される構造(26)(例えばループ係合材料)を有するか又は該構造が提供されている。締結バンドの内側バンド部分の第2の主面も、遠位端部分(24)の第2の(外側)主面(33)上の前記機械的(例えば、オス)締結要素が係合するように適応される構造(26)を有するか又は該構造が提供されている。
代替的な実施形態では、スリーブの少なくとも第1の横方向側領域の外側表面は上記に加えるか又は上記に代えて、締結バンドの遠位端部分の第2の主面上の機械的締結要素が係合するように適応される構造を有するか又は該構造が提供される。スリーブの少なくとも第1の横方向側領域の外側表面が、締結バンドの近位端部分ではなく、係合構造を備える実施形態では、近位端部分は図1の例示的な実施形態に示されるものよりも大幅に小さいものとして構成することができる。これは、図13に示される例示的な実施形態から理解することができる。この実施形態では、図1の実施形態と同様、締結バンド(2)の遠位端部分(24)の第2の主面(33)が、機械的締結要素(25)、具体的にはオス締結要素(例えば、フック形又はマッシュルーム形のファスナー)を好ましく有している一方で、この場合の第1の横方向側領域(13)の外側表面(3)には、前記機械的(オス)締結要素が係合するように適応される構造(29)(例えば、ループ係合材料)が提供されている。図14も更に参照されたい。代替的な実施形態では、例えばループ係合材料が各々に提供された(例えば、ラミネートされた)2つの横方向側領域を有する代わりに、スリーブの外側表面全体にこうした材料を提供することができる点は理解されよう。図13に示される例示的な実施形態に戻ると、締結バンド(2)の近位端部分(22)は、係合構造を含んでおらず、横断方向のサイズは大幅に小さくなっており、締結バンドを第1の横方向側領域(13)の最も外側の部分に第1の横方向側縁部(9)に沿って、第1の横方向側縁部(9)に隣接して取り付ける(通常は固定的取り付け)ことが充分に可能であるように構成されていることが理解できる。かかる実施形態では、締結バンドの近位端部分は、スリーブの内側表面に、やはり第1の横方向側縁部に沿って第1の横方向側縁部に隣接して取り付けることもできる点は理解されよう。
一般的に、締結バンドは、好ましくは、締結バンドの遠位端部分の第2の主面にオス締結要素、具体的には、フックファスナー、マッシュルーム形ファスナー、ステム形ファスナー、カップ形ファスナー、T字形ファスナー、ピン形ファスナー、及びこれらの混合物からなる群から選択されるオス締結要素(以下で、第1のバンドファスナーと称される)が提供されるように構成される。締結バンドの近位端部分がスリーブの外側表面に取り付けられている場合、締結バンドの近位端部分の第2の主面は、前記第1のバンドファスナーが係合するように適応される構造を有するか又は該構造を提供することができる。加えて、又は代替的に、少なくとも第1の横方向側領域の外側表面は前記第1のバンドファスナーが係合するように適応される構造を有するか又は該構造を提供することができる。締結バンドの内側バンド部分の第2の主面もまた、第1のバンドファスナーが係合するように適応される構造を有するか又は該構造を提供することができる。特定の領域又は部分に、その関連領域又は部分上に適切な材料の層をラミネートすることにより関連する係合構造を提供することができる点は認識されよう。
締結バンドがスリーブの外側表面に解放可能に取り付けられる実施形態では、好ましくは締結バンドの近位端部分の第1の主面には、オス締結要素、具体的には、フックファスナー、マッシュルーム形ファスナー、ステム形ファスナー、カップ形ファスナー、T字形ファスナー、ピン形ファスナー、及びこれらの混合物からなる群から選択されるオス締結要素(以下で、第2のバンドファスナーと称される)が提供されるのに対して、スリーブの第1の横方向側領域の外側表面は前記第2のバンドファスナーが係合するように適応される構造を有するか又は該構造が提供される。この場合、これにより、締結バンドの近位端部分の第1の主面を、スリーブの第1の横方向側領域の外側表面に解放可能に取り付けることができる。第2のバンドファスナーは、第1のバンドファスナーと同じであっても異なっていてもよい。好ましくは、第2のバンドファスナー及び第1のバンドファスナーは、異なるものであり、したがって、スリーブの第1の横方向側領域の外側表面は、第1及び第2のファスナーの両方が係合するように適応される構造を有するか又は該構造が提供される。より好ましくは、第2のバンドファスナー及び関連する相補的な係合構造は、第1のバンドファスナーと関連する相補的な係合構造よりも強力な締結(例えば、より高い剥離強度)を提供するように選択される。
図15に示される例示的な実施形態は、締結バンド(2)がスリーブ(1)の外側表面(3)に解放可能に取り付けられた圧迫システム(100)の一例である。この例示的な圧迫システムは、図1に示される例示的な実施形態と類似しており、2次閉鎖要素(5)は同じであるが、スリーブ(1)及び締結バンドは、例えば、後者を前者に解放可能に取り付けることができるように異なっている。具体的には、この例示的な実施形態では、締結バンド(2)の近位端部分(22)の第1の(内側)主面(34)には、機械的締結要素(具体的にはオス締結要素)(27)が提供され、スリーブ(1)の外側表面(3)全体に例えば適切な材料(例えば、ループ係合材料)をラミネートすることにより、前記機械的(オス)締結要素(27)と係合するように適応される構造(38)が提供されている。これは、図15のスリーブの断面図を示す図16に最も分かりやすく示されており、締結バンドの近位端部分(22)の内側表面(34)が、スリーブ(1)の第1の横方向側領域(15)の外側表面(3)に解放可能に取り付けられている様子が示されている。好ましくはスリーブの外側表面に提供された係合構造(38)は、2次閉鎖要素(5)の外側フラップ(51)上に提供された機械的(オス)締結要素(61)と係合するように適応されている点は認識されよう。この例示的な実施形態では、スリーブの第1及び第2の横方向側領域(13、15)はトリミング可能であるように構成されることが望ましく、上で言及されるように、かかる構成は、特に通常であればカスタムサイジングが必要となるであろう特殊な四肢の幅又は外周を有する使用者において、幅及び/又は外周の調節に関する高い自由度を可能とする点で有利である。
締結バンドがスリーブの第1の横方向側領域に固定的に取り付けられているか又は解放可能に取り付けられているかによらず、(例えば製造又は組み立てを容易とする目的で)第1の横方向側領域、中央領域、及び第2の横方向側領域は同じ構成とされることが有利であり、すなわち、各領域の外側表面が、外側フラップの内側表面上の少なくとも機械的締結要素、具体的には外側フラップ(複数を含む)の内側表面上の機械的締結要素及び締結バンドの遠位端部分の第2の主面上の機械的締結要素の両方、解放可能に取り付けられた締結バンドの場合には、より具体的には3つすべての種類の機械的締結要素、外側フラップ(複数を含む)の内側表面上のもの、締結バンドの遠位端部分の第2の主面上のもの、及びすなわち、締結バンドの近位端部分の第1の主面上のものが係合するように適応される構造を有するか又は該構造が提供される。固定的に取り付けられた締結バンドを有する実施形態では、外側フラップ(複数を含む)の内側表面上の機械的締結要素と締結バンドの遠位端部分の第2の主面上の機械的締結要素とは同じであってよい。解放可能に取り付けられた締結バンドを有する実施形態では、締結バンドの遠位端部分の第2の主面上の機械的締結要素と、上で言及されるように締結バンドの近位端部分の第1の主面上の機械的締結要素とは好ましくは異なるものであり、後者(すなわち、第2のバンドファスナー)と関連する係合構造とが、前者(すなわち、第1のバンドファスナー)と該係合構造とよりも強力な締結(例えばより高い剥離強度)を提供する。かかる実施形態では、外側フラップ(複数を含む)の内側表面上の機械的締結要素は、第2のバンドファスナー又は第1のバンドファスナーのいずれかと同じものとすることができる。
締結バンドの遠位端部分及び/又は近位端部分の、スリーブの横断方向に対する高さは、望ましくは少なくとも1cm、より望ましくは少なくとも2cm、最も望ましくは少なくとも3cmである。締結バンドの遠位端部分及び/又は近位端部分の、スリーブの横断方向に対する高さは、望ましくは最大10cm、より望ましくは最大8cm、最も望ましくは最大6cmである。近位端部分は、締結バンドの遠位端部分及び内側バンド部分と少なくとも同じ高さを通常は有している。上で言及されるように、好ましくは締結バンドの近位端部分は、互いに架橋される、及び/又は一体的である。締結バンドの、第1の横方向側縁部を越えて延在する部分の、スリーブの横断方向に対する幅は、望ましくは少なくとも3cm、より望ましくは少なくとも6cmである。締結バンドの、第1の横方向側縁部を越えて延在する部分の、スリーブの横断方向に対する幅は、望ましくは最大25cmである。
図1に示される例示的な実施形態に戻ると、好ましくは舌として構成される2次閉鎖要素(5)は、スリーブ(1)と2重に解放可能に取り付け可能、すなわち、スリーブの第1の横方向側領域(13)に提供される締結バンド(2)と、また、スリーブの第2の横方向側領域(15)と、具体的には第2の横方向側縁部(10)に沿って解放可能に取り付け可能である。具体的には、図1では、圧迫システムの2次閉鎖要素(5)には、好ましくは、閉鎖要素の上縁部(77)と下縁部(88)との間に長さ方向に連続して複数のリング(16)が提供されていることが分かる。締結バンドのそれぞれについて単一のリングが提供されていることにより、閉鎖要素が、例えば、第2の横方向側縁部(10)に沿ってスリーブに(解放可能に)取り付けられる際、締結バンドの各々の反対側にリングが配置されることになる。具体的には、締結バンド(2)及びリング(16)は、使用時にバンドをリングに通してからそれ自体の上に折り返すことにより、スリーブ(1)の第1の横方向側縁部(9)がリングに向かって引き寄せられることで、スリーブが使用者の四肢の周囲に締め付けられるように構成及び配置されており、次いで締結バンドを締めるとスリーブが使用者の四肢の周囲に拘束され、より具体的には第1の横方向縁部がスリーブの第2の横方向縁部(10)に向かって引き寄せられるが、スリーブの2つの横方向縁部が重なり合うことはない。
更に、2次閉鎖要素(5)には、リング(16)の列の一方の側に長さ方向に連続して延在する複数のフラップ対(50)が提供されている。上で示されるように、代替的な実施形態では、閉鎖要素に、リングの列の一方の側に長さ方向に延在する単一の細長いフラップ対を提供することもできる。かかる例示的一実施形態が図13に示されており、2次閉鎖要素(5)には、フラップの列の代わりに、リング(16)の列の一方の側に長さ方向に延在する単一の細長いフラップ(50)対が提供されている。フラップの各対は、内側フラップ(52)に重なる外側フラップ(51)を含んでいる。図1の例示的な実施形態に見られるように、それぞれのフラップ対の内側フラップ(複数を含む)は、隣り合う対(複数を含む)の内側フラップと架橋され、かつそれと一体的であるため、内側フラップは1枚の細長いフラップの形で提供されている。代替的に、内側フラップは、外側フラップと同様、一連の個々の分離された(より短い)ストリップの形態で提供することもできる点は認識されよう。図1に示される実施形態、具体的には図2の断面図から認識されるように、内側及び外側フラップ(51、52)の対向した内側表面は機械的締結要素(61、62)を有しており、この機械的締結要素(61、62)は、スリーブ(1)の少なくとも第2の横方向側領域(15)の外側及び内側表面(3、4)とそれぞれ解放可能に係合するように適応されている。スリーブの少なくとも第2の横方向側領域の内側及び外側表面のそれぞれは、それぞれ内側及び外側フラップの内側表面上に提供された機械的締結要素が係合するように適応された構造(例えば、スリーブに使用される特定の材料と一体的である)を有するか、又は構造(例えばスリーブに使用される下層材料上の第2の係合材料のラミネート)を提供することができる点は認識されよう。更に、フラップの各対において、少なくとも外側フラップ(51)が内側フラップ(52)に対して動くことができることにより、外側フラップは長手方向又は実質的に長手方向の軸(L)を中心として、内側フラップに対してヒンジ運動を行うことが可能である。これは図1の左上に最も分かりやすい。この場合、外側フラップの1つが開放位置で示されており、軸(L)に沿ったヒンジ運動により外側フラップが内側フラップから離れる方向に動くことによって、その内側表面及び機械的締結要素が露出している。外側フラップ(複数を含む)(51)のヒンジ運動の軸(L)は、リング(16)に向かって(近位に)位置付けられている。好ましくはリング(16)の列は、使用時に閉鎖要素(5)がスリーブ(1)の第2の横方向側縁部(10)に沿ってスリーブに取り付けられる際に、リングの列が第2の横方向側縁部の遠位に配置されるように構成及び配置されることが分かる。
本明細書に述べられる圧迫システムの使用法についての下記の説明において明らかとなるように、2次閉鎖要素は、使用時に閉鎖要素が第2の横方向側縁部に沿ってスリーブに取り付けられ、締結バンドが締められる際に、閉鎖要素がスリーブの第1及び第2の横方向側縁部に隣接して概ね中心に位置付けられるとともに第1及び第2の横方向側縁部に沿って延在するように構成されるとともにスリーブに対して配置され、これにより、閉鎖要素は使用者と、スリーブの第1及び第2の横方向縁部間に画定される開口部との間に位置することになる(例えば着用者の四肢の周囲に巻かれて締め付けられた状態に見える圧迫システムを示す図11を参照されたい)。
図2に示される断面図を参照すると、各外側フラップ(51)は、ヒンジ運動の軸に沿って閉鎖要素(5)の外側表面に取り付けられている(具体的には間接的に取り付けられている)ことが認識される。内側フラップを形成する細長いストリップも、前記ヒンジ運動の軸に沿って閉鎖要素の外側表面に取り付けられている(具体的には間接的に取り付けられている)ことが更に認識される。代替的な実施形態では、内側フラップ(複数を含む)は、閉鎖要素の外側表面上に完全に取り付けることができる。
一般的に、フラップの内側表面に提供される機械的締結要素は、好ましくはオス締結要素、より好ましくは、フックファスナー、マッシュルーム形ファスナー、ステム形ファスナー、カップ形ファスナー、T字形ファスナー、ピン形ファスナー、及びこれらの混合物からなる群から選択されるオス締結要素を含む(下記では、フラップファスナー、又はより具体的には内側及び外側フラップファスナーと称される)。内側バンドファスナーは、外側バンドファスナーと同じであっても異なっていてもよい。同様に、スリーブの内側表面の構造又は内側表面に提供される構造は、スリーブの外側表面の構造又は外側表面に提供される構造と同じであってよい。
上で言及されるように、スリーブの第2の横方向側領域の内側表面及び内側フラップの内側表面の機械的締結要素は、EN13780に従って測定した場合に少なくとも2N/cm2のせん断強度を提供するように構成及び配置することが望ましいことが見出されている。加えて、又は代替的に、スリーブの第2の横方向側領域の内側表面及び内側フラップの内側表面の機械的締結要素は、EN 12242に従って測定した場合に0.6N/cm未満、より好ましくは0.3N/cm以下の剥離強度を提供するように構成及び配置することが望ましいことが見出されている。
上記にやはり述べたように、スリーブの第2の横方向側領域の外側表面及び外側フラップの内側表面の機械的締結要素は、EN13780に従って測定した場合に少なくとも7N/cm2のせん断強度を提供するように構成及び配置することが望ましいことが見出されている。加えて、又は代替的に、スリーブの第2の横方向側領域の内側表面及び内側フラップの内側表面の機械的締結要素は、EN 12242に従って測定した場合に少なくとも0.6N/cm未満の剥離強度を提供するように構成及び配置することが望ましいことが見出されている。加えて、又は代替的に、スリーブの第2の横方向側領域の内側表面及び内側フラップの内側表面の機械的締結要素は、EN 12242に従って測定した場合に最大10N/cm、より望ましくは最大5N/cmの剥離強度を提供するように構成及び配置することが望ましいことが見出されている。
内側フラップの内側表面に使用するのに好適であり得る機械的締結要素テープの例としては、ゴットリーフ・バインダー社(Gottlieb Binder GmbH & Co KG)よりMICROPLASTの商品名で販売されるもの、例えば商品番号25442、25443、25445、25446及び27443のもの、又はスリーエム・ドイッチュランド社(3M Deutschland GmbH)(ヘルスケアビジネス)より製品番号#7334で販売されるものなどの、係合要素としてマッシュルーム形要素を有する低プロファイルの押出成形可撓性フィルム締結テープが挙げられる。外側フラップの内側表面に使用するのに好適であり得る機械的締結要素テープの例としては、ベルクロ・ユーエスエー社(Velcro USA Inc.)よりVELCRO(例えばフック088)若しくはVEL−LOC若しくはSUPER VEL−LOC(例えば品番085、083又は四葉形)の商品名で販売される織布マッシュルームテープ、又はアルファテックス社(Alfatex Ltd.)よりGRIPPER(例えば中密度pp)の商品名で販売される押出成形フックテープが挙げられる例えば、3M FUTUROの商品名で販売される上記の手首副木/固定具製品において、又はJUXTA−CURESの商品名で販売される上記の圧迫レギンスにおいて使用されている材料を、本明細書に述べられる圧迫システムのスリーブ材料として、滑らかな面をスリーブの内側面として、反対側のウール状/けばだった面をスリーブの外側面として使用する場合には、例えば製品MICROPLAST(特に品番25443のもの)が内側フラップの機械的締結要素を提供するうえで有用であるのに対して、製品GRIPPER(特に中密度PP型のもの)が外側フラップの機械的締結要素を提供するうえで有用である。これらの例ではスリーブ材料はそのまま使用される。あるいは、スリーブに使用される材料は、ループ係合材料にラミネートしてもよい。例えば、ゲーリング・トリコット社(Gehring-Tricot Corporation)(11530,ニューヨーク州ガーデンシティー、米国)より製品番号WW1306で販売されるアンブロークンループ(unbroken loop)(UBL)Nylon(商標)/Spandex(商標)布地を、ゲーリング・トリコット社よりSHR 755 D3の商品名で販売されるポリエステル及びSpandex(商標)ベースのスペーサー布地の一方の面にラミネートすることができ、このループ係合材料面がスリーブの外側を形成する。かかるスリーブラミネートでは、スリーエム・ドイッチュランド社(3M Deutschland GmbH)の7334ファスナー製品が内側フラップの機械的締結要素を提供するうえで有用であるのに対して、ベルクロ社(Velcro Inc.)によって販売される上記に述べたファスナー製品が外側フラップの機械的締結要素を提供するうえで有用である。
2次閉鎖要素、具体的には、舌の形態で構成される2次閉鎖要素は、長さ方向に延在する1つ以上の細長い補強材を好ましく含むことができる。上で言及されるように、補強材は、例えば金属又は熱成形可能な熱可塑性材料(例えばポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル(例えば3M Scotchcast熱可塑性材料72362))を含む熱可塑性材料で形成することができる。5mmよりも大きい幅を有する補強材では、通気性を与えるために補強材に穿孔部を提供することが好ましい場合もある。設計及び/又は固定の目的で、補強材を閉鎖要素の適切な部分(複数を含む)の表面に位置付け、次いでこれを、閉鎖要素のそれぞれの部分(複数を含む)に縫い付けられるか又はラミネートされる布地のシートによって完全に被覆することができる。
2次閉鎖要素は、スペーサー布地及び/又は発泡材で構成することができる。更に、閉鎖要素は、少なくとも1層、具体的には2層以上の、スペーサー布地、発泡材、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を有する多層構造を有する。好適な発泡材としては、形状記憶発泡材、具体的には高密度形状記憶発泡材が挙げられる。高密度形状記憶発泡材は、少なくとも65kg/m3、具体的には少なくとも70kg/m3、より具体的には少なくとも85kg/m3、最も具体的には少なくとも105kg/m3の密度を有する形状記憶発泡材である。好適な形状記憶発泡材の例としては、フィルトナ・ポラス・テクノロジーズ社(Filtrona Porous Technologies GmbH)より入手可能なSRF EP2、Argus、Argus Soft、及びArgus Supersoftの商品名で販売される高密度形状記憶発泡材が挙げられる。好適なスペーサー布地の例としては、ミューラー・テクティル社(Muller Textil GmbH)(51674ヴィール−ドラベンダーホッヘ、ドイツ)より製品番号5754及び6018で入手可能なポリエステルスペーサー布地が挙げられる。取り付けられた構造的要素(例えばフラップ、リングなど)を除いた閉鎖要素は、好ましくは2mm〜12mm(端点を含む)の厚さ、具体的には3mm〜8mm(端点を含む)の厚さを有する。縫い目、補強材(適用される場合)、及び取り付けられた構造的要素(例えばフラップ、リングなど)がない領域では、閉鎖要素は、ISO9237:1995に従い、200Paの試験圧力を用いて測定した場合に40cm/s以上、より好ましくは80cm/s以上、更により好ましくは120cm/s以上、最も好ましくは160cm/s以上の空気透過率、及び/又はISO 15106の第1部に従って測定した場合に1000g/(m2×24h)以上、より好ましくは1500g/(m2×24h)以上、更により好ましくは2000g/(m2×24h)以上、最も好ましくは2500g/(m2×24h)以上の水蒸気透過速度を有する。
図1に示される例示的な実施形態及び図2の閉鎖要素の断面図に戻ると、2次閉鎖要素(5)は長さ方向に延在する細長い補強材(42)を有していることが分かる。細長い補強材は、使用時にスリーブが締め付けられる際に、リングが補強材の片側に向かって位置するように、リングに対して位置付けられることが望ましく、具体的には、細長い補強材は、使用時に、スリーブが締め付けられる際に、補強材がリングとフラップとの間に本質的に位置するように、位置付けられる。補強材は、弾性材料(例えばスペーサー又は発泡材料)で形成された内側層(6)と適切な被覆材料で形成された上側層(36)の2つの層の間に配置される。
図1の例示的な実施形態では、各リング(16)は、2次閉鎖要素(5)、具体的にはストラップ(17)によって閉鎖要素の外側表面に連結される。図2の断面図からは、ストラップの一端はリングを有しており、他端は閉鎖要素、具体的には閉鎖要素の外側表面に(直接的又は間接的に、好ましくは固定的に)取り付けられているため、ストラップは閉鎖要素とリングとの間でスリーブに対して実質的に横断方向に延在していることが分かる。閉鎖要素に取り付けられるストラップの端部は、フラップ対の近位、具体的には外側フラップのヒンジ運動の軸の近位に望ましくは位置し、リングを有するストラップの端部はフラップ対の遠位に位置する。
望ましくは、ストラップは少なくとも横断方向(スリーブに対する)に弾性を有する材料で構成された伸展可能なストラップ部分を有し、該伸展可能なストラップ部分は、その非伸展状態にある場合(例えば圧迫システムが使用されていない場合)には、外側に盛り上がった材料のループが外部方向に存在し、使用時に閉鎖要素がスリーブに取り付けられてスリーブの横断方向に張力が提供される場合には伸展可能なストラップ部分は横断方向に伸展してループが平坦化される(最終的にはなくなる)ように構成及び配置されている。
図1に示される例示的な実施形態、具体的には図2の断面図に戻ると、各ストラップ(17)は外部に向かって外側に盛り上がったループ(20)を有するように構成された伸展可能部分(21)を有していることが分かる。具体的には、上から見た場合に、表示ループは隆起又はこぶの一般形態を有することが分かるが、このループ状の形態は、図1と同様に非伸展状態にある伸展可能なストラップ部分を示す図2に示される断面図に最も分かりやすい。
ストラップの伸展可能部分は、外側材料層(18)と内側材料層(19)の2つの層で好ましく構成されていることも分かるが、内側材料層が外側材料層に取り付けられることによって、伸展可能なストラップ部分がその非伸展状態にある場合に内側層の上に外側層材料のループ(すなわち、ループ(20))を提供し、このループは、使用時に横断方向に張力が提供され、それに応じて伸展可能なストラップ部分が伸展するとそれぞれ平坦化することができる。
ストラップの伸展可能部分が2つの層を有する実施形態では、内側層材料の弾性率(横断方向の)に内側層材料の厚さを乗じた積は、外側層材料の弾性率(横断方向の)に外側層材料の厚さを乗じた積よりも小さいことが好ましい。より好ましくは、内側層材料の弾性率に内側材料層の厚さを乗じた積は、外側層材料の弾性率(横断方向の)に外側層材料の厚さを乗じた積よりも少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも4倍低くなっているため、はっきりとしたループから完全に平坦化されたループへの変化には長さの点で大きな伸長を必要としない。好ましくは、外側層及び内側層材料の少なくとも一方は、少なくとも横断方向に弾性を有し、より好ましくは、内側層材料は、少なくとも横断方向に弾性を有する。
弾性率(Modulus of elasticity)(elastic modulusとも呼ばれる)は、「Standard Test Method for Tensile Procedure of Thin Plastic Sheeting」という標題のASTM D 882−09に従って測定することができる。この規格は、薄いシート材の形のプラスチックの引張り特性の測定に関するものであると明白に述べているが、記載される試験方法及び弾性率の測定は、本明細書に述べられる圧迫装置での使用に好適な材料に関しても好適に使用することができることが見出された点に注意されたい。
図2より、組み立て及び製造を容易とするためには、ストラップの外側層材料が10N/cm幅の荷重下で10%未満〜0の伸長率を有する場合、ストラップ(17)の外側層及び外側フラップ(51)の外側層を単一の一体的な構成要素として、例えば、特定の材料の1本の細長いストリップとして提供することが好ましい場合がある点は認識されよう。ストラップに関し、ストラップのループ包含部分(21)は、内側及び/又は外側層材料の特性、内側材料層と外側材料層の互いに対する取り付けの形態、並びにストラップのリング及び閉鎖要素への取り付けの構成の結果として伸展可能である。ストラップの伸展可能部分が図1及び2に示されるように伸展されていない場合、すなわち、その非伸展状態にある場合、ループ(20)は、細長い隆起又はこぶとして見える。使用時に、システムが使用者の四肢に適用され、システムに張力が(具体的にはスリーブに横断方向に)作用すると、ストラップの伸展可能部分(21)はこれに応じて横断方向に伸展し、ループは平坦化することができる。
ループ表示構成の表示効果を更に強調し、かつ/又は均一な圧迫の提供を容易にするためにスリーブが上記に述べたような短伸長性材料からなる好ましい実施形態では、望ましくはループの材料(例えば2層の伸展可能なストラップ部分の外側層材料)の弾性率(横断方向の)にループの材料の厚さを乗じた積は、短伸長性材料の弾性率(横断方向)に短伸長性材料の厚さを乗じた積の少なくとも90%であることが好ましく、具体的には、ループの材料の弾性率(例えば2層の伸展可能なストラップ部分の外側層材料)にループの材料の厚さを乗じた積は、前記短伸長性材料の弾性率に短伸長性材料の厚さを乗じた積に等しいかそれよりも大きい。
ループ表示構成を見やすくするため、ストラップの伸展可能部分のその非伸展状態におけるスリーブの横断方向に対する幅は、好ましくは少なくとも0.1cm、具体的には少なくとも0.5cmである。構成要素のサイズ合わせ及び材料の使用の点からシステム構成を好ましく容易にするため、ストラップの伸展可能部分のその非伸展状態におけるスリーブの横断方向に対する幅は、望ましくは最大で4cm、具体的には最大で3cmである。好ましくは、特に、はっきりとしたループ構成と平坦化された構成との間の変化を見えやすくすることに関して、ストラップの伸展可能部分の、ループがちょうど完全に平坦化する点におけるその伸展状態における、スリーブの横断方向に対する幅は、少なくとも1cmである。見やすさのため、及び/又は横断方向/周方向の均一な圧迫を容易にするため、ストラップの伸展可能部分の、ループがちょうど完全に平坦化する点におけるその伸展状態における、スリーブの横断方向に対する幅は、最大で8cm、具体的には最大で6cmである。一般的に、上で説明されるようなリング及びループ表示構成を有する伸展可能部分を有するストラップを含む圧迫システムでは、各ストラップのスリーブの横断方向に対する高さは、少なくとも1cm、より好ましくは少なくとも2cm、最も好ましくは少なくとも3cmである。各ストラップのスリーブの横断方向に対する高さは、好ましくは最大10cm、より好ましくは最大8cm、最も好ましくは最大6cmである。
使用時の本システムのスリーブによって被覆される使用者の四肢(例えば、ふくらはぎを含む下肢)の部分にわたって好ましい解剖学的フィット性の提供を容易にするするため、好ましくは、リング又はバンド間の隙間を含む複数のリング又は締結バンドはそれぞれ、上縁部から下縁部までのスリーブの高さの少なくとも70%に相当する高さにわたって延在する。一般的に、リング又はバンド間の隙間を含む複数のリング又は締結バンドは、それぞれ、上縁部から下縁部までのスリーブの高さの70%〜100%以下、場合により100%超に対応する高さにわたって延在することが望ましい。リング又はバンド間の隙間の高さは、0.1mm〜7cm(端点を含む)、具体的には0.3mm〜3cm(端点を含む)、より具体的には0.5mm〜2cm(端点を含む)の範囲とすることができる。
装置の適用及び全体の滑らかなフィットをため、リングは、リングの開口部のスリーブの横断方向に対する高さが、締結バンドのスリーブの横断方向に対する高さよりも大きくなるように構成及び/又は選択されることが好ましい。また、リング及びストラップを含む実施形態では、リングは、リングの開口部のスリーブの横断方向に対する高さが、ストラップのスリーブの横断方向に対する高さよりも大きくなるように構成及び/又は選択されることが好ましい。加えて、又は代替的に、リングは、金属製又はポリマー材料で作製するか、又はウェブ材料において形成又は提供することができる(例えば、アイレットの形で)。加えて、又は代替的に、リングは、その形が長方形若しくは実質的に長方形、又はその形が楕円形若しくは実質的に楕円形(例えば、細長い若しくは幅狭の楕円形、カヌー形、細長い涙滴形)、又はその形が細長い若しくは幅狭のD字状であることが望ましい。
図17及び18に示される例示的な実施形態は、2次閉鎖要素(5)に提供された適切な相補的な係合構造(55)上に締結バンド(2)が直接締結される圧迫システム(100)の一例である。更に、締結バンドは、スリーブ(1)の第1の横方向側領域(15)と一体的である。後者に関して、図17の右側より、締結バンド(2)は、スリーブ(1)の第1の横方向側縁部(9)からスリーブの実質的に横断方向に延出していることが分かる。上で言及されるように、かかる場合、スリーブの第1の横方向側縁部は、締結バンド(9−1)の間に位置し、該当する場合には、最も上及び/又は最も下の締結バンドに隣接したスリーブの第1の横方向側領域(15)の外側縁部と、スリーブの第1の横方向側領域と締結バンドとの間の境界(9−2)を含む線(図17では破線で示されEで示される)に沿って延在しているものと理解される。図18の右側を参照すると、締結バンドの遠位端部分(24)の第1の(内側に面した)主面(44)には、機械的(オス)締結要素(56)が提供されている。リングを有する例示的な実施形態と比較して、締結バンドが第1の横方向側縁部上に延在する大きさは、通常大幅に小さいことが認識されるであろう。図17及び18の左側を見ると、この例示的な実施形態では、2次閉鎖要素(5)の外側表面には、締結バンドの遠位端部分の第1の主面上の機械的締結要素、例えば、ループ係合材料が係合するように適応される構造(55)が提供されていることが分かる。具体的には、前記係合構造の個々のパッチが、締結バンドの各々に対して提供され、フラップ(50)対が、一連の係合構造のパッチの一方の側に長さ方向に延在している。上記に述べた他の例示的な実施形態と同様、外側フラップ(51)のヒンジ運動の軸(L)は前記係合構造の近位に位置付けられ、使用時に閉鎖要素がスリーブの第2の横方向側縁部(10)に沿ってスリーブに取り付けられると、締結バンドの係合構造は第2の横方向側縁部の遠位に配置される。代替的な実施形態では、係合構造の単一の大きな部分を提供するか、又は2次閉鎖要素の外側表面が、締結要素と係合することができる構造を本質的に有し得ることは認識されよう。
図1、13、15及び17に示される圧迫の例示的な実施形態の各々において、フラップは、ウェブのラミネートで構成され、フラップを形成する外側ウェブ材料の内側表面の関連部分に、適切なウェブ又はテープ状締結材料を外側ウェブ材料上にラミネートすることによって機械的締結要素が提供される。代替的な実施形態では、フラップ対は、好ましくは射出成形された構成要素とすることができる。かかる例示的な実施形態が、図19に示されている。
図19に示される例示的な実施形態は、フラップ対のそれぞれが射出成形されたアセンブリである圧迫システムの一例である。この例示的な圧迫システム(100)は、いくつかの点を除いて図1に示される例示的な実施形態と同様である。2次閉鎖要素(5)とスリーブ(1)の締結バンド(2)の組の外側の形は幾分異なっており、フラップ(50)対の各々は、射出成形されたアセンブリの一部として提供されている。アセンブリは、閉鎖要素の外側表面に長手方向に連続して取り付けられ、いずれもリング(16)の一方の側に、やはり閉鎖要素の外側表面に取り付けられた、リングを有するストラップ(17)の端部の近くに取り付けられている。他の実施形態と同様、フラップのそれぞれ対において、少なくとも外側フラップ(51)が内側フラップ(52)に対して動くことができることにより、外側フラップは長手方向又は実質的に長手方向の軸(L)を中心として、内側フラップに対してヒンジ運動を行うことが可能である。これは図19の左上に最も分かりやすく示され、最も上のフラップ対の外側フラップ(51)は開放位置にあり、外側フラップは軸(L)に沿ったヒンジ運動により内側フラップ(52)から離れる方向に動かされている。更に、各フラップアセンブリ(50)はロック要素(53)を有している。これは図19の左側、具体的には、上から2番目のフラップ対において最も分かりやすく認識され、ロック要素(53)はリングに近いそのロック解除位置に見られ、外側フラップは閉鎖位置にある。残りの4つのフラップ対では外側フラップは閉鎖位置にあり、ロック要素はロック位置にある。また、この場合、ストラップ(17)の表示ループ(20)も認識できる。ストラップのそれぞれの伸展可能部分(21)、具体的には外側層が開口部(40)を有していることが分かる。開口部は、表示ループ(20)の右側に半円として認識され得る。伸展可能部分の内側層の上側表面は、伸展可能部分が伸展される際に見えるようになる色又は他の標示を有することができる。
フラップアセンブリ(50)の動作は、左から右にかけて、ロックされた構成、ロックされていないが閉鎖されている構成、ヒンジ動作により開放された構成、閉鎖しているがロックされていない構成、及びロックされた構成にある1個のフラップアセンブリ(50)の平面図及び中心断面図をそれぞれ示した図20及び21に最も分かりやすい。アセンブリをロック解除するためには、ロック要素(53)を枢動軸(X)に沿って180°反時計回り(最も左側の図の矢印を参照)に回転させる(左外側の2つの図を比較)。ロック解除後、外側フラップ(51)を長手方向軸(L)に沿ったヒンジ運動によって開くことができ、これにより内側フラップ(52)が現れ、内側及び外側フラップ(それぞれ62、61)の機械的締結要素が露出する(中央の図を参照)。外側フラップ(51)を閉鎖した後(右から2番目の図を参照)、ロック要素(53)を枢動軸Xに沿って180°時計回り(矢印参照)に回転させることによってロックすることができる(右外側の2つの図を比較)。
本明細書に示される例示的な実施形態には具体的に示されていないが、本明細書に述べられる圧迫システムは、他の構造的要素、例えば、スリーブから延在する、具体的にはスリーブの下縁部の適切な部分から延在する足部を有するように構成することができる。かかる足部は、スターラップ(stir-up)の形に構成及び配置するか、あるいはかかる足部は足をより広く被覆するように構成することもできる。更に、スリーブ及びかかる足部は、爪先部分が閉じているか又は開いた、かつ/又は踵部分が閉じているか又は開いたブーツ状の圧迫装置を提供するように構成及び配置することができる。かかる足部には、スリーブが一体的に提供されてもよく、又は代替的に、ボタン、機械的ファスナーなどの適切な締結手段によってスリーブに取り付けることができる別の構成要素として提供されてもよい。圧迫システムは、外周のサイズの修正を容易にするために、空気袋又はゲルインサートを含んでもよい。これ点において、例えば、スリーブに、必要又は所望に応じて、かかるインサート(複数を含む)を挿入する、及び/又は取り出すことができるようにインサート用の二重壁又は内部ポケットを提供することができる。所望に応じて、本明細書に述べられる圧迫システムは、ストッキングと組み合わせて使用することができる。
図3〜12は、図1に示される圧迫システムを適用する例示的な方法の一連の図を示す。
図3及び4を参照すると、最初の数工程(いずれの順序で行うこともできる)では、外側フラップ(51)のそれぞれをヒンジ運動により下側の内側フラップ(52)から離れる方向に移動させることにより、その内側表面及びその上の機械的締結要素(62)を露出させ、締結バンド(2)を2次閉鎖要素(5)と締結する(例えば閉鎖要素の対向したリング(16)を使用して)ことにより、2次閉鎖要素をバンドを介してスリーブ(1)の第1の横方向側縁部(9)に沿って取り付ける。2次閉鎖要素は、後の工程での締め付けが可能となるような位置に、バンドを介して、スリーブに予め取り付けられることが望ましい。図4に示される断面図より認識されるように、伸展可能なストラップ(17)が非伸展状態にあることにより、外側かつ外部に向かって盛り上がった材料のループ(20)が形成されている。
図5を参照すると、次の工程では、圧迫システム(100)の2次閉鎖要素(5)を、治療される使用者の四肢(図示せず)に沿って位置付け、スリーブ(1)をスリーブの取り付けられた側から取り付けられていない側に大まかに向かって四肢の周囲に巻き、選択された状態及びフィットでスリーブが四肢を被覆するようにスリーブの一部(例えば第2の横方向側領域(15)の一部)を2次閉鎖要素上の内側フラップ(複数を含む)(52、図では見えないがその位置を破線で示してある)の内側表面に重なるように配置することにより、スリーブの内側表面が内側フラップ(複数を含む)の内側表面に提供された機械的締結要素と解放可能に係合する。
使用者の下肢に使用するのに好適な圧迫システムでは、システムは、使用時に2次閉鎖要素が前面に位置付けられ、スリーブの中央領域が少なくとも背面の周囲に、したがって腓腹筋に隣接して通常は位置付けられるように構成及び配置されることが好ましい。2次閉鎖要素上にリング又は締結バンド係合構造を有する実施形態では、使用時に2次閉鎖要素上のリング又は前記締結バンド係合構造が前方を向いて概ね位置付けられるように、具体的にはこれらが脛骨に沿って又は脛骨の長さの近くに概ね延在するように構成及び配置されることが好ましい。
図6に示されるように、内側表面を越えて(通常、予想されるように)、具体的にはスリーブの中央部分の遠位に内側フラップ(複数を含む)の機械的締結要素を越えて延在する、スリーブ(1)の余分な係合していない材料がある場合にはこれをハサミ(99)でトリミングする。かかるトリミングの後、図7に示されるような圧迫システム(100)の構成が得られることになる。あるいは、スリーブがたまたま適正なサイズである場合には、図7に示されるような構成を、前の工程でスリーブの内側表面を内側フラップ(複数を含む)に取り付けた時点で直接得ることができる。いずれの場合も、本システムの一部の断面図を示す図8を参照すると、スリーブ(1)の第2の横方向側縁部(10)(トリミングにより新たに形成されるか又は元々のもの)に隣接した部分の内側表面(4)に内側フラップ(複数を含む)(52)の機械的締結要素(62)が係合するが、この時点では、外側フラップ(51)は内側フラップ(複数を含む)から、依然としてヒンジを介して離れており、したがって外側フラップの機械的締結要素(61)は係合していない状態にある。
図9及び10を参照すると、次の工程では、外側フラップ(51)を、例えば長手方向軸Lに沿ったヒンジ運動によって内側フラップ(複数を含む)(52)の方向に動かしてスリーブ(1)の外側表面(3)と接触させることにより、外側フラップの内側表面に提供された機械的締結要素(61)が、スリーブの外側表面、具体的にはその内側表面(4)が内側フラップ(52)の締結要素(62)と解放可能に係合したスリーブの部分の外側表面と解放可能に係合する。図9及び10から理解されるように、リング−ストラップ(17)上の外側に面したループ(20)を依然見ることができるが、これは圧迫システム(100)のスリーブが両方の横方向側縁部(9、10)に沿って締着されているものの、圧迫システムはまだ、所望される及び/又は必要とされるレベルの圧迫を提供するように締め付けられていないためである。
上で説明されるように、システムを四肢の周囲に適用して適正にサイズ合わせした時点で、本方法は、締結バンドを締結する工程と、締結バンドを再位置付けして使用者の四肢の周囲にスリーブを締め付けて選択されたレベルの圧迫を提供する工程と、締結バンドを再締結する工程とを含むことが好ましい。
図11及び12を参照すると、締結バンド(2)のそれぞれは、締結を外すことができ(例えば締結バンドがその対向するリング(16)に通されてそれ自身の上に折り返された状態で)、次いでスリーブ(1)の第1の横方向側縁部(9)がリング(16)に向かって、具体的には第2の横方向側縁部(10)に向かって引っ張られるように締結バンドを引っ張ることができ、これによりスリーブ(1)が使用者の四肢の周囲に締め付けられ、ここで、各締結バンドを、対向するリングストラップ(17)の伸展可能部分(21)のループが完全に平坦化するまで引っ張る。ループが消失した時点、すなわち、平坦化されたことによって目に見えなくなった時点で締結バンドを締結する。すべての締結バンドがこのように締結されると、それに応じて圧迫システム(100)が使用者の四肢の周囲に拘束及び締め付けられて圧迫を提供する。各バンドの締結は、材料のループがちょうど完全に平坦化された(したがってループがちょうど消失した)時点で行うことが望ましい。使用中に張力の低下によってストラップの伸展可能部分がそのループを再び形成しはじめた場合には、これによって、システムを締め付けなおす、及び/又は適用しなおす必要があるという指標が使用者又は介護者に対して提供される。
図11には、四肢は示されていないが、例示的な圧迫システム(100)が使用者の四肢に使用されている場合、スリーブは中心軸を中心として配置され、複数のリングは第1の軸に沿って配置され、これにより、中心軸を含む前記平面上への第1の軸の投射像に対し、第1の軸は中心軸に対して平行又は本質的に平行に整列することが理解される。一般的に、第1の軸は中心軸に対して平行に整列するか又は中心軸に対してほぼ平行に整列することが好ましい(すなわち、第1の軸は中心軸に対して5°以下の鋭角をなして傾斜してよい)。例示的な圧迫システムが使用者の四肢に使用されている場合、リングの列は完全に真っ直ぐな軸に沿って延在しない可能性もある点は理解されなければならない。すなわち、その投射像は張力及び使用者の特定の脚の解剖学的構造のために曲がっている場合もあり、かかる場合には、それに沿ってリングの列が延在する関連する軸は、投射された曲線に対する最良直線あてはめ(線形回帰)により得られる軸として定義することができる。更に、図11より理解されるように、2次閉鎖要素(5)は、好ましくは舌として構成されているため、使用時に、閉鎖要素はスリーブ(1)の第1及び第2の横方向側縁部(9、10)に隣接して略中央に位置付けられるとともに第1及び第2の横方向縁部(9、10)に沿って延在し、このため、閉鎖要素は使用者とスリーブの第1及び第2の横方向縁部の間に画定される開口部との間に位置することになる。