JP6686716B2 - 熱処理設備 - Google Patents
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Description
また、油焼入れが行われる前記焼入れチャンバにおける油槽の周囲には、該油槽を囲むピットが必要となることに起因して、付帯する制御盤や真空ポンプなどの設置位置が遠方になるため、更に前記設備全体のスペースを要し、且つコスト高を招く要因ともなる、という問題点もあった。
即ち、本発明の熱処理設備(請求項1)は、複数のワークを連続的に焼き入れするための熱処理設備であって、互いに平行状であるワークの搬入コンベアおよび搬出コンベアと、前記搬入コンベア上を搬送された上記ワークを、受け渡しチャンバを介して内側に受け入れ、且つ上記搬入コンベアおよび搬出コンベアの長手方向と交差する方向に沿った第1走行路を走行する保温チャンバと、前記第1走行路の少なくとも一方の端部側に配置され、且つ上記保温チャンバから上記受け渡しチャンバを介して上記ワークを内側に受け入れる複数の加熱室と、上記第1走行路の少なくとも他方の端部側に配置され、且つ何れかの前記加熱室で加熱された上記ワークが上記受け渡しチャンバを介して再度内側に受け入れた上記保温チャンバから、上記ワークを内部に受け入れて焼き入れを施す焼入室と、該焼入室内で焼き入れを施された上記ワークを受け取り、上記搬入コンベアおよび搬出コンベアと、上記第1走行路との間に位置する第2走行路を走行する搬出用台車と、を備え、上記焼入室において上記ワークの挿入および排出に用いる気密式ドアは、上記第1走行路および第2走行路側に開口する単一の出入口を開閉すると共に、上記搬出用台車は、上記焼き入れが施されたワークを上記搬出コンベア上に受け渡す横向きにスライド可能な複数のテーブルを装着している、ことを特徴とする。
(1)前記焼入室内で焼入れされた前記ワークを、前記搬出コンベア上に受け渡す搬出用台車が走行する第2走行路は、前記搬入コンベアおよび搬出コンベアと前記第1走行路との間に位置しているので、本熱処理設備全体のスペースを比較的コンパクトにすることができる。
(2)前記搬出用台車や第2走行路を付設するのみにより、焼入れ後のワークを搬出でき、且つ従来の長大な搬出(抽出)専用のコンベアが不要となるので、本熱処理設備全体を比較的安価に設置することが可能となる。
(3)前記焼入室において上記ワークの挿入用および排出に用いる気密式ドアは、前記第1走行路側および第2走行路側にのみ1枚を設けるため、該ドアに用いるパッキンの取り替えに伴うメンテナンスとそのコストとを低減できる。
また、前記搬入・搬出コンベアは、例えば、ローラコンベアあるいは耐熱性のメッシュ(ベルト)コンベアなどからなる。
更に、前記受け渡しチャンバは、前記保温チャンバにおける前記加熱室側に連設された筒形部で且つ横向きにスライド可能な複数のテーブルを内設している。
また、前記保温チャンバは、断熱材で囲まれた保温室を内蔵し、該保温室内を加熱するヒータを備えることにより、前記ワークを予熱しつつ保温する。
更に、前記搬入・搬出コンベアと第1・第2走行路とは、本熱処理設備全体を省スペース化するためには、互いの長手方向が直交する形態とすることが望ましい。
更に、前記第1走行路および第2走行路も、本熱処理設備全体を省スペース化するためには、互いに平行に設定(敷設)される。
加えて、前記第1走行路および第2走行路は、前記軌条(一対のレール)の他、フロアに沿って設けた断面凹形のガイド溝とし、該ガイド溝内に自走式の保温チャンバ、あるいは自走式の搬送用台車から垂下したガイドピンまたはガイドローラを挿入する形態、または、断面凸形のガイドをフロア上に敷設し、該ガイドの両側面を一対のガイドローラにより挟む形態としても良い。あるいは、フロアに沿って面一状に埋設した鉄板製のガイド帯とし、該ガイド帯に沿って磁気的に誘導しつつ上記保温チャンバや搬送用台車を自動走行させても良い。
これによれば、上記焼入室がピットに囲まれていても、前記効果(1)により本設備全体をコンパクトにできることにより、付帯する制御盤や真空ポンプなどの設置位置を比較的近接させることができる(効果(4))。
尚、前記焼入室の周囲を囲むピットは、フロアよりも低い位置に形成する形態の他、上記焼入室の周囲を囲むように直立した突堤の内側に設ける形態でも良い。
これによれば、前記ワークを焼入れ可能な温度域に加熱すると共に、該ワークの表層部に併せて硬化処理を施すことがてきる(効果(5))。
尚、前記加熱室の内部に、浸炭用ガスを導入することで、前記ワークに対し浸炭処理を施すことが可能となる。
また、前記保温チャンバや加熱室の内部に、窒素ガスを導入して、前記ワークに対し、浸炭処理のみ、あるいは浸炭窒化処理を施すことも可能である。
これによれば、前記第2走行路に沿って走行する上記搬出用台車が、その上部に装着している複数のテーブルを水平方向に沿ってスライドすることにより、前記搬出コンベア上に、焼入れされた前記ワークをスムーズに受け渡すことができるので、前記効果(1),(2)を確実に奏することが可能となる。
これによれば、前記搬入・搬出コンベアを挟んで、上記第1走行路における一端側に複数の加熱室を配置し、且つ該第1走行路における他端側に少なくとも1つの焼入室を配置することにより、本熱処理設備全体を緻密且つコンパクトに納めるられるので、前記効果(1)を一層確実に奏することが可能となる。
これによる場合、前記効果(1)〜(5)に加え、焼入れすべきワークが比較的多数である場合、あるいは、異なる種類の焼入れや、該焼入れを含む複数パターンの熱処理を多数のワーク別に効率良く施すことが可能となる。
これによる場合、前記効果(1)〜(5)に加え、前記焼入れされた複数のワークに対し、順次焼戻し処理を施すことが可能となる。
これによる場合、前記効果(3)〜(5)に加え、例えば、比較的重量で且つ大きな前記受け渡しチャンバを含む前記保温チャンバが走行する上記第1走行路を、比較的広軌な一対(1組)のレールで構成すると共に、比較的軽量で且つ小さな前記排出用台車が走行する上記第2走行路を、比較的狭軌な一対(1組)のレールで構成することによって、前記効果(1),(2)を確実に奏することが可能となる。
図1は、本発明による一形態の熱処理設備1aを示す平面図である。
係る熱処理設備1aは、図1に示すように、互いに平行で且つ複数のワークWを順送りするための搬入コンベアC1および搬出コンベアC2と、該コンベアC1,C2の長手方向と直交する方向に沿って敷設された広軌な一対(1組)のレールrからなる第1走行路R1と、該第1走行路R1上に沿って走行する1個の保温チャンバ4と、上記コンベアC1,C2を挟んで、上記第1走行路R1における一方の端部側(図示で上端側)に配置された2個(複数)の加熱室14と、上記第1走行路R1における他方の端部側(図示で下端側)に配置された1個の焼入室20と、該焼入室20および上記コンベアC1,C2と上記第1走行路R1との間に敷設された狭軌な一対(1組)のレールrからなる第2走行路R2と、該第2走行路R2上に沿って走行する1個の搬出用台車26と、を備えている。
尚、前記第1走行路R1と第2走行路R2とは、互いに平行に敷設されている。
上記洗浄室2内では、導入コンベアc1上を順送りされるワークWの表面に付着した塵埃などを除去して、図1中の矢印で示すように、上記搬入コンベアC1上に送り出すと共に、上記搬出コンベアC2上を順送りされたワークWの表面に付着する油脂などの汚れを除去して、上記導出コンベアc2側に送り出している。
また、上記洗浄室2と導出コンベアc2との間には、焼戻炉3が設置され、焼入れされたワークWに対し、所要の焼き戻し処理を順次施すようにしている。
上記本体5の内側には、直方体状の断熱室9が内設され、該断熱室9内の側壁、天井、および床面に沿って複数のヒータhが配設されている。尚、係る断熱室9の扉dは、本体5と受け渡しチャンバ12との間を遮断可能に開閉する気密式ドア10に連結されている。該気密式ドア10は、例えば、エアシリンダ11のピストンロッド(図示せず)により、上記本体5内と受け渡しチャンバ12との間を開閉可能としている。尚、上記断熱室9には、該断熱室9内を真空、減圧雰囲気、あるいは、窒素ガス雰囲気にするための配管(図示せず)が接続されている。
一方、前記受け渡しチャンバ12内の床面上には、図示で左右方向に沿ってスライド可能なテレスコープ式である3枚(複数)のテーブル13が積層状に配設され、前記ワークWを断熱室9内に出し入れしたり、前記加熱室14との間で受け渡し可能としている。
尚、上記断熱室17には、浸炭処理または浸炭窒化処理を施すための浸炭用ガスあるいは浸炭窒化用ガスなどを導入および排出するための配管(図示せず)が接続されていても良い。
また、上記本体15は、複数の支柱Sを介してフロアF上に支持されている。
尚、上記油23に替えて、水焼入れ用の水を充填しても良い。また、前記ピットPの底面は、フロアFと同じレベルで且つ四辺を突堤(図示せず)に囲まれ、係るピットPの底面に前記焼入室20の各側壁21を立設した形態としても良い。
予め、焼入れおよび焼戻しすべき複数のワークWを個別に耐熱性パレット、あるいは、所定数量ずつ複数段の耐熱性ラックに組別に載置しておくものとする。
先ず、図1に示すように、複数(組)の上記ワークWは、導入コンベアc1上にから洗浄室2内に順送りされ、高圧エアあるいは高圧洗浄液などによって表面に付着した塵埃や油脂分を除去される。係る洗浄が施されたワークWは、搬入コンベアC1上に順送りされる。
次いで、図3に示すように、搬入コンベアC1の最先端側に位置するワークWを、前記テレスコープ式のテーブル13を介して、受け渡しチャンバー12から保温チャンバ4の本体5内に位置する前記断熱室9内に装入する。この際、該断熱室9の扉dは、前記気密式ドア10と共に開閉され、且つ該気密式ドア10は、受け渡しチャンバー12と当該断熱室9との間を連通および遮断可能している。
次に、前記保温チャンバ4は、図4中の矢印で示すように、第1走行路R1のレールr上を図示で上側に向かって走行し、図示で上側に位置する加熱室14の開口部に、その受け渡しチャンバ12が連通する位置で停止する。係る状態で、前記断熱室9の扉dを、前記気密式ドア10と共に開放し、前記加熱されたワークWを、上記受け渡しチャンバ12内の前記複数のテーブル13を介して、上記加熱室14の本体15内に位置する断熱室17内に装入する。この際、該断熱室17の扉dは、前記気密式ドア10と共に開閉され、且つ該気密式ドア10は、受け渡しチャンバー12と当該断熱室17との間を連通および遮断している。
そして、上記断熱室17内に装入されたワークWは、前記複数のヒートhによって、所要の温度域(例えば、約930℃)まで加熱され且つ所定時間にわたり保持される。尚、前記断熱室17内に浸炭用ガスあるいは浸炭窒化用ガスを導入して、前記ワークWの表層部に対し、浸炭処理あるいは浸炭窒化処理を併せて施しても良い。
上記別のワークWは、図4中の矢印で示すように、上記搬出用台車26によって、第2走行路R2のレールr上を図示で上方に搬送され、搬出コンベアC2の先端部に最接近する位置まで搬送される。
更に、上記別のワークWは、搬出用台車26の前記テープル29を介して、搬出コンベアC2上に受け渡しされ、更に前記洗浄室2内において表面に付着した油脂分を洗浄液により除去された後、焼戻炉3に装入されて、所要温度パターンの焼戻し処理を施されてから、導出コンベアc2を経て外部に搬出される。
上記異なるワークWは、上記保温チャンバ4側の前記テーブル13を介して、焼入室20内に装入され、前記フレーム24に支持された状態で、油23中に浸漬されることにより、所要の油焼入れを施される。そして、係る異なるワークWも、前記同様にして搬出用台車26のテーブル29上に受け渡しされ、該搬出用台車26と共に第2走行路R2のレールr上を搬送された後、前記搬出コンベアC2、洗浄室2、焼戻炉3、および導出コンベアc2を経て外部に搬出される。
以上のような構成を有する熱処理設備1aによれば、前記効果(1)〜(5)を確実に奏することができる。
尚、前記熱処理設備1aにおいて、前記搬入コンベアC1と搬出コンベアC2との各位置を、互いに置き換えた形態としても良い。
以上のような熱処理設備1bによれば、単位時間当たりに熱処理すべきワークWの総数が増えた場合でも、前記効果(1)〜(5)を確実に得ることができる。
尚、前記熱処理設備1bにおいても、前記搬入コンベアC1と搬出コンベアC2との位置を、互いに置き換えた形態としても良い。
係る熱処理設備1cは、図6に示すように、前記同様の搬入・搬出コンベアC1,C2、保温チャンバ4a,4b、導入・導出コンベアc1,c2、洗浄室2、および焼戻炉3を備えている。係る熱処理設備1cが前記熱処理設備1bと相違しているのは、2棟の焼入室20a,20bと2両の搬出用台車26a,26bとを備えている点である。図6に示すように、一方の焼入室20aは、前記搬出コンベアC2と上記第1走行路R1の上端側に配置した一対の加熱室14との間に位置しており、他方の焼入室20bは、前記搬入コンベアC1と上記第1走行路R1の下端側に追加した一対の加熱室14との間に位置している。
尚、上記焼入室20a,20bは、同じ焼入れか、同種類の焼入れを施すものであっても良いが、例えば、一方を油焼入れ用とし、且つ他方を水焼入れ用あるいは衝風焼入れ用としても良い。
一方、他方の保温チャンバ4bによって、図6で下側の一対の加熱室14内の何れかにワークWを搬送し、更に該ワークWを焼入室20b内に搬送した後、他方の搬出用台車26bによって搬出コンベアC2に搬送される(図6中の右側に矢印で示す4b,26b移動範囲参照)。これら以外のワークWの搬送については、前記熱処理設備1bの場合と同様である。
以上のような熱処理設備1cによれば、単位時間当たりに熱処理すべきワークWの総数が増えた場合、あるいは、ワークWごとに異なる種類の焼入れを個別に施す場合であっても、前記効果(1)〜(5)を確実に得ることができる。
尚、前記熱処理設備1bにおいても、前記搬入コンベアC1と搬出コンベアC2との位置を、互いに置き換えた形態としても良い。
例えば、前記搬入コンベアC1と搬出コンベアC2とは、ほぼ平行状であれば、互いに離れて配置されていても良い。
また、前記第1または第2走行路R1,R2の方向は、前記搬入コンベアC1および搬出コンベアC2の長手方向とほぼ直角であれば良いし、それぞれ平面視で直線の形態に限らず、途中が緩く傾斜またはカーブしている形態としも良い。
更に、前記焼戻炉3は、焼鈍炉としたり、あるいは焼鈍機能を併有するものであっても良い。
加えて、前記第1または第2走行路R1,R2は、フロアFの表面に沿って該フロアFに埋設した鉄板製のガイド帯板とし、該ガイド帯板に沿って磁気的に誘導しつつ、前記保温チャンバまたは搬送用台車を走行させるようにしても良い。
4,4a,4b…………保温チャンバ
10………………………気密式ドア
14………………………加熱室
12………………………受け渡しチャンバ
20,20a,20b…焼入室
26,26a,26b…搬出用台車
29………………………テーブル
W…………………………ワーク
C1………………………搬入コンベア
C2………………………搬出コンベア
R1………………………第1走行路
R2………………………第1走行路
P…………………………ピット
Claims (5)
- 複数のワークを連続的に焼き入れするための熱処理設備であって、
互いに平行状であるワークの搬入コンベアおよび搬出コンベアと、
上記搬入コンベア上を搬送された上記ワークを、受け渡しチャンバを介して内側に受け入れ、且つ上記搬入コンベアおよび搬出コンベアの長手方向と交差する方向に沿った第1走行路を走行する保温チャンバと、
上記第1走行路の少なくとも一方の端部側に配置され、且つ上記保温チャンバから上記受け渡しチャンバを介して上記ワークを内側に受け入れる複数の加熱室と、
上記第1走行路の少なくとも他方の端部側に配置され、且つ何れかの上記加熱室で加熱された上記ワークが上記受け渡しチャンバを介して再度内側に受け入れた上記保温チャンバから、上記ワークを内部に受け入れて焼き入れを施す焼入室と、
上記焼入室内で焼き入れを施された上記ワークを受け取り、上記搬入コンベアおよび搬出コンベアと、上記第1走行路との間に位置する第2走行路を走行する搬出用台車と、を備え、
上記焼入室において上記ワークの挿入および排出に用いる気密式ドアは、上記第1走行路および第2走行路側に開口する単一の出入口を開閉すると共に、
上記搬出用台車は、上記焼き入れが施されたワークを上記搬出コンベア上に受け渡す横向きにスライド可能な複数のテーブルを装着している、
ことを特徴とする熱処理設備。 - 前記焼入室は、前記ワークに油焼き入れあるいは水焼き入れを施すものであり、平面視においてその周囲をピットに囲まれている、
ことを特徴とする請求項1に記載の熱処理設備。 - 前記複数の加熱室は、前記ワークに対し浸炭処理を施し得るものである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の熱処理設備。 - 前記搬出用台車は、前記第2走行路と直交する水平方向に沿って、スライド可能なテレスコープ式の複数のテーブルを上部に装着している、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の熱処理設備。 - 前記複数の加熱室は、前記第1走行路における一端側に配置されていると共に、
前記焼入室は、上記第1走行路における他端側に配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の熱処理設備。
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