JP6685804B2 - 感温式弁機構及びその使用方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、サーモワックス(21)の熱的性質の説明が省かれているため、サーモワックスの熱的性質が説明されている文献として、例えば、特許文献2(図2)を参照する。ただし、特許文献2は、湯水混合栓に係り、潤滑油の感温弁ではない。
すなわち、曲線イは、変位点P1を境として、P1未満では固液混合相、P1以上で液相となる性質のワックスに係る。P1は52℃である。
同様に、曲線ロは、変位点P2を境として、P2未満では固液混合相、P2以上で液相となる性質のワックスに係る。P2は46℃である。
曲線イのワックスは、変位点P1(52℃)が使用範囲(30℃〜50℃)より高温側の外にある。すなわち、曲線イのワックスは、固液混合相で使用される。固液混合相では液相に比較して温度変化に対する体積変化率が格段に大きい。固液混合相で使用すると、温度変化に対して大きな機械的に変位が得られるという利点がある。
近年、省エネルギー対策が要求されるエンジンにおいて、温度変化に対して細かな機械的変位が得られる感温式弁機構が求められる。
この感温式弁機構は、駆動源がサーモワックスであり、
このサーモワックスは、バルブが固定されているサーモエレメントに封入され、
このサーモエレメントは、円筒形の弁箱が一体に形成されている筒状の連結部で囲われ、
この連結部は、前記潤滑油を通過させる流路貫通孔を有し、
前記サーモエレメントが、前記流路貫通孔を介して前記油路から見え、
前記サーモワックスは、低温で固相、前記低温より高い中温で固液混合相、前記中温より高い高温で液相となり、前記固液混合相と前記液相との境界温度が48℃〜56℃の範囲に設定され、
前記バルブは、前記サーモワックスが固相である場合に、前記弁箱に形成され前記潤滑油を排出する排出ポートを全開としていることを特徴とする。本発明において、常用温度とは、エンジンにおいて始動時と停止時を除いた運転時(走行時など)における潤滑油の平均温度又は頻度が高い温度を指す。
前記感温式弁機構の駆動源は、低温で固相、前記低温より高い中温で固液混合相、前記中温より高い高温で液相となるサーモワックスであり、
このサーモワックスは、バルブが固定されているサーモエレメントに封入され、
このサーモエレメントは、円筒形の弁箱が一体に形成されている筒状の連結部で囲われ、
この連結部は、前記潤滑油を通過させる流路貫通孔を有し、
前記サーモエレメントが、前記流路貫通孔を介して前記油路から見え、
前記感温式弁機構は、主として前記液相の領域で使用され、且つ前記バルブは、前記サーモワックスが固相である場合に、前記弁箱に形成され前記潤滑油を排出する排出ポートを全開としていることを特徴とする。
加えて、サーモエレメントが流路貫通孔を介して油路から見える。潤滑油が流路貫通孔を貫通して流れるため、油路を流れる潤滑油は常にサーモエレメントに接触する。
加えて、サーモエレメントが流路貫通孔を介して油路から見える。潤滑油が流路貫通孔を貫通して流れるため、油路を流れる潤滑油は常にサーモエレメントに接触する。
図1に示すように、エンジン10に付属するオイルポンプ11は、インナーギヤ12と、アウターギヤ13と、これらのギヤ12、13を収納するポンプハウジング14とからなる。エンジンの動力の一部でインナーギヤ12が回されると、アウターギヤ13が連れ回る。この回転中に、ギヤ12、13間のギャップGの体積が変化し、この変化により矢印(1)のように潤滑油が吸入され、加圧され、矢印(2)のように吐出される。
よって、弁挿入孔17へ何時でも感温式弁機構20を挿入することができる。
図2に示すように、感温式弁機構20は、固定部21としての鍔付きプラグ22と、この鍔付きプラグ22に一方(この例ではピストン23)が支持されるサーモエレメント24と、このサーモエレメント24の他方に固定されるバルブ25と、このバルブ25を囲う弁箱26と、鍔付きプラグ22から延ばされ弁箱26を支える連結部27とからなる。
弁箱26は、バルブ25を軸方向移動可能に収納する円筒体であり、高さ方向中間位置に環状溝部46及び排出ポート47を有し、下部にシール材48を収納する溝49を有する。
弁箱26と連結部27は、鋳造、鍛造、総切削(削り出し)、又はこれらの複合工程によって製造されるが、排出ポート47は開口面積の精密さが要求されるので、切削加工が望ましい。
すると、図4(b)に示すように、ピストン23の突出長さが増加する。ピストン23が鍔付きプラグ22で止められているため、ケース52及びバルブ25が排出ポート47側へ移動する。結果、例えば、排出ポート47の開口面積の約半分がバルブ25で閉じられる。
潤滑油の温度が更に上昇すると、サーモワックス53が更に膨張し、体積が更に増加する。結果、排出ポート47がバルブ25で完全に閉じられる。
潤滑油の温度が下がると、サーモワックス53が収縮し、戻しばね37の戻し作用により、図4(b)から図4(a)の位置へ戻る。
図5に示すように、連結部27と弁箱26とは別部品にすることができる。その他は、図2と同じであるため、符号を流用して詳細な説明は省略する。
例えば、弁箱26の上部に雌ねじ54を設け、連結部27に雄ねじ55を設ける。雌ねじ54に雄ねじ55をねじ込むことにより、ねじ部56により締結が完成する。なお、弁箱26に雄ねじ55を設け、連結部27に雌ねじ54を設けることは差し支えない。
互いに回転させることで、弁箱26の排出ポート47の軸方向位置を正確に調節することができる。
図6(a)に示すように、鍔付きプラグ22に、サーモエレメント24を所定の手順で取り付ける。そして、サーモエレメント24側の第2筒部39に、バルブ25側の小径延長部38を嵌める。鍔31の下面と、バルブ25の下端(先端)との距離H1が所定の距離になるように嵌め込み長さを調節して固定する。好ましくは、固定方法としては圧入とすれば嵌め込み長さの調節が容易となる。
すると、図6(c)に示すように、バルブ25が位置決め治具57に接近する。所定時間が経過した後(サーモワックス53等が80℃に到達した後)に、バルブ25と位置決め治具57が当たるように、連結部27の軸方向位置を調節する。潤滑油の常用温度(頻度が高い温度)で位置調節するため油圧特性バラツキを低減できる。
乗用車における油温(主油路15における潤滑油の温度)を計測した結果を図7に示す。
実線は大気温度が25℃での油温、破線は大気温度が0℃での油温を示す。
また、エンジン始動時に0℃であった潤滑油は20分後には80℃に達し、以降は約80℃で一定になる。点P1でエンジンが停止した場合、潤滑油は0.5℃/分の割合で徐々に冷却された。
よって、起動時と停止時を除くと、潤滑油の常用温度は約80℃であった。
図4で説明したサーモワックス53の熱的性質を、図8に基づいて説明する。
図8に示すように、サーモワックス53は、低温で固相、低温より高い中温で固液混合相、中温より高い高温で液相になる。
また、点P4を48℃未満に設定すると点P3が下がる。すると、室温で固液混合相となるおそれがあり、取り扱いが不便となる。
よって、点P4は48℃〜56℃の範囲に収めることが推奨される。
Claims (2)
- 循環する潤滑油の常用温度が約80℃であるエンジンに取り付けられ、油路を流れる前記潤滑油の温度に応じて前記潤滑油を前記油路の外へ逃がす感温式弁機構において、
この感温式弁機構は、駆動源がサーモワックスであり、
このサーモワックスは、バルブが固定されているサーモエレメントに封入され、
このサーモエレメントは、円筒形の弁箱が一体に形成されている筒状の連結部で囲われ、
この連結部は、前記潤滑油を通過させる流路貫通孔を有し、
前記サーモエレメントが、前記流路貫通孔を介して前記油路から見え、
前記サーモワックスは、低温で固相、前記低温より高い中温で固液混合相、前記中温より高い高温で液相となり、前記固液混合相と前記液相との境界温度が48℃〜56℃の範囲に設定され、
前記バルブは、前記サーモワックスが固相である場合に、前記弁箱に形成され前記潤滑油を排出する排出ポートを全開としていることを特徴とする感温式弁機構。 - 油路を備えるエンジンに取り付けられ、前記油路を流れる潤滑油の温度に応じて前記潤滑油を前記油路の外へ逃がす感温式弁機構の使用方法であって、
前記感温式弁機構の駆動源は、低温で固相、前記低温より高い中温で固液混合相、前記中温より高い高温で液相となるサーモワックスであり、
このサーモワックスは、バルブが固定されているサーモエレメントに封入され、
このサーモエレメントは、円筒形の弁箱が一体に形成されている筒状の連結部で囲われ、
この連結部は、前記潤滑油を通過させる流路貫通孔を有し、
前記サーモエレメントが、前記流路貫通孔を介して前記油路から見え、
前記感温式弁機構は、主として前記液相の領域で使用され、且つ前記バルブは、前記サーモワックスが固相である場合に、前記弁箱に形成され前記潤滑油を排出する排出ポートを全開としていることを特徴とする感温式弁機構の使用方法。
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